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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】評価付ライフプランシート作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20120101AFI20221012BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20221012BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
G06Q40/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018189594
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020060819
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506087691
【氏名又は名称】エフ・ピー・アイ・ジェイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】塚原 哲
(72)【発明者】
【氏名】宮下 貴博
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-279186(JP,A)
【文献】特開2002-140529(JP,A)
【文献】特開2010-231384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置によって入力される、基準時の世帯情報、基準時のキャッシュフロー情報、及び基準時以降の年別ライフイベント情報を含む利用者入力情報を受け付ける利用者情報受付手段と、
前記利用者情報受付手段により受け付けた利用者入力情報を記憶する記憶手段と、
前記入力装置によって入力されるライフプランシートの作成要求を受け付けるシート作成要求受付手段と、
前記シート作成要求受付手段による受付に応じて、前記利用者入力情報から作成された年間収入、年間支出、資産残高、及び負債残高の情報を含む基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、年別にキャッシュフロー状況を評価し、該年別キャッシュフローの評価結果が付加された評価付ライフプランシートを作成する評価付シート作成手段と、
前記評価付シート作成手段により作成された評価付ライフプランシートを表示装置に出力する出力手段と、
を備え
前記評価付シート作成手段が、下記[式1]から計算される「資産残高割合」、下記[式2]から計算される「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び下記[式3]から計算される「個人資産額」の少なくとも5項目に基づいて、年別にキャッシュフロー状況を評価する
ことを特徴とする評価付ライフプランシート作成システム。
[式1]
「資産残高割合」=(資産残高)÷(資産残高+負債残高)×100
[式2]
「年間貯蓄割合」=(年間収入-年間支出)÷(年間収入)×100
[式3]
「個人資産額」=(資産残高)÷(世帯人数)
【請求項2】
年別ライフイベント情報に応じて、基準時のキャッシュフロー情報から、基準時以降の年別キャッシュフロー情報を演算するキャッシュフロー演算手段を備えたことを特徴とする請求項記載の評価付ライフプランシート作成システム。
【請求項3】
基準時の世帯情報から、基準時以降の年別ライフイベント情報を作成する年別ライフイベント情報作成手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の評価付ライフプランシート作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、世帯のライフプランの健全さを容易に把握できる評価付ライフプランシートを作成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、資産管理や将来の貯蓄計画などの世帯の財務分析のためにライフプランシートを作成することが行われており、ライフプランシートを作成するための各種ツールやシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来作成されているライフプランシートは、専門的な数値が表示されているだけで一般利用者にとって何を表しているのかがわかりづらく、ファイナンシャルプランナー等の専門家による説明を要するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-208504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ライフプランの健全さを容易に把握できる評価付ライフプランシートを作成するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、一般利用者にとってわかりづらいライフプランシートの利便性向上を図るべく鋭意検討した結果、ライフプランシートにおいて、年別にキャッシュフローの評価結果を表示することにより、ライフプランシートに示される数値を理解できない一般利用者にも、ライフプランの健全さが容易に把握できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]入力装置によって入力される、基準時の世帯情報、基準時のキャッシュフロー情報、及び基準時以降の年別ライフイベント情報を含む利用者入力情報を受け付ける利用者情報受付手段と、
前記利用者情報受付手段により受け付けた利用者入力情報を記憶する記憶手段と、
前記入力装置によって入力されるライフプランシートの作成要求を受け付けるシート作成要求受付手段と、
前記シート作成要求受付手段による受付に応じて、前記利用者入力情報から作成された基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、年別にキャッシュフロー状況を評価し、該年別キャッシュフローの評価結果が付加された評価付ライフプランシートを作成する評価付シート作成手段と、
前記評価付シート作成手段により作成された評価付ライフプランシートを表示装置に出力する出力手段と、
を備えていることを特徴とする評価付ライフプランシート作成システム。
【0008】
[2]基準時以降の年別キャッシュフロー情報が、年間収入、年間支出、資産残高、及び負債残高の情報を含むことを特徴とする[1]記載の評価付ライフプランシート作成システム。
[3]評価付シート作成手段が、下記[式1]から計算される「資産残高割合」、下記[式2]から計算される「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び下記[式3]から計算される「個人資産額」の少なくとも5項目に基づいて、年別にキャッシュフロー状況を評価することを特徴とする[2]記載の評価付ライフプランシート作成システム。
【0009】
[式1]
「資産残高割合」=(資産残高)÷(資産残高+負債残高)×100
[式2]
「年間貯蓄割合」=(年間収入-年間支出)÷(年間収入)×100
[式3]
「個人資産額」=(資産残高)÷(世帯人数)
【0010】
[4]年別ライフイベント情報に応じて、基準時のキャッシュフロー情報から、基準時以降の年別キャッシュフロー情報を演算するキャッシュフロー演算手段を備えたことを特徴とする[1]~[3]のいずれか記載の評価付ライフプランシート作成システム。
[5]基準時の世帯情報から、基準時以降の年別ライフイベント情報を作成する年別ライフイベント情報作成手段を備えたことを特徴とする[1]~[4]のいずれか記載の評価付ライフプランシート作成システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の評価付ライフプランシート作成システムによれば、一般利用者であってもライフプランの健全さを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る評価付ライフプランシート作成システム(本システム)の基本的なシステム構成を示す図である。
図2】本システムにおける利用者入力情報の入力画面例を示す図であり、(a)は基準時の世帯情報の入力画面例であり、(b)は基準時のキャッシュフロー情報の入力画面例であり、(c)は基準時以降の年別ライフイベント入力情報の入力画面例である。
図3】本システムの評価付シート作成手段により作成される評価付ライフプランシートの例を示す図である。
図4】本システムの評価付シート作成手段による2018年の「資産残高割合」、「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び「個人資産額」の5項目の「演算結果」、この「演算結果」に基づく「評価得点」及び「総合点」を示す図である。
図5図4に示す「演算結果」の各値から「評価得点」を決定するための評価基準表の例を示す図である。
図6】「評価得点」により算出された「総合点」に基づく評価ランク表の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の評価付ライフプランシート作成システム(以下、本発明のシステムということがある)は、入力装置によって入力される、基準時の世帯情報、基準時のキャッシュフロー情報、及び基準時以降の年別ライフイベント情報を含む利用者入力情報を受け付ける利用者情報受付手段と、利用者情報受付手段により受け付けた利用者入力情報を記憶する記憶手段と、入力装置によって入力されるライフプランシートの作成要求を受け付けるシート作成要求受付手段と、シート作成要求受付手段による受付に応じて、前記利用者入力情報から作成された基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、年別にキャッシュフロー状況を評価し、年別キャッシュフローの評価結果が付加された評価付ライフプランシートを作成する評価付シート作成手段と、評価付シート作成手段により作成された評価付ライフプランシートを表示装置に出力する出力手段と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明のシステムは、上記利用者情報受付手段、記憶手段、シート作成要求受付手段、評価付シート作成手段、及び出力手段以外の手段を備えていてもよく、例えば、作成された評価付ライフプランシートを印刷する印刷手段を備えることができる。
【0015】
本発明のシステムによれば、年毎のキャッシュフローの評価及びその変化が容易に把握できるライフプランシートを作成できる。したがって、各年のキャッシュフローの評価及びその変化から、現在のライフプランが無理のないものか、将来のライフイベントを実現可能かといった判断が容易にでき、ライフプランの修正や見直しも容易となる。また、従来のように、ファイナンシャルプランナー等の専門家の説明を要しないため、専門家を介さず個人レベルでライフプランの健全さを把握することができる。
【0016】
本発明のシステムは、例えば、一般的に普及しているPC単体、タブレット等の携帯端末単体で構成することができる。PCの場合、入力装置としては、PCのキーボードやマウスを例示することができ、表示装置としてはPCモニタを例示することができる。
【0017】
また、本発明のシステムは、例えば、有線・無線のLAN、イントラネット、インターネット、電話回線等のネットワーク接続を利用して、複数のPC、携帯端末で構成することもできる。例えば、通信手段を備えたPCと、ネットワークによって接続されたスマートフォンやタブレット等の携帯端末とで構成されたものが挙げられる。この場合、入力装置としては、PCのキーボードやマウスの他、携帯端末のタッチパネル等が含まれ、表示装置としては、PCモニタの他、携帯端末のディスプレイが含まれる。
【0018】
まず、本発明のシステムにおける利用者入力情報受付手段について説明する。
利用者入力情報受付手段は、入力装置によって入力される利用者入力情報を受け付ける手段である。「入力装置によって入力される」とは、例えば、利用者によってキーボード等を用いて、表示装置の画面上に表示された入力画面に利用者入力情報が入力されることをいう。ここで、利用者としては、評価対象者本人の他、その対象者から入力情報を取得したファイナンシャルプランナー等の専門家が挙げられる。
【0019】
この利用者入力情報受付手段に受け付ける利用者入力情報は、少なくとも、基準時の世帯情報、基準時のキャッシュフロー情報、及び基準時以降の年別ライフイベント情報を含む。
【0020】
利用者入力情報としての基準時の世帯情報は、通常、入力時の世帯の情報であって、例えば、各個人の名前、生年月日、性別、続柄や、世帯人数等の情報を挙げることができる。本発明のシステムにおいては、少なくとも世帯人数が把握できる情報を含むことが好ましい。
【0021】
また、利用者入力情報としての基準時のキャシュフロー入力情報は、通常、入力時又はその前年のキャッシュフロー情報であって、例えば、年間収入、年間支出、資産残高、負債残高等の情報を挙げることができる。年間収入は、例えば、世帯の可処分所得である。また、年間支出は、例えば、教育費、住宅費、生活費等の年間の支出の総額である。また、資産残高は、例えば、貯蓄残高、住宅以外の所有不動産の総額である。また、負債残高とは、例えば、住宅や車のローン残高である。
【0022】
利用者入力情報としての基準時以降の年別ライフイベント情報は、キャッシュフローに影響を与える将来のイベント情報であり、例えば、結婚、住宅購入、車購入、出産等を挙げることができる。なお、年別ライフイベント情報とは、該当時期(年)とイベント内容の両方を含む情報をいう。
【0023】
続いて、本発明のシステムにおける記憶手段について説明する。
記憶手段は、利用者入力情報受付手段により受け付けた上記利用者入力情報を記憶する手段である。
【0024】
記憶手段は、利用者入力情報の他、予め種々の格納情報を記憶しており、例えば、上記利用者入力情報の入力時に利用者が入力項目を容易に把握できるように、本システムにおいて考慮すべき各種イベント情報(例えば、結婚、住宅購入、出産)や、この各種イベントに経験的又は統計的に設定された標準費用情報(例えば、結婚の費用○○万円、幼稚園入園に基づく年間支出増加○○万円等)を記憶している。この格納情報は、利用者の利用者入力情報入力時に、表示装置に表示して、利用者の入力作業を補助することができ、また、本発明のシステムがライフイベント情報からキャッシュフロー情報を自動的に作成することを可能とする。
【0025】
さらに、記憶手段は、評価付シート作成手段がキャッシュフロー状況を評価するための基準情報(図4及び図5参照)を記憶しており、この基準に基づき、評価付シート作成手段が評価を行う。
【0026】
続いて、本発明のシステムにおけるシート作成要求受付手段について説明する。
シート作成要求受付手段は、入力装置によって入力されるライフプランシートの作成要求を受け付ける手段である。
【0027】
「入力装置によって入力されるライフプランシートの作成要求」は、具体的に、例えば、利用者入力情報を入力後、利用者によって表示装置の画面上に表示された「評価付ライフプランシート作成」ボタンをマウスによりクリックすることにより行われる。このシート作成要求受付手段における入力装置としては、利用者入力情報受付手段と同様の入力装置を用いることができる。
【0028】
なお、本発明のシステムにおいては、利用者入力情報受付手段による利用者入力情報の受付、及びシート作成要求受付手段によるライフプランシートの作成要求の受付が、順次行われるものであってもよいが、同時に行われるものであってもよい。すなわち、例えば、キーボードによるライフプランシート入力情報の入力を終了する際に、表示装置の画面上に表示された「入力完了」ボタンをマウスによりクリックすることにより、利用者入力情報の受付と同時に、ライフプランシート作成の要求が受け付けられるものであってもよい。
【0029】
続いて、本発明のシステムにおける評価付シート作成手段について説明する。
評価付シート作成手段は、上記シート作成要求受付手段による受付に応じて(トリガーとして)、利用者入力情報から作成された基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、年別にキャッシュフロー状況を評価し、この評価結果が付加された評価付ライフプランシートを作成する手段である。
【0030】
「利用者入力情報から作成された基準時以降の年別キャッシュフロー情報」は、その一部又は全部が、ファイナンシャルプランナー(FP)等の人の手によって利用者入力情報に基づき作成されたものであってもよいが、本発明のシステムによって自動的に作成されることが好ましい。すなわち、本発明のシステムが、年別ライフイベント情報に応じて、基準時のキャッシュフロー情報から、基準時以降の年別キャッシュフロー情報を演算するキャッシュフロー演算手段を備えていることが好ましい。例えば、給料がX%増える設定として演算し、各年の年間収入を算出したり、「結婚」というイベント情報に対して、記憶手段に格納情報として予め記憶されたイベント標準費用情報(格納情報)を利用し加算して、その年の年間支出額を算出(増額)する。
【0031】
また、基準時以降の年別キャッシュフロー情報に影響を与える年別ライフイベント情報は、世帯情報から作成され得る。例えば、上記基準時の世帯情報に子供の情報が含まれる場合には、基準時の年齢から該当年を算出し、「幼稚園入園」、「小学校入学」、「中学校入学」、「高校入学」、「大学入学」、「独立」等の年別ライフイベント情報を作成する。このライフイベント情報の作成は、上記のように、人の手によって行われてもよいが、本システムによって自動的に作成されることが好ましい。すなわち、本発明のシステムは、基準時の世帯情報から、基準時以降の年別ライフイベント情報を作成する年別ライフイベント情報作成手段を備えていることが好ましい。
【0032】
年別のキャッシュフロー状況の評価は、種々の方法を用いて行うことができるが、(1)下記[式1]から計算される「資産残高割合」、(2)下記[式2]から計算される「年間貯蓄割合」、(3)「資産残高」、(4)「年間支出」、及び(5)下記[式3]から計算される「個人資産額」の少なくとも5項目に基づいて評価する手段であることが好ましい。なお、利用者入力情報受付手段から受け付ける利用者入力情報には、この5項目が得られるような情報を含む。
【0033】
[式1]
「資産残高割合」=(資産残高)÷(資産残高+負債残高)×100
[式2]
「年間貯蓄割合」=(年間収入-年間支出)÷(年間収入)×100
[式3]
「個人資産額」=(資産残高)÷(世帯人数)
【0034】
具体的には、まず、基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、上記5項目の値を算出する。得られた「資産残高割合」、「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び「個人資産額」の各値をもとに、評価基準を参照して各項目における評価を行う。これら各項目の評価を合計し、最終的なキャッシュフロー状況の評価を行う。この年別キャッシュフローの評価結果の表示方法は、結果の優劣(健全さのレベル)が把握できるものであれば特に制限されるものではなく、算出した総合点を評価結果として用いてもよいし、例えばA~Eの評価等の段階評価であってもよい。また、これらの総合点や段階評価をグラフ形式で表示してもよい。
【0035】
続いて、本発明のシステムにおける出力手段について説明する。
出力手段は、評価付シート作成手段により作成された評価付ライフプランシートを表示装置に出力する手段であり、具体的には、評価付ライフプランシートをPCモニタ、スマートフォンやタブレットのディスプレイ等の表示装置に表示する手段である。
【0036】
本発明における評価付ライフプランシートは、ライフイベントと共にキャッシュフローに関する情報が時系列に年毎に掲載された従来のライフプランシートに、上記のような各年のキャッシュフローの評価結果(年別キャッシュフローの評価結果)が示されたものである(例えば、図3参照)。このように、本発明における評価付ライフプランシートは、年別キャッシュフローの評価結果が示されたものであることから、現在または将来の各年のライフプランの健全さを容易に把握することができる。
【0037】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る評価付ライフプランシート作成システムの基本的なシステム構成を示す図である。
【0038】
図1に示すように、本実施形態に係る評価付ライフプランシート作成システムは、汎用PC等のサーバ10から構成されており、サーバ10には、入力装置としてのキーボード20及びマウス30と、表示装置としてのモニタ40とが接続されている。
【0039】
図1に示すように、本システムとしてのサーバ10は、利用者入力情報受付手段と、記憶手段と、シート作成要求受付手段と、評価付シート作成手段と、出力手段とを備えている。
【0040】
本システムにおいては、利用者入力情報受付手段が、キーボード20によって入力される利用者入力情報を受け付け、記憶手段が、受け付けられた利用者入力情報を記憶する。また、シート作成要求受付手段が、マウス30等によって要求されるシート作成要求を受け付ける。この作成要求に応じて、評価付シート作成手段が、評価付ライフプランシートを作成し、出力手段が、作成された評価付ライフプランシートをモニタ40に表示する。
【0041】
以下、各手段の動作について詳細に説明する。
ここで、図2は、本システムにおける利用者入力情報の入力画面例を示す図であり、(a)は基準時の世帯情報の入力画面例であり、(b)は基準時のキャッシュフロー情報の入力画面例であり、(c)は基準時以降の年別ライフイベント入力情報の入力画面例である。図3は、本システムの評価付シート作成手段により作成される評価付ライフプランシートの例を示す図である。
【0042】
また、図4は、本システムの評価付シート作成手段による2018年の「資産残高割合」、「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び「個人資産額」の5項目の「演算結果」、この「演算結果」に基づく「評価得点」及び「総合点」を示す図である。図5は、図4に示す「演算結果」の各値から「評価得点」を決定するための評価基準表の例を示す図である。図6は、「評価得点」により算出された「総合点」に基づく評価ランク表の例を示す図である。なお、図4図6に示される図は、説明の便宜上のものであり、通常、モニタ40に表示されるものではないが、モニタ40に表示されることを妨げるものではない。
【0043】
まず、利用者が、本システムにログインして、利用者入力情報の入力画面にアクセスし、利用者入力情報を入力する。利用者入力情報には、基準時の世帯情報、基準時のキャッシュフロー情報、及び基準時以降の年別ライフイベント情報が含まれる。
【0044】
図2(a)に示すように、基準時の世帯情報には、例えば、各個人の「続柄」、「名前」、「生年月日」、「性別」といった項目が含まれる。本実施形態では、3人家族であり、3人の情報が入力される。なお、ここで入力した個人の人数(3人)が、世帯人数情報となる。
【0045】
また、図2(b)に示すように、基準時のキャッシュフロー情報には、例えば、「年間収入」、「年間支出」、「資産残高(貯蓄残高)」、「負債残高(ローン残高)」といった項目が含まれ、前年の実績や現在の状況から、各項目を入力する。
【0046】
また、図2(c)に示すように、基準時以降の年別ライフイベント情報には、例えば、「予定時期」、「予定イベント」、「予定購入金額」といった項目が含まれ、確定したライフイベント予定や、希望するライフイベント予定を入力する。
【0047】
この利用者の利用者入力情報は、入力情報受付手段によって受け付けられると共に、記憶手段に記憶される。
【0048】
続いて、利用者は、シート作成要求を行う。具体的には、例えば、利用者が、モニタ40上の「ライフプランシート作成」ボタンをマウス30によりクリックすることにより行われる。
【0049】
シート作成要求を受け付けた本システムでは、評価付シート作成手段が評価付ライフプランシート50を作成し、出力手段によって、作成した評価付ライフプランシート50がモニタ40上に表示される(図3参照)。
【0050】
ここで、評価付シート作成手段の評価付ライフプランシート50の作成方法について説明する。
評価付シート作成手段は、入力された利用者入力情報、及び予め記憶手段に記憶された格納情報に基づき、各年のライフイベント情報及び各年のキャッシュフロー情報を表形式とする。具体的には、入力された「住宅購入」の情報を該当年のライフイベント情報欄に掲載すると共に、入力された世帯情報における子供の年齢情報に基づいて、該当年を演算し、該当年のライフイベント情報欄に「幼稚園入園」、「小学校入学」等を掲載する。また、利用者入力情報における基準時のキャッシュフロー情報から、年別ライフイベント情報を勘案して、基準時以降の年別キャッシュフローを演算し、表示する。
【0051】
より具体的には、例えば、図3に示される評価付ライフプランシート50においては、2020年では、「住宅購入」とのライフイベント情報が考慮されて、その年のキャッシュフロー情報が作成され、2022年は、「幼稚園入園」とのライフイベント情報が考慮されて、その年のキャッシュフロー情報が作成される。なお、図3に示されるライフプランにおいては、2020年に、頭金800万円で2000万円の住宅購入を予定しており、毎月5万円(年間60万円)の住宅費増加が見込まれる場合である。また、2022年には、子供が幼稚園に入園することに伴って年間支出が20万円増加している。
【0052】
なお、図3の評価付ライフプランシート50では、キャッシュフロー情報として、「年間収入」、「年間支出」、「資産残高」、「負債残高」がライフプランシートに表示されているが、これらの情報に限られない。また、図3においては、年収が変動しない(500万円)設定となっているが、毎年X%増加するよう演算して掲載するようにすることもできる。
【0053】
このように演算された基準時以降の年別キャッシュフロー情報に基づき、年別にキャッシュフロー状況を評価する。評価方法について、図3に示す評価付ライフプランシート50における「2018年」を例にとって説明を行う。
【0054】
本実施形態において評価に用いられる項目は、下記[式1]から計算される「資産残高割合」、下記[式2]から計算される「年間貯蓄割合」、「資産残高」、「年間支出」、及び下記[式3]から計算される「個人資産額」の5項目である(図4参照)。
【0055】
[式1]
「資産残高割合」=(資産残高)÷(資産残高+負債残高)×100
[式2]
「年間貯蓄割合」=(年間収入-年間支出)÷(年間収入)×100
[式3]
「個人資産額」=(資産残高)÷(世帯人数)
【0056】
本実施形態においては、2018年は、「年間収入」は「500(万円)」、「年間支出」は「320(万円)」、「資産残高」は「800(万円)」、「負債残高」は「0(万円)」である。また、「世帯人数」は「3(人)」である。
【0057】
[式1]~[式3]に従って演算すると、「資産残高割合」=「100(%)」、「年間貯蓄割合」=「36(%)」、「個人資産額」=「266.6(万円)」となり、上記5項目の各値は、図4の演算結果の欄に示すようになる。
【0058】
次に、図4の演算結果の欄に示す各値から、図5に示す評価基準表に基づき評価得点を決定し(図4の評価得点の欄)、各評価得点の合計である総合点(図4の総合点の欄)を算出する。
【0059】
2018年の例では、評価得点は、それぞれ「資産残高割合」=「10(点)」、「年間貯蓄割合」=「8(点)」、「資産残高」=「7(点)」、「年間支出」=「5(点)」、「個人資産額」=「6(点)」となり、総合点は「36(点)」である。
【0060】
次に、得られた総合点「36(点)」と図6に示す評価ランク表から評価を決定し、最終的な評価結果を得る。例えば、「2018年」キャッシュフローに基づく総合点「36(点)」における評価結果は「B」ランクである。
【0061】
上記算出して得られた2018年のキャッシュフローの評価結果「B」が、図3に示すように、評価付ライフプランシート50上の「2018年」の年別キャシュフローの評価結果の欄に掲載される。
【0062】
上記2018年と同様に評価が行われ、2019年以降の欄にも、年別キャシュフローの評価結果が掲載される。
また、このランクが示された評価結果の欄の下段には、評価結果のランクの推移が一見して把握できるようにグラフが掲載される。
なお、本実施形態においては、評価結果として、「B」等のランクと共に、グラフが掲載されているが、いずれか一方であってもよい。また、グラフは、別シートとしてもよい。
【0063】
以上のように、評価付ライフプランシート作成システムで作成された評価付ライフプランシート50は、各年におけるキャッシュフローの評価が表示されているため、個人レベルでキャッシュフロー評価及びその変化を容易に理解でき、ひいては、ライフプランの健全さを容易に把握することができる。また、ライフプランにおける資金不足を容易に把握することができ、例えば、単年では準備できない不足資金を複数年かけて準備する等の対策をとることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の評価付ライフプランシート作成システムは、専門家や一般利用者が容易に利用できるシステムであり、産業上有用である。
【符号の説明】
【0065】
10 サーバ
20 キーボード
30 マウス
40 モニタ
50 評価付ライフプランシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6