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特許7156783金融資産ファンドを管理するためのコンピュータベースのシステムおよびコンピュータにより実行される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】金融資産ファンドを管理するためのコンピュータベースのシステムおよびコンピュータにより実行される方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20221012BHJP
【FI】
G06Q40/06
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017179604
(22)【出願日】2017-09-19
(65)【公開番号】P2018085100
(43)【公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】16110971.4
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(73)【特許権者】
【識別番号】517329535
【氏名又は名称】プリヴェ サービシズ リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シリンガ、ジュリアン モリツ
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-296564(JP,A)
【文献】特開2014-063297(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントデバイスを用いて複数の投資家の代わりに金融資産ファンドを管理するためのコンピュータベースのシステムであって、前記システムはファンドサーバシステムのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
複数のクライアントデバイスから入力データを受信し、前記クライアントデバイス入力データは、前記金融資産ファンドのファンドポートフォリオにおける各クライアントの現在の金融資産保有の評価に対するリクエストを有し、
ファンドサーバシステムデータベースから前記金融資産ファンドの前記ファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムのデータを受信し、
1または複数の市場情報データベースから前記ファンドポートフォリオにおける前記金融資産保有および市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムの市場データを受信し、
前記受信したクライアントデータ、前記ファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定する前記データ、および、前記市場データを処理し、(i)売るべき資産に対する売り注文、および、前記売り注文が約定される場合に前記受信した市場データに基づいて予測される価値と、(ii)買うべき資産に対する買い注文、および、前記受信した市場データに基づいて予測されるコストとを画定するデータを生成し、
約定のためにコンピュータベースのブローカーシステムへ前記売り注文を提出し、
約定された売り注文に対して実現された価値に関するデータを前記ブローカーシステムから受信し、
前記ブローカーシステムまたは前記1または複数の市場情報データベースから新たなリアルタイムの市場データを受信し、
前記売り注文の約定から予測される前記価値と前記実現された価値との間の差異を画定するデータを生成し、
前記価値の差異データおよび前記新たな市場データを使用して、事前に計算した前記買い注文を調整し、
約定のために前記ブローカーシステムへ前記調整された買い注文を提出し、
新たに購入した資産を画定するデータを前記ブローカーシステムから受信し、
新たに購入した資産を画定する前記受信したデータを、前記ファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて前記ファンドサーバシステムデータベースにおける前記金融資産保有を更新し、
前記金融資産ファンドでの各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータをそれぞれのクライアントデバイスに送信し、前記金融資産ファンド中に保有されるものと同一の更新された資産保有を、それぞれのクライアントの投資額に比例して前記クライアントの投資家アカウント中に複製する、
コンピュータベースのシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、クライアントリクエストに応答して、リアルタイムの市場データに基づいた、前記金融資産ファンドにおける前記クライアントの所有財産のリアルタイムの評価へのアクセスを提供する、請求項1に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項3】
前記クライアントは、前記クライアントの投資家アカウント中に比例して複製された前記更新された資産保有を直接所有する者として指定される、請求項1または請求項2に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項4】
前記ファンドサーバシステムの前記プロセッサは、
前記ファンドサーバシステムデータベースから複数の金融資産ファンドの各ポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムのデータを受信し、
前記1または複数の市場情報データベースから複数の前記ファンドポートフォリオにおける前記金融資産保有および前記市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムの市場データを受信し、
前記受信したクライアント入力データ、前記複数のファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定する前記データ、および、前記市場データを処理し、前記売り注文および前記買い注文を画定するデータを生成し、その後、
新たに購入した資産を画定する前記受信したデータから、前記新たに購入した資産のうちのどの部分が、前記複数のファンドポートフォリオのどれに属するのかを決定し、
前記新たに購入した資産の前記部分を前記複数のファンドポートフォリオのそれぞれに割り当て、
それぞれのファンドポートフォリオに対し、前記新たに購入した資産の前記部分を、前記複数のファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて前記ファンドサーバシステムデータベースにおける前記金融資産保有を更新し、
それぞれのクライアントデバイスが各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータを生成し、前記複数のファンドポートフォリオ中に保有されるものと同一の更新された資産保有を、それぞれのクライアントの投資額に比例して前記クライアントのアカウント中に複製し、
クライアントリクエストに応答して、前記リアルタイムの市場データに基づいた、前記複数のファンドポートフォリオにおける前記クライアントの所有財産のリアルタイムの評価へのアクセスを提供する、
請求項1に記載のコンピュータベースのシステム。
【請求項5】
クライアントデバイスを用いて複数の投資家の代わりに金融資産ファンドを管理するためのコンピュータにより実行される方法であって、
複数のクライアントデバイスから入力データを受信する段階であって、前記クライアントデバイス入力データは、前記金融資産ファンドのファンドポートフォリオにおける各クライアントの現在の金融資産保有の評価に対するリクエストを有する、段階と、
ファンドサーバシステムデータベースから前記金融資産ファンドの前記ファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムのデータを受信する段階と、
1または複数の市場情報データベースから前記ファンドポートフォリオにおける前記金融資産保有および市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムの市場データを受信する段階と、
前記受信したクライアントデータ、前記ファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定する前記データ、および、前記市場データを処理し、(i)売るべき資産に対する売り注文、および、それらの注文が約定される場合に前記受信した市場データに基づいて予測される価値と、(ii)買うべき資産に対する買い注文、および、前記受信した市場データに基づいて予測されるコストとを画定するデータを生成する段階と、
約定のためにコンピュータベースのブローカーシステムへ前記売り注文を提出する段階と、
約定された売り注文に対して実現された価値に関するデータを前記ブローカーシステムから受信する段階と、
前記ブローカーシステムまたは前記1または複数の市場情報データベースから新たなリアルタイムの市場データを受信する段階と、
前記売り注文の約定から予測される前記価値と前記実現された価値との間の差異を画定するデータを生成する段階と、
前記価値の差異データおよび前記新たな市場データを使用して、事前に計算した前記買い注文を調整する段階と、
約定のために前記ブローカーシステムへ前記調整された買い注文を提出する段階と、
新たに購入した資産を画定するデータを前記ブローカーシステムから受信する段階と、
新たに購入した資産を画定する前記受信したデータを、前記ファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて前記ファンドサーバシステムデータベースにおける前記金融資産保有を更新する段階と、
前記金融資産ファンドでの各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータをそれぞれのクライアントデバイスに送信し、前記金融資産ファンド中に保有されるものと同一の更新された資産保有を、それぞれのクライアントの投資額に比例して前記クライアントのアカウント中に複製する段階と、
を備える、コンピュータに実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1または複数のクライアント投資家の代わりに1または複数の仮想ファンドにおいて金融資産を取得するために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムのポートフォリオおよび評価データへのアクセスを少なくとも向上させる形で、それらのクライアント投資家達に対する1または複数のクライアントポートフォリオを管理するための、コンピュータ実装されるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミューチュアルファンドとは、多くのクライアント投資家達からのお金をプールし、そのお金を、株(株式)、債券、短期金融資産、その他の証券もしくは資産など、または、これらの資産およびその他の資産の任意の組み合わせのような金融資産に投資する企業のことである。ミューチュアルファンドによって所有されるそのような金融資産の組み合わされた所有財産は、そのファンドポートフォリオまたは投資ポートフォリオとして知られている。ファンドポートフォリオは、典型的には、認可されたまたは登録された投資アドバイザー達のチームによって管理される。投資アドバイザー達は、通常、予め定められた投資目論見書または投資戦略に従って、ファンドポートフォリオへの、およびファンドポートフォリオからの、金融資産の売買を管理する。
【0003】
ミューチュアルファンド企業は、その投資家達に対し、彼らの投資額に比例して、ミューチュアルファンド株またはユニットを発行する。従って、ある投資家によって保有されるミューチュアルファンド株またはユニットは、このファンドの所有財産およびこの所有財産により生じるあらゆる収益に対する、その投資家による比例した所有権を表す。しかし、ファンドポートフォリオを含む実際の金融資産のその比例分または任意の比例分を、その投資家が直接に所有するものではない。実際の資産は、ミューチュアルファンド企業によって所有される。ミューチュアルファンド企業は、投資家達の投資額に比例して、ミューチュアルファンド株またはユニットとして、各投資家に価値を戻す。結果として、投資家は、ファンド企業自体から直接に、またはブローカーを通して、ミューチュアルファンド株またはユニットを購入する。ファンドの株またはユニットに対して投資家が支払う価格は、ファンドの「一株当たりの純資産価値」(NAV)に、購入時にファンド企業またはブローカーが課す任意の株主手数料を加えた額である。従って、投資家は、たとえブローカーを用いる場合であっても、この投資家がそのファンドに株またはユニットを保有するミューチュアルファンド企業と、1対1の関係を有する。
【0004】
ミューチュアルファンド株またはユニットは償還可能である。つまり、あらゆる投資家が、ファンドまたはファンドの代理をしているブローカーに自身の株またはユニットを売り戻すことができることを意味する。従って投資家は、自身のファンド株またはユニットを、償還に適用される任意の手数料および/またはチャージを差し引いた、ファンドの現在のNAVで償還することができる。
【0005】
例えば、ある投資家が個人的に1または複数の企業の株を購入する場合と比べて投資家達が多様な形で投資できることのように、複数のミューチュアルファンドが多くの利益を投資家達に対して提供するものの、ミューチュアルファンドの構造および運営に固有な、多数の技術的なデータアクセスの問題および処理の問題が存在する。そのようなデータアクセスの問題の1つは、通常、投資家達がファンドのポートフォリオの正確な構成を確認できないことである。これは、ファンドがその投資戦略を全うしているか否かに関する投資家達の理解を妨げかねない。また、ファンドがどの金融資産を購入もしくは売却するかに対して、または、そのような取引のタイミングに対して、投資家達が直接に影響を及ぼすこともできない。さらなるデータアクセスの問題は、例えば金融ウェブサイトまたはブローカーシステムウェブサイトにアクセスすることによって通常は比較的容易にリアルタイムまたはほぼリアルタイムにアクセスされ得る個々の企業の株価とは対照的に、ミューチュアルファンドの投資家はファンドの株またはユニットをファンドのNAVで購入または償還するのに、投資家が購入または償還を申し込んでから数時間からそれ以上にわたって、ファンドがNAVを計算しないかもしれない。多くの管轄域において、ミューチュアルファンドは、市場が閉じた後に、1日に1回だけ自身のNAVを計算するように要求されている。この比較的ゆるい要件は、ファンドのNAVを計算するために必要なデータを取得および処理することの複雑さの現実的な現れである。より厳しい時間スケールでNAVを計算するためのいかなる要件も、ミューチュアルファンドのコンピュータベースの管理システムにおける、金融資産を購入および/または売却するための注文を実行する際に効率よく取引するための能力、および、ファンドの戦略的要件にかなうようにそのような取引を調整するための能力を低下させるだろう。いずれにしても、株価の価値データがほとんど瞬間的に利用可能であるのとは対照的に、あるミューチュアルファンドに対して新たに計算されるNAVは、通常、毎秒毎秒、毎分毎分、または、毎時間毎時間でさえも利用可能ではない。ミューチュアルファンドに対するNAVデータへのリアルタイムまたはほぼリアルタイムなアクセスの欠如は、特に、金融市場に混乱がある場合に、投資家達に不安を引き起こす。これはまた、何時間も遅れたものでありかねないNAVによって引き起こされる不安のため、ファンド自体の投資効率を悪化させる。
【0006】
従って、複数の投資家に対し、ミューチュアルファンドの運営をある程度まで模倣する1または複数の仮想ファンドにおいて、それら投資家達の代わりに金融資産を取得するために複数のクライアントポートフォリオを一元的に管理するためのシステムおよび方法でありながらも、上述のデータアクセスおよび処理の問題、ファンドおよび結果としてその投資家達に対する取引のリスクおよびコスト、並びに、ファンドの資産購入/売却およびそのような資産購入/売却のタイミングに対して投資家達が影響を及ぼすことができない、ということのうちの1または複数を克服または緩和するシステムおよび方法に対する必要性が存在する。
【0007】
[発明の目的]
本発明の目的は、改善されたクライアントポートフォリオ管理システムおよび方法を提供することである。本発明の別の目的は、既知のミューチュアルファンド管理システムおよび方法と関連した1または複数の問題をある程度まで緩和または克服すること、もしくは、有用な代替手段を少なくとも提供することである。上述の目的は、主となる請求項の特徴の組み合わせにより達成される。従属する請求項は、さらなる有益な本発明の複数の実施形態を開示する。当業者は、以下の説明から、本発明の他の目的を導き出すだろう。従って、目的についての上記の記述は、網羅的ではなく、単に本発明の多くの目的のうちのいくつかを示す役割を果たすものである。
【発明の概要】
【0008】
第1の主たる態様において、本発明は、クライアントデバイスを用いて複数の投資家の代わりに複数の金融資産を管理するためのコンピュータベースのシステムおよび方法を提供する。このシステムは、複数のクライアントデバイスから入力データを受信するように構成されたプロセッサを含む。クライアントデバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または、クライアントがそれによって自身の金融資産投資を管理し得るグラフィカルユーザインタフェースへのアクセスを提供するその他任意の適切なクライアントデバイスを含んでよい。本発明のシステムは、適切に使用可能とされるあらゆる電子的処理デバイスに対して適切なグラフィカルユーザインタフェースを提供し、そのクライアントデバイスが通信ネットワーク上で本発明のシステムと相互作用することを可能にする。クライアントデバイスのためのグラフィカルユーザインタフェースへの容易で信頼性のあるアクセスを提供すべく、本発明のシステムは、好ましくはインターネットのようなコンピュータネットワークを通じて通信する、コンピュータベースのシステムである。
【0009】
システムプロセッサは、コンピュータベースのシステムによって管理される複数の金融資産仮想ファンドのそれぞれのポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するデータであって、リアルタイムまたはほぼリアルタイム、すなわち、リアルタイムに近いデータを受信するようにもまた構成される、サーバベースのプロセッサであってよい。このプロセッサは、好ましくは、複数の仮想ファンドポートフォリオにおける金融資産保有、および市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信するように構成される。そのように、プロセッサは、受信したクライアント入力データ、複数の仮想ファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するデータ、および、市場データを処理して、(i)売るべき資産に対する売り注文、および、そのような注文が約定された場合に、受信した市場データに基づいて予測される価値と、(ii)買うべき資産に対する買い注文、および受信した市場データに基づいて予測されるコストとを画定するデータを生成するように構成されてよい。
【0010】
プロセッサは、約定のためにコンピュータベースのブローカーシステムなどに対してこの売り注文を提出し、その後、約定された売り注文に対して実現した価値に関するデータをブローカーシステムから受信するように構成されてよい。プロセッサは、この時点で、新たなリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信し、これに応じて、売り注文の約定から予測される価値と実際に実現した価値との間の差異を画定するデータを生成するようにもまた構成されてよい。価値の差異データの生成は、外国為替レートデータを含んでよい。これは、1つの通貨が別の通貨に交換される、外国為替現物注文を含み得る。このような通貨交換は、通常、様々な通貨で証券が売却/購入される場合に必要である。プロセッサは、価値の差異データおよび新たな市場データを使用して、事前に計算した買い注文を調整し、その後、約定のためにブローカーシステムに対して調整された買い注文を提出するように構成されてよい。これに応じて、プロセッサは、新たに購入した資産を画定するデータをブローカーから受信し、この受信したデータから、新たに購入した資産のうちのどの部分が、複数の仮想ファンドポートフォリオのどれに属するかを決定するように構成されてよい。このシステムは、複数の仮想ファンドポートフォリオの内容を合計した「全体」のポートフォリオを運用してよい。このシステムによる1または複数のポートフォリオへの資産の統合は、管理の問題である。重要なことは、どの資産が、複数の仮想ファンドのうちのどの1つを介して、どの投資家達に属するのかをこのシステムが追跡することである。
【0011】
このプロセッサは、好ましくは、新たに購入した資産のうちのこれらの部分をそれぞれの仮想ファンドポートフォリオに割り当て、新たに購入した資産のこれらの部分を、これらの仮想ファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて、ポートフォリオ保有財産を更新するように構成される。
【0012】
このプロセッサは、それぞれのクライアントデバイスが各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータを生成し、これら複数の仮想ファンドポートフォリオに保有されるものと同一の更新された資産保有を、それぞれの仮想ファンドに対する各クライアントの投資額に比例して、そのクライアントアカウント中に複製するように構成されてよい。そのように、金融資産は、複数の仮想ファンドポートフォリオに保有され、複数のファンドの投資マネージャ達によって管理されるが、実際の資産は、投資家達の投資額に比例してこれらの投資家達によって直接所有され、彼らのそれぞれのクライアントポートフォリオに保有される。これは、クライアント投資家達のそれぞれのクライアントポートフォリオに保有された金融資産に関する彼らによる直接の所有権を形成するが、そこでは、複数の仮想ファンドとして金融資産が一元的に管理される。1つの技術的利点は、複数の仮想ファンドのうちの1または複数におけるある投資家の所有財産(クライアントのポートフォリオ)のあらゆる時点での評価が、その投資家によって所有される資産の市場価値に直接リンクされること、さらに、その投資家が、本発明のシステムを含む多数の市場データソースのうちの任意のものを通じてリアルタイムまたはほぼリアルタイムの価値データへアクセスして、その資産の評価を取得できることである。従って、たまにしか計算されないNAVに対して価値が結び付けられているミューチュアルファンドとは対照的に、本発明の構成は、仮想ファンドベースの投資手段を提供しながらも、仮想ファンドの内在する資産に対する投資家達による直接の所有権、および、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの評価データへのアクセスを伴う。
【0013】
また、さらなる技術的利点は、やはりミューチュアルファンドとは対照的に、仮想ファンドの資産保有を示すリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータに投資家達がアクセスできることである。
【0014】
またさらなる技術的利点は、ファンド投資マネージャ達が、仮想ファンドの所有財産の全体の評価を、やはりリアルタイムなデータに基づいて、はるかに容易に、且つより単純な計算によって決定できることである。
【0015】
このシステムは、代替的なファンド管理システムと比べて、仮想ファンドが、計算に関して効率的な方式で一元的に管理されることを可能にする。
【0016】
本発明の別の態様において、クライアントデバイスを用いて複数の投資家の代わりに仮想金融資産ファンドを管理するためのコンピュータベースのシステムおよび方法が提供される。このシステムは、複数のクライアントデバイスから入力データを受信し、仮想金融資産ファンドのポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータを受信し、受信したクライアントデバイス入力データに応答して、このポートフォリオにおける金融資産保有のバランスを調整し、好ましくは、仮想ファンドにあるそれぞれのクライアントの投資家アカウント(クライアントポートフォリオ)を更新するためのデータを各クライアントデバイスへ送信して、この仮想ファンドに保有されるものと同一の調整された資産保有をそれぞれのクライアントの投資額に比例してクライアントアカウント中に複製するように構成されたプロセッサを含む。
【0017】
本発明の概要は、本発明を画定するために必須な全ての特徴を必ずしも開示しているわけではない。開示される複数の特徴のサブコンビネーションに本発明が存在してよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の上記の特徴およびさらなる特徴が、添付の図面と関連して単なる例として提供される、好ましい実施形態についての以下の説明から明らかとなるだろう。
図1】従来のミューチュアルファンドシステムを示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態による仮想ファンド(vファンド)システムを示す概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態による仮想ファンド(vファンド)システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明は、単なる例としての好ましい実施形態であり、本発明を実行に移すために必要な特徴の組み合わせに限定するものではない。
【0020】
この明細書における「一実施形態」または「実施形態」との言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。本明細書中の様々な箇所に現れる「一実施形態において」という文言は、必ずしも全て同じ実施形態を参照するわけではないし、他の実施形態と互いに排他的な別個の実施形態または代替的な実施形態でもない。さらに、様々な特徴が説明されるが、これらは、いくつかの実施形態では示されるだろうが、他のものでは示されなくてもよい。同様に、いくつかの実施形態にとっては要件であってよいが、他の実施形態にとっては要件でなくてもよい、様々な要件が説明される。
【0021】
図面中に示される要素は、様々な形態のハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてよいことが理解されるべきである。好ましくは、これらの要素は、プロセッサ、メモリ、および入出力インタフェースを含み得る適切にプログラムされた1または複数の汎用デバイスにおいて、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実装される。
【0022】
図1を参照すると、インターネット14のような通信ネットワークによってミューチュアルファンドサーバシステム16に接続された複数のクライアントデバイス12を含む、従来のミューチュアルファンドシステム10の概略図が示されている。これらのクライアントデバイス12は、サーバシステム16に直接接続されてよい。または、投資アドバイザーシステムもしくはブローカーシステムのような仲介システム18を通じて接続してよい。ミューチュアルファンドサーバシステム16自体は、1または複数のディーラーシステムもしくはブローカーシステム20に接続される。これを通じてミューチュアルファンドは、金融機関22から金融資産を購入し、金融機関22に金融資産を売却する(矢印A)。ミューチュアルファンドによって保有される金融資産はこのファンドによって所有され、今度はこのファンドが、その投資家達に対し、彼らの投資額に比例したミューチュアルファンド株またはユニットを発行する(矢印B)。
【0023】
図2を参照すると、本発明に従った仮想ファンドシステム100の第1の実施形態の概略図が示されている。仮想ファンドが意味するところは、投資戦略を追い求めて金融資産を取引すべく投資家達のお金をプールするということにおいてはミューチュアルファンドの態様を模倣する形でファンドが取引するが、ミューチュアルファンドによる資産所有権の制約が無いということである。仮想ファンドシステム100、または以下において参照される「vファンド」システム100は、インターネット114のような通信ネットワークによってvファンドサーバシステム116に接続された複数のクライアントデバイス112を含む。これらのクライアントデバイス112は、サーバシステム116に直接接続されてよい。または、投資アドバイザーシステムもしくはブローカーシステムのような仲介システム118を通じて接続してよい。クライアントデバイス112は、個々の投資家によって操作されるデバイスに限られず、機関投資家、アドバイザー投資家、または、vファンド101にて投資することを所望する他の任意の第三者を代表し得ることが理解されよう。
【0024】
vファンドサーバシステム116自体は、1または複数のディーラーシステムもしくはブローカーシステム120に接続される。これを通じてvファンド101は、金融機関122などから金融資産を購入し、金融機関122などに金融資産を売却する。vファンド101によって管理される金融資産は、投資家達によって、彼らの投資額に比例して所有される。vファンドサーバシステム116は、プロセッサ124と、プロセッサ124によって実行された場合に、本明細書に説明されるように本発明の方法を実装し、クライアントデバイス112へアクセス可能なグラフィカルユーザインタフェースを生成するようにプロセッサ124を構成させる機械可読命令を格納している少なくとも1つのメモリ126とを含む。vファンドサーバシステム116は、クライアントアカウントデータ、ファンド資産データ、取引データ、および、vファンドサーバシステム116の機能に必要なその他全てのデータを格納するためのシステムデータベース128もまた含む。システムデータベース128は、サーバ116中で具現化され得る。または、インターネット114のような通信ネットワークを介してサーバ116に接続される別個のデバイスを含み得る。さらに、図2のシステムは、vファンドサーバシステム116並びにアドバイザーシステムおよびブローカーシステム118、120へリアルタイムまたはほぼリアルタイムの資産評価データを提供するための、1または複数の市場情報データベース130を含んでよい。いくつかの実施形態において、ブローカーシステム120は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの資産評価データを提供する。
【0025】
図2の実施形態において、vファンドサーバシステム116は、クライアントデバイス112を用いて、複数の投資家の代わりに単一の仮想金融資産ファンド(vファンド)101を管理する。これに対して図3の実施形態においては、以下に説明されるように、サーバシステムが複数のvファンドを管理する。このシステムのプロセッサ124は、複数のクライアントデバイス112から入力データを受信し、vファンド101のポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータをシステムデータベース128から受信するように構成される。それに応じて、プロセッサ124は、受信したクライアントデバイス入力データに応答して、vファンドポートフォリオにおける金融資産保有のバランスを調整する。これは、次に、それぞれのクライアントデバイス112に対して、このファンドでの各クライアントの投資家アカウントを更新するデータを生成し、このファンド中に現在保有されているものと同一の調整された資産保有を、各クライアントの投資額に比例してそのクライアントアカウント中に複製する。ある投資家に対して生成されたデータは、その投資家のクライアントデバイス112へすぐに送られてよい。または、この投資家が次回システム116にサインインする場合に送られてよい。いずれにしても、このデータは、以上においておよび以下において説明されるような技術的利点を有しつつ、ファンド101によって管理されるどの資産がその投資家によって所有されているかを画定する。
【0026】
クライアントデバイス112は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または、クライアント(投資家)がそれによって自身の金融資産投資を管理し得るvファンドシステムのグラフィカルユーザインタフェースへのアクセスを提供するその他任意の適切なクライアントデバイス112を含んでよい。システム116は、適切に使用可能とされるあらゆる電子的処理デバイスに対して適切なグラフィカルインタフェースを提供し、そのクライアントデバイス112が適切な通信ネットワーク114上でシステム116と相互作用することを可能にすることができる。システム116は、好ましくは、インターネット114のようなコンピュータネットワークを通じて通信するが、いくつかの実施形態においては、プライベート通信ネットワークが使用される。
【0027】
より具合的に言うと、プロセッサ124は、好ましくは、vファンドポートフォリオにおける金融資産保有および市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信するように構成される。そのように、プロセッサ124は、受信したクライアント入力データ、vファンドポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するデータ、および、市場データを処理して、(i)売るべき資産に対する売り注文、および、そのような注文が約定された場合に、受信した市場データに基づいて予測される価値と、(ii)買うべき資産に対する買い注文、および、受信した市場データに基づいて予測されるコストとを画定するデータを生成するように構成されてよい。プロセッサ124は、約定のためにブローカーシステム120などに対してこの売り注文を提出し、その後、約定された売り注文に対して実現した価値に関するデータをブローカーシステム120から受信するように構成されてよい。プロセッサ124は、ブローカーシステム120または市場情報データベース130から新たなリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信し、これに応じて、売り注文の約定から予測される価値と実際に実現した価値との間の差異を画定するデータを生成するようにもまた構成されてよい。価値の差異データの生成は、外国為替レートデータを含んでよい。
【0028】
プロセッサ124は、価値の差異データおよび新たな市場データを使用して、事前に計算した買い注文を調整し、その後、約定のためにブローカーシステム120へと調整された買い注文を提出するように構成されてよい。これに応じて、プロセッサ124は、新たに購入した資産を画定するデータをブローカーシステム120から受信するように構成されてよい。プロセッサ124は、この新たに購入した資産を画定するデータを、そのファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて、ポートフォリオ保有財産を更新するように構成される。
【0029】
プロセッサ124は、次に、それぞれのクライアントデバイスが各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータを生成し、その更新されたファンドポートフォリオ中に保有されるものと同一の更新された資産保有を、各クライアントの投資額に比例して、そのクライアントアカウント中に複製するように構成される。そのように、金融資産は、ファンドの投資マネージャ達によって管理されるが、実際の資産は、投資家達の投資額に比例して、これらの投資家達によって直接所有される。これは、クライアント投資家達と、彼らそれぞれのクライアントポートフォリオに対して分配された金融資産との間に、直接の所有権リンクを形成する。技術的利点は、ある投資家のクライアントポートフォリオのあらゆる時点での評価が、その投資家によって所有される資産の市場価値に直接リンクされること、さらに、その投資家が、多数の市場データソースのうちの任意のものを通じてリアルタイムまたはほぼリアルタイムの評価データへアクセスして、その資産の評価を取得できることである。従って、たまにしか計算されないNAVに対して価値が結び付けられているミューチュアルファンドとは対照的に、本発明の構成は、仮想ファンドベースの投資手段を提供しながらも、ファンドの管理された資産に対する投資家達による直接の所有権、および、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの評価データへのアクセスを伴う。
【0030】
また、さらなる技術的利点は、仮想ファンドによって管理される資産の構成を示すリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータに投資家達がアクセスできることである。
【0031】
またさらなる技術的利点は、仮想ファンド投資マネージャ達が、ファンドの管理された所有財産の全体の評価を、やはりリアルタイムなデータに基づいて、はるかに容易に、且つより単純な計算によって一元的に決定できることである。
【0032】
図3を参照すると、本発明に従った仮想ファンドシステム200の第2の実施形態の概略図が示されている。本実施形態におけるこの「vファンド」システム200は、「vファンド」システム200が複数のvファンド200aから200nを含む態様であることを除いて、概ね、図2の実施形態と同じである。以前と同様に、インターネット214のような通信ネットワークによって、複数のクライアントデバイス212がvファンドサーバシステム216に接続される。これらのクライアントデバイス212は、サーバシステム216に直接接続されてよい。または、投資アドバイザーシステムもしくはブローカーシステムのような仲介システム218を通じて接続してよい。vファンドサーバシステム216自体は、やはり、1または複数のディーラーシステムもしくはブローカーシステム220に接続される。これを通じてvファンドマネージャ達は、複数のvファンドのために、金融機関222などから金融資産を購入し、金融機関222などに金融資産を売却する。vファンドサーバシステム216は、プロセッサ224と、プロセッサ224によって実行された場合に、本明細書に説明されるように本発明の方法を実装し、クライアントデバイス212へアクセス可能なグラフィカルユーザインタフェースを生成するようにプロセッサ224を構成させる機械可読命令を格納している少なくとも1つのメモリ226とを含む。vファンドサーバシステム216は、クライアントアカウントデータ、ファンド資産データ、取引データ、および、vファンドサーバシステム216の機能に必要なその他全てのデータを格納するためのシステムデータベース228もまた含む。さらに、図3のシステムは、vファンドサーバシステム216並びにアドバイザーシステムおよびブローカーシステム218、220へリアルタイムまたはほぼリアルタイムの資産評価データを提供するための、1または複数の市場情報データベース230を含んでよい。
【0033】
図3の実施形態において、vファンドサーバシステム216は、クライアントデバイス212を用いて、複数の投資家の代わりに複数のvファンド200aから200nを管理する。このシステムのプロセッサ224は、複数のクライアントデバイス212から入力データを受信し、vファンド200aから200nの複数のポートフォリオにおける現在の金融資産保有を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムのデータをシステムデータベース228から受信するように構成される。それに応じて、プロセッサ224は、受信したクライアントデバイス入力データに応答して、複数のポートフォリオにおける金融資産保有のバランスを調整する。これは、次に、それぞれのクライアントデバイス212に対して、このファンドでの各クライアントの投資家アカウントを更新するデータを生成し、その複数のvファンドポートフォリオによって現在管理されているものと同一の調整された資産保有を、各クライアントの投資額に比例して、そのクライアントアカウント中に複製する。
【0034】
より具合的に言うと、プロセッサ224は、好ましくは、複数のファンドポートフォリオにおける金融資産保有および好ましくは市場におけるその他の金融資産のそれぞれに対する現在の価値を画定するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信するように構成される。プロセッサ224は、受信したクライアント入力データ、複数のvファンドポートフォリオによって管理される現在の金融資産保有を画定するデータ、および、市場データを処理して、(i)売るべき資産に対する売り注文、および、そのような注文が約定された場合に、受信した市場データに基づいて予測される価値と、(ii)買うべき資産に対する買い注文、および、受信した市場データに基づいて予測されるコストとを画定するデータを生成するように構成される。プロセッサ224は、約定のためにブローカーシステム220に対してこの売り注文を提出し、その後、約定された売り注文に対して実現した価値に関するデータをブローカーシステム220から受信するように構成される。プロセッサ224は、また、ブローカーシステム220または市場情報データベース230から新たなリアルタイムまたはほぼリアルタイムの市場データを受信するように構成されてもよい。プロセッサ224は、売り注文の約定から予測される価値と実際に実現した価値との間の差異を画定する。プロセッサ224は、価値の差異データおよび任意の新たな市場データを使用して、事前に計算した買い注文を調整し、その後、約定のためにブローカーシステムへと調整された買い注文を提出するように構成される。これに応じて、プロセッサ224は、新たに購入した資産を画定するデータをブローカーシステム220から受信し、この受信したデータから、新たに購入した資産のうちのどの部分が、複数のvファンドポートフォリオのうちのどれに割り当てられるかを決定する。
【0035】
プロセッサ224は、次に、新たに購入した資産のうちのこれらの部分をそれぞれのvファンドポートフォリオに割り当て、新たに購入した資産のこれらの部分を画定するデータを、これらのvファンドポートフォリオに残っている資産を画定するデータと結び付けて、ポートフォリオ保有財産を更新するように構成される。プロセッサ224は、次に、それぞれのクライアントデバイスが各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータを生成し、その複数のvファンドポートフォリオによって管理されるものと同一の更新された資産保有を、このvファンドにおける各クライアントの投資額に比例して、そのクライアントアカウント中に複製するように構成される。
【0036】
本発明の実施形態によって対処される1つの技術的問題は、ファンド型投資手段におけるクライアント投資家達に対して、彼らの投資額の評価データへのリアルタイムなアクセスをどのようにして与えるかということである。技術的な解決手段は、それぞれのクライアント投資家に対して、各クライアントの投資家アカウントを更新するためのデータを生成し、その複数のvファンドポートフォリオによって管理されるものと同一の更新された資産保有を、各クライアントの投資額に比例して、そのクライアントアカウント中に複製することである。これは、vファンドによって管理される金融資産に対するクライアント投資家達による直接の所有権リンクを形成し、それにより、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの評価データへのアクセスを提供する能力を伴う。
【0037】
上記にて説明された本発明の実施形態をサポートする、多数のソフトウェアベースのサブルーチンが、説明される技術的利点を実現すべく、本発明の上記の方法およびその他の方法を実施するために適切なプロセッサ124、224によって実装され得る。1つのサブルーチンは、一般に、vファンドポートフォリオの全体または一部に対する所望の割り当てを確立する「リバランス処理」を含む。以下に説明されるように、全体のリバランスの場合にはサブルーチン「PortfolioAllocation」が実装されるが、部分的なリバランスの場合には、「PortfolioAllocationStrategyRebalancing」サブルーチンまたは「PortfolioAllocationSwitch」サブルーチンのいずれか一方が実装される。
【0038】
「PortfolioAllocation」
このサブルーチンは、vファンドポートフォリオの全体的な資産割り当てを、所望される資産割り当てに変化させる。これは、以下のステップまたは段階を含む。
1.そのアカウント/ポートフォリオに対する全ての未処理の注文をキャンセルする。
2.データベース128、228から、および/またはブローカーシステム120、220から、対象のポートフォリオの現在の保有資産を提示する「InvestorAccountInformation」を取得する。
3.市場情報データベース130、230および/またはブローカーシステム120、220から市場データを取得する。好ましくは、これは、現在の保有資産のそれぞれに対する、あらゆるターゲット所有財産に対する、および、1つの価格から別の価格に変換するのに必要なあらゆる外国為替「FX」レートに対する、生の、すなわちリアルタイムまたはほぼリアルタイムの価格を含む。
4.ランプダウン処理:これは、全ての注文および売る必要のあるポジションに対する市場データリフレッシュリクエストを計算し、売り注文を出し始める。これは、次の段階またはステージに対して買う必要のあるポジションもまた事前に計算する。このステップは、また、ポートフォリオの事前リバランスポジション、および、将来の使用に向けた「Portfolio Allocation」オブジェクトに対するリバランス後に保有されるべきターゲット/理想的ポジションを保存する。
5.ランプアップ処理:これは、段階(4)からの予測された約定価格に基づいて、いくらの現金または価値が予測されたのか、および、市場において取引された約定価格に基づいて、いくらの現金が使用された/放出されたのかを計算する。これは、次に、この「現金ファクタ(cash factor)」によって、段階(4)において事前に計算されたランプアップ注文に対する量を調整する。次に、資産の実際の購入を開始する。
【0039】
各「PortfolioAllocation」オブジェクトは、「PortfolioAllocationStrategyRebalancing」および「PortfolioAllocationSwitch」オブジェクトのリストを所有する。
【0040】
「PortfolioAllocationStrategyRebalancing」
このサブルーチンは、全体のポートフォリオにおける他の戦略(vファンド)に影響を及ぼすことなく、単一の投資戦略、すなわちvファンド内で資産の割り当てを変化させる。これは、以下に記載される段階に従う。
【0041】
「PortfolioAllocationSwitch」
このサブルーチンは、vファンド中に現在保有されるポジションを上方および下方へスケーリングすることによって、単一の戦略(vファンド)に対するエクスポージャーを増加または低下させる。これは、以下に記載される段階に従う。
1.市場情報データベース130、230および/またはブローカーシステム120、220から市場データを取得する。
2.「スケーリングされる」べきvファンドに保有される実効的ポジションを計算する。
3.ランプダウン処理:それらの実効的ポジションを(資産を買うべきか売るべきかに応じて)上方または下方にスケーリングする。次に、スケーリングされたポジションに到達するのに必要な注文を計算する。(このポジションがショート/ネガティブでない限りにおいて。その場合は、スケーリングされないだろう。)これはまた、適切な場合に、あらゆる買い注文を事前に計算する。
4.ランプアップ処理:もしあれば、買い注文をアクティブ化する。これは、(成り行き注文のような)直接リンク戦略の指定された量を購入または売却するためにもまた使用されるだろう。
【0042】
「Order Adjustment process」
上記にて言及された注文のいくらかは、(a)以前の注文の約定価格、例えば、仮に、約定時のFXレートが予測されたよりも低く、そのため、より少ない資産が購入され得る場合、(b)市場価格の更新(ランプアップ処理において、プロセッサは、好ましくは、ある注文の所望の量を再計算するために、約定する前に市場価格のリフレッシュを常に要求するように構成される)に基づいて、約定の段階内で再調整される必要がある。
【0043】
上記のサブルーチンは、複雑なワークフローシステムを画定する。あらゆるリクエストは、「BrokerRequest」サブクラス命令、例えば「BrokerRequestExecuteOrder」、「BrokerRequestTickerLivePrice」、「BrokerRequestAccountInformation」としてラップされる。次に、特定の段階の全てのブローカーリクエストが、ブローカーシステム市場データプロバイダ120、220のような受信システムに対する単一のメッセージとして送信される「BrokerRequestCollection」メッセージ構成にまとめられる。ブローカーシステム120、220のような受信システムは、「BrokerRequestCollection」メッセージ構成によって画定される複数の段階を、どの注文において約定するべきかを知るように構成される。受信システムはまた、メッセージ構成集合内のどのリクエストが、先行するリクエスト(これらは、調整を必要とするものである)のどれに依存するかを知り、先行するリクエストが完了した場合に、受信システム/ブローカーシステム120、220に対してのみ、それらを提出するように構成される。
【0044】
「Effective Portfolio Allocation Calculation」
このサブルーチンによって提供される計算は、全体のポートフォリオ(すなわち、複数のvファンドポートフォリオにおける全ての資産を「包含」するまたは合計するポートフォリオ)においてそれぞれのvファンドがどの所有財産を所有すべきかを確立する。言い換えると、これは、どのポジションがどのvファンド(戦略)に属するのかを決定するサブルーチンである。
【0045】
これを行うには、いくつかの課題が存在する。あるポートフォリオを伴う戦略(vファンド)に対して予測されるターゲットポジションは、以下の理由により、予測されるものから外れることがあり得る。
1.これらが売買単位で取引された(すなわち、注文の端数が切り捨てられねばならなかった)ので、これらが調整された。
2.実現された約定価格が、予測された約定価格とは違った。
3.株の分割が起きて、その結果、(a)リバランスに先立つポートフォリオ中の所有財産に対して、または、(b)約定時以後に取引された量に対して影響を及ぼした。
4.「PortfolioAllocationStrategyRebalancing」または「PortfolioAllocationSwitch」サブルーチンが、ある戦略に対して最初に予測された量に取って代わったかもしれない。
5.配当が支払われ、その結果、その戦略(vファンド)に対して割り当てられた現金部分が増加した。
【0046】
この点を考慮すべく、プロセッサ124、224は、まず、現在の時刻において予測するための各ティッカーに対する総量を計算し、次に、ポートフォリオ中のvファンドに対してこの量を逆に割り当てるように構成される。
【0047】
より一般的に、本発明は、説明されるようなvファンドシステムの実施形態を用いて、ほとんど瞬間的に、例えば数分の間に、最小限のコストで金融商品を生成することを可能にする。これは、アドバイザー達が、(a)テーマ、内部/外部調査、ルールベースの投資戦略、ライフゴール、およびその他のユーザ達のインプットに基づいて、(株式、債券などのような)既存の投資商品をパッケージ化すること、並びに、(b)これらを実行可能なものにすることを可能にする。本発明のシステムは、ファンド投資のルックアンドフィールを維持しながら、vファンドの下にある全てのポジションを、(電子的注文約定を介して)加入している(投資家)クライアントアカウント中に複製する。
【0048】
本明細書にて説明されるようなvファンドは、(a)アイデアおよび取引戦略を実行可能なものとすることによって、取引量を増加させるとともに、新たなクライアントセグメントに手が届くようになり、(b)複数のvファンドとして調査をパッケージ化することによって組織内の情報の収益化を可能にし、(c)調査およびアイデアの外部プロバイダを取り込むことを容易にさせ、(d)財産計画という状況において、単一のアカウント中の多くのライフゴールの実行および追跡を可能にする。
【0049】
1つのvファンドは、1つのグループとして購入または売却されることができる証券の集合である。本明細書に説明されるvファンドを用いることにより、アドバイザー達または各個人は、調査および商品アイデアを実行可能な商品に容易に変換することが可能となる。vファンドは、仲介者が、最新の商品構成を提供し、変化する市場環境およびトレンドに対して最小限のコストで対処することを可能にする。vファンドは以下を可能にする。
・より速い商品化までの時間
・よりタイムリーな商品セット
・調査の収益化
・追加手数料の収益
・取引先リスクが無い
・より少ない数の注文に起因した、より小さな実行コスト。
多くのクライアント達のポートフォリオが同じvファンドに従うので、あるvファンド割り当てにおける変化は、多くのクライアント達にとって同じ注文につながり得る。このシステムは、これらの注文を、複数のブロック注文にグループ化することを可能にする。それにより、多くのクライアントに対して1回だけ約定手数料が適用され、複数のクライアントアカウントにわたって比例して株が割り当てられる。
・このシステムのリバランス処理は、市場環境の変化に反応するためのリバランス処理に従って注文量を調整して、ターゲットの割り当てに可能な限り近い効果的な割り当てを実現する。
【0050】
1つのvファンドは、クライアント達がそこに投資することのできる、(固定の、または動的な)証券のバスケットである。複数のvファンドに加入する投資家達は、彼ら自身の証券アカウントに同一の所有財産を自動的に複製する。このシステムは、その投資家のアカウント中にvファンドの所有財産を複製するために必要な注文を生成および追跡する。投資家達は様々なvファンドと従来の証券を単一のアカウント中でうまく組み合わせることができるので、システムは、この投資家のアカウントにおいてどのユニットがどのvファンドに属するのかを記録する。次に、このシステムは、これらのポジションを単一系列の項目に集める。それにより、ある投資家の観点からすると、このvファンドは1つのファンドのように見え、感じる。
【0051】
システムに一旦接続されると、これによって提供される強化された接続性から、全ての参加者が利益を得る。あるクライアントは、あらゆるアカウントにおける全ての投資についての最新の情報を取得することができるとともに、通常であれば彼らがアクセスすることのないような、質の高いマネージャ達にアクセスすることができる。アドバイザーは、ポートフォリオのカスタマイズおよびvファンドシステムを通じて、従って、管理「AUM」ベースの手数料の下に資産をチャージすることを通じて、複数のアカウントを収益化することができる。金融仲介者は、その組織内の調査を収益化すること、および、集中化されたリスクモデルに基づいて商品供給を効率化することができる。銀行のような他の金融機関は、このシステムにリンクされている全員に対して、追加の金融関連商品(例えば、クレジットカード、抵当権、保険)を販売することができる。世界の遠く離れた地域にいる投資マネージャが、以前であれば物理的な制約および/または規制の障害に起因して不可能であった地域に、新たなクライアントの基盤を展開することができる。
【0052】
この説明は、本発明の原理を示している。従って、本明細書に明示的には説明または示されていないものの、本発明の原理を具現化し、その思想および範囲内に含まれる様々な構成を、当業者が考案できることが理解されるだろう。
【0053】
さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を記載する本明細書における全ての記述並びにそれらの特定の例は、それらの構造的および機能的均等物の両者を包含することが意図されている。さらに、そのような均等物は、現在既知の均等物、並びに将来に開発される均等物の両者、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する、開発されたあらゆる要素を含むことが意図されている。
【0054】
図面および上記の説明において、本発明が詳細に示され、説明されてきたものの、これは、例示としてであって特徴を限定するものではないとみなされるべきであり、典型的な実施形態のみが示され、説明されてきていること、および、いかなる態様でも本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。本明細書にて説明される特徴のいずれも、任意の実施形態で使用されてよいことが理解され得る。例示的な実施形態は、互いに排他的ではない。または、本明細書に記載されていない他の実施形態と排他的ではない。従って、本発明は、上記にて説明された複数の例示的な実施形態のうちの1または複数の組み合わせを含んだ実施形態もまた提供する。本明細書に説明された本発明の改良および変形が、本発明の思想および範囲から逸脱することなく成され得る。従って、添付の請求項により示されるそのような限定のみが課されるべきである。
【0055】
この後に続く請求項において、および本発明の前述の説明において、明確な言葉または必要な示唆を必要とする文脈、さもなくばそれらによる文脈を除いて、"含む"という語、もしくは、"含み"または"含んだ"のような変化形は、包括的な意味で使用される。すなわち、述べられた特徴の存在を規定するものの、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在またはその追加を除外するものではない。
【0056】
任意の従来技術の刊行物が本明細書において言及されている場合、そのような言及は、その刊行物が、当技術分野における一般的な常識の一部を形成するということの自認を構成するものではないことが理解されるべきである。
図1
図2
図3