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特許7156724光反射機能及び夜光機能を有する繊維、並びにこの繊維を有する織物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】光反射機能及び夜光機能を有する繊維、並びにこの繊維を有する織物
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/06 20060101AFI20221012BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221012BHJP
【FI】
D02G3/06
B32B7/023
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021015370
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2021127556
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】109104067
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519423909
【氏名又は名称】勤倫股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】姚明賢
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04546042(US,A)
【文献】特開昭62-130850(JP,A)
【文献】特開2008-155592(JP,A)
【文献】特開2005-111971(JP,A)
【文献】特開2018-111223(JP,A)
【文献】特開平01-221539(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025193(JP,U)
【文献】特開昭58-108501(JP,A)
【文献】特開2001-081642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0130624(US,A1)
【文献】国際公開第2006/123115(WO,A1)
【文献】特開昭56-134225(JP,A)
【文献】中国実用新案第208293167(CN,U)
【文献】特開2021-001425(JP,A)
【文献】中国実用新案第205653655(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
D01D 1/00 - 13/02
D02G 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射機能及び夜光機能を有する繊維であって、
前記繊維は、ストリップ状であり、少なくとも光反射可能な光反射性表面、及び夜光を発する可能な夜光性表面の2つの表面を有し、
前記繊維の前記光反射性表面は、光反射層で形成され、前記光反射層は、複数の光反射部材を有し、
前記夜光性表面は、夜光材料を有する夜光層で形成され、
前記光反射層の光反射部材は、複数の光反射性ビーズであり、前記光反射性ビーズは、前記光反射層から露出し、
前記光反射層に設けられる色層をさらに含み、前記色層は、前記光反射性ビーズの表面を被覆し、前記光反射性ビーズの外側表面の全部又は一部は前記色層で被覆されていない、繊維。
【請求項2】
光反射機能及び夜光機能及び有する繊維であって、
前記繊維の断面は、矩形であり、第1対表面及び第2対表面を有し、前記第1対表面及び第2対表面は、それぞれ前記繊維の頂方向及び底方向、並びに前記繊維の両側方向に位置し、
前記第1対表面は、それぞれ光反射性表面及び夜光性表面であり、両表面が互いに対向すし、
前記繊維の前記光反射性表面は、光反射層で形成され、前記光反射層は、複数の光反射部材を有し、
前記夜光性表面は、夜光材料を有する夜光層で形成され、
前記光反射層の光反射部材は、複数の光反射性ビーズであり、前記光反射性ビーズは、前記光反射層から露出し、
前記光反射層に設けられる色層をさらに含み、前記色層は、前記光反射性ビーズの表面を被覆し、前記光反射性ビーズの外側表面の全部又は一部は前記色層で被覆されていない、繊維。
【請求項3】
前記繊維は、幅及び厚さを有し、
前記光反射性表面及び前記夜光性表面は、前記繊維の頂方向及び底方向に位置し、
前記繊維の両側表面は、前記繊維の両側方向に位置する切断面である、請求項2に記載の繊維。
【請求項4】
前記幅は、前記繊維の両側表面の間に形成され、前記繊維の幅は、0.05mm~0.5mmである、請求項に記載の繊維。
【請求項5】
前記厚さは、前記繊維の頂面と底面の間に形成され、前記繊維の厚さは、0.1mm~0.35mmである、請求項に記載の繊維。
【請求項6】
前記繊維の断面構造は、中間層を有し、
光反射層及び夜光層は、それぞれ前記中間層の2つの表面に位置し、前記第1対表面を構成する、請求項2に記載の繊維。
【請求項7】
前記色層は、前記光反射性ビーズの内側表面を被覆する、請求項1又は2に記載の繊維。
【請求項8】
前記色層は、前記光反射性ビーズの外側表面の一部を被覆する、請求項に記載の繊維。
【請求項9】
前記夜光材料は、複数の夜光粒子であり、前記夜光層は、それぞれ前記夜光粒子を被覆して夜光粒子を外部から遮断する複数の透明な被覆層をさらに含み、各前記被覆層及びそれが被覆する夜光粒子は、マイクロカプセル構造を構成する、請求項1又は2に記載の繊維。
【請求項10】
前記夜光層は、前記繊維内に位置する背面と、
色を有し、前記夜光層の前記背面に設けられる色彩層と、
をさらに含む、請求項1又は2に記載の繊維。
【請求項11】
前記夜光層は、樹脂と夜光粒子との混合物であり、前記樹脂は染料で着色される、請求項1又は2に記載の繊維。
【請求項12】
前記繊維は、縫糸又は刺繍糸として使用される、請求項1又は2に記載の繊維。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の繊維を用いて製造される織物であって、
前記織物の繊維は、光反射性及び夜光性を有する、織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射機能及び夜光機能を有する繊維に関する。
【従来技術】
【0002】
衣服に光反射効果又は夜光効果を持たせることにより、安全性、特に夜活動時の安全性を向上させることができる。現在、服に光反射機能又は夜光機能を持たせるためには、光反射シール又は夜光シールを服に縫い付けることにより、光反射又は夜光の要求に達する。例えば、警察、交通誘導警備員、清掃員が着用する光反射服が挙げられる。
【0003】
前記光反射服では、他の物(光反射シール)が服に固定されるため、その光反射効果は、服自体の光反射機能ではなく、他の物(光反射シール)によるものである。
【0004】
また、光反射効果及び夜光効果を兼ね備える繊維は、繊維業界において考えも想像もしなかった製品である。織物(例えば、針織り、平織り又は円織りの布地)を作製するために、長さが3000又は4000m以上の繊維を使用する必要がある。しかし、従来技術では、このような長さを有するとともに夜光又は光反射機能を備える繊維を製造することができない。
【発明の概要】
【0005】
従来技術により、光反射材料及び夜光材料を兼ね備える繊維を製造することが困難であるため、光反射効果及び夜光効果を有する繊維を製造することができない。
【0006】
本発明の主な目的は、繊維に光反射効果及び夜光効果を持たせるために夜光機能及び光反射機能を有する繊維を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、前記機能性繊維を縫糸又は刺繍糸として使用することにより、服飾上の刺繍糸又は縫糸に服飾の光反射機能及び夜光機能を提供させることである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、他のものを介さず、それ自体が光反射機能及び夜光機能を兼ね備える織物を提供することである。
【0009】
本発明で提供される光反射機能及び夜光機能を有する繊維は、ストリップ状であり、少なくとも光反射性表面及び夜光性表面の2つの表面を有する。
【0010】
好ましくは、前記繊維の断面は矩形であり、第1対表面及び第2対表面を有する。前記2対の表面はそれぞれ前記繊維の頂方向及び底方向、並びに両側方向に位置する。前記第1対表面は、それぞれ光反射性表面及び夜光性表面であり、両表面が互いに対向する。
【0011】
本発明は、前記繊維及び前記繊維を用いて製造された織物を提供する。前記繊維は、光反射効果及び夜光効果を兼ね備える。前記織物は、それ自体光反射効果及び夜光機能を有することで、服飾はファッションと安全性を兼ね備える。
【0012】
本発明の微細繊維を服飾の縫糸又は刺繍糸として使用することにより、前記刺繍糸又は縫糸は服飾の光反射部位及び発光部位となり、ファッションと安全性を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の実施例及び図面により本発明の目的、特徴及び効果を説明する。
【0014】
図1】本発明の繊維の立体模式図である。
図2】本発明の繊維の断面模式図である。前記繊維は2つの機能性表面を有する。
図3】本発明の第1好適実施例の繊維の断面図である。
図4】本発明の第2好適実施例の繊維の断面図である。
図5】本発明の第3好適実施例の繊維の断面図である。
図6】本発明の第4好適実施例の繊維の断面図である。
図7】本発明の第5好適実施例の繊維の断面図である。
図8】本発明の第6好適実施例の繊維の断面図である。
図9】本発明の第7好適実施例の繊維の断面図である。
図10】本発明の第8好適実施例の繊維の断面図である。
図11図3の繊維を製造するためのフィルム材の断面図である。
図12-13】本発明の繊維の製造プロセスを示す模式図である。
図14】本発明の繊維で製造された織物の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、図1に示されるかなりの長さを有する繊維10を作製するために機能性表面を有する繊維を提供する。前記繊維は、幅が0.05mm-1.5mmであり、幅が0.05mm-0.5mmの微細繊維を含み、その幅が髪の毛の直径に相当し、即ち、0.05mm-0.09mmである。本発明の繊維は、光反射機能及び夜光之機能を有する。このような繊維(特に微細繊維)で作製された織物を用いて人が着る服を作成することにより、人が活動するときの安全性を高めることができる。本発明の繊維は、布地又は織物の刺繍糸又は縫糸として使用することもできる。刺繍糸又は縫糸として使用される場合、繊維10のデニール値は、数百デニール又は数千デニール(例えば、1000デニール以上)である。
【0016】
図2は、本発明で作製された繊維10の断面模式図である。繊維10は、中間層20、光反射層30及び夜光層40を有する。前記光反射層30及び夜光層40は、それぞれ前記中間層20の対向する2つの表面、例えば、頂面及び底面に位置する。前記光反射層30及び前記夜光層40は、前記繊維10の2つの機能性表面を構成する。本明細書に記載の機能性表面とは、前記表面が機能性を有することをいう。前記機能性とは、光反射機能及び夜光機能を指す。前記光反射層30は、光線を反射可能であることにより、前記繊維10の1つの表面は光反射効果を有する。前記夜光層40は、夜光を発する可能であることにより、前記繊維10のもう1つの表面は夜光効果を有する。
【0017】
前記繊維10は、断面の形状が矩形であり、2対の表面を有する。前記2対の表面は、それぞれ前記繊維の頂方向と底方向、及び両側方向に位置する。本実施例に記載の第1対表面は、前記繊維10の頂方向と底方向に位置し、第2対表面は、繊維10の両側の方向に位置する。前記繊維10の断面形状は、幅B及び厚さTを有する。図2に示すように、前記厚さTは、前記繊維10の頂面と底面との間に形成され、前記幅Bは、前記繊維10の両側の表面の間に形成される。前記光反射層30及び前記夜光層40は、前記第1対表面を構成し、前記繊維10の頂方向及び底方向に位置する。前記光反射層30及び前記夜光層40は、前記繊維10の頂面及び底面を構成し、対向する(opposite)表面である。前記第2対表面は、前記繊維10の左側表面と右側表面である両側方向に位置し、前記繊維10の切断面12である。前記2つの切断面12は対向する(opposite)表面である。前記繊維10の厚さTは、好ましい実施例では0.1mm~0.35mmであり、好ましくは0.15~0.22mmである。前記繊維10の幅Bは、0.05mm~0.5mmである。本発明の繊維10は、幅が0.05mm~0.25mm、例えば、0.05~0.12mmの微細繊維に切断され得る。
【0018】
以下、本発明の繊維のいくつかの好ましい実施例を説明する。本明細書では、符号10で繊維を示し、特定構造の繊維を符号10a~10hで示す。同様に、符号30、40はそれぞれ光反射層及び夜光層の総称であり、特定構造の光反射層及び夜光層を符号30a~30g及び40a、40bで示す。
【0019】
本発明の繊維は、フィルム材を切断することにより作製される。長さが3000m以上又は4000m以上で光反射機能と夜光機能を兼ね備える繊維の製造は、フィルム材を切断する方法のみにより達成することができる。糸抜きのような製造方法は、光反射効果と夜光効果を兼ね備える繊維を製造することができない。
【0020】
図3は、本発明の第1好適実施例に係る繊維10aの断面図である。前記中間層20は、高分子材料であるプラスチック又はゴムで作製され、弾性材料又は非弾性材料であってもよい。弾性材料である場合、TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマーゴム;Thermoplastic polyurethanes elastomeric rubber)、PU(ポリウレタン;Polyurethane)、TPE(熱可塑性エラストマー;Thermoplastic Elastomer)、TPR(熱可塑性ゴム;Thermoplastic Rubber)、ホットメルト接着剤、シリカゲル又はナイロンなどの材質を使用できるが、これらに限定されない。非弾性材料である場合、PET(ポリエチレンテレフタレート;polyethylene terephthalate)、硬質PVC(ポリ塩化ビニル,Polyvinyl Chloride)、又はOPP(配向延伸ポリプロピレン;Oriented Polypropylene)などの材質を使用できるが、これらに限定されない。
【0021】
前記光反射層30は、光学機能を有する複数の光反射部材を含む。前記光反射部材は、図3図8に示される光反射体、又は図9図10に示されるプリズムであってもよい。図3図8に示される光反射部材は、光反射性を有する複数の透明ビーズ、例えば、マイクロガラスビーズ32であり、塗布又は離型膜転写により前記中間層20の一面(頂面)に設けられる。図3図8には、単層マイクロガラスビーズ32が示されているが、これに限定されず、光反射層30は2層又はそれ以上に配列されたマイクロガラスビーズである。前記マイクロガラスビーズ32により、光反射層30は光反射効果を有する。図3の光反射層30aにおいて、マイクロガラスビーズ32は粘着層(接着剤層)31を介して前記中間層20の一面に設けられ、マイクロガラスビーズ32は少なくとも体積の半分が前記粘着層31に嵌入され、その外端が粘着層から露出する。前記粘着層31は、マイクロガラスビーズ32の内側表面に接着され、マイクロガラスビーズ32の外端の外側表面(例えば、外側に向かう180°の範囲の周面)は粘着層31から露出する。
【0022】
図4に示される光反射層30bにおいて、前記マイクロガラスビーズ32の間の隙間には、塗布又は真空メッキにより金属材質のフィラー34が設けられる。前記金属材質のフィラーは、例えば、アルミニウム、銀、クロム、スズ、ニッケル及び白金などの金属材質であり、アルミニウム、銀であることが好ましい。前記フィラー34により、前記光反射層30bは高光反射性を有し、光反射率に優れるので、図4の光反射層30bは比較的高い光反射率を有する。マイクロガラスビーズ32の外側表面(外側に向かう180°の範囲の周面)は、前記フィラー34により完全に被覆されていない。具体的には、マイクロガラスビーズ32の外側表面の少なくとも30%は前記フィラーにより被覆されておらず、前記マイクロガラスビーズ32の外端及び前記フィラー34はいずれも前記光反射層30bから露出する。
【0023】
本発明の光反射層30は、変色することができる。図5に示すように、繊維10cの光反射層30cには、前記マイクロガラスビーズ32の外側表面を被覆する色層33が設けられる。前記色層33は、染料(色料)で色を形成し、混合染料又は染料を注入した樹脂であることで色を有するとともに、異なる色にすることができる。前記色層33は、マイクロガラスビーズ32間の隙間に設けられ、かつマイクロガラスビーズ32の外側表面は依然として露出している。本実施例の色層33は、マイクロガラスビーズ32の外側表面(外側に向かう180°の範囲の周面)を被覆するが、マイクロガラスビーズ32の外側表面を完全に被覆せず、マイクロガラスビーズ32の外側表面の中央で少なくとも30%の表面が露出し、マイクロガラスビーズの光反射作用を保持する。これによって、前記光反射層30の外観は、前記色層が呈する色を有する。色層33を異なる色にすることにより、前記光反射層30は異なる色を呈する。図6に示される繊維10dは、その光反射層30dには覆蓋於マイクロガラスビーズ32の内側表面(中間層の表面に向かう)を被覆する色層33が設けられる。マイクロガラスビーズ32の外側表面は依然として露出しており、色層33に被覆されていない。光反射層30c及び30dは、前記色層33によって色を有する。前記色層33は、転写、塗布又は化学塗装(chemical coating)により光反射層に設けられ得る。
【0024】
図7に示すように、前記繊維10eは、色とフィラーを含む混合層35をさらに含む。前記混合層35は、染料と金属材料(例えば、アルミニウム、銀、クロム、スズ、ニッケル及び白金などであり、好ましくはアルミニウム及び銀である)を混合してなる樹脂であり、光反射層30eに塗布されるが、マイクロガラスビーズ32の外側表面を完全に被覆せず、マイクロガラスビーズ32の外側表面の少なくとも30%が露出する。前記色とフィラーを含む混合層35により、前記光反射層30の光反射性は良好で、その外観は染料が呈する色を有する。
【0025】
図8に示される繊維10fは、その光反射層30aが図3の光反射層と同じである。
【0026】
図9に示される繊維10gにおいて、前記プリズム(光反射部材)36は、光反射層30fの背面(中間層20と結合する面)に形成され、前記光反射層30fは、高分子フィルムであり、熱可塑性又は熱硬化性のポリマーである。前記ポリマは、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PU(ポリウレタン樹脂)、TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエステル繊維)及びPEVAなどである。前記光反射層30fの背面は、凹凸状に作製されるため、複数の突出した微細プリズム36が形成される。前記プリズム36は、三角錐状、四角錐状(ピラミッド形状)、五角錐状などの多角錐状の突出構成であってもよいが、これらに限定されない。光線が前記光反射層30fに入射されると、前記プリズム36は光線を反射することができ、これによって、前記光反射層は光反射効果を有する。
【0027】
図10に示される繊維10hにおいて、その光反射層30gは、プリズム(光反射部材)36の表面に塗布又は真空メッキにより塗装された金属材質の反射層38である。用いる金属材質は、アルミニウム、銀、クロム、スズ、ニッケル及び白金などである。本実施例の反射層38はアルミニウムである。前記反射層38は、反射界面を構成し、光反射層30gの光反射率を高めることができる。
【0028】
図9の光反射層30f及び図10の光反射層30gは、色を有するために作製時に染料(色料)を添加することができる。
【0029】
図3に示すように、前記繊維10aの夜光層40aには、複数の夜光(luminescent)粒子42がある。これによって、前記夜光層40は夜光を発することができるため、人は夜、光源無し又は低照度光源の状態でも夜光層の夜光が見える。前記夜光層40は、本実施例において夜光粒子42と高分子樹脂46とを混合して硬化することにより形成される。好ましい実施例に用いる樹脂46はポリウレタン(PU,Polyurethane)樹脂であり、透明で無色である。前記夜光粒子42は、希土類元素(rare earth)にアルカリ土類金属アルミン酸塩(alkaline earth aluminate)又はケイ酸塩(silicate)を加えてなるサイズが5μm~200μmの微粒子であり、自己発光(夜光)することができる。図5及び図7の夜光層40aは、図3の夜光層と同じであり、夜光粒子42を有する。
【0030】
図4の繊維10bの夜光層40bにおいて、前記夜光粒子42の表面が透明樹脂で被覆されることで、マイクロカプセル構造(即ち、微小な被覆層が微小な夜光粒子を被覆する)が形成される。被覆層44は、前記透明樹脂で形成され、各夜光粒子42を被覆することにより、夜光粒子42が外部に接触しないように外部から完全に遮断され、夜光粒子42と水又は他の物質と化学反応することがない。例えば、夜光粒子42が水に接触して強塩基になることが回避される。前記被覆層44と被覆された夜光粒子42とは、マイクロカプセル夜光顆粒45を構成する。なお、於夜光粒子が極めて小さいため、作製する際に複数の夜光粒子42が1つの被覆層44で被覆される場合がある。そのため、各マイクロカプセル夜光顆粒45は、1つ又は複数の夜光粒子42を含む場合がある。本発明で前記被覆層44の形成に用いる透明樹脂は、抗塩化カリウム樹脂を使用することにより、夜光粒子が水に接触して強塩基を放出することが回避される。前記透明樹脂は無色であるため、前記被覆層44は透明で無色である。なお、マイクロカプセル夜光顆粒45により、夜光層40は良好な夜光効果及び安定性を有する。図6図8図10の夜光層40bは、図4の夜光層と同様に、マイクロカプセル夜光顆粒45を有する。
【0031】
図4に示すように、本発明では、夜光層40の背面(即ち、夜光層の中間層に結合した表面)に色彩層48が設けられてもよい。前記色彩層48は高分子材料、例えば、プラスチック又はゴムフィルムで作製され、染料(色料)で必要な色、例えば、青色、赤色、ピンク、緑色、黄色、又はこれらのうちの2種以上の混合色にされる。前記色彩層48は、本発明のすべての実施例の繊維に適用できる。これによって、夜光層は色を有する。
【0032】
夜光層40に着色する他の方法としては、染料(色料)と樹脂46とを混合して樹脂を染色することにより、色が付いた夜光層を作製することができる。これによって、昼間又は光線が十分なところで、夜光層40の外観は、前記染料が呈する色を有する。
【0033】
夜光層40は太陽光又は他の光源により照射されると、その夜光粒子42は、光を吸収してエネルギーをを蓄え、これによって、暗所又は低照度光源のところで、夜光粒子42は夜光を発することができる。
【0034】
昼間又は正常な光線下で、前記夜光層40は、前記色彩層48又は夜光層の染料の色を呈する。
【0035】
夜、無光線のところ又は暗所において、前記夜光層40の夜光粒子42は夜光を発する。前記夜光は、夜光粒子自体の光の色を呈する。例えば、前記夜光層40bが淡黄色夜光の夜光粒子で作製される場合、夜光層40は、淡黄色の夜光を発する。前記色彩層48又は夜光層中の染料は発光しないため、夜又は光源照度が足りないところにおいて、夜光層40の夜光は色彩層48又は染料に影響されない。本発明では、色彩層48を、夜光粒子を遮断しないように夜光粒子42の背面に設けるため、夜光粒子42が発する夜光に影響しない。
【0036】
本発明では、フィルム材を切断することにより前記機能性繊維10を製造し、前記繊維10を用いて織物を製造し、図14に示すように、以供製成具光反射効果及び夜光効果を有する服、靴、鞄(手提げ鞄、リュック)、袋(手提げ袋、背負い袋)、ベルト(革ベルト、織ベルト)などの衣類又は隨身物品の製造に使用する。本発明の繊維は、刺繍糸(例えば、服に模様を刺繍するための刺繍糸)又は服の縫糸として使用することもできる。
【0037】
図11は、図3の繊維を製造するためのフィルム材50を示す。前記フィルム材50は、中間層20、光反射層30及び夜光層40を有する。前記光反射層30は、結合層52により前記中間層20の一方の面、例えば、頂面に結合される。夜光層40は、結合層54により前記中間層20の他方の面、例えば、底面に結合される。前記結合層52、54は、バインダー、ホットメルト接着剤又は他の接着性材料であってもよい。前記夜光層40は、形状を固定(フィルム状に)してから結合層54により中間層20に結合する以外、前記結合層54を使用せず、液体として中間層20の一方の面に塗布することで中間層20に結合することもできる。同様に、前記光反射層も塗布により中間層に結合することができる。
【0038】
図12図13に示すように、前記フィルム材50は、長さが3000m以上であり、搬送装置60のロール62により切断装置70に搬送されて繊維10に切断される。前記切断装置70のカッター72によりフィルム材50を如何に切断するかは、本発明の要点ではないので、説明を省略する。
【0039】
図4から図10の繊維10の製造に用いるフィルム材については、図11のフィルム材50を参照することができる。つまり、繊維の断面構造は、フィルム材の断面構造と同じである。
【0040】
本発明の繊維10は、(光反射と夜光)2つの機能性表面を有するに加え、繊維を様々な色にすることができる。光反射層30及び夜光層40は、同じ色に調製することもできる。これによって、前記繊維10の2つの機能性表面は同じ色となる。
【0041】
本発明で作製された機能性繊維は、様々な織り技術により様々な織物に製造することができる。例えば、図14に示される織物80は、本発明の機能性繊維10で作成されるものである。このような繊維で作製された織物は、人が着る服飾、衣類、靴又は鞄(手提げ鞄、リュック)の製造に使用され得る。製成され得る服飾は、一般的な服、水着、スポーツウェア、リズミカルパンツ、Tシャツ、飾り帯などの様々な衣類を含む。
【0042】
本発明の機能性繊維を用いて作製された衣類、鞄、靴又は布地などの服飾は、それ自体光反射機能及び夜光機能を有する。本発明では、安全要素をファッションに融合することにより、人々はファッションな服飾を着ながら、安全性防護を確保することができる。前記服飾又は織物における一部の繊維が本発明の機能性繊維であれば、光反射機能及び夜光機能を兼ね備えることができる。
【0043】
本発明の繊維は、刺繍糸又は縫糸として使用することもできる。刺繍糸として使用される場合、服飾又は織物に模様を刺繍すれば、この模様は前記服飾又は織物の光反射部位及び夜光部位となる。縫糸として使用される場合、前記縫糸により服飾の縫い箇所で光反射及び夜光効果が得られる。
【0044】
本発明では、機能性繊維を提供することにより、光反射性と夜光性を兼ね備える繊維を製造できないという従来技術の問題が解決されるとともに、このような機能性繊維を用いて服飾を製造することで行動の安全性が向上する。
【符号の説明】
【0045】
10:(10a~10h)繊維
12:切断面
20:中間層
30:(30a~30g):光反射層
31:粘着層
32:マイクロガラスビーズ
33:色層
34:フィラー
35:色とフィラーの混合層
36:プリズム
38:反射層
40:(40a、40b):夜光層
42:夜光粒子
44:被覆層
45:マイクロカプセル夜光顆粒
46:樹脂
48:色彩層
50:フィルム材
52、54:結合層
60:搬送装置
62:ロール
70:切断装置
72:カッター
80:織物
B:繊維の幅
T:繊維の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14