(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】積層板材構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 39/03 20060101AFI20221012BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20221012BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20221012BHJP
B21D 28/10 20060101ALI20221012BHJP
B21D 19/08 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B21D39/03 A
H02K15/02 F
H02K1/18 B
B21D28/10 Z
B21D19/08 C
(21)【出願番号】P 2018177107
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591093494
【氏名又は名称】株式会社ミスズ工業
(72)【発明者】
【氏名】望月 英治
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-059790(JP,A)
【文献】特開2002-001450(JP,A)
【文献】特開2014-009699(JP,A)
【文献】国際公開第2017/144286(WO,A1)
【文献】特開2014-123530(JP,A)
【文献】特開2014-176127(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167687(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009012807(DE,A1)
【文献】特開2006-345657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/03
H02K 15/02
H02K 1/18
B21D 28/10
B21D 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板材に第2板材が積層し互いに結合している積層板材構造体の製造方法であって、
前記第1板材の所定箇所に小孔を穿孔する小孔穿孔工程と、
前記第1板材の裏面から案内ダボ用パンチを押し上げて、前記第1板材の表面から上向きに半抜き突出する案内ダボを形成する案内ダボ形成工程と、
前記小孔穿孔工程及び前記案内ダボ形成工程の後工程であって、前記第1板材の前記案内ダボに前記第2板材に予め形成された案内孔が嵌合して両者の平面視位置が定められるように前記第1板材に前記第2板材を積層する第2板材積層工程と、
前記第2板材積層工程の後工程であって、前記第1板材における前記小孔の平面視位置に対応する前記第2板材の表面位置で、半抜き用パンチを
上側から前記第2板材の表面内に圧入して前記第2板材に半抜きダボを形成する半抜きダボ形成工程と、
を
含み、
前記半抜きダボ形成工程では、前記半抜きダボの先端を前記第2板材の裏面から突出させ、この突出した部分である突出部を前記第1板材の前記小孔の内部に圧入することにより前記第1板材と前記第2板材を結合することを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記小孔穿孔工程では、
前記小孔の穿孔は小孔用パンチとダイスを用いて行い、当該小孔用パンチの先端の平面視径は、前記第1板材の板厚より小さいことを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記半抜きダボ形成工程では、
前記半抜きダボの前記突出部が前記第1板材の前記小孔の内部に圧入する圧入深さは、前記小孔の内壁長の0.2~0.8の範囲であることを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記半抜きダボ形成工程では、
前記半抜き用パンチの先端の平面視形状及び平面視面積は、前記第1板材に穿孔された前記小孔の平面視形状及び平面視面積と同一であることを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記半抜きダボ形成工程では、前記第1板材の裏面側から前記小孔の内部に半抜きダボ受を挿入配置した上で前記半抜き用パンチを前記第2板材の表面内に圧入することにより、前記第1板材の板厚方向に圧縮された半抜きダボを形成することを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記半抜きダボ形成工程は、前記第1板材に穿孔される前記小孔の内壁が、前記小孔における裏面側孔幅寸法が表面側孔幅寸法より大きくなるように逆テーパ面に形成されている状態で行われることを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記第1板材と前記第2板材は別個の板材から構成されることを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記第1板材の硬度は、前記第2板材の硬度と同一若しくは前記第2板材の硬度より高いことを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記第1板材の板厚は、前記第2板材の板厚と同一若しくは前記第2板材の板厚より厚いことを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、
前記第1板材はテープ状板材からなり、前記テープ状板材の搬送に伴って、前記小孔穿孔工程、
前記案内ダボ形成工程、前記第2板材積層工程、前記半抜きダボ形成工程を行い、さらに、前記テープ状板材から積層板材構造体を分離する積層板材構造体分離工程を行うことを特徴とする積層板材構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層板材構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動機や発電機などの回転電機に用いられるロータコアやステータコアは複数枚の電磁鋼板等の金属板を積層して一体化することにより得られる。このような金属板の複数枚を積層して一体化するのには、一般的には、積層方向で隣接する金属板同士をカシメにより結合する。例えば、まず、金属板の一方の面側が凸部、他方の面側が凹部となるカシメ部を形成する。次に、金属板のカシメ部の凸部側の面と、積層方向で隣接する金属板のカシメ部の凹部側の面とを対面させ、その凸部を凹部に嵌め込みつつ積層する。
【0003】
特許文献1には、電動モータのロータ(回転子)に使用される積層鉄心とその製造方法が開示されている。特許文献1に開示された積層鉄心(積層板材構造体)1000を
図13(2)に示し、積層鉄心1000を構成する金属板(板材)としての鉄心片1010を
図13(1)に示す。
鉄心片1010は、所定平面視位置においてその裏面からパンチの押し上げにより、裏面1010aに凹部1010cが形成され、同時に表面1010bに凸部(突出部)1010dが形成される。
積層鉄心1000は、2枚の鉄心片1010を積層し、下側の鉄心片1010の表面に形成された凸部1010dを上側の鉄心片1010の裏面に形成された凹部1010cに嵌め込み、両鉄心片1010、1010を固定する。この様に次々と鉄心片1010が積層され、各々の凸部1010dが凹部1010cに嵌め込まれることにより、積層接心1000が形成される。なお、最上層の鉄心片1010には、開口1010eが形成されており、その下層の鉄心片1010の凸部1010dが開口1010eに嵌入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、鉄心片1010毎に凹部1010cと凸部1010dを形成するため、各々の凹部1010cと凸部1010dの形成位置、大きさ及び形状にはバラツキが生じる。それは、凹部と凸部の製造誤差、温湿度等の環境誤差及び金属片の材料特性誤差などによるものと考えられる。
このため、鉄心片1010を積層して、鉄心片1010の凸部1010dを積層方向に隣接する鉄心片1010の凹部1010cに嵌め込もうとする際に、凸部を凹部にスムースに嵌め込めないケースがあり得る。また、凸部と凹部を無理やりに嵌め込むと、両者の嵌め込みによる固定力が低下し、固定力にバラツキが生じる。さらに、無理やり凸部を凹部に嵌め込むと、鉄心片が変形し、内部応力を高めてしまい、長期信頼性を損ねてしまう。こうして、積層鉄心1000の初期及び長期信頼性を低下させてしまう。
さらに、各金属片の凹部と凸部の形成工程と、当該金属片の凸部を隣接する金属片の凹部に嵌め込む嵌め込み工程と、を別々に行うため、製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解消するものであり、積層された板材同士を無理なく強固に固定可能とし、その製造を容易可能とする積層板材構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の積層板材構造体の製造方法は、第1板材に第2板材が積層し互いに結合している積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材の所定箇所に小孔を穿孔する小孔穿孔工程と、前記第1板材に前記第2板材を積層する第2板材積層工程と、前記第1板材における前記小孔の平面視位置に対応する前記第2板材の表面位置で、半抜き用パンチを前記第2板材の表面内に圧入して前記第2板材に半抜きダボを形成する半抜きダボ形成工程と、をこの順で行い、前記半抜きダボ形成工程では、前記半抜きダボの先端を前記第2板材の裏面から突出させ、この突出した部分である突出部を前記第1板材の前記小孔の内部に圧入することにより前記第1板材と前記第2板材を結合することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1板材の所定箇所に小孔を穿孔する小孔穿孔工程及び第1板材に第2板材を積層する第2板材積層工程の後に、半抜きダボ形成工程を行う。この半抜きダボ形成工程では、前記第1板材における前記小孔の平面視位置に対応する前記第2板材の表面位置において半抜き用パンチを前記第2板材の表面内に圧入することにより前記第2板材に半抜きダボを形成する。半抜きダボはその先端が前記第2板材の裏面から突出しており、この突出した部分である突出部を前記第1板材の前記小孔の内部に圧入することにより前記第1板材と前記第2板材を互いに結合させる。このため、第1板材の小孔に半抜きダボの突出部を確実に圧入することができる。したがって、積層された板材同士の固定力を安定化することが可能となる。
第13図(従来例)の場合では、各鉄心片1010の凹部1010cと凸部1010dの形成位置、大きさ及び形状にバラツキが生じ、凸部と凹部を無理やり嵌め込むと、鉄心片が変形し、内部応力を高めてしまい、初期及び長期信頼性を損ねてしまう。これに対し、本発明によれば、第1板材の小孔の平面視位置と半抜き用パンチの平面視位置とが多少ずれたとしても、半抜き用パンチは圧入力により第2板材の裏面から突出する突出部を小孔の内部に確実に圧入させることができる。このため、積層された板材同士の固定力を安定化することができる。しかも、両板材が歪み、変形することがなく、したがって、内部応力の蓄積もないため、初期及び長期信頼性の確保を可能とする。
【0009】
加えて、従来例では、各板材に凹部と凸部を形成する凹凸部形成工程と、他方の板材を積層して一方の板材の凹部に他方の板材の凸部を嵌合する嵌合工程との2工程を行う。これに対して、本発明では、半抜きダボ形成工程の中に、第2板材の裏面から半抜きダボを突出させる工程と、第1板材及び第2板材を固定する工程とを含ませている。このため、製造工程を短縮化し、製造コストを低下することが可能となる。
【0010】
なお、本発明の第2板材は、第1板材を用いて構成してもよく、第1板材とは別部材を用いて構成してもよい。前者の場合、第2板材は、第1板材の小孔の穿孔箇所を含む所定領域のうち小孔の穿孔箇所を含まない先端領域を用いて構成される。この第1板材の先端領域は、板厚方向に180°折り曲げられて、第1板材の所定領域の表面に積層される。この第1板材の所定領域の表面に積層される先端領域が第2板材となる。
また、半抜きダボとは、半抜き用パンチを第2板材の表面からその板厚の途中まで圧入することにより第2板材の裏面から突出する突出部を含むダボを指す。当該半抜きダボは、第2板材の板厚内では第2板材に保持されている。
【0011】
(2)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)に記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記小孔穿孔工程では、前記小孔の穿孔は小孔用パンチとダイスを用いて行い、当該小孔用パンチの先端の平面視径は、前記第1板材の板厚より小さいことが好ましい。
【0012】
本発明によれば、小孔穿孔工程において、小孔用パンチの先端の平面視径は、第1板材の板厚より小さいので、小孔用パンチにより穿孔される小孔の内壁には、滑らかで硬質の剪断面が長く形成され、粗く脆い破断面が短く形成される。しかも、上記剪断面は、小孔の表面側(小孔用パンチの挿入側)の内壁に形成される。
このため、半抜きダボ形成工程において、半抜き用パンチを第2板材の表面の内部に圧入する際に、小孔周辺の第1板材はダイの機能を効果的に発揮することができる。すなわち、小孔の内壁における表面側部分は滑らかで硬質の剪断面が長く形成されているため、半抜き用パンチの上記圧入の時に半抜きダボの突出部が小孔周辺の第1板材を強圧しても当該第1板材が潰れることがなく、半抜きダボの突出部を小孔の内部にスムースに導入することが可能となる。
【0013】
(3)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)または(2)に記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記半抜きダボ形成工程では、前記半抜きダボの前記突出部が前記第1板材の前記小孔の内部に圧入する圧入深さは、前記小孔の内壁長の0.2~0.8の範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、半抜きダボ形成工程において、半抜きダボの突出部が第1板材の小孔の内部に圧入する圧入深さは、小孔の内壁長(第1板材の板厚と同等)の0.2~0.8の範囲が好ましい。このため、半抜きダボが第2板材に充分な保持力で保持され、同時に、半抜きダボの突出部が第1板材を充分な保持力で保持することが可能となる。ここで、前記圧入深さが小孔の内壁長の0.2を下回ると、突出部と小孔の内壁との嵌合長さが短くなり、突出部が第1板材を充分な保持力で保持することができなくなる。また、前記圧入深さが小孔の内壁長の0.8を上回ると、半抜きダボが第2板材に充分な保持力で保持されなくなる。このため、前記圧入深さは、小孔の内壁長の0.2~0.8の範囲が好ましい。
なお、前記圧入深さは、より好ましくは、小孔の内壁長の0.4~0.6であり、さらに好ましくは0.5である。
【0015】
(4)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(3)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記半抜きダボ形成工程では、前記半抜き用パンチの先端の平面視形状及び平面視面積は、前記第1板材に穿孔された前記小孔の平面視形状及び平面視面積と同一であることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、半抜き用パンチの先端の平面視形状及び平面視面積は、第1板材に穿孔された小孔の平面視形状及び平面視面積と同一であるので、第1板材の小孔と向き合う第2板材部分だけを半抜き用パンチで押圧することができる。このため、半抜き用パンチの押圧により半抜きダボの突出部を小孔の内部にスムースに突出させることが可能となる。しかも、半抜きダボの突出部は、小孔の平面視形状及び平面視面積と同一であるため、小孔の内部に無理なく圧入され、第1板材と第2板材の結合を強固とすることができる。
【0017】
(5)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(4)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記半抜きダボ形成工程では、前記第1板材の裏面側から前記小孔の内部に半抜きダボ受を挿入配置した上で前記半抜き用パンチを前記第2板材の表面内に圧入することにより、前記第1板材の板厚方向に圧縮された半抜きダボを形成することが好ましい。
【0018】
本発明によれば、半抜きダボ形成工程では、第1板材の裏面側から小孔の内部に半抜きダボ受を挿入し配置した上で半抜き用パンチを第2板材の表面内に圧入する。このため、半抜きダボは半抜き用パンチと半抜きダボ受とにより第1板材の板厚方向に圧縮される。この圧縮の反作用として半抜きダボは径方向に拡張しようとするため、半抜きダボと第1板材の小孔の内壁との接触力、及び、半抜きダボと第2板材の半抜きダボの形成内壁との接触力が高まる。このため、半抜きダボにより、第1板材と第2板材との結合はより強固となる。
【0019】
(6)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(5)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記半抜きダボ形成工程は、前記第1板材に穿孔される前記小孔の内壁が、前記小孔における裏面側孔幅寸法が表面側孔幅寸法より大きくなるように逆テーパ面に形成されている状態で行われることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、半抜きダボ形成工程において、半抜き用パンチが第2板材の表面を押圧すると、半抜きダボが形成され、その突出部が小孔の内部に突出する。この突出部は、半抜き用パンチにより押圧され圧縮された状態で小孔の内部に突出するため、小孔の内壁の逆テーパ面に沿って拡張する。したがって、突出部は、小孔の逆テーパ面にロックされ、確実に保持されることとなる。このため、第2板材は、第1板材により強固に結合される。
【0021】
(7)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(6)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材と前記第2板材は一体の板材からなり、前記第2板材積層工程は、前記第1板材の小孔が穿設された所定箇所を含む所定領域の先端領域を折り曲げる折り曲げ工程であり、前記折り曲げ工程では、前記先端領域を前記所定領域の表面側に180度折り曲げ、当該180度折り曲げられた前記先端領域を前記第2板材として前記第1板材の前記所定領域に積層することが好ましい。
【0022】
本発明によれば、第1板材と第2板材は、一方では、180°折り曲げ箇所において連結(結合)しており、他方では、半抜きダボ箇所において結合している。このため、両板材同士を強力に結合することが可能となる。さらに、180°折り曲げ箇所と半抜きダボ箇所とにおいて両板材を結合するので、両板材の広い領域を密着状態とすることが可能となる。
【0023】
(8)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(6)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材と前記第2板材は別個の板材から構成されることが好ましい。
【0024】
本発明によれば、第1板材と第2板材は別個の板材から構成されることから、両板材の材質、板厚、硬度、及び、熱処理等の処理状態等を用途に応じて任意に選択することが可能となる。さらに、第3板材を第2板材に積層させて本発明の製造方法によって両板材同士を半抜きダボで結合すること、さらに、第4板材以降の板材を順次積層して、下層の板材と上層の板材とを本発明の製造方法により互いに半抜きダボで結合することも容易となる。
【0025】
(9)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(8)に記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材の硬度は、前記第2板材の硬度と同一若しくは前記第2板材の硬度より高いことが好ましい。
【0026】
本発明によれば、第1板材の硬度は、第2板材の硬度と同一若しくは第2板材の硬度より高いため、半抜きダボ形成工程において、半抜き用パンチが第2板材を押圧する際に、第1板材が押し潰されることがなく、第1板材がプレス金型のダイの機能を、小孔がダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となる。このため、半抜きダボの突出部を小孔の内部に確実に圧入することができる。
【0027】
(10)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(8)または(9)に記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材の板厚は、前記第2板材の板厚と同一若しくは前記第2板材の板厚より厚いことが好ましい。
【0028】
本発明によれば、第1板材の板厚は、前記第2板材の板厚と同一若しくは前記第2板材の板厚より厚いため、半抜きダボ形成工程において、半抜き用パンチが第2板材を押圧する際に、第1板材が押し潰されることがなく、第1板材がプレス金型のダイの機能を、小孔がダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となる。このため、半抜きダボの突出部を第1板材の小孔の内部に確実に圧入することができる。
【0029】
(11)本発明の積層板材構造体の製造方法は、(1)~(10)のいずれかに記載された積層板材構造体の製造方法であって、前記第1板材はテープ状板材からなり、前記テープ状板材の搬送に伴って、前記小孔穿孔工程、前記第2板材積層工程、前記半抜きダボ形成工程を行い、さらに、前記テープ状板材から積層板材構造体を分離する積層板材構造体分離工程を行うことが好ましい。
【0030】
本発明によれば、第1板材はテープ状板材からなり、テープ状板材の搬送に伴って、小孔穿孔工程、第2板材積層工程、半抜きダボ形成工程を行い、さらに、テープ状板材から積層板材構造体を分離する積層板材構造体分離工程を行うから、各工程を連続して行うことができる。このため、積層板材構造体を低コストで、高品質で製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態1の積層板材構造体1の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1の積層板材構造体1の製造方法を説明する工程図である。
【
図3】本発明の実施形態1の積層板材構造体1の製造方法を説明する説明図である。
【
図4】本発明の実施形態2の積層板材構造体101の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態2の積層板材構造体101の製造方法を説明する工程図である。
【
図6】本発明の実施形態2の積層板材構造体101の製造方法を説明する説明図である。
【
図7】本発明の変形例1の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図8】本発明の変形例2の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図9】本発明の変形例3の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図10】本発明の変形例4の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図11】本発明の変形例5の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図12】本発明の変形例6の半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
【
図13】従来の鉄心片1010及び積層鉄心1000の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0035】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1は、半導体モジュールMの放熱板に本発明の積層板材構造体を適用した積層板材構造体1の製造方法である。
図1は、実施形態1の積層板材構造体1の断面図、
図2は実施形態1の積層板材構造体1の製造方法を説明する工程図、
図3は実施形態1の積層板材構造体1の製造方法を説明する説明図である。
図3(1)は実施形態1の各工程に対応するテープ状板材Wの平面視図、
図3(2)は
図3(1)のA-A断面図であり、テープ状板材を加工する加工装置も図示しており、
図3(3)は
図3(2)の一部を拡大した拡大図である。
【0036】
本発明の実施形態1の製造方法により得られる積層板材構造体1は、
図1に図示されているように、第1板材2を折り曲げて第2板材とし、第1板材2の表面に第2板材3を積層し、両板材2、3を互いに結合して構成される。この両板材2、3の結合箇所においては、第1板材2の所定箇所に穿孔された小孔2aに第2板材3に形成された半抜きダボ3aの突出部3bが圧入されている。
実施形態1の積層板材構造体1は、
図1のように、半導体モジュールMの底面に配置されて半導体モジュールMの放熱板として使用される。実施形態1の積層板材構造体1は、第1板材と第2板材が積層されるので厚く形成でき、半導体モジュールMの放熱性を良好とすることが可能となる。
【0037】
実施形態1の積層板材構造体1の製造方法は、テープ状板材Wを用いて、
図2のように、所定領域形成工程10、小孔穿孔工程20、第2板材積層工程30、半抜きダボ形成工程40、積層板材構造体分離工程50を、この順に行う。なお、第2板材積層工程30では、直角折り曲げ工程31、135°折り曲げ工程34、及び、180°折り曲げ工程36をこの順で行う。
実施形態1の積層板材構造体1の製造方法に用いるテープ状板材Wは、ステンレススチール(SUS304等)、黄銅、ベリリウム銅、アルミニウムなどの展性に富み、比較的高硬度の金属が使用される。テープ状板材Wは、
図3(1)の搬送方向Pに沿って間欠搬送され、各搬送停止中に各工程が行われる。テープ状板材Wの幅方向の両端部には、搬送用のスプロケット穴Whが搬送方向Pに沿って等間隔に形成されている。
図3(2)において、Wjはテープ状板材Wの表面、Weはテープ状板材Wの裏面である。
以下、各工程を詳細に説明する。
【0038】
[所定領域形成工程]
所定領域形成工程10は、テープ状板材Wに、積層板材構造体1を構成するための所定領域Waを形成する工程である。所定領域Waは、
図3(1)の様に、片持ち片部分であり、テープ状板材Wに平面視コの字状の切り欠き部Wbを打ち抜きすることにより形成される。この切り欠き部Wbは、
図3(2)の様に、上型11と下型12とによりテープ状板材Wをプレス抜きすることにより形成される。
【0039】
なお、次に述べる小孔穿孔工程20から後述する積層板材構造体分離工程50までにおいて、所定領域Waの中で、直角、135°及び180°に折り曲げられない平坦な領域(平坦領域Wd)は、積層板材構造体分離工程50によりテープ状板材Wから分離された積層板材構造体1においては第1板材2となる。このため、以後、平坦領域Wdを第1板材2(Wd)と表記して説明する。同様に、小孔穿孔工程20から後述する積層板材構造体分離工程50までにおいて、直角、135°及び180°に折り曲げられた先端領域Wcは、積層板材構造体分離工程50によりテープ状板材Wから分離された積層板材構造体1においては第2板材3となる。このため、以後、先端領域Wcを第2板材3(Wc)と表記して説明する。
【0040】
[小孔穿孔工程]
小孔穿孔工程20は、所定領域形成工程10で形成されたテープ状板材Wの第1板材2(Wd)に小孔2aを穿孔する工程である。小孔2aは、
図3(2)の様に、テープ状板材Wの上側に配置された小孔用パンチ21を、テープ状板材Wの表面に押し当てテープ状板材Wの下側に配置された小孔用ダイス22内まで降下させることにより形成される。
小孔用パンチ21の先端の平面視径(外径)21dは、小孔用ダイスの孔径22dよりクリアランス分だけ小径に形成されている。
【0041】
また、小孔用パンチ21の先端の平面視径21dは、テープ状板材Wの板厚Wtより小さい。このため、後工程の半抜きダボ形成工程40において、半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)より内方に圧入する際に、小孔2a周辺の第1板材2(Wd)は半抜き用ダイスの機能を効果的に発揮することができる。すなわち、小孔2aの内壁における表面2c(Wj)側部分は硬質の剪断面が長く形成されるため、半抜き用パンチ41の押圧により第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から下方に突出する突出部3bが形成されても、突出部3bが小孔2aを潰し、或いは、変形することを防止することが可能となる。加えて、剪断面は表面が滑らかであるので、突出部3bを小孔2a内にスムースに導入することが可能となる。
なお、小孔用パンチ21の先端の平面視径21dは、テープ状板材Wの板厚Wtと同一、または、テープ状板材Wの板厚Wtより大きくしてもよい。
【0042】
所定領域形成工程10と小孔穿孔工程20とは、上記順で行われることに限定されるものではなく、適宜順を入れ換えてもよい。例えば、先に小孔穿孔工程20を行い、その後に所定領域形成工程10を行ってもよく、或いは、所定領域形成工程10と小孔穿孔工程20とを同時に行なってもよい。
【0043】
[直角折り曲げ工程]
直角折り曲げ工程31は、小孔穿孔工程20で小孔2aが形成されたテープ状板材Wの第2板材3(Wc)をその表面Wj側(
図3(2)の上側)に向けてほぼ直角に折り曲げる工程である。第2板材3(Wc)を直角に折り曲げる工程は、
図3(2)の様に、テープ状板材Wの下側に配置された直角折り曲げ用パンチ32とテープ状板材Wの上側に配置された直角折り曲げ用ダイス33とを用いて行う。テープ状板材Wの所定領域Waの中央部を直角折り曲げ用パンチ32で押し上げると、第2板材3(Wc)が上方向に向けて直角に折り曲がる。
【0044】
[135°折り曲げ工程]
135°折り曲げ工程34は、直角折り曲げ工程31で直角に折り曲げられた第2板材3(Wc)をほぼ135°に折り曲げる工程である。第2板材3(Wc)を135°に折り曲げる工程は、
図3(2)の様に、テープ状板材Wの上側に配置された135°折り曲げ用パンチ35を用いて行う。テープ状板材Wの第2板材3(Wc)を135°折り曲げ用パンチ35で押し下げると、第2板材3(Wc)が135°に折り曲がる。
【0045】
[180°折り曲げ工程]
180°折り曲げ工程36は、135°折り曲げ工程34で135°に折り曲げられた第2板材3(Wc)をほぼ180°折り曲げる工程である。第2板材3(Wc)を180°に折り曲げる工程は、
図3(2)の様に、テープ状板材Wの上側に配置された180°折り曲げ用パンチ37を用いて行う。テープ状板材Wの第2板材3(Wc)を180°折り曲げ用パンチ37が押し下げると、第2板材3(Wc)が180°に折り曲がる。
このため、第2板材3(Wc)は、所定領域Waのなかで折り曲げられていない第1板材2(Wd)に積層されることになる。
【0046】
[半抜きダボ形成工程]
第2板材3(Wc)に対する半抜きダボ形成工程40は、180°折り曲げ工程36により第1板材2(Wd)に積層された第2板材3(Wc)に、半抜きダボ3aを形成する工程である。この半抜きダボ形成工程40は、
図3(2)、(3)のように、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視位置に対応する第2板材3(Wc)の表面位置にて半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)内(第2板材3(Wc)の板厚Wsの途中位置まで)に圧入して半抜きダボ3aを形成し、半抜きダボ3aの先端を第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から突出させ、突出した突出部3bを第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入して、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)を互いに結合させる工程である。
【0047】
半抜きダボ形成工程40において、
図3(2)の当該半抜きダボ形成工程40を示す断面図を拡大図示した
図3(3)のように、半抜き用パンチ41をテープ状板材Wの上側から第2板材3(Wc)の表面3c(We)より内部に圧入すると、小孔2aの周囲の第1板材2(Wd)がダイの役割を果たし(小孔2aがダイ孔となり)、第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から第1板材2(Wd)に向けて半抜きダボ3aが突出する。
半抜き用パンチ41の外径41dは、小孔2aの内径2adと同一に形成されている。すなわち、半抜きダボ形成工程40において、半抜き用パンチ41の先端の平面視形状及び平面視面積は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視形状及び平面視面積と同一である。したがって、半抜きダボ3aの平面視形状及び平面視面積は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視形状及び平面視面積と同一である。このため、半抜きダボ3aの突出部3bはスムースに小孔2a内に圧入する。この際、突出部3bが小孔2a内に圧入しても第1板材2(Wd)が変形することはない。したがって、半抜きダボ3aと第2板材3(Wc)との結合力を高めることができる。以上のように、半抜きダボ3aにより、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)とは、互いに強固に結合することが可能となる。
なお、半抜きダボ3aの外周壁には、剪断面と破断面が形成されている。
【0048】
なお、半抜きダボ形成工程40において、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入する際の圧入深さ3aaは、小孔2aの内壁長(第1板材2(Wd)、即ちテープ状板材Wの板厚Wt)の0.2~0.8の範囲が好ましい。このため、半抜きダボ3aが第2板材3(Wc)に十分な保持長さで保持され、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)を充分な保持力で保持することが可能となる。ここで、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入する圧入深さ3aaが小孔2aの内壁長(Wt)の0.2を下回ると、突出部3bと小孔2aの内壁との嵌合長さが短くなり、突出部3bが第1板材2(Wd)を充分な保持力で保持することができなくなる。また、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入する圧入深さ3aaが小孔2aの内壁長の0.8を上回ると、半抜きダボ3aが第2板材3(Wc)に充分な保持力で保持されなくなる。
半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入する圧入深さ3aaは、好ましくは、小孔2aの内壁長Wtの0.4~0.6であり、より好ましくは0.5である。
【0049】
[積層板材構造体分離工程]
積層板材構造体分離工程50は、半抜きダボ形成工程40により、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)とが互いに結合した積層構造体Wf(分離後は積層板材構造体1)を、テープ状板材Wから分離する工程である。
積層板材構造体分離工程50は、
図3(2)に図示するように、テープ状板材Wの上側に配置された積層板材構造体分離用上型51をテープ状板材Wの下側に配置された積層板材構造体分離用下型52に向けて降下し、積層構造体Wfがテープ状板材Wに接続している接続領域Wiを切断し、積層構造体Wfをテープ状板材Wから分離する工程である。この積層板材構造体分離工程50により、テープ状板材Wから分離された積層構造体Wfは、
図1の積層板材構造体1である。
【0050】
〔実施形態1の効果〕
実施形態1の効果は、次の通りである。
【0051】
(イ)実施形態1によれば、テープ状板材Wに所定領域Waを形成する所定領域形成工程10、所定領域Waの所定箇所に小孔2aを穿孔する小孔穿孔工程20及び第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)を積層する第2板材積層工程30を行った後に、半抜きダボ形成工程40を行う。この半抜きダボ形成工程40では、第1板材2(Wd)における小孔2aの平面視位置に対応する第2板材3(Wc)の表面位置において半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入することにより第2板材3(Wc)に半抜きダボ3aを形成する。半抜きダボ3aはその先端が第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から突出しており、この突出した部分である突出部3bを第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入することにより第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)を互いに結合する。このため、第1板材2(Wd)の小孔2aに半抜きダボ3aの突出部3bを確実に圧入することができる。したがって、積層された板材同士の固定力を安定化することが可能となる。
【0052】
(ロ)また、実施形態1によれば、第1板材2(Wd)の小孔2aの平面視位置と半抜き用パンチ41の平面視位置とが多少ずれたとしても、半抜き用パンチ41は圧入力により第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から突出する突出部3bを小孔2aの内部に確実に圧入させることができる。このため、積層された板材同士の固定力を安定化することができる。しかも、両板材が歪み、変形することがなく、したがって、内部応力の蓄積もないため、初期及び長期信頼性の確保を可能とする。
【0053】
(ハ)加えて、従来例では、各板材に凹部と凸部を形成する凹凸部形成工程と、他方の板材を積層して一方の板材の凹部に他方の板材の凸部を嵌合する嵌合工程との2工程を行う。これに対し、実施形態1では、半抜きダボ形成工程40の中に、第2板材3(Wc)の裏面3e(Wj)から半抜きダボ3aを突出させる工程と、第1板材2(Wd)及び第2板材3(Wc)を固定する工程とを含ませている。このため、製造工程を短縮化し、製造コストを低下することが可能となる。
【0054】
(ニ)実施形態1によれば、小孔穿孔工程20において、小孔用パンチ21の先端の平面視径21dは、第1板材2(Wd)の板厚Wtより小さくした場合、小孔用パンチ21により穿孔される小孔2aの内壁には、滑らかで硬質の剪断面が長く形成され、粗く脆い破断面が短く形成される。しかも、上記剪断面は、小孔2aの表面側(小孔用パンチ21の挿入側)の内壁に形成される。
このため、半抜きダボ形成工程40において、半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入する際に、小孔2a周辺の第1板材2(Wd)はダイの機能を効果的に発揮することができる。すなわち、小孔2aの内壁における表面側部分は滑らかで硬質の剪断面が長く形成されているため、半抜き用パンチ41の上記圧入の時に半抜きダボ3aの突出部3bが小孔2a周辺の第1板材2(Wd)を強圧しても当該第1板材2(Wd)が潰されることがなく、半抜きダボ3aの突出部3bを小孔2a内にスムースに導入することが可能となる。
【0055】
(ホ)実施形態1によれば、半抜きダボ形成工程40において、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)の小孔2a内に圧入する圧入深さ3aaは、小孔2aの内壁長(第1板材2(Wd)の板厚Wtと同等。)の0.2~0.8の範囲である。このため、半抜きダボ3aが第2板材3(Wc)に充分な保持力で保持され、同時に、半抜きダボ3aの突出部3bが第1板材2(Wd)を充分な保持力で保持することが可能となる。ここで、圧入深さ3aaが小孔2aの内壁長Wtの0.2を下回ると、突出部3bと小孔2aの内壁との嵌合長さが短くなり、突出部3bが第1板材2(Wd)を充分な保持力で保持することができなくなる。また、圧入深さ3aaが小孔2aの内壁長Wdの0.8を上回ると、半抜きダボ3aが第2板材3(Wc)に充分な保持力で保持されなくなる。
【0056】
(ヘ)実施形態1によれば、半抜き用パンチ41の先端の平面視形状及び平面視面積は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視形状及び平面視面積と同一であるので、第1板材2(Wd)の小孔2aと向き合う第2板材3(Wc)部分だけを半抜き用パンチ41で押圧することができる。このため、半抜き用パンチ41の押圧により半抜きダボ3aの突出部3bを小孔2a内にスムースに突出させることが可能となる。しかも、半抜きダボ3aの突出部3bは、小孔2aの平面視形状及び平面視面積と同一であるため、小孔2a内に無理なく圧入されるので、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)の結合をより強固とすることができる。
【0057】
(ト)実施形態1によれば、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)は、一方では、180°折り曲げ箇所において連結(結合)しており、他方では、半抜きダボ3a箇所において結合している。このため、両板材同士を強力に結合することが可能となる。さらに、180°折り曲げ箇所と半抜きダボ3a箇所とにおいて両板材を結合するので、両板材の広い領域を密着状態とすることが可能となる。
【0058】
(チ)実施形態1によれば、第1板材2(Wd)はテープ状材Wからなり、テープ状板材Wの搬送に伴って、所定領域形成工程10、小孔穿孔工程20、第2板材積層工程30、半抜きダボ形成工程40を行い、さらに、テープ状板材Wから積層板材構造体1を分離する積層板材構造体分離工程50を行うから、各工程を連続して行うことができる。このため、積層板材構造体1を低コストで、高品質で製造することが可能となる。
【0059】
(リ)実施形態1によれば、(イ)、(ロ)、(ニ)~(ト)に記載された積層板材構造体1に関する効果を有する積層板材構造体1を得ることが可能となる。
【0060】
〔実施形態2〕
実施形態1の製造方法で得られる積層板材構造体1は、第1板材2と第2板材3とが一体の板材から形成されるものであった。実施形態2の製造方法で得られる積層板材構造体101は、第1板材102と第2板材103とが別個の板材から構成され、この点が実施形態1と異なる。それ以外は、実施形態1と同様である。
このため、実施形態2の積層板材構造体101の製造方法は、実施形態1の小孔穿孔工程20に代えて小孔穿孔工程120を行い、さらに、実施形態1の第2板材積層工程30に代えて第2板材積層工程130を採用する。なお、実施形態2の小孔穿孔工程120の中で案内ダボ形成工程122を行う。また、実施形態1の第2板材積層工程30は、直角折り曲げ工程31、135°折り曲げ工程34及び180°折り曲げ工程36をこの順で行うものであったが、実施形態2の第2板材積層工程130では各折り曲げ工程は行わない。
【0061】
図4は、実施形態2の製造方法で得られる積層板材構造体101の断面図、
図5は実施形態2の積層板材構造体101の製造方法を説明する工程図、
図6は実施形態2の積層板材構造体101の製造方法を説明する説明図である。
図6(1)は実施形態2の各工程に対応するテープ状板材W及び第2板材103の平面視図、並びに、
図6(2)は
図6(1)のB-B断面図、
図6(3)は
図6(1)のC-C断面図及びD-D断面図である。なお、
図6(2)及び(3)には、テープ状板材を加工する加工装置も図示されている。
【0062】
本発明の実施形態2の製造方法により得られる積層板材構造体101は、
図4のように、第1板材102の表面102cに別体からなる第2板材103を積層し、両板材102、103を半抜きダボ103aにより互いに結合して構成される。第2板材103の半抜きダボ103a箇所においては、第1板材102の所定箇所に穿孔された小孔102aに第2板材103に形成された半抜きダボ103aの突出部103bが圧入されている。
実施形態2の積層板材構造体101は、
図4のように、半導体モジュールMの底面に配置されて半導体モジュールMの放熱板として使用される。実施形態2の積層板材構造体101は、第1板材と第2板材が積層されるので、厚く形成でき、半導体モジュールMの放熱性を良好とすることが可能となる。
【0063】
実施形態2の積層板材構造体101の製造方法は、実施形態1と同様のテープ状板材Wを用いて、
図5のように、所定領域形成工程110、小孔穿孔工程120、第2板材積層工程130、半抜きダボ形成工程140、積層板材構造体分離工程150を、この順に行う。なお、小孔穿孔工程120では案内ダボ形成工程122を行う。
実施形態2の積層板材構造体101の製造方法に用いるテープ状板材Wは、実施形態1と同様の金属が使用される。テープ状板材Wは、
図6(1)の搬送方向Pに沿って間欠搬送され、各搬送停止中に各工程が行われる。テープ状板材Wの幅方向の両端部には、搬送用のスプロケット穴Whが搬送方向Pに沿って等間隔に形成されている。
以下、各工程を詳細に説明する。
【0064】
[所定領域形成工程]
所定領域形成工程110は、テープ状板材Wに、積層板材構造体101を構成するための所定領域Waを形成する工程であり、実施形態1と同様に実施される。所定領域Waは、
図6(1)の様に、片持ち片部分であり、テープ状板材Wに平面視コの字状の切り欠き部Wbを打ち抜きすることにより形成される。この切り欠き部Wbは、
図6(2)の様に、上型11と下型12とによりテープ状板材Wをプレス抜きすることにより形成される。
【0065】
なお、次に述べる小孔穿孔工程120から後述する積層板材構造体分離工程150までにおいて、所定領域Waは、積層板材構造体分離工程150によりテープ状板材Wから分離された積層板材構造体101においては第1板材102となる。このため、以後、所定領域Waを第1板材102(Wa)と表記して説明する。
【0066】
[小孔穿孔工程]
小孔穿孔工程120は、所定領域形成工程110で形成されたテープ状板材Wの第1板材102(Wa)に小孔102aを2か所(複数個所)穿孔する工程であり、実施形態1と同様に実施される。小孔102aは、
図6(2)の様に、テープ状板材Wの上側に配置された小孔用パンチ21を、テープ状板材Wの表面Wjに押し当て、テープ状板材Wの下側に配置された小孔用ダイス22内まで降下することにより形成される。
小孔用パンチ21の先端の平面視径(外径)21dは、小孔用ダイス22の孔径22dよりクリアランス分だけ小径に形成されている。
【0067】
また、小孔用パンチ21の先端の平面視径21dは、実施形態1と同様にテープ状板材Wの板厚Wtより小さい。なお、小孔用パンチ21の先端の平面視径21dは、テープ状板材Wの板厚Wtと同一、または、テープ状板材Wの板厚Wtより大きくてもよい。
【0068】
また、小孔穿孔工程120では、案内ダボ形成工程122も同時に実施される。小孔穿孔工程120においては、第1板材102(Wa)に小孔102aを形成すると同時に、
図6(3)のように、第1板材102(Wa)の表面102c(Wj)から上向きに半抜き突出する案内ダボ102dを2か所(複数個所)形成する。この案内ダボ102dは、第1板材102(Wa)に積層される第2板材103の平面視位置を定める。
案内ダボ102dは、
図6(3)のように、テープ状板材Wの下側に配置した案内ダボ用パンチ60をテープ状板材Wの裏面Weからテープ状板材Wの板厚の約半分に相当する高さだけ押し上げて形成される。このようにして案内ダボ102dが形成されると、第1板材102(Wa)の表面102c(Wj)から当該案内ダボ102dの突出部102daが突出する。この突出部102daが形成されると、突出部102daがテープ状板材Wの上側に配置した案内ダボ用ダイスのダイ孔61に挿入される。
【0069】
なお、所定領域形成工程110と小孔穿孔工程120とは、上記順に限定されるものではなく、前後に順を入れ換えてもよく、同時に実施してよい。また、小孔穿孔工程120においても、小孔102aの形成工程と案内ダボ102dの形成工程を別々の工程として実施してもよい。さらに、案内ダボ102dの形成工程を、所定領域形成工程110の前、または同時に行ってもよい。
【0070】
[第2板材積層工程]
第2板材積層工程130は、小孔穿孔工程120により小孔102aが穿孔され、且つ、案内ダボ102dが表面から突出形成された第1板材102(Wa)の表面102c(Wj)に、別途準備された第2板材103を積層する工程である。
第2板材103には、予め複数の案内孔103dが形成されている。第2板材103は、第1板材102(Wa)に積層される際に、第2板材103の案内孔103dが第1板材102(Wa)の案内ダボ102dに嵌合し、両者の平面視位置が定められる。
【0071】
第2板材103は、第1板材102(Wa)を構成するテープ状板材Wと同じ金属からなり、例えば、ステンレススチール(SUS304等)、黄銅、ベリリウム銅、アルミニウムなどの展性に富み、比較的高硬度の金属が使用される。第2板材103は、第1板材102(Wa)と異なる金属であってもよい。
また、第1板材102(Wa)の硬度は、第2板材103の硬度と同一若しくは第2板材103の硬度より高い。第1板材102(Wa)の硬度が第2板材103の硬度と同一若しくは第2板材103の硬度より高い場合には、後述する半抜きダボ形成工程140において、第2板材103に半抜きダボ103aを形成するにあたり、半抜き用パンチ41が第2板材103を押圧する際に、第1板材102(Wa)が押し潰されることがない。このため、第1板材102(Wa)がプレス金型のダイの機能を、小孔102aがダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となり、半抜きダボ103aの突出部103bを小孔102a内に確実に圧入することができる。第1板材102(Wa)の硬度が第2板材103の硬度より高い組み合わせの具体例は、第1板材がステンレススチール(SUS304等)で第2板材がベリリウム銅、第1板材がベリリウム銅で第2板材が黄銅、第1板材が黄銅で第2板材がアルミニウムである。
なお、第1板材102(Wa)の硬度は、所定値以上であれば、第2板材103の硬度より低くてもよい。
【0072】
また、第1板材102(Wa)の板厚Wtは、第2板材103の板厚Wsと同一若しくは第2板材103の板厚Wsより厚い。
第1板材102(Wa)の板厚Wtが、第2板材103の板厚Wsと同一若しくは第2板材103の板厚Wsより厚い場合には、後述する半抜きダボ形成工程140において、第2板材103に半抜きダボ103aを形成するにあたり、半抜き用パンチ41が第2板材103を押圧する際に、第1板材102(Wa)が押し潰されることがない。このため、第1板材102(Wa)がプレス金型のダイの機能を、小孔102aがダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となり、半抜きダボ103aの突出部103bを小孔102a内に確実に圧入することができる。
なお、第1板材102(Wa)の板厚は、第1板材102(Wa)の強度が所定値以上であれば、第2板材103の板厚Wsより薄くてもよい。
【0073】
[半抜きダボ形成工程]
第2板材103に対する半抜きダボ形成工程140は、第2板材積層工程130により第1板材102(Wa)の表面102c(Wj)に積層された第2板材103に半抜きダボ103aを形成し、この半抜きダボ103aにより第1板材102(Wa)と第2板材103とを互いに結合させる工程である。
半抜きダボ形成工程140は、実施形態1の半抜きダボ形成工程40に対し、第2板材3(Wc)に代えて第2板材103を用いた点が異なる。それ以外は、実施形態1の半抜きダボ形成工程40と同様である。
なお、実施形態2の半抜きダボ形成工程140では、第1板材102(Wa)とは別体の第2板材103を用いることから、半抜き用パンチ41、41を2か所(複数個所)配置する。この半抜き用パンチ41、41及び半抜きダボ103a、103aは、
図6(1)に図示されているように、第1板材102(Wa)の案内ダボ102dと第2板材103の案内孔103dの平面視位置とは異なった平面視位置に配置されている。
【0074】
なお、半抜きダボ形成工程140において、半抜きダボ103aの突出部103bが第1板材102(Wa)の小孔102a内に圧入する際の圧入深さ103aa(
図4参照。)は、小孔102aの内壁長(第1板材2(Wa)、即ちテープ状板材Wの板厚Wt)の0.2~0.8の範囲が好ましい。より好ましくは、小孔2aの内壁長Wtの0.4~0.6であり、さらにより好ましくは0.5である。
【0075】
[積層板材構造体分離工程]
積層板材構造体分離工程150は、半抜きダボ形成工程140により、第1板材102(Wa)と第2板材103が互いに結合している積層構造体Wg(分離後は積層板材構造体101)を、テープ状板材Wから分離する工程である。
積層板材構造体分離工程150は、
図6(2)に図示されているように、テープ状板材Wの上側に配置された積層板材構造体分離用上型51をテープ状板材Wの下側に配置された積層板材構造体分離用下型52に向けて降下し、積層構造体Wgがテープ状板材Wに接続している接続領域Wiを切断し、積層構造体Wgをテープ状板材Wから分離する工程である。この積層板材構造体分離工程150により、テープ状板材Wから分離された積層構造体Wgは、
図4の積層板材構造体101である。
【0076】
〔実施形態2の効果〕
実施形態2は、実施形態1の(イ)~(ヘ)、(チ)及び(リ)の効果を有するが、さらに次の効果も有する。
【0077】
(ヌ)実施形態2によれば、第1板材102(Wa)と第2板材103は別個の板材からなることから、両板材の材質、板厚、硬度、及び、熱処理等の処理状態等を用途に応じて任意に選択することが可能となる。さらに、第3板材を第2板材103に積層させて実施形態2の製造方法によって両板材同士を半抜きダボで結合すること、さらに、第4板材以降の板材を順次積層して、下層の板材と上層の板材とを実施形態2の製造方法により互いに結合することも容易となる。
【0078】
(ル)実施形態2によれば、第1板材102(Wa)の硬度が、第2板材103の硬度と同一若しくは第2板材103の硬度より高い場合には、半抜きダボ形成工程140において、半抜き用パンチ41が第2板材103を押圧する際に、第1板材102(Wa)が圧し潰されることがなく、第1板材102(Wa)がプレス金型のダイの機能を、第1板材102(Wa)の小孔102aがダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となる。このため、半抜きダボ103aの突出部103bを小孔102a内に確実に圧入することができる。
【0079】
(ヲ)実施形態2によれば、第1板材102(Wa)の板厚Wtが、第2板材103の板厚Wsと同一若しくは第2板材103の板厚Wsより厚い場合には、半抜きダボ形成工程140において、半抜き用パンチ41が第2板材103を押圧する際に、第1板材102(Wa)が圧し潰されることがなく、第1板材102(Wa)がプレス金型のダイの機能を、第1板材102(Wa)の小孔102aがダイ孔の機能を十分に発揮することが可能となる。このため、半抜きダボ103aの突出部103bを小孔102a内に確実に圧入することができる。
【0080】
(ワ)実施形態2によれば、(イ)、(ロ)、(ニ)~(ト)及び(ヌ)~(ヲ)に記載された積層板材構造体101に関する効果を有する積層板材構造体101を得ることが可能となる。
【0081】
本発明は、各実施形態以外にも本発明の趣旨に反しない限り種々の変形形態を含むものであり、例えば次の様な変形例も含む。
【0082】
〔変形例1〕
各実施形態の半抜きダボ形成工程40では、半抜き用パンチ41の先端の平面視形状及び平面視面積は、第1板材2(Wd)、102(Wa)に穿設される小孔2a、102aの平面視形状及び平面視面積と同一であった。
変形例1の半抜きダボ形成工程では、第2板材内に圧入する半抜き用パンチの先端の平面視領域は、第1板材に穿孔された小孔の平面視領域の内側に配置されている点で各実施形態と異なり、それ以外は、各実施形態と同様である。
【0083】
図7は、変形例1における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図であり、実施形態1に相当する第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)が積層された状態で、半抜きダボ形成工程40が行われ、第2板材3(Wc)の表面3c(We)に半抜き用パンチ41が圧入した状態を表している。
図7において、半抜き用パンチ41及び第1板材2(Wd)の小孔2aの平面視形状は真円で、半抜き用パンチ41の外径41dは小孔2aの内径2adよりも小さい。なお、半抜き用パンチ41及び小孔2aの平面視形状は、真円以外のどのような形状でもよく、例えば、多角形、楕円形でもよい。半抜き用パンチ41及び小孔2aの平面視形状がどのような形状であるにしても、第2板材3(Wc)内に圧入する半抜き用パンチ41の先端の平面視領域は、第1板材2(Wd)の小孔2aの平面視領域の内側に配置されている。
【0084】
変形例1によれば、第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入する半抜き用パンチ41の先端の平面視領域は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視領域の内側に配置されている。このため、半抜き用パンチ41は、小孔2aの平面視領域の内側に相当する第2板材3(Wc)の領域を小孔2a内に容易に圧入する(押し出す)ことができる。このため、半抜きダボ3aの突出部3bを板厚方向に長く形成でき、突出部3bと小孔2aの内壁(板厚方向)との接触長さを長く確保することができ、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)の結合力をより高めることが可能となる。
なお、変形例1の半抜きダボ3aは、第2板材3(Wc)における小孔2a相当領域が半抜きパンチ41により押し出されて形成される。このため、半抜きダボ3aの外周壁は、剪断面及び破断面が殆ど見られず押し出し面が形成される。
【0085】
なお、変形例1における半抜きダボ形成工程40は、実施形態1の第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)が積層された状態で半抜きダボ形成工程40が行われる場合に限定されるものではなく、実施形態2の第1板材102(Wa)に第2板材103が積層された状態で半抜きダボ形成工程140が行われる場合にも適用され、変形例1の場合と同様の効果を有する。
【0086】
〔変形例2〕
各実施形態の半抜きダボ形成工程40、140では、半抜き用パンチ41の先端の平面視形状及び平面視面積は、第1板材2(Wd)、102(Wa)に穿設される小孔2a、102aの平面視形状及び平面視面積と同一であった。変形例1の半抜きダボ形成工程では、第2板材3(Wc)内に圧入する半抜き用パンチ41の先端の平面視領域は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視領域の内側に配置されるものであった。
変形例2の半抜きダボ形成工程では、第2板材内に圧入する半抜き用パンチの先端の平面視領域は、第1板材に穿孔された小孔の平面視領域の外側まで存在している点で各実施形態及び変形例1と異なり、それ以外は、各実施形態及び変形例1と同様である。
【0087】
図8は、変形例2における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図であり、実施形態1に相当する第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)が積層された状態で、半抜きダボ形成工程40が行われ、第2板材3(Wc)の表面3c(We)に半抜き用パンチ41が圧入する状態を表している。
図8において、半抜き用パンチ41及び第1板材2(Wd)の小孔2aの平面視形状は真円で、半抜き用パンチ41の外径41dは小孔2aの内径2adよりも大きい。なお、半抜き用パンチ41及びの小孔2aの平面視形状は、真円以外のどのような形状でもよく、例えば、多角形、楕円形でもよい。半抜き用パンチ41及びの小孔2aの平面視形状がどのような形状であるにしても、第2板材3(Wc)内に圧入する半抜き用パンチ41の先端の平面視領域(少なくともその一部)は、第1板材2(Wd)の小孔2aの平面視領域の外側に配置されている。
【0088】
変形例2によれば、第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入する半抜き用パンチ41の先端の平面視領域は、第1板材2(Wd)に穿孔された小孔2aの平面視領域の外側まで存在している。このため、半抜き用パンチ41は、小孔2aの平面視領域の外側に相当する第2板材3(Wc)の領域を押圧して突出部3bを強制的に形成し、この突出部3bを強力に小孔2a内に圧入する(押し出す)こととなる。このため、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)の結合力をより高めることが可能となる。
なお、変形例2の半抜きダボ3aは、第2板材3(Wc)における小孔2a相当領域が半抜きパンチ41により押し出されて形成される。このため、半抜きダボ3aの外周壁は、剪断面及び破断面が殆ど見られず押し出し面が形成される。
【0089】
なお、変形例2における半抜きダボ形成工程40は、実施形態1の第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)が積層された状態で半抜きダボ形成工程40が行われる場合に限定されるものではなく、実施形態2の第1板材102(Wa)に第2板材103が積層された状態で半抜きダボ形成工程140が行われる場合にも適用され、前述した変形例2と同様の効果を有する。
【0090】
〔変形例3〕
図9は、変形例3における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
変形例3の半抜きダボ形成工程40は、各実施形態及び各変形例の第1板材2(Wd)、102(Wa)の小孔2a、102aの裏面2e、102e(We)側に半抜きダボ受70を挿入配置した状態で半抜きダボ3a、103aを形成する点で、各実施形態及び各変形例と異なる。その他の点では、各実施形態及び各変形例と同様である。
【0091】
図9のように、変形例3の半抜きダボ形成工程40では、第1板材2(Wd)の裏面2e(We)側から小孔2aの内部に半抜きダボ受70を挿入配置した上で半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入する。このため、半抜きダボ3aは半抜き用パンチ41と半抜きダボ受70とにより第1板材2(Wd)の板厚方向mに圧縮される。この圧縮の反作用として半抜きダボ3aは径方向に拡張しようとするため、半抜きダボ3aと第1板材2(Wd)の小孔2aの内壁との接触力、及び、半抜きダボ3aと第2板材3(Wc)の半抜きダボ3aの形成内壁との接触力が高まる。このため、半抜きダボ3aにより、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)との結合はより強固となる。
なお、第1板材2(Wd)の裏面2e(We)とは、第1板材2(Wd)において第2板材3(Wc)が積層する側である表面2c(Wj)に対して反対側の面を指す。
【0092】
また、半抜き用パンチ41が第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入している際に、半抜きダボ受70は、小孔2a内の所定位置で停止して半抜きダボ受70の先端面が半抜きダボ3aの下端面を受けていてもよく、或は、小孔2a内で半抜きダボ受70の先端面が半抜きダボ3aの下端面を第2板材3(Wc)側(
図9の上側)に押圧し続けていてもよい。半抜きダボ3aの形成が終了した段階(半抜き用パンチ41による第2板材3(Wc)の表面3c(We)内への圧入の停止状態、及び、半抜きダボ受70による上側押圧の停止状態)では、半抜きダボ高さlは、第2板材3(Wc)の板厚Wsより小さい。
【0093】
なお、半抜きダボ受70は、変形例1(
図7)、変形例2(
図8)、及び、後述の変形例4(
図10)においては、第1板材2(Wd)の裏面2e(We)側から小孔2a内に挿入配置し、実施形態2においては第1板材102(Wa)の裏面102e(We)側から小孔102a内に挿入配置する。
【0094】
〔変形例4〕
図10は、変形例4における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
変形例4の半抜きダボ形成工程40は、実施形態1の第1板材2(Wd)に穿孔される小孔2aの内壁が、小孔2aにおける裏面側孔幅寸法2afが表面側孔幅寸法2aeより大きくなるように逆テーパ面2fに形成されている状態で行われる点で、実施形態1及び変形例1~変形例3と異なる。その他の点では、実施形態1及び変形例1~変形例3と同様である。
【0095】
第1板材2(Wd)の小孔2aの内壁は、
図10に図示されているように、小孔穿孔工程20において、小孔2aにおける裏面側孔幅寸法2afが表面側孔幅寸法2aeより大きくなるように逆テーパ面2fに形成される。この逆テーパ面2fは、第1板材2(Wd)の表面2c(Wj)から裏面2e(We)に向けて所定角度θを有する。
なお、第1板材2(Wd)の裏面2e(We)とは、第1板材2(Wd)において第2板材3(Wc)が積層する側である表面2c(Wj)に対して反対側の面を指す。
また、小孔2aの内壁の逆テーパ面2fは、直線状でもよく、階段状でもよく、第1板材2(Wd)の表面2c(Wj)から裏面2e(We)に向けて小孔2aの幅寸法が大きく形成されればどのような面形状でもよい。また、逆テーパ面2fは、小孔2aの外周全域に設けてもよく、あるいは、小孔2aの外周の一部に設けてもよい。なお、
図10図では、半抜き用パンチ41の外径41dは、小孔2aの表面側孔幅寸法2aeと同径である。
【0096】
第1板材2(Wd)の小孔2aの内壁において、第1板材2(Wd)の表面2c(Wj)から裏面2e(We)にかけて逆テーパ面2fを形成するには、まず、実施形態1と同様に小孔用パンチ21(
図3(2)参照。)を用いて第1板材2(Wd)に小孔2aを穿孔する。次に、先端側側面がテーパ面に形成された逆テーパ面形成用パンチ(図示せず。)を第1板材2(Wd)の裏面2e(We)側から小孔2a内に圧入し、逆テーパ面形成用パンチの先端側のテーパ面が小孔2aの内壁を押し付けることにより、小孔2aの内壁に逆テーパ面2fを形成する。
なお、小孔2aの内壁に逆テーパ面2fを形成する方法は、上記以外であってもよい。例えば、第1板材の裏面側から逆テーパ面形成用ドリルを挿入する、あるいは、第1板材の裏面側からレーザ光線を照射する、または、第1板材の裏面側から腐食液を晒すことにより、小孔の内壁に逆テーパ面を形成してもよい。
【0097】
変形例4によれば、半抜きダボ形成工程40において、半抜き用パンチ41が第2板材3(Wc)の表面3c(We)を押圧すると、半抜きダボ3aが形成され、その突出部3bが小孔2a内に突出する。この突出部3bは、半抜き用パンチ41により押圧され圧縮された状態で小孔2a内に突出するため、小孔2aの内壁の逆テーパ面2fに沿って拡張する。したがって、突出部3bは、小孔2aの逆テーパ面2fにロックされ、確実に保持されることとなる。このため、第2板材3(Wc)は、第1板材2(Wd)により強固に結合される。
【0098】
なお、変形例4における半抜きダボ形成工程40は、実施形態1及び変形例1~変形例3の第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)が積層された状態で半抜きダボ形成工程40を行う場合に限定されるものではなく、実施形態2の第1板材102(Wa)に第2板材103が積層された状態で半抜きダボ形成工程140を行う場合にも適用可能であり、前述した変形例4と同様の効果を有する。
また、変形例4における半抜きダボ形成工程40は、変形例3の半抜きダボ形成工程40と併用してもよい。具体的には、半抜きダボ形成工程40では、
図9のように第1板材2(Wd)の裏面2e(We)側から小孔2aの内部に半抜きダボ受70を挿入配置し、半抜きダボ受70の上面を
図10の半抜きダボ3aの底面よりやや上方(半抜き用パンチ41の配置方向)の所定位置に配置した上で半抜き用パンチ41を第2板材3(Wc)の表面3c(We)内に圧入する。この場合は、変形例3の効果と変形例4の効果をもたらす。
【0099】
〔変形例5〕
図11は、変形例5における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
実施形態1の半抜きダボ形成工程40は、第1板材2(Wd)に第2板材3(Wc)を積層した状態で半抜きダボ工程40を行っている。
変形例5の半抜きダボ形成工程は、実施形態1の半抜きダボ工程40を行った後、第2板材3(Wc)の先端を180°折り曲げ、この折り曲げた部分である第3板材4(Wc)を第2板材3(Wc)の表面に積層させ、第3板材4(Wc)に第2回半抜きダボ形成工程42を行うものである。
【0100】
図11には、第1板材2(Wd)と第2板材3(Wc)とが、実施形態1の半抜きダボ形成工程40によって形成された半抜きダボ3aにより互いに結合されている状態が示されている。
第2回半抜きダボ形成工程42では、第2板材3(Wc)において予め小孔3fが穿孔された平面視位置に対応する第3板材4(Wc)の表面位置で半抜き用パンチ41を第3板材4(Wc)の表面4c(Wc)内に圧入して半抜きダボ4aを形成し、第3板材4(Wc)の裏面から突出する半抜きダボ4aの突出部4bを第2板材3(Wc)の小孔3f内に圧入し、第2板材3(Wc)と第3板材4(Wc)を互いに結合させる。
【0101】
なお、第2板材3(Wc)に予め小孔3fを穿孔するタイミングは、実施形態1の小孔穿孔工程20とするが、穿孔可能な時期ならば、当該小孔穿孔工程20以外のタイミングでもよい。
また、第2板材3(Wc)の小孔3fと第3板材4(Wc)の半抜きダボ4aの平面視位置は、第1板材2(Wd)の小孔2aと第2板材3(Wc)の半抜きダボ3aの平面視位置とは、異なる位置に設定する。
【0102】
なお、変形例5において、第2板材3(Wc)が実施形態1の第1板材2(Wd)に相当し、第3板材4(Wc)が実施形態1の第2板材3(Wc)に相当することから、実施形態1の半抜きダボ形成工程40を2回実施すると見なすことができる。また、第3板材4(Wc)の表面側に第4板材を積層させ、第4板材に第3回半抜きダボ形成工程を実施してもよく、同様に第4回以降の半抜きダボ形成工程を繰り返してもよい。
【0103】
変形例5によれば、積層される板材を増やすことができ、積層板材構造体401の厚さを厚く構成することが可能となる。このため、例えば、積層板材構造体を半導体モジュールMの放熱板に使用する場合には、放熱性能をより高めることが可能となる。
また、第3板材以降の板材を次々に積層しても、各板材間は折り曲げ部により一体化しているため、半抜きダボによる互いの板材の結合力を著しく高める必要がない。このため、半抜きダボの形成箇所を少なくすることが可能となり、低コストで積層板材構造体を製造することができる。
【0104】
〔変形例6〕
図12は、変形例6における半抜きダボ形成工程40を説明する説明図である。
実施形態2の半抜きダボ形成工程40は、第1板材102(Wa)に第2板材103を積層した状態で半抜きダボ工程40を行っている。
変形例6の半抜きダボ形成工程は、実施形態2の半抜きダボ工程40を行った後、第2板材103の表面に第3板材104を積層させ、第3板材104に第2回半抜きダボ形成工程42を行うものである。
【0105】
図12には、第1板材102(Wa)と第2板材103とが、実施形態2の半抜きダボ形成工程40によって形成された半抜きダボ103aにより互いに結合されている状態が示されている。
第2回半抜きダボ形成工程42では、第2板材103に予め穿孔された小孔103fの平面視位置に対応する第3板材104の表面位置で半抜き用パンチ41を第3板材104の表面104c内に圧入して半抜きダボ104aを形成し、第3板材104の裏面から突出する半抜きダボ104aの突出部104bを第2板材103の小孔103f内に圧入し、第2板材103と第3板材104を互いに結合させる。
【0106】
なお、第2板材103に予め小孔103fを穿孔するタイミングは、実施形態2の小孔穿孔工程20とするが、穿孔可能な時期ならば、当該小孔穿孔工程20以外のタイミングでもよい。
また、第2板材103の小孔103fと第3板材104の半抜きダボ104aの平面視位置は、第1板材102(Wa)の小孔102aと第2板材103の半抜きダボ103aの平面視位置とは、異なる位置である。
第1板材102(Wa)と第2板材103との平面視位置の位置合わせは、実施形態2のように第1板材102(Wa)に形成した案内ダボ102dを第2板材103の案内孔103dに挿入して行う(
図3(3)参照。)。また、第2板材103と第3板材104との平面視位置の位置合わせは、第2板材103に予め形成した案内ダボを第3板材104に予め穿孔した案内孔に挿入して行う(図示せず。)。なお、各板材同士の平面視位置の位置合わせは、それ以外の位置合わせ構造であってもよく、例えば、基台に設置した案内ピンに、各板材に形成した案内孔を挿入してもよい。
【0107】
なお、変形例6において、第2板材103が実施形態2の第1板材102(Wa)に相当し、第3板材104が実施形態2の第2板材103に相当することから、実施形態2の半抜きダボ形成工程140を2回実施したと見なすことができる。また、第3板材104の表面側に第4板材を積層させ、第4板材に第3回半抜きダボ形成工程を実施してもよく、同様に第4回以降の半抜きダボ形成工程を繰り返してもよい。
第1板材102(Wa)の板厚Wtは第2板材103の板厚Wsより厚く、第2板材103の板厚Wsは第3板材104の板厚Wuより厚い。但し、各板の板厚は、その関係に定まるものではなく、必要に応じて適宜選定すればよく、例えば同じ板厚でもよい。
【0108】
変形例6によれば、積層される板材を増やすことができ、積層板材構造体501の厚さを厚く構成することが可能となる。このため、例えば、積層板材構造体を半導体モジュールMの放熱板に使用する場合には、放熱性能をより高めることが可能となる。また、各板材の平面視形状を整えて、モータ、及び、発電機などの積層電磁コアに適用することも可能となる。
また、各板材の板厚、材質を、使用目的に応じて適宜変更することも可能である。
【0109】
〔その他の変形例〕
本発明は、次のような変形例も含む。
【0110】
(1)実施形態1では、テープ状板材Wを用いて第1板材2(Wd)及び第2板材3(Wc)を形成(テープ状板材Wの所定領域Waを折り曲げて第2板材3(Wc)を形成)し、テープ状板材Wを間欠的に搬送しながら、所定領域形成工程10、小孔穿孔工程20、第2板材積層工程30(直角折り曲げ工程31、135°折り曲げ工程34及び180°折り曲げ工程36を含む)、半抜きダボ形成工程40及び積層板材構造体分離工程50を連続的に行うものであった。
本変形例は、テープ状板材Wに代えて短冊状板材を用い、当該短冊状板材を間欠搬送装置に搭載して、所定領域形成工程10、小孔穿孔工程20、第2板材積層工程30(直角折り曲げ工程31、135°折り曲げ工程34及び180°折り曲げ工程36を含む)、半抜きダボ形成工程40及び積層板材構造体分離工程50を連続的に行うようにしてもよい。
【0111】
また、前述のように、短冊状板材を用いて第1板材2(Wd)及び第2板材3(Wc)を形成するが、上記各工程を(搬送装置に搭載せずに)独立して行ってもよい。この場合は、短冊状板材の平面視形状を適宜設定することにより、実施形態1の積層板材構造体分離工程50を必要としてもよく、前記積層板材構造体分離工程50を不要としてもよい。
【0112】
また、上記各工程を(搬送装置に搭載せずに)独立して行う場合には、小孔穿孔工程で第1板材に小孔を穿孔する小孔用パンチ21を、半抜きダボ形成工程で用いる半抜き用パンチ41と兼用してもよい。
【0113】
(2)実施形態2では、小孔穿孔工程120で案内ダボ形成工程122を行い、第2板材積層工程130で第2板材103を第1板材102(Wa)に積層しており、その際に、第1板材102(Wa)の案内ダボ102dを第2板材103の案内孔103dに挿入し両板材の平面視位置を定めていた。しかし、両板材の平面視位置はその他の構造を用いて定めてもよい。例えば、小孔穿孔工程120では、第1板材102(Wa)に小孔102aを穿孔するとともに、案内ダボ形成工程122を行わず、第1板材102(Wa)に案内孔を所定箇所(例えば、
図6(1)の案内ダボ102dの平面視位置2箇所)に穿孔する。第2板材積層工程130では、第1板材102(Wa)の下側から案内ピンを移動させ、第1板材102(Wa)の案内孔を突き抜けて突出させた案内ピンを積層された第2板材103の予め穿孔しておいた案内孔に挿入する。こうして、両板材の平面視位置を定める。
【0114】
(3)実施形態2では、テープ状板材Wを用いて第1板材102(Wa)を形成し、テープ状板材Wを間欠的に搬送しながら、所定領域形成工程110、小孔穿孔工程120、第2板材積層工程130(第2板材103はテープ状板材Wから形成せずに別途に準備されたもの。)、半抜きダボ形成工程140及び積層板材構造体分離工程150を連続的に行うものであった。
本変形例は、テープ状板材Wに代えて、短冊状板材を用いて第1板材102(Wa)を形成し、短冊状板材を間欠搬送装置に搭載して、所定領域形成工程110、小孔穿孔工程120、第2板材積層工程130(第2板材103は短冊状板材から形成せずに別途に準備されたもの。)、半抜きダボ形成工程140及び積層板材構造体分離工程150を連続的に行うようにしてもよい。
【0115】
また、前述のように、短冊状板材を用いて第1板材102(Wa)及び第2板材103を形成するが、上記各工程を(搬送装置に搭載せずに)独立して行ってもよい。この場合は、短冊状板材の平面視形状を適宜設定することにより、実施形態2の積層板材構造体分離工程150を必要としてもよく、前記積層板材構造体分離工程150を不要としてもよい。
【0116】
また、上記各工程を(搬送装置に搭載せずに)独立して行う場合には、小孔穿孔工程で第1板材に小孔を穿孔する小孔用パンチ21を、半抜きダボ形成工程で用いる半抜き用パンチ41に兼用してもよい。
【0117】
(4)各実施形態及び各変形例において、小孔穿孔工程20、120では、小孔用パンチ21を用いて第1板材2(Wd)、102(Wa)に小孔2a、102aを穿孔したが、その他の方法により小孔を穿孔してもよい。たとえば、ドリル、レーザ光、または、化学薬品による溶解により、第1板材に小孔を穿孔してもよい。
【0118】
(5)各実施形態及び各変形例において、半抜きダボ形成工程40、140では、半抜き用パンチ41を用いて第2板材3(Wc)、103に半抜きダボ3a、103aを形成していたが、その他の方法により第2板材に半抜きダボを形成してもよい。例えば、半抜きダボの直径(平面視大きさ)と同等の内径(平面視大きさ)を有したパイプから圧縮流体を第2板材の表面に噴射し、第2板材に半抜きダボを形成してもよい。あるいは、半抜きダボの直径(平面視大きさ)と同等の内径(平面視大きさ)を有したパイプを第1板材の裏面の小孔付近に押し当て、パイプを用いて真空引きすることにより、第2板材に半抜きダボを形成してもよい。上記の場合、両パイプ内の圧縮流体流路及び真空経路が本発明の半抜き用パンチとなる。
【0119】
(6)各実施形態及び各変形例においては第1板材には硬化処理がほどこされていなかった。本発明はこれに限定させるものではなく、小孔が穿孔される第1板材に硬化処理を施こしてもよい。硬化処理は、第1板材に熱処理を施して硬化してもよい。また、硬化処理は、小孔周辺の第1板材を板厚方向にプレスして板厚方向に圧縮し、加工硬化させてもよい。小孔周辺の第1板材を硬化させると、半抜きダボを形成する際に、第1板材がダイの役割を充分に発揮でき、半抜きダボを良好に形成することが可能となる。
【0120】
(7)その他、本発明の趣旨を変えない範囲ならば、上記以外の変形例も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1、101、401、501・・・積層板材構造体
2、102・・・第1板材
2a、102a・・・(第1板材の)小孔
2f・・・逆テーパ面
3、103・・・第2板材
3a、103a・・・(第2板材の)半抜きダボ
3b、103b・・・(半抜きダボの)突出部
3f、103f・・・(第2板材の)小孔
4、104・・・第3板材
4a、104a・・・(第3板材の)半抜きダボ
4b、104b・・・(半抜きダボの)突出部
10、110・・・所定領域形成工程
20、120・・・小孔穿孔工程
21・・・・・・・小孔用パンチ
30、130・・・第2板材積層工程
31・・・直角折り曲げ工程
34・・・135°折り曲げ工程
36・・・180°折り曲げ工程
40、140・・・半抜きダボ形成工程
41・・・半抜き用パンチ
42・・・第2回半抜きダボ形成工程
50、150・・・積層板材積層体分離工程
70・・・半抜きダボ受
122・・・案内ダボ形成工程
1000・・・積層鉄心(積層板材構造体)
1010・・・鉄心片(板材)
1010a・・・鉄心片の裏面
1010b・・・鉄心片の表面
1010c・・・鉄心片の凹部
1010d・・・鉄心片の凸部
1010e・・・鉄心片の開口
M・・・半導体モジュール
P・・・搬送方向
W・・・テープ状板材
Wa・・・(テープ状板材の)所定領域
Wb・・・(テープ状板材の)切り欠き部
Wc・・・(テープ状板材の)先端領域
Wd・・・(テープ状板材の)平坦領域
We・・・(テープ状板材の)裏面
Wf、Wg・・・積層構造体
Wh・・・(テープ状板材の)スプロケット穴
Wi・・・(テープ状板材の)接続領域
Wj・・・(テープ状板材の)表面
Wt・・・(テープ状板材の)板厚