(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、支援システム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20221012BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B1/045 622
(21)【出願番号】P 2022530288
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2021004163
【審査請求日】2022-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515075692
【氏名又は名称】リバーフィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100203987
【氏名又は名称】林 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】菅野 貴皓
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/081194(WO,A1)
【文献】特開2000-271147(JP,A)
【文献】特開2005-021354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおける前記第2システムが有する情報処理装置であって、
前記第1システムにおける第1の
アノテーション画像データの生成に必要とされる、操作入力に基づく描画情報を前記第1システムに送信するデータ送信部と、
前記描画情報から
第2のアノテーション画像データを生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された
前記第2のアノテーション画像データと、前記第1システムから受信した
受信画像データと、を合成する画像合成部と、を備え
、
前記描画情報は、前記第2のアノテーション画像データよりも通信容量が少なくされ、
前記画像合成部は、
前記受信画像データとして、前記第1システムにおいて前記描画情報から生成された前記第1のアノテーション画像データと入力された撮像画像データとを合成することで生成された合成画像データを受信し、
受信した前記合成画像データと前記第2のアノテーション画像データを合成する
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記合成画像データに含まれる
前記第1のアノテーション画像データと
は表示態様が異なる前記第2のアノテーション画像データを生成する
請求項1に
記載の情報処理装置。
【請求項3】
第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおける前記第1システムが有する情報処理装置であって、
操作入力に基づく描画情報を前記第2システムから受信し、受信した前記描画情報から
第1のアノテーション画像データを生成する画像生成部と、
入力された
撮像画像データと、前記画像生成部により生成された
前記第1のアノテーション画像データと、を合成
することで、前記第2システムにおいて前記描画情報から生成される前記第2のアノテーション画像データと合成するための合成画像データを生成する画像合成部と、
前記画像合成部により生成された前記合成画像データを前記第2システムに送信するデータ送信部と、を備え
、
前記描画情報は、前記第2のアノテーション画像データよりも通信容量が少なくされている
情報処理装置。
【請求項4】
前記画像合成部による、複数の画像データを入力してから前記合成画像データを出力するまでの遅延時間が30m秒未満とされる
請求項3に
記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおいて、
前記第2システムが有する情報処理装置は、
前記第1システムにおける第1の
アノテーション画像データの生成に必要とされる、操作入力に基づく描画情報を前記第1システムに送信する第2データ送信部と、
前記描画情報から
第2のアノテーション画像データを生成する第2画像生成部と、
前記第2画像生成部により生成された
前記第2のアノテーション画像データと、前記第1システムから受信した
受信画像データと、を合成する第2画像合成部と、を備え、
前記描画情報は、前記第2のアノテーション画像データよりも通信容量が少なくされ、
前記第2画像合成部は、
前記受信画像データとして、前記第1システムにおいて前記描画情報から生成された前記第1のアノテーション画像データと入力された撮像画像データとを合成することで生成された合成画像データを受信し、
受信した前記合成画像データと前記第2のアノテーション画像データを合成し、
前記第1システムが有する情報処理装置は、
前記第2システムから受信した前記描画情報から
前記第1のアノテーション画像データを生成する第1画像生成部と、
入力された前記撮像画像データと、前記第1画像生成部により生成された
前記第1のアノテーション画像データと、を合成して
前記合成画像データを生成する第1画像合成部と、
前記第1画像合成部により生成された前記合成画像データを前記第2システムに送信する第1データ送信部と、を備える
支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施術者に対して遠隔地から指導者が指導を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
施術者が、遠隔地にいる指導者の指示を受けながら患者に対して施術を行うことのできる支援システムが知られている。この支援システムは、例えば経験の少ない執刀医(施術者)が、経験豊かな指導医(指導者)の指導を受けながら手術を行うときなどに用いられる。
【0003】
特許文献1に開示された発明によれば、患者に挿入された内視鏡による撮像画像(以下、内視鏡撮像画像とも表記する。)を表示するモニタが遠隔地に設置され、遠隔地にいる指導医は当該モニタに表示された内視鏡撮像画像を観察しながら指示を入力することができる。そして手術室側のモニタには、内視鏡撮像画像に遠隔地で入力された指示内容を重畳した合成画像が表示され、執刀医は、遠隔地にいる指導医の指示を受けながら患者の手術を行うことができる。
【0004】
上述の支援システムによれば、経験の少ない施術者であっても、モニタに表示された撮像画像を指導者に観察してもらい指示を受けることで、患者に対して確実な施術を行うことができるとともに、施術者自身の技能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した内視鏡手術など施術対象(患者)の安全性が要求されるような分野においてこのような支援システムを採用する場合、手術中の施術者が患者の状態をリアルタイムで確認できるようにするため、指導者の指示内容を反映させた内視鏡撮像画像をできる限り低遅延で施術者側のモニタに表示させることが重要となる。
また、指導者側においても指示内容の入力を違和感なく行うために、入力を反映させた内視鏡撮像画像をできる限り低遅延で自身のモニタに表示させることが望ましい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遠隔地にいる指導者が施術者に適切な支援を行えるような支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおける前記第2システムが有する情報処理装置であって、アノテーション画像データの生成に必要とされる、操作入力に基づく描画情報を前記第1システムに送信するデータ送信部と、前記描画情報からアノテーション画像データを生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成されたアノテーション画像データと、前記第1システムから受信した画像データと、を合成する画像合成部と、を備え、前記描画情報は、前記第2のアノテーション画像データよりも通信容量が少なくされるものである。
【0008】
ここでのアノテーション画像データは、内視鏡撮像画像に重畳させる画像データであり、描画情報に基づいて生成された画像データである。
また描画情報とは、操作入力で指定された座標、線種、色彩、線幅などの情報のことをいう。
【0009】
上記の支援システムにおける前記第1システムでは、前記描画情報からアノテーション画像データが生成され、生成されたアノテーション画像データと、撮像画像データとを合成することで合成画像データが生成され、前記第2システムが有する情報処理装置において、前記画像合成部は、前記第1システムから受信した前記合成画像データと、前記画像生成部により生成されたアノテーション画像データと、を合成する。
【0010】
これにより、第1システムと第2システムのそれぞれにおいて、アノテーション画像データが生成される。
【0011】
また前記第1システムでは、前記描画情報からアノテーション画像データが生成され、生成されたアノテーション画像データを含む複数の画像データを合成することで合成画像データが生成され、上記第2システムが有する情報処理装置の前記画像合成部は、前記第1システムから受信した前記合成画像データと、前記画像生成部により生成されたアノテーション画像データと、を合成することが考えられる。
【0012】
これにより、第1システムから受信した合成画像データについて、第1システム側に送信した描画情報が反映されているか否かを第2システム側で確認可能となる。
【0013】
また上記第2システムが有する情報処理装置における前記画像生成部は、前記合成画像データに含まれるアノテーション画像データと区別できるようなアノテーション画像データを生成することが考えられる。
【0014】
これにより、合成画像データに含まれるアノテーション画像データに基づく表示と、画像生成部により生成されたアノテーション画像データに基づく表示と、を区別することができるようになり、第2システムでの入力に基づく描画情報を反映したアノテーション画像データが第1システム側で生成されているか否かを確認することができる。
【0015】
本発明に係る情報処理装置は、第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおける前記第1システムが有する情報処理装置であって、操作入力に基づく描画情報を前記第2システムから受信し、受信した前記描画情報から第1のアノテーション画像データを生成する画像生成部と、入力された画像データと、前記画像生成部により生成された前記第1のアノテーション画像データと、を合成することで、前記第2システムにおいて前記描画情報から生成される前記第2のアノテーション画像データと合成するための合成画像データを生成する画像合成部と、前記画像合成部により生成された前記合成画像データを前記第2システムに送信するデータ送信部と、を備え、前記描画情報は、前記第2のアノテーション画像データよりも通信容量が少なくされているものである。
【0016】
ここでは第1システム側で合成画像データを生成するにあたり、アノテーション画像データに代えて、当該アノテーション画像データよりも通信容量の少ない描画情報を第2システムから受信する。
【0017】
また上記の情報処理装置において、前記画像合成部による、複数の画像データを入力してから前記合成画像データを出力するまでの遅延時間が30m秒未満とされることが考えられる。
【0018】
これにより、入力された画像データに基づく表示が第1システム側のモニタ上で行われた際に、当該モニタを視認する施術者に遅延を感じさせない。
【0019】
本発明に係る支援システムは、上述の第1システムが有する情報処理装置と、第2システムが有する情報処理装置とを備える。前記の各情報処理装置が互いに通信を行うことで支援システムが実現される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、遠隔地にいる指導者の入力に基づく指示内容が、施術者側と指導者側の各モニタ上に極めて低遅延で表示されることで、施術者と指導者が当該指示内容をリアルタイムで共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態における支援システムの概要を示した図である。
【
図2】本実施の形態における内視鏡撮像画像を示した図である。
【
図3】本実施の形態における内視鏡撮像画像にアノテーション画像を重畳した合成画像を示す図である。
【
図4】本実施の形態における支援システムの構成の一例を模式的に示した図である。
【
図5】本実施の形態におけるアノテーション画像を示した図である。
【
図6】本実施の形態における内視鏡撮像画像にアノテーション画像を重畳した合成画像を示す図である。
【
図7】本実施の形態における内視鏡撮像画像にアノテーション画像を重畳した合成画像を示す図である。
【
図8】本実施の形態におけるアノテーション画像を示した図である。
【
図9】本実施の形態における内視鏡撮像画像にアノテーション画像を重畳した合成画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について
図1から
図9を参照して説明する。
なお、参照する図面に記載された各構成は、本発明を実現するための一例を示したものにすぎない。従って、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて様々な変更が可能である。また一度説明した構成については重複を避けるため、以降、同一符号を付して再度の説明を省略することがある。
【0023】
<1.支援システムの概要>
図1は、支援システム100を示している。
本実施の形態では、支援システム100の一例として、手術室Rm1にいる施術者1が、手術室Rm1と離隔した指導室Rm2にいる指導医2による指示を確認しながら患者3の手術を行うことのできる手術支援システムについて説明する。当該手術支援システムでは、例えば施術者1は患者3の執刀医であり、指導者2は当該執刀医を指導する指導医である。
【0024】
例えば患者3の体腔内に内視鏡11が挿入されることで、
図2に示すような体腔内の内視鏡撮像画像30がモニタ14に表示される。施術者1は、モニタ14で内視鏡撮像画像30を確認することができる。
【0025】
内視鏡撮像画像30は、指導室Rm2にある指導端末26のモニタ25にも表示される。指導者2は、指導室Rm2にいながらモニタ25により内視鏡撮像画像30を確認することができる。
【0026】
指導端末26は例えばタッチパネル27を有するタブレット端末であり、指導者2は、指やタッチペンなどによりタッチパネル27を操作することで内視鏡撮像画像30上に指示内容を入力することができる。
【0027】
当該入力により、
図3に示すような指導者2の指示内容を示すアノテーション画像41,42が内視鏡撮像画像30に重畳された合成画像50がモニタ14に表示される。施術者1は、モニタ14に表示された指導者2の指示を確認しながら患者3に対する施術を行うことができる。
【0028】
<2.支援システムの構成>
次に支援システム100の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、支援システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
支援システム100は、手術室Rm1側で構成される施術側システム10と、指導室Rm2側で構成される指導側システム20とを有している。施術側システム10と指導側システム20は互いに離隔し、有線又は無線の伝送路により通信可能とされている。
【0030】
施術側システム10は、内視鏡11、画像生成部12、画像合成部13、モニタ14、及びデータ送信部15を有している。
【0031】
内視鏡11は撮像素子を有し、当該撮像素子で得られた撮像画像信号がそれぞれA/D変換され、画素単位で所定階調による輝度値を表す内視鏡撮像画像データId(
図2に示すような内視鏡撮像画像30を表示するための画像データをいう。)に変換される。
【0032】
画像生成部12は、例えば画像プロセッサ等により構成され、指導側システム20から送信されてきた描画情報PIに基づいてアノテーション画像データAd1を生成する。
ここで描画情報PIは、操作入力で指定された座標、線種、色彩、線幅などの情報を含んでいる。
またアノテーション画像データAd1は、内視鏡撮像画像30に重畳させるための
図5に示すアノテーション画像41,42のような画像データであり、描画情報PIに基づいて生成される。これは後述するアノテーション画像データAd2についても同様である。
【0033】
画像合成部13は、例えばハードウェアにより構成されるビデオミキサ装置やFPGA(Field Programmable Gate Array)などで実装した専用回路により実現され、入力された各種画像データを合成する。本例では画像合成部13において内視鏡撮像画像データIdとアノテーション画像データAd1が合成され、施術側合成画像データCd1が生成される。
【0034】
モニタ14は、例えば液晶ディスプレイ装置などにより構成され、供給された画像データに基づいて表示パネルに画像を表示する。本例では、供給された内視鏡撮像画像データIdや施術側合成画像データCd1に基づく表示がモニタ14上で行われる。
【0035】
データ送信部15は、例えば指導側システム20と通信可能に構成され、各種データを指導側システム20に送信することができる。本例では特に画像合成部13から得た内視鏡撮像画像データIdや施術側合成画像データCd1を送信する。
【0036】
続いて指導側システム20について説明する。
指導側システム20は、アノテーションインタフェース21、データ送信部22、画像生成部23、画像合成部24、及びモニタ25を有している。当該各構成は、例えば指導端末26として一体に構成される。
【0037】
アノテーションインタフェース21は、例えばタッチパネル、タッチパッド、マウス、キーボードなどの入力機器と、それらの入力機器への操作入力に応じて描画情報PIを生成するプロセッサ等により構成される。本実施の形態では、例えば指導者2が指やタッチペンなどで
図1のタッチパネル27を操作することによりアノテーションインタフェース21への入力が行われる。
【0038】
データ送信部22は、例えば施術側システム10と通信可能に構成され、各種データを施術側システム10に送信することができる。本例では特にアノテーションインタフェース21で得た描画情報PIを送信する。
【0039】
画像生成部23は、例えば画像プロセッサ等により構成され、描画情報PIからアノテーション画像データAd2を生成する。
【0040】
画像合成部24は、例えばハードウェアとしてのビデオミキサ装置や情報処理装置において構成されるソフトウェアミキサにより実現され、供給された各種画像データを合成する。本例では、画像合成部24により、内視鏡撮像画像データIdや施術側合成画像データCd1にアノテーション画像データAd2が合成されることで、指導側合成画像データCd2が生成される。
【0041】
モニタ25は、例えば液晶ディスプレイ装置などにより構成され、供給された画像データに基づいて表示パネルに画像を表示する。本例では例えば指導側合成画像データCd2に基づく表示が行われる。
【0042】
なお、上記の各システム(10,20)の一例として、画像生成部12,23、画像合成部13,24、データ送信部15,22はハードウェアにより構成されることが考えられるが、各機能部の構成は上記に限られない。例えば、各機能部の全部又は一部が、一又は複数のハードウェア機器により実現されてもよい。
また、例えば各機能部にいずれかがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。この場合、ROMなどに格納されたソフトウェアとしてのプログラムに基づく処理をCPUが実行することで、各機能を実現することができる。
【0043】
<3.支援システムの詳細>
本実施の形態における支援システム100の詳細について
図4を参照して説明する。
まず施術側システム10において、内視鏡11により得られた内視鏡撮像画像データIdが画像合成部13に供給される。
【0044】
画像合成部13は、アノテーション画像データAd1が画像生成部12から供給されていない場合、内視鏡撮像画像データIdをモニタ14及びデータ送信部15に供給する。
【0045】
モニタ14に内視鏡撮像画像データIdが供給されることで、モニタ14に内視鏡撮像画像30が表示される(
図2参照)。これにより、施術者1は、モニタ14で患者3の体腔内部の状態を観察しながら施術を行うことができる。
【0046】
またデータ送信部15は、画像合成部13から供給された内視鏡撮像画像データIdを指導側システム20に送信する。
【0047】
指導側システム20において、画像合成部24は施術側システム10(データ送信部15)から内視鏡撮像画像データIdを受信する。
画像合成部24は、アノテーション画像データAd2が画像生成部23から供給されていない場合、内視鏡撮像画像データIdをモニタ25に供給する。
【0048】
内視鏡撮像画像データIdが供給されることで、モニタ25に内視鏡撮像画像30が表示される(
図2参照)。これにより、指導者2は、指導室Rm2にいながら手術室Rm1にいる施術者1と視点を共有することができるとともに、患者3の体腔内部の状態や施術者1による施術の状況を観察することができる。
【0049】
指導者2は、モニタ25に表示された内視鏡撮像画像30を観察しながらタッチパネル27等の入力機器を操作することで、施術者1に対する指示内容を示す図形、文字、記号などを内視鏡撮像画像30上に入力する。
【0050】
アノテーションインタフェース21では、タッチパネル27への操作入力に応じた描画情報PIが生成される。アノテーションインタフェース21で得られた描画情報PIは、画像生成部23及びデータ送信部22に供給される。
【0051】
データ送信部22は、アノテーションインタフェース21から得られた描画情報PIを施術側システム10に送信する。
施術側システム10への送信にあたり、画像生成部23により生成されるアノテーション画像データAd2よりも通信容量の少ない描画情報PIを送信することで、指導側システム20から施術側システム10にデータを送信する際の通信遅延が軽減される。
【0052】
施術側システム10において、画像生成部12は指導側システム20(データ送信部22)から描画情報PIを受信する。画像生成部12は、当該受信した描画情報PIからアノテーション画像41,42(
図5参照)を表示させるためのアノテーション画像データAd1を生成する。
画像生成部12で生成されたアノテーション画像データAd1は、画像合成部13に供給される。
【0053】
画像合成部13は、内視鏡11から供給された内視鏡撮像画像データIdと、画像生成部12から供給されたアノテーション画像データAd1と、を合成して施術側合成画像データCd1を生成する。施術側合成画像データCd1は、内視鏡撮像画像30(
図2参照)にアノテーション画像41,42(
図5参照)が重畳された合成画像50(
図3参照)を表示させるための画像データである。
【0054】
ここで画像合成部13は、ハードウェアによるビデオミキサ装置で構成されているため、内視鏡撮像画像データIdとアノテーション画像データAd1が入力されてから、施術側合成画像データCd1を出力するまでの遅延時間が極めて短い。
【0055】
なお、ハードウェアによるビデオミキサ装置に代えて、演算能力の高いプロセッサにより画像合成部13を実現することもできる。当該プロセッサがプログラムにより規定された合成処理を実行することで、ハードウェアによるビデオミキサ装置と遜色ない処理速度、例えば入力から出力までの遅延時間が30m秒未満となるような処理速度を実現できる。このような場合であれば、画像合成部13をソフトウェアミキサとして実現してもよい。
【0056】
上記の処理速度により合成処理が迅速に行われることで、当該合成処理により生成された施術側合成画像データCd1が遅滞なくモニタ14に供給され、モニタ14においてタイムラグの少ない表示が行われる。
【0057】
これにより、手術室Rm1にいる施術者1は、タイムラグを感じることなく、指導室Rm2にいる指導者2の指示をモニタ14上で確認しながら患者3に対する施術を行うことができる。
【0058】
特に画像合成部13がハードウェアによるビデオミキサ装置であること、もしくは極めて処理速度の速いプロセッサを用いたソフトウェアミキサ装置であって、上記のように遅延時間が30m秒未満であれば、施術者1が画像に対してタイムラグを感じることが殆どないものとすることができる。
【0059】
データ送信部15は、画像合成部13から供給された施術側合成画像データCd1を指導側システム20に送信する。
【0060】
一方、指導側システム20では、画像生成部23が、アノテーションインタフェース21から得られた描画情報PIに基づいて、アノテーション画像41,42(
図5参照)を表示させるためのアノテーション画像データAd2を生成している。画像生成部23で得られたアノテーション画像データAd2は、画像合成部24に供給される。
【0061】
画像合成部24は、施術側システム10(データ送信部15)から受信した施術側合成画像データCd1と、画像生成部23から供給されたアノテーション画像データAd2と、を合成して指導側合成画像データCd2を生成する。生成された指導側合成画像データCd2は、モニタ25に供給される。
【0062】
また施術側合成画像データCd1に代えて内視鏡撮像画像データIdを施術側システム10から受信した場合、画像合成部24は、内視鏡撮像画像データIdとアノテーション画像データAd2と、を合成して指導側合成画像データCd2を生成する。このとき生成された指導側合成画像データCd2は、上記と同様モニタ25に供給される。
【0063】
上記の何れの場合においても指導側合成画像データCd2の生成にあたりアノテーション画像データAd2が合成されるため、モニタ25上には、内視鏡撮像画像30(
図2参照)にアノテーション画像41,42(
図5参照)が重畳された合成画像50(
図3参照)が表示される。
【0064】
このように、指導側システム20で指導側合成画像データCd2を生成することで、送信した描画情報PIに基づいて施術側システム10上で指導側合成画像データCd2を生成するとした場合よりも、遅延なく指導側合成画像データCd2をモニタ25に供給することができる。
【0065】
これにより、モニタ25上で、タッチパネル27の操作入力を行っている指導者2にストレスを感じさせない画像表示を行うことができる。
【0066】
また特に、アノテーション画像データAd1を合成した施術側合成画像データCd1に、さらにアノテーション画像データAd2を合成して指導側合成画像データCd2を生成することで、指導者2は、施術側合成画像データCd1とアノテーション画像データAd2のそれぞれに基づいて表示されるアノテーション画像41,42にずれがないかをモニタ25上で確認することができる。
ずれが生じた場合、指導者2は、例えば
図6で示すようなアノテーション画像41,42のずれをモニタ25上で確認することができる。
【0067】
ここで表示内容の確認という点を考えると、画像生成部23は、アノテーション画像データAd2を、画像生成部12が生成するアノテーション画像データAd1と異なる表示態様となるような画像データとして生成するとよい。
例えば、
図7に示すようにアノテーション画像データAd2に基づくアノテーション画像41,42を破線で表示させることで、施術側合成画像データCd1に含まれるアノテーション画像データAd1に基づくアノテーション画像42の表示(実線)と区別してモニタ25上に表示させることができる。
なお、
図7で破線が実線に沿う部分は、説明の便宜上そのように表記してあるが、実際には互いに重なっている部分である。
【0068】
上述のように、アノテーション画像データAd1によるアノテーション画像41,42とアノテーション画像データAd2によるアノテーション画像41,42を両方表示させ、確認できるようにするのは、次のような意味がある。
【0069】
指導側システム20から送信された描画情報PIは、例えば通信障害などの要因により施術側システム10で受信する際にその一部が欠損したり、或いは各システム(10,20)間での設定やモニタ14,25の解像度の違いなどが未調整で、アノテーション画像41,42等の表示座標がずれてしまったりすることなどが起こり得る。
この場合、モニタ25には表示座標のずれにより
図6のような画像が表示されることがある。
【0070】
また情報の一部が欠損した場合、施術側システム10の画像生成部12では、本来であれば、受信した描画情報PIに基づいて
図5に示すようなアノテーション画像41,42を表示するためのアノテーション画像データAd1が生成されるはずであるが、描画情報PIの一部の欠損により、
図8に示すようなアノテーション画像42のみしか表示されないアノテーション画像データAd1(以下、欠損アノテーション画像データAd1とも表記する。)が生成されてしまうことがある。
【0071】
このとき、画像合成部13では、画像生成部12により生成された欠損アノテーション画像データAd1と、内視鏡撮像画像データIdとが合成され、
図9に示すような内視鏡撮像画像30にアノテーション画像42のみを重畳した合成画像51を表示するための施術側合成画像データCd1が生成される。
【0072】
これによりモニタ14には、供給された施術側合成画像データCd1に基づいてアノテーション画像41が欠如した合成画像51が表示されることになる。このような状態では、指導者2の入力がモニタ14に正確に反映されず、施術者1は指導者2の指示の全てを把握できない状態で施術を行うことになる。
【0073】
一方、指導側システム20では、施術側システム10から受信した施術側合成画像データCd1と、画像生成部23で生成されたアノテーション画像41,42を表示するためのアノテーション画像データAd2とが合成されることになるので、施術側合成画像データCd1のアノテーション画像データAd1が欠損しているか否かに関わらず、合成画像50(
図5参照)を表示するための指導側合成画像データCd2が生成される。
【0074】
これにより、モニタ25では指導側合成画像データCd2に基づく合成画像50が表示されることになるため、指導者2が、施術者1側のモニタ14の表示においてアノテーション画像41が欠如していることを確認することができない。
指導者2が施術者1側のモニタ14の表示状況を確認するためには、アノテーション画像データAd1,Ad2に基づく画像を異なる態様で表示させることが望ましい。
【0075】
そこで画像生成部23は、描画情報PIに基づいて、アノテーション画像41,42を例えば破線で表示させるためのアノテーション画像データAd2を生成する。
また画像合成部24は、画像生成部23から供給されたアノテーション画像データAd2と、施術側システム10から受信した施術側合成画像データCd1とを合成し、指導側合成画像データCd2を生成する。
【0076】
当該生成された指導側合成画像データCd2がモニタ25に供給されることで、モニタ25上に
図7に示すような合成画像52が表示される。
これにより、指導者2は、破線のみで表示されたアノテーション画像41の部分が、施術側システム10のモニタ14に表示されていないことを確認することができる。
つまり、指導者2はモニタ25上で、自身の指示内容と、施術者1の見ているモニタ14の内容を容易に比較できる。
【0077】
以上により、指導者2は指導側合成画像データCd2に基づく画像を見ることで、アノテーション画像データAd1,Ad2に基づく画像の両方をみることができ、自分の指示が施術者1に正しく伝わっているか否かが確認できる。もし画像による指示が正しく伝わっていないことを認識できれば、指導者2は必要な対処をとることができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、指導側合成画像データCd2におけるアノテーション画像データAd1とアノテーション画像データAd2とを区別するための表示態様の例として、破線と実線により区別を行うこととしたが、表示態様は、アノテーション画像データAd1,Ad2のそれぞれを区別できるものであればこれに限られず、線幅等の線種や、色彩、輝度などを異ならせることで区別することができる。また、何れかをハイライト表示することで区別することもできる。
また、画像生成部23により生成されたアノテーション画像データAd2のうち、アノテーション画像データAd1と一致しない部分を区別して表示することも考えられる。
【0079】
<4.まとめ及び変形例>
上述した本実施の形態によれば、支援システム100は、第1システム(施術側システム10)と、施術側システム10から離隔した第2システム(指導側システム20)とを有する。
【0080】
このうち指導側システム20が有する情報処理装置は、データ送信部22、画像生成部23、及び画像合成部24を有している(
図4参照)。
データ送信部22は、アノテーション画像データAd1の生成に必要とされる、操作入力に基づく描画情報PIを施術側システム10に送信する。また画像生成部23は、描画情報PIからアノテーション画像データAd2を生成する。さらに画像合成部24は、画像生成部23により生成されたアノテーション画像データAd2と、施術側システム10から受信した施術側合成画像データCd1(又は内視鏡撮像画像データId)と、を合成する。
【0081】
指導側システム20で、アノテーション画像データAd2を生成し、生成したアノテーション画像データAd2と施術側合成画像データCd1(又は内視鏡撮像画像データId)とを合成して指導側合成画像データCd2を生成することで、施術側システム10で生成したものを受信するよりも迅速に指導側合成画像データCd2を取得することができる。
【0082】
従って、指導者2は、自身が入力した図形等を通信遅延等の影響を受けることなくモニタ25上で確認することができる。よって、指導者2は快適かつ正確に入力を行うことができるため、施術者1に対して適切な指示を行うことができる。
【0083】
また本実施の形態によれば、指導側システム20の画像生成部23は、施術側合成画像データCd1に含まれるアノテーション画像データAd1と区別できるようなアノテーション画像データAd2を生成する。
【0084】
これにより、アノテーション画像データAd1に基づく表示と、アノテーション画像データAd2に基づく表示と、を区別することができるようになり、指導側システム20での入力に基づく描画情報PIを反映したアノテーション画像データAd1が施術側システム10で生成されているかを確認することができる(
図7参照)。
【0085】
従って、指導者2がモニタ25を見ることで、自身の指示内容が施術者1の見ているモニタ14上に適切に表示されているか否かを容易に確認することができる。
【0086】
また本実施の形態によれば、施術側システム10が有する情報処理装置は、画像生成部12、画像合成部13、及びデータ送信部15を有している(
図4参照)。
画像生成部12は、操作入力に基づく描画情報PIを指導側システム20から受信し、受信した描画情報PIからアノテーション画像データAd1を生成する。また画像合成部13は、入力された画像データ(内視鏡撮像画像データId)及び画像生成部12により生成されたアノテーション画像データAd1を合成して施術側合成画像データCd1を生成する。さらにデータ送信部15は、画像合成部13により生成された施術側合成画像データCd1(又は内視鏡撮像画像データId)を指導側システム20に送信する。
【0087】
ここでは施術側システム10で施術側合成画像データCd1を生成するにあたり、アノテーション画像データAd2に代えて、アノテーション画像データAd2よりも通信容量の少ない描画情報PIを指導側システム20から受信する。
【0088】
これにより、指導側システム20から施術側システム10にデータを送信する際の通信遅延が軽減され、施術側システム10で描画情報PIに基づくアノテーション画像データAd1を遅延なく生成することができる。
【0089】
従って、指導者2による指示をモニタ14上に遅延なく表示することが可能となり、施術者1が指導者2からの指示を即座に確認することができる。すなわち、施術者1が患者3に対してより安全な施術を行うことができる。
なお、本実施の形態では、画像合成部13に入力される画像データを内視鏡撮像画像データIdとする例について説明したが、当該入力される画像データは、内視鏡11から供給される内視鏡撮像画像データIdのような撮像画像データに限られず、メモリに記録され、当該メモリから読み出すことで取得される画像データや、外部のコンピュータ装置などから受信する画像データなど多様に考えられる。
【0090】
また本実施の形態において、画像生成部12による、内視鏡撮像画像データIdとアノテーション画像データAd1を入力してから施術側合成画像データCd1を出力するまでの遅延時間が30m秒未満とされることが望ましい。
【0091】
これにより、施術者1は、モニタ14上で合成画像50等を低遅延で視認することができるため、指導者2の指示を確認しつつ、正確かつ安全な施術を患者3に対して行うことができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、支援システム100の一例として、施術者1が遠隔地にいる指導者2の指示を受けながら患者3に対して施術を行うことのできる手術支援システムについて説明したが、支援システム100は、遠隔地にいる指導者2が、施術側の撮像画像を視認しながら施術者1に対して指示を行う状況に幅広く適用することが可能である。
例えば、スポーツ指導における選手と監督、教育や職業訓練などの学習支援における講師と受講者、リモート会議における発表者と傍聴者など、様々な用途に支援システム100を適用できる。
【0093】
また、本実施の形態では、
図1に示すような内視鏡11により撮像を行う例について説明したが、撮像機器は、施術者1側の施術を撮像することができるものであればよく、内視鏡11に限られることはない。
【0094】
また本実施の形態では、
図1の指導端末26の一例としてタッチパネルを有するタブレット端末について説明したが、指導端末26は、例えば操作入力用のマウス、キーボード等を有するPC(Personal Computer)、ヘッドマウントディスプレイと操作入力用のリモートコントローラとを有するVR(Virtual Reality)、手術ロボット用のマスタコンソールなど、様々な機器により実現することができる。
【0095】
最後に、本開示に記載された実施の形態はあくまでも例示であり、本発明が上述の実施の形態に限定されることはない。また実施の形態で説明されている構成の組み合わせの全てが課題の解決に必須であるとは限らない。さらに本開示に記載された効果はあくまでも例示であり限定されるものではなく、他の効果を奏するものであってもよいし、本開示に記載された効果の一部を奏するものであってもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 施術者
2 指導者
3 患者
10 施術側システム
11 内視鏡
12 画像生成部
13 画像合成部
14 モニタ
15 データ送信部
20 指導側システム
21 アノテーションインタフェース
22 データ送信部
23 画像生成部
24 画像合成部
25 モニタ
100 支援システム
Ad1,Ad2 アノテーション画像データ
PI 描画情報
Id 内視鏡撮像画像データ
Cd1 施術側合成画像データ
Cd2 指導側合成画像データ
Rm1 手術室
Rm2 指導室
【要約】
本発明に係る情報処理装置は、第1システムと、前記第1システムから離隔した第2システムとを有する支援システムにおける前記第2システムが有する情報処理装置であって、アノテーション画像データの生成に必要とされる、操作入力に基づく描画情報を前記第1システムに送信するデータ送信部と、前記描画情報からアノテーション画像データを生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成されたアノテーション画像データと、前記第1システムから受信した画像データと、を合成する画像合成部と、を備えるものである。