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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】包装用平袋およびその積層体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/10 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
B65D30/10 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021019464
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022019514
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2020122620
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 靖
(72)【発明者】
【氏名】大野 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 竜二
(72)【発明者】
【氏名】松原 求
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-167829(JP,U)
【文献】特開2017-047951(JP,A)
【文献】登録実用新案第3021770(JP,U)
【文献】特開2004-073723(JP,A)
【文献】特開2006-082841(JP,A)
【文献】特開2009-166888(JP,A)
【文献】特開昭62-092836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0134702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された袋本体の左右両側を内側に折り込んでサイドガゼットを形成すると共に袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなる包装用平袋であって、袋本体の上端側に上端開口部と上方に突出する突出片とが形成され、前記突出片と袋本体の上端付近との間に突出片と袋本体とを分離する引裂き線が形成されてなる包装用平袋が、多数枚重ね合わされて包装用平袋の積層体が構成され、前記突出片の重ね合わせ部において前記引裂き線よりも上側に加熱手段により穴をあけることにより突出片同士を溶着してなり、前記引裂き線は、スリットと連結部とから構成され、前記連結部の長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成され、スリットが2つ形成され、各スリットの左右両側に連結部がそれぞれ形成され、左右の連結部は突出片の立ち上がり部とスリットとの間に位置し、真ん中の連結部は2つのスリットの間に位置する包装用平袋積層体。
【請求項2】
筒状に形成された袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなる包装用平袋であって、袋本体の上端側に上端開口部と上方に突出する突出片とが形成され、前記突出片と袋本体の上端付近との間に突出片と袋本体とを分離する引裂き線が形成されてなる包装用平袋が、多数枚重ね合わされて包装用平袋の積層体が構成され、前記突出片の重ね合わせ部において前記引裂き線よりも上側に加熱手段により穴をあけることにより突出片同士を溶着してなり、前記引裂き線は、スリットと連結部とから構成され、前記連結部の長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成され、スリットが2つ形成され、各スリットの左右両側に連結部がそれぞれ形成され、左右の連結部は突出片の立ち上がり部とスリットとの間に位置し、真ん中の連結部は2つのスリットの間に位置する包装用平袋積層体。
【請求項3】
連結部の長さとスリットの長さの比が3:7~1:9に設定されている請求項1または2に記載の包装用平袋積層体。
【請求項4】
袋本体は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)のいずれか一または二以上を配合したもの、さらには、前記高密度ポリエチレン(HDPE)と炭酸カルシウムとを配合したもののいずれかを含み、前記ポリエチレン(PE)系フィルムの厚みは0.004mm~0.05mm、ポリプロピレン(PP)系フィルムの厚みは0.01mm~0.05mmである請求項1~3のいずれかに記載の包装用平袋積層体。
【請求項5】
袋本体の下部において、左右両側端から底部に向けて斜めシールを付与することにより底ガゼットが形成されてなる請求項1~4のいずれかに記載の包装用平袋積層体。
【請求項6】
筒状に形成された袋本体の左右両側を内側に折り込んでサイドガゼットを形成すると共に袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなる包装用平袋であって、袋本体の上端側に上端開口部と上方に突出する突出片とが形成され、前記突出片と袋本体の上端付近との間に突出片と袋本体とを分離する引裂き線が形成され、前記引裂き線よりも上側に包装用平袋を係止するための係止用穴が形成され、前記引裂き線は、スリットと連結部とから構成され、前記連結部の長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成され、スリットが2つ形成され、各スリットの左右両側に連結部がそれぞれ形成され、左右の連結部は突出片の立ち上がり部とスリットとの間に位置し、真ん中の連結部は2つのスリットの間に位置する包装用平袋。
【請求項7】
筒状に形成された袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなる包装用平袋であって、袋本体の上端側に上端開口部と上方に突出する突出片とが形成され、前記突出片と袋本体の上端付近との間に突出片と袋本体とを分離する引裂き線が形成され、前記引裂き線よりも上側に包装用平袋を係止するための係止用穴が形成され、前記引裂き線は、スリットと連結部とから構成され、前記連結部の長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成され、各スリットの左右両側に連結部がそれぞれ形成され、左右の連結部は突出片の立ち上がり部とスリットとの間に位置し、真ん中の連結部は2つのスリットの間に位置する包装用平袋。
【請求項8】
連結部の長さとスリットの長さの比が3:7~1:9に設定されている請求項6または7に記載の包装用平袋。
【請求項9】
袋本体は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)のいずれか一または二以上を配合したフィルム、さらには、前記高密度ポリエチレン(HDPE)と炭酸カルシウムとを配合したフィルムのいずれかを含み、前記ポリエチレン(PE)系のフィルムの厚みは0.004mm~0.05mm、ポリプロピレン(PP)系のフィルムの厚みは0.01mm~0.05mmである請求項6~8のいずれかに記載の包装用平袋。
【請求項10】
袋本体の下部において、左右両側端から底部に向けて斜めシールを付与することにより底ガゼットが形成されてなる請求項6~9のいずれかに記載の包装用平袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される商品を包装するための包装用平袋およびその積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、商品の包装用に薄手の合成樹脂製の包装用袋が提供されている。この種の包装用袋は、ケース入りのティッシュと同様にケース内に一枚一枚ばらばらにした状態で収納され、袋をケース内から取り出して商品の包装の用に供するようにしている。
【0003】
しかし、この態様では、袋が一枚、一枚ばらけてしまい使い勝手が悪いばかりか、平袋の上端開口部を開口するとき、指先をお手拭きなどで濡らして表裏のフィルムを前後左右にずらすようにして開口しているが、これでは開口作業が煩雑となり、さらに、不特定多数の使用者が使うお手拭きを用いて指先を濡らすと、衛生上においても好ましいものではない。
【0004】
また、平袋を連続してミシン目により切り離し可能にロール状にしたものをロール保持台に保持し、平袋の先端を引き出しながら、ボトム部分のミシン目で切り離して使用する態様のものも提供されている。
【0005】
しかし、この態様では、専用の保持台を使用するため、その設置場所の確保が課題となるばかりか、上記と同様に、開口部の開口作業が煩雑となり、かつ、衛生上においても好ましいものではない。
【0006】
特許文献1には、長手方向両側端部を二つ折にした筒状の樹脂製フィルムに、コロナ放電処理を施し、ボトム側を密封シールし、上端側を開口状態とした包装用袋を多数枚重ねて束とし、これらの包装用袋の端部近傍に打ち抜き手段により同時に複数個所に穴をあけて、これらの穴により、包装用袋を一体的に束にし、この束から包装用袋を一枚ずつ取り出すようにした袋の積層体が開示されている。この特許文献1には、包装用袋の開口部側に突出部を設け、この突出部に包装用袋の束を差し込む穴や突出部を袋本体から分離する切込みを設けた構成も開示されている。
【0007】
そして、特許文献1の特徴的な構成は、コロナ放電処理による粘着力の効果で、包装用袋を一枚ずつ剥がすとき、剥がした一枚目の包装用袋に二枚目の包装用袋を粘着させ、二枚目の包装用袋の開口が自然に開く構成が開示されている。これにより、二枚目の包装用袋の開口が容易に開口して簡単に商品を収納することができるようになる。
【0008】
また、特許文献2には、手提げ部付きのごみ袋が開示されており、その開口部の中央に舌片が形成され、この舌片に複数枚の袋を一体に結合する結合要素として、加熱した棒を重層された複数枚の袋に貫通させて結合穴を形成し、棒の周囲のシートを溶融して複数枚の袋を一体に結合して袋集合体を形成する構成が開示されている。また、舌片には、袋本体と分離する分離用としてミシン目または弱め線が使用されることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-262531号公報
【文献】特開2013-86860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1では、薄手の合成樹脂製包装用袋の開口部の開口をコロナ放電処理による粘着力の効果で、2番目の包装用袋を開口した状態で束に残るようにしているが、この場合、包装用袋が自然に開口した状態となり、次の使用者が使用するときに既に開口した状態であるから、衛生上好ましいものとは言えない。
【0011】
また、特許文献2では、厚手のゴミ袋を重ねて使用し、内側から一枚ずつ剥ぎ取って使用するものであり、一枚ずつ分離して商品を収納する包装用平袋の態様として活用できるものではない。
【0012】
本発明は、上記に鑑み、スーパーマーケットなどで、個別に包装用平袋に商品を収納するのに便利な包装用平袋及びその積層体の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の包装用平袋は、筒状に形成された袋本体の左右両側を内側に折り込んでサイドガゼットを形成すると共に袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなるサイドガゼット付きの平袋あるいは筒状に形成された袋本体のボトムをヒートシールして底シール部を形成してなるサイドガゼット無しの平袋であって、袋本体の上端側に上端開口部と上方に突出する突出片とが形成され、前記突出片と袋本体の上端付近との間に突出片と袋本体とを分離する引裂き線が形成されてなる包装用平袋が、多数枚重ね合わされて包装用平袋の積層体が構成されている。そして、前記突出片の重ね合わせ部において前記引裂き線よりも上側に加熱手段により穴をあけることにより突出片同士を溶着してなり、前記引裂き線は、スリットと連結部とから構成され、前記連結部の長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成されている。
【0014】
引裂き線は、ミシン目などにより形成されるが、通常のミシン目の連結部とスリットとの長さ比率に比べて、連結部の長さを大幅に短く形成することで、袋本体を突出片から分離しやすくすると共に、開口部も開口しやすくなる。引裂き線は、2つのスリットと左右の連結部および両スリットの間の連結部とから構成され、連結部の長さとスリットの長さの比を3:7~1:9に設定するのが好ましく、これにより、袋本体を突出片から分離しやすく、かつ開口部も開口しやすくなる。そして、スリットが2つ形成され、各スリットの左右両側に連結部がそれぞれ形成され、左右の連結部は突出片の立ち上がり部とスリットとの間に位置し、真ん中の連結部は2つのスリットの間に位置する。これにより、スムーズに左右両側の連結部を引き裂くことができ、出っ張りの少ないきれいな裂け目が得られる。
【0015】
また、袋本体は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)のいずれか一または二以上を配合したフィルム、さらには、前記高密度ポリエチレン(HDPE)と炭酸カルシウムとを配合したフィルムのいずれかを含み、前記ポリエチレン(PE)系フィルムの厚みは0.004mm~0.05mm、ポリプロピレン(PP)系のフィルムの厚みは0.01mm~0.05mmであるのが好ましく、薄手の包装用平袋でもサイドガゼットの存在により表裏のフィルムをフィルムの面方向にずらして開口部を開放しやすくしている。
【0016】
また、袋本体の下部において、左右両側端から底部に向けて斜めシールを付与することで、底ガゼットを形成し、商品を安定して収納することができるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、スリットと連結部との長さの比率を連結部が大幅に少なくなるようにしているので、平袋を束から切り取る際に突出片から分離しやすく、かつ平袋の上端開口部も開口しやすくなり、自らの開放操作で上端開口部を開口するので衛生的である。そして、サイドガゼット付きの平袋であるので、薄手の包装用袋であるにも関わらず、左右両側の折り込み用のサイドガゼットにより表裏のフィルム間に間隙ができやすくなり、容易にフィルム同士を左右前後にずらして上端開口部を開口しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態である包装用平袋積層体の使用状態を示す斜視図である。
図2】同じく突出片から切り離したサイドガゼット付きの包装用平袋の斜視図である。
図3】同じく突出片を有するサイドガゼット付きの包装用平袋の正面図である。
図4】突出片と袋本体との間の引裂き線の拡大図である。
図5】底ガゼットを有する他の実施形態を示す正面図である。
図6】突出片の他の実施態様を示す正面図で、(a)左右一対の突出片を有する態様、(b)は半円形の突出片を有する態様、(c)は台形状の突出片を有する態様、(d)は台形状の突出片で引裂き線が突出片の下部に位置する態様を示す。
図7】第2の実施形態であるサイドガゼット無しの包装用平袋積層体の使用状態を示す斜視図である。
図8】同じく突出片から切り離したサイドガゼット無しの包装用平袋の斜視図である。
図9】同じく突出片を有するサイドガゼット無し包装用平袋の正面図である。
図10】突出片と袋本体との間の引裂き線の拡大図である。
図11】底ガゼットを有する他の実施形態を示す正面図である。
図12】突出片の他の実施態様を示す正面図で、(a)左右一対の突出片を有する態様、(b)は半円形の突出片を有する態様、(c)は台形状の突出片を有する態様、(d)は台形状の突出片で引裂き線が突出片の下部に位置する態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1~3に示すように、第1の実施形態の包装用平袋1は、インフレーション加工により筒状に形成された袋本体2の左右両側を内側に折り込んでサイドガゼット3を形成すると共に袋本体2のボトムがヒートシールされて底シール部4が形成されている。
【0020】
袋本体2の上端側は打ち抜き加工して上端開口部5と上方に突出する矩形の突出片6とが形成されている。突出片6と袋本体2の上端付近との間に突出片6と袋本体2とを分離する引裂き線7が形成されている。
【0021】
このような包装用平袋1が多数枚重ね合わされて包装用平袋1の積層体10が構成されている。そして、前記突出片6の重ね合わせ部において引裂き線7よりも上側に、加熱された棒状部材(図示略)などの加熱手段により穴11をあけることにより穴周囲が溶融し突出片6同士を溶着し、包装用平袋1の束がバラバラに分離しないような積層体10が構成される。この穴11は突出片同士を溶着する機能とともに、重ね合わされた積層体を棒状の掛止部材13(図1参照)に貫通保持させる機能を有する。重ね合わせる包装用平袋1の枚数は特に限定されるものではなく、使用状況に応じて、2枚~500枚程度、好ましくは50枚~300枚、さらに好ましくは50枚~100枚程度の積層体10とすることができる。
【0022】
前記引裂き線7は、図4に示すように、複数のスリット7aと複数の連結部7bとから構成される。連結部7bの長さBはスリット7aの長さAに比べて大幅に短く形成されている。同じ長さのスリット7aが2つ形成され、各スリット7aの左右に連結部7bがそれぞれ形成される。スリット7aは上部開口縁の延長線上に位置し、左右の連結部7bは突出片6の立ち上がり部とスリット7aとの間に位置し、真ん中の連結部7bは2つのスリット7aの間に位置する。左右の連結部7bおよび真ん中の連結部7bの長さは同じである。また、突出片6の立ち上がり部の左右方向の長さは、袋本体2の上部開口縁の長さに比べて小とされる。すなわち、突出片6の立ち上がり部の左右方向の長さと袋本体2の上部開口縁の長さの比は1:8とされる。
【0023】
この引裂き線7は、ミシン目などにより形成されるが、通常のミシン目の連結部7bとスリット7aとの長さの比率B:Aに比べて、連結部7bの長さBを大幅に短く形成することで、袋本体2を突出片6から分離しやすくすると共に、上端開口部5も開口しやすくなる。連結部7bの長さBは、連結部7bの長さBとスリット7aの長さAの比を3:7~1:9に設定するのが好ましく、さらに好ましくは2:8が最適である。これにより、袋本体2を突出片6から分離しやすく、かつ上端開口部5も開口しやすくなる。引裂き線7は、図4に示す直線状のものに限らず、曲線状(例えば、波形状や円弧状)のものであってもよい。したがって、スリット7aの形状も直線状や曲線状を問わず適用することができる。
【0024】
また、袋本体2は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)のいずれか一または二以上を配合したフィルム、さらには、前記高密度ポリエチレン(HDPE)と炭酸カルシウムとを配合したフィルムのいずれかを含み、前記ポリエチレン(PE)系フィルムの厚みは0.004mm~0.05mm、好ましく0.004mm~0.03mm、さらには好ましくは0.004mm~0.02mm程度である。ポリプロピレン(PP)系のフィルムの厚みは0.01mm~0.05mmであるのが好ましく、好ましく0.01mm~0.03mm、さらには好ましくは0.01mm~0.02mm程度である。薄手の包装用平袋1でもサイドガゼット3の存在により、つまり左右両側が4枚のフィルムの重ね構成となり、中央部が2枚のフィルムの重ね構成となるため、その枚数の差異により表裏のフィルムをフィルムの面方向にずらして開口部5を開放しやすくしている。
【0025】
このサイドガゼット付きの包装用平袋1の製造方法について説明する。例えば、インフレーション成形により筒状に形成された合成樹脂製フィルムの左右両側を内側に折り込んでサイドガゼット3を形成すると共に、袋本体2のボトム側をヒートシールして底シール部4を形成し、この底シール部4で切断して袋本体2を形成する。それと連続して袋本体2の上端側を上端開口部5と上方に突出する突出片6とを打ち抜き加工により形成し、さらに、この突出片6と袋本体2の上端付近との間に突出片6と袋本体2とを分離する引裂き線7を形成する。
【0026】
上記のように成形された袋本体2を多数枚重ねて、突出片6の重ね合わせ部の引裂き線7よりも上側に、加熱された棒状部材(図示略)を押し当て積層体10を貫通させて穴11を形成し、この穴11の溶融により突出片6同士を溶着し、包装用平袋1の束がバラバラに分離しないような積層体10を形成する。
【0027】
使用時には、積層体10の突出片6の穴11を掛止部材13に係止して使用する。このとき、袋本体2を下方に引っ張ると、突出片6を掛止部材13に残して引き裂かれ、図2に示すようなサイドガゼット3付きの平袋1を得ることができる。
【0028】
この際、サイドガゼット3付きの平袋1であるので、薄手の包装用平袋であるにも関わらず、左右両側の折り込み用のサイドガゼット3により表裏のフィルム間に間隙ができやすくなり、容易にフィルム同士を前後左右にずらして上端開口部5を開口しやすくすることができる。また、引裂き線7のスリット7aと連結部7bとの長さの比率が、連結部7bが大幅に少なくなるように設定されているので、平袋1を積層体10の束から切り取る際に突出片6から分離しやすく、かつ平袋1の上端開口部5も開口しやすくなり、上端開口部5の開口操作も衛生的である。
しかも、突出片6は袋本体2の上部開口縁に比べて幅狭く形成されているので、袋本体2を引っ張ったとき、突出片6に力が集中しやすくなる。2つのスリット7aが開くことにより、まず2つのスリット7aの間の連結部7bが裂けて、スムーズに左右両側の連結部7bを引き裂くことができ、出っ張りの少ないきれいな裂け目が得られる。
【0029】
次に、第2の実施形態のサイドガゼット無しの包装用平袋1を図7~9に示す。インフレーション加工により筒状に形成された袋本体2の左右両側が折り畳まれ、袋本体2のボトムがヒートシールされて底シール部4が形成されている。
【0030】
袋本体2の上端側は打ち抜き加工して上端開口部5と上方に突出する矩形の突出片6とが形成されている。突出片6と袋本体2の上端付近との間に突出片6と袋本体2とを分離する引裂き線7が形成されている。前記引裂き線7は、図4に示すように、スリット7aと該スリット7a間に介在される連結部7bとから構成される。
【0031】
このような包装用平袋1が多数枚重ね合わされて包装用平袋1の積層体10が構成されている。そして、前記突出片6の重ね合わせ部において引裂き線7よりも上側に、加熱された棒状部材(図示略)などの加熱手段により穴11をあけることにより穴周囲が溶融し突出片6同士を溶着し、包装用平袋1の束がバラバラに分離しないような積層体10が構成される。この穴11は突出片同士を溶着する機能とともに、重ね合わされた積層体を棒状の掛止部材13(図7参照)に貫通保持させる機能を有する。その他の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0032】
このサイドガゼット無しの包装用平袋の製造方法について説明する。例えば、インフレーション成形により筒状に形成された合成樹脂製フィルムのボトム側をヒートシールして底シール部4を形成し、この底シール部4で切断して袋本体2を形成する。それと連続して袋本体2の上端側を上端開口部5と上方に突出する突出片6とを打ち抜き加工により形成し、さらに、この突出片6と袋本体2の上端付近との間に突出片6と袋本体2とを分離する引裂き線7を形成する。
【0033】
上記のように成形された袋本体2を多数枚重ねて、突出片6の重ね合わせ部の引裂き線7よりも上側に、加熱された棒状部材(図示略)を押し当て積層体10を貫通させて穴11を形成し、この穴11の溶融により突出片6同士を溶着し、包装用平袋1の束がバラバラに分離しないような積層体10を形成する。
【0034】
使用時には、積層体10の突出片6の穴11を掛止部材13に係止して使用する。このとき、袋本体2を下方に引っ張ると、引裂き線7により突出片6を掛止部材13に残して切断され、サイドガゼット無しの平袋1を得ることができる。
【0035】
この際、引裂き線7のスリット7aと連結部7bとの長さの比率が、連結部7bが大幅に少なくなるように設定されているので、平袋1を積層体10の束から切り取る際に突出片6から容易に分離しやすくなる。しかも、袋本体の左右方向の中央が引っ張られて、突出片6が引き裂かれるので、引き裂かれた後の上端開口縁に隙間ができ、平袋1の上端開口部5が開口しやすくなり、上端開口部5の開口操作も衛生的である。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態の変形例として、図5、11に示すように、袋本体の下部において、左右両側端から底部に向けて斜めのヒートシール部14を形成することで、底ガゼット15を形成することもできる。この底ガゼット15により、袋底部を広く開放することができ、商品を安定して収納することができるようになる。
【0037】
また、突出片6の形状や個数も上記実施形態に限定されるものではなく、図6、12に示す種々の態様を採用することができる。同図(a)は左右一対の突出片6を有する態様、同図(b)は中央に半円形の突出片6を有する態様、同図(c)は中央に台形状の突出片6を有する態様、同図(d)は台形状の突出片6で引裂き線7が上部開口端よりも上側で突出片6の下部に位置する態様を示す。いずれの場合も、引裂き線7のスリット7aと連結部7bの間隔は上記実施形態と同様である。
引裂き線7の構成も上記実施形態に限定されるものではなく、2つのスリット7aを近づけた形態にしてもよい。すなわち、真ん中の連結部7bの長さを左右の連結部7bの長さよりも短くして、2つのスリット7aの間隔を狭くする。これにより、1本の長いスリット7aが形成されたようになり、軽い力で袋本体2を引っ張っても、容易に袋本体2を突出片6から分離することができる。
【0038】
また、上記実施形態では、包装用平袋1を多数枚重ね合わせた積層体10について説明したが、1枚ものの包装用平袋であってもよいことは勿論である。すなわち、包装用平袋1は、筒状に形成された袋本体2の左右両側を内側に折り込んでサイドガゼット3を形成すると共に袋本体2のボトムをヒートシールして底シール部4を形成したサイドガゼット付きの平袋、あるいは筒状に形成された袋本体2のボトムをヒートシールして底シール部4を形成したサイドガゼット無しの平袋であって、袋本体2の上端側に上端開口部5と上方に突出する突出片6とが形成され、前記突出片6と袋本体2の上端付近との間に突出片6と袋本体2とを分離する引裂き線7が形成され、前記引裂き線7よりも上側に包装用平袋を係止するための係止用穴11が形成され、前記引裂き線7は、スリット7aと連結部7bとから構成され、前記連結部7bの長さがスリットの長さに比べて大幅に短く形成され、連結部の長さとスリットの長さの比が3:7~1:9に設定されている。この構成においても上記実施形態と同様の素材フィルムおよびフィルム厚みを採用することができる。
【0039】
なお、包装用平袋1の袋本体2の成形はインフレーション加工に限らず、シート状のフィルムを折り返して背面側で合掌貼して形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 包装用平袋
2 袋本体
3 サイドガゼット
4 底シール部
5 上端開口部
6 突出片
7 引裂き線
7a スリット
7b 連結部
10 積層体
11 穴
13 掛止部材
14 斜めのヒートシール部
15 底ガゼット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12