(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】飲料製造装置および表示方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20221012BHJP
A47J 31/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A47J31/44 100
A47J31/00 302
(21)【出願番号】P 2019128603
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597044139
【氏名又は名称】株式会社大都技研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】合▲崎▼ 邦明
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513146(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108850748(CN,A)
【文献】特開2008-276610(JP,A)
【文献】特開2017-007715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0241120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を製造する製造手段と、
前記製造手段による飲料の製造中に
表示させる画像の選択をユーザから受け付ける受付手段と、
前記受付手段により選択を受け付けた画像を表示装置に表示
させる表示
制御手段と、
を備え、
前記受付手段により選択を受付可能な画像には、複数の画像から成る第一の画像と、一の画像から成る第二の画像と、が含まれ、
前記表示制御手段は、
前記受付手段により前記第一の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程の進行に応じて前記第一の画像を切り替えて前記表示装置に表示させる切替え表示を行い、
前記受付手段により前記第二の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程が進行しても前記第二の画像を前記表示装置に継続して表示させる継続表示を行うものであり、
前記表示制御手段は、前記製造手段による前記飲料の製造中に、前記受付手段により前記選択を受け付けることによって、前記第一の画像の前記切替え表示と、前記第二の画像の前記継続表示とを切替可能なものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料製造装置であって、
前記第一の画像を構成する前記複数の画像の各々は、前記飲料の複数の製造工程の各々に対応しており、
前記表示制御手段は、
前記第二の画像の前記継続表示を行っている際に前記受付手段により前記第一の画像の選択を受け付けた場合、該第二の画像を、実行中の前記製造工程に対応する前記第一の画像に切り替えるとともに、前記飲料の複数の製造工程それぞれの切り替わりに応じて残りの前記第一の画像を切り替えて前記表示装置に表示させる、前記切替え表示を行うものである、
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の飲料製造装置であって、
前記受付手段は、前記飲料の製造前に、前記選択を前記ユーザから受付可能なものであることを特徴とする飲料製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飲料製造装置であって、
前記第一の画像は、前記飲料の製造工程を説明する画像であり、
前記飲料は、コーヒー豆から製造される飲料であり、
前記第二の画像は、前記コーヒー豆を説明する画像である、
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飲料製造装置であって、
前記第一の画像は、前記飲料の製造工程を説明する画像であり、
前記第二の画像は、前記飲料のレシピの作成者を説明する画像である、
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の飲料製造装置であって、
前記表示制御手段は、前記飲料の複数の製造工程それぞれの残り時間を表示し、
前記切替え表示における前記複数の画像の切替えが行われた場合であっても、当該切替え後に表示される画像に前記残り時間が表示される、
ことを特徴とする飲料製造装置。
【請求項7】
飲料製造装置において実行される表示方法であって、
飲料を製造する製造工程と、
前記製造工程における飲料の製造中
に表示させる画像の選択をユーザから受け付ける受付工程と、
前記受付工程において選択を受け付けた画像を表示装置に表示
させる表示
制御工程と、
を有し、
前記受付工程において選択を受付可能な画像には、複数の画像から成る第一の画像と、一の画像から成る第二の画像と、が含まれ、
前記表示制御工程では、
前記受付工程において前記第一の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程の進行に応じて前記第一の画像を切り替えて前記表示装置に表示させる切替え表示を行い、
前記受付工程において前記第二の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程が進行しても前記第二の画像を前記表示装置に継続して表示させる継続表示を行うものであり、
前記表示制御工程では、前記製造工程における前記飲料の製造中に、前記受付工程において前記選択を受け付けることによって、前記第一の画像の前記切替え表示と、前記第二の画像の前記継続表示とを切替可能なものである、
ことを特徴とする表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出対象から飲料液を抽出して飲料を製造する飲料製造装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー液の抽出方法として、挽き豆をお湯に浸漬する浸漬式(例えば特許文献1)や、挽き豆にお湯を透過する透過式(例えば特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-081544号公報
【文献】特開2003-024703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のいずれの方式による飲料製造装置においても、コーヒー飲料の製造中における付加的なサービスが求められる。
【0005】
本発明の目的は、コーヒー飲料の製造中において付加的なサービスを提供する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飲料製造装置は、飲料を製造する製造手段と、前記製造手段による飲料の製造中に表示させる画像の選択をユーザから受け付ける受付手段と、前記受付手段により選択を受け付けた画像を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、前記受付手段により選択を受付可能な画像には、複数の画像から成る第一の画像と、一の画像から成る第二の画像と、が含まれ、前記表示制御手段は、前記受付手段により前記第一の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程の進行に応じて前記第一の画像を切り替えて前記表示装置に表示させる切替え表示を行い、前記受付手段により前記第二の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程が進行しても前記第二の画像を前記表示装置に継続して表示させる継続表示を行うものであり、前記表示制御手段は、前記製造手段による前記飲料の製造中に、前記受付手段により前記選択を受け付けることによって、前記第一の画像の前記切替え表示と、前記第二の画像の前記継続表示とを切替可能なものであることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る表示方法は、飲料製造装置において実行される表示方法であって、飲料を製造する製造工程と、前記製造工程における飲料の製造中に表示させる画像の選択をユーザから受け付ける受付工程と、前記受付工程において選択を受け付けた画像を表示装置に表示させる表示制御工程と、を有し、前記受付工程において選択を受付可能な画像には、複数の画像から成る第一の画像と、一の画像から成る第二の画像と、が含まれ、前記表示制御工程では、前記受付工程において前記第一の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程の進行に応じて前記第一の画像を切り替えて前記表示装置に表示させる切替え表示を行い、前記受付工程において前記第二の画像の選択を受け付けた場合、前記飲料の製造工程が進行しても前記第二の画像を前記表示装置に継続して表示させる継続表示を行うものであり、前記表示制御工程では、前記製造工程における前記飲料の製造中に、前記受付工程において前記選択を受け付けることによって、前記第一の画像の前記切替え表示と、前記第二の画像の前記継続表示とを切替可能なものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コーヒー飲料の製造中において付加的なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】
図5の抽出容器の閉状態及び開状態を示す図。
【
図7】上部ユニット及び下部ユニットの一部の構成を示す正面図。
【
図10】
図1の飲料製造装置の制御装置のブロック図。
【
図11】(A)及び(B)は制御装置が実行する制御例を示すフローチャート。
【
図13】コーヒー飲料の製造中における表示処理を示すフローチャート。
【
図14】コーヒー飲料の製造中における表示処理を示すフローチャート。
【
図15】コーヒー飲料の製造工程の開始前に表示される画面を示す図。
【
図16】コーヒー飲料の製造中に表示される画面を示す図。
【
図17】コーヒー飲料の製造中に表示される画面を示す図。
【
図18】コーヒー飲料の製造中に表示される画面を示す図。
【
図19】コーヒー飲料の製造中に表示される画面、および画像選択の受付画面を示す図。
【
図20】製造中画像のパターンを示すテーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<1.飲料製造装置の概要>
図1は飲料製造装置1の外観図である。本実施形態の飲料製造装置1は、焙煎コーヒー豆と液体(ここでは水)からコーヒー飲料を自動製造する装置であり、一回の製造動作につき、コップ一杯分のコーヒー飲料を製造可能である。原料となる焙煎コーヒー豆は、キャニスタ40に収容可能である。飲料製造装置1の下部にはカップの載置部110が設けられており、製造されたコーヒー飲料は注ぎ部10cからカップへ注がれる。
【0012】
飲料製造装置1は、その外装を形成して内部機構を囲包するハウジング100を備える。ハウジング100は、本体部101と、飲料製造装置1の正面の一部及び側面の一部を覆うカバー部102とに大別される。カバー部102には情報表示装置12が設けられている。情報表示装置12は本実施形態の場合、タッチパネル式のディスプレイであり、各種の情報の表示の他、装置の管理者や飲料の需要者の入力を受け付けることが可能である。情報表示装置12は、移動機構12aを介してカバー部102に取付けられており、移動機構12aによって上下方向に一定の範囲で移動可能である。
【0013】
カバー部102には、また、豆投入口103と、豆投入口103を開閉する扉103aが設けられている。開閉扉103を開放して豆投入口103へ、キャニスタ40に収容されている焙煎コーヒー豆とは別の焙煎コーヒー豆を、投入することが可能となっている。これにより飲料の需要者に特別な一杯を提供することが可能である。
【0014】
カバー部102は、本実施形態の場合、アクリルやガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明カバーを構成している。このため、カバー部102に覆われたその内側の機構が外部から視認可能となっている。本実施形態の場合、コーヒー飲料を製造する製造部の一部がカバー部102を透して視認可能となっている。本体部101は本実施形態の場合その全体が非透過部とされており、その内部を外部から視認困難である。
【0015】
図2は、飲料製造装置1の部分正面図であって、飲料製造装置1の正面視でユーザが視認可能な製造部の一部を示す図である。カバー部102や情報表示装置12は想像線で図示されている。
【0016】
飲料製造装置1の正面部におけるハウジング100は、本体部101と、その外側(前方側)のカバー部102との二重構造となっている。前後方向で本体部101とカバー部102との間に製造部の一部の機構が配置されており、ユーザがカバー部102を介して視認可能である。
【0017】
カバー部102を介してユーザが視認可能な製造部の一部の機構は、本実施形態の場合、後述する集合搬送部42、グラインダ5A、5B、分離装置6、抽出容器9等である。本体部101の正面部には、奥側に窪んだ矩形状の凹部101aが形成されており、抽出容器9等はこの凹部101a内の奥側に位置している。
【0018】
カバー部102を介して外部からこれらの機構が視認可能であることにより、管理者にとっては点検や動作確認が容易になる場合がある。また、飲料の需要者にとってはコーヒー飲料の製造過程を楽しむことができる場合がある。
【0019】
なお、カバー部102は、その右端部においてヒンジ102aを介して本体部101に横開き式に開閉自在に支持されている。カバー部102の左端部には、本体部101とカバー部102とを閉状態に維持する係合部102bが設けられている。係合部102bは例えば磁石と鉄の組合せである。管理者はカバー部102を開放することで、その内側の上述した製造部の一部の点検等を行うことができる。
【0020】
なお、本実施形態の場合、カバー部102を横開き式としたが縦開き式(上下開き式)としてもよいし、スライド式としてもよい。また、カバー部102が開閉不能な構成であってもよい。
【0021】
図3は飲料製造装置1の機能の概要図である。飲料製造装置1は、コーヒー飲料の製造部として、豆処理装置2及び抽出装置3を含む。
【0022】
豆処理装置2は、焙煎コーヒー豆から挽き豆を生成する。抽出装置3は豆処理装置2から供給される挽き豆からコーヒー液を抽出する。抽出装置3は、流体供給ユニット7、後述する駆動ユニット8、抽出容器9及び切替ユニット10を含む。豆処理装置2から供給される挽き豆は、抽出容器9に投入される。流体供給ユニット7は、抽出容器9にお湯を投入する。抽出容器9内で挽き豆からコーヒー液が抽出される。抽出されたコーヒー液を含むお湯が切替ユニット10を介してコーヒー飲料としてカップCに送出される。
【0023】
<2.流体供給ユニット及び切替ユニット>
流体供給ユニット7及び切替ユニット10の構成について
図3を参照して説明する。まず、流体供給ユニット7について説明する。流体供給ユニット7は、抽出容器9へのお湯の供給や、抽出容器9内の気圧の制御等を行う。なお、本書において、気圧を数字で例示している場合、特に断わらない限り絶対圧を意味し、ゲージ圧とは大気圧を0気圧とする気圧である。大気圧とは、抽出容器9の周囲の気圧、又は、飲料製造装置の気圧を指し、例えば、飲料製造装置が海抜0mの地点に設置されている場合は、国際民間航空機関(=「International Civil Aviation Organization」〔[略]ICAO〕)が1976年に制定した国際標準大気(=「International Standard Atmosphere」〔[略]ISA〕)の海抜0mでの基準気圧(1013.25hPa)である。
【0024】
流体供給ユニット7は配管L1~L3を含む。配管L1は空気が流通する配管であり、配管L2は水が流通する配管である。配管L3は空気と水の双方が流通可能な配管である。
【0025】
流体供給ユニット7は、加圧源としてコンプレッサ70を含む。コンプレッサ70は大気を圧縮して送出する。コンプレッサ70は例えばモータ(不図示)を駆動源として駆動される。コンプレッサ70から送出される圧縮空気は、逆止弁71aを介してリザーブタンク(アキュームレータ)71に供給される。リザーブタンク71内の気圧は圧力センサ71bにより監視され、所定の気圧(本実施形態では7気圧(ゲージ圧で6気圧))に維持されるよう、コンプレッサ70が駆動される。リザーブタンク71には排水用のドレイン71cが設けられており、空気の圧縮により生じる水を排水可能となっている。
【0026】
水タンク72にはコーヒー飲料を構成するお湯(水)が蓄積される。水タンク72には、水タンク72内の水を加温するヒーター72a及び水の温度を計測する温度センサ72bが設けられている。ヒーター72aは温度センサ72bの検出結果に基づいて、蓄積されるお湯の温度を所定の温度(本実施形態では摂氏120度)に維持する。ヒーター72aは例えばお湯の温度が摂氏118度でONとされ、摂氏120度でOFFとされる。
【0027】
水タンク72には、また、水位センサ72cが設けられている。水位センサ72cは水タンク72内のお湯の水位を検出する。水位センサ72cにより所定の水位よりも水位が下がったことが検出されると、水タンク72に水が供給される。本実施形態の場合、不図示の浄水器を介して水が供給される。浄水器からの配管L2の途中には電磁弁72dが設けられており、水位センサ72cにより水位の低下が検出されると電磁弁72dが開放されて水が供給され、所定の水位に到達すると電磁弁72dが閉鎖されて水の供給が遮断される。こうして水タンク72内のお湯が一定の水位に維持される。なお、水タンク72への給水は一回のコーヒー飲料の製造に使用するお湯を排出する度に行ってもよい。
【0028】
水タンク72には、また、圧力センサ72gが設けられている。圧力センサ72gは水タンク72内の気圧を検出する。水タンク72には調圧弁72e及び電磁弁72fを介してリザーブタンク71内の気圧が供給される。調圧弁72eはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、3気圧(ゲージ圧で2気圧)に減圧する。電磁弁72fは調圧弁72eで調圧された気圧の、水タンク72への供給と遮断とを切り替える。電磁弁72fは、水タンク72への水の供給時を除き、水タンク72内の気圧が3気圧に維持されるように開閉制御される。水タンク72への水の供給時には、水の水圧によって水タンク72に円滑に水が補給されるように、電磁弁72hにより水タンク72内の気圧を水の水圧よりも低い圧力(例えば2.5気圧未満)に減圧する。電磁弁72hは水タンク72内を大気に解放するか否かを切り替え、減圧時には水タンク72内を大気に解放する。また、電磁弁72hは水タンク72への水の供給時以外に、水タンク72内の気圧が3気圧を超える場合に水タンク72内を大気に解放し、水タンク72内を3気圧に維持する。
【0029】
水タンク72内のお湯は、逆止弁72j、電磁弁72i及び配管L3を介して抽出容器9へ供給される。電磁弁72iを開放することで抽出容器9へお湯が供給され、閉鎖することでお湯の供給が遮断される。抽出容器9へのお湯の供給量は、電磁弁72iの開放時間で管理することができる。しかし、供給量を計測して電磁弁72iの開閉を制御してもよい。配管L3にはお湯の温度を計測する温度センサ73eが設けられており、抽出容器9へ供給される湯温が監視される。
【0030】
リザーブタンク71の気圧は、また、調圧弁73a、電磁弁73bを介して抽出容器9へ供給される。調圧弁73aはリザーブタンク71から供給される気圧を所定の気圧に減圧する。本実施形態の場合、5気圧(ゲージ圧で4気圧)以下に減圧調整が可能である。電磁弁73bは調圧弁73aで調圧された気圧の、抽出容器9への供給と遮断とを切り替える。抽出容器9内の気圧は圧力センサ73dで検出される。抽出容器9内の加圧時、圧力センサ73dの検出結果に基づいて電磁弁73bが開放され、抽出容器9内を所定の気圧(本実施形態の場合、最大で5気圧(ゲージ圧で4気圧))に加圧する。抽出容器9内の気圧は電磁弁73cで減圧可能である。電磁弁73cは抽出容器9内を大気に解放するか否かを切り替え、圧力異常時(例えば抽出容器9内が5気圧を超える場合)には抽出容器9内を大気に解放する。
【0031】
一回のコーヒー飲料の製造が終わると、本実施形態の場合、抽出容器9内を水で洗浄する。電磁弁73fは洗浄時に開放され、抽出容器9に水を供給する。
【0032】
次に切替ユニット10について説明する。切替ユニット10は抽出容器9から送出される液体の送出先を注ぎ部10cと廃棄タンクTとのいずれかに切り替えるユニットである。切替ユニット10は、切替弁10aと切替弁10aを駆動するモータ10bを含む。切替弁10aは、抽出容器9内のコーヒー飲料を送出する場合は注ぎ部10cへ流路を切り替える。コーヒー飲料は注ぎ部10cからカップCへ注がれる。洗浄時の廃液(水)及び残渣(挽き豆)を排出する場合は廃棄タンクTへ流路を切り替える。切替弁10aは本実施形態の場合3ポートのボール弁である。洗浄時には切替弁10aを残渣が通過することから、切替弁10aはボール弁が好適であり、モータ10bはその回転軸を回転することで、流路を切り替える。
【0033】
<3.豆処理装置>
図1、
図2を参照して豆処理装置2について説明する。豆処理装置2は、貯留装置4及び粉砕装置5を含む。
【0034】
<3-1.貯留装置>
貯留装置4は、焙煎後のコーヒー豆が収容される複数のキャニスタ40を含む。本実施形態の場合、キャニスタ40は三つ設けられている。キャニスタ40は、焙煎コーヒー豆を収容する筒状の本体40aと、本体40aに設けられた取手40bとを含み、飲料製造装置1に対して着脱自在に構成されている。
【0035】
各キャニスタ40は、互いに異なる種類の焙煎コーヒー豆を収容し、情報表示装置12に対する操作入力によって、コーヒー飲料の製造に用いる焙煎コーヒー豆の種類を選択できるようにしてもよい。種類が異なる焙煎コーヒー豆とは例えばコーヒー豆の品種が異なる焙煎コーヒー豆である。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、同じ品種のコーヒー豆であるが、焙煎度が異なる焙煎コーヒー豆であってもよい。また、種類が異なる焙煎コーヒー豆とは、品種も焙煎度も異なる焙煎コーヒー豆でもよい。また、三つのキャニスタ40の少なくともいずれか一つには、複数種類の品種の焙煎コーヒー豆が混合された焙煎コーヒー豆が収容されてもよい。この場合、各品種の焙煎コーヒー豆は、焙煎度が同程度であってもよい。
【0036】
なお、本実施形態では複数のキャニスタ40を設けたが、一つのキャニスタ40のみが設けられる構成であってもよい。また、複数のキャニスタ40を設けた場合に、同じ種類の焙煎コーヒー豆が全部又は複数のキャニスタ40に収容されてもよい。
【0037】
各キャニスタ40は計量搬送装置41に着脱自在に装着される。計量搬送装置41は、例えば、電動スクリューコンベアであり、キャニスタ40に収容された所定の量の焙煎コーヒー豆を自動計量して下流側に送出する。
【0038】
各計量搬送装置41は下流側の集合搬送部42に焙煎コーヒー豆を排出する。集合搬送部42は中空の部材で構成されており、各コンベア41から粉砕装置5(特にグラインダ5A)への焙煎コーヒー豆の搬送通路を形成する。各計量搬送装置41から排出された焙煎コーヒー豆は集合搬送部42の内部を自重によって移動し、粉砕装置5へ流れ落ちる。
【0039】
集合搬送部42には、豆投入口103に対応する位置に案内部42aが形成されている。案内部42aは豆投入口103から投入された焙煎コーヒー豆を粉砕装置5(特にグラインダ5A)へ案内する通路を形成する。これにより、キャニスタ40に収容された焙煎コーヒー豆以外に、豆投入口103から投入される焙煎コーヒー豆を原料としたコーヒー飲料も製造できる。
【0040】
<3-2.粉砕装置>
図2及び
図4を参照して粉砕装置5を説明する。
図4は分離装置6の一部判断斜視図である。粉砕装置5は、グラインダ5A及び5B、及び、分離装置6を含む。グラインダ5A及び5Bは貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆を挽く機構である。貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、グラインダ5Aで挽かれた後、グラインダ5Bで更に挽かれて粉状にされ、排出管5Cから抽出容器9へ投入される。
【0041】
グラインダ5A及び5Bは、豆を挽く粒度が異なっている。グラインダ5Aは粗挽き用のグラインダであり、グラインダ5Bは細挽き用のグラインダである。グラインダ5A、5Bはそれぞれ電動グラインダであり、駆動源であるモータと、モータにより駆動される回転刃等を含む。回転刃の回転数を変化させることで粉砕される焙煎コーヒー豆の大きさ(粒度)を変化可能である。
【0042】
分離装置6は挽き豆から不要物を分離する機構である。分離装置6はグラインダ5Aとグラインダ5Bとの間に配置された通路部63aを含む。通路部63aはグラインダ5Aから自由落下してくる挽き豆が通過する分離室を形成する中空体である。通路部63aには、挽き豆の通過方向(本実施形態の場合、上下方向。)と交差する方向(本実施形態の場合、左右方向。)に延びる通路部63bが接続されており、この通路部63bには吸引ユニット60が接続されている。吸引ユニット60が通路部63a内の空気を吸引することで、チャフや微粉といった軽量な物体が吸引される。これにより、挽き豆から不要物を分離できる。
【0043】
吸引ユニット60は遠心分離方式の機構である。吸引ユニット60は、送風ユニット60A及び回収容器60Bを含む。送風ユニット60Aは本実施形態の場合、ファンモータであり、回収容器60B内の空気を上方へ排気する。
【0044】
回収容器60Bは、分離可能に係合する上部61と下部62とを含む。下部62は上方が開放した有底の筒型をなしており、不要物を蓄積する空間を形成する。上部61は下部62の開口に装着される蓋部を構成する。上部61は、円筒形状の外周壁61aと、これと同軸上に形成された排気筒61bとを含む。送風ユニット60Aは排気筒61b内の空気を吸引するように排気筒61bの上方において上部61に固定されている。上部61には通路部63bが接続されている。通路部63bは排気筒61bの側方に開口している。
【0045】
送風ユニット60Aの駆動により、
図4において矢印d1~d3で示す気流が発生する。この気流により、通路部63aから不要物を含んだ空気が通路部63bを通って回収容器60B内に吸引される。通路部63bは排気筒61bの側方に開口しているため、不要物を含んだ空気は排気筒61bの周囲を旋回する。空気中の不要物Dは、その重量によって落下し、回収容器60Bの一部に集められる(下部62の底面上に堆積する)。空気は排気筒61bの内部を通って上方に排気される。
【0046】
排気筒61bの周面には複数のフィン61dが一体に形成されている。複数のフィン61dは排気筒61bの周方向に配列されている。個々のフィン61dは、排気筒61bの軸方向に対して斜めに傾斜している。このようなフィン61を設けたことで、不要物Dを含んだ空気の排気筒61bの周囲の旋回を促進する。
【0047】
本実施形態の場合、下部62はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。また、下部62はカバー部102で覆われた部分である(
図2)。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、下部62の周壁を透して、下部62内に蓄積された不要物Dを視認可能である。管理者にとっては、下部62の清掃タイミングを確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては不要物Dが除去されていることが視認できることで、製造中のコーヒー飲料の品質に対する期待感が高まる場合がある。
【0048】
このように本実施形態では、貯留装置4から供給される焙煎コーヒー豆は、まず、グラインダ5Aで粗挽きされ、その粗挽き豆が通路部63aを通過する際に、分離装置6によって不要物が分離される。不要物が分離された粗挽き豆は、グラインダ5Bにより細挽きされる。分離装置6で分離する不要物は、代表的にはチャフや微粉である。これらはコーヒー飲料の味を低下させる場合があり、挽き豆からチャフ等を除去することで、コーヒー飲料の品質を向上できる。
【0049】
焙煎コーヒー豆の粉砕は、一つのグラインダ(一段階の粉砕)であってもよい。しかし、本実施形態のように、二つのグラインダ5A、5Bによる二段階の粉砕とすることで、挽き豆の粒度が揃い易くなり、コーヒー液の抽出度合を一定にすることができる。豆の粉砕の際にはカッターと豆との摩擦により、熱が発生する場合がある。二段階の粉砕とすることで、粉砕時の摩擦による発熱を抑制し、挽き豆の劣化(例えば風味が落ちる)を防止することもできる。
【0050】
また、粗挽き→不要物の分離→細挽きという段階を経ることで、チャフなどの不要物を分離する際、不要物と挽き豆(必要部分)との質量差を大きくできる。これは不要物の分離効率を上げることができるとともに、挽き豆(必要部分)が不要物として分離されてしまうことを防止することができる。また、粗挽きと細挽きとの間に、空気の吸引を利用した不要物の分離処理が介在することで、空冷によって挽き豆の発熱を抑えることができる。
【0051】
<4.駆動ユニット及び抽出容器>
<4-1.概要>
抽出装置3の駆動ユニット8及び抽出容器9について
図5を参照して説明する。
図5は駆動ユニット8及び抽出容器9の斜視図である。駆動ユニット8の大部分は本体部101に囲包されている。
【0052】
駆動ユニット8はフレームFに支持されている。フレームFは、上下の梁部F1、F2及び梁部F1、F2を支持する柱部F3を含む。駆動ユニット8は、上部ユニット8A、中部ユニット8B及び下部ユニット8Cの三つのユニットに大別される。上部ユニット8Aは梁部F1に支持されている。中部ユニット8Bは梁部F1と梁部F2との間において、梁部F1及び柱部F3に支持されている。下部ユニット8Cは梁部F2に支持されている。
【0053】
抽出容器9は、容器本体90及び蓋ユニット91を含むチャンバである。抽出容器9のことをチャンバと呼ぶ場合がある。中部ユニット8Bは、容器本体90を着脱自在に保持するアーム部材820を備える。アーム部材820は、保持部材820aと、左右に離間した一対の軸部材820bとを含む。保持部材820aは、Cの字型のクリップ状に形成された樹脂等の弾性部材であり、その弾性力により容器本体90を保持する。保持部材820aは容器本体90の左右の側部を保持し、容器本体90の前方側は露出させている。これにより容器本体90の内部を、正面視で視認し易くなる。
【0054】
保持部材820aに対する容器本体90の着脱は手動操作で行い、保持部材820aに容器本体90を前後方向後方へ押し付けることで容器本体90が保持部材820aに装着される。また、容器本体90を保持部材820aから前後方向前側へ引き抜くことで、容器本体90を保持部材820aから分離可能である。
【0055】
一対の軸部材820bは、それぞれ、前後方向に延設されたロッドであり、保持部材820aを支持する部材である。なお、本実施形態では軸部材820bの数を二本としたが、一本でもよいし、三本以上であってもよい。保持部材820aは、一対の軸部材820bの前側の端部に固定されている。後述する機構により、一対の軸部材820bは前後方向に進退され、これにより保持部材820aが前後に進退し、容器本体90を前後方向に平行移動する移動動作を行うことができる。中部ユニット8Bは、また、後述するように、抽出容器9の上下を反転させる回動動作を行うことも可能である。
【0056】
<4-2.抽出容器>
図6を参照して抽出容器9について説明する。
図6は抽出容器9の閉状態及び開状態を示す図である。上記のとおり、抽出容器9は中部ユニット8Bにより上下が反転される。
図6の抽出容器9は、蓋ユニット91が上側に位置している基本姿勢を示している。以下の説明において上下の位置関係を述べる場合、特に断らない限りは基本姿勢における上下の位置関係を意味するものとする。
【0057】
容器本体90は有底の容器であり、ネック部90b、肩部90d、胴部90e及び底部90fを有するボトル形状を有している。ネック部90bの端部(容器本体90の上端部)には、容器本体90の内部空間と連通する開口90aを画定するフランジ部90cが形成されている。
【0058】
ネック部90b及び胴部90eは、いずれも円筒形状を有している。肩部90dは、ネック部90bと胴部90eとの間の部分であり、その内部空間の断面積が胴部90e側からネック部90b側へ向かって徐々に小さくなるようにテーパ形状を有している。
【0059】
蓋ユニット91は開口90aを開閉するユニットである。蓋ユニット91の開閉動作(昇降動作)は上部ユニット8Aにより行われる。
【0060】
容器本体90は、本体部材900及び底部材901を含む。本体部材900は、ネック部90b、肩部90d、胴部90eを形成する上下が開放した筒部材である。底部材901は底部90fを形成する部材であり、本体部材900の下部に挿入されて固定される。本体部材900と底部材901との間にはシール部材902が介在し、容器本体90内の気密性を向上する。
【0061】
本実施形態の場合、本体部材900はアクリル、ガラスなどの透光性を有する材料で形成されており、その全体が透過部とされた透明容器を構成している。管理者や飲料の需要者は、カバー部102、容器本体90の本体部材900を透して、容器本体90内でのコーヒー飲料の抽出状況を視認可能である。管理者にとっては、抽出動作を確認し易い場合があり、飲料の需要者にとっては抽出状況を楽しめる場合がある。
【0062】
底部材901の中心部には凸部901cが設けられ、この凸部901cには、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(
図8の弁903)が設けられている。連通穴は、容器本体90内を洗浄する際の廃液及び残渣の排出に用いられる。凸部901cにはシール部材908が設けられており、シール部材908は、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cと底部材901との間を気密に維持するための部材である。
【0063】
蓋ユニット91は、帽子状のベース部材911を備える。ベース部材911は、凸部911d、及び、閉時にフランジ部90cと重なる鍔部911cを有する。凸部911dには、容器本体90における凸部901cと同じ構造とされており、容器本体90内を外部に連通させる連通穴や、この連通穴を開閉する弁(
図8の弁913)が設けられている。凸部911dの連通穴は、主に、容器本体90内へのお湯の注入とコーヒー飲料の送出に用いられる。凸部911dにはシール部材918aが設けられている。シール部材918aは、上部ユニット8Aまたは下部ユニット8Cとベース部材911との間を気密に維持するための部材である。蓋ユニット91には、また、シール部材919が設けられている。シール部材919は、蓋ユニット91の閉時に蓋ユニット91と容器本体90との気密性を向上する。蓋ユニット91には濾過用のフィルタが保持される。
【0064】
<4-3.上部ユニット及び下部ユニット>
上部ユニット8A及び下部ユニット8Cについて
図7、
図8を参照して説明する。
図7は上部ユニット8A及び下部ユニット8Cの一部の構成を示す正面図であり、
図8は
図7の縦断面図である。
【0065】
上部ユニット8Aは、操作ユニット81Aを含む。操作ユニット81Aは容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉操作(昇降)及び凸部901c及び911dの弁の開閉操作を行う。操作ユニット81Aは、支持部材800、保持部材801、昇降軸802及びプローブ803を含む。
【0066】
支持部材800はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材801を収容する。支持部材800は、また、配管L3と支持部材800内を連通させる連通部800aを備える。配管L3から供給されるお湯、水および気圧が連通部800aを介して支持部材800内に導入される。
【0067】
保持部材801は、蓋ユニット91を着脱自在に保持可能な部材である。保持部材801は蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。配管L3から供給されるお湯、水および気圧は、連通部800a及び保持部材801の連通穴801aを介して抽出容器9内へ供給可能である。
【0068】
保持部材801は支持部材800内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸802はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸802は支持部材800の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800に対して上下に昇降自在に設けられている。
【0069】
昇降軸802の下端部には保持部材801の天部が固定されている。昇降軸802の昇降によって保持部材801が上下方向にスライドし、凸部911dや凸部901cへの保持部材801の装着と分離を行うことができる。また、容器本体90に対する蓋ユニット91の開閉を行うことができる。
【0070】
昇降軸802の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ802aが形成されている。このねじ802aにはナット804bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ804aを備えており、ナット804bはモータ804aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット804bの回転によって昇降軸802が昇降する。
【0071】
昇降軸802は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ803が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ803は保持部材801の天部を上下方向に気密に貫通し、支持部材800及び保持部材801に対して上下に昇降自在に設けられている。
【0072】
プローブ803は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ803の降下により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ803の上昇により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
【0073】
プローブ803の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ803aが形成されている。このねじ803aにはナット805bが螺着されている。上部ユニット8Aは、モータ805aを備えており、ナット805bはモータ805aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット805bの回転によってプローブ803が昇降する。
【0074】
下部ユニット8Cは、操作ユニット81Cを含む。操作ユニット81Cは、操作ユニット81Aを上下に反転した構成であり、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903の開閉操作を行う。操作ユニット81Cも蓋ユニット91の開閉が可能な構成であるが、本実施形態では操作ユニット81Cを蓋ユニット91の開閉には用いない。
【0075】
以下、操作ユニット81Aの説明と略同じであるが、操作ユニット81Cについて説明する。操作ユニット81Cは、支持部材810、保持部材811、昇降軸812及びプローブ813を含む。
【0076】
支持部材810はフレームFに対する相対位置が変化しないように固定して設けられており、保持部材811を収容する。支持部材810は、また、切替ユニット10の切替弁10aと支持部材810内を連通させる連通部810aを備える。容器本体90内のコーヒー飲料、水、挽き豆の残渣が連通部810aを介して切替弁10aに導入される。
【0077】
保持部材811は、蓋ユニット91の凸部911d又は底部材901の凸部901cが挿入される円筒状の空間を有すると共に、これらを着脱自在に保持する機構を備える。この機構は、例えば、スナップリング機構であり、一定の押圧力により係合し、一定の分離力により係合が解除される。容器本体90内のコーヒー飲料、水、挽き豆の残渣が連通部810a及び保持部材811の連通穴811aを介して切替弁10aに導入される。
【0078】
保持部材811は支持部材810内を上下方向にスライド自在に設けられた可動部材でもある。昇降軸812はその軸方向が上下方向となるように設けられている。昇降軸812は支持部材800の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810に対して上下に昇降自在に設けられている。
【0079】
昇降軸812の下端部には保持部材811の底部が固定されている。昇降軸812の昇降によって保持部材811が上下方向にスライドし、凸部901cや凸部911dへの保持部材811の装着と分離を行うことができる。
【0080】
昇降軸812の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ812aが形成されている。このねじ812aにはナット814bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ814aを備えており、ナット814bはモータ814aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転される。ナット814bの回転によって昇降軸812が昇降する。
【0081】
昇降軸812は、中心軸に貫通穴を有する管状の軸であり、この貫通穴にプローブ813が上下にスライド自在に挿入されている。プローブ813は保持部材811の底部を上下方向に気密に貫通し、支持部材810及び保持部材811に対して上下に昇降自在に設けられている。
【0082】
プローブ813は、凸部911d、901cの内部に設けた弁913、903を開閉する操作子であり、プローブ813の上昇により弁913、903を閉状態から開状態とし、プローブ813の降下により弁を開状態から閉状態(不図示のリターンばねの作用による)とすることができる。
【0083】
プローブ813の外周面にはリードスクリュー機構を構成するねじ813aが形成されている。このねじ813aにはナット815bが螺着されている。下部ユニット8Cは、モータ815aを備えており、ナット815bはモータ815aの駆動力によって、その場で(上下に移動せずに)回転するように設けられている。ナット815bの回転によってプローブ813が昇降する。
【0084】
<4-4.中部ユニット>
中部ユニット8Bについて
図5及び
図9を参照して説明する。
図9は中部ユニット8Bの模式図である。中部ユニット8Bは抽出容器9を支持する支持ユニット81Bを含む。支持ユニット81Bは上述したアーム部材820の他、ロック機構821を支持するユニット本体81B’を含む。
【0085】
ロック機構821は、蓋ユニット91を容器本体90に対して閉状態に維持する機構である。ロック機構821は、蓋ユニット91の鍔部911cと容器本体90のフランジ部90cとを上下に挟持する一対の把持部材821aを含む。一対の把持部材821aは、鍔部911cとフランジ部90cとを挟み込んで嵌合するC字型の断面を有しており、モータ822の駆動力により左右方向に開閉される。一対の把持部材821aが閉状態の場合、
図9の囲み図において実線で示すように、各把持部材821aは鍔部911cとフランジ部90cとを上下に挟み込むようにしてこれらに嵌合し、蓋ユニット91が容器本体90に対して気密にロックされる。このロック状態においては、保持部材801を昇降軸802によって上昇させて蓋ユニット91を開放しようとしても、蓋ユニット91は移動しない(ロックは解除されない)。つまり、保持部材801を用いて蓋ユニット91を開放する力よりもロック機構821によるロックの力の方が強く設定されている。これにより異常時に容器本体90に対して蓋ユニット91が開状態になることを防止することができる。
【0086】
また、一対の把持部材821aが開状態の場合、
図9の囲み図において破線で示すように、鍔部911cとフランジ部90cから各把持部材821aが離間した状態となり、蓋ユニット91と容器本体90とのロックが解除される。
【0087】
保持部材801が蓋ユニット91を保持した状態にあり、かつ、保持部材801を降下位置から上昇位置に上昇する場合、一対の把持部材821aが開状態の場合には容器本体90から蓋ユニット91が分離される。逆に一対の把持部材821aが閉状態の場合には蓋ユニット91に対する保持部材801が解除され、保持部材801だけが上昇することになる。
【0088】
中部ユニット8Bは、また、モータ823を駆動源としてアーム部材820を前後方向に水平移動する機構を含む。これにより、アーム部材820に支持された容器本体90を後側の抽出位置(状態ST1)と、前側の豆投入位置(状態ST2)との間で移動することができる。豆投入位置は、容器本体90に挽き豆を投入する位置であり、蓋ユニット91が分離された容器本体90の開口90aに、グラインダ5Bで挽かれた挽き豆が排出管5Cから投入される。換言すると、排出管5Cの位置は、豆投入位置に位置している容器本体90の上方である。
【0089】
抽出位置は、容器本体90が操作ユニット81A及び操作ユニット81Cによる操作が可能となる位置であり、プローブ803、813と同軸上の位置であって、コーヒー液の抽出を行う位置である。抽出位置は豆投入位置よりも奥側の位置である。
図5、
図7及び
図8はいずれも容器本体90が抽出位置にある場合を示している。このように、挽き豆の投入と、コーヒー液の抽出及び水の供給とで、容器本体90の位置を異ならせることにより、コーヒー液抽出時に発生する湯気が、挽き豆の供給部である排出管5Cに付着することを防止できる。
【0090】
中部ユニット8Bは、また、モータ824を駆動源として支持ユニット81Bを前後方向の軸825回りに回転させる機構を含む。これにより、容器本体90(抽出容器9)の姿勢をネック部90bが上側の正立姿勢(状態ST1)からネック部90bが下側の倒立姿勢(状態ST3)へ変化させることができる。抽出容器9の回動中は、ロック機構821により容器本体90に蓋ユニット91がロックされた状態が維持される。正立姿勢と倒立姿勢とで抽出容器9は上下が反転される。正立姿勢における凸部901cの位置に、倒立姿勢では凸部911dが位置する。また、正立姿勢における凸部911dの位置に、倒立姿勢では凸部901cが位置する。このため、倒立姿勢では弁903に対する開閉操作を操作ユニット81Aが行うことができ、また、弁913に対する開閉操作を操作ユニット81Cが行うことができる。
【0091】
<5.制御装置>
図10を参照して飲料製造装置1の制御装置11について説明する。
図10は制御装置11のブロック図である。
【0092】
制御装置11は飲料製造装置1の全体を制御する。制御装置11は、処理部11a、記憶部11b及びI/F(インタフェース)部11cを含む。処理部11aは例えばCPU等のプロセッサである。記憶部11bは例えばRAMやROMである。I/F部11cは外部デバイスと処理部11aとの間の信号の入出力を行う入出力インタフェースを含む。I/F部11cは、また、インターネットなどの通信ネットワーク15を介してサーバ16、携帯端末17とデータ通信が可能な通信インタフェースを含む。サーバ16は、通信ネットワーク15を介してスマートフォン等の携帯端末17との通信が可能であり、例えば、飲料の需要者の携帯端末17から飲料製造の予約や、感想などの情報を受信可能である。飲料製造装置1と、サーバ16と、携帯端末17とを含んで、抽出対象からコーヒー飲料液を抽出するためのシステムを構成する。
【0093】
飲料の需要者(ユーザ)は、携帯端末17から飲料製造のためのプロファイル設定を行うことが可能である。例えば、ユーザは、携帯端末17の画面上で、コーヒー豆の量、挽き粒度、蒸らし湯量、蒸らし時間、抽出湯量、抽出圧力、抽出時間、等を、例えば、スライドバーによって設定可能である。コーヒー飲料の抽出のためのパラメータ調整を携帯端末17上で可能とすることにより、ユーザは、手軽にバリスタのようなコーヒー抽出操作の感覚を味わうことができる場合がある。ユーザは、設定後に、例えば、カフェに訪問し、携帯端末17の画面上に表示された、設定内容を表す2次元コードを情報表示装置12の撮像部にかざすことにより、設定内容を情報表示装置12に送信することができる。設定内容は、2次元コードでなく、他の方法により情報表示装置12に送信されても良く、例えば、近距離無線通信により設定内容を情報表示装置12に送信するようにしても良い。なお、本実施形態では、コーヒー飲料の抽出のための上記のようなパラメータを、抽出プロファイルもしくはレシピと称する。
【0094】
<6.動作制御例>
処理部11aが実行する飲料製造装置1の制御処理例について
図11(A)及び(B)を参照して説明する。
図11(A)は一回のコーヒー飲料製造動作に関わる制御例を示している。製造指示前の飲料製造装置1の状態を待機状態と呼ぶ。待機状態における各機構の状態は以下の通りである。
【0095】
抽出装置3は
図5の状態にある。抽出容器9は正立姿勢で、かつ、抽出位置に位置している。ロック機構821は閉状態であり、蓋ユニット91は容器本体90の開口90aを閉鎖している。保持部材801は降下位置にあり、凸部911dに装着されている。保持部材811は上昇位置にあり、凸部901cに装着されている。弁903及び913は閉状態にある。切替弁10aは操作ユニット8Cの連通部810aを廃棄タンクTと連通させる。
【0096】
待機状態において、コーヒー飲料の製造指示があると、
図11(A)の処理が実行される。S1では予熱処理が実行される。この処理は容器本体90内にお湯を注ぎ、容器本体90を事前に加温する処理である。まず、弁903及び913を開状態とする。これにより、配管L3、抽出容器9、廃棄タンクTが連通状態となる。
【0097】
電磁弁72iを所定時間(例えば1500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。続いて電磁弁73を所定時間(例えば500ms)だけ開放したのちに閉鎖する。これにより、抽出容器9内の空気が加圧され、廃棄タンクTへのお湯の排出を促進する。以上の処理により、抽出容器9の内部及び配管L2が予熱され、これに続くコーヒー飲料の製造において、お湯が冷めることを低減できる。
【0098】
S2ではグラインド処理を行う。ここでは焙煎コーヒー豆を粉砕し、その挽き豆を容器本体90に投入する。まず、ロック機構821を開状態とし、保持部材801を上昇位置に上昇する。蓋ユニット91は保持部材801に保持され、保持部材801と共に上昇する。この結果、蓋ユニット91は容器本体90から分離する。保持部材811は降下位置に降下する。容器本体90を豆投入位置に移動する。続いて、貯留装置4及び粉砕装置5を作動する。これにより、貯留装置4から一杯分の焙煎コーヒー豆がグラインダ5Aに供給される。グラインダ5A及び5Bで焙煎コーヒー豆が二段階で挽かれ、かつ、分離装置6で不要物が分離される。挽き豆は容器本体90に投入される。
【0099】
容器本体90を抽出位置に戻す。保持部材801を降下位置に降下して容器本体90に蓋ユニット91を装着する。ロック機構821を閉状態とし、蓋ユニット91を容器本体90に気密にロックする。保持部材811は上昇位置に上昇する。弁903、913のうち、弁903は開状態とし、弁913は閉状態とする。
【0100】
S3では抽出処理を行う。ここでは容器本体90内の挽き豆からコーヒー液を抽出する。
図11(B)はS3の抽出処理のフローチャートである。
【0101】
S11では抽出容器9内の挽き豆を蒸らすため、一杯分のお湯よりも少ない量のお湯を抽出容器9に注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば500ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。その後、所定時間(例えば、5000ms)待機してS11の処理を終了する。この処理によって挽き豆を蒸らすことができる。挽き豆を蒸らすことで、挽き豆に含まれる炭酸ガスを放出させ、その後の抽出効果を高めることができる。
【0102】
S12では、一杯分のお湯が抽出容器9に収容されるよう、残りの量のお湯を抽出容器9へ注入する。ここでは、電磁弁72iを所定時間(例えば7000ms)開放して閉鎖する。これにより、水タンク72から抽出容器9内にお湯が注入される。
【0103】
S12の処理によって抽出容器9内を、1気圧で摂氏100度を超える温度(例えば摂氏110度程度)の状態とすることができる。続いてS13により抽出容器9内を加圧する。ここでは電磁弁73bを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖し、抽出容器9内をお湯が沸騰しない気圧(例えば4気圧程度(ゲージ圧で3気圧程度))に加圧する。その後、弁903を閉状態とする。
【0104】
続いて、この状態を所定時間(例えば7000ms)維持して浸漬式のコーヒー液抽出を行う(S14)。これにより高温高圧下での浸漬式によるコーヒー液の抽出が行われる。高温高圧下での浸漬式の抽出では、以下の効果が見込める。一つ目は、高圧にすることで、挽き豆の内部にお湯を浸透させ易くし、コーヒー液の抽出を促進させることができる。二つ目は、高温にすることで、コーヒー液の抽出が促進される。三つ目は、高温にすることで挽き豆に含まれるオイルの粘性を下がり、オイルの抽出が促進される。これにより香り高いコーヒー飲料を製造できる。
【0105】
お湯(高温水)の温度は、摂氏100度を超えていればよいが、より高温である方がコーヒー液の抽出の点で有利である。一方、お湯の温度を高くするためには一般にコストアップとなる。したがって、お湯の温度は、例えば、摂氏105度以上、または、摂氏110度以上、或いは、摂氏115度以上とし、また、例えば、摂氏130度以下、または、摂氏120度以下としてもよい。気圧はお湯が沸騰しない気圧であればよい。
【0106】
S15では抽出容器9内を減圧する。ここでは、抽出容器9内の気圧をお湯が沸騰する気圧に切り替える。具体的には、弁913を開状態とし、電磁弁73cを所定時間(例えば1000ms)開放して閉鎖する。抽出容器9内が大気に解放される。その後、弁913を再び閉状態とする。
【0107】
抽出容器9内が沸点圧よりも低い気圧に急激に減圧され、抽出容器9内のお湯が一気に沸騰する。抽出容器9内のお湯、挽き豆は、抽出容器9内で爆発的に飛散する。これにより、お湯を均一に沸騰させることができる。また、挽き豆の細胞壁の破壊を促進させることができ、その後のコーヒー液の抽出を更に促進させることができる。また、この沸騰により挽き豆とお湯を撹拌させることもできるため、コーヒー液の抽出を促進させることができる。こうして本実施形態ではコーヒー液の抽出効率を向上することができる。
【0108】
S16では抽出容器9を正立姿勢から倒立姿勢へ反転する。ここでは、保持部材801を上昇位置に、保持部材811を降下位置にそれぞれ移動する。そして、支持ユニット81Bを回転させる。その後、保持部材801を降下位置に、保持部材811を上昇位置にそれぞれ戻す。倒立姿勢の抽出容器9は、ネック部90bや蓋ユニット91が下側に位置することになる。
【0109】
S17では透過式のコーヒー液抽出を行い、カップCにコーヒー飲料を送出する。ここでは、切替弁10aを切り替えて注ぎ部10cと操作ユニット81Cの通路部810aとを連通させる。また、弁903、913をいずれも開状態とする。更に、電磁弁73bを所定時間(例えば10000ms)開放し、抽出容器9内を所定気圧(例えば1.7気圧(ゲージ圧で0.7気圧))にする。抽出容器9内において、コーヒー液がお湯に溶け込んだコーヒー飲料が蓋ユニット91に設けたフィルタを透過してカップCに送出される。フィルタは挽き豆の残渣が漏出することを規制する。以上により抽出処理が終了する。
【0110】
本実施形態では、S14での浸漬式の抽出とS17での透過式の抽出とを併用することによりコーヒー液の抽出効率を向上できる。抽出容器9が正立姿勢の状態では、挽き豆が胴部90eから底部90fに渡って堆積する。一方、抽出容器9が倒立姿勢の状態では、挽き豆が肩部90dからネック部90bに渡って堆積する。ネック部90bの断面積よりも胴部90eの断面積の方が大きく、倒立姿勢での挽き豆の堆積厚さは正立姿勢での堆積厚さよりも厚くなる。つまり、挽き豆は抽出容器9が正立姿勢の状態では相対的に薄く、広く堆積し、倒立姿勢の状態では相対的に厚く、狭く堆積する。
【0111】
本実施形態の場合、S14の浸漬式抽出は抽出容器9が正立姿勢の状態で行われるので、お湯と挽き豆とを広範囲にわたって接触させることができ、コーヒー液の抽出効率を向上できる。但し、この場合はお湯と挽き豆とが部分的に接触する傾向にある。一方、S17の透過式抽出は抽出容器9が倒立姿勢の状態で行われるので、お湯がより多くの挽き豆と接触しながら堆積した挽き豆を通過することになる。お湯がより万遍なく挽き豆と接触することになり、コーヒー液の抽出効率を更に向上することができる。
【0112】
図11(A)に戻り、S3の抽出処理の後は、S4の排出処理を行う。ここでは抽出容器9内の清掃に関する処理を行う。抽出容器9の清掃は、抽出容器9を倒立姿勢から正立姿勢に戻し、抽出容器9に水道水(浄水)を供給することで行う。そして、抽出容器9内を加圧し、抽出容器9内の水を挽き豆の残渣と共に廃棄タンクTへ排出する。
【0113】
以上により一回のコーヒー飲料製造処理が終了する。以降、同様の処理が製造指示毎に繰り返される。一回のコーヒー飲料の製造に要する時間は、例えば、60~90秒程度である。
【0114】
図12は、情報表示装置12に表示される画面の一例を示す図である。
図12では、抽出中の抽出容器9内の圧力や湯量を実際に測定した結果を、抽出の進行に伴ってリアルタイムでプロット表示していく一例を示している。
図12において、細実線は、一杯のコーヒーを抽出する際に目標とする抽出容器9内の圧力の変化を示し(圧力変化グラフ)、細い破線は、一杯のコーヒーを抽出する際に目標とする抽出容器9内の湯量の変化を示している(液量変化グラフ)。また、太い実線は、実際のコーヒー抽出中にリアルタイムに変化する抽出容器9内の圧力変化をリアルタイムでプロットしている様子を示し、太い破線は、実際のコーヒー抽出中にリアルタイムに変化する抽出容器9内の湯量の変化をリアルタイムでプロットしている様子を示している。抽出容器9内の圧力や湯量は、抽出容器9内に圧力センサや水位センサを設けてその計測値を取得するようにしても良いし、圧力センサ72g、水位センサ72cで得られる計測値に基づいて取得するようにしても良い。
【0115】
図12では、期間T1~T5、及びT6の途中までプロットし、現在の抽出工程が期間T6の途中まで進行し、抽出容器9内の圧力が1.2気圧、抽出容器9内の湯量が100ccであることを示している。つまり、このまま期間T6の途中以降、抽出工程が進行していくと、抽出容器9内の圧力や湯量を逐次、実際に測定した結果が逐次プロットされて表示されていく。また、
図12は、各種バルブの不具合やお湯や圧力の経路、抽出容器9における漏れ等により、各期間で目標の圧力や湯量まで実際には到達できていないことを示している。つまり、
図12による表示により、ユーザは、目標値と実際の値とを比較可能となる。
【0116】
図12では、抽出容器9内の目標とする圧力の変化、抽出容器9内の目標とする湯量の変化、計測した抽出容器9内の圧力の変化、計測した抽出容器9内の湯量の変化、を示していた。しかしながら、抽出容器9内の目標とする圧力の変化と、計測した抽出容器9内の圧力の変化とを表示するようにしても良い。または、抽出容器9内の目標とする湯量の変化と、計測した抽出容器9内の湯量の変化とを表示するようにしても良い。なお、本実施形態では、コーヒー飲料の製造中に情報表示装置12に表示される画面を
図12と、以下、説明する
図15~
図19の画面との間でユーザ操作により切替可能である。その切替えは、例えば、情報表示装置12に表示されるメイン画面上のメニューから行われるようにしても良い。
【0117】
以下、本実施形態におけるコーヒー飲料の製造中における表示制御処理について説明する。本実施形態では、レシピに対応するコーヒー飲料の製造中に、ユーザにより選択された製造中画像を情報表示装置12に表示する。例えば、ユーザの選択に応じて、コーヒー飲料の製造中に、製造中画像として、コーヒー飲料の製造工程の各説明を表示する。例えば、ユーザの選択に応じて、コーヒー飲料の製造中に、製造中画像として、バリスタ等レシピの作成者のプロフィールを表示する。例えば、ユーザの選択に応じて、コーヒー飲料の製造中に、製造中画像として、選択されたレシピに使用されたコーヒー豆の農園の情報を表示する。なお、「ユーザ」とは、飲料製造装置1によりコーヒー飲料を提供するスタッフや管理者の場合や、コーヒー飲料を注文した一般客の場合がある。
【0118】
図13は、本実施形態におけるコーヒー飲料の製造中における表示制御処理を示すフローチャートである。
図13の処理は、例えば、処理部11aのCPUが記憶部11bのROMに記憶されたプログラムをRAMにロードして実行することにより実現される。そのようなプログラムは、本発明としてのプログラムを構成する。
【0119】
S1201において、処理部11aは、ユーザからレシピの選択を受け付ける。レシピの選択は、以下のような構成であっても良い。例えば、情報表示装置12に表示される画面上で、コーヒー豆の種類に各対応させた「ブレンドA」、「ブレンドB」、・・・のように、選択可能な複数の項目として表示される。各項目においては、レシピとして、例えば、コーヒー豆の量、挽き粒度、蒸らし湯量、蒸らし時間、抽出湯量、抽出圧力、抽出時間といったパラメータが紐づけられて記憶されている。即ち、画面上でいずれかの項目が選択されることで、紐付けられて記憶されているパラメータがレシピとして選択される。なお、処理部11aは、情報表示装置12上の画面上でレシピの選択を受け付けても良いし、携帯端末17上で選択されたレシピの情報を取得するようにしても良い。
【0120】
S1202において、処理部11aは、ユーザから、コーヒー飲料の製造中に表示する画像の選択を受け付ける。S1201でレシピの選択を受け付けた後、処理部11aは、情報表示装置12に
図19(b)に示す画面1810を表示する。画面1810上には、選択項目として、項目1811~1814が表示される。項目1811は、コーヒー飲料の製造中に各製造工程を説明する画像を表示する際に選択される。項目1812は、コーヒー飲料の製造中にコーヒー豆に関する情報を表示する際に選択される。項目1813は、コーヒー飲料の製造中にバリスタ等レシピの作成者の情報を表示する際に選択される。項目1814は、コーヒー飲料の製造中にレシピにまつわるヒストリー情報、例えば、レシピの考案途中で発見されたアレンジ方法などのワンポイント情報を表示する際に選択される。また、項目1815は、項目1811~1814で選択された項目の情報を他の飲料製造装置1に送信する場合に選択される。ボタン1816が押下されると、画面1810内の設定内容が確定し、S1203へ進む。S1202の処理により、コーヒー飲料の製造前に、ユーザによる画像の選択を受け付けることができる場合がある。
【0121】
S1203において、処理部11aは、項目1811~1814の選択情報を他の飲料製造装置1に反映するか否かを判定する。例えば、処理部11aは、項目1815が選択されている場合には、処理部11aは、項目1811~1814の選択情報を他の飲料製造装置1に反映すると判定し、S1204において、項目1811~1814の選択情報を他の飲料製造装置1に送信する。選択情報を受信した他の飲料製造装置1は、受信した選択情報に基づき、コーヒー飲料の製造中に表示する画像をデフォルト設定する。S1204の後、S1205へ進む。一方、項目1811~1814の選択情報を他の飲料製造装置1に反映しないと判定された場合、S1205へ進む。
【0122】
S1205において、処理部11aは、S1202で選択を受け付けた項目が項目1813のレシピ情報であるか否かを判定する。S1202で選択を受け付けた項目が項目1813のレシピ情報であると判定された場合、S1207へ進む。一方、S1202で選択を受け付けた項目が項目1813のレシピ情報でないと判定された場合、S1206へ進む。
【0123】
S1206において、処理部11aは、
図15(a)の画面1401を情報表示装置12に表示する。画面1401には、領域1402に本レシピに関する情報が表示される。本レシピに関する情報として、例えば、本レシピの名称1403、バリスタ等本レシピの作成者の写真画像1404、本レシピの特徴1405、バリスタのプロフィール1406が表示される。領域1402には、これらの情報に限られず、他の情報が表示されても良い。戻るボタン1407が押下されると、レシピ選択画面等、従前に表示されていた画面の表示に戻る。抽出開始ボタン1408が押下されると、本レシピに基づいてコーヒー飲料の製造が開始される。
【0124】
このように、S1202での選択内容に関わらず、コーヒー飲料の製造開始前に、画面1401を表示することにより、レシピの作成者についての情報をユーザに提供することができる。S1206の後、S1207へ進む。
【0125】
S1207において、処理部11aは、S1202で選択を受け付けた画像の表示開始タイミングを待機する。例えば、処理部11aは、
図11(A)のS1の予熱処理が開始されると、S1202で選択を受け付けた画像の表示開始タイミングであると判定し、S1208において、S1202で選択を受け付けた画像の表示を開始する。S1208の処理については、
図14において後述する。
【0126】
S1209において、処理部11aは、画像の表示を終了する。例えば、処理部11aは、
図11(A)のS4の排出処理が終了していると、画像の表示を終了する。そして、S1210において、処理部11aは、コーヒーの抽出が完了した旨の通知画面を情報表示装置12に表示する。通知画面は、コーヒーの抽出が完了したことが表されていれば良く、例えば、「抽出が完了しました。コーヒーをお取りください。」といったメッセージが表示されるようにしても良い。なお、そのメッセージは、テキスト表示に限られず、静止画像や動画像、もしくはそれらの組み合わせであっても良い。S1210の後、
図13の処理を終了する。
【0127】
図14は、S1208の処理を示すフローチャートである。S1301において、処理部11aは、S1202で選択を受け付けた画像は、コーヒー飲料の各製造工程ごとに表示の切り替えが必要であるか否かを判定する。例えば、処理部11aは、S1202で項目1811の選択を受け付けていた場合、コーヒー飲料の各製造工程ごとに切り替えが必要であると判定し、S1302へ進む。
【0128】
S1302において、処理部11aは、製造工程に対応した画像を表示する。例えば、S1302の処理の実行が1回目である場合、処理部11aは、
図11のS1の予熱処理に対応する
図15(b)の画面1411を情報表示装置12に表示する。画面1411の領域1412には、現在実行されている製造工程が識別可能に表示される。領域1413には、現在の工程の残り時間が表示される。領域1414には、タブ1417~1420のうち選択されているタブに対応する情報が表示される。タブ1417は、
図19(b)の項目1811に対応し、タブ1417が選択されることによって、領域1414には各製造工程の説明画像が表示される。タブ1418は、
図19(b)の項目1812に対応し、タブ1418が選択されることによって、領域1414にはコーヒー豆に関する情報が表示される。タブ1419は、
図19(b)の項目1813に対応し、タブ1419が選択されることによって、領域1414にはレシピに関する情報が表示される。タブ1410は、
図19(b)の項目1814に対応し、タブ1420が選択されることによって、領域1414にはレシピにまつわるヒストリー情報が表示される。
【0129】
図15(b)では、タブ1417が選択されている例を示しており、領域1414には、各製造工程の説明画像が表示されている。領域1415には、現在実行されている製造工程の名称「予備加熱」とその説明が表示され、領域1416には、現在実行されている製造工程「予備加熱」のイメージ画像が表示される。
【0130】
現在実行されている製造工程が「グラインド」である場合、
図16(a)の画面1501が表示される。画面1501の領域1502には、現在実行されている製造工程の名称「グラインド」とその説明が表示され、領域1503には、現在実行されている製造工程「グラインド」のイメージ画像が表示される。
【0131】
現在実行されている製造工程が「蒸らし」である場合、
図16(b)の画面1511が表示される。画面1511の領域1512には、現在実行されている製造工程の名称「蒸らし」とその説明が表示され、領域1513には、現在実行されている製造工程「蒸らし」のイメージ画像が表示される。
【0132】
現在実行されている製造工程が「本給湯」である場合、
図17(a)の画面1601が表示される。画面1601の領域1602には、現在実行されている製造工程の名称「本給湯」とその説明が表示され、領域1603には、現在実行されている製造工程「本給湯」のイメージ画像が表示される。
【0133】
現在実行されている製造工程が「攪拌(チャンバ反転)」である場合、
図17(b)の画面1611が表示される。画面1611の領域1612には、現在実行されている製造工程の名称「攪拌」とその説明が表示され、領域1613には、現在実行されている製造工程「攪拌」のイメージ画像が表示される。
【0134】
現在実行されている製造工程が「カップ送出(排出)」である場合、
図18(a)の画面1701が表示される。画面1701の領域1702には、現在実行されている製造工程の名称「カップ送出」とその説明が表示され、領域1703には、現在実行されている製造工程「カップ送出」のイメージ画像が表示される。
【0135】
領域1416、1503、1513、1603、1613、1703のイメージ画像は、例えば、現在稼働している部材を識別可能に表示するものでも良い。また、イメージ画像は、静止画像であっても良いし、アニメーションやビデオ画像などの動画像であっても良い。また、領域1416、1503、1513、1603、1613、1703のイメージ画像を動画像とするか否かを例えば
図19(b)の画面1810上で選択可能としても良い。即ち、本実施形態では、タブ1417~1420の選択による「画像の選択」とは、画像の種類の選択、静止画像からの選択、動画像からの選択、静止画像と動画像からの選択、を少なくとも含む。
【0136】
S1303において、処理部11aは、表示する画像の変更を受け付けたか否かを判定する。例えば、処理部11aは、タブ1417~1420のうち、現在表示されている画像以外を表示するためのタブが選択されたか否かを判定する。例えば、S1302で
図14(b)の画面1411が表示されている場合、タブ1418~1420のいずれかが押下された場合には、画像の変更を受け付けたと判定され、S1306へ進む。一方、画像の変更を受け付けていないと判定された場合、S1304へ進む。
【0137】
S1304において、処理部11aは、コーヒー飲料の製造工程の切り替わりであるか否かに基づいて、表示する画像を切り替えるタイミングであるか否かを判定する。例えば、処理部11aは、
図11(a)のS1の予熱処理からS2のグラインド処理に進んだ場合には、表示する画像を切り替えるタイミングであると判定し、S1305へ進む。一方、表示する画像を切り替えるタイミングでないと判定された場合、S1302からの処理を繰り返す。
【0138】
S1305において、処理部11aは、切り替え前に表示されていた画像は最後の製造工程に対応する画像であったか否かを判定する。例えば、処理部11aは、切り替え前に表示されていた画像が、
図11(a)のS4の排出処理に対応する
図18(a)の画面1701であった場合、最後の製造工程に対応する画像であったと判定し、
図14の処理を終了する。
図14の終了後、
図13のS1209において画像の表示の終了が行われる。一方、最後の製造工程に対応する画像でなかったと判定された場合、S1302からの処理を繰り返す。
【0139】
S1303で表示する画像の変更を受け付けたと判定された場合、S1306において、処理部11aは、変更を受け付けた画像を表示する。例えば、処理部11aは、
図16(a)の画面1501を表示中にタブ1418の押下を受け付けた場合、
図18(b)の画面1710を表示する。画面1710の領域1414には、本レシピの名称1711、本レシピに対応するコーヒー豆の農園の写真画像1712、コーヒー豆や農園に関する情報1713、説明1714が表示される。画面1710の領域1414には、これらの情報に限られず、他の情報が表示されても良い。なお、画面1710は、コーヒー飲料の製造のいずれの工程であっても同じ内容が表示される。画面1710を表示することにより、レシピに対応するコーヒー豆の農園の情報をユーザに提供することができる場合がある。
【0140】
また、例えば、処理部11aは、
図15(b)の画面1411を表示中にタブ1419の押下を受け付けた場合、
図19(a)の画面1801を表示する。画面1801における本レシピの名称1802、写真画像1803、本レシピの特徴1804、プロフィール1805は、
図14(a)の本レシピの名称1403、写真画像1404、本レシピの特徴1405、プロフィール1406における説明と同じである。なお、画面1801は、コーヒー飲料の製造のいずれの工程であっても同じ内容が表示される。画面1801を表示することにより、レシピの作成者についての情報をユーザに提供することができる場合がある。
【0141】
上述した写真画像1404、1712、1803は、静止画像であっても良いし、アニメーションやビデオ画像などの動画像であっても良い。
【0142】
本実施形態では、S1306の処理が開始される際、切り替え前に表示されていた経過時間に対応する時点から、切り替え後の画像を表示する。例えば、切り替え前に表示されていた画面1501の経過時間が10秒であった場合、S1306では、処理部11aは、画面1710を10秒経過時点から表示する。そのような構成により、ユーザは、画像の切り替えの有無に関わらず、領域1413の残り時間を確認することができる場合がある。S1306の後、S1308へ進む。
【0143】
S1308において、処理部11aは、表示する画像の変更を受け付けたか否かを判定する。例えば、処理部11aは、タブ1417~1420のうち、現在表示されている画像以外を表示するためのタブが選択されたか否かを判定する。S1308で
図18(b)の画面1710が表示されている場合、タブ1417、1419、1420のいずれかの押下を受け付けた場合には、表示する画像の変更を受け付けたと判定される。ここで、タブ1417の押下を受け付けた場合にはS1302へ進み、タブ1419、1420のいずれかの押下を受け付けた場合にはS1306へ進む。S1302へ進んでS1302の処理が開始される際、上述と同様、切り替え前に表示されていた経過時間に対応する時点から、切り替え後の画像を表示する。また、S1306へ進んでS1306の処理が開始される際も、上述と同様、切り替え前に表示されていた経過時間に対応する時点から、切り替え後の画像を表示する。一方、S1308で表示する画像の変更を受け付けていないと判定された場合、S1309へ進む。
【0144】
S1309において、処理部11aは、画像の表示を終了するタイミングであるか否かを判定する。例えば、処理部11aは、
図11(a)のS4の排出処理が終了した場合、画像の表示を終了するタイミングであると判定し、
図14の処理を終了する。
図14の終了後、
図13のS1209において画像の表示の終了が行われる。一方、画像の表示を終了するタイミングでないと判定された場合、S1308からの処理を繰り返す。
【0145】
再び、S1301を参照する。S1301で、S1202で選択を受け付けた画像は、コーヒー飲料の各製造工程ごとに表示の切り替えが必要でないと判定された場合、S1307に進む。例えば、S1202で項目1812~1814のいずれかの選択を受け付けていた場合、コーヒー飲料の各製造工程ごとに切り替えが必要でないと判定し、S1307へ進む。S1307において、処理部11aは、S1202で選択を受け付けた項目に対応した画像、例えば画面1710もしくは画面1801を表示する。S1307の後、S1308に進み、上述した処理が行われる。
【0146】
上述では、領域1416、1503、1513、1603、1613、1703のイメージ画像が動画像であっても良いと説明したが、動画像とするか否かを
図19(b)の画面1810上で選択可能としても良い。
【0147】
以上、本実施形態における表示制御処理について説明したが、飲料製造に関するエラーの発生を内部で判定した場合、エラー画面を表示可能であり、エラー画面の表示中はユーザによる製造中画像の選択ができない状態としてもよい。ここで、エラーとは、例えば、カバー部の開放が検出された場合のカバー開放エラーや、各種センサ(例えば温度センサ、圧力センサ)が異常値を示した場合の各種エラー(例えば温度エラー、圧力エラー)等である。
【0148】
上記では、動画像等の製造中画像を情報表示装置12に表示する例を示したが、一の製造中画像を一の表示領域(表示手段)に表示する場合に限定されず、複数の製造中画像それぞれを複数の表示領域に表示するように構成してもよい。例えば、製造中画像「バリスタ画像」を情報表示装置12のある表示領域に表示し、並行して製造中画像「農園画像」を情報表示装置12の別の表示領域に表示し、並行して製造中画像「製造工程画像」をカバー部102に表示するなどしてもよい。
【0149】
ユーザによる製造中画像の選択画面は、
図15(b)のように製造中画像の名称を表示(タブ1417~1420)するだけに限定されず、各製造中画像又は各製造中画像の一部を交代で表示するようにしてもよい。例えば、飲料の製造が開始された後、ユーザの選択があるまで又はある時間が経過するまでのユーザによる選択期間中に数秒間、
図15(b)のタブ1417が選択状態になり、領域1414に製造中画像「抽出工程説明」が表示され、次の数秒間は、
図15(b)のタブ1418が選択状態になり、領域1414に製造中画像「豆情報」が表示され、次の数秒間は、
図15(b)のタブ1419が選択状態になり、領域1414に製造中画像「レシピ情報」が表示され、次の数秒間は、
図15(b)のタブ1420が選択状態になり、領域1414に製造中画像「レシピヒストリー」が表示され、次の数秒間、
図15(b)のタブ1417が選択状態になり、領域1414に製造中画像「抽出工程説明」が表示され、といったように製造中画像の選択をユーザにより促すようにしてもよい。
【0150】
製造中画像は、事前に複数登録可能としても良い。
図20は、例えば記憶部11bに予め記憶された製造中画像のパターンを示す管理テーブルの一例を示す図である。製造中画像は、
図20に示す管理テーブルに基づいて表示制御される。
図20のテーブルは、例えば、飲料製造装置のメンテナンス画面上で表示され、管理者により編集可能である。例えば、
図20(a)の製造中画像パターン1が製造中画像として採用された場合には、
図15~
図19で上述したように、「バリスタ画像」「農園画像」「製造工程画像」といった動画像が選択的に表示される。また、例えば、
図20(b)の製造中画像パターン2が製造中画像として採用された場合には、「商品画像」「店舗画像」「マシン画像」といった静止画像が選択的に表示される。また、例えば、
図20(c)の製造中画像パターン3が製造中画像として採用された場合には、「商品画像」「店舗画像」「歴史画像」といった静止画像および動画像が選択的に表示される。
【0151】
上述したように、本実施形態では、製造工程6種類(予備加熱、グラインド、蒸らし、本給湯、攪拌、カップ送出)のそれぞれについて、動画像又は静止画像を設定可能にしているが、複数の製造工程に1の画像(動画像、静止画像)を設定することも可能としている。例えば、「バリスタ画像」がユーザによって選択されている場合の「工程1」(予備加熱の工程)が行われている期間中は「動画B1」が再生され、「工程2」(グラインドの工程)に切り替わると、画像も「動画B1」から「動画B2」に切り替わって再生される。一方、「歴史画像」がユーザによって選択されている場合の「工程1」(予備加熱の工程)から「工程2」(グラインドの工程)の期間は「動画H2」が切り替わりなしで再生される。なお、ある工程において一の動画が登録されている場合は、当該工程が次の工程に進むまでに他の製造中画像が選択しなおされなければ、当該動画を繰り返し再生するようにしてもよいし、当該動画の最終画面を静止表示してもよい。
【0152】
図20の各表の「工程1」は予備加熱の工程、「工程2」はグラインドの工程(豆を挽く工程)、「工程3」は蒸らしの工程、「工程4」は本給湯の工程、「工程5」は攪拌の工程、「工程6」はカップ送出の工程を示している。なお「工程3」~「工程5」は割愛している。
【0153】
図20の各表の「状態」は、対応する行の製造中画像をユーザが選択可能かどうかを登録するフィールドであり、このフィールドが「可」であれば対応する行の製造中画像をユーザが選択可能であり、「不」であれば対応する行の製造中画像をユーザが選択不可能であることを示している。当該フィールドが「可」でなければ、ユーザの選択肢(例えば、
図15(b)のタブ1417~1420)として表示されないように構成されていてもよい。
【0154】
図20の「動画B1」~「動画B6」、「動画F1」~「動画F6」、「動画M1」~「動画M6」、「動画H2」は各種動画の名称を示し、「静止画P1」~「静止画P6」、「静止画S1」~「静止画S5」、「静止画M1」~「静止画M6」は各種静止画の名称を示し、名称が異なる場合は、内容が異なり、名称が同じ場合は、内容も同じであることを示している。例えば、「バリスタ画像」が選択されている場合の「工程1」(予備加熱の工程)の際に再生される「動画B1」と「農園画像」が選択されている場合の「工程1」(予備加熱の工程)の際に再生される「動画F1」は名称が異なることから、内容の異なる動画像であることを示している。また、「商品画像」が選択されている場合の「工程6」(カップ送出の工程)の際に再生される「静止画P1」と「店舗画像」が選択されている場合の「工程6」(カップ送出の工程)の際に再生される「静止画P1」は名称が同じことから、内容が同じ静止画像であることを示している。
【0155】
図20(a)の製造中画像パターン1は、ユーザが選択可能な複数の製造中画像として、「バリスタ画像」、「農園画像」、「製造工程画像」が登録されている場合の例である。例えば、ユーザによって「バリスタ画像」が選択されると、飲料製造の工程が「工程1」(予備加熱の工程)では、「動画B1」が再生され、「工程2」(グラインドの工程)では、「動画B2」が再生され、「工程6」(カップ送出の工程)では、「動画B6」が再生される。
【0156】
図20(b)の製造中画像パターン2は、ユーザが選択可能な複数の製造中画像として、「商品画像」、「店舗画像」、「マシン画像」が登録されている場合の例である。
【0157】
図20(c)の製造中画像パターン3は、ユーザが選択可能な複数の製造中画像として、「商品画像」、「店舗画像」、「歴史画像」が登録されている場合の例である。なお、「マシン画像」はユーザが選択できない状態となっている。この「状態」の「可」や「不」は、ユーザ操作では変更不可能であり、管理者操作で変更可能である。ここで、管理者操作とは、例えば、管理者用パスワード等を入力すると表示される管理画面にて変更等が可能な操作であり、この例では管理者用パスワードを入力すると各製造中画像の「状態」フィールドを変更可能となり、「マシン画像」の「状態」フィールドを「不」から「可」に変更すると、ユーザは「商品画像」、「店舗画像」、「歴史画像」、「マシン画像」の4つから製造中画像を選択可能となる。逆に管理者操作で「商品画像」を「可」から「不」に変更されるとユーザは「商品画像」を製造中画像として選択できなくなる。
【0158】
図20の各製造中画像の例を説明すると、「バリスタ画像」は、飲料製造装置で使用可能なレシピを作成したバリスタの紹介動画であり、「農園画像」は、飲料製造装置で使用可能なレシピで用いられるコーヒー豆の生産農場の紹介動画であり、「製造工程画像」は、飲料製造装置の製造工程6工程(予備加熱、グラインド、蒸らし、本給湯、攪拌、カップ送出)の紹介動画である。これらの3つは、上述した
図19(b)の項目1811~1813に対応する。「商品画像」は、飲料製造装置で使用可能なレシピを紹介する静止画群であり、「店舗画像」は、飲料製造装置が設置された店舗を紹介する静止画群であり、「マシン画像」は、飲料製造装置を紹介する静止画群であり、「歴史画像」は、飲料製造装置開発の歴史を紹介する動画及び静止画群である。
【0159】
図20の製造中パターンの一行目の製造中画像をデフォルトの製造中画像としてもよい。例えば、
図20(a)の「製造中画像パターン1」の場合、電源投入時やエラーからの復帰の際にユーザの選択がなかった場合に、一行目の「バリスタ画像」が製造中画像として再生されるようにしてもよい。デフォルトの製造中画像を管理者操作で設定可能としてもよい。例えば、管理者操作で製造中画像パターンの行を入れ替えることを可能とするなどしてもよい。例えば、
図20(a)の「製造中画像パターン1」の場合、管理者操作で1行目の「バリスタ画像」と2行目の「農園画像」が入れ替えられた場合は、「農園画像」がデフォルトの製造中画像となるようにしてもよい。
【0160】
また、飲料製造装置の使用とともに保存される各種情報によって製造中画像パターンの行を入れ替えるようにしてもよい。例えば、
図20(a)の「製造中画像パターン1」の場合、ユーザが「農園画像」を選択すると、製造中画像パターンにおける1行目の「バリスタ画像」と2行目の「農園画像」を入れ替え、「農園画像」がデフォルトの製造中画像となるようにしてもよいし、飲料製造装置の電源投入からどの製造中画像がユーザから選択されたかを累積的に保存し、最もユーザから選択された製造中画像をデフォルトの製造中画像になるように製造中画像パターンの行を入れ替えるようにしてもよい。例えば、「農園画像」が最も多く選択されている場合、製造中画像パターンにおける1行目の「バリスタ画像」と2行目の「農園画像」を入れ替え、「農園画像」がデフォルトの製造中画像となるようにしてもよい。また、ある店舗の複数の飲料製造装置(例えば店舗Aに設置された複数の飲料製造装置、店舗A・Bのいずれかに設置された複数の飲料製造装置)又はある店舗のある場所(例えば店舗Aの1階に設置された複数の飲料製造装置)において、直近でユーザに選択された製造中画像や最も多く選択された製造中画像をデフォルトの製造中画像となるようにしてもよいし、一のユーザによって最も多く選択された製造中画像を当該ユーザが飲料製造操作を行う場合のデフォルトの製造中画像となるようにしてもよい。逆に、一のユーザによって選択された回数が最も少ない製造中画像をデフォルトの製造中画像となるようにしてもよい。
【0161】
上記の例では、デフォルトの製造中画像を設定する例を示したが、これらの例をユーザ選択画面におけるある表示領域(例えば、
図15(b)のタブ1417~1420がそれぞれ表示されている表示領域のうちのタブ1417が表示されている表示領域)に表示される製造中画像を設定する例に置き換えてもよい。例えば、「一のユーザによって最も多く選択された製造中画像を当該ユーザが飲料製造操作を行う場合のデフォルトの製造中画像となるようにしてもよい」という例を上述したが、「一のユーザによって最も多く選択された製造中画像を当該ユーザが飲料製造操作を行う場合の製造中画像の選択画面の表示領域(例えば、
図15(b)のタブ1417~1420がそれぞれ表示されている表示領域)のうちのある表示領域(例えば、
図15(b)のタブ1417が表示されている表示領域)に表示される製造中画像となるようにしてもよい。」という例に置き換えてもよい。
【0162】
製造中画像パターンにおける製造中画像を信号線(例えばインターネット等LAN回線)を通じて外部(例えばサーバ)から追加可能にしてもよい。例えば、管理者操作でインターネットを経由してサーバから新たな製造中画像として、例えば、「新レシピ画像」(工程1:動画N1、工程2:動画N2、・・・、工程6:静止画N6)と各画像(動画N1、動画N2、・・・、静止画N6)のデータをダウンロードして、ユーザが選択可能な製造中画像に追加可能としてもよい。この際、念のため、新たに追加した製造中画像の「状態」フィールドは「不」にしておき、管理者操作で「状態」を「不」から「可」に変更して初めてユーザが選択可能としてもよいし、最初から「状態」フィールドを「可」としてもよい。ここでは、インターネット経由でサーバからデータをダウンロードする例を挙げたが、これに限定されず、別の飲料製造装置等、他の装置に保存されている製造中画像及び画像データをコピー又は移動可能にしてもよい。
【0163】
なお、製造中画像パターンに示したように、ユーザが選択可能な製造中画像や画像データを飲料製造装置に保存しておいて利用する例を示したが、ユーザが選択可能な製造中画像や画像データを外部(例えばサーバ)に保存しておき、飲料の抽出ごとに又は電源投入時に又はユーザに選択させる画像を表示するごとに信号線(例えば、インターネット等)や無線通信によって飲料製造装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0164】
<実施形態のまとめ>
上記の実施形態の飲料製造装置は、飲料を製造する製造手段と、前記製造手段による飲料の製造中に、複数の画像から動画像が選択された場合、該動画像を製造中画像として表示する表示手段(
図12、
図13)と、動画像と静止画像のうちの少なくともいずれかを含む前記複数の画像から、前記表示手段により表示される前記製造中画像を選択する選択手段(1417~1420)とを備えることを特徴とする。そのような構成により、コーヒー飲料の製造中に、複数の画像から選択された動画像を表示することができる。
【0165】
また、前記選択手段は、前記製造中画像が前記表示手段により表示されているときに、ユーザによる前記製造中画像の選択を受け付け(S1303、S1308)、前記選択手段により前記ユーザによる前記製造中画像の選択を受け付けると、前記表示手段は、該選択を受け付ける前に表示されていた前記製造中画像を、該選択を受け付けた前記製造中画像に切り替えて表示する(S1302、S1306)ことを特徴とする。そのような構成により、製造中画像が表示されているときであっても、選択された製造中画像に切り替えて表示することができる。
【0166】
また、前記表示手段は、前記切替え前の前記製造中画像の表示経過時間に対応する時点から、前記切替え後の前記製造中画像を表示することを特徴とする。そのような構成により、切替え前の製造中画像の表示経過時間に対応する時点から、切替え後の製造中画像を表示することができる。
【0167】
また、前記選択手段により受け付けた前記製造中画像の選択の内容を、他の飲料製造装置に送信する送信手段(S1204)、をさらに備えることを特徴とする。そのような構成により、製造中画像の選択設定を他の飲料製造装置に反映させることができる。
【0168】
また、前記製造中画像は、前記飲料の製造工程を説明する画像(1411、1501、1511、1601、1611、1701)であることを特徴とする。また、前記製造中画像は、前記飲料のレシピの作成者を説明する画像(1801)であることを特徴とする。また、前記飲料は、コーヒー豆から製造され、前記製造中画像は、前記コーヒー豆を説明する画像(1710)であることを特徴とする。そのような構成により、コーヒー飲料の製造中に、選択中画像の表示により、様々な情報をユーザに提供することができる。
【0169】
また、前記製造手段は、複数の製造工程によって飲料を製造し、前記複数の画像のうちの少なくとも1の動画像は、複数種類の動画像から成り、前記複数の製造工程におけるある製造工程から次の製造工程に進む場合には、前記複数種類の動画像におけるある動画像から次の動画像に切り替わる(
図20)ことを特徴とする。そのような構成により、製造工程が進むと、動画像が切り替わるように構成することができる。
【0170】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0171】
1 飲料製造装置: 9 抽出容器: 11a 処理部: 11b 記憶部: 12 情報表示装置: 15 通信ネットワーク: 17 携帯端末: 71 リザーブタンク: 72 水タンク: 72f、72h、73c、73b、728 電磁弁