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特許7156728海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法
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  • 特許-海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法 図1
  • 特許-海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法 図2
  • 特許-海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法 図3
  • 特許-海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20221012BHJP
   G01N 27/04 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
A23L17/60 103F
G01N27/04 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021085536
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505455417
【氏名又は名称】株式会社イツワ工業
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-073208(JP,A)
【文献】実開昭62-028161(JP,U)
【文献】実開昭56-080097(JP,U)
【文献】実開昭63-020792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
G01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔製造機で製造されたシート状の乾燥海苔の含水率を計測するための海苔用水分計測装置において、
乾燥海苔を搬送するためのコンベアの中途部に上下一対の電極板を昇降可能に設け、コンベアの停止時に電極板を昇降させ電極板で乾燥海苔を挟持して乾燥海苔をコンベアから上方に離し、コンベアから上方に離れた位置で乾燥海苔の含水率を計測することを特徴とする海苔用水分計測装置。
【請求項2】
海苔製造機で製造されたシート状の乾燥海苔の含水率を計測するための海苔用水分計測方法において、
乾燥海苔を搬送するためのコンベアを一時停止し、コンベアの中途部に設けられた上下一対の電極板を昇降させ、電極板で乾燥海苔を挟持して乾燥海苔をコンベアから上方に離し、コンベアから上方に離れた状態で乾燥海苔の含水率を計測することを特徴とする海苔用水分計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔製造機で製造されたシート状の乾燥海苔の含水率を計測するための海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、養殖した生海苔から所定形状の乾燥海苔を製造するために海苔製造機が用いられている。
【0003】
この海苔製造機では、搬送装置で海苔簀を搬送するとともに、抄製装置で海苔簀に海苔生地を抄製し、乾燥装置で海苔生地を乾燥させて乾燥海苔とし、剥離装置で海苔簀から乾燥海苔を剥離する。剥離装置で剥離された乾燥海苔は1枚ずつ海苔用水分計測装置で含水率を計測し、計測された含水率に基づいて乾燥装置を制御する。
【0004】
そして、従来の海苔用水分計測装置は、上下一対の転送ローラーで複数枚の乾燥海苔を転送するとともに、転送ローラーの表面に形成した電極層に電圧を印加し、上下の電極層の間で流れる通電量に基づいて1枚の乾燥海苔の含水率を計測するよう構成していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-73208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の海苔用水分計測装置では、上下一対の転送ローラーで乾燥海苔を転送しながら含水率を計測するようにしているために、乾燥海苔の移動に伴って計測値にばらつきが生じてしまい、乾燥海苔の含水率を正確に計測することができないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、海苔製造機で製造されたシート状の乾燥海苔の含水率を計測するための海苔用水分計測装置において、乾燥海苔を搬送するためのコンベアの中途部に上下一対の電極板を昇降可能に設け、コンベアの停止時に電極板を昇降させ電極板で乾燥海苔を挟持して乾燥海苔をコンベアから上方に離し、コンベアから上方に離れた位置で乾燥海苔の含水率を計測することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、海苔製造機で製造されたシート状の乾燥海苔の含水率を計測するための海苔用水分計測方法において、乾燥海苔を搬送するためのコンベアを一時停止し、コンベアの中途部に設けられた上下一対の電極板を昇降させ、電極板で乾燥海苔を挟持して乾燥海苔をコンベアから上方に離し、コンベアから上方に離れた状態で乾燥海苔の含水率を計測することにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、乾燥海苔を搬送するためのコンベアを一時停止し、コンベアの中途部に設けられた上下一対の電極板を昇降させ、電極板で乾燥海苔を挟持した状態で乾燥海苔の含水率を計測することにしているために、乾燥海苔の含水率を正確に計測することができる。
【0012】
特に、コンベアから離した位置で乾燥海苔を挟持して乾燥海苔の含水率を計測することにした場合には、乾燥海苔からコンベアへの漏電が無く、乾燥海苔の含水率をより一層正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】海苔製造機を示す平面説明図。
図2】海苔製造機を示す側面説明図。
図3】海苔用水分計測装置を示す平面図(a)、側面図(b)。
図4】同動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る海苔用水分計測装置及び海苔用水分計測方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、海苔用水分計測装置1は、海苔生地からシート状の乾燥海苔を製造するための海苔製造機2に連設されている。
【0016】
海苔製造機2は、内部に海苔簀を搬送するための搬送装置3を設けている。搬送装置3は、左右に並べた複数枚の海苔簀を着脱自在に取付けた簀枠を搬送するものであり、前側筺体4に設けた無端状の前側搬送機構5と後側筺体6に設けた無端状の後側搬送機構7とを連動させて駆動するようになっている。
【0017】
この搬送装置3は、前側搬送機構5の上部側において前側搬送機構5で左右に並べた複数枚の海苔簀を支持する簀枠を前方から後方に向けて搬送した後に、簀枠を前側搬送機構5の上部後端部から後側搬送機構7の上部前端部に受渡し、後側搬送機構7の上部側において簀枠を前方から後方に向けて搬送した後に後側搬送機構7の下部側において後方から前方に向けて搬送し、その後、簀枠を後側搬送機構7の下部前端部から前側搬送機構5の下部後端部に受渡し、前側搬送機構5の下部側において簀枠を後方から前方に向けて搬送するようにしている。これにより、搬送装置3は、前側搬送機構5の上部前方から上部後方、後側搬送機構7の上部前方から上部後方、同じく後側搬送機構7の下部後方から下部前方、前側搬送機構5の下部後方から下部前方に通じる簀枠(海苔簀)の搬送経路を形成している。
【0018】
また、海苔製造機2は、搬送装置3による簀枠の搬送経路に沿って抄製装置8、脱水装置9、乾燥装置10、剥離装置11、海苔簀洗浄装置12を順に配置し、これら搬送装置3、抄製装置8、脱水装置9、乾燥装置10、剥離装置11、海苔簀洗浄装置12を制御装置13で制御するようにしている。
【0019】
抄製装置8は、前側筺体4の上部前側に配置されており、生海苔と水分とを所定比率で混合した海苔生地を各海苔簀の上面に所定量供給して各海苔簀に海苔生地を所定形状に抄製するようにしている。
【0020】
脱水装置9は、前側筺体4の上部後側に配置されており、各海苔簀に抄製された海苔生地にスポンジ等を押圧して海苔生地の脱水を行うようにしている。
【0021】
乾燥装置10は、後側筺体6の側部に乾燥機14を配置しており、乾燥機14で発生した温風の熱によって各海苔簀に抄製された海苔生地を強制的に乾燥させて乾燥海苔とするようにしている。なお、乾燥装置10は、後述する海苔用水分計測装置1で計測された平均含水率に基づいて乾燥機14を制御装置13で制御して、所定温度及び所定湿度の熱風を乾燥機14から供給するようにしている。
【0022】
剥離装置11は、前側筺体4の下部後側に配置されており、乾燥装置10で乾燥させた乾燥海苔を各海苔簀から剥離して回収するようにしている。
【0023】
海苔簀洗浄装置12は、前側筺体4の下部前側に配置されており、各海苔簀の上下面を洗浄するものである。
【0024】
そして、海苔製造機2は、搬送装置3によって海苔簀を搬送経路に沿って連続して搬送していき、抄製装置8によって各海苔簀の上面に海苔生地を所定形状に抄製し、その後、脱水装置9によって海苔生地の脱水を行い、その後、乾燥装置10によって海苔生地を強制的に乾燥させて乾燥海苔とし、その後、剥離装置11によって各海苔簀から乾燥海苔を剥離して回収し、その後、海苔簀洗浄装置12によって各海苔簀を洗浄して再び抄製装置8に搬送し、これにより、海苔生地から乾燥海苔を連続して製造するようにしている。
【0025】
この海苔製造機2には、剥離装置11と選別機15との間に、乾燥海苔に含有される水分の割合(含水率)を計測するための海苔用水分計測装置1が接続されている。なお、海苔用水分計測装置1は、制御装置13で制御されている。これにより、海苔製造機2は、剥離装置11によって各海苔簀から剥離して回収した乾燥海苔の含水率を海苔用水分計測装置1で計測し、乾燥海苔の含水率が所定範囲よりも高い場合には、制御装置13で乾燥装置10の乾燥機14から噴出される温風の温度が高く(湿度が低く)なるように制御し、一方、乾燥海苔の含水率が所定範囲よりも低い場合には、制御装置13で乾燥装置10の乾燥機14から噴出される温風の温度が低く(湿度が高く)なるように制御するようにしている。なお、乾燥海苔の含水率の計測は、全ての乾燥海苔に対して行ってもよいが、一定時間経過(一定枚数)毎に行うのが好ましい。
【0026】
海苔用水分計測装置1は、図3に示すように、剥離装置11から送出された乾燥海苔16を1枚ずつ水平状態で選別機15に向けて搬送するためのコンベア17の中途部に計測器18を配置している。
【0027】
コンベア17は、前後に並べた駆動ローラー19と従動ローラー20との間に左右に間隔をあけて2本の無端状の搬送ベルト21,22を巻回している。そして、制御装置13によって駆動ローラー19を駆動制御することで、2本の搬送ベルト21,22の上部に載置された乾燥海苔16が搬送されるようになっている。
【0028】
計測器18は、上下一対の同一サイズの電極板23,24を搬送ベルト21,22を挟んで上下に水平に配置するとともに、各電極板23,24に昇降シリンダ25,26を取付けて、上下の電極板23,24を昇降可能としている。
【0029】
この計測器18は、上側の電極板23の下面及び下側の電極板24の上面が電極面となっており、上下の電極板23,24で乾燥海苔16を挟持した状態で、上下の電極板23,24の間に一定の電圧を印加し、その時に乾燥海苔16を介して上下の電極板23,24の間に流れる電流値を計測するようになっている。計測された電流値は、乾燥海苔16の含水率に対応している。
【0030】
海苔用水分計測装置1では、図4に示すように、制御装置13がセンサー等を用いて乾燥海苔16が所定位置までコンベア17で搬送されたことを検出すると、制御装置13がコンベア17の駆動を停止して乾燥海苔16を静止させる(図4(a))。
【0031】
その後、海苔用水分計測装置1では、制御装置13が上下の昇降シリンダ25,26を用いて上側の電極板23を下降させるとともに下側の電極板24を上昇させて、上下の電極板23,24で乾燥海苔16の中央部を挟持させる(図4(b))。その際に、下側の電極板24の上昇に伴って乾燥海苔16を搬送ベルト21,22から上方に離し、コンベア17の搬送ベルト21,22から離れた位置において上下の電極板23,24で乾燥海苔16が挟持されるようにしている。
【0032】
その後、海苔用水分計測装置1では、制御装置13が上下の電極板23,24の間に一定の電圧を印加し、その時に乾燥海苔16を介して上下の電極板23,24の間に流れる電流値を計測する。なお、計測された電流値は、乾燥海苔16の含水率に対応していることから、具体的な含水率を算出しなくても、予め求めた電流値と含水率との相関から電流値に基づいて制御装置13で乾燥装置10の乾燥機14を制御することができる。
【0033】
その後、海苔用水分計測装置1では、制御装置13が上下の昇降シリンダ25,26を用いて上側の電極板23を上昇させるとともに下側の電極板24を下降させて、乾燥海苔16を搬送ベルト21,22の上部に載置し、コンベア17の駆動を再開させる。
【0034】
以上に説明したように、上記海苔用水分計測装置1は、乾燥海苔16を搬送するためのコンベア17の中途部に上下一対の電極板23,24を昇降可能に設け、コンベア17の停止時に電極板23,24を昇降させて電極板23,24で乾燥海苔16を挟持して乾燥海苔16の含水率を計測する構成となっている。
【0035】
そのため、上記構成の海苔用水分計測装置1では、静止した状態で乾燥海苔16の含水率を計測することになり、乾燥海苔16の含水率を正確に計測することができる。
【0036】
また、上記海苔用水分計測装置1は、コンベア17(搬送ベルト21,22)から離した位置で乾燥海苔16を挟持して乾燥海苔16の含水率を計測する構成となっている。
【0037】
そのため、上記構成の海苔用水分計測装置1では、乾燥海苔16からコンベア17への漏電が無く、乾燥海苔16の含水率をより一層正確に計測することができる。
【0038】
また、上記海苔用水分計測方法は、乾燥海苔16を搬送するためのコンベア17を一時停止し、コンベア17の中途部に設けられた上下一対の電極板23,24を昇降させ、電極板23,24で乾燥海苔16を挟持した状態で乾燥海苔16の含水率を計測する構成となっている。
【0039】
そのため、上記構成の海苔用水分計測方法では、静止した状態で乾燥海苔16の含水率を計測することになり、乾燥海苔16の含水率を正確に計測することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 海苔用水分計測装置 2 海苔製造機
3 搬送装置 4 前側筺体
5 前側搬送機構 6 後側筺体
7 後側搬送機構 8 抄製装置
9 脱水装置 10 乾燥装置
11 剥離装置 12 海苔簀洗浄装置
13 制御装置 14 乾燥機
15 選別機 16 乾燥海苔
17 コンベア 18 計測器
19 駆動ローラー 20 従動ローラー
21,22 搬送ベルト 23,24 電極板
25,26 昇降シリンダ
【要約】
【課題】乾燥海苔の含水率を正確に計測することができる海苔用水分計測装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、海苔製造機(2)で製造されたシート状の乾燥海苔(16)の含水率を計測するための海苔用水分計測装置(1)において、乾燥海苔(16)を搬送するためのコンベア(17)の中途部に上下一対の電極板(23,24)を昇降可能に設け、コンベア(17)の停止時に電極板(23,24)を昇降させて電極板(23,24)で乾燥海苔(16)を挟持して乾燥海苔(16)の含水率を計測することにした。また、本発明では、前記コンベア(17)から離した位置で乾燥海苔(16)を挟持して乾燥海苔(16)の含水率を計測することにした。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4