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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】変形検知センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20221012BHJP
   G01L 1/16 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
G01B7/16 Z
G01L1/16 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020035491
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2020190543
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019091095
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 博雄
(72)【発明者】
【氏名】森 健一
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/017407(WO,A1)
【文献】特開2018-060308(JP,A)
【文献】特開2003-218417(JP,A)
【文献】特開2018-056162(JP,A)
【文献】特開2008-122215(JP,A)
【文献】特開2009-031089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01L 1/00-1/26、25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形検知の対象物に貼り付けられる変形検知センサであって、
圧電フィルムと、
前記圧電フィルムの主面に配置された電極と、
を備え、
前記圧電フィルムは、前記対象物の変形方向に対して交差する様にスリットが設けられていて、
前記圧電フィルムは、第1領域および第2領域を有し、
前記スリットは、前記第1領域に配置され、平面視してミアンダ状に形成された第1スリットと、前記第2領域に配置され、平面視して螺旋状に形成された第2スリットと、を有する、
変形検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象の対象物の変形を検知する変形検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、検知対象の対象物に貼り付けられ、該対象物に対する変形操作を検知する変形検知センサが開示されている。特許文献1の圧電素子は、一軸延伸されたポリ乳酸フィルムが示されている。ポリ乳酸等のキラル高分子は、延伸方向と対象物の歪み方向とが45°または135°を成す場合に電荷が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/143528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変形の大きい対象物の変形量を検知しようとすると、変形検知センサが対象物から剥がれる、または変形検知センサが対象物の変形に追従できずに破壊される可能性がある。
【0005】
そこで、この発明は、変形の大きい対象物に貼り付けた場合でも、剥がれまたは破壊を防止する変形検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
変形検知センサは、変形検知の対象物に貼り付けられる。変形検知センサは、圧電フィルムと、前記圧電フィルムの主面に配置された電極と、を備える。圧電フィルムは、前記対象物の変形方向に対して交差する様にスリットが設けられていることを特徴とする。
【0007】
この様に、本発明の変形検知センサは、対象物が変形しても、スリットにより圧電フィルムが広がるため、圧電フィルム自体の変形量を抑えることができる。したがって、本発明の変形検知センサは、変形の大きい対象物に貼り付けられた場合でも、剥がれまたは破壊を防止することができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、変形の大きい対象物に貼り付けた場合でも、剥がれまたは破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】変形検知センサ40を備えたベッド50の外観斜視図である。
図2図2(A)は、A-A断面図であり、図2(B)は、圧電フィルム11の平面図である。
図3】圧電フィルム11の平面図である。
図4】圧電フィルム11が法線方向に沿って伸縮した際の変形態様を示す模式図である。
図5図5(A)および図5(B)は、スリットの変形例を示す図である。
図6図6(A)および図6(B)は、スリットの変形例を示す図である。
図7】変形検知センサ40をタイヤ55に取り付ける場合のタイヤ55の外観概要図である。
図8】変形検知センサ40の断面図である。
図9】変形検知センサ40の断面図である。
図10】圧電フィルム11の平面図である。
図11図11(A)および図11(B)は、変形例に係る変形検知センサ40Aの断面図である。
図12】変形検知センサ40Bの断面図である。
図13図13(A)は圧電フィルム11の平面図であり、図13(B)は、XY平面で視てL字型の対象物90の内面に変形検知センサ40を貼り付ける例を示す斜視図である。
図14図14(A)は圧電フィルム11の平面図であり、図14(B)は、XY平面で視てL字型の対象物90の内面に変形検知センサ40を貼り付ける例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の変形検知センサ40の実施形態について説明する。図1は、変形検知センサ40が取り付けられたベッド50の外観斜視図である。図2(A)は、A-A断面図であり、図2(B)は、圧電フィルム11の延伸方向を示した平面図である。本実施形態では、ベッド50の幅方向(横方向)をX方向とし、長さ方向(縦方向)をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。
【0011】
本実施形態の変形検知センサ40は、ベッド50の上面(マットレスの上面)に配置されている。変形検知センサ40は、ベッド50の上面のうち、平面視して中央からY方向の端部側に配置されている。すなわち、変形検知センサ40は、利用者の腰部から頭部付近に対応する位置に配置されている。ただし、変形検知センサ40は、複数に分割されていてもよい。例えば、利用者の腰部付近に第1の変形検知センサ40が配置され、利用者の頭部付近に第2の変形検知センサ40が配置されていてもよい。
【0012】
ベッド50の上面は、利用者がベッド50を利用した際に大きく変形する。ベッド50の上面は、平面方向に伸縮したり、法線方向に伸縮したり、様々な方向に大きく変形する。
【0013】
変形検知センサ40は、図2(A)に示す様に、圧電フィルム11と、圧電フィルム11の第1主面に配置される第1電極12と、圧電フィルム11の第2主面に配置される第2電極13と、第2電極の下面側に配置される薄い板状の基材14と、第1電極12を覆う保護層15と、を備えている。
【0014】
第1電極12および第2電極13は、不図示の粘着剤を介して圧電フィルム11に貼り付けられる。また、第2電極13の下面は、粘着剤等を介して基材14に貼り付けられる。ただし、第2電極13は、基材14の上面に蒸着される等して、基材14の上面に形成されていてもよい。第1電極12の上面は、粘着剤等を介して保護層15に貼り付けられる。第1電極12も、保護層15の下面に蒸着等により形成されていてもよい。また、保護層15の端部は、基材14に貼り付けられる。これにより、保護層15は、変形検知センサ40を保護する。ただし、保護層15は、本発明において必須の構成ではない。
【0015】
基材14は、粘着剤または接着剤等でベッド50に貼り付けられ、ベッド50の変形に伴って変形する。したがって、変形検知センサ40は、基材14の変形を検知することで、ベッド50の変形を検知する。ただし、基材14は、本発明において必須の構成ではない。なお、基材14が伸縮性を有する場合、ベッド50の変形に対して、変形検知センサ40の変形を緩和することができる。
【0016】
圧電フィルム11は、例えばPVDFまたはポリ乳酸(PLA)等の圧電材料からなる。圧電フィルム11がPVDFである場合、圧電フィルム11は、基材14の平面方向の伸縮に応じて電荷を生じる。
【0017】
圧電フィルム11がポリ乳酸である場合、圧電フィルム11は、基材14のずり変形に応じて電荷を生じる。ポリ乳酸は、主鎖が螺旋構造を有し、一軸延伸されて分子が配向すると、圧電性を有する。圧電フィルム11がポリ乳酸である場合、圧電フィルム11は、図2(B)に示す様に、X方向を0°とすると、延伸方向が45°または135°となるように配置されている。これにより、圧電フィルム11は、基材14のX方向またはY方向の伸縮に応じた電荷を生じる。発生する電荷は、第1電極12または第2電極13で検知される。なお、延伸方向は、45°または135°に対して±10°程度ずれていてもよい。
【0018】
なお、ポリ乳酸は、焦電性がないため、ベッド50の様に、利用者の体温が伝わる場合であっても、検出される電荷量が変化することがない。また、一軸延伸されたPLLAの圧電定数は、高分子中で非常に高い部類に属する。さらに、PLLAの圧電定数は経時的に変動することがなく、極めて安定している。
【0019】
図3は、圧電フィルム11の平面図である。図3に示す様に、圧電フィルム11は、第1スリット114Aおよび第2スリット114Bを有する。第1スリット114Aは、平面視してミアンダ状に形成されている。第2スリット114Bは、平面視して螺旋状に形成されている。
【0020】
圧電フィルム11のY方向の端部は、第1の配列パターンとして、X方向の中心において1つの第1スリット114Aが形成され、X方向の第1端部および第2端部に第2スリット114Bが形成されている。Y方向に隣接する位置においては、第2の配列パターンとして、X方向の中心において1つの第2スリット114Bが形成され、X方向の第1端部および第2端部に第1スリット114Aが形成されている。
【0021】
圧電フィルム11は、Y方向に沿って、第1の配列パターンと、第2の配列パターンと、が交互に形成されている。本実施形態では、7つの第1スリット114A、および8つの第2スリット114Bが形成されている。ただし、第1スリット114Aおよび第2スリット114Bの数はこの例に限らない。また、配列パターンも、本実施形態に示した例に限らない。
【0022】
第1スリット114Aは、圧電フィルム11がX方向またはY方向に沿って伸縮した際に間隔が広がる。したがって、圧電フィルム11のX方向またはY方向に沿った変形量は、第1スリット114Aが無い場合に比べて抑えられる。
【0023】
第2スリット114Bは、図4に示す様に、圧電フィルム11が法線方向に沿って伸縮した際に間隔が広がる。したがって、圧電フィルム11の法線方向に沿った変形量は、第2スリット114Bが無い場合に比べて抑えられる。
【0024】
圧電フィルム11は、ベッド50の上面が大きく変形したとしても、第1スリット114AによりX方向およびY方向の変形を緩和する。また、圧電フィルム11は、ベッド50の上面が大きく変形したとしても、第2スリット114Bにより法線方向の変形を緩和する。
【0025】
したがって、変形検知センサ40は、ベッド50の様な様々な方向に大きく変形する対象物の変形に追従しつつ、ベッド50のX方向またはY方向の伸縮を検知することができる。これにより、変形検知センサ40は、利用者の寝返り、起き上がり等、様々な動作を検知することができる。
【0026】
なお、本実施形態の変形検知センサ40は、第1スリット114Aおよび第2スリット114Bが規則的に配置されているが、ランダムに配置されてもよい。また、変形検知センサ40は、平面方向の変形が大きい第1領域に第1スリット114Aを配置し、法線方向の変形が大きい第2領域に第2スリット114Bを配置してもよい。この場合、変形の緩和効果がより大きくなる。例えば、変形検知センサ40は、利用者の頭の位置に対応する箇所に第2スリット114Bを配置して、ベッド50の法線方向の大きい変形に追従しつつ、ベッド50の変形を検知する。また、変形検知センサ40は、利用者の腰の位置に対応する箇所に第1スリット114Aを配置して、ベッド50の平面方向の大きい変形に追従しつつ、ベッド50の変形を検知する。
【0027】
また、変形検知センサ40は、スリット毎に分割されていてもよい。これにより、変形検知センサ40は、平面方向の変形が大きい第1領域の変形と、法線方向の変形が大きい第2領域の変形と、を別々に検知することができる。また、変形検知センサ40は、圧電フィルム11を1枚備え、検知用の第1電極12または第2電極13を複数に分割してもよい。
【0028】
スリットの形状は、上述の例に限らない。例えば、図5(A)に示す様に、変形方向に対して、斜め45°にミアンダ状のスリットが並んでいる態様であってもよい。また、図5(B)に示す様に、スリットの長さが一様ではなく、位置により異なる態様であってもよい。また、図5(A)および図5(B)に示す変形検知センサ40は、面方向に対して垂直な方向への変形に対しても変形を検知できる。
【0029】
また、平面方向の変形を緩和するスリットの平面視した形状はミアンダ状に限らない。例えば、図6(A)に示す様に、複数の線分が並ぶ形状であってもよい。
【0030】
また、「スリット」とは、図5(A)、図5(B)および図6(A)に示す様な切り込みであってもよいし、図6(B)に示す様な、開口部であってもよい。
【0031】
本発明の変形検知センサ40は、ベッドに限らず、様々な対象物に貼り付けて利用できる。例えば、図7に示す様に、変形検知センサ40は、タイヤ55の内面に貼り付けられていてもよい。
【0032】
タイヤ55は、走行状態に応じて、様々な方向に大きく変形する。変形検知センサ40は、タイヤ55が大きく変形したとしても、第1スリット114Aおよび第2スリット114Bにより、変形検知センサ40自体の変形を緩和する。したがって、変形検知センサ40は、タイヤ55の様な様々な方向に大きく変形する対象物の変形に追従しつつ、タイヤ55の周方向(平面方向)の伸縮または径方向(法線方向)の伸縮を検知することができる。これにより、変形検知センサ40は、走行状態に応じてタイヤ55がどの様に変形するか、検知することができる。
【0033】
また、変形検知センサ40は、卓球のラケットに貼り付けられてもよい。この場合、変形検知センサ40は、ラケット本体と、ラバーとの間に配置される。また、変形検知センサ40は、テニスラケットのガットに貼り付けられてもよい。この場合、変形検知センサ40は、ガットの芯材と、保護フィルムとの間に配置される。これにより、変形検知センサ40は、どの箇所にどの程度の強さで打球がなされたか、検知することができる。
【0034】
また、変形検知センサ40は、空気膜構造屋根を持つドーム球場の屋根に貼り付けられてもよい。これにより、変形検知センサ40は、内部空気圧、外気圧等の環境により、どの様に天井が変形するかを検知することができる。
【0035】
なお、スリットは、圧電フィルムだけに設ける必要はない。スリットは、圧電フィルム、電極、および粘着剤の全てに設けられていてもよい。例えば、図8の断面図では、圧電フィルム11、第1電極12、および第2電極13に第1スリット114Aが設けられている。さらに、図8の例では、圧電フィルム11と第1電極12を貼り付ける粘着剤101、および圧電フィルム11と第2電極13を貼り付ける粘着剤102にも、同じ箇所に第1スリット114Aが設けられている。
【0036】
この様に、粘着材および電極にもスリットを形成することで、変形検知センサ全体の柔軟性が向上し、対象物の大きな変形に対してさらに追従しやすくなる。また、圧電フィルムの破壊も防止し易くなる。さらに、図8の構造では、圧電フィルムに粘着材および電極を積層した後にスリットを形成するので、圧電フィルム11にのみスリットがある構成に比べて、スリット付近の気泡の発生を抑えることができる。また、圧電フィルム11にのみスリットがある構成に比べて、粘着剤を貼り付ける際に、スリット付近の圧電フィルム11が変形してスリットを跨いで重畳されてしまうことを防止することができる。
【0037】
ただし、対象物に対して変形検知センサ40を貼り付けるための粘着剤には、スリットを設けなくてもよい。例えば、図9では、変形検知センサ40をベッド50に貼り付けるための粘着剤103には、スリットが設けられていない。
【0038】
開口であるスリットには、水分またはホコリ等の不純物が侵入し易い。特に、変形量の大きい対象物に変形検知センサを貼り付けると、対象物および変形検知センサを貼り付ける粘着剤103には大きな負荷が生じる。仮に、粘着剤103にもスリットを設けると、特に負荷の大きい粘着剤103に付着した不純物の影響により、変形検知センサが対象物から剥がれる可能性がある。
【0039】
しかし、図9の様に、粘着剤103にスリットを設けない構成とすることで、不純物は、粘着剤103と対象物との間に侵入し難い。したがって、変形検知センサが対象物から剥がれる可能性を低減できる。また、粘着剤103以外の構成にはスリットが設けられているため、対象物の大きな変形に対する追従を維持することができる。
【0040】
次に、図10は、圧電フィルム11の延伸方向とスリットの方向の関係を示す平面図である。図10の例では、スリットの方向は、Y方向に沿っていて、圧電フィルム11の延伸方向はY方向に対して45°または135°となるように配置されている。
【0041】
図10に示すように、スリットの方向は、圧電フィルム11の延伸方向に平行でないことが好ましい。1軸延伸された圧電フィルムは、延伸方向に垂直な方向(以下、TD方向と称する。)に対して最も破壊されやすい。したがって、仮にスリットが圧電フィルム11の延伸方向に沿っている場合、TD方向に沿って引張変形が生じると、スリットを基点にして圧電フィルムが破壊され易くなる。これに対して、図10に示す様に、スリットの方向が圧電フィルムの延伸方向に対して平行でない場合、TD方向の引張変形に対する強度が向上し、圧電フィルムの破壊が抑えられる。
【0042】
図11(A)は、変形例に係る変形検知センサ40Aの断面図である。変形例に係る変形検知センサ40Aでは、第1電極12および粘着剤101に設けられたスリットの幅が、圧電フィルム11、第2電極13、および粘着剤102に設けられたスリットの幅より大きくなっている。すなわち、第1電極12および粘着剤101の存在する面積は、第2電極13および粘着剤102の存在する面積よりも少ない。
【0043】
したがって、図11(B)に示す様に、大きな変形が生じ、第1電極12および第2電極13が近づいた場合でも、第1電極12および第2電極13の平面方向の距離が遠くなっているため、接触する可能性を低減できる。
【0044】
図12は、さらなる変形例に係る変形検知センサ40Bの断面図である。変形例に係る変形検知センサ40Bでは、第2電極13および粘着剤102に設けられたスリットの幅が、圧電フィルム11、第1電極12、および粘着剤101に設けられたスリットの幅より大きくなっている。また、第1電極12には、粘着剤104を介して絶縁体60が積層され、さらに絶縁体60には粘着剤105を介して第3電極17が積層されている。
【0045】
この場合、第2電極13および第3電極17は、グランド電極であり、シールドとして機能する。第1電極12は、シグナル電極である。この構成によれば、最外層にグランド電極が配置されているため、シグナル電極に対するノイズから保護することができる。また、第2電極13および第3電極17ともにスリットの幅が大きくなっている。したがって、大きな変形が生じた場合でも、シグナル電極である第1電極12に接触する可能性は低い。
【0046】
図13(A)は、圧電フィルム11の平面図である。図13(A)に示す圧電フィルム11は、複数の第1スリット114Aが設けられている。圧電フィルム11は、スリットの配置数の少ない2つの疎領域71およびスリットの配置数の多い1つの密領域70を有する。
【0047】
図13(B)は、XY平面で視てL字型の対象物90の内面に変形検知センサ40を貼り付ける例を示す斜視図である。図13(B)に示す様に、変形検知センサ40は、対象物90のうち、2つの平面部分にまたがって配置される。2つの疎領域71はそれぞれの平面部分に配置され、密領域70は2つの平面が交わる角部分の内面側に配置される。密領域70における変形検知センサ40は、曲げられて、変形検知センサ40に接触しない状態となる。言い換えると、疎領域71は対象物90の平面部分に拘束され、密領域70は対象物90に拘束されていない。ここで、対象物90のうち2つの平面部分がそれぞれ逆方向に変形すると、密領域70は非常に大きく変形する。しかし、密領域70には、相対的に多くのスリットが設けられている。したがって、密領域70は、大きな変形に追従することができ、変形検知センサ40は、大きな出力を得ることができる。
【0048】
図14(A)は、圧電フィルム11の平面図である。図14(A)に示す圧電フィルム11は、複数の第1スリット114Aが設けられている。圧電フィルム11は、第1辺95から第2辺97にかけて、スリットの配置数が多くなっていく。
【0049】
図14(B)は、XY平面で視てL字型の対象物90の内面に変形検知センサ40を貼り付ける例を示す斜視図である。図14(B)に示す様に、変形検知センサ40は、対象物90のうち、2つの平面部分にまたがって配置される。圧電フィルム11の第1辺95側は、対象物90の2つの平面のうち第1部分90Aに貼り付けられる。圧電フィルム11の第2辺97側は、対象物90の2つの平面のうち第2部分90Bに貼り付けられる。
【0050】
この例では、第1部分90Aは、大きく変形しない。第2部分90Bは、大きく変形する。そして、圧電フィルム11は、第1辺95から第2辺97にかけて、スリットの配置数が多くなっていく。すなわち、大きな変形量を生じる箇所ほど、スリットの量が多く配置される。したがって、圧電フィルム11は、大きな変形に追従することができ、変形検知センサ40は、大きな出力を得ることができる。
【0051】
また、第1部分90Aが剛体であり、ほとんど変形しない場合、変形検知センサ40は、第2部分90Bにのみ貼り付けられていてもよい。この場合、第1辺95は、第1部分90Aに近い側に配置され、第2辺97は第1部分90Aに遠い側に配置されることが好ましい。この場合も、大きな変形量を生じる箇所ほど、スリットの量が多く配置される。したがって、圧電フィルム11は、大きな変形に追従することができ、変形検知センサ40は、大きな出力を得ることができる。
【0052】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
11…圧電フィルム
12…第1電極
13…第2電極
14…基材
15…保護層
40…変形検知センサ
50…ベッド
55…タイヤ
114A…第1スリット
114B…第2スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14