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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】衣服プリーツ加工
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/04 20190101AFI20221012BHJP
   A41D 11/00 20060101ALI20221012BHJP
   D06J 1/12 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A41D31/04 Z
A41D31/04 F
A41D11/00 B
A41D11/00 E
A41D11/00 J
D06J1/12
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019571245
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 GB2018051715
(87)【国際公開番号】W WO2018234794
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】1709842.7
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519451348
【氏名又は名称】プチ プリ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PETIT PLI LIMITED
【住所又は居所原語表記】91 B Blandford Street,London,Greater London W1U 8AF, GB
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤシン ライアン
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-303337(JP,A)
【文献】特開2001-049576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0065005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D11/00
A41D31/00-31/32
D06J 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地にプリーツ加工を行う方法であって、
第1軸に沿って、生地に第1プリーツ組をつけるため、第1プリーツ加工により前記生地にプリーツ加工を行うことと、
前記第1軸と異なる第2軸に沿って、前記生地に前記第1プリーツ組の上から第2プリーツ組を付けるため、第2プリーツ加工により前記生地にプリーツ加工を行うことと、を含み、
前記第1プリーツ組は、フラットプリーツ組であり、前記第2プリーツ組は、アコーディオンプリーツ組である、方法。
【請求項2】
前記第1プリーツ組と、前記第2プリーツ組とは、前記生地の略全体にわたって設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2軸は、前記第1軸に対して75から90度となる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2軸は、前記第1軸に対して85から90度の範囲内で略直交する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1プリーツ組のフラットプリーツは、等間隔に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各フラットプリーツは、表プリーツ深さが5から12mmである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2プリーツ組のアコーディオンプリーツは、等間隔に配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各アコーディオンプリーツは、深さが5から10mmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1プリーツ組の少なくとも1つのプリーツの陰プリーツに、1または複数の孔を開けるステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生地は衣服を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2プリーツ加工は前記衣服に実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記衣服は袖を含み、
前記第1プリーツ加工前に実施される、前記袖の手首部が前記衣服の下端を向くようにして、前記衣服の第1軸に略平行に袖軸が延在するように、肘部において記袖を畳むステップをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1軸は着用時の前記衣服に対して略縦になるように選択され、前記第2軸は着用時の前記衣服に対して略横になるように選択される、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記生地は、合成生地または合成/天然繊維が混紡されたものである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
衣服を作る方法であって、生地を第1衣服層として縫製し、前記第1衣服層に請求項1に記載の方法によってプリーツ加工を行うことを含む方法。
【請求項16】
前記生地とは異なる第2の生地を前記第1衣服層と略同じ大きさおよび形状の第2衣服層として縫製することで前記第1衣服層に対する裏地を設け、前記第2衣服層が前記第1衣服層と同じプリーツ構造となるように、前記第2衣服層に請求項1に記載の方法によってプリーツ加工を行うことと、前記第1衣服層を前記第2衣服層に縫い付けることとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1および第2衣服層の間に、断熱材を介在させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1軸に沿った第1プリーツ組と、前記第1軸とは異なる第2軸に沿った第2プリーツ組と、を有する生地であって、前記第2プリーツ組は、前記第1プリーツ組の上からプリーツ付けされ、前記第1プリーツ組は、フラットプリーツ組であり、前記第2プリーツ組は、アコーディオンプリーツ組である、生地。
【請求項19】
第1軸に沿った第1プリーツ組と、前記第1軸とは異なる第2軸に沿った第2プリーツ組と、を有する衣服であって、前記第2プリーツ組は、前記第1プリーツ組の上からプリーツ付けされ、前記第1プリーツ組は、フラットプリーツ組であり、前記第2プリーツ組は、アコーディオンプリーツ組である、衣服。
【請求項20】
前記第1プリーツ組と、前記第2プリーツ組とは、前記生地の略全体にわたって設けられる、請求項18に記載の生地、または前記第1プリーツ組と、前記第2プリーツ組とは、前記衣服の略全体にわたって設けられる、請求項19に記載の衣服。
【請求項21】
前記第2軸は、前記第1軸に対して75から90度となる、請求項18または20に記載の生地、または請求項19または20に記載の衣服。
【請求項22】
前記第2軸は、前記第1軸に対して85から90度の範囲内で略直交する、請求項18、20、21のいずれか一項に記載の生地、または請求項19から21のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項23】
前記第1プリーツ組のフラットプリーツは、等間隔に配置されている、請求項18、20から22のいずれか一項に記載の生地、または請求項19から22のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項24】
各フラットプリーツは、表プリーツ深さが5から12mmである、請求項18、20から23のいずれか一項に記載の生地、または請求項19から23のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項25】
前記第2プリーツ組のアコーディオンプリーツは、等間隔に配置されている、請求項18、20から24のいずれか一項に記載の生地、または請求項19から24のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項26】
各アコーディオンプリーツは、深さが5から10mmである、請求項25に記載の生地または衣服。
【請求項27】
前記第1プリーツ組の少なくとも1つのプリーツの陰プリーツに1または複数の孔が開けられている、請求項18、20から26のいずれか一項に記載の生地、または請求項19から26のいずれか一項に記載の衣服。
【請求項28】
第1衣服層と、前記第1衣服層に裏地を設けるように、前記第1衣服層と略同じ大きさおよび形状を有する第2衣服層と、前記2層の間の断熱材と、を有し、各衣服層は請求項19から27のいずれか一項に記載の衣服のようにプリーツ付けされる、請求項19から27のいずれか一項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、プリーツ加工の方法と、当該方法により製造される衣服および織物に関する。本出願は特に、子供用アウターウェアに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
プリーツ加工とは、典型的には生地を折って、衣服に広がり、動きやすさ、あるいは風合いを与える加工を指す。最も基本的な形式として、1つのプリーツが、少なくとも1つの折り線と、少なくとも1つの重なり線(placement line)とを含む。通常、生地の一部を所定の折り線に沿って折り、このようにしてできた折り目を、所定の重なり線に対して位置合わせして、重ねることで1つのプリーツができる。その後生地をプレスして、プリーツを固定してもよい。衣服に含まれるプリーツは通常、多数であって、等間隔である場合が多い。
【0003】
服飾業界において、数多くの多様なプリーツが知られている。一般的な種類のプリーツとして、フラット(あるいはナイフ)プリーツが挙げられる。1つのプリーツが、単一の折り線と、単一の重なり線とを有し、プリーツ付けがされる生地または衣服に対して平面的に沿うようにプレスされる。フラットプリーツが生地に複数形成される場合、通常すべてのフラットプリーツは同一方向となり、陰プリーツが通常、表プリーツよりも小さくなる。
【0004】
フラットプリーツの特殊系として、アコーディオンプリーツがある。このプリーツでは陰プリーツと表プリーツが同じ大きさである。そのため、プレス後に出来上がったプリーツが生地または衣服の面から立ち上がる。結果、完成したプリーツ付きの生地または衣服がアコーディオンのようになる。通常、アコーディオンプリーツはフラットプリーツよりも小さい。アコーディオンプリーツの中でも小さいもの(例えば、2から3mmのサイズを有する)を、「クリスタルプリーツ」と称することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
子供服のデザインおよび製造における一般的な問題として、子供の成長が早く、服がまだ十分使えるのに着られなくなってしまうことが挙げられる。したがって、親はまだ着られる服でも、子供のサイズに合わなくなって、買い替えを余儀なくされることが頻繁にあるので、お金がかかる上に無駄が生じ得る。
【0006】
本発明の目的は、衣服を作る新たな方法と、衣服用の伸縮自在の生地を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によると、生地にプリーツ加工を行う方法を提供する。方法は、第1軸に沿って、生地に第1プリーツ組を付けるため、第1プリーツ加工により生地にプリーツ加工を行うことと、第1軸と異なる第2軸に沿って、生地に第1プリーツ組の上から第2プリーツ組を付けるため、第2プリーツ加工により生地にプリーツ加工を行うことと、を含み、第1プリーツ組は、生地の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、生地の面内に収まらない面外プリーツ組である。したがって、第1プリーツ組は、第1プリーツ加工後に生地の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、第2プリーツ加工後に生地の面内に収まらない面外プリーツ組である。
【0008】
上述の方法によりプリーツ付けされた生地は、略オーセチック挙動を示す。即ち、そのような生地に第1軸に沿った引張応力がかかると(例えば引っ張られると)、第2軸に沿っても伸びる。この挙動は多くの従来の生地と異なるものである。従来の生地の多くは、第1軸に沿って引っ張られると、第2軸に沿って縮む。さらに、第1軸に沿った、面内第1プリーツ組(即ち、成形またはプレス後に生地の面に沿う種類のプリーツ)と、第2軸に沿った、第2組の面外プリーツ(即ち、成形またはプレス後に生地の面から立ち上がる種類のプリーツ)の組み合わせにより、生地が確実にかつ滑らかに両軸に沿って伸びることができる。これにより、生地のオーセチック挙動の制御性および予測可能性が向上する。
【0009】
上述の方法でプリーツ付けされた素材は、服、特に子供服に有用である。即ち、当該生地でできた衣服は、同時に二方向に伸びるので、着用者の成長に対応でき、着易くもなるという利点がある。さらに、第1軸に沿った面内第1プリーツ組と、第2軸に沿った面外第2プリーツ組との組み合わせにより、衣服のデザイン性と機能性との最適なバランスが実現できる。したがって、特定の着用者の成長に適応可能な、デザイン性に優れた衣服が実現できる。
【0010】
上述の方法によりプリーツ付けされた素材の用途は衣服に限られず、あらゆる形態の伸縮または展開自在用品(収納用品、バックパック、貨物、テント、ダイナミックルーフ(dynamic roofing)、緊急シェルター、またはストレッチャー等)に使用され得る。上述の方法でプリーツ加工された素材によると、後の使用のための収納や保管さらに場所間の持ち運びが容易になる。これら全ての特性により、プリーツ付けされた素材は衣服のみならず多様な用途に使用可能となる。
【0011】
第1プリーツ組および第2プリーツ組は、連続的なプリーツを含むことが好ましい。
【0012】
第1プリーツ組と、第2プリーツ組とは、生地の略全体にわたって設けられることが好ましい。
【0013】
衣服は、プリーツ加工の度に、プリーツ固定のためにスチーム加工されてもよい。スチーム加工の時間は、最長40分、例えば20、25、28または30分であってもよい。スチーム加工は、特にプリーツ加工の効果が永続する、合成生地のような、ある種の生地に対しては不要となり得る。スチーム加工が長すぎると、生地を損傷しかねない。
【0014】
第2軸は、好ましくは第1軸に対して75から90度となる。例えば、80から90度または85から90度である。最も好ましくは、第2軸は、第1軸に対して略直交する(即ち、第1軸に対して90度となる)。これは、生地が第1軸に沿って引っ張られた際に第2軸に沿って直線的に広がることを保証することに寄与する。
【0015】
第1プリーツ組は、面内プリーツ組である。第1プリーツ組は、単一種類の面内プリーツまたは複数の種類の面内プリーツの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、第1プリーツ組は、等間隔のフラットプリーツである。各フラットプリーツは、表プリーツ深さが15mm未満となる。例えば、2または3から15mm、5から12mm、好ましくは7から10mmである。陰プリーツ深さは、表プリーツ深さよりも小さくてもよい。例えば、12mm未満、例として2または3から10mm、7から10mm、好ましくは7mm等であってもよい。あるいは、陰プリーツ深さは表プリーツ深さ以上であってもよい。第1プリーツ組をフラットプリーツとして形成することにより、生地に2度、プリーツ付けすることが可能になるという利点が得られる。フラットプリーツは、生地面に沿うためである。
【0016】
第2プリーツ組は、面外プリーツ組である。第2プリーツ組は、単一種類の面外プリーツまたは複数の種類の面外プリーツの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、第2プリーツ組は、等間隔のアコーディオンプリーツ組である。各アコーディオンプリーツは、深さが5から10mm、好ましくは7から10mmであってもよい。
【0017】
第1および第2プリーツ組は、等間隔ではないプリーツを含んでもよい。連続したプリーツ間の間隔は、生地または衣服全体で可変であってもよく、さらに/あるいは異なる間隔値が交互に設定されてもよい。連続したプリーツ間の間隔は、異なる複数の間隔値による模様または配列に応じて設定されてもよい。
【0018】
発明者は、可能な限り多様な種類および厚さの生地でデザイン的に優れた構造を最も確実に実現可能な、フラットおよびアコーディオンプリーツの特定のこの組み合わせを発見した。また、後段にて列挙する各種プリーツの種類の中でも、多様な種類および厚さの生地に対する最適な変形または伸縮性能を保証するのはフラットおよびアコーディオンプリーツの組み合わせである。発明者はさらに、そのような生地でできた衣服は、別のプリーツを組み合わせた生地でできた衣服と比較して、最小限の皺や折り目で元の変形前状態に確実に復元される可能性の高いことも発見した。皺や折り目がつくと、プリーツ付けされた生地の伸縮性の信頼性に悪影響を及ぼしかねない。そのうえ、フラットおよびアコーディオンプリーツの組み合わせは、瓦屋根的な構造を呈する。そのような瓦屋根構造は、流体または固体粒子が衣服または生地の表面外へ移動することを促し、プリーツ内に流体または固体粒子が入り込んで蓄積してしまうことが防止される。したがって、生地または衣服の耐候性が向上する。フラットおよびアコーディオンプリーツの組み合わせによるとさらに、生地または衣服が素材全体で、対称的かつ一定の特性となる。したがって、例えば生地または衣服の耐候性または空力特性が、衣服の両面、そしてプリーツ付けされた素材全体で一定となるのである。
【0019】
ただし、第2プリーツ組はさらに、フラット(またはナイフ)プリーツ、ボックスプリーツ、インバーテッドプリーツ、サンレイ(またはサンバースト)プリーツ、またはクリスタルプリーツ等のプリーツを含むことが可能である。第1プリーツ組は、ボックスプリーツ、インバーテッドプリーツ、クリスタルプリーツ、アコーディオンプリーツ、またはサンレイ(またはサンバースト)プリーツ等のプリーツを含むことが可能である。プレス加工後に生地面に沿うプリーツ(例えば、ボックスプリーツまたはインバーテッドプリーツ)を第1プリーツとして使用することが好ましい。平面に沿う第1プリーツを使用すると、第1プリーツ組の外観を損なうことなく第2プリーツ加工を実施できるためである。また、ナイフプリーツ以外の種類の平面に沿うプリーツは通常、第2プリーツ加工実施後の生地の嵩が増してしまう。したがって、ナイフプリーツが好ましい。
【0020】
第2プリーツの深さは、第1プリーツの深さ未満であってもよい。これにより、生地は第2軸よりも第1軸に沿ってより伸びるようになる。
【0021】
方法はさらに、第1プリーツ組の少なくとも1つのプリーツの陰プリーツに、1または複数の孔を開けるステップを含んでもよい。孔(複数可)は、打ち抜かれる、または切り(例えばレーザー切り抜きによる)開けられてもよい。生地は、孔を開ける前にプリーツ付けされ、その後プリーツを伸ばして、陰プリーツに孔が開けられるようにしてもよい。第1プリーツ組の陰プリーツに、複数の孔が等間隔で開けられることが好ましい(例えば、第2プリーツ組3つ、2つ、または1つおきに開けられる)。
【0022】
陰プリーツに孔を開けることは、生地が通気性を持つという利点がある。このような生地は、雨具に利用できる。通気孔は、陰プリーツにあることで、表プリーツにより、雨が孔に向かうことが避けられるように、隠されている。
【0023】
生地は衣服を含むことが好ましい。そして第1および第2プリーツ加工は衣服に実施されることが好ましい。プリーツ加工は、縫製済みの衣服に実施されてもよいが、任意の留め具付けまたはトリミングが行われる前の衣服に実施されてもよい。衣服は単層の衣服であってもよいし、多層を含む衣服(例えば裏地付きの衣服)であってもよい。
【0024】
袖のある衣服の場合、方法は、袖の手首部が衣服の下端を向くようにして、衣服の第1軸に略平行に袖軸が延在するように、肘部で袖を畳むステップをさらに含んでもよい。このステップは、第1プリーツ加工前に実施される。スリーブの折り目は、第1および第2プリーツ加工の両方で同じに保たれることが好ましい。これは、衣服の着用時に、袖が動きやすくなることに寄与し、さらに衣服の胴体部がその軸に沿って広がるのと同じ割合で、袖がその軸に沿って広がることを保証することに寄与する。
【0025】
縫製済みの衣服に方法を適用する場合、第1軸は着用時の衣服に対して略縦方向になるように選択されることが好ましく、第2軸は着用時の衣服に対して略横方向になるように選択されることが好ましい。これにより、着用者の成長に合わせた衣服の長さおよび幅に沿った伸び方が一定となる。
【0026】
生地は、合成生地であることが好ましい。一般的に、天然繊維よりも合成生地の方が、プリーツが維持されやすい。最も好ましくは、生地はPU(ポリウレタン)でコーティングされたナイロンまたはポリエステルである。あるいは、生地はポリコットンのような合成/天然繊維が混紡されたものであってもよい。生地がプリーツ加工前に衣服として縫製される場合、生地は薄いことが好ましく、1平方ヤード当たり4オンス(1平方メートルあたり約140グラム(140g/m2))未満の重量であってもよい。重量は、1平方ヤード当たり約2オンス(70g/m2)であることが好ましい。あるいは、縫製前の生地にプリーツ付けされる場合、生地は最大1平方ヤード当たり約12オンス(約410g/m2)の重さであってもよい。例えば、1平方ヤード当たり5から10オンス(約170から340g/m2)、または1平方ヤード当たり8から10オンス(約270から340g/m2)である。
【0027】
本発明の第2態様によると、衣服を作る方法が提供される。方法は、生地を第1衣服層に縫製し、第1衣服層にプリーツ加工を行うことと、第2の生地を第1衣服層と略同じ大きさおよび形状の第2衣服層に縫製することで第1衣服層に対する裏地を設け、第2衣服層にプリーツ加工を行うことと、第1衣服層を第2衣服層に縫い付けることとを含み、両衣服層は、本発明の第1態様に係る方法でプリーツ付けされる。第2衣服層は、第1衣服層と同じプリーツ構造(即ち、プリーツの大きさ、種類、および配置)でプリーツ付けされることが好ましい。これにより、衣服の着用時に、両衣服層が同様に伸びることが保証される。ただし、第2衣服層は、第1衣服層と異なるプリーツ構造(即ち、プリーツの大きさ、種類、および配置)でプリーツ付けされてもよい。
【0028】
第1および第2衣服層の間に、断熱材が介在してもよい。したがって、この方法で、断熱性および伸縮性アウターウェア衣服が提供できるという利点が得られる。
【0029】
本発明の第3態様によると、第1軸に沿った第1プリーツ組と、第1軸とは異なる第2軸に沿った第2プリーツ組とを有する生地が提供される。第2プリーツ組は、第1プリーツ組の上からプリーツ付けされる。第1プリーツ組は、生地の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、生地の面内に収まらない面外プリーツ組である。この生地は、本発明の第1態様の方法によってプリーツ付けされてもよい。したがって、第1プリーツ組は、第1プリーツ加工後に生地の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、第2プリーツ加工後に生地の面内に収まらない面外プリーツ組である。
【0030】
本発明の第4態様によると、第1軸に沿った第1プリーツ組と、第1軸とは異なる第2軸に沿った第2プリーツ組とを有する衣服が提供される。第2プリーツ組は、第1プリーツ組の上からプリーツ付けされる。第1プリーツ組は、衣服の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、衣服の面内に収まらない面外プリーツ組である。この衣服は、本発明の第1態様の方法によってプリーツ付けされてもよい。したがって、第1プリーツ組は、第1プリーツ加工後に衣服の面内に略収まる面内プリーツ組であり、第2プリーツ組は、第2プリーツ加工後に衣服の面内に収まらない面外プリーツ組である。
【0031】
第1プリーツ組と、第2プリーツ組とは、生地または衣服の略全体にわたって設けられることが好ましい。
【0032】
第2軸は、好ましくは第1軸に対して75から90度となる。例えば、80から90度または85から90度である。最も好ましくは、第2軸は、第1軸に対して略直交する(即ち、第1軸に対して90度となる)。
【0033】
好ましくは、第1プリーツ組は、等間隔のフラットプリーツである。各フラットプリーツは、表プリーツ深さが15mm未満、5から12mm、例えば7から10mmとなる。陰プリーツ深さは、表プリーツ深さよりも小さくてもよい。例えば、例えば、12mm未満、7から10mm、好ましくは7mmであってもよい。また、第1プリーツ組はクリスタルプリーツであってもよいし、その他種類の平面に沿うプリーツであってもよい(ボックスプリーツ等)。
【0034】
好ましくは、第2プリーツ組は、等間隔のアコーディオンプリーツである。各アコーディオンプリーツは、深さが5から10mm、好ましくは7から10mmであってもよい。第2プリーツ組は、フラットプリーツまたはクリスタルプリーツであってもよい。
【0035】
第2プリーツ組の深さは、第1プリーツ組の深さ未満であってもよい。
【0036】
第1プリーツ組内の少なくとも1つのプリーツは、陰プリーツに1または複数の孔が開けられてもよい。第1プリーツ組の陰プリーツに、複数の孔が等間隔で開けられることが好ましい(例えば、第2プリーツ組3つ、2つ、または1つおきに開けられる)。
【0037】
衣服は、第1衣服層と、第1衣服層に裏地を設けるように、第1衣服層と略同じ大きさおよび形状を有する第2衣服層と、2層の間の断熱材と、を有してもよい。各衣服層は、本発明の第1態様の方法でプリーツ付けされる。
【0038】
当業者は、本発明の上述の態様の各種特徴を、適宜組み合わせて使用するようにしてもよいことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明をあくまで例示的に、以下の図面を参照してより詳細に説明する。
図1】プリーツ付き子供用上着を示す。
図2】プリーツ付き子供用ズボンを示す。
図3】例示的な第1プリーツの構造を示す。
図4】例示的な第2プリーツの構造を示す。
図5】第1プリーツ組および第2プリーツ組の配置を示す。
図6】プリーツ加工の例示的な方法を示す。
図7】プリーツ付けされていない、縫製された衣服を示す。
図8】第1プリーツ加工が実施できるように畳まれた図7の衣服を示す。
図9】第2プリーツ加工が実施できるように折りたたまれた、一度目のプリーツ付けがされた衣服を示す。
図10】プリーツ付き衣服を、生後4か月の乳児が着た状態(a)と、3歳児が着た状態(b)とを示す。
図11】通気孔を有する、プリーツ付き生地を示す。
図12図11に示すものと同様の生地の概略的断面図である。
図13図12のプリーツ付き通気性生地をより詳細に示す。
図14】プリーツ付き2層式衣服を作るための工程に含まれる、6つの段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1から5を参照すると、衣服10は、第1プリーツ組12と、第2プリーツ組14とを有する。第1プリーツ12は、第1軸16に沿って、衣服に折り付けられる(即ち折る方向は同軸に直交する)。第2プリーツは、第1軸と異なる第2軸18に沿って、衣服に折り付けられる(即ち折る方向は同軸に直交する)。第2プリーツ組14は、第1プリーツ組12の上から折り付けられる。これにより、二重プリーツ構造となる。図示の例では、縫製後の衣服全体に各プリーツ加工が実施される。即ち、各プリーツ加工では、衣服の両側が同時に、同パターンでプリーツ付けされる。
【0041】
第1および第2軸の位置は、着用時の衣服の、意図した伸張方向を定めるように選択される。図示の例では、第1軸16および第2軸18は、衣服の着用時にそれぞれ略縦方向および略横方向になるように選択されている。これにより、伸張の主方向が縦および横方向となることが保証される。これは着用者の一般的な身体の成長と同様で、衣服が伸びてもその全体的形状が維持されることに寄与する。
【0042】
図5に最もよく示すように、第2軸は第1軸に対して角度22傾斜している。図示の例では、角度は約90度である(即ち直交している)。先述のように、衣服に対する、2本の直交する軸に沿ったプリーツ加工は、着用者の成長に伴い衣服が広がっても、その全体的形状を維持することに寄与する。
【0043】
次に図3を参照する。例示的な第1プリーツ組12を含む衣服部位が、より詳細に示されている。図示の第1プリーツ12はフラットプリーツ(ナイフプリーツとも呼ばれる)である。各プリーツが、表プリーツ深さ12aと、陰プリーツ深さ12bとを有する。ここでは表プリーツ深さは、プリーツがプレスされて、平坦な状態での、各折り線13間の距離として定義される。即ち、各プリーツの先端間の距離である。ここでは陰プリーツ深さは、プリーツの折り返し量を示す(即ち、プリーツ加工前の生地の、折り線と対応する重なり線との間の距離の半分)。図示の例では、表プリーツ深さは5から12mmで、ここでは約10mmとなる。一方、陰プリーツ深さは、7から10mmで、ここでは約7mmとなる。生地に折り付けられると、フラットプリーツは生地表面に対して平面的に沿う(即ち、面内プリーツとなる)。
【0044】
図4は、例示的な第2プリーツ組14を含む衣服部位を示す。明確さのため、図4の第2プリーツは、第1プリーツ組の上から付けられた状態ではなく、単独で示されている。図示の第2プリーツ14はアコーディオンプリーツである。ここでも、各プリーツは、表プリーツ深さ14aおよび陰プリーツ深さ14bを有するが、ここでは両深さはほぼ同一となり、それぞれ折り線および対応する重なり線との間の距離として定義される。したがって、三次元的に生地から立ち上がるプリーツ(即ち面外プリーツ)組が得られる。この例では、プリーツ深さは、7から10mm、例えば7mmである。
【0045】
図1に示す衣服10は、子供用の上着である。別の例の衣服20を図2に示す。同図では子供用ズボンが示されている。いずれの場合でも、衣服がまず縫製され、その後、実質的に完成した衣服に第1および第2プリーツ加工が実施される。プリーツ加工に干渉しないように、あらゆる必要な留め具付けまたはトリミング(ボタン、ジッパー、弾性素材、スターラップ、リボン、またはコード等)は、プリーツ加工後に行われる。あるいは、プリーツ加工前または最中に、あらゆる必要な留め具付けまたはトリミング(ボタン、ジッパー、弾性素材、スターラップ、リボン、またはコード等)を行うことも可能である。
【0046】
図6から9に、例示的なプリーツ加工を概略的に示す。図6に概略的に示すとおり、生地にプリーツ加工を行う方法は、第1軸に沿って、生地に第1プリーツ組を付けるため、第1プリーツ加工により生地にプリーツ加工をまず行うことと、その後、第1軸と異なる第2軸に沿って、生地に第1プリーツ組の上から第2プリーツ組を付けるため、第2プリーツ加工により生地にプリーツ加工を行うこととを含む。
【0047】
生地ではなく衣服にプリーツ付けする場合、まず衣服を図7に示すような所望の形状に縫製することが好ましい。ここでは生地が薄いことが好ましい。プリーツ加工後の衣服は、箇所によっては4層(4重)になるように畳まれ、縫い目では最大12重にまでなり得るためである。
【0048】
ここで「薄い」とは、重量でいうと1平方ヤードあたり2オンス(約70g/m2)程度である。図示の例では、衣服は、ポリエステルまたはPUコーティングされたナイロン等の合成生地製である。合成生地はプリーツ加工に適している。プリーツ加工で永続的に変形させられるので、プリーツがしっかりと維持されることが保証されるのである。必要であれば、生地の別の選択肢として、プリーツ加工後に同様の状態を呈する任意の着用可能素材を使用してもよい。例えば、ポリコットン等の合成/天然生地の混紡物も、プリーツ付けに適する。当該合成生地は、インナーウェアとしても適切であり得る。
【0049】
まず縫製して、その後プリーツ加工を行うことで衣服を作ることが好ましい。まず生地(複数可)をプリーツ加工して、その後、即ちプリーツ加工後にプリーツ付き生地(複数可)を衣服に縫製するのは困難となり得るのである。衣服への縫製の際に、生地は伸張状態を維持しなければならない。そして縫い目での布目曲がりも生じかねない(例えば、袖のプリーツが、胴体部のプリーツに整合しない場合)。したがって、まず生地をプリーツ付けして、その後衣服に縫製することも可能ではあるものの、多くの場合、衣服をまず縫製して、その後プリーツ加工を行うほうがより効率的である。即ち、プリーツの整合が不要となり、処理が簡潔になるのである。
【0050】
縫製後、方法の第1プリーツ加工ステップが衣服に実行できる。図8に示すように衣服に袖がある場合、袖を肘部32の折り目30で折って、袖の長手方向軸24が衣服の縦軸(ここでは第1プリーツ加工軸16に一致)と略平行となるようにすることが好ましい。図8に示すように、折り目30は、袖の肘部32から、袖の肩部34まで延在してもよい。あるいは、図9に示すように、折り目30は、袖の肘部32から、腋の下部36まで延在してもよい。袖に付ける折り目30がいずれの種類であれ、第1および第2プリーツ加工の両方で、折り曲げられた状態が維持されることが好ましい。
【0051】
所望のとおりに衣服を折り畳むと、第1プリーツ組12(ここではフラットプリーツ)が、衣服の縦軸に沿って、衣服に畳み付けられる。業務用のプリーツ加工装置26を使用することで、最も効率的にプリーツ付けが可能である。縫製後の衣服は、第1プリーツ加工軸16が装置26の送り方向に平行になるようにして、平な状態で(必要であれば畳んだ状態で)装置内に送られる。これにより、第1プリーツ加工軸に対して直交して、衣服に第1プリーツが付けられることが保証される。図8および9に示すプリーツ加工装置は、一般的な業務用のプリーツ加工装置である。装置は、プリーツ付けされる衣服を、2枚のプリーツ加工紙28の間に挟んで、プリーツ固定に寄与するようにプリーツ加工中に生地を加熱する。この例で利用される処理では、装置は毎秒約1列のような緩やかなペースで動作する。これは、衣服が正しく送り込まれ、長時間加熱されることを保証するのに寄与する。通常使用される温度は、130℃から180℃の範囲内で、この例では約140℃である。
【0052】
第1プリーツは、各プリーツの折り線13が、衣服の着用時に衣服の下端を向くように、生地に付けられることが好ましい。これは、塵または雨水のような不要な物質が、衣服の着用時に陰プリーツの畳み部分に入り込むことの防止に寄与する。このため、図8に示すプリーツ加工装置において、着用時に衣服の上部となる衣服の端が、最初にプリーツ加工装置に送り込まれるようにする。これにより、第1プリーツ組の折り線13が、衣服の上部の反対を向くようになるのである。
【0053】
第1プリーツ加工完了後、衣服をプリーツ加工装置26から取り出して、第1プリーツ組12を衣服に固定するため、プリーツ加工紙の間でスチーム加工してもよい。図示の例では、約30分間、熱および/または蒸気があてられる。ただし、スチーム加工の時間は、衣服に使用される生地の種類にある程度左右されることを理解されたい。即ち、生地によっては、プリーツの固定のための熱および/または蒸気が、より多くまたは少ない必要がある。
【0054】
第1プリーツの固定後、衣服は再度プリーツ加工装置(または別のプリーツ加工装置)に送りこまれて、第2プリーツ組14が付けられる。第2プリーツ加工の前に、第2プリーツ加工軸がプリーツ加工装置の送り方向に対して略平行になるまで、衣服を角度22(理想的には90度)回転する。これは、意図した伸縮自在構造を得るため、第2プリーツ組が、第1プリーツ組に対して角度22傾斜することを保証する。
【0055】
第2プリーツ加工後、衣服は再度加熱および/またはスチーム加工される(ここでも30分間)。これにより、第2プリーツ組が定位置に固定される。
【0056】
概略的に上述したように、第1プリーツ組はフラットプリーツから成ることが理想的である。第1プリーツ組をフラットプリーツとして形成することが好ましい。この種類のプリーツは、衣服に対して平面的に沿うため、その上から第2プリーツ加工をかけることができるのである。
【0057】
上述の例示的な処理では、第2プリーツ組はアコーディオンプリーツから成ることが理想的である。この種類のプリーツは通常フラットプリーツよりも小さい。このプリーツの組み合わせでは、フラットプリーツが衣服の縦軸に沿って付けられ、アコーディオンプリーツが横軸に沿って付けられることが望ましいことを発見した。フラットプリーツの表プリーツ深さが、アコーディオンプリーツの深さよりも大きくなるように選択されていると、衣服は着用時に幅方向(即ち横軸に沿って)よりも長さ方向(即ち縦軸に沿って)により伸びることとなる。これは一般的な子供の成長に合わせたものである。必要であれば、第2プリーツの深さに対する第1プリーツの深さの比率を選択することで、衣服の伸び量が制御できる。具体的には、一方の軸に沿ったプリーツが、他方の軸に沿ったプリーツよりも深いほど、衣服は該当するプリーツ加工軸に沿って、より伸びるようになる。
【0058】
上述の処理でできた衣服は、アウターウェア、特に子供用アウターウェアとしての利用に好ましい多くの特性も持つ。例えば、本明細書に記載の方法でできた衣服は、極めて可搬性に優れる。収納時に小さくまとめて、着用時に大きく広げることができるのである。そしてこの衣服は1着で、多様な着用者により着用可能である。したがって、販売店にとっては在庫を少なくしても、顧客の求める様々なサイズの範囲に対応可能となるのである。
【0059】
本明細書に記載の方法でできた衣服は極めて伸縮性が高い。したがって子供が着るのも、親が子供に着せるのも容易である。また、子供にとっては着心地が良くなる。着用すると、衣服は子供のサイズに心地よく合うように収縮し、多様な動きを可能にするように伸張する。図10は、最大伸張状態を示す。同じ衣服が、4カ月の乳幼児と、3歳児により着用された様子が示されている。したがって、本明細書に記載の方法によりできた衣服は汎用性が高く、長持ちし、費用対効果が高い。結果、環境にも優しいのである。
【0060】
プリーツが良好に維持される生地(例えば、合成生地)が選択されれば、衣服は繰り返し洗濯可能となる。洗濯後(機械洗濯を含む。液温30℃推奨)も、オーセチック特性が維持されるのである。
【0061】
上述のように先に縫製された衣服にプリーツ加工を施す場合、生地は薄いことが好ましい。生地が第1プリーツ加工動作のためにプリーツ加工装置26内に送り込まれると、厚さが倍になる。縫い目ではさらに厚さが増す可能性がある。最大4重にもなり得、そこに糸の厚さが加わるのである。あるいは、生地は衣服になる前にプリーツ付けされて、その後衣服にされてもよいし、または衣服の一部として使用されて、追加的な効果をもたらすものであってもよい。例えば、動きやすさの向上、または通気性パネルの提供である(特にスポーツウェア)。これは、例えば雨具製造の場合に望ましくなり得る。そのような用品は、通常防水素材で作られる。即ち、ポリエステルとポリウレタンそれぞれ50%、ゴアテックス(登録商標)、ポリエステル100%、ナイロン100%等である。これら素材は、通常通気性に限りがあり、状況によっては、着用者は着ていて暑く、着心地が悪いと感じかねない。ものによっては、効果が消失するような飽和点にすら達しかねない。
【0062】
図6の方法によりプリーツ付けされた生地は、第1プリーツの下に、1または複数の通気孔38を開けることが可能であるという利点がある。これを図11から13に示す。通気孔は、その大きさから、従来の通気性素材よりも有効に通気性を実現できる。さらに、多くの通気性素材が高価であることを考えると、通気孔を付けることで従来よりもコスト効率が図られ得る。
【0063】
孔はプリーツ加工前に生地に開けられてもよいし、プリーツ加工後に生地が平になるまでプリーツを伸ばした上で開けられてもよい。プリーツ加工の後に孔を開けたほうが、孔の配置がより正確になり得る。孔は、打ち抜きまたはレーザー切り抜きで開けられてもよい。孔は、生地のプリーツ付けが完成した状態で、第1プリーツ組の陰プリーツの一部を形成する生地の部位に、格子状に開けられることが好ましい。孔はプリーツ加工された素材の皺/折り目上ではなく、その間に配置されることが好ましい(プリーツ加工の構造的強度を維持するため)。孔の直径は、ある程度プリーツの大きさに依存し得る。雨が侵入しないように、プリーツが平坦な状態で、孔が表プリーツにより完全に隠されることが望ましいためである。典型的には、孔の直径は1から3mmであってもよい。
【0064】
通常、衣服の使用時に、プリーツは完全に着用者の身体に平坦に沿うのではなく、若干開いた状態となる。これにより、空気がプリーツの内側の通気孔を通じて流れることができるので、着用者は涼しく感じられる。一方で、表プリーツが被さることで(瓦屋根構造による)、水の侵入が妨げられる。これを図12に示す。より通気性が求められる場合、図13に示すように、着用者は生地を引っ張ってプリーツ間をさらに広げてもよい。
【0065】
次に図14を参照すると、2層式の衣服を作る方法が示されている。2層式の衣服は、断熱性衣服であってもよい。即ち、衣服は、層間に挿入されたダウンまたは合成(例えばポリエステル)充填材等の断熱材を含んでもよい。方法は、生地を第1衣服層に縫製し、概略的に上述した方法で第1衣服層にプリーツ加工を行うことを含む。さらに、第2生地が第1衣服層の裏地となるように、第1衣服層と略同じ大きさおよび形状に縫製され、概略的に上述した方法、または別のプリーツ加工方法にしたがってプリーツ付けされる。第1衣服層および第2衣服層は、端で互いに縫い付けられる。そして必要であれば、断熱部材が層間に挿入される。その後、衣服を1または複数の縫い目(例えばサイドシーム)に沿って縫い合わせてもよい。これは衣服を一体的にし、断熱部材を定位置に保持することに寄与する。
【0066】
本発明は、主に衣服について上述したが、本明細書に記載の伸縮自在生地は、別の用途があってもよいことが理解されよう。例えば、テントまたは緊急時シェルター等の伸縮自在構造である。
【0067】
上記の例では、衣服の使用時に第1および第2軸がそれぞれ縦、横になることが記載されているが、必要であれば軸の方向は、利用目的に応じて異なっていてもよいことが理解されよう。例えば、より斜め方向に広がることが必要であれば、両軸は斜めに配置されてもよい。このような構成は、生地が衣服ではない伸縮自在構造で利用される場合に適切となり得る。
【0068】
同様に、上述の軸は互いに略直交しているが、その他角度で互いに傾斜してもよいことが理解されよう。衣服の場合、直交する2軸に沿って衣服をプリーツ加工することが、衣服が伸びた場合に一定の形状を維持することに寄与することを発見した。90度に対して若干の誤差は許容される。例えば75から90度、または80から90度が許容される。ただし、2軸は互いに85から90度の範囲内であることが好ましい。しかし別の利用形態では、軸間角度は90度に限らず、所望の主伸張方向に合わせて選択可能である。さらに、状況によっては、衣服はある方向に、別の方向よりも広がることが望ましくなり得る(例えばマタニティウェア)。したがって、プリーツ加工軸間の角度は、所望の広がりとなるように必要に応じてユーザに選択されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14