(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
H01G4/30 201F
(21)【出願番号】P 2018110824
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0116548
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ス ボン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒー スー
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ミン キ
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-022544(JP,U)
【文献】実開昭55-162937(JP,U)
【文献】特開2010-045372(JP,A)
【文献】特開2009-111281(JP,A)
【文献】特開2017-108057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0362492(US,A1)
【文献】特開2016-054323(JP,A)
【文献】特開2008-187036(JP,A)
【文献】特開平04-045510(JP,A)
【文献】特開平09-180958(JP,A)
【文献】特開2014-199912(JP,A)
【文献】特開2006-190774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の一面に配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は、第1メイン部、及び前記第1メイン部と前記第1外部電極とを連結する第1リード部を含み、
前記第2内部電極は、第2メイン部、及び前記第2メイン部と前記第2外部電極とを連結する第2リード部を含み、
前記第2メイン部は、前記第1メイン部よりもサイズが大きく、前記第1リード部と前記第2メイン部とが重なる面積によって形成される容量を相殺するためのスペース部を有
し、
前記スペース部は前記第2メイン部の端に形成されている、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2リード部はそれぞれ、前記第1及び第2メイン部の一側下部に形成される、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1及び第2リード部はそれぞれ、前記第1及び第2メイン部の一部側面に形成される、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記スペース部は、前記第1リード部の対角線方向の端に形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の一面に配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は、第1メイン部、及び前記第1メイン部と前記第1外部電極とを連結する第1リード部を含み、
前記第2内部電極は、第2メイン部、及び前記第2メイン部と前記第2外部電極とを連結する第2リード部を含み、
前記第2メイン部は、前記第1メイン部よりもサイズが大きく、前記第1リード部と前記第2メイン部とが重なる面積によって形成される容量を相殺するためのスペース部を有し、
前記スペース部は、前記第1リード部の対角線方向の端に形成される、積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第2メイン部は、前記第1メイン部よりもX%大きく形成され、前記スペース部は、前記第1リード部と前記第2メイン部とが重なる面積よりもX%大きく形成され、前記Xは2~10である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1内部電極は、前記第1リード部と、前記第1外部電極と連結される第1延長部と、をさらに含み、
前記第2内部電極は、前記第2リード部と、前記第2外部電極と連結される第2延長部と、をさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1及び第2延長部はL字形状である、請求項
7に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第1内部電極と同一平面に形成され、前記第2延長部と重なる位置に形成される第1ダミー部と、前記第2内部電極と同一平面に形成され、前記第1延長部と重なる位置に形成される第2ダミー部と、をさらに含む、請求項
7または
8に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1ダミー部は、前記第2延長部と同一の形状を有し、前記第2ダミー部は、前記第1延長部と同一の形状を有する、請求項
9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1外部電極及び第2外部電極はメッキ層を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1及び第2外部電極はL字形状である、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信機器及び電子機器の小型化に伴い、これらに適用される電子部品の軽量化、集積化、薄型化が急速に進んでいる。また、移動通信機器及び電子機器に適用される受動素子は、能動素子よりもさらに多く、いくつかの受動素子の中でも特にキャパシタが多くの注目を浴びている。その理由は、キャパシタが他の受動素子に比べて回路上において圧倒的に多く求められるものであり、マイクロエレクトロニクスの発展に伴い、大きい静電容量及び短い連結長さを有するデカップリングキャパシタに対するニーズも増え、電気回路においてその重要性が増加しているためである。
【0003】
一方、移動通信機器に適用される周波数帯域(Band)が増加している。また、高周波に適用されるキャパシタの場合、容量ばらつきが小さい狭偏差製品が市場の70%以上を占め、その傾向は増加し続けている実情である。容量ばらつきが小さいキャパシタを実現するためには、静電容量値に影響する支配的な要素因子のうちの一つである内部電極の有効面積を制御することが重要である。
【0004】
下記特許文献1には、内部電極の形状を制御して内部電極の有効面積を制御した積層セラミックキャパシタが開示されているが、周波数帯域が次第に増加するにつれて、さらに容量ばらつきが小さい積層セラミックキャパシタの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的のうちの一つは、容量ばらつきを最小限に抑えることができる内部電極の構造を有する積層セラミックキャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一例を通じて新規な構造の積層セラミックキャパシタを提案する。具体的には、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体と、上記本体の一面に配置され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極は、第1メイン部、及び上記第1メイン部と上記第1外部電極とを連結する第1リード部を含み、上記第2内部電極は、第2メイン部、及び上記第2メイン部と上記第2外部電極とを連結する第2リード部を含み、上記第2メイン部は、上記第1メイン部よりもサイズが大きく、上記第1リード部と上記第2メイン部とが重なる面積によって形成される容量を相殺するためのスペース部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、内部電極の形状を制御することにより積層精度に加わる影響を減らして、内部電極の積層時の有効面積のばらつきを最小限に抑えることで容量ばらつきを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1の本体内部を透視して示したものである。
【
図3】
図2のI-I'による断面図を概略的に示したものである。
【
図4】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものである。
【
図5】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものである。
【
図6】積層時の
図4及び
図5のセラミックグリーンシートがずれることなく整列された場合を示したものである。
【
図7】積層時の
図4及び
図5のセラミックグリーンシートがずれて整列された場合を示したものである。
【
図8】本発明の他の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものである。
【
図9】本発明の他の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものである。
【
図10】積層時の
図8及び
図9のセラミックグリーンシートがずれることなく整列された場合を示したものである。
【
図11】積層時の
図8及び
図9のセラミックグリーンシートがずれて整列された場合を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0011】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0012】
図面において、X方向は第1方向又は長さ方向、Y方向は第2方向又は厚さ方向、Z方向は第3方向、幅方向もしくは積層方向と定義することができる。
【0013】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの斜視図を概略的に示したものであり、
図2は
図1の本体内部を透視して示したものであり、
図3は
図2のI-I'による断面図を概略的に示したものである。
【0014】
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100の構造について説明する。
【0015】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、本体110と、本体の外側に配置される第1及び第2外部電極141、142と、を含む。
【0016】
本体110は、複数の誘電体層111が積層された形態であり、複数のグリーンシートを積層した後、これを焼結することで得ることができる。かかる焼結工程により、複数の誘電体層111は一体化された形態を有することができる。本体110の形状及び寸法ならびに誘電体層111の積層数が本実施形態に示したものに限定されるものではなく、例えば、
図1に示す形態のように、本体110は直方体形状を有することができる。
【0017】
本体110に含まれる誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系物質を含んでもよいが、十分な静電容量を得ることができる限り、当技術分野で知られている他の物質も用いることができる。上記BaTiO3系セラミック粉末としては、例えば、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられる。誘電体層111には、主成分である上記セラミック材料とともに、必要に応じて、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、及び分散剤などがさらに含まれることができる。このうち、添加剤としては、内部電極121、122に添加されたものと同一の物質を含むことができ、この添加剤の濃度は、均一な焼結特性を確保するように局部的に適宜調節される。
【0018】
本体110は、誘電体層111が4層以上積層されて形成されることができ、例えば、400~500層積層されて形成されることができる。積層方向を基準に、本体110の上下部には、内部電極を含まない誘電体層を積層することで形成されるカバー層が配置されることができる。
【0019】
本体110の内側には、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1及び第2内部電極121、122が含まれる。第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極141、142と連結されて、駆動時に異なる極性を有することができる。第1及び第2内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結することで得ることができる。第1及び第2内部電極121、122を成す主要構成物質としては、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)などが挙げられ、これらの合金も用いることができる。
【0020】
第1及び第2内部電極121、122はそれぞれ、第1及び第2メイン部121a、122aと、第1及び第2リード部121b、122bと、を含み、第2メイン部122aにはスペース部122a'が形成される。
【0021】
第1及び第2メイン部121a、122aは、有効面積を決定するのに最も大きく寄与し、第1及び第2リード部121b、122bは、第1及び第2メイン部121a、122aと第1及び第2外部電極141、142とを電気的に連結する。
【0022】
スペース部122a'は、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積によって形成される容量を相殺するためのものである。
【0023】
スペース部122a'ならびに第1及び第2メイン部121a、122aについてはより詳細に後述する。
【0024】
一方、内部電極と外部電極とをさらに円滑に連結するために、第1内部電極121は、上記第1リード部121bと、第1外部電極141と連結される第1延長部121cと、をさらに含み、第2内部電極122は、第2リード部122bと、第2外部電極142と連結される第2延長部122cと、をさらに含むことができる。この際、第1及び第2延長部121c、122cはL字形状であればよい。
【0025】
また、電極厚さによる段差の発生を抑制するために、第1内部電極121と同一平面に形成され、第2延長部122cと重なる位置に形成される第1ダミー部131と、第2内部電極122と同一平面に形成され、第1延長部121cと重なる位置に形成される第2ダミー部132と、をさらに含むことができる。
【0026】
この際、第1ダミー部131は、第2延長部122cと同一の形状を有し、第2ダミー部132は、第1延長部121cと同一の形状を有することができる。
【0027】
第1及び第2外部電極141、142は、本体の外側に配置されて、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結される。
【0028】
下面実装の場合、第1及び第2外部電極141、142は、本体110の下面に配置されることができる。
【0029】
第1及び第2外部電極141、142は、本体110の下面から本体110の側面に延長されて、本体110の下面の端の一部を覆うようにL字形状に配置されることができる。
【0030】
第1及び第2外部電極141、142には、導電性ペーストを用いて形成される第1電極層が形成され、第1電極層にそれぞれメッキ層により第2電極層及び第3電極層が形成されることができる。
【0031】
第2電極層及び第3電極層は、表面への半田接合のために、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)又はニッケル(Ni)、スズ(Sn)を順にメッキして形成したものであればよい。
【0032】
以下、本発明のスペース部122a'ならびに第1及び第2メイン部121a、122aについてより詳細に説明する。
【0033】
誘電体層111を間に挟んで第1内部電極121と第2内部電極122とが互いに重なる面積である有効面積は、積層セラミックキャパシタの容量を決定する支配的な要素である。しかし、積層セラミックキャパシタの内部電極の積層時に生じる工程上の限界により、内部電極が互いに重なる面積においてはばらつきが発生せざるを得ない。特に積層セラミックキャパシタが小型化するにつれて、かかる有効面積のばらつきが発生しやすくなる。
【0034】
かかる問題点を解決するために、内部電極のサイズを異ならせて有効面積のばらつきを最小化する方案が開発された。内部電極のサイズを異ならせると、若干ずれて整列されても、メイン部が重なる面積は一定に維持することができるため、有効面積のばらつきを最小限に抑えることができるようになる。
【0035】
しかし、内部電極のサイズが異なるため、サイズが小さい内部電極のリード部とサイズが大きい内部電極のメイン部とが重なる部分によっても容量が形成される可能性があり、サイズが小さい内部電極のリード部とサイズが大きい内部電極のメイン部とが重なる部分は整列がずれるにつれて変動するため、有効面積のばらつきを増加させるおそれがある。
【0036】
また、サイズが小さい内部電極のリード部とサイズが大きい内部電極のメイン部とが重なる部分による有効面積のばらつきに対する影響を最小限に抑えるためにリード部を薄く形成すると、内部電極と外部電極との間の連結性が低下するおそれがある。
【0037】
これに対し、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100では、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積A1、A1'によって形成される容量を相殺するためのスペース部122a'を形成することで、有効面積のばらつきをさらに最小限に抑えることができる。
【0038】
図4は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものであり、
図5は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものであり、
図6は積層時の
図4及び
図5のセラミックグリーンシートがずれることなく整列された場合を示したものであり、
図7は積層時の
図4及び
図5のセラミックグリーンシートがずれて整列された場合を示したものである。
【0039】
図4~
図7を参照して、スペース部の役割についてより詳細に説明する。
図5に示すように、スペース部122a'とは、第2メイン部122aにおいて導電性金属を含むペーストが印刷されていない空き空間のことである。
【0040】
積層時の整列がずれると、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積A1、A1'が増加して、有効面積のばらつきが発生するようになる。すなわち、
図6のA1よりも
図7のA1'が大きくなるため、その差の分だけ有効面積のばらつきが発生する。
【0041】
スペース部122a'は、内部電極が印刷されず容量形成に寄与しないため、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積A1、A1'によって形成される容量を相殺することができ、Y方向にずれて整列されて第1リード部と第2メイン部とが重なる面積が変動する場合にも、第1リード部と第2メイン部とが重なる面積A1、A1'に比例して、スペース部と第1メイン部とが重なる面積A2、A2'が変動するため、有効面積のばらつきが発生しない。
【0042】
第1及び第2リード部121b、122bが第1及び第2メイン部121a、122aの一側下部に形成される場合、
図7に示すように、Y方向にずれて整列されると、第1リード部121bの幅l1、l1'、及び第1メイン部121aとスペース部122a'とが重なる面積A2、A2'の幅l2、l2'は変動しないため、l1とl1'、l2とl2'は同一であるが、Y方向にずれて整列される分だけt1がt1'に増加してA1がA1'に大きくなり、Y方向にずれて整列される分だけt2がt2'に増加してA2がA2'に大きくなる。これにより、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積A1、A1'に比例して、スペース部と第1メイン部とが重なる面積A2、A2'が変動するため、有効面積のばらつきが発生しない。
【0043】
この際、スペース部122a'は、第1リード部121bの対角線方向の端に形成されることができる。これは、スペース部122a'が第1リード部121bと重なることを防止するためである。
【0044】
一方、第2メイン部122aは、第1メイン部121aよりもX%大きく形成され、スペース部の第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積であるA1よりもX%大きく形成される。ここで、Xは2~10であればよい。Xが2未満の場合には有効面積のばらつきが発生するおそれがあり、Xが10を超えると確保することができる有効面積が減少して容量が小さくなるか、又は積層セラミックキャパシタのサイズが大きくなって小型化に適さない。
【0045】
例えば、第2メイン部122aが第1メイン部121aよりも5%大きい場合、スペース部122a'を第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積であるA1よりも5%大きく形成することで、第1リード部121bと第2メイン部122aとが重なる面積であるA1と、スペース部と第1メイン部とが重なる面積であるA2とを同一にすることができる。
【0046】
図8は本発明の他の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第1内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものであり、
図9は本発明の他の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造に用いられる第2内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを示したものであり、
図10は積層時の
図8及び
図9のセラミックグリーンシートがずれることなく整列された場合を示したものであり、
図11は積層時の
図8及び
図9のセラミックグリーンシートがずれて整列された場合を示したものである。
【0047】
本発明の他の一実施形態によると、第1及び第2リード部221b、222bが第1及び第2メイン部221a、222aの一部側面に形成される場合、
図11に示すように、X方向にずれて整列されると、第1リード部221bの幅ll1、ll1'、及び第1メイン部221aとスペース部222a'とが重なる面積B2、B2'の幅ll2、ll2'は変動しないため、ll1とll1'、ll2とll2'は同一であるが、X方向にずれて整列される分だけtt1がtt1'に減少してB1がB1'に小さくなり、X方向にずれて整列される分だけtt2がtt2'に減少してB2がB2'に小さくなる。これにより、第1リード部と第2メイン部とが重なる面積B1、B1'に比例して、スペース部と第1メイン部とが重なる面積B2、B2'は変動するため、有効面積のばらつきが発生しない。
【0048】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
本願によれば、以下の各項目もまた開示される。
(項目1)
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含む本体と、
前記本体の一面に配置され、前記第1及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は、第1メイン部、及び前記第1メイン部と前記第1外部電極とを連結する第1リード部を含み、
前記第2内部電極は、第2メイン部、及び前記第2メイン部と前記第2外部電極とを連結する第2リード部を含み、
前記第2メイン部は、前記第1メイン部よりもサイズが大きく、前記第1リード部と前記第2メイン部とが重なる面積によって形成される容量を相殺するためのスペース部を有する、積層セラミックキャパシタ。
(項目2)
前記第1及び第2リード部はそれぞれ、前記第1及び第2メイン部の一側下部に形成される、項目1に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目3)
前記第1及び第2リード部はそれぞれ、前記第1及び第2メイン部の一部側面に形成される、項目1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目4)
前記スペース部は、前記第1リード部の対角線方向の端に形成される、項目1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目5)
前記第2メイン部は、前記第1メイン部よりもX%大きく形成され、前記スペース部は、前記第1リード部と前記第2メイン部とが重なる面積よりもX%大きく形成され、前記Xは2~10である、項目1から4のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目6)
前記第1内部電極は、前記第1リード部と、前記第1外部電極と連結される第1延長部と、をさらに含み、
前記第2内部電極は、前記第2リード部と、前記第2外部電極と連結される第2延長部と、をさらに含む、項目1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目7)
前記第1及び第2延長部はL字形状である、項目6に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目8)
前記第1内部電極と同一平面に形成され、前記第2延長部と重なる位置に形成される第1ダミー部と、前記第2内部電極と同一平面に形成され、前記第1延長部と重なる位置に形成される第2ダミー部と、をさらに含む、項目6または7に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目9)
前記第1ダミー部は、前記第2延長部と同一の形状を有し、前記第2ダミー部は、前記第1延長部と同一の形状を有する、項目8に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目10)
前記第1外部電極及び第2外部電極はメッキ層を含む、項目1から9のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
(項目11)
前記第1及び第2外部電極はL字形状である、項目1から10のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【符号の説明】
【0049】
100 積層セラミックキャパシタ
110 本体
111 誘電体層
121 第1内部電極
121a 第1メイン部
121b 第1リード部
121c 第1延長部
122 第2内部電極
122a 第2メイン部
122a' スペース部
122b 第2リード部
122c 第2延長部
131 第1ダミー部
132 第2ダミー部
141 第1外部電極
142 第2外部電極