(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】通路を通る人の動きを監視する光学システム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/15 20200101AFI20221012BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20221012BHJP
G06M 7/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G07C9/15
G01S17/10
G06M7/00 301Q
(21)【出願番号】P 2019556358
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(86)【国際出願番号】 GB2018050999
(87)【国際公開番号】W WO2018193232
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-24
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519366134
【氏名又は名称】インテグレイテッド デザイン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ハフ、デレク
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108908(JP,A)
【文献】特開2010-262527(JP,A)
【文献】特開2007-122508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135438(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0093181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0179127(US,A1)
【文献】国際公開第2007/138025(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
G07B 11/00-17/04
G08B 23/00-31/00
E05B 49/00
G01S 7/48- 7/51,
17/00-17/95
G06M 7/00- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を通る人や物の動きを監視するためのシステムであって、
前記通路を通る人又は物体の移動方向を実質的に横断する方向に向いて配置され、各々が、単一の光ビームを送信し、送信されたビームの経路と交差する人または物体上の照明された領域から反射された信号を受信する2つ以上の飛行時間測距センサと、
前記
飛行時間測距センサから前記通路を通過する人または物体までの距離を示す、感知された各反射信号の飛行時間を測定する手段と、を備え、
前記システムは、
人又は物体が通路を通って移動する速度を決定する手段と、前記2つ以上の
飛行時間測距センサによって測定された飛行時間信号に基づいて、通路を通過する人又は物体の数及び方向を決定する手段と、をさらに有し、
前記
飛行時間測距センサのうちの少なくとも2つは、前記通路の対向する側部に配置され、前記通路を横断する実質的に対向する方向に単一ビームを送信し、前記各
飛行時間測距センサは、時間間隔にわたって一連の一次元距離データ点を測定するように構成され、前記システムは、前記一連の一次元距離データ点における一次元距離データ点を、前記人または物体が前記通路を通って移動する決定された速度と組み合わせて、前記通路を通過する人または物体の、各
飛行時間測距センサに対する二次元断面プロファイルを作成する手段をさらに備える、
システム。
【請求項2】
前記システムは、前記通路内に存在する人物または物体の数を監視するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通路の対向する側に配置された前記
飛行時間測距センサのうちの少なくとも2つは、互いに直接対向して配置される、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
飛行時間測距センサのうちの少なくとも2つは、前記移動方向にずれて配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
人または物が通路を移動する速度を決定する手段は、移動方向にずれて配置された
飛行時間測距センサによって測定されたデータを使用する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記単一のビームは、前記2つ以上の
飛行時間測距センサのそれぞれによって断続的かつ順番に送信および受信されることで、前記2つ以上の
飛行時間測距センサが同時に信号を送信しないように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記
飛行時間測距センサは、30cmより高い位置に配設される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記送信されたビームは、赤外線を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
送信された各ビームはレーザ光の単一ビームである、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビームは、前記通路を通る人または物体の移動方向に垂直な角度で送信される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ビームは、前記通路を横断する水平面に沿って伝達される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記通路を通過することを検出された人物または物体の数および方向に応じて、前記通路を通る人物のアクセスを制御する手段をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記通路を通過することを検出された人物または物体の数および方向に応じて警報を生成する手段をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
通路を通る人や物の動きを監視するための方法であって、
前記通路を通る人または物体の移動方向を実質的に横断する方向に信号を送信するよう構成された2つ以上の飛行時間
測距センサを配置し、前記
飛行時間測距センサのうちの少なくとも2つは、前記通路の反対側に配置され、
一連の時間間隔にわたって、各
飛行時間測距センサに対する信号の経路と交差する人または物体の横方向距離を測定し、
処理手段により、人または物体が通路を移動する速度を決定し、
前記処理手段により、各
飛行時間測距センサから取得された一連の一次元距離データ点を、人または物体が通路を通って移動する決定された速度と組み合わせて、各
飛行時間測距センサに対して通路を通って移動する人または物体の二次元断面プロファイルを作成し、
前記処理手段により、各
飛行時間測距センサから得られたデータから作成された2次元断面プロファイルに基づいて、通路を移動する人の数および方向を決定する
方法。
【請求項15】
前記通路を通る人または物体の移動速度は、
前記処理手段により、前記通路を通る人または物体の移動方向にずれて配置された2つ以上の
飛行時間測距センサによって測定されたデータを使用して決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理手段により、前記通路を通過することが検出された人の数および方向に応じて、前記通路を通る人のアクセスを
、アクセス制御手段を介して制御するステップをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記処理手段により、前記通路を通過することを検出された人物または物体の数および方向に応じて警報を生成するステップをさらに含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路を通る人々の動きの監視に関する。これらに限られるものではないが、本発明は、特に、通路を通る多数の人物を検出し、通過する人物によって運ばれるバッグやスーツケースのような他の物体によって引き起こされ得る誤警報または誤計数を回避するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターンスタイルのような入口制御ポータルには、通路またはチャネルを通る人の動きを監視し、かつ、許可または防止する手段が一般的に設けられている。このような手段は、物理的なバリア、移動パネル、ドア、アームなど、および通路が許可されているかどうかを示すためのインジケータによって提供されてもよい。
【0003】
そのようなポータルの典型的な使用としては、人が、アクセス制御システムによって検証されるトークンまたは他の何らかの許可手段を提示し、次に、許可信号をポータルに提供して、物理的バリアをロック解除および/または移動させ、かつ、例えば、視覚または音声信号によって許可の指示を与える場合である。
その後、人がポータルを通過すると、ポータルは再び閉じて再びロックされ、インジケータは元の状態に戻る。
【0004】
このようなポータルは、安全と安全のためにポータルを通る人の動きを感知し、通路を通る人の数と、入口の再閉鎖と再ロックのタイミングとを数えるために、通路を監視する手段を一般に備えている。
【0005】
このように制御されたアクセスポータルの使用において遭遇する一般的な問題は、特に一度に一人のみの人の通路を可能にすることが望ましいものについては、1つのトークンまたは認可のみを使用して入力を得ようとする2人(またはそれ以上)の人を検出した場合に起こる。この問題は、1人の人が別の人のすぐ後ろを歩く場合(これは「テールゲーティング」と呼ばれる)や、より広い通路では、並んで歩く2人(またはそれ以上)の人を検出した場合(「サイドゲーティング」と呼ばれることもある)において起こる。このように、監視手段は、例えば、複数の人が通路を同時に通過しようとしているかどうかを検出するために、一人の人と二人(またはそれ以上)の人とを区別することができることが望ましい。
【0006】
さらに、例えば、バッグ、ブリーフケース、スーツケース、またはトロリー等の運搬物体を識別して、複数の人物の誤検出を回避することも望ましい。
【0007】
特に典型的には、このような監視手段のための検出器として、赤外線ビームを使用することができる。いくつかの公知のシステムは、通路を通る人間および物体の存在および/または動きを監視する飛行時間カメラを含む。このような飛行時間カメラは、2次元視野内の物体によって反射される視野にわたって照光することによって動作する。距離情報は、反射信号の飛行時間に基づいて画像の各点について解像され、照光されたシーンの3次元画像を提供することができる。
【0008】
通路を通る人の動きを監視するための飛行時間カメラを備えるシステムは、通路内の人のそのような3次元画像の再構成と、再構成された画像に処理を適用することで人の存在を確認することに基づいている。このプロセスは、信頼性のある情報を提供することができる画像を捕捉するためにカメラが十分な視野を有することを必要とする。狭い通路にわたって配置されたカメラの視野は、カメラの近くを通過する人または物体によって、少なくとも部分的におよび/または一時的に、厳しく制限され、あるいは隠され、したがって、通路を通る人の動きを監視するための方法の信頼性が制限される。また、物理的、美的な観点から、より有益な位置にカメラを配置することは必ずしも可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、通路を通る人間の動きを監視し、「テールゲート」を検出するための改良された方法を提供し、また、存在する他の物体によって引き起こされる可能性のある誤警報の回避を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、第1の態様において、通路を通る人又は物体の移動方向を実質的に横断する方向に向いて配置された1つ又は複数の飛行時間センサを含む通路を通る人又は物体の移動を監視するシステムが提供される。
【0011】
飛行時間測距センサは、典型的には赤外スペクトルの光の送信器と、送信された光によって照らされた物体によって反射されたこの光を検出し、光が物体まで移動し、センサに戻るのに要した時間を測定し、それによって物体の距離の指標を与えることができる受信器とを含む。
【0012】
各センサは、単一の光ビームを送信し、送信されたビームの経路と交差する人または物体上の照明領域から反射される信号を受信するように構成されてもよい。そのようなセンサは、ビームが人または物体に移動するのに要した時間を測定し、反射信号がセンサに戻るのに要した時間を測定するように構成される。したがって、感知された各反射信号の飛行時間は、センサから通路を通過する人または物体までの距離を示す。
【0013】
システムは、1つ以上のセンサによって測定された信号の飛行時間に基づいて、通路を通過する人物または物体に関するデータを決定する手段をさらに備えることができる。前記手段は、前記通路を通過する人または物体の数および方向を決定するように構成されてもよい。本発明は、通路を通る人の動きを監視するための低コストのシステムであって、例えば、人と、バッグ、スーツケース、及びトロリーのような搬送物体を高い信頼性で識別することができ、従来の技術と比較して比較的少ない処理能力を必要とする、システムを提供する。このシステムは、通路を通過する人の数を計数するために例えば足場を監視すること、特にドア、ゲート、ターンスタイルのような通路内のアクセス制御手段の動作を制御すること、及びテールゲート及びサイドゲートを含む許可されていない個人の存在を検出すること等を実施することができる。
【0014】
このシステムは、人間または物体が通路を移動する速度を決定する手段を備えることができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの飛行時間センサが設けられており、これらのセンサは、通路を横断する実質的に反対方向に信号を送信するために通路において互いに対向する側に配置されている。1つのセンサの送信機によって送信されたビームが、対向するセンサの受信機によって受信され、誤った測定を引き起こす可能性がある。したがって、飛行時間システムは、一般に、一般に対向するビームが送信される状況では使用されない。これを防止するために、本発明の実施形態によれば、時分割多重化を使用して、対向する信号が送受信される。
【0016】
好ましい実施形態では、各センサは、時間間隔にわたって一連の一次元距離データポイントを測定するように構成される。各々の一連の一次元距離データポイントは、人または物体が通路を通って移動する決定された速度と組み合わせて、各センサに対して通路を通過する人または物体の二次元断面プロファイルを作成することができる。このようにして、システムは、通路のみを通過する1人のプロファイルと、1列または並列に近接して通過する2人以上の人のプロファイルとを区別することができる。さらに、このシステムは、例えば、通路を通過する人の誤検出を回避するために、人と、バッグ、スーツケースまたはトロリーのような搬送物とを区別することができる。
【0017】
システムは、通路内に存在する人の数を監視するように構成されてもよい。
【0018】
一実施形態では、通路の反対側に配置されたセンサは、互いに直接反対側に配置され、移動方向および速度は、他の手段によって決定される。
【0019】
別の実施形態では、センサのうちの少なくとも2つは、移動方向に沿ってずれて配置される。すなわち、1つのセンサは、別のセンサよりも移動方向にさらに前方にあってもよい。このシステムは、移動方向に沿ってずれて配置されたセンサによって測定されたデータに基づいて、人または物体が通路を移動する速度を決定する手段をさらに備えることができる。
【0020】
好適な実施形態では、センサのうちの1つ以上は、通路を通過する成人の腰および胴体下部領域を監視するのに適した高さに配置される。センサの高さは、地上から30cmよりも高いことが好ましい。したがって、監視は足と下肢の高さより上で行われ、そこでは、車輪付きバッグ、トロリー、車椅子の車輪のような地面に近接して移動する物品が、通路を移動する人の確実な検出を制限する可能性がある。1つ以上のセンサの高さは、より好ましくは地上85cmである。
【0021】
好ましい実施形態では、送信ビームは赤外線を含む。さらなる好ましい実施形態では、各送信ビームは、レーザ光の単一ビームである。
【0022】
一実施形態では、信号は、通路を通る人または物体の移動方向に垂直な角度で送信される。さらなる実施形態では、信号は、通路を横断する水平面に沿って送信される。
【0023】
システムは、通路を通過することが検出された人の数および/または方向に応じて、通路の構成要素の動作を制御するための手段をさらに含んでもよい。例えば、一実施形態では、システムは、通路を通過することが検出された人の数および方向に応じて、通路を通る人のアクセスを制御する手段を含んでもよい。通路を通る人のアクセスを制御する手段は、例えば、ドア、ゲートまたはターンスタイル、または通路を通る人の通過を制限する任意の他の手段であってもよい。システムは、通路を通る一度に一人の人のみのアクセスを可能にするように構成されてもよい。このような場合、システムは、複数の人が通路を通過することを検出した場合に、通路を通る人のアクセスを防止するように構成される。別の実施形態では、システムは、通路を通過して検出された人の数および方向に応じて警報を生成する手段を備える。警報は、音声信号または視覚信号とすることができる。警報は、例えば、複数の人が通路を通過していることを検出した場合、または人が許可されていない方向に通路を移動していることを検出した場合に発生させることができる。
【0024】
本発明のさらなる態様では、通路を通る人間または物体の動きを監視するための方法が提供される。当該方法は、通路を通る人又は物体の移動方向を実質的に横断する信号を送信するための1つ又は複数の飛行時間センサの位置決めを行うステップと;前記1つまたは複数のセンサのそれぞれに対する前記信号の経路と交差する人または物体の横方向距離を測定するステップと、1つまたは複数のセンサによって測定されたデータに基づいて、通路を移動する人の数および方向を決定するステップと、を含む。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、通路を通る人間または物体の動きを監視するための方法が提供される。当該方法は、前記通路を通る人または物体の移動方向を実質的に横断する信号を送信するための2つ以上の飛行時間センサの位置決めを行うステップであって、前記センサのうちの少なくとも2つは、前記通路の反対側に配置され、一連の時間間隔にわたって、各センサに対する信号の経路と交差する人または物体の横方向距離を測定するステップと、人または物体が通路を移動する速度を測定するステップと、各センサから取得された一連の一次元距離データ点を、人または物体が通路を通って移動する決定された速度と組み合わせて、各センサに対して通路を通って移動する人または物体の二次元断面プロファイルを作成するステップと、各センサから得られたデータから作成された2次元断面プロファイルに基づいて、通路を移動する人の数および方向を決定するステップと、を含む。
【0026】
本方法は、通路を通過することが検出された人の数および方向に応じて、通路を通る人のアクセスを制御するステップをさらに含んでもよい。別の実施形態では、本方法は、通路を通過することが検出された人物または物体の数および方向に応じて警報を生成するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1a】本発明の一実施形態による、通路を通る人の移動を監視するシステムの平面図である。
【
図1b】本発明の一実施形態による、通路を通る人の移動を監視するシステムの斜視図である。
【
図1c】本発明の一実施形態による、狭い出入口を通る人の移動を監視するシステムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるシステムによって監視される通路を通過する人物を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるシステムによって監視される通路を通過する近接した2人の人物を示す図である。
【
図4】バッグを運ぶ人が本発明の一実施形態によるシステムによって監視される通路を通過する状態を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による通路を通る人の移動を監視するシステムであって、警報器および通路を通る人のアクセスを制御する手段を備えるシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aは、本発明の一実施形態による、通路を通る人の移動を監視するためのシステムが取り付けられた2つの側方境界2a、2bを有する通路1の概略図を平面図で示す。このシステムは、通路Tを通る人又は物体の移動方向を実質的に横断する方向に信号ビーム4a、4bを送信するように配置された2つの飛行時間センサ3a、3bを備えており、
図1aに示す実施形態では、2つのセンサ3a、3bは、通路1の対向する横方向境界2a、2b上に配置され、信号ビーム4a、4bが通路1を横断して互いに反対方向に送信されるように配置されている。典型的な飛行時間センサは、単一のレーザ光ビームを発生するSTMicroelectronics (RTM)製のVL53L0X飛行時間測距センサである。
【0029】
センサが通路を横断して反対方向に配備される場合、1つのセンサによって送信された信号が他のセンサによって受信されることで、各センサによって行われる飛行時間測定が妨害される可能性がある。これを回避するために、システムの各センサは、時分割多重化を使用してビームを送受信するように構成されることが好ましい。それによって、センサは、2つ以上のセンサが信号を同時に送信するのではなく、対向する信号ビームの干渉を回避するように断続的かつ順番にビームを送信するように構成される。
【0030】
図1bは、斜視図における通路1の概略図を示す。
図1bの実施形態では、センサ3a、3bは、地面上の等しい高さで対向する側方境界2a、2b上に配置され、移動方向Tにずれて配置される。いくつかの実施形態では、センサは、地面上の2つのセンサの高さが等しくならないように、垂直方向にずれて配置されてもよい。さらなる実施形態では、センサ3a、3bは、互いに直接対向して配置される。また、センサは、垂直方向および水平方向の両方に対してずらして配置してもよい。
【0031】
信号ビーム4a、4bのうちの1つまたは複数と交差する人または物体は、信号を送信元センサに反射して戻す。各センサは、信号が人または物体に移動し、センサに戻るのに要した時間を測定するように構成される。したがって、感知された各反射信号の飛行時間は、センサから通路を通過する人または物体までの距離を示す。これにより、このシステムは、通路幅にわたって準リアルタイムの距離測定を提供する。システムは、センサの各々に接続され、センサの各々によって測定された1次元距離データ点を受け取り、データを分析して通路を通過する人または物体に関する情報を決定するように構成された処理手段9をさらに備える。好ましい実施形態では、処理手段は、通路を通過する人の数および方向を準リアルタイムで決定するように構成される。
【0032】
好ましくは、センサ3a、3bは、通路を通過する成人の腰及び胴体下部領域を監視するのに適した高さに配置される。好ましい実施形態では、センサは、地上から30cmよりも高い高さで配置される。より好ましくは、センサは、地上レベルから60cm以上120cm以下の高さに配置される。最も好ましくは、センサは、地上から85cmの高さで配置され、これは、典型的な腰の高さと考えることができる。しかしながら、センサを、通路を通過する人を監視するのに適した任意の高さに配置することができることは当業者には理解されるであろう。いくつかの実施形態では、複数のセンサが、通路にわたって複数の異なる高さに配置されることで、検出および識別をさらに改善することが望ましい場合がある。
【0033】
本発明によって監視されるような通路では、通路のフットプリントを、通路を通って移動する人の移動方向における通路の寸法として定義することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、センサは、人の典型的な厚さよりも短い距離だけ移動方向にずれて配置され、2つ以上のビームが、いくつかの点で、通路を通過する人と同時に交差することが望ましい場合がある。この実施形態は、出入口などの小さな設置面積の通路において特に重要である。
図1cは、2つのセンサ3a、3bが概ね反対方向に配置される出入口の斜視図における概略図を示す。人が通路を移動すると、ビーム4aと交差しなくなる前にビーム4bと交差する。言い換えれば、ビーム4aおよび4bの両方は、通路を移動する人とある点で同時に交差する。したがって、少なくとも1つのビームと交差することなく、人間がビーム間に位置することは不可能である。通路が大きなフットプリントを有する他の実施形態では、通路を移動する人が、隣接するセンサのビームと交差する前に、1つのセンサによって伝達されるビームを完全に通過するように、センサがより大きな距離だけずれて配置されることが望ましい場合がある。
【0035】
好ましくは、システムは、人または物体が通路を通過する速度を決定する手段を含む。2つ以上のセンサが移動方向Tにずれて配置される本発明の実施形態では、人または物体が通路を通過する速度は、2つ以上のセンサからのデータの相関によって決定することができる。しかしながら、人間または物体が通路を通過する速度を決定するための任意の代替手段が使用可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0036】
図2~
図4は、このシステムが通路を通る人の動きを監視するためにどのように使用され得るかを示す。
図2aおよび2bは、通路を通る1人の人10の動きを監視するシステムを示す。
図2aは、
図1aおよび
図1bに関連して説明したように、通路1を移動する人10を示す。
図2bは、時間間隔にわたってセンサ3aおよび3bによって測定されたデータに基づいて作成された、センサ3aおよび3bに各々対応する2次元断面プロファイル5aおよび5bのグラフ表示を示す。人10が通路1を移動方向Tに移動すると、人10はまずビーム4aと交差し、信号を反射してセンサ3aに戻し、センサ3aはビームが交差したセンサからの距離を測定する。人10が通路1を通って移動し続けると、センサ3aによって時間間隔にわたってさらなる距離測定が行われる。測定される距離は、ビームが交差し、信号が反射される人10の断面プロフィールにわたって存在する照明領域に依存する。処理手段は、時間間隔にわたってセンサ3aによって測定された距離データ点を、人または物体が通路を通過する決定された速度と組み合わせて、
図2bにグラフで示される、人10の2次元断面プロファイル5aを作成することができる。したがって、通路を通過する人または物体の断面形状は、準リアルタイムで決定される。
【0037】
人10が通路1を通って移動し続けると、ビーム4bが交差し、一次元距離データ点が処理手段によって分析され、
図2bに図示されるように、二次元断面プロファイル5bを作成する。
図2aおよび2bに示される実施形態では、センサ3aおよび3bは、通路の対向する側方境界に位置し、したがって、プロファイル5aおよび5bは、人10の反対側に対応する。いくつかの実施形態では、2つ以上のセンサが通路の同じ横方向境界に配置されてもよく、その場合、作成される輪郭は人10の同じ側に対応する。
【0038】
図3aは、人10と人11の両方が通路1を互いに近接して移動方向Tに移動させるシナリオを示している。
図3bは、センサ3aおよび3bによって時間間隔にわたって測定され、処理手段によって分析されて、それぞれセンサ3aおよび3bに対する2次元断面プロファイル15aおよび15bを作成したデータのグラフ表示を示す。
図3bに示されるように、プロファイル15aおよび15bは、通路を通って移動する人10および人11の両方の表示を提供し、それによって、システムは、2人が通路を通って移動していることを検出することができる。さらに、システムは、このシナリオを、1人の人10のみが通路を移動しているプロファイル5aおよび5bのシナリオと区別することができる。
【0039】
図4aは、人10がバッグ12を運びつつ通路1を移動するシナリオを示す。
図4bは、センサ3aおよび3bによって時間間隔にわたって測定され、処理手段によって分析されて、それぞれセンサ3aおよび3bに対する2次元断面プロファイル25aおよび25bを作成したデータのグラフ表示を示す。
図4bに示されるように、プロファイル25aおよび25bは、プロファイル5a、5bおよび15a、15bとは異なる。したがって、システムは、このシナリオを、
図2bおよび
図3bの両方のシナリオと区別することができる。このようにして、システムは、近接して通路を通過する2人と、搬送物とともに通過する1人とを区別することができる。
【0040】
図2~
図4に関連して説明したように、二次元断面プロファイルを作成することにより、搬送物体から生じる誤検出を避けながら、通路を通過する人の数を正確に決定することができる。
【0041】
図2~
図4に示す実施形態では、センサは、移動方向Tにずれて配置され、したがって、通路を移動する人または物体の速度は、移動方向にずれて配置されたセンサから受け取ったデータから求めることができる。したがって、移動方向における人または物体の寸法も決定することができる。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、通路の対向する側方境界上に配置された2つ以上のセンサは、通路を横に並んで通過する2人の人を検出する手段を提供する。通路は、そのような通過を可能にするのに十分に広い。例えば、2つの直接対向するセンサによって行われた距離測定に基づいて、総障害物幅を測定し、総障害物幅が、1人の人の平均幅よりも大きいかどうかを判断することが可能である。しかし、通路内の人と物とを区別するためには、さらなる処理手段が必要である。したがって、本発明によれば、人または物体が通路を通って移動する速度を決定し、この情報を時間間隔にわたって各センサによって測定される一連の一次元距離データ点と組み合わせて、各センサに対して通路を通過する人または物体の二次元断面プロファイルを作成する手段を備える。これにより、広いアクセス通路での応用に適したシステムが提供される。上述のように、これは、通路内に存在する搬送物から生じる誤検出を回避しつつ、通路内の人物の確実な検出を提供する。これにより、このシステムは、総障害物幅を単純に測定する方法と比較して大幅に改善された結果をもたらす。
【0043】
図5は、本発明によるシステムを示しており、通路には、認可ユニット6、警報7、および通路8a、8bを通る人のアクセスを制御する手段が設けられている。警報7は、音声信号又は視覚信号、又は通路のオペレータの注意を引くための任意の他の手段とすることができる。アクセス制御手段8a、8bは、ゲート、ターンスタイル、バリア、回転ドア、または通路を通る人のアクセスを制御するための任意の他のそのような手段であってもよい。処理手段は、センサ信号の解析から出力される情報に応じて、警報7およびアクセス制御手段8a、8bのいずれかまたは両方に制御命令を発行するように構成されてもよい。例えば、許可ユニット6は、1人が通路を通過することを許可するためにトークンを受け入れるように構成されてもよい。このトークンは、物理的または電子的チケット、アクセスカード、非接触の支払いカード、コイン、または人のアクセスを許可するために使用され得る他のそのような手段であってもよい。バイオメトリック・リーダを代わりに、または追加的に使用することができる。次いで、システムは、通路1を監視して、通路を通過する人の数及び方向を決定することができる。
一実施形態では、警報7は、処理手段が通路を通過する複数の人を検出した場合に作動させることができる。別の実施形態では、アクセス制御手段8a、8bは、複数の人が通路を通過することを検出した場合に、アクセスを拒否するように構成されてもよい。さらなる実施形態では、システムは、通路を通る人の動きを監視し、処理手段が、さらなる人が通路を通らないと判断したときにのみ、アクセス制御手段に閉じるように指示を出すように構成されてもよい。当業者であれば、このシステムは、任意の数の人へのアクセスを許可し、この数の人が通路を通過した場合に警報および/またはアクセス制御手段に指示を出すように構成されてもよいことが理解されよう。
【0044】
本明細書の図および説明は、通路を通る人の動きを監視するために2つのセンサが配備される本発明の実施形態に関する。代替の実施形態では、通路を通る人または物体の移動方向を実質的に横断する方向に任意の数のセンサを配置することができ、複数のセンサから取得された距離データを組み合わせて通路を通る人の移動を監視することができる。