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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】インラインストレーナ
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/24 20060101AFI20221012BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20221012BHJP
   A01G 25/00 20060101ALI20221012BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20221012BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20221012BHJP
   B04C 5/14 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
F16L55/24 A
A01M7/00 Q
A01G25/00 601D
B01D35/02 A
B01D29/10 510B
B04C5/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020031576
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134854
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】397002360
【氏名又は名称】ヤマホ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 良成
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-25150(JP,A)
【文献】特開2014-178000(JP,A)
【文献】特開2002-353611(JP,A)
【文献】実開昭59-126853(JP,U)
【文献】特開2004-35016(JP,A)
【文献】特開平8-135867(JP,A)
【文献】特開2010-84845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/24
A01M 7/00
A01G 25/00
B01D 35/02
B01D 29/11
B04C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流入口(7)と流出口(8)を一端と他端に、異物排出口(9)を有する円筒状突出部(10)を長手方向途中にそれぞれ備えた筒状のハウジング(2)と、一端側に旋回流生成部(3a)を有し、他端側は次第に縮径したテーパコーン状の筒になっていて閉鎖された小径端(3b)近くの外周に出口(3c)が設けられているサイクロン集塵筒(3)と、有底筒状のフィルタエレメント(4)と、前記円筒状突出部(10)に外嵌されて前記異物排出口(9)を開閉するバルブキャップ(5)と、そのバルブキャップ(5)を開弁方向に付勢するスプリング(6)を有し、
前記サイクロン集塵筒(3)は、一端側が前記流出口(8)側にある向きにして前記ハウジング(2)の内部に配置されて一端が閉鎖され、
前記フィルタエレメント(4)は、前記サイクロン集塵筒(3)の一端側の内側に配置されて前記流出口(8)に接続され、
前記サイクロン集塵筒(3)の前記出口(3c)が前記異物排出口(9)に接続され、
前記ハウジング(2)に導入された濾過対象の液体が前記旋回流生成部(3a)を通って前記サイクロン集塵筒(3)に導入され、
そのサイクロン集塵筒(3)に導入され液体が前記フィルタエレメント(4)を透過して前記流出口(8)に至り、
前記サイクロン集塵筒(3)の内部に流入した液体中の異物は当該サイクロン集塵筒(3)の小径端(3b)側に流入して堆積し、
前記円筒状突出部(10)に対する前記バルブキャップ(5)の取り付けがバヨネット接続部(15)によってなされ、そのバヨネット接続部(15)は、前記バルブキャップ(5)の周壁(5a)の内面に設けた係止突起(16)と、前記円筒状突出部(10)の外周に形成したガイド溝(17)とからなり、
前記ガイド溝(17)は、前記係止突起(16)を軸方向に入り込ませる縦溝(17a)と、その縦溝(17a)の終端から周方向に延びる第1横溝(17b)と、その第1横溝(17b)の終端に段差を生じて連なる第2横溝(17c)を備え、
前記係止突起(16)が前記第2横溝(17c)に進入してその第2横溝(17c)内に保持された位置で前記バルブキャップ(5)が前記異物排出口(9)を閉じ、
前記係止突起(16)が前記第1横溝(17b)に進入してその第1横溝(17b)内に保持された位置で前記異物排出口(9)が開いて前記サイクロン集塵筒(3)内の異物が前記バルブキャップ(5)に設けられた排出孔(5c)を通って外部に排出され、
前記係止突起(16)の前記縦溝(17a)から前記第1横溝(17b)への移動が前記バルブキャップ(5)を回転させることによってなされ、
前記係止突起(16)の前記第1横溝(17b)から前記第2横溝(17c)への移動が前記バルブキャップ(5)を閉弁方向に押し込んで回転させることによってなされるように構成されたインラインストレーナ。
【請求項2】
一端と他端に液体の流入口(7)と流出口(8)を、異物排出口(9)を有する円筒状突出部(10)を長手方向途中にそれぞれ備えた筒状のハウジング(2)と、流入口(7)側に旋回流生成部(3a)を有する集塵筒(3A)と、筒状のフィルタエレメント(4)と、前記円筒状突出部(10)に外嵌されて前記異物排出口(9)を開閉するバルブキャップ(5)と、そのバルブキャップ(5)を開弁方向に付勢するスプリング(6)を有し、
前記旋回流生成部(3a)と、前記フィルタエレメント(4)と、そのフィルタエレメント(4)の流出口(8)側の開口に接続した前記集塵筒(3A)が前記ハウジング(2)の内部に設置され、前記集塵筒(3A)の外周に設けられた出口(3c)が前記異物排出口(9)に接続され、
前記ハウジング(2)に導入された濾過対象の液体が前記旋回流生成部(3a)を通って前記フィルタエレメント(4)に導入され、そのフィルタエレメント(4)を透過した液体が当該フィルタエレメント(4)の外周の通路(14)から前記流出口(8)に至り、前記フィルタエレメント(4)の内部に残った異物は前記集塵筒(3A)に取り込まれるようになっており、
前記円筒状突出部(10)に対する前記バルブキャップ(5)の取り付けがバヨネット接続部(15)によってなされ、そのバヨネット接続部(15)が、請求項1に記載のバヨネット接続部(15)と同一構造であるインラインストレーナ。
【請求項3】
前記第1横溝(17b)のガイド溝入り口側の溝端面(f3)と前記縦溝(17a)が交差したコーナ部と、前記第2横溝(17c)のガイド溝入り口側の溝端面(f2)と前記第1横溝(17b)が交差したコーナ部に、前記円筒状突出部(10)の根本側に向かって突出したストッパ(18)をそれぞれ具備し、前記係止突起(16)の前記縦溝(17a)から前記第1横溝(17b)への移動及び前記係止突起(16)の前記第1横溝(17b)から前記第2横溝(17c)への移動が前記ストッパ(18)を乗り越える位置でなされるようにした請求項1又は2に記載のインラインストレーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、植物栽培用の配管ラインに組み込んでその配管ラインを通じて供給される農薬や水などの液体中の異物を漉し取るインラインストレーナ、詳しくは、異物排出口を開閉するバルブキャップを備え、そのバルブキャップによる異物排出口の開閉操作を迅速に行えるようにしたインラインストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
首記のインラインストレーナの従来技術として、下記特許文献1に示されるものがある。その特許文献1のインラインストレーナは、本出願人が開発して提案したものであって、
一端に濾過対象液の流入口を、他端に流出口を、長手方向途中の外周に異物排出口をそれぞれ備える筒状のハウジングを有する。
【0003】
また、前記ハウジングの内部に設置される旋回流生成部品、流入側の開口端を前記旋回流生成部品に接続する筒状のフィルタエレメント及びそのフィルタエレメントの流出側の開口端に接続する集塵筒と、前記異物排出口を閉鎖するバルブキャップを有し、前記集塵筒の外周に設けられた出口が異物排出口に接続されている。
【0004】
このインラインストレーナは、配管ラインの上流側から前記ハウジングに導入された濾過対象の液体が旋回流生成部品の内部を通り、旋回流となってフィルタエレメントの筒内に導入される。
【0005】
そして、そのフィルタエレメントの筒(濾壁)を透過して濾過された液体が筒の外部の通路から前記流出口に至って配管ラインの下流側に戻される。
【0006】
また、フィルタエレメントの内部に残った異物は、エレメント内部の旋回流によって洗い流され、集塵筒に取り込まれる。なお、集塵筒内の異物は、集塵量が多くなったら前記バルブキャップを操作して異物排出口を開き、そこから外部に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-178000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のインラインストレーナは、ハウジングに対するバルブキャップの取り付けを、ねじ結合させる方法で行っている。
【0009】
前記異物排出口を、外周に雄ねじの加工された管継手で構成し、その管継手に前記バルブキャップを螺合させている。
【0010】
前記異物排出口は、前記バルブキャップがねじ込み終点にあるときに閉じられている。その異物排出口の封鎖は、バルブキャップを途中まで緩めることによって解け、異物排出口の開放により、集塵筒に取り込まれている異物が、バルブキャップに設けられている排出孔を通って外部に排出される。
【0011】
このように、従来のインラインストレーナは、ハウジングに螺合させたバルブキャップを途中まで緩めて集塵筒内の異物を外部に排出する方法を採っているが、異物排出口が全開するまでにバルブキャップを数回回転させる必要があり、異物排出口の再封鎖のためのバルブキャップの回転操作も必要とする。
【0012】
噴霧ノズルを数多く備えるブームスプレーヤーなどの噴霧装置においては、それぞれの噴霧ノズルにインラインストレーナを付属させることがあり、そのような噴霧装置については、各インラインストレーナの異物排出に要する労力が無視できないものになる。
【0013】
この発明は、上述したインラインストレーナを改善の対象にし、バルブキャップを操作して行う異物排出口の開閉を簡単に行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、この発明においては、下記1)、2)のインラインストレーナを提供する。
【0015】
1)液体の流入口と流出口を一端と他端に、異物排出口を有する円筒状突出部を長手方向途中にそれぞれ備えた筒状のハウジングと、一端側に旋回流生成部を有し、他端側は次第に縮径したテーパコーン状の筒になっていて閉鎖された小径端近くの外周に出口が設けられているサイクロン集塵筒と、有底筒状のフィルタエレメントと、前記円筒状突出部に外嵌されて前記異物排出口を開閉するバルブキャップと、そのバルブキャップを開弁方向に付勢するスプリングを有し、
前記サイクロン集塵筒は、一端側が前記流出口側にある向きにして前記ハウジングの内部に配置されて一端が閉鎖され、
前記フィルタエレメントは、前記サイクロン集塵筒の一端側の内側に配置されて前記流出口に接続され、
前記サイクロン集塵筒の前記出口が前記異物排出口に接続され、
前記ハウジングに導入された濾過対象の液体が前記旋回流生成部を通って前記サイクロン集塵筒に導入され、
そのサイクロン集塵筒に導入され液体が前記フィルタエレメントを透過して前記流出口に至り、
前記サイクロン集塵筒の内部に流入した液体中の異物はサイクロン集塵筒の小径端側に流入して堆積し、
前記円筒状突出部に対する前記バルブキャップの取り付けがバヨネット接続部によってなされ、そのバヨネット接続部は、前記バルブキャップの周壁の内面に設けた係止突起と、前記円筒状突出部の外周に形成したガイド溝とからなり、
前記ガイド溝は、前記係止突起を軸方向に入り込ませる縦溝と、その縦溝の終端から周方向に延びる第1横溝と、第1横溝の終端に段差を生じて連なる第2横溝を備え、
前記係止突起が前記第2横溝に進入してその第2横溝内に保持された位置で前記バルブキャップが前記異物排出口を閉じ、
前記係止突起が前記第1横溝に進入してその第1横溝内に保持された位置で前記異物排出口が開いて前記集塵筒内の異物が前記バルブキャップに設けられた排出孔を通って外部に排出され、
前記係止突起の前記縦溝から前記第1横溝への移動が前記バルブキャップを回転させることによってなされ、
前記係止突起の前記第1横溝から前記第2横溝への移動が前記バルブキャップを閉弁方向に押し込んで回転させることによってなされるように構成されたインラインストレーナ。
【0016】
2)一端と他端に液体の流入口と流出口を、異物排出口を有する円筒状突出部を長手方向途中にそれぞれ備えた筒状のハウジングと、流入口側に旋回流生成部を有する集塵筒と、筒状のフィルタエレメントと、前記円筒状突出部に外嵌されて前記異物排出口を開閉するバルブキャップと、そのバルブキャップを開弁方向に付勢するスプリングを有し、
前記旋回流生成部と、前記フィルタエレメントと、そのフィルタエレメントの流出口側の開口に接続した前記集塵筒が前記ハウジングの内部に設置され、前記集塵筒の外周に設けられた出口が異物排出口に接続され、
前記ハウジングに導入された濾過対象の液体が前記旋回流生成部品を通って前記フィルタエレメントに導入され、そのフィルタエレメントを透過した液体がフィルタエレメント外周の通路から前記流出口に至り、前記フィルタエレメントの内部に残った異物は前記集塵筒に取り込まれるようになっており、
前記円筒状突出部に対する前記バルブキャップの取り付けがバヨネット接続部によってなされ、そのバヨネット接続部は、前記1)のインラインストレーナのバヨネット接続部と同じものになっているインラインストレーナ。
【0017】
前記1)、2)のインラインストレーナは、前記第1横溝のガイド溝入り口側の溝端面と前記縦溝が交差したコーナ部と、前記第2横溝のガイド溝入り口側の溝端面と前記第1横溝が交差したコーナ部に、前記円筒状突出部の根本側に向かって突出したストッパを具備させ、前記係止突起の前記縦溝から前記第1横溝への移動及び前記係止突起の前記第1横溝から前記第2横溝への移動がストッパを乗り越えた位置でなされるようにしておくと好ましい。
【0018】
前記係止突起と前記ガイド溝は、前記バルブキャップと前記円筒状突出部に中心対称配置にして2組設けるとよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明のインラインストレーナは、異物排出口を有するハウジングの円筒状突出部にバルブキャップをバヨネット嵌合させており、そのバルブキャップを回転させて係止突起
を第2横溝から第1横溝に移動させることでバルブキャップが前記スプリングに押されて
円筒状突出部の突端側(開弁方向)に動き、これにより、バルブキャップによって閉じられていた異物排出口が開く。
【0020】
また、バルブキャップを前記スプリングの力に抗する方向(閉弁方向)に押して回転させて前記第1横溝から第2横溝に移動させるとバルブキャップによって異物排出口が閉じられる。
【0021】
異物排出口を開閉するときのバルブキャップの回転量は、わずか(例えば45°未満)でよく、バルブキャップを数回回転させていた従来品に比べて異物排出口の開閉操作が簡単になる。
【0022】
なお、前記第1横溝のガイド溝入り口側の溝端面のコーナ部と、前記第2横溝のガイド溝入り口側の溝端面のコーナ部に前記ストッパを具備させたものは、前記係止突起の第2横溝や第1横溝での位置保持が確実になされ、バルブキャップによる異物排出口の閉鎖、開放状態の意図せぬ変動が起こらない。
【0023】
このように、この発明のインラインストレーナによれば、ハウジングに対するバルブキャップの取り付けをバヨネット接続部を設けて行い、さらに、そのバヨネット接続部の形状を工夫することで、バルブキャップのわずかな量の回転で異物排出口を開閉できるようにしたので、バルブキャップをねじ結合させた従来品に比べて異物排出口の開閉が簡単になり、数多くの噴霧ノズルの各々にインラインストレーナを伴わせた噴霧装置、噴霧システムにおいては特に、漉し取られた異物の除去に要する労力を大幅に削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明のインラインストレーナの一形態を示す断面図である。
図2図1のインラインストレーナの端部キャップを除いた要素の分解斜視図である。
図3図1のA-A線に沿った部位の断面図である。
図4図1のバヨネット接続部の構成要素を示す斜視図である。
図5図1のバヨネット接続部のガイド溝の側面と、バルブキャップの係止突起設置部の断面を表す図である。
図6】バルブキャップの取り付け状態を、異物排出口が開かれた状態にして示す斜視破断図である。
図7】この発明のインラインストレーナの他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明のインラインストレーナの実施の形態を、添付図面の図1図7に基づいて説明する。
【0026】
図1に例示したインラインストレーナ1は、筒状をなすハウジング2と、サイクロン集塵筒3と、有底筒状のフィルタエレメント4と、バルブキャップ5及びスプリング6を組み合わせたものになっている。
【0027】
ハウジング2は、一端に流入口7を、他端に流出口8を、長手途中に異物排出口9をそれぞれ有する。また、流入口7近くの外周に長手直角向きに突出する円筒状突出部10を有しており、その円筒状突出部10の穴が異物排出口9となっている。
【0028】
11は、ハウジング2の流出口側に着脱自在に取り付けた端部キャップであり、その端部キャップ11に、配管ラインとの接続を行う管継手PJと流出口8が設けられている。また、端部キャップ11とハウジング2の筒との間には弾性体のパッキン12が介在されている。パッキン12は、管継手PJの配管ラインに対する接続部を封止するものも含ませている。
【0029】
サイクロン集塵筒3は、図2に示すように、直円筒形状になっている一端側に旋回流生成部3aを有し、他端側は次第に縮径したテーパコーン状の筒になっていて閉鎖された小径端3b近くの外周に、出口3cを設けたものになっている。
【0030】
このサイクロン集塵筒3は、図1に示すように、一端側が流出口8側にある向きにしてハウジング2の内部に配置される。そのサイクロン集塵筒3は、位置決め部13に回り止めされて出口3cがハウジング2の異物排出口9に繋がる箇所に位置決めされる。
【0031】
位置決め部13は、図2に示すように、サイクロン集塵筒3の外周の中心対称位置に突片13aを、ハウジング2の内面の中心対称位置に縦長のガイド溝13bをそれぞれ設け、突片13aを図3に示すように、ガイド溝13bに嵌め込むものを例示したが、これに限定されない。
【0032】
サイクロン集塵筒3の一端の開口は、図1に示すように、パッキン12によって液密に閉鎖され、サイクロン集塵筒3の外周とハウジング2の胴筒との間には、流入口7に通じた通路14が作り出される。
【0033】
フィルタエレメント4は、鍔4aを設けた開口端側を流出口8に接続してサイクロン集塵筒3の一端側(直円筒部)の内側に配置されている。
【0034】
例示のインラインストレーナ1は、図1の姿勢、即ち、流入口7を下、流出口8を上にし、起立状態にして使用される。
【0035】
旋回流生成部3aは、通路14内の液体を接線方向に向けて内側に導入する開口Oをサイクロン集塵筒3の直円筒形状部にあけて作り出されており、開口Oから導入された液体は、直円筒形状部の内面に沿って旋回し、螺旋流となってサイクロン集塵筒3の小径端3b側に流れる。
【0036】
そして、途中で反転し、フィルタエレメント4を透過して流出口8に至る。また、液体よりも比重の大きい異物は、遠心力で旋回しながらサイクロン集塵筒3の小径端3b側に流れて小径端3b側の内部に堆積していく。
【0037】
バルブキャップ5は、周壁5aと端壁5bを備えた有底筒状のキャップである(図4図6を同時参照)。端壁5bは周壁5aの一端にあり、その端壁5bには、異物を通す排出孔5cが設けられている。また、端壁5bには、シールリング5d(図1図6参照)が取り付けられている。
【0038】
このインラインストレーナ1は、配管ライン(図示せず)の上流側に接続される流入口7からハウジング2に導入された濾過対象の液体が通路14の上部に至り、旋回流生成部3aの開口Oからサイクロン集塵筒3の内部に導入されて旋回流となり、異物の多くが分離された液体がフィルタエレメント4に濾されて流出口8から配管ラインの下流側(図示しない噴霧ノズルに近い側)に流れ出る。
【0039】
以上の構成は、この発明を特徴づけるものではない。即ち、例示のインラインストレーナ1は、以下に述べる部分が従来品と異なる。
【0040】
従来品との相違点は、円筒状突出部10に対するバルブキャップ5の取り付けを図4図5に詳細を示したバヨネット接続部15を設けて行い、さらに、前記スプリング6を追設したところにある。スプリング6は、バルブキャップ5を円筒状突出部10から抜け出る方向に付勢する。
【0041】
バヨネット接続部15は、図5に示した要素、即ち、バルブキャップ5(周壁5aの内面)に設けた係止突起16と、円筒状突出部10の外周に形成したガイド溝17とからなる。
【0042】
ガイド溝17は、係止突起16を軸方向に入り込ませる一端が円筒状突出部10の端面(突端)に開放した縦溝17a(図4図5参照)と、その縦溝17aの終端から周方向に延びる第1横溝17bと、第1横溝17bの終端に段差を生じて連なる第2横溝17cを備えた溝になっている。
【0043】
第1横溝17bと第2横溝17cは、係止突起16を受け入れて係止させる溝である。円筒状突出部10の突端側に被せたバルブキャップ5を、円筒状突出部10の根本側(図5の左方)に向けて押し込み、係止突起16が縦溝17aの終端に到達した位置でそのバルブキャップ5を回転させる。
【0044】
その操作によって係止突起16は第1横溝17bに入り込む。次に、第1横溝17bの溝側面f1(図5参照)に係止突起16が当たった位置でバルブキャップ5を移動規制を受けるまで円筒状突出部10の根本側にさらに押し込む。
【0045】
そして、そこでバルブキャップ5を再度回転させる。これにより、係止突起16は第2横溝17cに入り込む。その位置でバルブキャップ5の押し込みを解除すると、係止突起16が第2横溝17cのガイド溝入り口側の溝端面f2(図5参照)に接して第2横溝17c内に保持される。
【0046】
係止突起16が第2横溝17c内に保持された状態では、図1に示すように、シールリング5dが円筒状突出部10の端面に押し当てられる。そのために、異物排出口9は、シールリング5dによって外部との接続が遮断され、閉鎖状態になる。
【0047】
また、係止突起16が第1横溝17bのガイド溝入り口側の溝端面f3(図5参照)に接して第1横溝17b内に保持された状態では、シールリング5dが図6に示すように円筒状突出部10の端面から離反し、異物排出口9が開放されてサイクロン集塵筒3内の異物がバルブキャップ5に設けられた排出孔5c経由で外部に排出される。
【0048】
例示のバヨネット接続部15は、第1横溝17bの溝端面f3と縦溝17aが交差したコーナ部と、第2横溝17cのガイド溝入り口側の溝端面f2と第1横溝17bが交差したコーナ部に、円筒状突出部10の根本側に向かって突出したストッパ18を具備している。
【0049】
ストッパ18は、円筒状突出部10の根本側への突出量が、係止突起16を縦溝17aから第1横溝17bに移動させるとき及び第1横溝17bから第2横溝17cに移動させるとき、或いは上記とは逆向きに移動させるときにその係止突起16が乗り越えられる大きさに設定されている。
【0050】
このストッパ18があると、係止突起16が第1横溝17bに保持されているときと、第2横溝17cに保持されているときのバルブキャップ5の不測の回転がストッパ18によって阻止され、異物排出口9の閉鎖状態、開放状態の意図せぬ変動が防止される。
【0051】
以上の通りに構成された例示のインラインストレーナ1は、捕捉した異物がサイクロン集塵筒3の内部にある程度貯まったら、異物排出口9を塞いでいるバルブキャップ5を少し押し込んで、係止突起16が第2横溝17cから第1横溝17bに移る位置に回転させる。
【0052】
そして、係止突起16が第1横溝17bの溝側面f4(図5参照)に当たった位置でバルブキャップ5の押し込みを解く。これにより、バルブキャップ5は、スプリング6によって円筒状突出部10の突端側に押し動かされ、係止突起16が第1横溝17bのガイド溝入り口側の面に接した位置に保持される。
【0053】
図7は、この発明のインラインストレーナの他の実施形態を示している。このインラインストレーナ1Aは、流入口7、流出口8及び異物排出口9を有する筒状のハウジング2と、旋回流生成部3aを流入口側に備える集塵筒3Aと、円筒状のフィルタエレメント4と、バルブキャップ5と、スプリング6を組み合わせたものになっている。
【0054】
ハウジング2は、異物排出口9の形成された円筒状突出部10を流出口8近くの外周に
設けており、その他の構成は図1のハウジング2とさして変わるところがない。
【0055】
旋回流生成部3aは、単一の部品で構成されており、その単一の部品がハウジング2の内部の流入側端部に組み込まれる。図示の旋回流生成部3aは、所定の方向にねじれたねじれ通路3dを複数有しており、そのねじれ通路3dを通ることで液体に回転する力が付与されてフィルタエレメント4の内部にそのフィルタエレメントの内面に付着した異物を洗い流す旋回流が生成される。
【0056】
図7のフィルタエレメント4は、流入口7側の開口端が旋回流生成部3aを構成する部品に接続され、流出口8側の開口端に集塵筒3Aが着脱自在に接続される。
【0057】
集塵筒3Aは、流入口7側から流出口8側に向かって次第に縮径したテーパコーン状の筒になっている。この集塵筒3Aの、閉鎖された小径端3b側の外周に出口3cが設けられ、その出口3cが異物排出口9に接続される位置に集塵筒3Aがハウジング2の内部で回り止めされて位置決め保持される。
【0058】
図7のインラインストレーナ1Aも、図1のインラインストレーナ1と同様に、流入口7が下、流出口8が上になる姿勢にして使用される。
【0059】
このインラインストレーナ1Aでは、流出口8に繋がる通路14がフィルタエレメント4及び集塵筒3Aの外周とハウジング2の周壁との間に作り出されており、フィルタエレメント4によって濾過された液体が、その通路14を通って流出口8から配管ラインの下流側に流れ出る。
【0060】
バルブキャップ5及びそのバルブキャップ5をハウジング2の円筒状突出部10に取り付ける構造は、図1のインラインストレーナ1と同じである。従って、取り付ける構造については図1と同一要素に同一符号を付して再説明を省く。
【0061】
上述したように、この発明のインラインストレーナによれば、バルブキャップをわずかに回転させるだけで異物排出口を開閉することができ、集塵筒に取り込まれた異物の排出と異物排出口の再閉鎖に要する労力を大幅に削減することが可能になる。
【符号の説明】
【0062】
1、1A インラインストレーナ
2 ハウジング
3 サイクロン集塵筒
3A 集塵筒
3a 旋回流生成部
O 開口
3b 小径端
3c 出口
3d ねじれ通路
4 フィルタエレメント
4a 鍔
5 バルブキャップ
5a 周壁
5b 端壁
5c 排出孔
5d シールリング
6 スプリング
7 流入口
8 流出口
9 異物排出口
10 円筒状突出部
11 端部キャップ
PJ 管継手
12 パッキン
13 位置決め部
13a 突片
13b ガイド溝
14 通路
15 バヨネット接続部
16 係止突起
17 ガイド溝
17a 縦溝
17b 第1横溝
17c 第2横溝
18 ストッパ
f1、f4 溝側面
f2、f3 溝端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7