(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】管理装置、及び、管理装置のプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20221012BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018086855
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-11-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月11日~13日 「Visual Factory」 サービスカタログ 平成30年4月11日~13日 第3回 名古屋 設計・製造ソリューション展 ポートメッセなごや(名古屋市港区金城ふ頭2-2 第1展示館) 平成29年11月8日~10日 第3回IoT/M2M展 幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】398011446
【氏名又は名称】株式会社シーイーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【氏名又は名称】高田 聖一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 栄梨
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 奨
(72)【発明者】
【氏名】江上 太
(72)【発明者】
【氏名】福島 徹
(72)【発明者】
【氏名】西 基志
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168652(WO,A1)
【文献】特開2009-110108(JP,A)
【文献】特開2007-164756(JP,A)
【文献】特開2007-108880(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0013720(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を生産する生産ラインを管理する管理装置であって、
前記生産ラインに含まれる複数の工程における1または複数の設備に関する設備情報と、
前記複数の工程における1または複数の作業者の作業者情報と、
前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物に関する部材情報と、
を含む生産ライン情報を取得する取得部と、
前記生産ラインにおける前記製品の生産の予実が乖離した場合、
前記生産ライン情報に基づいて、
前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、
前記予実の乖離の原因となる遅延工程を特定する特定部と、
前記生産ライン情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延の原因を判定する判定部と、
を備える、
ことを特徴とする管理装置であって、
前記部材情報は、
前記中間生成物の、前記複数の工程のうちの一の工程の工程開始位置、工程実行中の位置または工程終了位置を示す位置を示し、
前記設備情報は、
前記1または複数の設備の位置及び状態を示し、
前記作業者情報は、
前記1または複数の作業者の位置、及び、前記1または複数の作業者の状態であって、前記1または複数の作業者が所持する端末から送信される生体情報に基づく体調の状態であり、
前記特定部は、
前記部材情報に基づいて、
前記遅延工程を特定し、
前記判定部は、
前記設備情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する設備の状態に起因するか否かを判定する第1の判定と、
前記設備情報及び前記作業者情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する設備を基準とした、
前記遅延工程に対応する作業者の位置に起因するか否かを判定する第2の判定と、
前記作業者情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する作業者の状態に起因するか否かを判定する第3の判定と、
を実行可能であり、
前記第1の判定、前記第2の判定、及び、前記第3の判定の、一部または全部を実行することで、
前記遅延工程における遅延の原因を判定する、
ことを特徴とする、管理装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記第1の判定の結果が肯定であり、且つ、前記第2の判定の結果が肯定である場合、前記遅延工程における遅延が、
前記作業者が前記設備に生じた不具合への対応をしていないことに起因する旨の判定を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記第1の判定の結果が肯定であり、
前記第2の判定の結果が否定であり、
前記第3の判定の結果が肯定である場合、
前記遅延工程における遅延が、
前記作業者の、前記設備に生じた不具合への対応能力に起因する旨の判定を行う、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記第2の判定の結果が肯定の場合、または、
前記第3の判定の結果が肯定の場合において、
前記遅延工程に対応する一の作業者とは異なる作業者であって、
前記遅延工程に対応しない他の作業者を選択する選択部と、
前記遅延工程に対応する作業者を、前記一の作業者から前記他の作業者に変更する場合に、
前記予実の乖離が抑制されるか否かを判定する乖離判定部と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記乖離判定部における判定の結果が肯定の場合、
前記遅延工程に対応する作業者を、
前記一の作業者から前記他の作業者に変更する旨の提案を行う提案部、
を備える、
ことを特徴とする、請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
プロセッサを具備し、
製品を生産する生産ラインを管理する管理装置のプログラムであって、
前記プロセッサを、
前記生産ラインに含まれる複数の工程における
、1または複数の設備に関する設備情報と、1または複数の作業者の位置、及び、前記1または複数の作業者の状態であって、前記1または複数の作業者が所持する端末から送信される生体情報に基づく体調の状態である作業者情報と、
前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物に関する部材情報と、
を含む生産ライン情報を取得する取得部と、
前記生産ラインにおける前記製品の生産の予実が乖離した場合、
前記生産ライン情報に基づいて、
前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、
前記予実の乖離の原因となる遅延工程を特定する特定部と、
前記生産ライン情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延の原因を判定する判定部と、
して機能させる、
ことを特徴とする管理装置のプログラムであって、
前記判定部は、
前記設備情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する設備の状態に起因するか否かを判定する第1の判定と、
前記設備情報及び前記作業者情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する設備を基準とした、
前記遅延工程に対応する作業者の位置に起因するか否かを判定する第2の判定と、
前記作業者情報に基づいて、
前記遅延工程における遅延が、
前記遅延工程に対応する作業者の状態に起因するか否かを判定する第3の判定と、
を実行可能であり、
前記第1の判定、前記第2の判定、及び、前記第3の判定の、一部または全部を実行することで、
前記遅延工程における遅延の原因を判定させ、
前記部材情報は、
前記中間生成物の、前記複数の工程のうちの一の工程の工程開始位置、工程実行中の位置または工程終了位置を示す位置を示し、
前記特定部に、
前記部材情報に基づいて、
前記遅延工程を特定させる、
管理装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、及び、管理装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置が各種提案されている。例えば、特許文献1には、表示装置に対して、生産ラインに設けられた複数の設備の各々が有する機能を表示させることで、生産ラインに設けられた複数の設備の各々が有する機能を一元的に管理可能とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生産ラインにおいては、例えば、製品の生産に遅延が生じたり、または、所望の品質よりも低品質の製品が生産される等の、各種不具合が生じることがある。そして、生産ラインにおける製品の生産を円滑に行うためには、生産ラインにおいて不具合が生じた場合に、当該不具合の原因を把握して、当該不具合に対して迅速に対応することが必要となる。しかし、生産ラインにおいて生じる不具合は、生産ラインにおける設備以外の要因に起因する場合がある。このため、従来の技術のように、生産ラインにおける設備に関する情報のみを管理する管理装置においては、生産ラインにおいて生じる不具合の原因を正確且つ迅速に把握できず、コスト等をかけて真因を特定する必要があった。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みて為されたものもあり、従来と比較して、生産ラインにおいて生じる不具合の原因を正確に把握することを可能とする技術の提供を、解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係る管理装置は、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置であって、前記生産ラインに含まれる複数の工程における1または複数の設備に関する設備情報と、前記複数の工程における1または複数の作業者に関する作業者情報と、前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物に関する部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記生産ラインにおける前記製品の生産の予実が乖離した場合、前記生産ライン情報に基づいて、前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、前記予実の乖離の原因となる遅延工程を特定する特定部と、前記生産ライン情報に基づいて、前記遅延工程における遅延の原因を判定する判定部と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、取得部が、設備情報に加えて作業者情報と部材情報とを取得するため、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、製品の生産における遅延の原因となる遅延工程を正確に特定することが可能となる。
また、この発明によれば、取得部が、設備情報に加えて作業者情報と部材情報とを取得するため、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、遅延工程における遅延の原因を正確に判定することが可能となる。
【0008】
上述した管理装置において、前記部材情報は、前記中間生成物の位置を示し、前記特定部は、前記部材情報に基づいて、前記遅延工程を特定する、ことを特徴としてもよい。
【0009】
この態様によれば、特定部が、部材情報に基づいて、遅延工程を特定するため、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、遅延工程を特定する場合と比較して、遅延工程を容易かつ迅速に特定することが可能となる。
【0010】
上述した管理装置において、前記設備情報は、前記1または複数の設備の位置及び状態を示し、前記作業者情報は、前記1または複数の作業者の位置及び状態を示し、前記判定部は、前記設備情報に基づいて、前記遅延工程における遅延が、前記遅延工程に対応する設備の状態に起因するか否かを判定する第1の判定と、前記設備情報及び前記作業者情報に基づいて、前記遅延工程における遅延が、前記遅延工程に対応する設備を基準とした、前記遅延工程に対応する作業者の位置に起因するか否かを判定する第2の判定と、前記作業者情報に基づいて、前記遅延工程における遅延が、前記遅延工程に対応する作業者の状態に起因するか否かを判定する第3の判定と、を実行可能であり、前記第1の判定、前記第2の判定、及び、前記第3の判定の、一部または全部を実行することで、前記遅延工程における遅延の原因を判定する、ことを特徴としてもよい。
【0011】
この態様によれば、判定部が、第1の判定、第2の判定、及び、第3の判定を実行することで、遅延工程における遅延の原因を判定するため、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、遅延工程における遅延の原因を判定する場合と比較して、遅延の原因を容易かつ迅速に判定することが可能となる。
【0012】
上述した管理装置において、前記判定部は、前記第1の判定の結果が肯定であり、且つ、前記第2の判定の結果が肯定である場合、前記遅延工程における遅延が、前記作業者が前記設備に生じた不具合への対応を適宜していないことに起因する旨の判定を行う、ことを特徴としてもよい。
【0013】
この態様によれば、作業者が設備に生じた不具合への対応をしていないことに起因して、生産ラインにおける製品の生産の予実が乖離している場合に、当該予実の乖離の原因を把握することが可能となる。
【0014】
上述した管理装置において、前記判定部は、前記第1の判定の結果が肯定であり、前記第2の判定の結果が否定であり、前記第3の判定の結果が肯定である場合、前記遅延工程における遅延が、前記作業者の、前記設備に生じた不具合への対応能力に起因する旨の判定を行う、ことを特徴としてもよい。
【0015】
この態様によれば、作業者における、設備に生じた不具合への対応能力に起因して、生産ラインにおける製品の生産の予実が乖離している場合に、当該予実の乖離の原因を把握することが可能となる。
【0016】
上述した管理装置は、前記第2の判定の結果が肯定の場合、または、前記第3の判定の結果が肯定の場合において、前記遅延工程に対応する一の作業者とは異なる作業者であって、前記遅延工程に対応しない他の作業者を選択する選択部と、前記遅延工程に対応する作業者を、前記一の作業者から前記他の作業者に変更する場合に、前記予実の乖離が抑制されるか否かを判定する乖離判定部と、を備える、ことを特徴としてもよい。
【0017】
この態様によれば、遅延工程を担当する作業者を変更する場合に、生産ラインにおける製品の生産の予実の乖離を抑制することができるか否かを判定することが可能となる。このため、この態様によれば、生産ラインにおける製品の生産の予実の乖離が増大するような作業者の変更を、事前に抑制することが可能となる。
【0018】
上述した管理装置は、前記乖離判定部における判定の結果が肯定の場合、前記遅延工程に対応する作業者を、前記一の作業者から前記他の作業者に変更する旨の提案を行う提案部、を備える、ことを特徴としてもよい。
【0019】
この態様によれば、生産ラインにおける製品の生産の予実の乖離を抑制するような作業者の変更が可能となる。
【0020】
また、本発明に係る管理装置は、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置であって、前記生産ラインに含まれる複数の工程における1または複数の設備の状態を示す設備情報と、前記複数の工程における1または複数の作業者の状態を示す作業者情報と、前記製品の品質、及び、前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物の状態を示す部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記製品の品質が、所定の品質よりも低い場合、前記生産ライン情報に基づいて、前記製品の品質の低下に対する、前記生産ラインに含まれる複数の工程の各々の影響度を算出する算出部と、前記算出部の算出結果に基づいて、前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、前記製品の品質の低下の原因となる品質低下工程を特定する特定部と、を備える、ことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、算出部が、設備情報に加えて作業者情報に基づいて、複数の工程の各々における製品の品質の低下に対する影響度を算出し、そして、特定部が、算出部の算出結果に基づいて、製品の品質の低下の原因となる品質低下工程を特定する。このため、この発明によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、品質低下工程を特定する場合と比較して、品質低下工程を正確かつ迅速に特定することが可能となる。
【0022】
上述した管理装置において、前記算出部は、前記設備情報に基づいて、前記複数の工程の各々に対応する設備の状態に起因して、前記複数の工程の各々が、前記製品の品質を低下させるか否かを判定する第4の判定と、前記作業者情報に基づいて、前記複数の工程の各々に対応する作業者の状態に起因して、前記複数の工程の各々が、前記製品の品質を低下させるか否かを判定する第5の判定と、の少なくとも一方を実行することで、前記製品の品質の低下に対する、前記生産ラインに含まれる複数の工程の各々の影響度を算出する、ことを特徴としてもよい。
【0023】
この態様によれば、算出部が、第4の判定及び第5の判定を実行することで、複数の工程の各々における製品の品質の低下に対する影響度を算出し、そして、特定部が、算出部の算出結果に基づいて、品質低下工程を特定する。このため、この態様によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、品質低下工程を特定する場合と比較して、品質低下工程を正確かつ迅速に特定することが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る管理装置は、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置であって、前記生産ラインにおける1または複数の設備の位置及び状態を示す設備情報と、前記生産ラインにおける1または複数の作業者の位置を示す作業者情報と、前記生産ラインにおいて1または複数の製品を生産する過程で生成される、1または複数の中間生成物の位置及び状態を示す部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記生産ライン情報に基づいて、前記製品の生産の開始から前記製品の完成までの生産期間の一部または全部における、前記1または複数の設備の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方と、前記生産期間の一部または全部における、前記1または複数の作業者の位置の変化と、前記生産期間の一部または全部における、前記1または複数の中間生成物の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方との、少なくとも一部を、表示部において再現するための再現情報を生成する生成部と、を備える、ことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、取得部が、設備情報に加えて作業者情報と部材情報とを取得するため、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、より正確に生産ラインの状態を把握することが可能となる。
また、この発明によれば、生成部が、生産ライン情報に基づいて、生産ラインの状態の変化を表示部において視覚により把握可能な態様で再現するための再現情報を生成する。このため、この発明によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、生産ラインの状態の変化を把握する場合と比較して、より容易に生産ラインにおいて生じる不具合を判定することが可能となる。
【0026】
上述した管理装置は、前記生産ラインにおける前記1または複数の作業者の中から、一の作業者を指定する第1指示を受け付ける受付部、を備え、前記生成部は、前記生産ライン情報に基づいて、前記第1指示の示す前記一の作業者の、前記生産期間の一部または全部における位置の変化を、表示部において再現するための第1再現情報を生成する、ことを特徴としてもよい。
【0027】
この態様によれば、生成部が、生産ライン情報に基づいて、一の作業者の位置の変化を表示部において視覚により把握可能な態様で再現するための第1再現情報を生成する。このため、この態様によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報から、一の作業者の位置の変化を把握する場合と比較して、より容易に一の作業者の位置の変化を把握することが可能となる。
【0028】
上述した管理装置は、前記生産ラインにおいて生産される前記1または複数の製品の中から、一の製品を指定する第2指示を受け付ける受付部、を備え、前記生成部は、前記生産ライン情報に基づいて、前記第2指示の示す前記一の製品を前記生産ラインにおいて生産する過程で生成される中間生成物の、前記生産期間の一部または全部における、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方を、表示部において再現するための第2再現情報を生成する、ことを特徴としてもよい。
【0029】
この態様によれば、生成部が、生産ライン情報に基づいて、中間生成物の位置及び状態の変化を表示部において視覚により把握可能な態様で再現するための第2再現情報を生成する。このため、この態様によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報から、中間生成物の位置及び状態の変化を把握する場合と比較して、より容易に中間生成物の位置の変化を把握することが可能となる。
【0030】
上述した管理装置は、前記生産ラインにおける前記1または複数の設備の中から、一の設備を指定する第3指示を受け付ける受付部、を備え、前記生成部は、前記生産ライン情報に基づいて、前記第3指示の示す前記一の設備の、前記生産期間の一部または全部における、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方を、表示部において再現するための第3再現情報を生成する、ことを特徴としてもよい。
【0031】
この態様によれば、生成部が、生産ライン情報に基づいて、一の設備の位置及び状態の変化を表示部において視覚により把握可能な態様で再現するための第3再現情報を生成する。このため、この態様によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報から、一の設備の位置及び状態の変化を把握する場合と比較して、より容易に一の設備の位置の変化を把握することが可能となる。
【0032】
上述した管理装置は、前記表示部に対して、前記生産ラインを再現した仮想空間を表示させる表示制御部、を備え、前記表示制御部は、前記再現情報に基づいて、前記仮想空間において前記1または複数の設備を表示するための1または複数の設備画像を、前記生産期間の一部または全部における前記1または複数の設備の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方を表すように変化させ、前記仮想空間において前記1または複数の作業者を表示するための1または複数の作業者画像を、前記生産期間の一部または全部における前記1または複数の作業者の、位置の変化を表すように変化させ、前記仮想空間において前記1または複数の中間生成物を表示するための生成物画像を、前記生産期間の一部または全部における前記1または複数の中間生成物の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方を表すように変化させる、ことを特徴としてもよい。
【0033】
この態様によれば、表示制御部が、生産ライン情報に基づいて、仮想空間において生産ラインの状態の変化を表す画像を表示する。このため、この態様によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、生産ラインの状態の変化を把握する場合と比較して、より容易に生産ラインの状態の変化を把握することが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る管理装置のプログラムは、プロセッサを具備し、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置のプログラムであって、前記プロセッサを、前記生産ラインに含まれる複数の工程における1または複数の設備に関する設備情報と、前記複数の工程における1または複数の作業者に関する作業者情報と、前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物に関する部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記生産ラインにおける前記製品の生産の予実が乖離した場合、前記生産ライン情報に基づいて、前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、前記予実の乖離の原因となる遅延工程を特定する特定部と、前記生産ライン情報に基づいて、前記遅延工程における遅延の原因を判定する判定部と、して機能させる、ことを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、製品の生産における遅延の原因となる遅延工程を正確に特定することが可能となる。
また、この発明によれば、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、遅延工程における遅延の原因を正確に判定することが可能となる。
【0036】
また、本発明に係る管理装置のプログラムは、プロセッサを具備し、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置のプログラムであって、前記プロセッサを、前記生産ラインに含まれる複数の工程における1または複数の設備の状態を示す設備情報と、前記複数の工程における1または複数の作業者の状態を示す作業者情報と、前記製品の品質、及び、前記生産ラインにおいて前記製品を生産する過程で生成される中間生成物の状態を示す部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記製品の品質が、所定の品質よりも低い場合、前記生産ライン情報に基づいて、前記製品の品質の低下に対する、前記生産ラインに含まれる複数の工程の各々の影響度を算出する算出部と、前記算出部の算出結果に基づいて、前記生産ラインに含まれる複数の工程のうち、前記製品の品質の低下の原因となる品質低下工程を特定する特定部と、して機能させる、ことを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、品質低下工程を特定する場合と比較して、品質低下工程を正確かつ迅速に特定することが可能となる。
【0038】
また、本発明に係る管理装置のプログラムは、プロセッサを具備し、製品を生産する生産ラインを管理する管理装置のプログラムであって、前記プロセッサを、前記生産ラインにおける1または複数の設備の位置及び状態を示す設備情報と、前記生産ラインにおける1または複数の作業者の位置を示す作業者情報と、前記生産ラインにおいて1または複数の製品を生産する過程で生成される、1または複数の中間生成物の位置及び状態を示す部材情報と、を含む生産ライン情報を取得する取得部と、前記生産ライン情報に基づいて、前記製品の生産の開始から前記製品の完成までの生産期間の一部または全部における、前記1または複数の設備の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方と、前記生産期間の一部または全部における、前記1または複数の作業者の位置の変化と、前記生産期間の一部または全部における、前記1または複数の中間生成物の、位置の変化及び状態の変化の、少なくとも一方との、少なくとも一部を、表示部において再現するための再現情報を生成する生成部と、して機能させる、ことを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、取得部が、設備情報のみを取得する場合と比較して、より正確に生産ラインの状態を把握することが可能となる。
また、この発明によれば、例えば、管理装置の管理者が、設備情報を解析することで、生産ラインの状態の変化を把握する場合と比較して、より容易に生産ラインにおいて生じる不具合を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る生産システムSYSの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】生産ラインLNの一例を説明するための説明図である。
【
図3】管理サーバ1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】設備基本情報テーブルTBL1のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】設備位置情報テーブルTBL2のデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】設備状態情報テーブルTBL3のデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】作業者基本情報テーブルTBL4のデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】作業者位置情報テーブルTBL5のデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】作業者状態情報テーブルTBL6のデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】工程情報テーブルTBL7のデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】部材情報テーブルTBL8のデータ構成の一例を示す図である。
【
図12】スケジュール情報テーブルTBL9のデータ構成の一例を示す図である。
【
図13】管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図14】管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】品質低下要因解析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】遅延要因解析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】設備状況解析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】作業者状況解析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】品質改善方針策定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】スケジュール改善方針策定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】第2実施形態に係る管理サーバ1Aの構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】第2実施形態に係る管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図23】第2実施形態に係る品質改善方針策定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図24】第3実施形態に係る管理サーバ1Bの構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】第3実施形態に係る管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図26】第3実施形態に係るスケジュール改善方針策定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図27】第4実施形態に係る管理サーバ1Cの構成の一例を示すブロック図である。
【
図28】第4実施形態に係る表示例を示す説明図である。
【
図29】第4実施形態に係る表示例を示す説明図である。
【
図30】第4実施形態に係る表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0042】
<<A.第1実施形態>>
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
【0043】
<<1.生産システムの概要>>
図1は、本実施形態に係る生産システムSYSの構成の一例を示す図である。以下、
図1を参照しつつ、生産システムSYSの構成の概要の一例を説明する。
【0044】
図1に示すように、生産システムSYSは、製品BPを生産するための生産ラインLNと、生産ラインLNを管理するための管理サーバ1(「管理装置」の一例)と、各種情報を表示するための表示部を有する表示装置7と、生産ラインLNにおいて生産された製品BPを検査するための検査装置8と、1または複数の検出装置CMと、1または複数の端末装置TMと、各端末装置TMと通信可能なアクセスポイント9と、生産ラインLNの環境に係る物理量を測定する環境情報測定装置EVと、生産システムSYSの各種構成要素を相互に接続するためのネットワークNWと、を備える。
【0045】
生産ラインLNは、原材料に対して各種処理を施すことで製品BPを生産する。以下の説明では、製品BPと、製品BPを生産するための原材料と、生産ラインLNにおいて製品BPを生産する過程で生成される中間生成物とを、部材Bと総称する。
また、本実施形態では、生産ラインLNが、1または複数の設備Rと、1または複数の作業者Hと、を含んで構成される場合を、一例として想定する。
【0046】
ここで、設備Rとは、例えば、部材Bを加工する加工装置、部材Bを組み立てるロボット、または、部材Bを搬送するAGV(Automated Guided Vehicle)等、製品BPを生産するために部材Bに対して各種処理を施すための、生産ラインLNの構成要素である。
【0047】
本実施形態において、設備Rは、設備Rの稼動状態を示す設備稼働報告情報を、管理サーバ1に対して周期的に送信する。また、本実施形態において、設備Rは、設備RがAGVのような移動可能な設備Rである場合において、設備Rの位置を示す設備位置報告情報を、管理サーバ1に対して周期的に送信する。
なお、以下では、設備稼働報告情報及び設備位置報告情報を、設備報告情報と総称する場合がある。
また、以下では、移動可能な設備Rを、移動可能設備と称し、移動しない設備Rを、固定設備と称する場合がある。本実施形態では、一例として、生産ラインLNが、1または複数の移動可能設備と、1または複数の固定設備と、を含んで構成される場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、生産ラインLNは、1または複数の移動可能設備と、1または複数の固定設備と、のうち、少なくとも一方を含めばよい。
【0048】
端末装置TMは、作業者Hが所持可能な携帯型の電子機器である。本実施形態では、一例として、各作業者Hが1台の端末装置TMを所持している場合を想定する。
また、本実施形態では、一例として、端末装置TMが、自己位置を特定する機能を有している場合を想定する。そして、本実施形態において、端末装置TMは、特定した自己位置を示す端末位置情報を、アクセスポイント9を介して、管理サーバ1に対して周期的に送信する。
また、本実施形態では、一例として、端末装置TMが、当該端末装置TMを所持する作業者Hの生体情報を検出する機能を有している場合を想定する。ここで、端末装置TMにより検出可能な作業者Hの生体情報とは、例えば、作業者Hの拍動、または、作業者Hの体温等、作業者Hの体調を示す情報である。そして、本実施形態において、端末装置TMは、検出した生体情報を、アクセスポイント9を介して、管理サーバ1に対して周期的に送信する。
なお、以下では、端末位置情報及び生体情報を、端末報告情報と総称する場合がある。
【0049】
検出装置CMは、生産ラインLNのうち検出装置CMに対応する領域に部材Bが存在する場合に、当該部材Bの存在を検出する。そして、検出装置CMは、部材Bの存在を検出した場合に、当該検出結果を示す検出結果情報を、管理サーバ1に対して送信する。
具体的には、検出装置CMは、例えば、生産ラインLNを撮像する撮像機能と、当該撮像機能により撮像された画像の中に部材Bを示す画像が含まれている場合に、当該部材Bを示す画像を抽出する抽出機能と、を有していてもよい。
なお、検出装置CMは、生産ラインLNにおける部材Bの他に、生産ラインLNにおける作業者Hの存在を検出可能であってもよいし、生産ラインLNにおける設備Rの存在を検出可能であってもよい。
【0050】
検査装置8は、生産ラインLNにおいて生産された製品BPの品質を検査し、当該検査の結果を示す検査結果情報を生成する。そして、検査装置8は、生成した検査結果情報を、管理サーバ1に対して送信する。
【0051】
なお、以下では、検出結果情報及び検査結果情報を、部材報告情報と総称する場合がある。
また、以下では、端末報告情報、部材報告情報、及び、設備報告情報を、報告情報と総称する場合がある。
【0052】
環境情報測定装置EVは、生産ラインLNが設けられた環境に係る1または複数の物理量を周期的に測定し、当該測定の結果を示す環境情報を、管理サーバ1に対して送信する。
ここで、環境に係る物理量とは、例えば、生産ラインLNが設けられた空間における、温度、湿度、騒音の大きさ、及び、振動の大きさ等の、一部または全部である。
【0053】
図2は、本実施形態における生産ラインLNを説明するための説明図である。以下、
図2を参照しつつ、生産ラインLNの構成の概要の一例を説明する。
【0054】
本実施形態では、生産ラインLNが、M個の工程S[1]~S[M]を含む場合を想定する(Mは、M≧2を満たす自然数)。
また、以下では、生産ラインLNにおける1または複数の設備Rのうち、工程S[m]に対応する設備Rを設備R[m]と称し、生産ラインLNにおける1または複数の作業者Hのうち、工程S[m]に対応する作業者Hを作業者H[m]と称し、生産ラインLNにおける部材Bのうち、工程S[m]から出力される部材Bを部材B[m]と称する(mは、1≦m≦Mを満たす自然数)。
また、以下では、生産ラインLNにおいて、複数の製品BPが生成される場合、複数の製品BPのうち、n番目に生成される製品BPを、製品BP-nと称する(nは、n≧1を満たす自然数)。また、以下では、生産ラインLNにおいて製品BP-nを生産する場合に、工程S[m]から出力される部材Bを部材B-n[m]と称する。
また、以下では、生産ラインLNが設けられる空間のうち、工程S[m]に対応する領域を、領域Ar[m]と称する。なお、以下では、説明の便宜上、生産ラインLNにおける任意の位置を、生産ラインLNが設けられた空間の所定位置に原点を有する3軸の直交座標系ΣLの座標として表現する場合がある。
【0055】
図2では、生産ラインLNが4個の工程S[1]~S[4]を含む場合(つまり、M=4の場合)を例示している。
そして、
図2では、工程S[1]が、設備R[1]により部材Bに穴を開ける工程であり、工程S[2]が、作業者H[2]により部材Bを研磨する工程であり、工程S[3]が、設備R[3]により部材Bを搬送する工程であり、工程S[4]が、作業者H[4]が設備R[4]を操作することにより、部材Bと他の部材とを組み立てる工程である場合を、例示している。
【0056】
<<2.管理サーバの概要>>
以下、
図3乃至
図13を参照しつつ、管理サーバ1の概要を説明する。
【0057】
<<2.1.管理サーバの機能の概要>>
図3は、管理サーバ1の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0058】
図3に示すように、管理サーバ1は、管理サーバ1の各部を制御する制御部10と、各種情報を記憶する記憶部20と、表示装置7及び設備R等の外部装置との間の通信を実行するための通信部30と、管理サーバ1のオペレータによる操作を受け付けるための操作部40と、光ディスク等の記録媒体から情報を読み込むための情報読込部50と、を備える。
【0059】
図3に示すように、制御部10は、取得部11と、工程特定部12と、遅延原因判定部13と、影響度算出部14と、代替作業者選択部15と、影響判定部16と、代替作業者提案部17と、を備える。
【0060】
取得部11は、報告情報を取得する。具体的には、取得部11は、端末装置TMから送信される端末報告情報と、検出装置CM及び検査装置8から送信される部材報告情報と、設備Rから送信される設備報告情報と、を取得する。
そして、取得部11は、報告情報に基づいて、生産ラインLNにおける作業者Hの位置を示す作業者位置情報(
図8参照)、及び、作業者Hの状態を示す作業者状態情報(
図9参照)と、生産ラインLNにおける部材Bの位置を示す部材位置情報(
図11参照)、及び、部材Bの状態を示す部材状態情報(
図11参照)と、生産ラインLNにおける設備Rの位置を示す設備位置情報(
図5参照)、及び、設備Rの状態を示す設備状態情報(
図6参照)と、を生成し、これら生成した情報を、記憶部20に記憶させる。
【0061】
以下では、作業者位置情報、作業者状態情報、及び、後述する作業者基本情報(
図7参照)を含む情報を、作業者情報と称する場合がある。なお、詳細は後述するが、作業者基本情報は、記憶部20に記憶されている情報である。
また、以下では、部材位置情報、及び、部材状態情報を含む情報を、部材情報と称する場合がある。
また、以下では、設備位置情報、設備状態情報、及び、後述する設備基本情報(
図4参照)を含む情報を、設備情報と称する場合がある。なお、詳細は後述するが、設備基本情報は、記憶部20に記憶されている情報である。
また、以下では、作業者情報と、部材情報と、設備情報と、環境情報と、後述する工程情報(
図10参照)と、後述するスケジュール情報(
図12参照)と、を含む情報を、生産ライン情報と称する場合がある。
【0062】
取得部11は、管理サーバ1が、生産ラインLNを管理する管理処理を実行する場合に、記憶部20から生産ライン情報を取得する。
【0063】
工程特定部12は、品質低下工程特定部121と遅延工程特定部122とを備える。
品質低下工程特定部121は、製品BPの品質が所定の品質よりも低い場合に、生産ライン情報に基づいて、工程S[1]~S[M]の中から、当該品質の低下の原因となる品質低下工程を特定する。
遅延工程特定部122は、生産ラインLNにおける製品BPの生産に遅延が生じた場合に、生産ライン情報に基づいて、工程S[1]~S[M]の中から、当該遅延の原因となる遅延工程を特定する。
【0064】
遅延原因判定部13は、生産ラインLNにおける製品BPの生産に遅延が生じた場合に、生産ライン情報に基づいて、当該遅延の原因を判定する。
【0065】
影響度算出部14は、品質影響度算出部141とスケジュール影響度算出部142とを備える。
品質影響度算出部141は、生産ライン情報に基づいて、製品BPの品質の低下に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである、品質影響度α[m]を算出する。
スケジュール影響度算出部142は、生産ライン情報に基づいて、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである、スケジュール影響度β[m]を算出する。
【0066】
代替作業者選択部15は、製品BPの品質の低下が、工程S[m]において作業を行っている作業者H[m]に起因する場合に、工程S[m]における作業を、作業者H[m]の代わりに行うことが可能な、代替作業者H[m+]を選択する(m+は、1≦m+≦Mを満たすm以外の自然数)。
また、代替作業者選択部15は、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延が、工程S[m]において作業を行っている作業者H[m]に起因する場合に、工程S[m]における作業を、作業者H[m]の代わりに行うことが可能な、代替作業者H[m+]を選択する。
【0067】
影響判定部16は、品質影響判定部161とスケジュール影響判定部162とを備える。
品質影響判定部161は、工程S[m]における作業を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に変更する場合に、製品BPの品質が向上するか否かを判定する。
スケジュール影響判定部162は、工程S[m]における作業を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に変更する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延が抑制されるか否かを判定する。
【0068】
代替作業者提案部17は、品質影響判定部161における判定の結果が肯定の場合、または、スケジュール影響判定部162における判定の結果が肯定の場合において、工程S[m]における作業を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に変更する旨の提案を行う。
【0069】
<<2.2.管理サーバに記憶されたデータの概要>>
図3に示すように、記憶部20は、設備基本情報テーブルTBL1と、設備位置情報テーブルTBL2と、設備状態情報テーブルTBL3と、作業者基本情報テーブルTBL4と、作業者位置情報テーブルTBL5と、作業者状態情報テーブルTBL6と、工程情報テーブルTBL7と、部材情報テーブルTBL8と、スケジュール情報テーブルTBL9と、環境情報テーブルTBL10と、管理サーバ1の制御プログラムPRGと、を記憶している。
【0070】
図4は、設備基本情報テーブルTBL1のデータ構成の一例を示す図である。
【0071】
図4に例示するように、設備基本情報テーブルTBL1は、生産ラインLNに存在する1または複数の設備Rと1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。設備基本情報テーブルTBL1の各レコードは、設備IDと、設備基本情報と、を記憶している。
【0072】
ここで、設備IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の設備Rの中から、各設備Rを一意に識別するための情報である。
また、設備基本情報とは、例えば、各設備Rの名称である設備名称と、各設備Rに対応する工程S[m]を表す担当工程情報と、各設備Rが固定設備または移動可能設備の何れであるかを示す移動可否情報と、各設備Rが生産ラインLNに導入されて稼動を開始した時期を示す稼動開始時期情報と、を含む情報である。
【0073】
図5は、設備位置情報テーブルTBL2のデータ構成の一例を示す図である。
【0074】
図5に例示するように、設備位置情報テーブルTBL2は、生産ラインLNに存在する1または複数の固定設備と1対1に対応する、1または複数のレコードと、生産ラインLNに存在する1または複数の移動可能設備から送信されてきた全ての設備報告情報と1対1に対応する、1または複数のレコードと、を有する。設備位置情報テーブルTBL2の各レコードは、設備位置管理IDと、設備位置情報と、を記憶している。
【0075】
ここで、設備位置管理IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の固定設備の中から、各固定設備を一意に識別し、また、生産ラインLNに存在する1または複数の移動可能設備から送信されてきた全ての設備位置報告情報の中から、各設備位置報告情報を一意に識別するための情報である。
また、設備位置情報とは、例えば、各設備Rに対応する設備IDと、生産ラインLNにおける各設備Rの座標を表す設備存在位置情報と、各設備Rが存在する領域Ar[m]を示す設備存在領域情報と、を含む情報である。なお、設備Rが移動可能設備である場合、設備位置情報は、設備Rが設備位置報告情報を送信した時刻を含む。また、設備Rが移動可能設備である場合、設備位置情報に含まれる設備存在位置情報は、設備位置報告情報により表される設備Rの位置を示し、設備位置情報に含まれる設備存在領域情報は、設備位置報告情報により表される設備Rの位置を含む領域Ar[m]を示す。
【0076】
取得部11は、固定設備が生産ラインLNに導入された場合、設備位置情報テーブルTBL2に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、導入された固定設備の位置を示す設備位置情報を記憶させる。
取得部11は、移動可能設備から送信された設備位置報告情報を取得した場合、設備位置情報テーブルTBL2に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、設備位置報告情報により表される移動可能設備の位置を示す設備位置情報を記憶させる。
【0077】
図6は、設備状態情報テーブルTBL3のデータ構成の一例を示す図である。
【0078】
図6に例示するように、設備状態情報テーブルTBL3は、生産ラインLNに存在する1または複数の設備Rから送信されてきた全ての設備稼働報告情報と1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。設備状態情報テーブルTBL3の各レコードは、設備状態管理IDと、設備状態情報と、を記憶している。
【0079】
ここで、設備状態管理IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の設備Rから送信されてきた全ての設備稼働報告情報の中から、各設備稼働報告情報を一意に識別するための情報である。
また、設備状態情報とは、例えば、設備稼働報告情報を送信した設備Rに対応する設備IDと、当該設備Rが設備稼働報告情報を送信した時刻と、設備稼働報告情報により表される設備Rの状態を示す設備稼働情報と、を含む情報である。なお、本実施形態において、設備稼働情報は、設備Rの動作が「正常」であることを示す値、設備Rの動作が「不安定」であることを示す値、及び、設備Rが故障等により「異常停止」したことを示す値の、3つの値のうちの何れかを示すこととする。
【0080】
取得部11は、設備Rから送信された設備稼働報告情報を取得した場合、設備状態情報テーブルTBL3に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、設備稼働報告情報により表される設備Rの状態を示す設備状態情報を記憶させる。
【0081】
図7は、作業者基本情報テーブルTBL4のデータ構成の一例を示す図である。
【0082】
図7に例示するように、作業者基本情報テーブルTBL4は、生産ラインLNに存在する1または複数の作業者Hと1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。作業者基本情報テーブルTBL4の各レコードは、作業者IDと、作業者基本情報と、を記憶している。
【0083】
ここで、作業者IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の作業者Hの中から、各作業者Hを一意に識別するための情報である。
また、作業者基本情報とは、例えば、各作業者Hの氏名と、各作業者Hの担当する工程S[m]を示す担当工程情報と、各作業者Hの製品BPの生産に係るスキルレベルを示す作業者スキル情報と、を含む情報である。
【0084】
図8は、作業者位置情報テーブルTBL5のデータ構成の一例を示す図である。
【0085】
図8に例示するように、作業者位置情報テーブルTBL5は、生産ラインLNに存在する1または複数の端末装置TMから送信されてきた全ての端末位置情報と1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。作業者位置情報テーブルTBL5の各レコードは、作業者位置管理IDと、作業者位置情報と、を記憶している。
【0086】
ここで、作業者位置管理IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の端末装置TMから送信されてきた全ての端末位置情報の中から、各端末位置情報を一意に識別するための情報である。
また、作業者位置情報とは、例えば、端末位置情報を送信した端末装置TMを所持する作業者Hの作業者IDと、当該端末装置TMが端末位置情報を送信した時刻と、端末位置情報により表される端末装置TMの位置、すなわち、当該端末装置TMを所持する作業者Hの位置を示す作業者存在位置情報と、端末位置情報により表される端末装置TMの位置に対応する領域Ar[m]を示す作業者存在領域情報と、を含む情報である。
【0087】
取得部11は、端末装置TMから送信された端末位置情報を取得した場合、作業者位置情報テーブルTBL5に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、端末位置情報により表される作業者Hの位置を示す作業者位置情報を記憶させる。
【0088】
図9は、作業者状態情報テーブルTBL6のデータ構成の一例を示す図である。
【0089】
図9に例示するように、作業者状態情報テーブルTBL6は、生産ラインLNに存在する1または複数の端末装置TMから送信されてきた全ての生体情報と1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。作業者状態情報テーブルTBL6の各レコードは、作業者状態管理IDと、作業者状態情報と、を記憶している。
【0090】
ここで、作業者状態管理IDとは、生産ラインLNに存在する1または複数の端末装置TMから送信されてきた全ての生体情報の中から、各生体情報を一意に識別するための情報である。
また、作業者状態情報とは、例えば、生体情報を送信した端末装置TMを所持する作業者Hの作業者IDと、当該端末装置TMが生体情報を送信した時刻と、生体情報により表される作業者Hの状態を示す作業者体調情報と、を含む情報である。なお、本実施形態において、作業者体調情報は、作業者Hの体調が「良好」であることを示す値、作業者Hによる作業効率が低下する程度に作業者Hの体調が「不調」であることを示す値、及び、作業者Hによる作業が困難である程度に作業者Hの体調が「異常」であることを示す値の、3つの値のうちの何れかを示すこととする。
【0091】
取得部11は、端末装置TMから送信された生体情報を取得した場合、作業者状態情報テーブルTBL6に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、生体情報により表される作業者Hの状態を示す作業者状態情報を記憶させる。
【0092】
図10は、工程情報テーブルTBL7のデータ構成の一例を示す図である。
【0093】
図10に例示するように、工程情報テーブルTBL7は、生産ラインLNに存在するM個の工程S[1]~S[M]と1対1に対応する、M個のレコードを有する。工程情報テーブルTBL7の各レコードは、工程IDと、工程情報と、を記憶している。
【0094】
ここで、工程IDとは、生産ラインLNに存在するM個の工程S[1]~S[M]の中から、各工程S[m]を一意に識別するための情報である。
また、工程情報とは、例えば、工程S[m]における作業内容と、生産ラインLNにおける工程S[m]の位置を示す工程位置情報と、工程S[m]において設備R及び作業者Hが存在するか否かを示す工程リソース情報と、工程S[m]の難易度を示す工程難易度情報と、工程S[m]において一つの部材Bに対する作業に許容される最大の時間長である工程実行許容時間Tth[m]と、を含む情報である。
このうち、工程位置情報は、例えば、生産ラインLNにおける工程S[m]の位置に対応する領域Ar[m]を示す工程対応領域情報と、領域Ar[m]の存在位置(存在範囲)を座標系ΣLにおいて表現した領域位置情報と、部材Bに対する工程S[m]に係る作業が開始される際に当該部材Bが存在する位置を示す工程開始位置情報と、部材Bに対する工程S[m]に係る作業が終了した際に当該部材Bが存在する位置を示す工程終了位置情報と、を含む情報である。
また、工程リソース情報は、例えば、工程S[m]に対応する設備R[m]が存在するか否かを示す設備有無情報と、工程S[m]に対応する作業者H[m]が存在するか否かを示す作業者有無情報と、を含む情報である。
【0095】
図11は、部材情報テーブルTBL8のデータ構成の一例を示す図である。
【0096】
図11に例示するように、部材情報テーブルTBL8は、検出装置CMまたは検査装置8から送信されてきた全ての部材報告情報と1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。部材情報テーブルTBL8の各レコードは、部材情報管理IDと、部材情報と、を記憶している。
【0097】
ここで、部材情報管理IDとは、検出装置CMまたは検査装置8から送信されてきた全ての部材報告情報の中から、各部材報告情報を一意に識別するための情報である。
また、部材情報とは、例えば、生産ラインLNにおいて生産される複数の製品BPに対応する複数の部材Bの中から、部材報告情報による報告の対象である部材B-nを一意に識別するための情報である部材IDと、検出装置CMまたは検査装置8が部材報告情報を送信した時刻と、部材報告情報により表される部材B-nの位置を示す部材位置情報と、部材報告情報により表される部材B-nの状態を示す部材状態情報と、を含む情報である。
【0098】
このうち、部材状態情報とは、例えば、部材報告情報による報告の対象である部材B-nが存在する工程S[m]を示す部材存在工程情報と、当該工程S[m]における部材B-nに対する作業の進捗状況を示す工程内作業進捗情報と、部材報告情報により表される部材B-nの品質を示す部材品質情報と、を含む情報である。
【0099】
本実施形態において、工程内作業進捗情報は、工程S[m]における部材B-nに対する作業が「開始」されようとしていることを示す値、工程S[m]における部材B-nに対する作業が「実行中」であることを示す値、及び、工程S[m]における部材B-nに対する作業が「終了」したことを示す値の、3つの値のうちの何れかを示すこととする。
なお、以下では、工程S[m]において部材Bに対する作業が開始される時刻を、工程開始時刻Tin[m]と称し、工程S[m]において部材Bに対する作業が終了する時刻を、工程終了時刻Tout[m]と称し、工程開始時刻Tin[m]から工程終了時刻Tout[m]までの時間を、工程実行時間Twk[m]と称する場合がある。
また、本実施形態において、部材品質情報は、部材B-nの品質が「正常」であることを示す値、部材B-nの品質が「異常」、すなわち、所定の品質よりも低い品質であることを示す値、及び、部材B-nの品質が「不明」であることを示す値の、3つの値のうちの何れかを示すこととする。
【0100】
取得部11は、検出装置CMまたは検査装置8から送信された部材報告情報を取得した場合、部材情報テーブルTBL8に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードに対して、部材報告情報により表される部材B-nの位置及び状態を示す部材情報を記憶させる。
【0101】
具体的には、取得部11は、検査装置8から送信された部材報告情報、すなわち、検査結果情報を取得した場合、部材情報テーブルTBL8に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードにおいて、部材位置情報として、検査装置8が設けられている位置を記憶させ、また、部材品質情報として、検査装置8による部材B-nの品質の検査結果を記憶させる。
この場合、取得部11は、部材品質情報として、部材B-nの品質が正常であることを示す値、または、部材B-nの品質が異常であることを示す値のうち、何れかの値を設定する。また、この場合、取得部11は、部材存在工程情報として、例えば、最後の工程S[M]を記憶させ、工程内作業進捗情報として、工程S[M]における部材B-nに対する作業が終了したことを示す値を記憶させる。
【0102】
他方、取得部11は、検出装置CMから送信された部材報告情報、すなわち、検出結果情報を取得した場合、部材情報テーブルTBL8に対して新たなレコードを作成し、当該新たなレコードにおいて、部材位置情報として、検出装置CMにより検出された部材B-nの位置を記憶させ、また、部材品質情報として、部材B-nの品質が不明であることを示す値を記憶させる。
この場合、取得部11は、部材位置情報の示す部材B-n[m]の位置が、領域Ar[m]のうち工程開始位置情報の示す範囲に含まれる場合には、工程内作業進捗情報として、工程S[m]における作業が「開始」である旨の値を設定する。また、この場合、取得部11は、部材位置情報の示す部材B-n[m]の位置が、領域Ar[m]のうち工程終了位置情報の示す範囲に含まれる場合には、工程内作業進捗情報として、工程S[m]における作業が「終了」である旨の値を設定する。また、この場合、取得部11は、部材位置情報の示す部材B-n[m]の位置が、領域Ar[m]のうち、工程開始位置情報の示す範囲及び工程終了位置情報の示す範囲とは異なる範囲に含まれる場合には、工程内作業進捗情報として、工程S[m]における作業が「実行中」である旨の値を設定してもよい。
【0103】
図12は、スケジュール情報テーブルTBL9のデータ構成の一例を示す図である。
【0104】
図12に例示するように、スケジュール情報テーブルTBL9は、生産ラインLNに含まれるM個の工程S[1]~S[M]において実行される全ての作業と1対1に対応する、1または複数のレコードを有する。スケジュール情報テーブルTBL9の各レコードは、スケジュールIDと、スケジュール情報と、を記憶している。
【0105】
ここで、スケジュールIDとは、M個の工程S[1]~S[M]において実行される全ての作業の中から、各作業を一意に識別するための情報である。
また、スケジュール情報とは、例えば、各作業の対象である部材B-nの部材IDと、各作業が実行される工程S[m]を示す作業予定工程情報と、各作業の開始予定時刻及び終了予定時刻を示す作業予定時間情報と、を含む情報である。
【0106】
なお、
図3に示す環境情報テーブルTBL10は、環境情報測定装置EVから送信された環境情報を記憶するためのテーブルである。取得部11は、環境情報測定装置EVから送信された環境情報を取得すると、取得した環境情報を、取得した時刻と関連付けた上で、環境情報テーブルTBL10に記憶させる。
【0107】
<<2.3.管理サーバのハードウェア構成の概要>>
図13は、管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0108】
図13に示すように、管理サーバ1は、管理サーバ1の各部を制御するプロセッサ1000と、各種情報を記憶するメモリ1001と、管理サーバ1の外部に存在する外部装置との通信を行うための通信装置1002と、管理サーバ1のオペレータによる操作を受け付けるための入力操作装置1003と、記録媒体から情報を読み込むためのディスク装置1004と、を備える。
【0109】
メモリ1001は、例えば、プロセッサ1000の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、管理サーバ1の制御プログラムPRG等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとを含み、記憶部20としての機能を提供する。
プロセッサ1000は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、メモリ1001に記憶された制御プログラムPRGを実行し、当該制御プログラムPRGに従って動作することで、制御部10として機能する。
通信装置1002は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの一方または双方を介して、管理サーバ1の外部に存在する外部装置との通信を行うためのハードウェアであり、通信部30としての機能を提供する。
入力操作装置1003は、例えば、操作ボタンであり、管理サーバ1のオペレータの操作を受け付ける操作部40としての機能を提供する。
ディスク装置1004は、例えば、光ディスク装置であり、光ディスク等の記録媒体に記録された制御プログラムPRG等の各種情報を読み込む情報読込部50としての機能を提供する。
【0110】
なお、プロセッサ1000は、CPUに加え、または、CPUに替えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)、等の、ハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。この場合、プロセッサ1000により実現される制御部10の一部または全部は、DSP等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0111】
<<3.管理サーバの動作の概要>>
以下、
図14乃至
図20を参照しつつ、管理サーバ1の動作の一例を説明する。
【0112】
<<3.1.管理処理の概要>>
図14は、管理サーバ1が管理処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、管理サーバ1のオペレータが、管理処理を開始させる旨の所定の操作を操作部40から入力した場合に、管理サーバ1が管理処理を開始させる。
【0113】
図14に示すように、管理処理が開始されると、取得部11は、記憶部20から生産ライン情報を取得する(S10)。
【0114】
そして、制御部10は、ステップS10において取得された生産ライン情報のうち、部材情報に基づいて、製品BP-nの品質が所定の品質以上の品質を有しているか否かを判定する(S12)。
具体的には、制御部10は、ステップS12において、製品BP-nに対応する部材品質情報が「正常」であるか否かを判定する。
【0115】
また、制御部10は、ステップS10において取得部11が取得した生産ライン情報のうち、部材情報とスケジュール情報とに基づいて、生産ラインLNにおける製品BP-nの生産に遅延が生じていないか否かを判定する(S14)。
なお、生産ラインLNにおける製品BP-nの生産の遅延とは、部材情報の示す製品BP-nの生産の実際の完了の時刻が、スケジュール情報の示す製品BP-nの生産の完了の予定時刻よりも、所定時間以上、遅れることである。
ここで、「製品BP-nの生産の実際の完了の時刻」とは、例えば、部材情報テーブルTBL8において、部材IDが製品BP-nに対応する値を示し、部材存在工程情報が最終の工程S[M]を示し、且つ、工程内作業進捗情報が「終了」を示すレコードに記録されている時刻である。
また、「製品BP-nの生産の完了の予定時刻」とは、例えば、スケジュール情報テーブルTBL9において、部材IDが製品BP-nに対応する値を示し、且つ、作業予定工程情報が最終の工程S[M]を示すレコードに記録されている作業予定時間情報の示す終了予定時刻である。
【0116】
そして、ステップS12における判定の結果が肯定の場合であって、且つ、ステップS14における判定の結果が肯定の場合において、制御部10は処理をステップS24に進める。
【0117】
他方、ステップS12における判定の結果が否定の場合、または、ステップS14における判定の結果が否定の場合において、制御部10は、品質低下要因解析処理を実行し(S16)、その後、遅延要因解析処理を実行し(S18)、その後、品質改善方針策定処理を実行し(S20)、その後、スケジュール改善方針策定処理を実行する(S22)。
【0118】
ここで、ステップS16の品質低下要因解析処理とは、製品BP-nが所定の品質よりも低い品質となった品質低下の原因を判定するとともに、製品BP-nが所定の品質よりも低い品質となった原因の工程S[m]である品質低下工程を特定する処理である。
また、ステップS18の遅延要因解析処理とは、製品BP-nの生産に遅延が生じた原因の工程S[m]である遅延工程を特定するとともに、当該遅延工程において遅延が生じた原因を判定する処理である。
また、ステップS20の品質改善方針策定処理とは、品質低下工程が存在する場合に、製品BP-nの品質を改善するための方針を策定する処理である。
また、ステップS22のスケジュール改善方針策定処理とは、遅延工程が存在する場合に、製品BP-nの生産における遅延を抑制するための方針を策定する処理である。
なお、品質改善方針策定処理とスケジュール改善方針策定処理の実行順序は逆転していてもよい。
【0119】
その後、制御部10は、管理処理が終了するか否かを判定する(S24)。そして、制御部10は、ステップS24における判定の結果が肯定の場合、
図14に示す管理処理を終了させる。また、制御部10は、ステップS24における判定の結果が否定の場合、処理をステップS10に進める。
【0120】
<<3.2.品質低下要因解析処理の概要>>
図15は、管理サーバ1が品質低下要因解析処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0121】
図15に示すように、品質低下要因解析処理が開始されると、品質影響度算出部141は、まず、変数mに対して「1」を設定する(S100)。
【0122】
次に、品質影響度算出部141は、工程S[m]に設備R[m]が存在しているか否かを判定する(S102)。
具体的には、品質影響度算出部141は、ステップS102において、例えば、工程情報テーブルTBL7のうち、工程IDが工程S[m]を示すレコードに記録されている工程リソース情報に含まれる設備有無情報を参照することで、工程S[m]に設備R[m]が存在しているか否かを判定すればよい。
なお、品質影響度算出部141は、ステップS102における判定の結果が否定の場合、処理をステップS108に進める。
【0123】
ところで、本実施形態では、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]、及び、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]として、以下の原因w1~w4が存在する場合を、一例として想定する。
(1)原因w1:設備Rの状態
(2)原因w2:作業者Hの状態
(3)原因w3:作業者Hの位置
(4)原因w4:前工程における品質低下
【0124】
「原因w1:設備Rの状態」とは、例えば、設備R[m]に不具合が生じているために、工程S[m]において品質低下または遅延が生じている場合である。ここで、設備R[m]に不具合が生じている場合とは、設備R[m]に対応する設備稼働情報が、「不安定」または「異常停止」を示す場合である。
【0125】
「原因w2:作業者Hの状態」とは、例えば、作業者Hに不具合が生じているために、工程S[m]において品質低下または遅延が生じている場合である。
なお、本実施形態では、一例として、作業者Hに不具合が生じている場合として、作業者Hの体調が良好ではない場合と、工程S[m]の難易度に比較して作業者Hのスキルレベルが低い場合と、の両方の概念を含むこととする。
ここで、作業者Hの体調が良好ではない場合とは、作業者Hに対応する作業者体調情報が「異常」または「不調」を示す場合である。
また、作業者Hのスキルレベルが低い場合とは、工程S[m]に対応する工程難易度情報の示す難易度から、作業者Hに対応する作業者スキル情報の示すスキルレベルを減算して得られる、スキル乖離値が所定の許容値よりも大きい場合である。
【0126】
「原因w3:作業者Hの位置」とは、例えば、本来であれば領域Ar[m]に存在すべき作業者Hが領域Ar[m]に存在しないために、工程S[m]において遅延が生じている場合である。
【0127】
「原因w4:前工程における品質低下」とは、例えば、工程S[m]の前工程、すなわち、工程S[1]~S[m-1]において品質低下が生じたために、工程S[m]において遅延が生じている場合である。
【0128】
なお、本実施形態では、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]、及び、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、原因w1~w4の何れにも該当しない場合には、説明の便宜上、これらの原因を、「原因w0:原因不明」として取り扱うこととする。
【0129】
また、本実施形態では、原因w0~w4のそれぞれに対して、影響係数k0~k4が定められている。
【0130】
影響係数k1とは、工程S[m]において、「原因w1:設備Rの状態」が存在する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延、または、生産ラインLNにおいて生産される製品BPの品質低下に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである。
本実施形態では、一例として、影響係数k1を、「k1>0」を満たす定数として定める。但し、影響係数k1は、設備R[m]の設備稼働情報が「異常停止」である場合に、設備R[m]の設備稼働情報が「不安定」である場合と比較して、大きい値に設定されてもよい。
【0131】
影響係数k2とは、工程S[m]において、「原因w2:作業者Hの状態」が存在する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延、または、生産ラインLNにおいて生産される製品BPの品質低下に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである。
本実施形態では、一例として、影響係数k2を、「k2>0」を満たす定数として定める。但し、影響係数k2は、作業者Hの作業者体調情報が「異常」である場合に、作業者Hの作業者体調情報が「不調」である場合と比較して、大きい値に設定されてもよい。また、影響係数k2は、スキル乖離値に応じた値に設定されてもよい。具体的には、影響係数k2は、スキル乖離値が大きい場合には、スキル乖離値が小さい場合と比較して、大きい値に設定されてもよい。
【0132】
影響係数k3とは、工程S[m]において、「原因w3:作業者Hの位置」が存在する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである。
本実施形態では、一例として、影響係数k3を、「k3>0」を満たす定数として定める。但し、影響係数k3は、領域Ar[m]に存在すべき作業者Hが実際に存在する位置と、領域Ar[m]との間の距離に応じた値に設定されてもよい。
【0133】
影響係数k4とは、工程S[m]において、「原因w4:前工程における品質低下」が存在する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである。
なお、工程S[m]に原因w4が存在する場合に、工程S[m]における遅延は、工程S[1]~S[m-1]における品質低下の影響を受けた結果に過ぎない。換言すれば、工程S[m]に原因w4が存在する場合であっても、工程S[1]~S[m-1]における品質低下が解消されれば、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響も解消されることになる。このため、本実施形態では、一例として、影響係数k4を、「k4=0」として定める。
【0134】
影響係数k0とは、工程S[m]において、「原因w0:原因不明」が存在する場合に、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響の大きさである。
本実施形態では、一例として、影響係数k0を、「k0>0」を満たす定数として定める。
【0135】
説明を
図15に戻す。
図15に示すように、ステップS102における判定の結果が肯定の場合において、品質影響度算出部141は、工程S[m]において、部材B-nに対する作業が実行されている際に、設備R[m]に不具合が生じているか否かを判定する(S104)。
具体的には、品質影響度算出部141は、ステップS104において、まず、部材情報テーブルTBL8のうち、工程S[m]において部材B-nに対する作業が「実行中」であることを示すレコードに記録されている時刻を取得する。また、品質影響度算出部141は、設備基本情報テーブルTBL1を参照することで、設備R[m]の設備IDを特定する。次に、品質影響度算出部141は、設備状態情報テーブルTBL3のうち、設備IDが設備R[m]に対応し、且つ、工程S[m]において部材B-nに対する作業が実行されている時刻が記録されているレコードを特定する。そして、品質影響度算出部141は、特定したレコードに記録されている設備稼働情報に基づいて、設備R[m]に不具合が生じているか否かを判定する。
本実施形態では、品質影響度算出部141が、ステップS104において、設備稼働情報が「不安定」または「異常停止」を示す場合に、設備R[m]に不具合が生じていると判定し、設備稼働情報が「正常」を示す場合に、設備R[m]に不具合が生じていないと判定する場合を、一例として想定する。
なお、品質影響度算出部141は、ステップS104における判定の結果が否定の場合、処理をステップS108に進める。
【0136】
ステップS104における判定の結果が肯定の場合、品質影響度算出部141は、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]を、「原因w1:設備Rの状態」と判定する(S106)。
【0137】
次に、品質影響度算出部141は、工程S[m]に作業者H[m]が存在しているか否かを判定する(S108)。
具体的には、品質影響度算出部141は、ステップS108において、例えば、作業者基本情報テーブルTBL4において、担当工程情報が工程S[m]を示すレコードが存在するか否かを判定することで、工程S[m]に作業者H[m]が存在しているか否かを判定すればよい。
なお、品質影響度算出部141は、ステップS108における判定の結果が否定の場合、処理をステップS114に進める。
【0138】
ステップS108における判定の結果が肯定の場合において、品質影響度算出部141は、工程S[m]において、部材B-nに対する作業が実行されている際に、作業者H[m]に不具合が生じているか否かを判定する(S110)。
具体的には、品質影響度算出部141は、ステップS110において、作業者H[m]の体調が不良であるか否かの判定と、作業者H[m]のスキルレベルが低いか否かの判定と、を実行する。
より具体的には、品質影響度算出部141は、作業者H[m]の体調が不良であるか否かの判定を行う場合において、まず、部材情報テーブルTBL8のうち、工程S[m]において部材B-nに対する作業が「実行中」であることを示すレコードに記録されている時刻を取得する。また、品質影響度算出部141は、作業者基本情報テーブルTBL4を参照することで、作業者H[m]の作業者IDを特定する。次に、品質影響度算出部141は、作業者状態情報テーブルTBL6のうち、作業者IDが作業者H[m]に対応し、且つ、工程S[m]において部材B-nに対する作業が実行されている時刻が記録されているレコードを特定する。そして、品質影響度算出部141は、特定したレコードに記録されている作業者体調情報に基づいて、作業者H[m]に体調不良が生じているか否かを判定する。具体的には、品質影響度算出部141は、作業者体調情報が「異常」または「不調」を示す場合に、作業者H[m]に不具合が生じていると判定する。
また、品質影響度算出部141は、作業者H[m]のスキルレベルが低いか否かの判定を行う場合において、まず、工程情報テーブルTBL7を参照することで、工程S[m]の工程難易度情報を取得する。また、品質影響度算出部141は、作業者基本情報テーブルTBL4を参照することで、作業者H[m]の作業者スキル情報を取得する。次に、品質影響度算出部141は、工程S[m]に対応する工程難易度情報の示す難易度から、作業者H[m]に対応する作業者スキル情報の示すスキルレベルを減算することで、スキル乖離値を算出する。そして、品質影響度算出部141は、スキル乖離値が所定の許容値よりも大きい場合に、作業者H[m]に不具合が生じていると判定する。
他方、品質影響度算出部141は、作業者体調情報が「正常」を示し、且つ、スキル乖離値が所定の許容値以下の場合に、業者H[m]に不具合が生じていないと判定する。
なお、品質影響度算出部141は、ステップS110における判定の結果が否定の場合、処理をステップS114に進める。
【0139】
ステップS110における判定の結果が肯定の場合、品質影響度算出部141は、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]を、「原因w2:作業者Hの状態」と判定する(S112)。
【0140】
次に、品質影響度算出部141は、工程S[m]における品質影響度α[m]を算出する(S114)。
具体的には、ステップS114において、品質影響度算出部141は、まず、品質影響度α[m]に対して、基準値αdefを設定する。ここで、基準値αdefとは、工程S[m]に原因w0~w4が存在しないと仮定した場合の品質影響度α[m]である。工程S[m]に原因w0~w4が存在しない場合、生産ラインLNにおいて生産される製品BPの品質の低下に対して、工程S[m]が与える影響も存在しない。このため、本実施形態では、一例として、基準値αdefを、「αdef=0」として定める。
そして、品質影響度算出部141は、ステップS106において、原因Wα[m]が「原因w1:設備Rの状態」である旨の判定がなされた場合、品質影響度α[m]に対して、影響係数k1を加算する。また、品質影響度算出部141は、ステップS112において、原因Wα[m]が「原因w2:作業者Hの状態」である旨の判定がなされた場合、品質影響度α[m]に対して、影響係数k2を加算する。例えば、品質影響度算出部141は、ステップS106及びS112において、原因Wα[m]が原因w1且つ原因w2である旨の判定がなされた場合、品質影響度α[m]を、「αdef+k1+k2」に設定する。
このように、品質影響度算出部141は、品質影響度α[m]を、工程S[m]において品質低下が生じている場合に、品質低下が生じていない場合と比較して、大きい値に設定する。また、品質影響度算出部141は、品質影響度α[m]を、工程S[m]において生じている品質低下が、複数の原因に起因する場合に、単一の原因に起因する場合と比較して、大きい値に設定する。
【0141】
その後、品質影響度算出部141は、変数mが、「m<M」を充足するか否かを判定する(S116)。
【0142】
そして、品質影響度算出部141は、ステップS116における判定の結果が肯定の場合、変数mに対して「1」を加算し(S118)、処理をステップS102に進める。
【0143】
他方、品質低下工程特定部121は、ステップS116における判定の結果が否定の場合、品質低下要因解析処理において算出された品質影響度α[1]~α[M]のうち、閾値αthよりも大きい品質影響度α[m]に対応する工程S[m]を、品質低下工程として特定し(S120)、品質低下要因解析処理を終了させる。
【0144】
<<3.3.遅延要因解析処理の概要>>
図16は、管理サーバ1が遅延要因解析処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0145】
図16に示すように、遅延要因解析処理が開始されると、遅延工程特定部122は、まず、変数mに対して「1」を設定する(S200)。
【0146】
次に、遅延工程特定部122は、工程実行時間Twk[m]と、工程実行許容時間Tth[m]とが、「Twk[m]≧Tth[m]」を満たすか否かを判定する(S202)。
具体的には、遅延工程特定部122は、ステップS202において、まず、部材情報テーブルTBL8を参照することで、工程S[m]における部材B-nに対する工程開始時刻Tin[m]と、工程S[m]における部材B-nに対する工程終了時刻Tout[m]とを特定する。そして、遅延工程特定部122は、工程終了時刻Tout[m]から工程開始時刻Tin[m]を減算することで、工程S[m]における部材B-nに対する工程実行時間Twk[m]を算出する。また、遅延工程特定部122は、工程情報テーブルTBL7を参照することで、工程S[m]に対応する工程実行許容時間Tth[m]を特定する。そして、遅延工程特定部122は、工程実行時間Twk[m]が工程実行許容時間Tth[m]以上であるか否かを判定する。
なお、遅延工程特定部122は、ステップS202における判定の結果が否定の場合、処理をステップS216に進める。
【0147】
ステップS202における判定の結果が肯定の場合、遅延工程特定部122は、工程S[m]を遅延工程として特定する(S204)。
【0148】
次に、遅延原因判定部13は、工程S[m]に設備R[m]が存在しているか否かを判定する(S206)。
なお、遅延原因判定部13は、ステップS206における判定の結果が否定の場合、処理をステップS212に進める。
【0149】
ステップS206における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、設備R[m]に不具合が生じているか否かを判定する(S208)。
なお、遅延原因判定部13は、ステップS208における判定の結果が否定の場合、処理をステップS212に進める。
【0150】
ステップS208における判定の結果が肯定の場合、設備R[m]に生じた不具合への対応状況を解析する処理である、設備状況解析処理を実行する(S210)。
【0151】
図17は、管理サーバ1が設備状況解析処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0152】
図17に示すように、設備状況解析処理において、遅延原因判定部13は、まず、工程S[m]に対応する領域Ar[m]に、任意の作業者H[mx]が存在しないか否かを判定する(S240)。ここで、変数mxは、「1≦mx≦M」を満たす自然数である。変数mxは、変数mと等しい値であってもよいし、変数mとは異なる値であってもよい。
なお、変数mxが変数mと等しい値である場合、すなわち、作業者H[mx]が作業者H[m]である場合とは、例えば、工程S[m]を担当する作業者H[m]が、設備R[m]に生じた不具合への対応を実施していることを意味する。他方、変数mxが変数mとは異なる値である場合、すなわち、作業者H[mx]が作業者H[m]ではない場合とは、例えば、他の工程S[mx]を担当する作業者H[mx]が、領域Ar[m]に駆けつけ、設備R[m]に生じた不具合への対応を実施していることを意味する。
【0153】
ステップS240における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w1:設備Rの状態」、及び、「原因w3:作業者Hの位置」であると判定し(S242)、設備状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS242において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、設備R[m]に不具合が生じたという原因に加えて、設備R[m]に生じた不具合に対して、生産ラインLNに存在する作業者Hが誰も対応していないという原因が存在する旨の判定を行う。
【0154】
ステップS240における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、作業者H[mx]に不具合が生じているか否かを判定する(S244)。
【0155】
ステップS244における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w1:設備Rの状態」、及び、「原因w2:作業者Hの状態」であると判定し(S246)、設備状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS246において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、設備R[m]に不具合が生じたという原因に加えて、設備R[m]の不具合を解消する対応をしている作業者H[mx]に不具合が存在するという原因が存在する旨の判定を行う。
【0156】
ステップS244における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[1]~S[m-1]に品質低下工程が存在するか否かを判定する(S248)。
【0157】
ステップS248における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w1:設備Rの状態」、及び、「原因w4:前工程における品質低下」であると判定し(S250)、設備状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS250において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、設備R[m]に不具合が生じたという原因と、前工程S[1]~S[m-1]において生じた品質低下の影響により、設備R[m]の不具合が悪化しているという原因と、が存在する旨の判定を行う。
なお、遅延原因判定部13は、ステップS250において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、前工程S[1]~S[m-1]において生じた品質低下の影響により、設備R[m]に不具合が生じたという原因である旨の判定をしてもよい。
また、遅延原因判定部13は、ステップS250において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、「原因w4:前工程における品質低下」であると判定し、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、「原因w1:設備Rの状態」を含まない旨の判定をしてもよい。
【0158】
ステップS248における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、単純に、「原因w1:設備Rの状態」であると判定し(S252)、設備状況解析処理を終了させる。
【0159】
説明を
図16に戻す。
図16に示すように、遅延原因判定部13は、工程S[m]に作業者H[m]が存在しているか否かを判定する(S212)。
なお、遅延原因判定部13は、ステップS212における判定の結果が否定の場合、処理をステップS216に進める。
【0160】
ステップS212における判定の結果が肯定の場合、作業者H[m]の状況を解析する処理である、作業者状況解析処理を実行する(S214)。
【0161】
図18は、管理サーバ1が作業者状況解析処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0162】
図18に示すように、作業者状況解析処理において、遅延原因判定部13は、まず、工程S[m]に対応する領域Ar[m]に、作業者H[m]が存在しないか否かを判定する(S260)。
【0163】
ステップS260における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w3:作業者Hの位置」であると判定し(S262)、作業者状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS262において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、作業者H[m]が工程S[m]における作業を行っていないという原因である旨の判定を行う。
【0164】
ステップS260における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、作業者H[m]に不具合が生じているか否かを判定する(S264)。
【0165】
ステップS264における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w2:作業者Hの状態」であると判定し(S266)、作業者状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS266において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、工程S[m]において作業を行う作業者H[m]に不具合が存在するという原因である旨の判定を行う。
【0166】
ステップS264における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[1]~S[m-1]に品質低下工程が存在するか否かを判定する(S268)。
【0167】
ステップS268における判定の結果が肯定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w4:前工程における品質低下」であると判定し(S270)、作業者状況解析処理を終了させる。
より具体的に説明すると、遅延原因判定部13は、ステップS270において、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]が、前工程S[1]~S[m-1]において生じた品質低下の影響により、作業者H[m]による作業の効率が悪化しているという原因である旨の判定を行う。
【0168】
ステップS268における判定の結果が否定の場合、遅延原因判定部13は、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、「原因w0:原因不明」であると判定し(S272)、作業者状況解析処理を終了させる。
なお、遅延原因判定部13は、ステップS272において、取得部11が環境情報測定装置EVから取得した環境情報の示す物理量が、予め定められた適正範囲から外れているか否かを判定し、当該判定の結果が肯定の場合には、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を、生産ラインLNの設けられた環境が不適切であるという原因である旨の判定を行ってもよい。
【0169】
説明を
図16に戻す。
図16に示すように、スケジュール影響度算出部142は、工程S[m]におけるスケジュール影響度β[m]を算出する(S216)。
具体的には、ステップS216において、スケジュール影響度算出部142は、まず、スケジュール影響度β[m]に対して、基準値βdefを設定する。ここで、基準値βdefとは、工程S[m]に原因w0~w4が存在しないと仮定した場合のスケジュール影響度β[m]である。工程S[m]に原因w0~w4が存在しない場合、仮に、工程S[m]における工程実行時間Twk[m]が、工程実行許容時間Tth[m]以上であったとしても、工程S[m]における遅延は一時的なものであり、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延に対して、工程S[m]が与える影響も一時的なものに過ぎない。このため、本実施形態では、一例として、工程実行時間Twk[m]から工程実行許容時間Tth[m]を減算した、超過実行時間ΔTwk[m]を基準値βdefに設定する。但し、基準値βdefは、「βdef=0」として定められてもよい。
そして、スケジュール影響度算出部142は、原因Wβ[m]が「原因w1:設備Rの状態」である旨の判定がなされた場合、スケジュール影響度β[m]に対して、影響係数k1を加算し、原因Wβ[m]が「原因w2:作業者Hの状態」である旨の判定がなされた場合、スケジュール影響度β[m]に対して、影響係数k2を加算し、原因Wβ[m]が「原因w3:作業者Hの位置」である旨の判定がなされた場合、スケジュール影響度β[m]に対して、影響係数k3を加算し、原因Wβ[m]が「原因w4:前工程における品質低下」である旨の判定がなされた場合、スケジュール影響度β[m]に対して、影響係数k4を加算し、原因Wβ[m]が「原因w0:原因不明」である旨の判定がなされた場合、スケジュール影響度β[m]に対して、影響係数k0を加算する。
このように、スケジュール影響度算出部142は、スケジュール影響度β[m]を、工程S[m]において遅延が生じている場合に、遅延が生じていない場合と比較して、大きい値に設定する。また、スケジュール影響度算出部142は、スケジュール影響度β[m]を、工程S[m]において生じている遅延が、複数の原因に起因する場合に、単一の原因に起因する場合と比較して、大きい値に設定する。
【0170】
その後、遅延工程特定部122は、変数mが、「m<M」を充足するか否かを判定する(S218)。
そして、遅延工程特定部122は、ステップS218における判定の結果が肯定の場合、変数mに対して「1」を加算し(S220)、処理をステップS202に進める。
他方、遅延工程特定部122は、ステップS218における判定の結果が否定の場合、遅延要因解析処理を終了させる。
【0171】
<<3.4.品質改善方針策定処理の概要>>
図19は、管理サーバ1が品質改善方針策定処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0172】
図19に示すように、品質改善方針策定処理が開始されると、制御部10は、まず、変数mに対して「1」を設定する(S300)。
【0173】
次に、品質影響度算出部141は、品質低下要因解析処理で算出した品質影響度α[1]~α[M]の合計値である、全体品質影響度αALLを算出する(S302)。
【0174】
また、スケジュール影響度算出部142は、遅延要因解析処理で算出したスケジュール影響度β[1]~β[M]の合計値である、全体スケジュール影響度βALLを算出する(S304)。
【0175】
次に、代替作業者選択部15は、工程S[m]が品質低下工程であるか否かを判定する(S306)。
なお、代替作業者選択部15は、ステップS306における判定の結果が否定の場合、処理をステップS322に進める。
【0176】
ステップS306における判定の結果が肯定の場合、代替作業者選択部15は、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]が、「原因w2:作業者Hの状態」であるか否かを判定する(S308)。
なお、代替作業者選択部15は、ステップS308における判定の結果が否定の場合、処理をステップS322に進める。
【0177】
ステップS308における判定の結果が肯定の場合、代替作業者選択部15は、工程S[m]における作業を作業者H[m]の代わりに実行可能な代替作業者H[m+]を選択する(S310)。
具体的には、代替作業者選択部15は、ステップS310において、例えば、生産ラインLNに存在する1または複数の作業者Hの中から、作業者スキル情報の示すスキルレベルが工程難易度情報の示す工程S[m]の難易度以上であること、作業者体調情報の示す現在時刻における体調が「良好」であること、及び、作業者位置情報の示す現在時刻における位置が領域Ar[m]から所定の距離以下であること、のうち、一部または全部の条件を満たす作業者Hを、代替作業者H[m+]として選択する。
【0178】
次に、品質影響判定部161は、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代した場合における、全体品質影響度αALL+を算出する(S312)。
具体的には、品質影響判定部161は、ステップS312において、まず、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代したと仮定することで、品質影響度α[m]及びα[m+]を更新する。次に、品質影響判定部161は、更新後の品質影響度α[m]及びα[m+]を含む品質影響度α[1]~α[M]の合計値を、全体品質影響度αALL+として算出する。
【0179】
次に、品質影響判定部161は、全体品質影響度αALL+が全体品質影響度αALL以下であるか否かを判定する(S314)。
なお、品質影響判定部161は、ステップS314における判定の結果が否定の場合、処理をステップS322に進める。
【0180】
ステップS314における判定の結果が肯定の場合、スケジュール影響判定部162は、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代した場合における、全体スケジュール影響度βALL+を算出する(S316)。
具体的には、スケジュール影響判定部162は、ステップS316において、まず、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代したと仮定することで、スケジュール影響度β[m]及びβ[m+]を更新する。次に、スケジュール影響判定部162は、更新後のスケジュール影響度β[m]及びβ[m+]を含むスケジュール影響度β[1]~β[M]の合計値を、全体スケジュール影響度βALL+として算出する。
【0181】
次に、スケジュール影響判定部162は、全体スケジュール影響度βALL+から全体スケジュール影響度βALLを減算した差分値が、非負の閾値βo以下であるか否かを判定する(S318)。
なお、品質影響判定部161は、ステップS318における判定の結果が否定の場合、処理をステップS322に進める。
【0182】
ステップS318における判定の結果が肯定の場合、代替作業者提案部17は、工程S[m]における作業を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に変更する旨の提案を行う(S320)。
なお、代替作業者提案部17は、管理サーバ1のオペレータが操作部40を操作して、代替作業者提案部17による提案を受け入れた場合、全体品質影響度αALL+により全体品質影響度αALLを更新し、且つ、全体スケジュール影響度βALL+により全体スケジュール影響度βALLを更新してもよい。
【0183】
その後、制御部10は、変数mが、「m<M」を充足するか否かを判定する(S322)。
そして、制御部10は、ステップS322における判定の結果が肯定の場合、変数mに対して「1」を加算し(S324)、処理をステップS306に進める。
他方、制御部10は、ステップS322における判定の結果が否定の場合、品質改善方針策定処理を終了させる。
【0184】
<<3.5.スケジュール改善方針策定処理の概要>>
図20は、管理サーバ1がスケジュール改善方針策定処理を実行する場合における、管理サーバ1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0185】
図20に示すように、スケジュール改善方針策定処理が開始されると、制御部10は、まず、変数mに対して「1」を設定する(S400)。
【0186】
次に、品質影響度算出部141は、品質影響度α[1]~α[M]の合計値である、全体品質影響度αALLを算出する(S402)。
なお、品質影響度算出部141は、品質改善方針策定処理において、全体品質影響度αALLが更新されていない場合には、ステップS402の処理を省略してもよい。
【0187】
また、スケジュール影響度算出部142は、スケジュール影響度β[1]~β[M]の合計値である、全体スケジュール影響度βALLを算出する(S404)。
なお、スケジュール影響度算出部142は、品質改善方針策定処理において、全体スケジュール影響度βALLが更新されていない場合には、ステップS404の処理を省略してもよい。
【0188】
次に、代替作業者選択部15は、工程S[m]が遅延工程であるか否かを判定する(S406)。
なお、代替作業者選択部15は、ステップS406における判定の結果が否定の場合、処理をステップS422に進める。
【0189】
ステップS406における判定の結果が肯定の場合、代替作業者選択部15は、工程S[m]における遅延の原因Wα[m]が、「原因w2:作業者Hの状態」、または、「原因w3:作業者Hの位置」であるか否かを判定する(S408)。
なお、代替作業者選択部15は、ステップS408における判定の結果が否定の場合、処理をステップS422に進める。
【0190】
ステップS408における判定の結果が肯定の場合、代替作業者選択部15は、工程S[m]における作業を作業者H[m]の代わりに実行可能な代替作業者H[m+]を選択する(S410)。
【0191】
次に、スケジュール影響判定部162は、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代した場合における、全体スケジュール影響度βALL+を算出する(S412)。
【0192】
次に、スケジュール影響判定部162は、全体スケジュール影響度βALL+が全体スケジュール影響度βALL以下であるか否かを判定する(S414)。
なお、スケジュール影響判定部162は、ステップS414における判定の結果が否定の場合、処理をステップS422に進める。
【0193】
ステップS414における判定の結果が肯定の場合、品質影響判定部161は、工程S[m]を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に交代した場合における、全体品質影響度αALL+を算出する(S416)。
【0194】
次に、品質影響判定部161は、全体品質影響度αALL+から全体品質影響度αALLを減算した差分値が、非負の閾値αo以下であるか否かを判定する(S418)。
なお、品質影響判定部161は、ステップS418における判定の結果が否定の場合、処理をステップS422に進める。
【0195】
ステップS418における判定の結果が肯定の場合、代替作業者提案部17は、工程S[m]における作業を担当する作業者Hを、作業者H[m]から代替作業者H[m+]に変更する旨の提案を行う(S420)。
なお、代替作業者提案部17は、管理サーバ1のオペレータが操作部40を操作して、代替作業者提案部17による提案を受け入れた場合、全体品質影響度αALL+により全体品質影響度αALLを更新し、且つ、全体スケジュール影響度βALL+により全体スケジュール影響度βALLを更新してもよい。
【0196】
その後、制御部10は、変数mが、「m<M」を充足するか否かを判定する(S422)。
そして、制御部10は、ステップS422における判定の結果が肯定の場合、変数mに対して「1」を加算し(S424)、処理をステップS406に進める。
他方、制御部10は、ステップS422における判定の結果が否定の場合、スケジュール改善方針策定処理を終了させる。
【0197】
<<4.第1実施形態の結論>>
以上において説明したように、本実施形態によれば、取得部11が、作業者情報と、部材情報と、設備情報とを含む生産ライン情報を取得する。このため、本実施形態によれば、例えば、取得部11が、設備情報のみを取得する場合と比較して、品質低下要因解析処理において、品質低下工程を正確に特定することが可能となり、また、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]を正確に判定することが可能となる。
【0198】
また、本実施形態によれば、取得部11が、作業者情報と、部材情報と、設備情報とを含む生産ライン情報を取得するため、例えば、取得部11が、設備情報のみを取得する場合と比較して、遅延要因解析処理において、遅延工程を正確に特定することが可能となり、また、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を正確に判定することが可能となる。
【0199】
また、本実施形態によれば、品質改善方針策定処理において、全体品質影響度αALL及び全体スケジュール影響度βALLの両方を考慮しつつ、代替作業者H[m+]への交代を提案するため、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延を抑制しつつ、生産ラインLNで生産される製品BPの品質を向上させるような作業者Hの交代を提案することができる。
【0200】
また、本実施形態によれば、スケジュール改善方針策定処理において、全体品質影響度αALL及び全体スケジュール影響度βALLの両方を考慮しつつ、代替作業者H[m+]への交代を提案するため、生産ラインLNで生産される製品BPの品質の低下を抑制しつつ、生産ラインLNにおける製品BPの生産の遅延を解消させるような作業者Hの交代を提案することができる。
【0201】
<<B.第2実施形態>>
以下、本発明の第2実施形態を説明する。
なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0202】
第2実施形態は、管理処理において、品質低下要因解析処理、及び、品質改善方針策定処理が実行される点において、第1実施形態と同様であるが、遅延要因解析処理、及び、スケジュール改善方針策定処理が実行されない点において、第1実施形態と相違する。
【0203】
図21は、第2実施形態に係る管理サーバ1Aの機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、第2実施形態に係る生産システムは、管理サーバ1の代わりに、管理サーバ1Aが設けられている点を除き、
図1に示す生産システムSYSと同様である。
【0204】
図21に示すように、管理サーバ1Aは、制御部10の代わりに、制御部10Aを備える点を除き、
図3に示す管理サーバ1と同様である。
制御部10Aは、遅延工程特定部122、遅延原因判定部13、スケジュール影響度算出部142、及び、スケジュール影響判定部162を備えない点を除き、制御部10と同様である。
【0205】
図22は、第2実施形態に係る管理処理を実行する場合における、管理サーバ1Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図22に示すように、第2実施形態に係る管理処理は、ステップS18に係る遅延要因解析処理を実行しない点と、ステップS22に係るスケジュール改善方針策定処理を実行しない点と、を除き、
図14に示す第1実施形態に係る管理処理と同様である。
なお、ステップS16で実行される品質低下要因解析処理は、
図15に示す第1実施形態に係る品質低下要因解析処理と同様である。
【0206】
図23は、第2実施形態に係る品質改善方針策定処理を実行する場合における、管理サーバ1Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図23に示すように、第2実施形態に係る品質改善方針策定処理は、ステップS304、S316、及び、S318を実行しない点を除き、
図19に示す第1実施形態に係る品質改善方針策定処理と同様である。
【0207】
以上のように、本実施形態によれば、取得部11が、作業者情報と、部材情報と、設備情報とを含む生産ライン情報を取得するため、例えば、取得部11が、設備情報のみを取得する場合と比較して、品質低下要因解析処理において、品質低下工程を正確に特定することが可能となり、また、工程S[m]における品質低下の原因Wα[m]を正確に判定することが可能となる。
【0208】
なお、本実施形態において、品質低下工程特定部121は、「特定部」の一例であり、品質影響度算出部141は、「算出部」の一例であり、ステップS104における判定は、「第4の判定」の一例であり、ステップS110における判定は、「第5の判定」の一例である。
【0209】
<<C.第3実施形態>>
以下、本発明の第3実施形態を説明する。
【0210】
第3実施形態は、管理処理において、遅延要因解析処理、及び、スケジュール改善方針策定処理が実行される点において、第1実施形態と同様であるが、品質低下要因解析処理、及び、品質改善方針策定処理が実行されない点において、第1実施形態と相違する。
【0211】
図24は、第3実施形態に係る管理サーバ1Bの機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、第3実施形態に係る生産システムは、管理サーバ1の代わりに、管理サーバ1Bが設けられている点を除き、
図1に示す生産システムSYSと同様である。
【0212】
図24に示すように、管理サーバ1Bは、制御部10の代わりに、制御部10Bを備える点を除き、
図3に示す管理サーバ1と同様である。
制御部10Bは、品質低下工程特定部121、品質影響度算出部141、及び、品質影響判定部161を備えない点を除き、制御部10と同様である。
【0213】
図25は、第3実施形態に係る管理処理を実行する場合における、管理サーバ1Bの動作の一例を示すフローチャートである。
図25に示すように、第3実施形態に係る管理処理は、ステップS16に係る品質低下要因解析処理を実行しない点と、ステップS20に係る品質改善方針策定処理を実行しない点と、を除き、
図14に示す第1実施形態に係る管理処理と同様である。
【0214】
ステップS18で実行される遅延要因解析処理は、
図16に示す第1実施形態に係る遅延要因解析処理と同様である。
但し、第3実施形態に係る設備状況解析処理(S210)は、ステップS248、及び、S250を実行しない点で、
図17に示す第1実施形態に係る設備状況解析処理と相違する。
また、第3実施形態に係る作業者状況解析処理(S214)は、ステップS268、及び、S270を実行しない点で、
図18に示す第1実施形態に係る作業者状況解析処理と相違する。
【0215】
図26は、第3実施形態に係るスケジュール改善方針策定処理を実行する場合における、管理サーバ1Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図26に示すように、第3実施形態に係るスケジュール改善方針策定処理は、ステップS402、S416、及び、S418を実行しない点を除き、
図20に示す第1実施形態に係るスケジュール改善方針策定処理と同様である。
【0216】
以上のように、本実施形態によれば、取得部11が、作業者情報と、部材情報と、設備情報とを含む生産ライン情報を取得するため、例えば、取得部11が、設備情報のみを取得する場合と比較して、遅延要因解析処理において、遅延工程を正確に特定することが可能となり、また、工程S[m]における遅延の原因Wβ[m]を正確に判定することが可能となる。
【0217】
なお、本実施形態において、遅延工程特定部122は、「特定部」の一例であり、遅延原因判定部13は、「判定部」の一例であり、代替作業者選択部15は、「選択部」の一例であり、スケジュール影響判定部162は、「乖離判定部」の一例であり、代替作業者提案部17は、「提案部」の一例であり、ステップS208における判定は、「第1の判定」の一例であり、ステップS212、S240、及び、S260における判定は、「第2の判定」の一例であり、ステップS244、及び、S264における判定は、「第3の判定」の一例である。
【0218】
<<D.第4実施形態>>
以下、本発明の第4実施形態を説明する。
【0219】
第4実施形態に係る生産システムは、表示装置7に設けられた表示部71において、生産ラインLNを再現した仮想生産ラインVLN(「仮想空間」の一例)を表示可能な点を特徴とする。
【0220】
図27は、第4実施形態に係る管理サーバ1Cの機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、第4実施形態に係る生産システムは、管理サーバ1の代わりに、管理サーバ1Cが設けられている点を除き、
図1に示す生産システムSYSと同様である。
【0221】
図27に示すように、管理サーバ1Cは、制御部10の代わりに、制御部10Cを備える点を除き、
図3に示す管理サーバ1と同様である。
制御部10Cは、指示受付部181と、再現情報生成部182と、表示制御部183と、を備える点を除き、制御部10と同様である。
【0222】
指示受付部181(「受付部」の一例)は、管理サーバ1Cのオペレータが操作部40を操作することで入力する指示を受け付ける。
再現情報生成部182(「生成部」の一例)は、生産ライン情報に基づいて、生産ラインLNの経時的な動きを再現するための再現情報を生成する。
表示制御部183は、再現情報に基づいて、表示部71に対して、仮想生産ラインVLNを表示させる。
【0223】
図28乃至
図30は、
図2に示す生産ラインLNの時刻t1から時刻t9に至る動作を、表示部71において再現した仮想生産ラインVLNの一例(以下、「表示例」と称する)である。
【0224】
図28乃至
図30に示すように、仮想生産ラインVLNは、作業者H[m]を表す作業者画像GH[m]と、部材B-nを表す部材画像GB-nと、設備R[m]を表す設備画像GR[m]と、を含む。また、仮想生産ラインVLNには、作業者H[m]、部材B-n、または、設備R[m]において不具合が発生した場合、当該不具合が発生したことを示す不具合画像GFが表示される。
【0225】
図28乃至
図30に示す表示例では、時刻t1において、部材画像GB-1により表される部材B-1が生産ラインLNに供給される様子が表示される。
また、表示例では、時刻t2において、部材画像GB-1により表される部材B-1が工程S[1]に供給され、設備画像GR[1]により表される設備R[1]が、部材B-1に対して作業を行う様子が表示される。
また、表示例では、時刻t3において、部材画像GB-2により表される部材B-2が生産ラインLNに供給される様子が表示される。
【0226】
また、表示例では、時刻t4において、部材画像GB-1により表される部材B-1が工程S[2]に供給され、作業者画像GH[2]により表される作業者H[2]が、部材B-1に対して作業を行い、また、部材画像GB-2により表される部材B-2が工程S[1]に供給され、設備画像GR[1]により表される設備R[1]が、部材B-2に対して作業を行う様子が表示される。
また、表示例では、時刻t5において、部材画像GB-3により表される部材B-3が生産ラインLNに供給され、また、設備画像GR[1]により表される設備R[1]に不具合が生じたことを示す不具合画像GFが表示される。
また、表示例では、時刻t6において、作業者画像GH[2]により表される作業者H[2]が、設備画像GR[1]により表される設備R[1]に生じた不具合への対応をしている様子が表示される。なお、表示例では、時刻t6において、設備R[1]に不具合が生じているため、工程S[1]が停止し、作業者H[2]が工程S[2]から離れているため、工程S[2]も停止している様子が表示される。
【0227】
また、表示例では、時刻t7において、部材画像GB-4により表される部材B-4が生産ラインLNに供給され、また、設備画像GR[1]により表される設備R[1]に生じた不具合が継続していることを示す不具合画像GFが表示される。なお、表示例では、時刻t7において、工程S[1]及び工程S[2]の停止が継続している様子が表示される。
また、表示例では、時刻t8において、設備画像GR[1]により表される設備R[1]に生じた不具合が解消されて不具合画像GFが消え、また、作業者H[2]が工程S[2]に戻った様子が表示される。そして、表示例では、時刻t8において、工程S[1]及び工程S[2]が再開され、作業者画像GH[2]により表される作業者H[2]が、部材B-2に対して作業を行い、また、設備画像GR[1]により表される設備R[1]が、部材B-3に対して作業を行う様子が表示される。
また、表示例では、時刻t9において、部材画像GB-1により表される部材B-1(製品BP-1)に不具合が生じたことを示す、不具合画像GFが表示される。
【0228】
以上のように、本実施形態では、生産ラインLNの経時的な動きを再現した仮想生産ラインVLNが、表示部71に表示される。このため、管理サーバ1Cのオペレータは、生産ラインLNにおける、部材B-n、作業者H[m]、及び、設備R[m]の経時的な動きを容易に確認することができる。これにより、本実施形態では、生産ラインLNにおいて不具合が生じた場合に、当該不具合に対して作業者H[m]がどのように対応したかについて、容易に把握することができ、また、当該不具合が、生産ラインLNにおける製品BPの生産に対して、どのような影響を与えたかについて、容易に把握することができる。
【0229】
なお、本実施形態に係る表示例では、仮想生産ラインVLNは、生産ラインLN全体の経時的な動きを表すが、仮想生産ラインVLNは、生産ラインLNのうち、一部の構成要素についての経時的な動きを表してもよいし、また、仮想生産ラインVLNは、生産ラインLNの動作期間のうち、一部の期間についての動きを表してもよい。
【0230】
例えば、指示受付部181が、管理サーバ1Cのオペレータが操作部40を操作して入力した、作業者H[m]を指定する指示(「第1指示」の一例)を受け付けた場合において、再現情報生成部182は、作業者H[m]の経時的な動きを示す作業者再現情報(「第1再現情報」の一例)を生成してもよい。この場合、表示制御部183は、作業者再現情報に基づいて、仮想生産ラインVLNにおいて、作業者H[m]の経時的な動きを表す。
【0231】
また、指示受付部181が、管理サーバ1Cのオペレータが操作部40を操作して入力した、部材B-nを指定する指示(「第2指示」の一例)を受け付けた場合において、再現情報生成部182は、部材B-nの経時的な動きを示す部材再現情報(「第2再現情報」の一例)を生成してもよい。この場合、表示制御部183は、部材再現情報に基づいて、仮想生産ラインVLNにおいて、部材B-nの経時的な動きを表す。
【0232】
また、指示受付部181が、管理サーバ1Cのオペレータが操作部40を操作して入力した、設備R[m]を指定する指示(「第3指示」の一例)を受け付けた場合において、再現情報生成部182は、設備R[m]の経時的な動きを示す設備再現情報(「第3再現情報」の一例)を生成してもよい。この場合、表示制御部183は、設備再現情報に基づいて、仮想生産ラインVLNにおいて、設備R[m]の経時的な動きを表す。
【符号の説明】
【0233】
1…管理サーバ、7…表示装置、8…検査装置、9…アクセスポイント、10…制御部、11…取得部、12…工程特定部、13…遅延原因判定部、14…影響度算出部、15…代替作業者選択部、16…影響判定部、17…代替作業者提案部、20…記憶部、30…通信部、40…操作部、50…情報読込部、121…品質低下工程特定部、122…遅延工程特定部、141…品質影響度算出部、142…スケジュール影響度算出部、161…品質影響判定部、162…スケジュール影響判定部、CM…検出装置、EV…環境情報測定装置、LN…生産ライン、R…設備、SYS…生産システム、TM…端末装置。