(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】測定器
(51)【国際特許分類】
G01D 5/24 20060101AFI20221012BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20221012BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G01D5/24 S
G01N27/22 B
A61B5/00 N
(21)【出願番号】P 2021524843
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2020021677
(87)【国際公開番号】W WO2020246444
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2019106731
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 純
(72)【発明者】
【氏名】田中 堅志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智紀
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-089869(JP,A)
【文献】特開2001-189420(JP,A)
【文献】特開2002-243689(JP,A)
【文献】特開2005-114357(JP,A)
【文献】特開2006-286772(JP,A)
【文献】中国実用新案第2746498(CN,Y)
【文献】特許第6863053(JP,B2)
【文献】特許第6926657(JP,B2)
【文献】特許第7103504(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D
G01N
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する基板と、前記第1主面に設けられる一対の櫛歯電極と、前記第2主面に設けられるとともに前記一対の櫛歯電極にそれぞれ対応する一対の裏面電極と、を有するセンサ部を備え、
前記一対の櫛歯電極のそれぞれは、複数の歯部と、該歯部同士を接続する接続部とを有し、
前記基板は
、前記櫛歯電極と前記裏面電極とを接続するビアホール導体を有し、
前記ビアホール導体は、前記一対の櫛歯電極の内で前記複数の歯部の並ぶ方向において両端に位置する歯部
に対応する位置には配置されていなく、前記両端に位置する歯部以外の歯部に対応する位置に配置されている、測定器。
【請求項2】
前記ビアホール導体は、
前記複数の歯部の並ぶ方向において、前記ビアホール導体
が接続する歯部
に隣り合う歯部に対応する位置には配置されてなく、且つ、前記接続部に対応する位置には配置されていない、請求項1に記載の測定器。
【請求項3】
前記センサ部は、前記第1主面に、該第1主面よりも突出するとともに前記一対の櫛歯電極の周囲を囲む壁部を更に有する、請求項1または請求項2に記載の測定器。
【請求項4】
前記ビアホール導体は、
前記両端に位置する歯部以外の歯部の先端部に配置される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の測定器。
【請求項5】
前記一対の裏面電極は、点対称形状である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の測定器。
【請求項6】
前記一対の裏面電極は長方形である、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の測定器。
【請求項7】
前記一対の裏面電極はベース部と延出部とを備え、前記ビアホール導体は前記一対の裏面電極の前記延出部に接続されている、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の測定器。
【請求項8】
前記壁部は、前記一対の櫛歯電極と同一の構造である、請求項
3に記載の測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定者が手で保持して対象物を測定する測定器として例えば口腔内水分測定器がある(例えば、特許文献1,2参照)。このような測定器は、プローブ部の先端に静電容量式のセンサ部を有し、対象物となる舌粘膜等の被測定面に対してセンサ部の測定面を押し当て、対象物の水分量を測定する。
【0003】
特許文献2の測定器のセンサ部は、基板の一方の主面上に設けられた櫛歯状の櫛歯電極と、前記基板の他方の主面側に設けられた増幅回路とを有している。そして、センサ部は、基板に形成されたビアホール(コンタクトホール)内に設けられた導電部材を介して櫛歯電極と増幅回路とが電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2004/028359号
【文献】特開2005-287547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような測定器で用いられるセンサ部は、基板の主面に一対の櫛歯電極が設けられ、センサ部の測定面を被測定面に押し当てて測定する際に、センサ部に対して押し当てに伴う外力(負荷)が作用する。これにより、センサ部が損傷する虞がある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、センサ部の損傷を低減できる測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態である測定器は、第1主面及び第2主面を有する基板と、前記第1主面に設けられる一対の櫛歯電極と、前記第2主面に設けられるとともに前記一対の櫛歯電極にそれぞれ対応する一対の裏面電極と、を有するセンサ部を備え、前記一対の櫛歯電極のそれぞれは、複数の歯部と、該歯部同士を接続する接続部とを有し、前記基板は前記一対の櫛歯電極の内で前記複数の歯部の並ぶ方向において両端に位置する歯部と前記一対の櫛歯電極の前記接続部とで囲まれた領域内の歯部に対応する位置にビアホール導体を有し、前記ビアホール導体は前記櫛歯電極と前記裏面電極とを接続する。
【0008】
この構成によれば、異種界面が多く外力による歪みの影響が集中し易いビアホール導体を、一対の櫛歯電極の内で前記複数の歯部の並ぶ方向において両端に位置する歯部と前記一対の櫛歯電極の前記接続部とで囲まれた領域内の歯部に対応する位置に配置することで、ビアホール導体が歯部や接続部に囲まれることとなる。これにより、ビアホール導体の位置を接続部に設定した場合や櫛歯電極の内で前記複数の歯部の並ぶ方向において両端に位置する歯部に設定した場合と比較して、外力を分散させやすいため、櫛歯電極に作用する外力をビアホール導体から緩和することができる。特に比較的内側(中心側)にビアホール導体を配置することで外力に抗する効果を高くできるため、センサ部の損傷を低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の測定器によれば、センサ部の損傷を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図21】第1実施形態の変更例におけるセンサ部の概略平面図。
【
図22】参考例の変更例におけるセンサ部の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0012】
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。また、構成要素の寸法比率は、実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示すように、測定器10は、本体11と、本体11に取り付けられるカバー12とを有する。この測定器10は、測定対象として例えば口腔内の水分量を測定する口腔内水分測定器である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本体11は、本体11の長手方向の一端部領域の把持部21と、本体11の長手方向の他端部領域のプローブ部31とを有している。
【0015】
把持部21は、本体11の長手方向と同方向に長い略直方体状に形成され、上面21a、下面21b、側面21c,21d、端面21e,21fを有している。把持部21の上面21aには、測定結果等を表示する表示部22が設けられている。
【0016】
プローブ部31は、把持部21の一方の端面21eから突出している。本実施形態において、プローブ部31は、ヘッド部32と、ヘッド部32を把持部21に接続するアーム部33とを有する。
【0017】
ヘッド部32は、直方体の板状である。ヘッド部32は、センサ部41と、発振回路部101とを有する。
【0018】
図3~
図5に示すように、センサ部41は、第1主面42a及び第2主面42bを有する略矩形板状の基板42と、基板42の第1主面42aに設けられる櫛歯電極43,44と、基板42の第2主面42bに設けられる裏面電極45,46とを備える。本実施形態ではセンサ部41の基板42に櫛歯電極43,44と、裏面電極45,45とが2つずつ設けられる。すなわち、センサ部41は、一対の櫛歯電極43,44と、一対の裏面電極45,46とを有する。また櫛歯電極43,44と裏面電極45,46は、導電性材料で構成される。
【0019】
図3に示すように、一対の櫛歯電極43,44の内の一方の櫛歯電極43は、接続部51と、複数の歯部52~56とを有して櫛歯状をなすように構成される。
【0020】
櫛歯電極43の接続部51は、一方向に長い帯状である。櫛歯電極43の接続部51は、例えば、複数の歯部52~56の並ぶ方向に延出する。接続部51の長手方向は、例えば、本体11の長手方向と略一致している。
【0021】
櫛歯電極43の複数の歯部52~56は、接続部51から該接続部51の長手方向と直交する方向に延出している。換言すると、歯部52~56は、接続部51により接続されている。歯部52~56は、接続部51の長手方向において隙間を有して設けられる。本実施形態の歯部52~56は、5個設けられる。
【0022】
一対の櫛歯電極43,44の内の他方の櫛歯電極44は、接続部61と、複数の歯部62~67とを有して櫛歯状をなすように構成される。
【0023】
櫛歯電極44の接続部61は、一方向に長い帯状である。櫛歯電極44の接続部61は、例えば、複数の歯部62~67の並ぶ方向に延出する。接続部61は、櫛歯電極43の接続部51と同方向に長い帯状である。すなわち、接続部61の長手方向は、本体11の長手方向と略一致している。
【0024】
櫛歯電極44の複数の歯部62~67は、接続部61から該接続部61の長手方向と直交する方向に延出している。換言すると、歯部62~67は、接続部51により接続されている。歯部62~67は、接続部61の長手方向において隙間を有して設けられる。本実施形態の歯部62~67は、6個設けられる。すなわち、櫛歯電極43の歯部52~56の個数と櫛歯電極44の歯部62~67の個数とは異なっている。
【0025】
以下の説明では、櫛歯電極43の歯部52~56の内、接続部51の長手方向すなわち歯部52~56の並ぶ方向における両端の歯部を櫛歯電極43の外側歯部52,53といい、歯部52~56の並ぶ方向において2つの外側歯部52,53の間に配置される歯部を櫛歯電極43の内側歯部54~56という。同様に櫛歯電極44の歯部62~67の内、接続部61の長手方向すなわち歯部62~67の並ぶ方向における両端の歯部を櫛歯電極44の外側歯部62,63といい、歯部62~67の並ぶ方向において2つの外側歯部62,63の間に配置される歯部を櫛歯電極44の内側歯部64~67という。櫛歯電極43の歯部52~56と櫛歯電極44の歯部62~67との間に所定の離間距離が形成されるように、櫛歯電極43、44は配置される。
【0026】
上記のように構成された一対の櫛歯電極43,44の歯部52~56,62~67は、外側歯部52,53,62,63の内、櫛歯電極43の外側歯部52と櫛歯電極44の外側歯部62とが歯部の延出方向において対向配置される。限定ではないが、外側歯部52の末端と外側歯部62の末端との間の距離(末端間隙間ともいう)は、上記所定の離間距離と同じまたは実質的に同じであってよい。そして一対の櫛歯電極43,44の歯部52~56,62~67は、外側歯部52及び外側歯部62側から、内側歯部64、内側歯部54、内側歯部65、内側歯部55、内側歯部66、内側歯部56、内側歯部67、外側歯部53、外側歯部63の順に並ぶように設けられる。すなわち、内側歯部54~56,64~67及び外側歯部53は、外側歯部52,62と外側歯部63との間に設けられる。
【0027】
図5に示すように、各櫛歯電極43,44は、複数の金属層71,72,73,74を積層して構成される。すなわち、櫛歯電極43,44を構成する接続部51,61及び歯部52~56,62~67はいずれも複数の金属層71,72,73,74を積層して構成される。
【0028】
複数の金属層71,72,73,74の内で最も下層(基板42側)となる第1金属層71は、その略全体が基板42に形成された溝部42cに沿って設けられる。なお、溝部42cは例えば各櫛歯電極43,44の形状に合わせて形成される。第1金属層71は、例えば銀(Ag)で構成される。第2金属層72は、第1金属層71全体を覆うように設けられる。第2金属層72は、例えばニッケル(Ni)膜であって、その厚さは約5.0μmである。第3金属層73は、第2金属層72全体を覆うように設けられる。第3金属層73は、例えばパラジウム(Pd)膜であって、その厚さは約0.15μmである。第4金属層74は、第3金属層73全体を覆うように設けられる。第4金属層74は、例えば金(Au)膜であって、その厚さは約0.07μmである。なお、第1金属層71、第2金属層72、第3金属層73及び第4金属層74の厚さ並びに材質は一例であり、任意に変更可能である。
【0029】
図4に示すように、一対の裏面電極45,46のそれぞれは、ベース部81と、延出部82とを有する。ベース部81は、矩形状をなすように構成される。延出部82は、ベース部81から延出するように構成される。裏面電極45,46は、基板42の第2主面42bの中心点CPを基準とした点対称形状となっている。ベース部81は、櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向の略中心位置に設けられる。延出部82は、櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向と同方向に延出する。
【0030】
図5に示すように裏面電極45,46は、複数の金属層91,92,93,94を積層して構成される。すなわち、裏面電極45,46を構成するベース部81及び延出部82はいずれも複数の金属層91,92,93,94を積層して構成される。
【0031】
複数の金属層91,92,93,94の内で最も下層(基板42側)となる第1金属層91は、その略全体が基板42の第2主面42bに形成された溝部42dに沿って設けられる。なお、溝部42dは、例えば裏面電極45,46の形状に合わせて形成される。
【0032】
第1金属層91は、例えば銀(Ag)で構成される。第2金属層92は、第1金属層91全体を覆うように設けられる。第2金属層92は、例えばニッケル(Ni)膜であって、その厚さは約5.0μmである。第3金属層93は、第2金属層92全体を覆うように設けられる。第3金属層93は、例えばパラジウム(Pd)膜であって、その厚さは約0.15μmである。第4金属層94は、第3金属層93全体を覆うように設けられる。第4金属層94は、例えば金(Au)膜であって、その厚さは約0.07μmである。なお、第1金属層91、第2金属層92、第3金属層93及び第4金属層94の厚さ並びに材質は一例であり、任意に変更可能である。
【0033】
上記のように構成された裏面電極45は、基板42に設けられたビアホールV1に充填されたビアホール導体C1によって櫛歯電極43と電気的に接続される。また、裏面電極46は、基板42に設けられたビアホールV2に充填されたビアホール導体C2によって櫛歯電極44と電気的に接続される。各ビアホール導体C1,C2は、基板42に設けられたビアホールV1,V2にそれぞれ充填された導電部材またはビア充填材と呼称することがある。ビアホール導体C1,C2は、第1金属層71,91と同種の金属で構成される。このため、櫛歯電極43,44及び裏面電極45,46を圧縮して成形することが可能となり、各電極43,44,45,46における無用なポアの発生を抑えることができ、各電極43,44,45,46を密に形成できる。
【0034】
図5に示すように、各ビアホールV1,V2は、基板42の第1主面42aと第2主面42bとを連通する貫通孔である。以下の説明において、ビアホールV1,V2の位置は、ビアホール導体C1,C2の位置と読み替えることができる。
図3に示すように、ビアホールV1,V2は、一対の櫛歯電極43,44の内で歯部52-56、62-67の並ぶ方向において両端に位置する外側歯部52,62,63と接続部51,61とで囲まれた領域Ar1内の歯部53~56,64~67に対応する位置に設けられる。本実施形態では、櫛歯電極43の内側歯部54の先端部54aと、櫛歯電極44の内側歯部67の先端部67aに対応する位置に、ビアホールV1,V2が設けられる。また、ビアホールV1,V2は、前述した裏面電極45,46の延出部82の先端部に対応する位置に設けられる。
図3の例では、ビアホールV1,V2は、一対の櫛歯電極43,44の内で歯部52-56、62-67の並ぶ方向において両端に位置する外側歯部52,62,63と接続部51,61には設けられていない。
【0035】
図5に示すように、センサ部41は、基板42の第1主面42aの櫛歯電極43,44全体を一体的に覆うように保護層75が設けられる。保護層75は、例えばポリイミド層またはポリイミド含有層であって、その厚さは約10μmである。
【0036】
図5に示すように、発振回路部101は、例えば回路基板102上に形成されたCR発振回路である。発振回路部101は、電極103,104を有し、電極103,104と裏面電極45,46とが接触することで電気的に接続されている。発振回路部101は、センサ部41からの電気信号に応じた発振信号を出力する。具体的には、一対の櫛歯電極43,44間の容量値に応じた周波数の発信信号を出力する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、発振回路部101は、制御回路部111に接続されている。制御回路部111は、例えば把持部21内に配置されており、配線112により発振回路部101と接続される。制御回路部111は、CPU等の部材が制御回路基板に搭載された構成である。制御回路部111は、発振回路部101の出力信号のパルス数により、測定対象の水分量を検出する。そして、制御回路部111は、検出した水分量を表示部22に表示する。
【0038】
図1及び
図2に示すように、カバー12は、平袋状のカバー部材121と、そのカバー部材121に取着された支持部材122とを備えている。カバー部材121及び支持部材122は、透明若しくは半透明の樹脂からなる。カバー12は、カバー部材121がプローブ部31の先端のセンサ部41を覆うように取着される。カバー部材121は、プローブ部31の先端、特に測定対象がセンサ部41に直接触れないようにする。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。
【0040】
本実施形態の測定器10では、把持部21を使用者が把持した状態で測定対象である口腔内(例えば舌)に対してセンサ部41を押し当てることで口腔内の水分量が測定される。
【0041】
測定器10のセンサ部41は、基板42における領域Ar1内にビアホールV1,V2が設定され、ビアホールV1,V2内にビアホール導体C1,C2が充填されている。すなわち、基板42の比較的中央寄りにビアホールV1,V2が設定されている。
【0042】
本実施形態の効果を記載する。
【0043】
(1-1)異種界面が多く外力による歪みの影響が集中し易いビアホール導体C1,C2を、一対の櫛歯電極43,44の内で歯部52-56、62-67の並ぶ方向において両端に位置する外側歯部52,62,63と接続部51,61とで囲まれた領域Ar1内の歯部53~56,64~67に対応する位置に配置することで、ビアホール導体C1,C2周囲が少なくとも外側歯部52,62,63や接続部51,61に囲まれることとなる。これにより、ビアホール導体C1,C2の位置を接続部51,61に設定した場合や外側歯部52,62,63に設定した場合と比較して、外力を分散させやすいため、櫛歯電極43,44に作用する外力をビアホール導体C1,C2から緩和することができる。また、ビアホール導体C1,C2を領域Ar1内に配置することで、裏面電極45,46の延出部82の長さを短くすることができ、延出部82の長さによる寄生容量を低減できる。
【0044】
(1-2)一対の裏面電極45,46は点対称形状であるため、櫛歯電極43,44を介して裏面電極45,46に対して作用する外力を均等に分散できる。
【0045】
(1-3)櫛歯電極43,44の第1金属層71が基板42の溝部42c内に埋まっていることで、基板42の第1主面42aから櫛歯電極43,44が露出する部位を薄くできる。これにより、櫛歯電極43,44と基板42の第1主面42aとの間の段差が小さくなっている。これにより、櫛歯電極43,44を覆って保護する保護層75をより均一に形成することができる。また、段差を小さくすることで、測定対象とセンサ部41との間に含まれる空気の含有量を抑えることができ、測定ばらつきを抑えることができる。また、段差を小さくすることで測定対象に当接させる際の刺激を低減できる。
【0046】
また、カバー12によってセンサ部41を覆う本例では、カバー12とセンサ部41との間に空気が含まれることで、カバー12においてシワや捩れが発生してしまい測定ばらつきが生じやすい。しかしながら、本例では前述したように段差を小さくすることでカバー12とセンサ部41との間の空気の含有量を抑えることができ、カバー12におけるシワや捩れの発生を抑えることができるため、測定ばらつきを抑えることができる。
【0047】
また、第1金属層71,91を基板42に埋めることで電極43,44,45,46と基板42の密着強度が高くなり、界面剥離を抑制できるため、裏面電極45,46と発振回路部101を直接接合できる。そのため、配線の省略に伴う、配線の寄生容量のばらつき(製品組み立て時や測定時の配線間距離や配線長さのばらつき)による測定値のばらつきを抑制することができる。さらに、配線の寄生容量がなくなることで、センサ部41の感度も向上する。また、センサ部41と発振回路部101を近くで配置できるため、ヘッド部32の小型化(薄型化)が可能となり、口腔内に導入し易くなる。
【0048】
また、本実施形態では、第1金属層71の全てが基板42の溝部42c内に埋まっているため、前述した効果をより顕著に得ることができる。
【0049】
(1-4)櫛歯電極43,44の第1金属層71の直下にビアホールV1,V2が設定されるため、唾液などの水分がビアホールV1,V2内に浸入することが抑えられるため、ビアホールV1,V2内のビアホール導体C1,C2と基板42との界面などにおいて界面剥離を抑制することができる。
【0050】
(1-5)第1金属層71,91とビアホール導体C1,C2とを同種の金属で構成することで、櫛歯電極43,44及び裏面電極45,46を圧縮して成形することが可能となり、各電極43,44,45,46における無用なポアの発生を抑えることができ、密に形成できる。これにより、第1金属層71,91とビアホール導体C1,C2との間の界面に水分が浸入することを抑制できる。また、ビアホール導体C1,C2によってビアホールV1,V2が満たされることでビアホールV1,V2内に水分が浸入することを抑えることができる。ビアホールV1,V2内への水分の浸入を抑えることで、裏面電極45と裏面電極46との間でのショートの発生や発振回路部101の回路基板102におけるショートの発生、それに伴う口腔水分計としての機能の低下や損失、異常な発熱を低減できる。また、溜まった水分(例えば唾液)による金属の溶出や漏れ出し、唾液の貯留に伴う感染を抑えることができる。
【0051】
(1-6)ビアホールV1,V2は、裏面電極45,46の延出部82の先端部に対応する位置に設けられることで、裏面電極45,46のベース部81が半田された場合に、半田付けされた部分にかかる応力を延出部82を設けることにより、ビアホールV1,V2に伝わりにくくすることができる。
【0052】
(参考例)
次に、参考例を説明する。なお、参考例において、第1実施形態と同様の部材については第1実施形態と同じ符号を用い、その説明の一部又は全てを割愛する。
【0053】
図7及び
図8に示すように、本参考例の測定器10は、第1実施形態同様に、センサ部131と発振回路部101とを有する。
【0054】
センサ部131は、基板42の第1主面42aに設けられる一対の櫛歯電極43,44と、基板42の第2主面42bに設けられる裏面電極45,46とを有する。
【0055】
センサ部131は、基板42の第1主面42aにおいて一対の櫛歯電極43,44の周囲を囲む壁部132を有する。壁部132は、櫛歯電極43,44と同様に、複数の金属層133,134,135,136を積層して構成される。すなわち、壁部132は、一対の櫛歯電極43,44と同一の構造である。
【0056】
複数の金属層133,134,135,136の内で最も下層(基板42側)となる第1金属層133は、その略全体が基板42に形成された溝部42eに沿って設けられる。なお、溝部42eは例えば壁部132の形状に合わせて四角枠状に形成される。第1金属層133は、例えば銀(Ag)で構成される。第2金属層134は、第1金属層133全体を覆うように設けられる。第2金属層134は、例えばニッケル(Ni)膜であって、その厚さは約5.0μmである。第3金属層135は、第2金属層134全体を覆うように設けられる。第3金属層135は、例えばパラジウム(Pd)膜であって、その厚さは約0.15μmである。第4金属層136は、第3金属層135全体を覆うように設けられる。第4金属層136は、例えば金(Au)膜であって、その厚さは約0.07μmである。なお、第1金属層133、第2金属層134、第3金属層135及び第4金属層136の厚さ並びに材質は一例であり、任意に変更可能である。
【0057】
壁部132は、第1主面42aからの突出長さが櫛歯電極43,44の第1主面42aからの突出長さ略等しくなっている。
【0058】
図7に示すように、各ビアホールV1,V2は、基板42の第1主面42aと第2主面42bとを連通する貫通孔である。ビアホールV1,V2は、壁部132に囲まれた領域Ar2内の歯部52~56,62~67に対応する位置に設けられる。本参考例では、第1実施形態と同様に、櫛歯電極43の内側歯部54の先端部54aと、櫛歯電極44の内側歯部67の先端部67aに対応する位置に、ビアホールV1,V2が設けられる。また、ビアホールV1,V2は、前述した裏面電極45,46の延出部82の先端部に対応する位置に設けられる。
【0059】
図8に示すように、センサ部131は、基板42の第1主面42aの櫛歯電極43,44全体及び壁部132全体を一体的に覆うように保護層137が設けられる。保護層137は、例えばポリイミド層またはポリイミド含有層であって、その厚さは約10μmである。
【0060】
本参考例の作用を説明する。
【0061】
本参考例の測定器10では、把持部21を使用者が把持した状態で測定対象である口腔内(例えば舌)に対してセンサ部131を押し当てることで口腔内の水分量が測定される。
【0062】
測定器10のセンサ部131は、基板42における壁部132で囲まれた領域Ar2内の歯部52~56,62~67に対応する位置にビアホールV1,V2が設定され、ビアホールV1,V2内にビアホール導体C1,C2が充填されている。すなわち、基板42の比較的中央寄りにビアホールV1,V2が設定されている。
【0063】
本参考例の効果を記載する。本参考例では、上記第1実施形態の(1-2)~(1-5)の効果に加えて以下の効果を奏する。
【0064】
(2-1)第1主面42aに設けられた壁部132により、一対の櫛歯電極43,44の周囲が囲まれるため、櫛歯電極43,44に作用する外力を壁部132によって受けることができるため、センサ部131の損傷を低減できる。また、視認しにくい口腔内において、センサ部131の端部から口腔粘膜に押し当ててしまうことが考えられる。このとき、センサ部の131の外側に配置された壁部132によってセンサ部131の強度を高めることができるため、センサ部131の損傷を低減できる。
【0065】
(2-2)壁部132は、一対の櫛歯電極43,44と同一の構造であるため、壁部132を櫛歯電極43,44と同じ方法、同じタイミングで形成することができる。つまり、別途壁部を形成する場合と比較して工程数の増加を抑えることができる。
【0066】
(2-3)壁部132は、第1主面42aからの突出長さが櫛歯電極43,44の第1主面42aからの突出長さ略等しいため、保護層137の表面の段差を壁部132と櫛歯電極43,44とで抑えることができる。
【0067】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態及び参考例は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び参考例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0068】
・上記実施形態及び参考例では、櫛歯電極43の歯部52~56を5個、櫛歯電極44の歯部62~67を6個としたが、これらの数は適宜変更してもよい。例えば、櫛歯電極43の歯部と櫛歯電極44の歯部とを同数個としてもよい。
【0069】
・上記第1実施形態では、櫛歯電極43,44の第1金属層71の表面と基板42の第1主面42aとを略面一としたが、これに限らない。例えば第1金属層71の一部が基板42の第1主面42aよりも突出し、第1金属層71の一部が基板42に埋め込み配置される構成を採用してもよい。また、第1金属層71の全てが第1基板42の第1主面42a上に配置される構成を採用してもよい。
【0070】
・上記第1実施形態では、ベース部81は、基板42の接続部51,61の長手方向の略中心位置に設けたが、これに限らない。
図6に示すように、基板42の接続部51,61の長手方向の略中心位置からずらした位置にベース部81を設けてもよい。このように、ベース部81の位置は適宜変更可能である。
【0071】
・上記参考例では、壁部132と櫛歯電極43,44とを同一構造としたが、壁部132と櫛歯電極43,44とを異なる構造としてもよい。
【0072】
また、壁部132の第1主面42aからの突出長さが櫛歯電極43,44の第1主面42aからの突出長さ略等しい構成としたが、異なっていてもよい。
【0073】
・上記参考例では、第1主面42a側のみに壁部132を備える構成を採用したが、これに限らない。
【0074】
図9に示すように、センサ部141は、第2主面42b側に壁部142を備えてもよい。
図9に示す壁部142は、壁部132と同じ構造である。
【0075】
・上記実施形態及び参考例では特に言及していないが、保護層75,137は、基板42の厚さよりも薄い構成とすることが好ましい。このような構成を採用することで、センサ部41の感度を高めることができる。
【0076】
・上記実施形態及び参考例では、保護層75,137をポリイミドで構成したが、これに限らない。例えば基板42と同じ材料で構成し、保護層75,137の比誘電率を基板42の比誘電率と同等以上で構成してもよい。基板42と同じ材料の一例としては、例えばガラスとセラミックスの混合物が挙げられる。
【0077】
上述したように、保護層はガラスとセラミックスの混合物であるため、櫛歯電極43,44を覆うことで櫛歯電極43,44の酸化を抑制できる。また、保護層と基板42とを同様な材料を用いることで、保護層と基板42とを緊密とすることができ、保護層と基板42との間の界面から水分が浸入することを抑えることができる。
【0078】
・上記実施形態、参考例、並びに各変更例では、発振回路部101とセンサ部41,131,141とを電極の直接接触によって直接接続する構成を採用したが、これに限らない。例えば
図10に示す構成を採用してもよい。
【0079】
図10に示すように、発振回路部101の電極103,104と裏面電極45,46とを配線であり得る導体151,152によって接続するようにしてもよい。なお、
図10に示す構成は、
図9に示す変更例をベースとして示しているが、第1実施形態並びに参考例をベースとしてもよい。
【0080】
・上記実施形態及び参考例では、櫛歯電極43,44を複数の金属層71,72,73,74を積層して構成したが、
図11に示すように単一の金属層(導体層)のみで櫛歯電極43,44を構成してもよい。
【0081】
図11に示すセンサ部161の構成では、櫛歯電極43,44を覆うように基板162を積層している。基板162は、例えば基板42の比誘電率以上の比誘電率を有することが好ましい。
【0082】
図12に示すように、基板162の上方に樹脂部材163を積層する構成を採用してもよい。基板162を樹脂部材163によって覆うことで、剛性を高めることができる。
【0083】
・上記実施形態及び参考例で示したビアホールV1,V2の位置は一例であって、領域Ar1,Ar2内において適宜変更してもよい。上記参考例の変更例としては例えば接続部51,61の直下にビアホールV1,V2を設けてもよい。
【0084】
図13に示すように、接続部51における歯部56との分岐点の直下にビアホールV1を設け、接続部61における歯部65との分岐点の直下にビアホールV2を設けてもよい。
【0085】
図14に示すように、接続部51における外側歯部52との分岐点の直下にビアホールV1を設け、接続部61における外側歯部63との分岐点の直下にビアホールV2を設けてもよい。
【0086】
上述したように、接続部51,61における歯部との分岐点の直下にビアホールV1を設けることで、櫛歯電極43,44に作用する外力によって発生する応力を分岐方向に分散しやすくできる。
【0087】
・上記実施形態及び参考例では、裏面電極45,46を矩形状のベース部81と、ベース部81から延出する延出部82とで構成したが、これに限らない。例えば
図15に示すように、一対の裏面電極181,182は、矩形状としてもよい。すなわち、上記実施形態及び参考例における裏面電極45,46の延出部82を省略した構成としてもよい。なお、裏面電極181,182は、上記実施形態及び参考例の裏面電極45,46のベース部81を中心点CPを中心に90°回転させたものと類似する。このため、裏面電極181,182の直下に位置するビアホールV1,V2についても上記実施形態及び参考例と比較して変更されることとなる。
【0088】
図16に示すように、本例のビアホールV1は、歯部54の長手方向途中位置(例えば長手方向中央位置)に設けられる。本例のビアホールV2は、歯部67の長手方向途中位置(例えば長手方向略中央位置)に設けられる。
【0089】
・上記実施形態及び参考例において、裏面電極45,46は、
図15の裏面電極181,182のように正方形であってよいが、例えば
図17に示す裏面電極191,192のように長方形であってもよい。
図10に示すように、基板42と回路基板102とを接続する導体151、152として配線を用いることができるが、この場合、裏面電極45、46と発振回路部101とを接続する2本の配線(導体151,152)は等距離(すなわち等長)で等角度(例えば対称姿勢)で配索されるのが好ましい。この点において、裏面電極45、46が長方形であると、2つのビアホール導体C1,C2を互いにできるだけ離しながら、裏面電極45、46と発振回路部101とを接続する2本の配線(導体151,152)を、等距離(すなわち等長)で等角度(例えば対称姿勢)に近い形に設置できるようになり、設計自由度の向上において有利である。
【0090】
・上記実施形態及び参考例では、裏面電極45と裏面電極46とを中心点CPを中心とした点対称形状としたが、これに限らない。
【0091】
図17に示すように、基板42の第2主面42bにおいて仮想的に設定された基準線BLを中心とした線対称となるように裏面電極191と裏面電極192とを構成してもよい。ここで、矩形板状の基板42を第2主面42bと直交する方向から平面視した場合であって、対向する一対の辺の中心を通るように基準線BLを設定した場合に、裏面電極191と裏面電極192とが前述したように基準線BLを中心とした線対称となるように構成することで、櫛歯電極43,44を介して裏面電極191,192に対して作用する外力を均等に分散できる。
【0092】
図17及び
図18に示すように、本例においては、裏面電極191の直下に配置されるビアホールV1は、櫛歯電極43の歯部55の先端部55aと対応する位置に設けられる。裏面電極192の直下に配置されるビアホールV2は、櫛歯電極44の歯部67の先端部67aと対応する位置に設けられる。このとき、ビアホールV1,V2は、基準線BLを中心とした線対称となる位置に配置されていなくてもよい。
【0093】
また、
図19に示すように、裏面電極201のベース部201aと裏面電極202のベース部202aとを中心点CPを基準とした点対称形状とし、裏面電極201の延出部201bと裏面電極202の延出部202bとを非点対称形状としてもよい。より具体的には、裏面電極201の延出部201bの延出長さと、裏面電極202の延出部202bの延出長さとを異ならせる。また裏面電極201の延出部201bの延出方向と、裏面電極202の延出部202bの延出方向とを同方向とする。
【0094】
図19及び
図20に示すように、本例においては、裏面電極201の直下に配置されるビアホールV1は、櫛歯電極43の歯部54の先端部54aと対応する位置に設けられる。裏面電極202の直下に配置されるビアホールV2は、櫛歯電極44の歯部64の先端部64aと対応する位置に設けられる。このとき、ビアホールV1,V2は、中心点CPを基準とした点対称となる位置に配置されていなくてもよい。
【0095】
・上記実施形態及び参考例において、外側歯部52の末端と外側歯部62の末端との間の距離(末端間隙間)は適宜変更してよい。例えば、
図14及び
図20に示すように、外側歯部52の末端と外側歯部62の末端との間の距離は、上記実施形態及び参考例のものよりも大きくてよい。
【0096】
・上記実施形態及び参考例では、裏面電極45,46の延出部82の延出方向を櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向に沿った構成としたが、延出部82の延出方向を接続部51,61の長手方向と交差する方向としてもよい。その一例として、延出部82の延出方向を櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向と直交する方向(歯部52~56,62~67の延出方向)に沿った構成を採用することができる。
【0097】
・上記実施形態及び参考例では、本体11の長手方向と櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向とを略一致させる構成としたが、本体11の長手方向と櫛歯電極43,44の接続部51,61の長手方向とを交差する構成としてもよい。
【0098】
・上記実施形態及び参考例では、発振回路部101をプローブ部31のヘッド部32に備える構成としたが、発振回路部101の位置は適宜変更してもよい。すなわちプローブ部31のアーム部33や、把持部21に発振回路部101を設ける構成を採用してもよい。
【0099】
・上記実施形態及び参考例では、発振回路部101と制御回路部111とを別体構成としたが、発振回路部101と制御回路部111とを例えば同一基板上に形成してもよい。
【0100】
・
図21に示すように、上記実施形態のセンサ部41の第1主面42aに、第1主面42aよりも突出するとともに櫛歯電極43,44の周囲を囲む壁部50を設けてもよい。この場合、壁部50によって櫛歯電極43,44の周囲が囲くまれることにより、櫛歯電極43,44に作用する外力を壁部50によって受けることができ、櫛歯電極43,44に作用する外力を低減させることができる。壁部50の頂部のレベル、および/または、第1主面42aからの壁部50の突出高さは、櫛歯電極43,44に作用する外力を低減できるように決めることができる。例えば、壁部50の頂部のレベルは、櫛歯電極43,44の頂部のレベルと一致してよく、第1主面42aからの壁部50の突出高さは、第1主面42aからの櫛歯電極43,44の突出高さと同じであってよい。壁部50は、参考例の壁部132と同じ構造を有してよく、参考例の各種変更例のように変更してもよい。
【0101】
図21に示す変更例において、ビアホール導体C1,C2は、壁部50の内側で、かつ、一対の櫛歯電極43,44の内で歯部52-56、62-67の並ぶ方向において両端に位置する外側歯部52,62,63と接続部51,61とで囲まれた領域Ar1内の歯部53~56,64~67のうちの1つ以上の歯部(例えば54,67)に対応する位置に設けられる。一対の櫛歯電極43,44の内で歯部52-56、62-67の並ぶ方向において両端に位置する外側歯部52,62,63と接続部51,61には、ビアホール導体は設けられていなくてよい。
【0102】
ビアホール導体C1,C2を、領域Ar1内の1つ以上の歯部の先端部(例えば
図3及び
図21の先端部54a,67a、
図18の先端部55a、67a、
図20の先端部54a、64a)に配置すると、ビアホール導体C1,C2間の距離を増加でき、ビアホール導体C1,C2に応力がかかった場合であっても基板42全体にかかる応力を分散させることができる。
【0103】
・基板42の第1主面42aと第2主面42bとに壁部132,142がそれぞれ設けられている構造において(例えば
図9及び
図10)、壁部132,142はいずれも導電性を有してよい。壁部132と壁部142とを電気的に接続するビアホール導体を基板42に設けてもよい。例えば、
図22に示す例では、壁部132,142はいずれも導電性を有しており、壁部132と壁部142とは基板42に設けられたビアホール導体C3によって電気的に接続される。第2主面42bの壁部142は、回路基板102に設けられたグラウンド電極105に導体153によって接続される。センサ部40の壁部132,142とグラウンド電極105との電気的導通によって、センサ部40の外部環境からセンサ部40にかかる静電気を、壁部132,142を通して回路基板102のグラウンド電極105に逃がすことが可能となり、静電気に対するセンサ部40のまたは測定器10の耐性が向上する。それにより、測定器10の信頼性は向上する。
図22の例において、導体153は、例えば配線であってよい。
【0104】
図22に示す例において、導体151、152、153を省略し、第2主面42bの裏面電極45,46及び壁部142は、発振回路部101の電極103,104及びグラウンド電極105にそれぞれ半田を介して接合されてよく、あるいは、発振回路部101の電極103,104及びグラウンド電極105にそれぞれ直接接触されてよい。
【0105】
・上記実施形態及び参考例では、口腔内において水分量を測定する測定器について説明したが、口腔外において水分量を測定するようにしてもよい。また、カバー12も必須ではなく、センサ部41を直接、測定対象物に押し当てて水分量を測定してもよい。
【0106】
・上記実施形態及び参考例は、水分量を測定する測定器としたが、その他を測定する測定器としてもよい。例えば、pH測定器や口腔細菌測定器等の測定器としてもよい。また、血流や血中酸素を測定する測定器としてもよい。また、複数種類の測定値を測定する測定器としてもよい。
【0107】
本開示は以下の構成例を包含する。
【0108】
[構成例1]第1主面及び第2主面を有する基板と、前記第1主面に設けられる一対の櫛歯電極と、前記第2主面に設けられるとともに前記一対の櫛歯電極のそれぞれに対応する一対の裏面電極と、を有するセンサ部を備え、
前記センサ部は、前記第1主面に、該第1主面よりも突出するとともに前記一対の櫛歯電極の周囲を囲む壁部を更に有し、
前記基板は、前記壁部に囲まれた領域内の歯部に対応する位置にビアホールを有し、
前記ビアホール内には前記櫛歯電極と前記裏面電極とを接続する導電部材を有する、測定器。
【0109】
構成例1によれば、第1主面に設けられた壁部により、一対の櫛歯電極の周囲が囲まれるため、櫛歯電極に作用する外力を壁部によって受けることができ、センサ部の損傷を低減できる。
【0110】
[構成例2]前記壁部は、前記一対の櫛歯電極と同一の構造である、構成例1に記載の測定器。
【0111】
[構成例3]前記一対の裏面電極は、点対称形状である、構成例1または2に記載の測定器。
【符号の説明】
【0112】
10…測定器、41,131,141,161…センサ部、42…基板、42a…第1主面、42b…第2主面、43,44…櫛歯電極、45,46…裏面電極、51,61…接続部、52~56,62~67…歯部、50,132,142…壁部、181,182,191,192,201,202…裏面電極、Ar1,Ar2…領域、V1,V2…ビアホール、C1,C2…ビアホール導体。