(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】キャパシタ集合体
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20221012BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
(21)【出願番号】P 2020516202
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2019015622
(87)【国際公開番号】W WO2019208221
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2018087212
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 真臣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】香川 武史
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-170511(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003445(WO,A1)
【文献】特開平11-079236(JP,A)
【文献】特開2015-133392(JP,A)
【文献】特開2012-015326(JP,A)
【文献】実開平05-036828(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタを保持する保持体とを備え、
前記複数のキャパシタの各々は、
一方の主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の一方の主面側に位置する第1電極層と、
前記第1電極層に積層された誘電体層と、
前記誘電体層に積層された第2電極層と、
前記第1電極層および前記第2電極層の各々に対応して接続された外部電極とを含み、
前記複数のキャパシタは、
第1キャパシタと、
前記第1キャパシタとは、前記第1電極層、前記第2電極層および前記外部電極の少なくとも1つにおいて異なる形状を有し、前記半導体基板が別々に切り出されている、第2キャパシタとを含
み、
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの各々においては、外部電極側から見て、前記第1電極層、前記第2電極層および前記外部電極の少なくとも1つが、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域と、前記第1領域から突出した少なくとも1つの第2領域とを有し、
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、前記第2領域の形状が互いに異なる、キャパシタ集合体。
【請求項2】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、前記第1電極層の形状が互いに異なる、請求項1
に記載のキャパシタ集合体。
【請求項3】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、前記第2電極層の形状が互いに異なる、請求項1
または請求項
2に記載のキャパシタ集合体。
【請求項4】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、前記外部電極の形状が互いに異なる、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のキャパシタ集合体。
【請求項5】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、外部電極側から見て、前記第1電極層、前記第2電極層および前記外部電極の少なくとも1つにおいて、互いに異なる面積を有する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のキャパシタ集合体。
【請求項6】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタとは、前記誘電体層の厚さが互いに異なっており、
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタのうち厚い前記誘電体層を含むキャパシタは、薄い前記誘電体層を含むキャパシタと比較して、外部電極側から見たときの前記第2電極層の面積が大きい、請求項
5に記載のキャパシタ集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数キャパシタ収納体が備えるキャパシタの構成を開示した先行文献として、特開2011-44613号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電子部品であるキャパシタは、基板上に形成された回路素子と、回路素子と接続する電極層と、電極層を覆う保護層と、保護層を貫通するビア導体を介して電極層と接続され、かつ、保護層の上部に設けられた端子電極とを備え、端子電極の一方端は保護層の側壁面上に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウェハ状態の半導体基板に成膜されることにより、複数のキャパシタが製造される。成膜時の膜厚のばらつきにより、ウェハ状態の半導体基板の面内において応力分布が発生することがある。具体的には、電極層の膜厚が厚い部分ほど成膜時の収縮量が大きく、高い応力が発生する。電極層に高い応力が作用している場合、クラックまたは剥離が生じることがある。電極層にクラックまたは剥離が生じたキャパシタは、不良品となるため、ウェハ状態の半導体基板から製造できるキャパシタの歩留まりが低くなる。その結果、キャパシタの低コスト化が阻害されるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、キャパシタを低コスト化できる、キャパシタ集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくキャパシタ集合体は、複数のキャパシタと、複数のキャパシタを保持する保持体とを備える。複数のキャパシタの各々は、半導体基板と、第1電極層と、誘電体層と、第2電極層と、外部電極とを含む。半導体基板は、一方の主面を有している。第1電極層は、半導体基板の一方の主面側に位置している。誘電体層は、第1電極層に積層されている。第2電極層は、誘電体層に積層されている。外部電極は、第1電極層および第2電極層の各々に対応して接続されている。複数のキャパシタは、第1キャパシタと、第2キャパシタとを含んでいる。第2キャパシタは、第1キャパシタとは、第1電極層、第2電極層および外部電極の少なくとも1つにおいて異なる形状を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャパシタを低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタのうちの一例のキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図2】
図1のキャパシタをII-II線矢印方向から見た断面図である。
【
図3】
図1のキャパシタの製造方法において、半導体基板の一方の主面上に絶縁層を設けた状態を示す断面図である。
【
図4】
図1のキャパシタの製造方法において、絶縁層上に第1電極層を設けた状態を示す断面図である。
【
図5】
図1のキャパシタの製造方法において、第1電極層上に誘電体層を設けた状態を示す断面図である。
【
図6】
図1のキャパシタの製造方法において、誘電体層上に第2電極層を設けた状態を示す断面図である。
【
図7】
図1のキャパシタの製造方法において、保護層を設けた状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタのうちの第1キャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図9】ウェハ状態の半導体基板に成膜した際の、ウェハ状態の半導体基板の面内における応力分布の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体の構成を示す斜視図である。
【
図11】本実施形態に係るキャパシタ集合体の他の一例として、保持体がダイシングテープであるキャパシタ集合体を示す平面図である。
【
図12】本実施形態に係るキャパシタ集合体のさらに他の一例として、保持体がチップトレイであるキャパシタ集合体を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態1の第1変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図14】本発明の実施形態1の第2変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図15】本発明の実施形態2に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図16】本発明の実施形態2の第1変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図17】本発明の実施形態2の第2変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【
図18】本発明の実施形態3に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態に係るキャパシタ集合体について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタのうちの一例のキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図2は、
図1のキャパシタをII-II線矢印方向から見た断面図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタ100の各々は、半導体基板110と、第1電極層120と、誘電体層130と、第2電極層140と、外部電極160とを含んでいる。なお、第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の各々の構造および形状は、
図1および
図2に示した構造および形状に限られない。
【0012】
半導体基板110は、一方の主面111を有している。
図1に示すように、半導体基板110は、外部電極160側から見て、2つの外部電極160が並んでいる方向に長辺を有する矩形形状の外形を有している。上記矩形形状は、たとえば、200μm以上600μm以下の長辺と、100μm以上300μm以下の短辺とを有している。本実施形態において、半導体基板110は、シリコンなどの半導体材料で構成されている。なお、半導体基板110に代えて、ガラス若しくはアルミナなどの絶縁性材料で構成される絶縁性基板が用いられていてもよい。
【0013】
本実施形態においては、
図2に示すように、複数のキャパシタ100の各々が、さらに絶縁層115を含んでいる。絶縁層115は、半導体基板110の一方の主面111の全面に亘って積層されている。絶縁層115は、それぞれ異なる材料から構成された複数の層を有していてもよい。
【0014】
絶縁層115の厚さは、半導体基板110が絶縁層115によって他の構成部材と電気的に絶縁される厚さであれば、特に限定されない。絶縁層の厚さは、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。絶縁層115の材料は特に限定されないが、酸化シリコン、窒化シリコン、または、酸化アルミニウムなどで構成されていることが好ましい。
【0015】
なお、半導体基板110に代えて絶縁性基板が用いられる場合、キャパシタ100は、絶縁層115を含んでいなくてもよい。キャパシタ100が絶縁層115を含んでいない場合、キャパシタ100が絶縁層115を含んでいときに絶縁層115に積層される部材は、絶縁性基板に直接積層される。
【0016】
第1電極層120は、半導体基板110の一方の主面111側に位置している。本実施形態においては、半導体基板110に積層された絶縁層115の一部に第1電極層120が積層されている。
図1に示すように、キャパシタ100を外部電極側から見て、第1電極層120の周縁は、半導体基板110の周縁の内側に沿うように位置している。第1電極層120は、それぞれ異なる材料から構成された複数の層を有していてもよい。
【0017】
第1電極層120の厚さは、特に限定されないが、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましい。第1電極層120の厚さが比較的厚いものであれば、キャパシタ100の直列抵抗を低減することができる。
【0018】
第1電極層120の材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、第1電極層120は、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、クロムもしくはチタンなどの金属、または、これらの少なくとも一種の金属を含む合金で構成されることが好ましい。
【0019】
誘電体層130は、第1電極層120に積層されている。
図2に示すように、誘電体層130は、絶縁層115において第1電極層120が積層されていない部分にも延在するように積層されている。
【0020】
誘電体層130の厚さは、複数のキャパシタ100に要求される静電容量に従って調節され、特に限定されないが、0.02μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0021】
誘電体層130の材料は特に限定されないが、誘電体層130は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル若しくは酸化ジルコニウムなどの酸化物、または、窒化物などの、誘電性および絶縁性を有する材料で構成されることが好ましい。
【0022】
図2に示すように、第2電極層140は、誘電体層130を間に挟んで第1電極層120と対向するように、誘電体層130の一部に積層されている。なお、
図1には、キャパシタ100を外部電極160側から見たときの第2電極層140の形状が十字型であることが示されているが、本実施形態における第2電極層140の形状はこれに限られない。本実施形態における第2電極層140の形状の詳細については後述する。
【0023】
第2電極層140の厚さは特に限定されないが、0.3μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下がより好ましい。第2電極層140の厚さが比較的厚いものであれば、キャパシタ100の直列抵抗を低減することができる。
【0024】
第2電極層140の材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、第2電極層140は、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、クロム若しくはチタンなどの金属、または、これらの少なくとも一種の金属を含む合金で構成されることが好ましい。
【0025】
本実施形態においては、複数のキャパシタ100の各々が保護層150をさらに備えている。
図1に示すように、キャパシタ100を外部電極160側から見て、保護層150の周縁は、半導体基板110の周縁と第1電極層120の周縁との間において、各々の周縁に沿うように位置している。また、
図2に示すように、保護層150は、誘電体層130の半導体基板側とは反対側の一部、および、第2電極層140の一部に積層されている。
【0026】
保護層150の厚さは特に限定されないが、1μm以上20μm以下が好ましい。保護層150の材料は特に限定されないが、保護層150は、ポリイミドなどの樹脂材料、または、酸化シリコンなどの絶縁性材料で構成されることが好ましい。
【0027】
外部電極160は、第1電極層120および第2電極層140の各々に対応して接続されている。
図2に示すように、第1電極層120に接続された外部電極160は、第1電極層120において誘電体層130が積層されていない部分に積層されている。第2電極層140に接続された外部電極160は、第2電極層140において保護層150が積層されていない部分に積層されている。なお、第2電極層140と、第2電極層140に積層された外部電極160との間には、第2電極層140の材料とは異なる材料で構成されたほかの電極層が位置していてもよい。
【0028】
また、外部電極160は保護層150の一部にも積層されている。
図1に示すように、キャパシタ100を外部電極側から見て、第1電極層120に積層された外部電極160は、保護層150の一部に積層された外部電極160に取り囲まれており、第2電極層140に積層された外部電極160は、保護層150の一部に積層された外部電極160に取り囲まれている。
【0029】
外部電極160の厚さは特に限定されないが、1μm以上10μm以下が好ましい。外部電極160の材料は、導電性材料であれば特に限定されないが、外部電極160は、銅若しくはアルミニウムなどの金属、または、これらの少なくとも一種の金属を含む合金で構成されることが好ましい。外部電極160を構成する材料は、第1電極層120および第2電極層140よりも電気抵抗率の低い材料であることが好ましい。また、キャパシタ100がはんだ付けで実装され得るという観点から、外部電極160は、半導体基板側とは反対側の面の少なくとも一部が金またはスズで構成されていることが好ましい。
【0030】
以下、
図1および
図2に示すキャパシタ100の製造方法について説明する。
図3は、
図1のキャパシタの製造方法において、半導体基板の一方の主面上に絶縁層を設けた状態を示す断面図である。
図3に示すように、CVD(chemical vapor deposition)法またはPVD(physical vapor deposition)法などによって半導体基板110の一方の主面111に絶縁層115を設ける。
【0031】
図4は、
図1のキャパシタの製造方法において、絶縁層上に第1電極層を設けた状態を示す断面図である。
図4に示すように、エッチング法などにより絶縁層115の半導体基板側とは反対側に第1電極層120を設ける。すなわち、半導体基板110の一方の主面側に、第1電極層120を設ける。
【0032】
図5は、
図1のキャパシタの製造方法において、第1電極層上に誘電体層を設けた状態を示す断面図である。
図5に示すように、CVD法またはPVD法などにより、第1電極層120の半導体基板側とは反対側の全面、第1電極層120の周縁部、および、絶縁層115の半導体基板側とは反対側において第1電極層120が設けられていない面に、誘電体層130を設けた後、誘電体層130の一部をエッチングすることにより、誘電体層130に貫通孔131を形成する。
【0033】
図6は、
図1のキャパシタの製造方法において、誘電体層上に第2電極層を設けた状態を示す断面図である。
図6に示すように、エッチング法などにより、誘電体層130の半導体基板側とは反対側の一部に第2電極層140を設ける。
【0034】
図7は、
図1のキャパシタの製造方法において、保護層を設けた状態を示す断面図である。
図7に示すように、半導体基板110の一方の主面111側を覆うように設けた保護層150を、フォトリソグラフィ法により、第1電極層120の一部および第2電極層140の各々が露出するようにパターニングする。
【0035】
次に、スパッタリング法、めっき法またはエッチング法などにより、第1電極層120および第2電極層140の各々に対応して接続されるように、外部電極を設ける。上記の工程により、
図1および
図2に示すようなキャパシタ100が製造される。
【0036】
以下、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタに含まれる、第1キャパシタおよび第2キャパシタについて説明する。なお、以下の
図8の説明では、説明を簡易にするため、後述する第2領域を2つ有するキャパシタ100に代えて、第2領域を1つ有するキャパシタについて説明する。
【0037】
図8は、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタのうちの第1キャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図8においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0038】
図8に示すように、本実施形態に係る第1キャパシタにおいては、外部電極160側から見て、第2電極層140は、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191と、第1領域191から突出した1つの第2領域192とを有している。第1領域191は、2つの長辺および2つの短辺を有している。
【0039】
第2領域192は、第1領域191の2つの長辺のうちの一辺の一部から突出するように設けられている。なお、第2領域は、第1領域191の上記長辺のいずれの位置から突出していてもよい。または、第2領域192は、第1領域191の2つの短辺のうちの一辺の一部から、突出するように設けられていてもよい。本実施形態においては、第2領域192は矩形形状を有しているが、これに限定されない。第2領域192は、三角形状または扇形状などであってもよい。
【0040】
第2領域192の矩形形状においては、第2領域192が第1領域から突出する方向と平行な辺の長さがX、この辺に垂直な他方の辺の長さがYである。
【0041】
本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタのうちの第2キャパシタは、第1キャパシタとは、上記の長さXおよび長さYの少なくとも一方が異なり、他の構成は同一である。すなわち、第1キャパシタと第2キャパシタとは、第2領域192の形状が互いに異なる。
【0042】
本実施形態においては、第2キャパシタは、第1キャパシタとは、第2電極層140において異なる形状を有している。また、本実施形態において、第1キャパシタと第2キャパシタとは、外部電極160側から見て、第2電極層140において、互いに異なる面積を有している。
【0043】
ここで、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体が備える複数のキャパシタが、第1キャパシタおよび第2キャパシタを含む理由について説明する。
【0044】
複数のキャパシタは、ウェハ状態の半導体基板に成膜されることにより製造される。
図9は、ウェハ状態の半導体基板に成膜した際のウェハ状態の半導体基板の面内における応力分布の一例を示す図である。
【0045】
図9に示すように、ウェハ状態の半導体基板210は、略円形状の外形を有している。ウェハ状態の半導体基板210上に、キャパシタ100を構成する各層が成膜される。成膜時の膜厚のばらつきにより、ウェハ状態の半導体基板210の面内において応力分布が発生することがある。特に、熱膨張率の大きい、第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の少なくとも1つの膜厚がばらついた際には、ウェハ状態の半導体基板210の面内において応力分布が発生する。
【0046】
たとえば、第2電極層140の膜厚が、ウェハ状態の半導体基板210の外周部に位置する領域Aにおいて比較的薄く、ウェハ状態の半導体基板210の中央部に位置する領域Bにおいて比較的厚くなった場合、ウェハ状態の半導体基板210の面内における応力は、径方向R外側に行くにしたがって低くなる。
【0047】
また、第2電極層140の膜厚が、ウェハ状態の半導体基板210の外周部に位置する領域Aにおいて比較的厚く、ウェハ状態の半導体基板210の中央部に位置する領域Bにおいて比較的薄くなった場合には、ウェハ状態の半導体基板210の面内における応力は、径方向R外側に行くにしたがって高くなる。
【0048】
なお、
図9に示したウェハ状態の半導体基板210においては、領域Aは円環状の外形を有しており、領域Bは円形状の外形を有している。また、ウェハ状態の半導体基板210上においては、領域Aおよび領域Bの各々がウェハ状態の半導体基板210と同心円状に位置している。なお、領域Aおよび領域Bの各々は、必ずしもウェハ状態の半導体基板210と同心円状に位置するとは限らない。
【0049】
このように応力分布が発生した状態のウェハ状態の半導体基板210から複数のキャパシタを製造した場合、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力の高い部分から切り出されたキャパシタの電極層に高い応力が作用し、クラックまたは剥離が生じることがある。
【0050】
そこで、本実施形態においては、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力分布に対応して、第2領域192の形状を異ならせている。たとえば、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力の高い部分から第1キャパシタが切り出され、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力の低い部分から第2キャパシタが切り出される場合、第1キャパシタの第2領域192の面積が、第2キャパシタの第2領域192の面積より小さくなるように、第1キャパシタの第2領域192の形状と第2キャパシタの第2領域192の形状とを互いに異ならせる。
【0051】
これにより、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力の高い部分から切り出された第1キャパシタの電極層に作用する応力を緩和することができるため、第1キャパシタにおいてクラックまたは剥離が生じることを抑制できる。
【0052】
なお、
図9に例示したウェハ状態の半導体基板210の面内の応力分布は、複数のキャパシタの全てが同一の構造を有するように成膜したときの応力分布である。本実施形態に係る複数のキャパシタ100を製造する際には、事前に把握された上記応力分布の傾向に基づき、第2領域192の形状および面積の各々が設定される。
【0053】
また、1つの第2領域192の形状を異ならせる場合に限られず、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力分布に対応して、第2領域192の数および配置を適宜変更することにより、キャパシタの電極層に作用する応力を緩和することができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、第1キャパシタと第2キャパシタとにおいて、誘電体層130の厚さが互いに異なる場合においては、第2電極層140の大きさを適宜変更する。たとえば、第1キャパシタおよび第2キャパシタのうち厚い誘電体層130を含むキャパシタは、薄い誘電体層130を含むキャパシタと比較して、外部電極160側から見たときの第2電極層140の面積が大きくなるように、第1キャパシタの第2領域192の形状と第2キャパシタの第2領域192との形状とを互いに異ならせる。これにより、誘電体層130の膜厚のばらつきによる第1キャパシタの静電容量と第2キャパシタの静電容量との差を、小さくすることができる。
【0055】
図10は、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体の構成を示す斜視図である。
図10に示すように、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体500は、複数のキャパシタ100と、複数のキャパシタ100を保持する保持体とを備えている。複数のキャパシタ100には、第1キャパシタ100Fおよび第2キャパシタ100Sが含まれている。
【0056】
複数のキャパシタ100は、第1キャパシタ100Fおよび第2キャパシタ100S各々とは、第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の少なくとも1つにおいて異なる形状を有する他のキャパシタをさらに含んでいてもよい。
【0057】
本実施形態に係る保持体は、テープリール300aで構成されている。テープリール300aは、複数のポケット310aを備えている。複数のポケット310aの各々に、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとを含む複数のキャパシタ100が収納されている。
【0058】
なお、保持体は、テープリール300aに限られない。ここで、保持体のみ異なるキャパシタ集合体の他の態様について説明する。
【0059】
図11は、本実施形態に係るキャパシタ集合体の他の一例として、保持体がダイシングテープであるキャパシタ集合体を示す平面図である。
図11に示すように、複数のキャパシタ100を保持する保持体として、ウェハ状態の半導体基板210をダイシングする際にウェハ状態の半導体基板210に貼り付けられるダイシングテープ300bを用いてもよい。この場合、キャパシタ集合体500は、ウェハ状態の半導体基板210の外周に配置され、ダイシングテープ300bが貼り付けられたダイシングリング320bをさらに備えている。ダイシングテープ300bは、ダイシング後においても切断されず、複数のキャパシタ100を保持することができる。
【0060】
図12は、本実施形態に係るキャパシタ集合体のさらに他の一例として、保持体がチップトレイであるキャパシタ集合体を示す斜視図である。
図12に示すように、複数のキャパシタ100を保持する保持体として、チップトレイ300cを用いてもよい。チップトレイ300cは、複数のポケット310cを備えている。複数のポケット310cの各々に、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとを含む複数のキャパシタ100が収納される。
【0061】
上記のように、本実施形態に係るキャパシタ集合体500においては、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力分布に対応して第2電極層140の形状が互いに異なる、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとを含む複数のキャパシタ100を備えている。これにより、ウェハ状態の半導体基板210の面内の応力の高い部分から切り出されたキャパシタにおいてクラックまたは剥離が生じることを抑制できるため、キャパシタの不良率を低減して、ウェハ状態の半導体基板から製造できるキャパシタの歩留まりを向上することができる。その結果、キャパシタを低コスト化できる。
【0062】
ここで、第2領域の配置または数が異なる、本発明の実施形態1の各変形例に係るキャパシタ集合体について説明する。
【0063】
図13は、本発明の実施形態1の第1変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図13においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0064】
図13に示すように、第1変形例に係るキャパシタにおいては、第2電極層140が、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191と、第1領域191から突出した2つの第2領域192とを有している。第2領域192は、第1電極層120の短辺に沿う方向に突出している。
【0065】
図14は、本発明の実施形態1の第2変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図14においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0066】
図14に示すように、第2変形例に係るキャパシタにおいては、第2電極層140が、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191と、第1領域191から突出した4つの第2領域192とを有している。第2領域192は、第1領域191の2つの長辺から2つずつ突出するように設けられている。
【0067】
また、第1領域191の一方の長辺から突出する2つの第2領域192は、それぞれ、第1領域191を挟んで他の2つの第2領域192と互いに対向するように設けられている。すなわち、本変形例において、第2電極層140は、アルファベットのHのような形状を有している。なお、4つの第2領域192は、第1領域191の長辺に平行な方向において、互いに異なる位置に設けられてもよい。
【0068】
本実施形態においては、第1キャパシタと第2キャパシタとにおいて、第2領域の形状を互いに異ならせたが、第1領域の形状を互いに異ならせるようにしてもよい。
【0069】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係るキャパシタ集合体について説明する。本発明の実施形態2に係るキャパシタ集合体において、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、第1電極層120の形状が互いに異なる点で、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体500と異なる。よって、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体500と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0070】
図15は、本発明の実施形態2に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図15においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0071】
図15に示すように、本発明の実施形態2に係るキャパシタにおいては、第1電極層120が、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191aと、第1領域191
aから突出した1つの第2領域192aとを有している。本実施形態における第1領域191aおよび第2領域192aの各々の形状は、実施形態1における第1領域191および第2領域192の各々の形状と同様に設定することができる。
【0072】
また、外部電極160側から見て、第2電極層140が第1電極層120の内側に位置していることにより、外部電極160と、第1電極層120との間で発生する寄生容量を低減させることができる。
【0073】
本実施形態においては、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、第1電極層120の形状が互いに異なっていることにより、複数のキャパシタ100の各々を構成する各層のうち、第1電極層120の応力を選択的に緩和することができる。そのため、より効果的に同一のウェハ状態の半導体基板から製造されるキャパシタの歩留まりを高めることができ、キャパシタ集合体を構成するキャパシタを低コスト化することができる。
【0074】
本実施形態においては、第1電極層120における1つの第1領域191aに対して、2つ以上の第2領域192aが突出していてもよい。また、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、さらに、第2電極層140の形状も互いに異なっていてもよい。ここで、本発明の実施形態2の各変形例に係るキャパシタ集合体500について説明する。
【0075】
図16は、本発明の実施形態2の第1変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図16においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0076】
図16に示すように、本発明の実施形態2の第1変形例に係るキャパシタにおいては、第1電極層120が、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191aと、第1領域191aから突出した2つの第2領域192aとを有している。第2領域192aは、第1領域191aの2つの長辺のそれぞれの一部から突出するように設けられている。
【0077】
本変形例における第1領域191aおよび第2領域192aの各々の形状は、実施形態1の第1変形例における第1領域191および第2領域192の各々の形状と同様に設定することができる。
【0078】
図17は、本発明の実施形態2の第2変形例に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図17においては、第1電極層120および第2電極層140の各々の形状のみ図示している。
【0079】
図17に示すように、本発明の実施形態2の第2変形例に係るキャパシタにおいては、第2電極層140が、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191と、第1領域191から突出した2つの第2領域192とを有している。第2領域192は、第1領域191の2つの長辺のそれぞれの一部から突出するように設けられている。
【0080】
また、外部電極160側から見て、第2電極層140の第1領域191は、
図17に示すように第1電極層120の第1領域191aに亘って設けられていてもよく、第1電極層120の第1領域191aの内側に位置するように設けられていてもよい。
【0081】
本変形例における第1領域191および第2領域192の各々の形状は、実施形態1の第2変形例における第1領域191および第2領域192の各々の形状と同様に設定することができる。
【0082】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係るキャパシタ集合体について説明する。本発明の実施形態3に係るキャパシタ集合体において、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、外部電極160の形状が互いに異なる点で、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体500と異なる。よって、本発明の実施形態1に係るキャパシタ集合体500と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0083】
図18は、本発明の実施形態3に係るキャパシタ集合体が備えるキャパシタを外部電極側から見た平面図である。
図18においては、キャパシタの内部の構造は図示していない。
【0084】
図18に示すように、本発明の実施形態3に係るキャパシタにおいては、外部電極160の少なくとも1つが、外部電極160側から見て、最大面積を占める矩形形状を有する第1領域191bと、第1領域191bから突出した1つの第2領域192bとを有している。なお、本実施形態においては、すべての外部電極160の各々が、第1領域191bと第2領域192bを有している。
【0085】
本実施形態における第1領域191bおよび第2領域192bの各々の形状は、実施形態1における第1領域191および第2領域192の各々の形状と同様に設定することができる。
【0086】
本実施形態においては、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、外部電極160の形状が互いに異なっていることにより、複数のキャパシタ100の各々を構成する各層のうち、外部電極160の応力を選択的に緩和することができる。そのため、より効果的に同一のウェハ状態の半導体基板から製造されるキャパシタの歩留まりを高めることができ、キャパシタ集合体を構成するキャパシタを低コスト化することができる。
【0087】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。すなわち、キャパシタ集合体500においては、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとが、第1電極層120、第2電極層140および、外部電極160の少なくとも1つにおいて互いに異なる形状を有していればよい。
【0088】
また、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、外部電極160側から見て、第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の少なくとも1つにおいて、互いに異なる面積を有していればよい。
【0089】
また、第1キャパシタ100Fと第2キャパシタ100Sとは、誘電体層130の厚みが互いに異なっていてもよい。積層方向における第1キャパシタ100Fの誘電体層130の厚みが、第2キャパシタ100Sの誘電体層130の厚みより厚い場合、第1キャパシタ100Fの第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の少なくとも1つの面積が、対応する第2キャパシタ100Sの第1電極層120、第2電極層140および外部電極160の少なくとも1つの面積よりも大きくなっていればよい。
【0090】
この場合、第1キャパシタ100Fの第1電極層120の面積が第2キャパシタ100Sの第1電極層120の面積よりも大きくてもよく、第1キャパシタ100Fの第2電極層140の面積が第2キャパシタ100Sの第2電極層140の面積よりも大きくてもよい。
【0091】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
100 キャパシタ、100F 第1キャパシタ、100S 第2キャパシタ、110 半導体基板、111 主面、115 絶縁層、120 第1電極層、130 誘電体層、131 貫通孔、140 第2電極層、150 保護層、160 外部電極、191,191a,191b 第1領域、192,192a,192b 第2領域、210 ウェハ状態の半導体基板、300a テープリール、300b ダイシングテープ、300c チップトレイ、310a,310c ポケット、320b ダイシングリング、500 キャパシタ集合体。