(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】不動産物件情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20221012BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
(21)【出願番号】P 2018213168
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】520466401
【氏名又は名称】NeoX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何書勉
(72)【発明者】
【氏名】趙文瑞
(72)【発明者】
【氏名】李英臣
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0206218(US,A1)
【文献】特開2016-42246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0289590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
3/048-3/04895
G06Q 10/00-99/00
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとユーザ端末とを備えるネットワークシステムであって、
前記サーバは、
マーカ画像を特定するマーカ識別情報と不動産物件の所在地情報及び関連情報を含む物件情報とをユーザの種別ごとに関連付けて記憶するサーバ記憶部と、
前記ユーザ端末からの求めに応じて前記マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を該ユーザ端末に配信する物件情報配信部を備え、
前記ユーザ端末は、
前記ユーザの種別に関する情報を含むユーザ情報を記憶する端末記憶部と、
前記マーカ画像を読み込むカメラ部と、
前記カメラ部が読み込んだ前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、該マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を前記サーバから取得する物件情報取得部と、
前記物件情報取得部が取得した前記物件情報に含まれる不動産物件の所在地情報と前記ユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて該ユーザ端末の位置からの該不動産物件の方角を取得し、前記ユーザが該不動産物件の方角を認識できるような態様で該物件情報の一部又はすべてを該ユーザ端末に表示する表示情報生成部とを備え、
前記物件情報配信部は、前記ユーザの種別に応じて前記ユーザ端末に配信する前記物件情報を異なるものとすることを特徴とする不動産物件情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の不動産物件情報提供システムにおいて、
前記カメラ部は、連続して複数の前記マーカ画像を読み込むことができ、
前記物件情報取得部は、前記カメラ部が読み込んだ複数の前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を前記サーバから取得し、
前記表示情報生成部は、前記物件情報取得部が取得した複数の物件情報に含まれる各不動産物件の所在地情報と前記ユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて該ユーザ端末の位置からの各不動産物件の方角を取得し、前記ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報の一部又はすべてを該ユーザ端末に表示するように構成されていることを特徴とする不動産物件情報提供システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の不動産物件情報提供システムにおいて、
前記サーバ記憶部は、前記物件情報の表示レイアウトであるレイアウト情報を記憶しており、
前記物件情報取得部は、前記カメラ部が読み込んだ前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報及び前記レイアウト情報を前記サーバから取得するように構成され、
前記表示情報生成部は、前記ユーザの種別に応じて前記物件情報の表示レイアウトを異なるものとするように構成されていることを特徴とする不動産物件情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物に印刷した二次元コードをマーカとして用いて、当該二次元コードをユーザ端末に読み込ませ、当該二次元コードに対応するコンテンツをサーバから取得して端末に当該コンテンツを表示させるシステムが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
文献1のシステムでは、音声又は映像データを含むコンテンツを特定する情報を記述した二次元コードをユーザ端末に読み取らせ、当該情報に基づいてサーバからコンテンツを受信し、受信したコンテンツをユーザ端末でユーザに視聴させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなシステムを、不動産の物件情報の提供に利用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のシステムによれば、ある時点においてユーザ端末でユーザに視聴させることができるコンテンツは一つのマーカに対して常にひとつである。
【0007】
この場合、例えば物件への居住を希望して物件を探している入居希望者と、物件の仲介を行う不動産事業者とでは、物件に関する情報として得たい情報が異なるので、文献1のシステムを不動産の物件情報の提供に用いた場合、不動産事業者のシステム管理者は、ユーザの種別ごとにコンテンツを作成するだけでなく、コンテンツの数だけマーカを準備し、各コンテンツとマーカとを関連付けてサーバに記憶させ、対応するマーカを印刷した印刷媒体を、例えば自社の従業者向け、入居希望者向けなどユーザの種別ごとに作成する必要がある。
【0008】
そのため、各不動産事業者のシステム管理者にとって、コンテンツの管理の手間が多く、また、印刷すべき印刷媒体の数も増大する。
【0009】
また、ユーザも入居希望者向けの印刷媒体、不動産事業者向けの印刷媒体など、自身の立場に応じた印刷媒体を入手しなければならず、不便である。
【0010】
このように、上記特許文献1のシステムによれば、各不動産事業者のシステム管理者の手間が増大すると共に、ユーザにも不便を感じさせることとなる。
【0011】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、システム管理者の手間を軽減しつつ、ユーザに不便を感じさせずにユーザの種別に応じた不動産物件情報を提供できるシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による不動産物件情報提供システムは、
サーバとユーザ端末とを備えるネットワークシステムであって、
前記サーバは、
マーカ画像を特定するマーカ識別情報と不動産物件の所在地情報及び関連情報を含む物件情報とをユーザの種別ごとに関連付けて記憶するサーバ記憶部と、
前記ユーザ端末からの求めに応じて前記マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を該ユーザ端末に配信する物件情報配信部を備え、
前記ユーザ端末は、
前記ユーザの種別に関する情報を含むユーザ情報を記憶する端末記憶部と、
前記マーカ画像を読み込むカメラ部と、
前記カメラ部が読み込んだ前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、該マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を前記サーバから取得する物件情報取得部と、
前記物件情報取得部が取得した前記物件情報に含まれる不動産物件の所在地情報と前記ユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて該ユーザ端末の位置からの該不動産物件の方角を取得し、前記ユーザが該不動産物件の方角を認識できるような態様で該物件情報の一部又はすべてを該ユーザ端末に表示する表示情報生成部とを備え、
前記物件情報配信部は、前記ユーザの種別に応じて前記ユーザ端末に配信する前記物件情報を異なるものとすることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、表示情報生成部は、不動産物件の所在地情報とユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて当該ユーザ端末の位置からの当該物件の方角を取得し、ユーザが当該物件の方角を認識できるような態様で物件情報をユーザ端末に表示することができる。
【0014】
そのためユーザは、物件の所在する方角を容易に知ることができると共に、当該物件の関連情報(例えば外観、間取り、周辺に立地している店舗、公共交通手段の駅など)を得ることができる。
【0015】
また、サーバ記憶部は、マーカ画像を特定するマーカ識別情報と不動産物件の所在地情報及び関連情報を含む物件情報とをユーザの種別ごとに関連付けて記憶しており、サーバの物件情報配信部は、ユーザの種別に応じてユーザ端末に配信する物件情報を異なるものとすることができる。
【0016】
これにより、ユーザは、同一のマーカ画像をユーザ端末に読み込ませても、当該ユーザに適した内容で物件情報をユーザ端末に表示させることができ、便利である。
【0017】
また、各不動産事業者のシステム管理者は、同一の不動産物件についてユーザの種別ごとに異なる内容で物件情報を配信したい場合でも、不動産物件ごとのマーカ画像を1つのみ用意すればよいので、システム管理者の手間が少なくて済む。
【0018】
このように、本発明の不動産物件情報提供システムによれば、システム管理者の手間を軽減しつつ、ユーザに不便を感じさせずにユーザの種別に応じた不動産物件情報を提供できるシステムを実現することができる。
【0019】
本発明による不動産物件情報提供システムにおいて、
前記カメラ部は、連続して複数の前記マーカ画像を読み込むことができ、
前記物件情報取得部は、前記カメラ部が読み込んだ複数の前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報を前記サーバから取得し、
前記表示情報生成部は、前記物件情報取得部が取得した複数の物件情報に含まれる各不動産物件の所在地情報と前記ユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて該ユーザ端末の位置からの各不動産物件の方角を取得し、前記ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報の一部又はすべてを該ユーザ端末に表示するように構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、カメラ部は、連続して複数のマーカ画像を読み込むことができる。そして、物件情報取得部は、カメラ部が読み込んだ複数のマーカ画像のマーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた物件情報をサーバから取得する。
【0021】
さらに、表示情報生成部は、物件情報取得部が取得した複数の物件情報に含まれる各不動産物件の所在地情報とユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて当該ユーザ端末の位置からの各不動産物件の方角を取得し、ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報をユーザ端末に表示することができる。
【0022】
そのためユーザは、同時に複数の物件の所在する方角を知ることができると共に、当該複数の物件の物件情報を得ることができる。
【0023】
このように、本発明の不動産物件情報提供システムによれば、よりユーザに不便を感じさせずに不動産物件情報を提供できるシステムを実現することができる。
【0024】
本発明の不動産物件情報提供システムにおいて、
前記サーバ記憶部は、前記物件情報の表示レイアウトであるレイアウト情報を記憶しており、
前記物件情報取得部は、前記カメラ部が読み込んだ前記マーカ画像の前記マーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた前記物件情報及び前記レイアウト情報を前記サーバから取得するように構成され、
前記表示情報生成部は、前記ユーザの種別に応じて前記物件情報の表示レイアウトを異なるものとするように構成されていることが好ましい。
【0025】
不動産物件情報提供システムを、異なる不動産事業者が物件の仲介のために用いることが考えられる。また、不動産事業者ごとに、入居希望者に物件情報を提供する際の物件情報の並び順、表示位置などのレイアウトが異なる場合がある。
【0026】
本発明によれば、サーバ記憶部は、物件情報の表示レイアウトであるレイアウト情報を記憶しており、表示情報生成部は、ユーザの種別(例えば、どの不動産事業者の従業者であるか)に応じて物件情報の表示レイアウトを異なるものとすることができる。
【0027】
そのため、各不動産事業者のシステム管理者は、自社向けのレイアウト情報を作成しておくことにより、各不動産事業者が望むレイアウトで、物件情報をユーザ端末に表示させることができる。
【0028】
このように、本発明の不動産物件情報提供システムによれば、システム管理者の手間を軽減しつつ、各不動産事業者の希望に応じた不動産物件情報をユーザに提供できるシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムの構成の概略を示す概略図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムの処理の流れを示すフローチャート。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムのユーザ端末における画面表示を示す図。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムのユーザ端末における画面表示を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0031】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムの構成の概略を説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムは、複数のユーザ端末10と1つ以上のサーバ20とを備えるネットワークシステムである。さらに不動産物件情報提供システムは、各不動産事業者のシステム管理者が用いる1つ以上の管理者端末30a、30bを備えている。
【0033】
ユーザ端末10とサーバ20との間及び管理者端末30a、30bとサーバ20との間は、例えば携帯電話通信網、Wi-Fi(登録商標)その他の無線通信又はEthernet、PLC(パワー・ライン・コミュニケーション)などの有線通信などを介してインターネット等の通信ネットワーク40により接続されており、各ユーザ端末10、サーバ20、及び管理者端末30a、30bに割り当てられているIPアドレス、識別符号などに基づいて相手方を特定して相互に種々の情報を送受信することができる。
【0034】
ユーザ端末10は、カメラ部100、タッチパネル部110、GPS部120、ジャイロセンサー部130、端末通信部140、端末制御部150、物件情報取得部151、表示情報生成部152、端末記憶部160を備える端末であり、例えばスマートフォン、タブレットである。
【0035】
カメラ部100は、マーカ画像や実際の風景を撮像することができるカメラである。カメラ部100は、物件情報取得部151がマーカ画像を読み込んで当該マーカ画像のマーカ識別情報を認識する際と、表示情報生成部152がサーバ20から受信した物件情報に基づいて、ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報の一部又はすべてを表示する際とに用いられる。
【0036】
マーカ画像とは、例えばQRコード(登録商標)その他の2次元バーコード、特定の図形、アイコン、静止画などの画像であって、物件情報取得部151が各マーカ画像を読み込んで、当該マーカ画像のマーカ識別情報を認識することができるように調整されている画像である。
【0037】
マーカ識別情報は、当該マーカを特定する情報であって、例えば英文字、数字、日本語仮名、漢字、あるいはこれらの組み合わせなどの文字情報である。
【0038】
タッチパネル部110は、タッチパネルであり、ユーザによる指示の入力を受け付ける部分として機能すると共に、カメラ部100が撮像した映像を表示する表示装置としても機能する。
【0039】
GPS部120は、GPS衛星からの電波を受信し、当該受信内容を用いてユーザ端末10の現在の緯度及び経度を含む位置情報を取得する。ジャイロセンサー部130は、ユーザ端末10のXYZの3軸方向の角速度を検出することにより、当該ユーザ端末の向きを取得できるセンサーである。端末通信部140は、有線通信又はWiFi(登録商標)等の通信規格にしたがった無線通信を介して、サーバ20と相互通信するよう構成されている。
【0040】
端末制御部150は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置及びメモリ等により構成されている。端末制御部150は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより、後述の処理を実行する物件情報取得部151、表示情報生成部152として機能する。
【0041】
端末制御部150は、タッチパネル部110に対するユーザによる操作(例えば、ボタンをタッチする操作、あるいはスワイプする操作等)に応じて、読み込むべきプログラムを認識して読み込んで実行する。
【0042】
物件情報取得部151は、カメラ部100を介して撮像した映像に含まれるマーカ画像を読み込み、当該マーカ画像のマーカ識別情報を認識して、当該マーカ識別情報及びユーザ端末10の端末記憶部160に記憶されたユーザ情報161に含まれるユーザIDを含む情報を、端末通信部140を介してサーバ20に送信する。
【0043】
そして、物件情報取得部151は、当該マーカ識別情報に関連付けられ、かつ当該ユーザの種別に対応した物件情報を含む情報をサーバ20から受信する。
【0044】
表示情報生成部152は、物件情報取得部151がサーバ20から取得した物件情報に含まれる不動産物件の所在地情報を抽出する。さらに表示情報生成部152は、GPS部120を用いてユーザ端末10の位置情報を取得し、ジャイロセンサー部130を用いてユーザ端末10の向きを取得する。
【0045】
そして、表示情報生成部152は、不動産物件の所在地情報と、ユーザ端末10の位置情報及び向きとに基づいてユーザ端末10の位置からの当該不動産物件の方角を取得し、ユーザが不動産物件の方角を認識できるような態様で当該物件情報をユーザ端末10のタッチパネル部110に表示する。表示情報生成部152は、物件情報として、物件情報取得部151がサーバ20から取得した物件情報に含まれる情報の全てを表示してもよいし、その一部を表示することとしてもよい。
【0046】
端末記憶部160は、例えばROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。端末記憶部160は、ユーザ情報161の他、端末制御部150の処理結果、端末制御部150が端末通信部140を介してサーバ20から受信したデータを記憶するように構成されている。
【0047】
ユーザ情報161は、ユーザを特定するために必要な情報であって、例えばユーザID、ユーザ名などを含む情報である。
【0048】
サーバ20は、サーバ通信部200、サーバ制御部210、物件情報配信部211、物件情報管理部212、サーバ記憶部220を備えるコンピュータである。サーバ20は、1台のコンピュータにより構成されていてもよいし、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0049】
サーバ通信部200は、有線通信又はWiFi(登録商標)等の通信規格にしたがった無線通信を介して、ユーザ端末10及び管理者端末30a、30bと相互通信するよう構成されている。
【0050】
サーバ制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置及びメモリ等により構成されている。サーバ制御部210は、所定のプログラムを読み込んで実行することにより、後述の処理を実行する物件情報配信部211、物件情報管理部212として機能する。
【0051】
物件情報配信部211は、ユーザ端末10からの求めに応じてユーザ端末10から受信したマーカ識別情報に関連付けられた物件情報を、サーバ記憶部220に記憶されている物件DB222から抽出して、ユーザ端末10に配信する。
【0052】
なお、物件情報配信部211は、サーバ記憶部220に記憶されているユーザ種別DB223を参照して、ユーザ端末10から受信したユーザIDに基づいて当該ユーザの種別を取得する。
【0053】
ユーザ種別は、例えば不動産物件の入居希望者、不動産事業者、あるいはリフォーム業者などである。ユーザ種別はさらに、例えば入居希望者を居住地域、家族構成でさらに詳細に分類するなどされてもよいし、あるいは不動産事業者及びリフォーム事業者を事業者ごとにさらに詳細に分類されていてもよい。
【0054】
そして、物件情報配信部211は、サーバ記憶部220に記憶されている物件情報222を参照して、ユーザ端末10から受信したマーカ識別情報に関連付けられ、かつ当該ユーザの種別に対応した物件情報を抽出して、ユーザ端末10に配信する。
【0055】
ユーザ種別に対応した物件情報とは、例えば入居希望者向けの物件情報であれば、間取り、公共交通機関や金融機関などの周辺施設の情報、家賃、敷金、礼金などである。また、不動産事業者向けの物件情報は、例えば前入居者情報、オーナー情報、入居者に対するオーナーの希望、家賃の値引き限度などである。あるいは、リフォーム業者向けの物件情報は、例えば電源コンセントやエアコンの位置、リフォーム施工上の注意点などである。なお、ある物件情報が、複数のユーザ種別に対して共通して配信されてもよい。
【0056】
このように、物件情報配信部211は、ユーザの種別に応じて、ユーザ端末10に配信する物件情報を異なるものとすることができる。
【0057】
物件情報管理部212は、管理者端末30a、30bにおける操作に基づいて、サーバ記憶部220内の情報を作成し、変更し、又は削除する。
【0058】
サーバ記憶部220は、例えばROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。
【0059】
サーバ記憶部220は、マーカDB221、物件DB222、ユーザ種別DB223の他、サーバ制御部210の処理結果、又はサーバ制御部210がサーバ通信部200を介してユーザ端末10から受信したデータを記憶するように構成されている。また、サーバ記憶部220は、レイアウトDB224を記憶するように構成されてもよい。
【0060】
マーカDB221は、マーカ識別情報及び物件情報を特定する情報である物件IDを関連付けて格納しているデータベースである。
【0061】
物件DB222は、物件IDと、当該物件の所在地情報及び、例えば間取り、公共交通機関や金融機関などの周辺施設の情報、家賃、敷金及び礼金などの情報を含む関連情報及びユーザ種別を特定する情報であるユーザ種別コード、とを関連付けて格納しているデータベースである。
【0062】
なお物件DB222は、関連情報として、文字情報だけでなく、動画、静止画、音声あるいはこれらの組み合わせを格納していてもよい。
【0063】
ユーザ種別DB223は、ユーザを特定する情報であるユーザIDとユーザ種別コードを含む情報とを関連付けて格納しているデータベースである。
【0064】
レイアウトDB224は、物件ID及びユーザ種別コードと、ユーザ端末10の表示情報生成部152が物件情報をユーザ端末に表示する際の表示レイアウトに関する情報であるレイアウト情報を含む情報とを関連付けて格納している。表示レイアウトとは、例えば物件情報に含まれる情報の並び順、表示位置又は文字の大きさ、フォント、色若しくは字体などである。
【0065】
管理者端末30a、30bは、各不動産事業者のシステム管理者が用いる端末であり、例えばコンピュータ、スマートフォン又はタブレットである。
【0066】
管理者端末30a、30bは、有線通信又はWiFi(登録商標)等の通信規格にしたがった無線通信を介して、サーバ20と相互通信し、サーバ20の物件情報管理部212に対して、サーバ記憶部220内のマーカDB221、物件DB222、ユーザ種別DB223及びレイアウトDB224のすべて又は一部を作成し、変更し、削除する操作を行えるように構成されている。
【0067】
これにより、本発明によれば、ユーザ端末10は、不動産物件の所在地情報と当該ユーザ端末10の位置情報及び向きとに基づいて当該ユーザ端末10の位置からの当該物件の方角を取得し、ユーザが当該物件の方角を認識できるような態様で物件情報を表示することができる。
【0068】
そのためユーザは、物件の所在する方角を容易に知ることができると共に、当該物件の外観、間取り、周辺に立地している店舗、公共交通手段の駅などの物件情報を得ることができる。
【0069】
また、本発明によれば、サーバ20は、マーカ画像を特定するマーカ識別情報と不動産物件の所在地情報及び関連情報を含む物件情報とをユーザの種別ごとに関連付けて記憶しており、ユーザの種別に応じてユーザ端末10に配信する物件情報を異なるものとすることができる。
【0070】
これにより、ユーザは、同一のマーカ画像をユーザ端末10に読み込ませても、当該ユーザに適した内容で物件情報をユーザ端末10に表示させることができ、便利である。
【0071】
また、各不動産事業者のシステム管理者は、同一の不動産物件についてユーザの種別ごとに異なる内容で物件情報を配信したい場合でも、不動産物件ごとのマーカ画像を1つのみ用意すればよいので、システム管理者の手間が少なくて済む。
【0072】
このように、本発明の不動産物件情報提供システムによれば、システム管理者の手間を軽減しつつ、ユーザに不便を感じさせずにユーザの種別に応じた不動産物件情報を提供できるシステムを実現することができる。
【0073】
なお、カメラ部100は、連続して複数のマーカ画像を読み込むことができ、物件情報取得部151は、カメラ部100が読み込んだ複数のマーカ画像のマーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた物件情報をサーバ20から取得し、表示情報生成部152は、物件情報取得部151が取得した複数の物件情報に含まれる各不動産物件の所在地情報とユーザ端末10の位置情報及び向きとに基づいてユーザ端末10の位置からの各不動産物件の方角を取得し、ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報の一部又はすべてをユーザ端末10に表示するように構成されていることが好ましい。
【0074】
これにより、ユーザは、同時に複数の物件の所在する方角を知ることができると共に、当該物件の物件情報を得ることができるので、よりユーザに不便を感じさせずに不動産物件情報を提供できる。
【0075】
あるいは、物件情報取得部151は、カメラ部100が読み込んだマーカ画像のマーカ識別情報に基づいて、各マーカ識別情報に関連付けられた物件情報及びレイアウト情報をサーバ20から取得するように構成され、表示情報生成部152は、ユーザの種別に応じて物件情報の表示レイアウトを異なるものとするように構成されていることが好ましい。
【0076】
これにより、各不動産事業者のシステム管理者は、自社向けのレイアウト情報を作成しておくことにより、各不動産事業者が望むレイアウトで、物件情報をユーザ端末に表示させることができるので、システム管理者の手間を軽減しつつ、各不動産事業者の希望に応じた不動産物件情報をユーザに提供できる。
【0077】
次に、
図2、
図3A及び
図3Bを参照して、本発明の一実施形態に係る不動産物件情報提供システムの処理の流れを説明する。
【0078】
(物件情報取得処理)
まず、端末制御部150は、タッチパネル部110に対するユーザによる操作に応じて、所定のプログラムを読み込み、物件情報取得部151としての機能を開始し、カメラ部100を介して、1つ以上のマーカ画像を読み込む。(
図2/STEP10)。
【0079】
そして、物件情報取得部151は、当該1つ以上のマーカ画像から、当該マーカ画像のマーカ識別情報を認識する(
図2/STEP20)。
【0080】
次に、物件情報取得部151は、ユーザ情報161を参照してユーザIDを取得し、STEP20にて認識した1つ以上のマーカ識別情報と当該ユーザIDとを含む情報をサーバ20に送信する(
図2/STEP30)。
【0081】
(物件情報配信処理)
サーバ20の物件情報配信部211は、ユーザ端末10が送信したマーカ識別情報及びユーザIDを受信し(
図2/STEP100)、ユーザ種別DB223を参照して、当該ユーザIDに関連付けられたユーザ種別コードを取得し、当該ユーザの種別を認識する(
図2/STEP110)。
【0082】
次に、物件情報配信部211は、物件DB222を参照して、STEP100にて受信したマーカ識別情報及びSTEP110にて取得したユーザ種別コードに関連付けられた物件情報を抽出する(
図2/STEP120)。
【0083】
続いて、物件情報配信部211は、レイアウトDB224を参照して、マーカ識別情報及びユーザ種別コードに関連付けられたレイアウト情報を抽出する(
図2/STEP130)。
【0084】
そして、物件情報配信部211は、STEP120にて抽出した物件情報とSTEP130にて抽出したレイアウト情報とをユーザ端末10に送信する(
図2/STEP140)。
【0085】
(表示情報生成処理)
まず、ユーザ端末10の表示情報生成部152は、サーバ20から物件情報とレイアウト情報とを受信し(
図2/STEP200)サーバ20から受信したレイアウト情報に基づいて物件情報のレイアウトを変換する(
図2/STEP210)。
【0086】
次に、表示情報生成部152は、GPS部120を用いて当該ユーザ端末10の位置情報を取得し、ジャイロセンサー部130を用いて当該ユーザ端末10の向きを取得し、サーバ20から受信した物件情報に含まれる各不動産物件の所在地情報、当該ユーザ端末10の位置情報を及び当該ユーザ端末10の向きに基づいて、各不動産物件の方角を取得する(
図2/STEP220)。
【0087】
そして、表示情報生成部152は、ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件情報の一部又はすべてである表示情報を生成して、タッチパネル部110に表示する(
図2/STEP230)。
【0088】
表示情報生成部152は、例えば
図3Aに示すように、カメラ部100が撮像している実際の風景の画像に、表示情報生成部152が生成した表示情報B1、B2を重ね合わせて表示する。
図2Aにおいては、ユーザがユーザ端末10を各物件の方向に向けた際に、実際の風景中の各物件と重なり合うように表示情報B1、B2として各物件の物件情報に含まれる情報のうち、物件名の情報を表示している。なお、物件情報に音声が含まれる場合は、表示情報生成部152は、ユーザ端末のスピーカを介して当該音声を再生することとしてもよい。
【0089】
そして、表示情報生成部152は、例えばユーザが表示終了の操作を行ったかを判定する(
図2/STEP240)。ユーザが表示終了の操作を行った場合(
図2/STEP240:YES)、表示情報生成部152は、処理を終了する。
【0090】
一方、ユーザが表示終了の操作を行わない間(
図2/STEP240:NO)は、STEP220~240の処理を繰り返し、ユーザが各不動産物件の方角を認識できるような態様で各物件の表示情報を表示し続ける。
【0091】
さらに、表示情報生成部152は、タッチパネル部110を介してユーザによる表示情報B1又はB2に対するタッチ操作を受け付けて、
図3Bに示すように、ユーザがタッチした表示情報B1又はB2に関する、さらに詳細な物件情報をSTEP220にて表示情報生成部152がサーバ20から受信したレイアウト情報に基づいてレイアウトを変換した物件情報をさらに表示する。
【0092】
(物件情報管理処理)
各不動産事業者のシステム管理者は、管理者端末30a、30bを介してサーバ20の物件情報管理部212に対して、サーバ記憶部220内のマーカDB221、物件DB222、ユーザ種別DB223及びレイアウトDB224のすべて又は一部を作成し、変更し、削除する操作を行い、不動産物件情報提供システムが上述の一連の処理を行えるようにするための準備をする。
【0093】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0094】
例えば、表示情報生成部152がユーザ端末10に表示する物件情報に当該物件の周辺施設の電話番号が含まれている場合、当該電話番号をユーザがタッチすることにより当該周辺施設に電話をかけることができるように構成してもよい。
【0095】
あるいは、表示情報生成部152がユーザ端末10に表示する物件情報に当該物件の周辺施設の所在地情報が含まれている場合、表示情報生成部152は、当該周辺施設の所在地情報とユーザ端末の位置情報及び向きとに基づいて当該ユーザ端末の位置からの当該周辺施設の方角を取得し、ユーザが当該周辺施設の方角を認識できるような態様で当該周辺施設に関する情報をユーザ端末に表示するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10…ユーザ端末、20…サーバ、30a、30b…管理者端末、40…通信ネットワーク、100…カメラ部、110…タッチパネル部、120…GPS部、130…ジャイロセンサー部、140…端末通信部、150…端末制御部、151…物件情報取得部、152…表示情報生成部、160…端末記憶部、200…サーバ通信部、210…サーバ制御部、211…物件情報配信部、212…物件情報管理部、220…サーバ記憶部