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特許7156813供給システムおよび供給システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】供給システムおよび供給システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/46 20060101AFI20221012BHJP
   B65G 33/14 20060101ALI20221012BHJP
   B65G 33/26 20060101ALI20221012BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20221012BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B65G65/46 Z
B65G33/14
B65G33/26
B01J4/00 105B
B01J3/02 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018070167
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178003
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 均
(72)【発明者】
【氏名】古閑 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】折戸 敢
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-322004(JP,A)
【文献】特許第5469616(JP,B2)
【文献】特開平06-272835(JP,A)
【文献】特開2010-058039(JP,A)
【文献】特表2007-529388(JP,A)
【文献】特開2000-2412(JP,A)
【文献】特開2000-230708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/46
B65G 33/14
B65G 33/26
B01J 4/00
B01J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリー状物質であるかスラリー状物質を含む処理対象物を、前記処理対象物を化学反応させて処理することで内部に高温のガスが発生して大気圧より高い内圧となっている処理用容器に供給する供給システムにおいて、
前記処理対象物の供給路に設けられる充填領域に前記処理対象物を圧送する圧送装置と、
前記充填領域に圧送された前記処理対象物を前記処理用容器に送り出すスクリューコンベヤと、
前記充填領域の圧力と前記処理用容器の圧力との圧力差を計測する計測機構と、
前記計測機構で計測された前記圧力差に基づいて前記スクリューコンベヤの回転数を調節することで、前記充填領域の圧力を前記処理用容器の圧力より高く維持しながら、前記処理用容器に向けて圧送される、処理対象物であるケーキによるマテリアルシールのシール性を調節する制御装置と
を有し、
前記スクリューコンベヤは駆動機が前記処理用容器から遠い位置にあり、前記処理対象物の供給路の末端すなわちスクリューコンベヤの先端側が、処理用容器のケーキの供給口に接続されていて、
前記制御装置は、前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を下げ、前記圧力差が前記第1設定値以上である第2設定値より大きい場合、前記回転数を上げ、
前記回転数をゼロに設定しても前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を負に設定して前記スクリューコンベヤを逆回転させることを特徴とする供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の供給システムにおいて、
前記制御装置は、前記計測機構で計測された前記圧力差に基づいて、前記圧送装置及び前記スクリューコンベヤの回転数を調節することを特徴とする供給システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の供給システムにおいて、
前記処理対象物の投入口と前記スクリューコンベヤとの間に設けられる前記処理対象物の流路を遮断可能な第1遮断機構を有し、
前記制御装置は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第1遮断機構により前記流路を遮断することを特徴とする供給システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の供給システムにおいて、
前記制御装置は、前記スクリューコンベヤの前記回転数を下げる場合、前記圧送装置による前記処理対象物の搬送能力を上げることを特徴とする供給システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の供給システムにおいて、
前記スラリー状物質を前記圧送装置に供給する第1供給装置と、
前記処理対象物に含まれる固形物質を大気圧下で搬送し前記圧送装置に供給する第2供給装置と
を有し、
前記圧送装置は、前記スラリー状物質と前記固形物質とを混合することで前記処理対象物を生成する機能を有することを特徴とする供給システム。
【請求項6】
請求項に記載の供給システムにおいて、
前記第2供給装置と前記圧送装置との間に設けられる前記固形物質の流路を遮断可能な第2遮断機構を有し、
前記制御装置は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第2遮断機構により前記固形物質の流路を遮断し、前記第1供給装置から下流を大気圧とは異なる圧に保つことができることを特徴とする供給システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の供給システムにおいて、
前記化学反応は燃焼であり、反応容器は炉であることを特徴とする供給システム。
【請求項8】
スラリー状物質であるかスラリー状物質を含む処理対象物を前記処理対象物の供給路に設けられる充填領域に圧送する圧送装置と、前記充填領域に圧送された前記処理対象物を、前記処理対象物を化学反応させて処理することで内部に高温のガスが発生して大気圧より高い内圧となっている処理用容器に送り出すスクリューコンベヤとを有する供給システムの制御方法において、
前記充填領域の圧力と前記処理用容器の圧力との圧力差を計測し、
計測された前記圧力差に基づいて前記スクリューコンベヤの回転数を調節することで、前記充填領域の圧力を前記処理用容器の圧力より高く維持しながら、前記処理用容器に向けて圧送される、処理対象物であるケーキによるマテリアルシールのシール性を調節することで、
駆動機が前記処理用容器から遠い位置にあり前記処理対象物の供給路の末端すなわちスクリューコンベヤの先端側が前記処理用容器のケーキの供給口に接続され、
前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を下げ、前記圧力差が前記第1設定値以上である第2設定値より大きい場合、前記回転数を上げ、
前記回転数をゼロに設定しても前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を負に設定して前記スクリューコンベヤを逆回転させることを特徴とする供給システムの制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の供給システムの制御方法において、
前記圧力差に基づいて、前記圧送装置及び前記スクリューコンベヤの回転数を調節することを特徴とする供給システムの制御方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の供給システムの制御方法において、
前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記処理対象物の投入口と前記スクリューコンベヤとの間に設けられる前記処理対象物の流路を第1遮断機構により遮断することを特徴とする供給システムの制御方法。
【請求項11】
請求項乃至請求項10のいずれか1項に記載の供給システムの制御方法において、
前記スクリューコンベヤの前記回転数を下げる場合、前記圧送装置による前記処理対象物の搬送能力を上げることを特徴とする供給システムの制御方法。
【請求項12】
請求項乃至請求項11のいずれか1項に記載の供給システムの制御方法において、
前記供給システムは、前記スラリー状物質を前記圧送装置に供給する第1供給装置と、
前記処理対象物に含まれる固形物質を大気圧下で搬送し前記圧送装置に供給する第2供給装置とを有し、
前記圧送装置は、前記スラリー状物質と前記固形物質とを混合することで前記処理対象物を生成する機能を有し、
前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第2供給装置と前記圧送装置との間に設けられる前記固形物質の流路を第2遮断機構により遮断して、前記第1供給装置から下流を大気圧とは異なる圧に保つことができることを特徴とする供給システムの制御方法。
【請求項13】
請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の供給システムの制御方法において、
前記化学反応は燃焼であり、反応容器は炉であることを特徴とする供給システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器などの処理用容器内で化学反応処理などを行うスラリー状物質を含む処理対象物を処理用容器に供給する供給システムおよび供給システムの制御方法に関する。さらに言うと本発明は、炉内で処理する物質を炉に供給する供給システムおよび供給システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応容器など、何らかの処理を行う処理用容器へスラリー状物質を押し込みながら充填させるスラリー状物質の供給装置にとって、外部との隔離を行うマテリアルシール構造が要求される場合が多い。特に、供給元の圧送装置の吸込み口と供給先の処理用容器との圧力が異なる場合、圧送してスラリー状物質やそれを含む処理対象物質を連続供給しながらその処理対象物質を利用して連続的にマテリアルシールを行うニーズがある。
【0003】
供給元圧力と供給先圧力の圧力差が小さい場合、圧送装置の吸込み側にホッパなど処理用物質の積層高さである位置ヘッドとその重量を利用して、供給物の自重や粘度によって簡単な圧力付与のマテリアルシールが行える場合があるが、圧力の変動に弱く供給先圧力が高くなると逆流して吹くことがある。また、物質の供給速度などの変動で、容易にマテリアルシールが切れることがある。
【0004】
供給元圧力と供給先圧力との圧力差が大きい場合、スラリーを搬送するのに一般的な一軸偏芯ポンプで配管内を圧送し配管内物質とポンプ内物質でマテリアルシールを形成することができる。ただ、スラリー状物質の中に硬度の高い物体が混入していると、複雑な形状を形成される一軸偏芯ポンプのローターやケーシングをその硬度の高い物体が傷めることで搬送能力を弱くしたり、シールが弱くなったりする。また、スラリー状物質の中に繊維状物質が混入していると、複雑な形状を形成される一軸偏芯ポンプのローターやケーシングにその繊維が絡みつきポンプを傷めることで搬送能力を弱くしたり、シールが弱くなったりする。
【0005】
供給元圧力と供給先圧力との圧力差が大きい場合、スラリーを搬送するのにピストンポンプで圧送するようにすると、硬度の高い物質混入でも問題ないが、機構上搬送能力比の動力が大きく、コストが高価で、脈動してしまう。供給先直近にコーンバルブ等で抵抗を設けて圧力付与する場合があるが、供給スラリー状物質の粘度が高い場合搬送動力を非常に多く消費する。
【0006】
例えば、粉状のバイオマスに水を加えたスラリー状のバイオマスケーキを高圧の反応器で反応(加水分解、得られた糖を発酵処理する)させてバイオエタノールを生成する場合、バイオマスケーキは、スクリューポンプ等を有する供給装置を用いて反応器に供給される。また、スクリューポンプ等により反応器に送り出されるバイオマスケーキの流れを制限する絞り部を供給装置に設けることで、バイオマスケーキによりマテリアルシールが形成され、バイオマスケーキの反応器からの逆流が抑えられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-31832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、特許文献1のように、バイオマスケーキを搬送する配管内に円環状の絞り部材を配置する場合、絞り部材は、バイオマスケーキの流れを制限する固定抵抗として作用する。このため、絞り部材を配管内に配置しない場合に比べて、スクリューポンプに掛かる負荷は大きくなり、電力消費量は大きくなる。また、配管の端に軸長方向に移動可能なコーンバルブを配置する場合、コーンバルブは、バイオマスケーキの流れを調節する可変抵抗として作用するが、コーンと配管内オリフィスとの隙間間隔の少しの寸法差で抵抗値が大きく変わるので、マテリアルシールのシール性の調節範囲は狭い。例えば、流路を閉じているコーンバルブにより流れが規制されたバイオマスケーキは、コーンバルブが流路の端から所定の距離だけ離れた場合に急激に流れ始め、シール性は一気に低下してしまう。また、バイオマスケーキが急激に流れ始める上記所定の距離は、バイオマスケーキの含水率に応じて変化する。したがって、コーンバルブ等の絞り部材では、含水率が変化するバイオマスケーキにより最適なマテリアルシールを形成することは困難である。
【0009】
さらに、下水汚泥等を脱水して得られるスラリー状のケーキを供給装置により高圧の焼却炉に供給する場合、供給装置側の圧力が焼却炉内の圧力より低くなると、焼却炉内の高温の排ガス等が供給装置側に噴出するおそれがある。万一、高温の排ガス等が供給装置側に噴出した場合、供給装置にケーキを供給する配管と供給装置とを接続するゴム製の伸縮継手または供給装置に設けられる樹脂製の部品等が焼損し汚泥が漏れ出すおそれがある。さらに、ケーキを焼却炉に供給する流路の端に設けられるコーンバルブを用いてケーキによりマテリアルシールを形成する場合、コーンバルブを僅かに開けただけでマテリアルシールによるシール性が急激に低下し、高温の排ガスが流路に噴出するおそれがある。
【0010】
本発明は、スラリー状物質を含む処理対象物を処理用容器に供給する場合に、処理対象物によるマテリアルシールを確実に確保し、処理用容器内から高温の物質が逆流することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明の供給システムの一態様は、スラリー状物質であるかスラリー状物質を含む処理対象物を、前記処理対象物を化学反応させて処理することで内部に高温のガスが発生して大気圧より高い内圧となっている処理用容器に供給する供給システムにおいて、前記処理対象物の供給路に設けられる充填領域に前記処理対象物を圧送する圧送装置と、前記充填領域に圧送された前記処理対象物を前記処理用容器に送り出すスクリューコンベヤと、前記充填領域の圧力と前記処理用容器の圧力との圧力差を計測する計測機構と、前記計測機構で計測された前記圧力差に基づいて前記スクリューコンベヤの回転数を調節することで、前記充填領域の圧力を前記処理用容器の圧力より高く維持しながら、前記処理用容器に向けて圧送される、処理対象物であるケーキによるマテリアルシールのシール性を調節する制御装置とを有し、前記スクリューコンベヤは駆動機が前記処理用容器から遠い位置にあり、前記処理対象物の供給路の末端すなわちスクリューコンベヤの先端側が、処理用容器のケーキの供給口に接続されていて、前記制御装置は、前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を下げ、前記圧力差が前記第1設定値以上である第2設定値より大きい場合、前記回転数を上げ、前記回転数をゼロに設定しても前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を負に設定して前記スクリューコンベヤを逆回転させることを特徴とする。
【0012】
例えば、前記制御装置は、前記計測機構で計測された前記圧力差に基づいて、前記圧送装置及び前記スクリューコンベヤの回転数を調節してもよい。
【0013】
また、供給システムは、前記処理対象物の投入口と前記スクリューコンベヤとの間に設けられる前記処理対象物の流路を遮断可能な第1遮断機構を有し、前記制御装置は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第1遮断機構により前記流路を遮断する。さらに、前記制御装置は、前記スクリューコンベヤの前記回転数を下げる場合、前記圧送装置による前記処理対象物の搬送能力を上げてもよい。
【0014】
また、供給システムは、前記スラリー状物質を前記圧送装置に供給する第1供給装置と、前記処理対象物に含まれる固形物質を大気圧下で前記圧送装置に供給する第2供給装置とを有し、前記圧送装置は、前記スラリー状物質と前記固形物質とを混合することで前記処理対象物を生成する機能を有する。この場合、供給システムは、前記第2供給装置と前記圧送装置との間に設けられる前記固形物質の流路を遮断可能な第2遮断機構を有し、前記制御装置は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第2遮断機構により前記固形物質の流路を遮断し、前記第1供給装置から下流を大気圧とは異なる圧に保つことができるようにしてもよい。
【0015】
そしてこれらの供給システムにおいて、前記化学反応は燃焼であり、反応容器は炉であることを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の供給システムの制御方法の一態様は、スラリー状物質を含む処理対象物を前記処理対象物の供給路に設けられる充填領域に圧送する圧送装置と、前記充填領域に圧送された前記処理対象物を、前記処理対象物を化学反応させて処理することで内部に高温のガスが発生して大気圧より高い内圧となっている処理用容器に送り出すスクリューコンベヤとを有する供給システムの制御方法において、前記充填領域の圧力と前記処理用容器の圧力との圧力差を計測し、計測された前記圧力差に基づいて前記スクリューコンベヤの回転数を調節することで、前記充填領域の圧力を前記処理用容器の圧力より高く維持しながら、前記処理用容器に向けて圧送される、処理対象物であるケーキによるマテリアルシールのシール性を調節することで、駆動機が前記処理用容器から遠い位置にあり前記処理対象物の供給路の末端すなわちスクリューコンベヤの先端側が前記処理用容器のケーキの供給口に接続され、前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を下げ、前記圧力差が前記第1設定値以上である第2設定値より大きい場合、前記回転数を上げ、前記回転数をゼロに設定しても前記圧力差が第1設定値より小さい場合、前記回転数を負に設定して前記スクリューコンベヤを逆回転させることを特徴とする。
【0017】
例えば、前記圧力差に基づいて、前記圧送装置及び前記スクリューコンベヤの回転数を調節してもよい。
【0018】
また、供給システムの制御方法は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記処理対象物の投入口と前記スクリューコンベヤとの間に設けられる前記処理対象物の流路を第1遮断機構により遮断する。さらに、供給システムの制御方法は、前記スクリューコンベヤの前記回転数を下げる場合、前記圧送装置による前記処理対象物の搬送能力を上げてもよい。
【0019】
また、前記供給システムが、前記スラリー状物質を前記圧送装置に供給する第1供給装置と、前記処理対象物に含まれる固形物質を大気圧下で搬送し前記圧送装置に供給する第2供給装置とを有し、前記圧送装置が、前記スラリー状物質と前記固形物質とを混合することで前記処理対象物を生成する機能を有する場合、供給システムの制御方法は、前記圧力差が予め設定された下限値を下回った場合、前記第2供給装置と前記圧送装置との間に設けられる前記固形物質の流路を第2遮断機構により遮断し、前記第1供給装置から下流を大気圧とは異なる圧に保つことができるようにしてもよい。
【0020】
そしてこれらの供給システムの制御方法において、前記化学反応は燃焼であり、反応容器は炉であることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スラリー状物質を含む処理対象物を処理用容器に供給する場合に、処理対象物によるマテリアルシールを確実に確保することができ、処理用容器内から高温の物質が逆流することを防止することができる。そして、スラリー状物質への硬度の高い固体の混合について供給装置での混合比率の調節も可能となる。また、スラリー状物質への繊維状物質である固体の混合について供給装置での混合比率の調節も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態における供給システムの一例を示す全体概要図である。
図2図1に示す供給システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3図1に示す供給システムの動作の別の例を示すフローチャートである。
図4図1に示す制御装置により制御されるスクリューコンベヤ30の回転数の変化の一例を示す説明図である。
図5】スクリューコンベヤ30によりマテリアルシールを形成する場合と、コーンバルブによりマテリアルシールを形成する場合との圧力損失の変化の概要を示す説明図である。
図6】第2の実施形態における供給システムの一例を示す全体概要図である。
図7】第3の実施形態における供給システムの一例を示す全体概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
なお、実施形態として処理用容器については焼却炉を例示として示しているが、もちろんこれに限られず、スラリー状物質を含む処理対象物を外から充填することができる容器であればなんでも良く、例えば加水分解を促進反応させる反応を内部で生じさせる反応容器や、内部で混練するために処理対象物を充填する処理用容器であってもよい。
【0025】
図1は、第1の実施形態における供給システム100の一例を示す。供給システム100は、圧送装置としてのスクリューコンベヤ20と、処理用容器としての焼却炉200へ処理対象物を送り出すスクリューコンベヤ30と、スクリューコンベヤ20、30の間の充填領域の一部をなす流路10cに設けられ、流路10cと処理用容器である焼却炉200との圧力差を計測する計測機構とを有する。さらに、流路10cに設けられ流路10cを遮断可能な遮断機構40とを有する。スクリューコンベヤ20は、下水汚泥を脱水して得られるケーキが搬送される上流側の流路10aに配置され、スクリューコンベヤ30は、下流側の流路10bに配置される。また、供給システム100は、計測機構である圧力計52、54、および差圧演算器56と、その計測機構からの圧力差の信号に基づき制御を行う制御装置60を有する。下水汚泥のケーキは、スラリー状物質の一例であるとともに、処理用容器である焼却炉200で化学反応のひとつである燃焼反応を用いて焼却する処理対象物の一例である。ここで、スラリー状物質とは、固形分と水分(や液分)とを含み流動性を有する物質である。
【0026】
図1に示す太線で囲まれる領域は、ケーキの流路を示しており、流路10a、10b、10cは、供給路の一例であり、ケーキの投入口10eと焼却炉200との間を接続する配管内に形成される。流路10cは、ケーキが充填される充填領域の一例である。流路の末端10d(すなわち、スクリューコンベヤ30の先端側)に位置する配管は、焼却炉200に設けられるケーキの供給口に接続される。例えば、焼却炉200の運用時の温度変化による焼却炉200の膨張・収縮を吸収するために、流路10cのスクリューコンベヤ30側の端に位置する配管は、ゴム製などである伸縮継手12等を介してスクリューコンベヤ30に接続される。
【0027】
圧送装置20であるスクリューコンベヤ20は、駆動機20aと、駆動機20aにより駆動される回転軸20bと、回転軸20bに取り付けられたスクリュー20cとを有する。スクリュー20cは、例えば、予め設定された回転数で回転し、流路10aの端部に設けられる投入口10eに投入されるケーキを流路10cに向けて圧送する。そして、スクリュー20cにより圧送されるケーキによりマテリアルシールが形成され、スクリューコンベヤ20、30間の流路10cは気密状態になる。
【0028】
なお、スクリューコンベヤ20の代わりに、ピストンポンプまたは一軸偏芯ポンプ等の圧送ポンプが設けられてもよい。一般に、ピストンポンプおよび一軸偏芯ポンプは、スクリューコンベヤ20に比べてシール性が高い。このため、スクリューコンベヤ20の代わりに、ピストンポンプまたは一軸偏芯ポンプを設ける場合、ケーキの性状および投入量にかかわりなく流路10cの気密性が保持される。したがって、ピストンポンプまたは一軸偏芯ポンプのシール性の劣化を考慮しなくてよい場合、流路10cに遮断機構40を設けなくてもよい。逆に、シール性の劣化が懸念される場合、流路10cに遮断機構40を設けることが望ましい。
【0029】
スクリューコンベヤ30は、制御装置60からの制御信号MV1に応じて動作する駆動機30aと、駆動機30aにより駆動される回転軸30bと、回転軸30bに取り付けられたスクリュー30cとを有する。駆動機30aは、可変速駆動機であり、制御信号MV1に応じて回転軸30bの回転数(すなわち、スクリュー30cの回転数)を調節可能である。スクリュー30cの回転数を調節することで、スクリューコンベヤ30内で焼却炉200に向けて圧送されるケーキによるマテリアルシールのシール性を調節することができ、流路10cの圧力P1を調節することができる。なお、例えば、スクリューコンベヤ20、30は、一軸タイプが使用されるが、2軸以上のタイプが使用されてもよい。また、図1では、片持ちタイプのスクリューコンベヤ20、30を記載しているが、両持ちタイプが使用されても良い。スクリューコンベヤ30の回転数の制御とその作用については、図2から図5で説明する。
【0030】
遮断機構40は、制御装置60からの制御信号MV2に応じて動作する駆動機40aと、駆動機30aにより駆動されて、流路10cを遮断または開放する遮断弁40bとを有する。遮断弁40bは、例えば、ボール弁であるが、流路10cを遮断または開放する機能を有する他の弁が使用されてもよい。なお、遮断弁40bが取り付けられる位置は、図1に示す位置に限定されず、投入口10eとスクリューコンベヤ30との間に位置する流路であればよい。
【0031】
圧力計52は、流路10cを形成する配管に設けられる開口部に設置され、流路10cの気体圧力P1を計測する。圧力計54は、焼却炉200の側壁に設けられる開口部に設置され、焼却炉200内の、気体、流動流体、気液混合体などの圧力P2を計測する。以下の説明では、圧力P1の値を圧力値P1とも称し、圧力P2の値を圧力値P2とも称する。
【0032】
差圧演算器56は、圧力計52から出力される圧力値P1と、圧力計54から出力される圧力値P2との差(P1-P2)を演算して圧力差実測値PVを算出し、算出した圧力差実測値PVを示す信号を制御装置60に出力する。以下の説明では、圧力差実測値PVを圧力差ΔPとも称する。制御装置60は、圧力差実測値PVと圧力差設定値SVとの偏差に基づいて、スクリューコンベヤ30の回転数を制御する制御信号MV1を生成する。また、制御装置60は、圧力差実測値PVと、圧力差設定値SVより小さい下限値LMTとの偏差に基づいて、遮断機構40の遮断弁40bを制御する制御信号MV2を生成する。圧力差設定値SVおよび下限値LMTは、制御装置60の外部から信号で与えられてもよいが、制御装置60に設けられる設定器により設定値として入力され内蔵されるフラッシュメモリ等の記憶部に予め記憶しておいてもよい。また、制御装置60によりPID(Proportional Integral Differential)制御演算される場合は同様に、比例帯、積分時間、微分時間などを設定入力され記憶部に記憶しておいてもよい。なお、各種信号は、矢印のついた破線で示される。圧力計52、54および差圧演算器56は、圧力差実測値PVを計測する計測機構の一例である。
【0033】
なお、差圧演算器56の機能は、制御装置60により実現されてもよい。この場合、供給システム100は差圧演算器56を持たず、制御装置60は、圧力計52から出力される圧力値P1と圧力計54から出力される圧力値P2とを直接受け、圧力差実測値PVを算出する。
【0034】
制御装置60は、スクリューコンベヤ30および遮断機構40をそれぞれ制御する機能を有する。なお、制御装置60は、スクリューコンベヤ20を制御する機能を有してもよい。例えば、制御装置60は、PLC(Programmable Logic Controller)を含み、PLCが実行する制御プログラムに基づいて動作する。制御装置60は、予め設定された圧力差を示す圧力差設定値SVより圧力差ΔPが小さい場合、スクリューコンベヤ30のスクリュー30cの回転数を下げるための制御信号MV1を駆動機30aに出力する。一方、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより大きい場合、スクリュー30cの回転数を上げるための制御信号MV1を駆動機30aに出力する。
【0035】
また、制御装置60は、予め設定された圧力差の下限値LMTより圧力差ΔPが小さい場合、遮断機構40の遮断弁40bを閉じるための制御信号MV2を駆動機40aに出力する。制御装置60は、圧力差ΔPが下限値LMT以上の場合、遮断弁40bを開くための制御信号MV2を駆動機40aに出力する。特に限定されないが、下限値LMTは、例えば、数十キロパスカルゲージ圧と設定される。
【0036】
遮断機構40を設けることにより、例えば、スクリューコンベヤ30のシール性が低下した場合や、スクリューコンベヤ30の故障等によりスクリュー30cの回転数を下げることができない場合、あるいは、ケーキの含水率が異常に高くなった場合等にも、焼却炉200内で発生する排ガス等の高温の物質が流路10a側に噴出することを防止することができる。
【0037】
なお、制御装置60は、遮断弁40bを閉じる制御信号MV2を出力する場合、遮断弁40bを閉じたことを示す警報を制御装置60に接続される表示装置または警報装置等に出力してもよい。例えば、警報を受信した表示装置は、画面に警報を表示し、警報を受信した警報装置は、警報音の出力と警報ランプの点滅との少なくともいずれかを行う。例えば、焼却炉200の運用を管理する管理者等は、表示装置に表示される警報、警報音または警報ランプにより供給システム100の異常を認識する。制御装置60は、遮断弁40bを閉じる制御信号MV2を出力した場合、管理者等からの指示を受けるまで遮断弁40bを開かず、管理者等からの指示に基づいて制御信号MV2による遮断弁40bの開閉制御を再開する。
【0038】
焼却炉200は、スクリューコンベヤ30を介して供給されるケーキを、空気および補助燃料を使って燃焼する。燃焼により発生した排ガスは、排ガスの処理設備に送られる。例えば、焼却炉200は、過給式の流動焼却炉(高圧炉)であり、焼却炉200内の温度は800℃を超える。なお、焼却炉200は、過給式以外の流動焼却炉でもよく、流動焼却炉以外の焼却炉でもよい。
【0039】
図2は、図1に示す供給システム100の動作の一例を示す。すなわち、図2は、供給システム100の制御方法の一例を示す。図2に示す動作は、所定の周期で繰り返し実行される。特に限定されないが、所定の周期は、例えば、数十ミリ秒から数百ミリ秒の間である。
【0040】
図2に示すフローチャートにおいて、ステップS10は、差圧演算器56の動作を示し、ステップS12、S14、S16、S20、S22、S26、S28は、制御装置60の動作を示す。ステップS12、S14、S16、S20、S22、S26、S28の処理は、制御装置60が制御プログラムを実行することにより実現される。ステップS18は遮断機構40の動作を示し、ステップS24、S30は、スクリューコンベヤ30の動作を示す。
【0041】
まず、ステップS10において、差圧演算器56は、圧力計52から出力される圧力値P1と、圧力計54から出力される圧力値P2との差である圧力差ΔPを演算する。差圧演算器56は、演算により得た圧力差ΔPを制御装置60に出力してもよく、内蔵するレジスタ等の記憶部に保持してもよい。
【0042】
次に、ステップS12において、制御装置60は、圧力差ΔPを差圧演算器56から取得する。次に、ステップS14において、制御装置60は、圧力差ΔPが下限値LMTより小さいか否かを判定する。圧力差ΔPが下限値LMTより小さい場合、制御装置60は、ステップS16において、遮断弁40bを遮断するための制御信号MV2を遮断機構40の駆動機40aに出力する。次に、ステップS18において、駆動機40aにより遮断弁40bが遮断され、図2に示す処理が終了する。
【0043】
すなわち、制御装置60は、ケーキによるマテリアルシールが維持できないおそれがある場合、遮断弁40bを遮断する。これにより、焼却炉200中の排ガスや燃焼中のケーキが流路10cに逆流することを防止できる。なお、遮断弁40bが遮断された場合、制御装置60は、図2に示す動作は繰り返すことなく処理を停止する。また、スクリューコンベヤ20の代わりに、シール性が高いピストンポンプまたは一軸偏芯ポンプが設けられるなどして、遮断弁40bが流路10cに設けられない場合、ステップS14、S16、S18の処理は省略される。
【0044】
ステップS14で圧力差ΔPが下限値LMT以上であると判定された場合、ステップS20において、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより小さいか否かを判定する。圧力差ΔPが圧力差設定値SVより小さい場合、ステップS22において、制御装置60は、スクリュー30cの回転数を所定数だけ下げるための制御信号MV1をスクリューコンベヤ30の駆動機30aに出力する。次に、ステップS24において、駆動機30aによりスクリュー30cの回転数が下げられ、図2に示す処理が終了する。駆動機30aによるスクリュー30cの回転数が下げられると、その上流にある圧送装置20により押し込まれるケーキは流路10c内への供給がそのままで、流路10cからのスクリューコンベヤ30による排出が少なくなるので、同じ容積内にケーキ量が増え続け圧密されることとなり、マテリアルシール性能は向上する。その状態で、排出は少なくなったとしても下流の焼却炉200への供給は続けられ、焼却炉200内の燃焼は継続しながらも燃料にあたるケーキ量が少なくなり、燃焼が穏やかになりその結果燃焼炉200内の主に空気や排ガスの熱による膨張が減少し、結果燃焼炉200内の圧力が減少する方向となる。
【0045】
なお、図2は、一例として論理制御の手法を用いる例を示しているが、他の制御手法を用いてもよい。例えば、ステップS22の処理では、スクリュー30cの回転数の変化を滑らかにするために、例えば、PID制御またはファジー制御等の線形制御(たとえばフィードバック制御)の手法が用いられてもよく、あるいは、フィードフォワード制御の手法が用いられてもよい。
【0046】
また、図2に示す処理では、回転数の最小値は、例えばゼロに設定されるが、回転数の最小値をゼロより小さく設定し、スクリュー30cを逆回転させてもよい。スクリュー30cを逆回転させる場合、スクリューコンベヤ30内のケーキは、流路10cに向けて移動するため、流路10cの圧力を、スクリューコンベヤ20による圧送力だけでなく、スクリューコンベヤ30の逆向きの圧送力を利用して高くすることができる。これにより、スクリュー30cを正回転させる場合に比べて、圧力差ΔPを迅速に圧力差設定値SV以上にすることができる。なお、回転数がゼロまたは予め設定された最小値になった場合、制御装置60は、回転数が制御可能な範囲を下回ったことを示す警報を制御装置60に接続される表示装置等に出力してもよい。
【0047】
駆動機30aによるスクリュー30cの回転数がゼロにまで下げられると、その上流にある圧送装置20により押し込まれるケーキは流路10c内への供給がそのままで、流路10cからのスクリューコンベヤ30による排出がゼロとなり、同じ容積内にケーキ量が増え続け図2の処理よりさらに圧密されることとなり、マテリアルシール性能は向上する。その状態で、排出はゼロとなり下流の焼却炉200への燃料供給が停止され、焼却炉200内の燃焼は継続しながらも燃料にあたるケーキ量が少なくなり、燃焼が穏やかになりその結果燃焼炉200内の主に空気や排ガスの熱による膨張が減少し、結果燃焼炉200内の圧力が減少する方向となる。
【0048】
駆動機30aによるスクリュー30cの回転数がさらにマイナスになると、その上流にある圧送装置20により押し込まれるケーキは流路10c内への供給がそのままで、流路10cへ下流側の燃焼炉200から押し戻されてスクリューコンベヤ30内のケーキが供給されることとなり、同じ容積内にケーキ量が増え続け図2の処理よりさらに圧密されることとなり、マテリアルシール性能は向上する。その状態で、排出はもちろんゼロとなり下流の焼却炉200への燃料供給が停止され、焼却炉200内の燃焼は継続しながらも燃料にあたるケーキ量が少なくなり、燃焼が穏やかになりその結果燃焼炉200内の主に空気や排ガスの熱による膨張が減少し、結果燃焼炉200内の圧力が減少する方向となる。
【0049】
一方、ステップS20で圧力差ΔPが圧力差設定値SV以上であると判定された場合、ステップS26において、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより大きいか否かを判定する。圧力差ΔPが圧力差設定値SVより大きい場合、ステップS28において、制御装置60は、スクリュー30cの回転数を所定数だけ上げるための制御信号MV1をスクリューコンベヤ30の駆動機30aに出力する。次に、ステップS30において、駆動機30aによりスクリュー30cの回転数が上げられ、図2に示す処理が終了する。なお、ステップS28の処理では、ステップS22の処理と同様に、PID制御またはファジー制御等のフィードバック制御の手法が用いられてもよく、あるいは、フィードフォワード制御の手法が用いられてもよい。
【0050】
なお、回転数が、予め設定された最大値、またはスクリューコンベヤ30で設定可能な最大値になった場合、制御装置60は、回転数が制御可能な範囲を上回ったことを示す警報を制御装置60に接続される表示装置等に出力してもよい。
【0051】
ステップS26で圧力差ΔPが圧力差設定値SVより大きくないと判定された場合、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVと等しいと判断し、図2に示す処理を終了する。この場合、スクリュー30cの回転数は、変更されることなく維持される。なお、制御装置60は、スクリュー30cの回転数を維持するための制御信号MV1をスクリューコンベヤ30の駆動機30aに出力してもよい。
【0052】
以上説明したように、図2によるスクリューコンベヤ30の制御では、スクリュー30cの回転数の増減により、スクリュー30cにより送られるケーキに掛かる圧力を微調節することで、ケーキにより形成されるマテリアルシールによる抵抗を連続的に変化させることができる。
【0053】
図3は、図1に示す供給システム100の動作の別の例を示す。すなわち、図3は、供給システム100の制御方法の一例を示す。図3では、図2のステップS20の代わりにステップS20Aが実行され、図2のステップS26の代わりにステップS26Aが実行される。その他の処理は、図2と同じである。
【0054】
ステップS20Aでは、制御装置60は、圧力差ΔPを、圧力差設定値SVより小さくかつ下限値LMTより大きい圧力差設定値SV1と比較する。そして、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより小さい場合、ステップS22の処理が実行され、圧力差ΔPが圧力差設定値SV1以上の場合、ステップS26の処理が実行される。
【0055】
ステップS26Aでは、制御装置60は、圧力差ΔPを圧力差設定値SVより大きい圧力差設定値SV2と比較する。そして、圧力差ΔPが圧力差設定値SV2より小さい場合、ステップS28の処理が実行され、圧力差ΔPが圧力差設定値SV2より大きい場合、処理は終了する。
【0056】
ところで、ケーキは、含水率が高いほど柔らかく、スクリューコンベヤ30内の柔らかいケーキは、焼却炉200内の圧力P2により流路10cに向けて逆流しようとする作用が強く働く。したがって、流路10c内の圧力P1は、ケーキの含水率が高いほど、圧力P2の影響を受けやすく、流路10c内の圧力P1と焼却炉200内の圧力P2との圧力差ΔPは、ケーキの含水率が高いほど小さくなりやすい。これは、沸点の低いケーキ内水分が燃焼炉200内部へ入る前に蒸発して水蒸気になるので、燃焼炉200側へ気体として逃げ、流路10c内でのケーキの圧密が進まないためと考えられる。
【0057】
圧力差ΔPが圧力差設定値SV(またはSV1)より小さくなった場合、スクリュー30cの回転数は下げられ、スクリューコンベヤ30内に滞留するケーキにより形成されるマテリアルシールによるシール性(抵抗)が高くなる。シール性の上昇により、気密空間である流路10c内の圧力P1が上がる。ここで、スクリュー30cを所定の回転数だけ下げた場合に変化する流路10c内の圧力P1の上昇量は、ケーキの含水率等、ケーキの性状により異なる。
【0058】
シール性が高くなるほど、ケーキの逆流を抑える能力が高くなり、スクリューコンベヤ30内のケーキが流路10cに向けて逆流する可能性が低くなる。すなわち、スクリュー30cの回転数を下げてシール性を高くすることで、焼却炉200内で発生する排ガス等の高温、高圧の物質が流路10c側に噴出することを防止することができ、伸縮継手12等の熱に弱い部品の焼損または劣化を防止することができる。
【0059】
一方、圧力差ΔPが圧力差設定値SV(またはSV2)より大きくなった場合、スクリュー30cの回転数は上げられ、スクリューコンベヤ30内に滞留するケーキにより形成されるマテリアルシールによるシール性が低くなる。シール性の低下により、流路10c内の圧力P1が下がる。ここで、スクリュー30cを所定の回転数だけ上げた場合に変化する流路10c内の圧力P1の下降量は、ケーキの含水率等、ケーキの性状により異なる。
【0060】
シール性が低くなるほど、ケーキの逆流を抑える度合いを示す抵抗が低くなるが、圧力差ΔPが下限値LMT以上に維持されるため、流路10cへのケーキの逆流や排ガスの噴出は発生しない。流路10cの圧力を、ケーキの逆流を抑止する最小限の圧力に維持することで、ケーキを流路10cに圧送するスクリューコンベヤ20に掛かる負荷が小さくすることができ、スクリューコンベヤ20の電力消費量を削減することができる。
【0061】
なお、スクリューコンベヤ20の回転数を可変にしてもよい。この場合、スクリュー20cの回転数は、制御装置60により制御される。例えば、制御装置60は、スクリューコンベヤ30の回転数を下げる場合に、スクリューコンベヤ20の回転数を上げることで、スクリューコンベヤ30の回転数のみを下げる場合に比べて、流路10cの圧力を迅速に上昇させることができる。また、制御装置60は、スクリューコンベヤ30の回転数を上げる場合に、スクリューコンベヤ20の回転数を下げることで、スクリューコンベヤ30の回転数のみを上げる場合に比べて、流路10cの圧力を迅速に下降させることができる。スクリューコンベヤ20以外の他の圧送装置が流路10cに設けられる場合にも、スクリューコンベヤ30によるケーキの押し込み能力を増減する制御に対応して、増減を逆にした制御を圧送装置に対して行うことで、流路10cの圧力を迅速に調節することができる。
【0062】
図4は、図1に示す制御装置60により制御されるスクリューコンベヤ30の回転数の変化の一例を示す。図4(A)は、図2のフローで示したように、圧力差ΔPを圧力差設定値SVと比較することで回転数を制御する例を示す。図4(B)は、図3のフローで示したように、圧力差ΔPを圧力差設定値SV1および圧力差設定値SV2とそれぞれ比較することで回転数を制御する例を示す。図4に示す例では、圧力差ΔPは、下限値LMTより小さくならないため、遮断機構40の遮断弁40bは遮断されない。
【0063】
図4(A)に示す制御では、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより大きい間、圧力差ΔPを圧力差設定値SVに近づけるために、スクリューコンベヤ30の回転数を徐々に上げる。また、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SVより小さい間、圧力差ΔPを圧力差設定値SVに近づけるために、スクリューコンベヤ30の回転数を徐々に下げる。すなわち、圧力差設定値SVは圧力差ΔPの目標値となる。図4に示す例では、回転数の増加量は、圧力差ΔPの増加率を加味して決められるため、圧力差ΔPの増加率が減ると、回転数の増加率も減る。同様に、回転数の減少量は、圧力差ΔPの減少率を加味して決められるため、圧力差ΔPの減少率が減ると、回転数の減少率も減る。
【0064】
図4(B)に示す制御では、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SV2より大きい間、圧力差ΔPを圧力差設定値SV2以下にするために、スクリューコンベヤ30の回転数を徐々に上げる。また、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SV1より小さい間、圧力差ΔPを圧力差設定値SV1以上にするために、スクリューコンベヤ30の回転数を徐々に下げる。さらに、制御装置60は、圧力差ΔPが圧力差設定値SV1以上で圧力差設定値SV2以下の間、スクリューコンベヤ30の回転数を維持する。すなわち、圧力差設定値SV1、SV2で示される範囲内が、圧力差ΔPの目標値である。なお、図4(B)に示す制御においても、回転数の増加量を圧力差ΔPの増加率を加味して決め、回転数の減少量を圧力差ΔPの減少率を加味して決めてもよい。
【0065】
図5は、スクリューコンベヤ30によりマテリアルシールを形成する場合と、コーンバルブによりマテリアルシールを形成する場合との圧力損失の変化の概要を示す。ここで、圧力損失は、ケーキにより形成されるマテリアルシールによる抵抗に対応するパラメータであり、抵抗が高い場合、圧力損失は高くなり、抵抗が低い場合、圧力損失は低くなる。
【0066】
図5(A)に示すように、スクリューコンベヤ30の回転数を制御する場合、圧力損失は、回転数に応じてほぼ線形に変化する。さらに、スクリューコンベヤ30を正回転する場合だけでなく逆回転した場合にも、圧力損失を制御することができるため、圧力損失の調節範囲を広くすることができる。スクリューコンベヤ30を逆回転した場合、圧力損失を、スクリューコンベヤ30の停止時(回転数=ゼロ)に比べて高くすることができる。また、例えば、スクリューコンベヤ30で搬送するケーキの含水率が低下した場合、圧力損失の特性は、圧力損失が高い側にシフトし、ケーキの含水率が上昇した場合、圧力損失の特性は、圧力損失が低い側にシフトするが、シフトした特性はほぼ線形に維持される。このため、スクリューコンベヤ30の回転数を制御する場合、搬送するケーキの性状にかかわりなく、スクリューコンベヤ30の回転数により、圧力損失を微調節することができ、ケーキによるマテリアルシールのシール性を微調節することができる。
【0067】
図5(B)は、比較例として、ケーキが搬送される流路の焼却炉側の端に、流路の軸長方向に移動可能なコーンバルブを配置する場合の圧力損失の変化の例を示す。例えば、コーンバルブが僅かに開き、流路の末端とコーンバルブとの間に隙間ができると、圧力損失は急激に低下する。特に、ケーキの含水率が高く、流動性が高いほど、圧力損失は急激に低下する。したがって、コーンバルブでは、圧力損失を微調節できず、調節範囲も狭い。また、ケーキの性状に合わせた制御を行うことが困難である。すなわち、コーンバルブでは、ケーキの性状に合わせて、ケーキによるマテリアルシールのシール性を微調節することができない。
【0068】
以上、第1の実施形態では、スクリューコンベヤ30の回転数を下げることで、スクリューコンベヤ30内のケーキによるマテリアルシールのシール性を高くすることができる。これにより、焼却炉200内で発生する排ガス等の高温、高圧の物質が流路10c側に噴出することを防止することができ、伸縮継手12等の熱に弱い部品の焼損または劣化を防止することができる。すなわち、下水汚泥のケーキ等のスラリー状物質を含む処理対象物を炉に供給する場合に、処理対象物によるマテリアルシールを確実に確保することができ、炉内から高温、高圧の物質が逆流することを防止することができる。換言すれば、スラリー状物質を炉に供給するスクリューコンベヤ30自体を用いて、圧送装置であるスクリューコンベヤ20に掛かる負荷を最小限にして、焼却炉200からの排ガス等の高温、高圧の物質の逆流を防止しつつ、ケーキを焼却炉200に連続的に安定して供給できる。
【0069】
また、スクリューコンベヤ30の回転数の増減することで、ケーキにより形成されるマテリアルシールによる抵抗を連続的に変化させることができる。さらに、スクリューコンベヤ30を逆回転させることで、流路10cの圧力を、スクリューコンベヤ20による圧送力だけでなく、スクリューコンベヤ30の逆向きの圧送力を利用して高くすることができる。これにより、圧力差設定値SVより下がった圧力差ΔPを迅速に圧力差設定値SV以上にすることができる。
【0070】
遮断機構40を設けることにより、スクリューコンベヤ30の不具合が発生した場合、あるいは、ケーキの含水率が異常に高くなった場合等にも、焼却炉200内で発生する排ガス等の高温の物質が流路10a側に噴出することを防止することができる。スクリューコンベヤ30の回転数を下げる場合に、スクリューコンベヤ20の回転数を上げることで、スクリューコンベヤ30の回転数のみを下げる場合に比べて、流路10cの圧力を迅速に上昇させることができる。同様に、スクリューコンベヤ30の回転数を上げる場合に、スクリューコンベヤ20の回転数を下げることで、スクリューコンベヤ30の回転数のみを上げる場合に比べて、流路10cの圧力を迅速に下降させることができる。
【0071】
図6は、第2の実施形態における供給システム102の一例を示す。図1に示した供給システム100と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0072】
図6に示す供給システム102は、図1に示す圧力計52、54および差圧演算器56の代わりに差圧計57を使用して圧力差ΔPを計測する。差圧計57を使用する場合、流路10cの圧力を計測するための配管58が流路10cを構成する配管に接続され、焼却炉200の圧力を測定するための配管59が焼却炉200の側壁に接続される。
【0073】
差圧計57は、配管58、59に接続され、配管58内の圧力P1と配管59内の圧力P2の差を計測し、圧力差実測値PV(ΔP)を示す信号として制御装置60に出力する。すなわち、差圧計57は、流路10cの圧力P1と焼却炉200内の圧力P2との圧力差PVを計測する。差圧計57は、圧力差PVを計測する計測機構の一例である。図6に示す供給システム102の動作は、差圧計57を使用して圧力差ΔPを計測することを除き、図1から図5で説明した動作と同様である。なお、図2および図3に示すステップS10は、圧力差ΔPを計測する差圧計57の処理に置き換えられる。第2の実施形態の供給システム102は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
図7は、第3の実施形態における供給システム104の一例を示す。図1に示した供給システム100と同じ要素については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0075】
供給システム104は、図1に示した供給システム100の流路10aの端部に、脱水された下水汚泥のケーキと、し渣・沈砂とを混合する混合機構70が設けられる。例えば、し渣は、下水に含まれる繊維状の物質であり、繊維、トイレットペーパー、髪の毛、食料残渣などを含む。沈砂は、下水に含まれる砂である。
【0076】
例えば、混合機構70は、一軸偏芯ポンプ80、フライトケースコンベヤ90および遮断機構42を有する。供給システム104の構成は、混合機構70を持ち、さらに圧送装置20はスクリューコンベヤ20に限定され、図1に示した遮断機構40を持たないことを除き、図1に示した供給システム100の構成と同じである。但し、図7に示す供給システム104では、ケーキと、し渣・沈砂とを確実に混合するために、2軸タイプのスクリューコンベヤ20を使用することが望ましい。
【0077】
一軸偏芯ポンプ80は、駆動機80aと、駆動機80aにより駆動される回転軸80bと、回転軸80bに取り付けられたローター80cとを有する。一軸偏芯ポンプ80は、ケーキの投入口14aに接続される流路14bに配置され、例えば、予め設定された回転数で回転するローター80cにより、投入口14aから投入されるケーキを流路14cに向けて圧送する。流路14cに圧送されたケーキは、スクリューコンベヤ20上に落下する。
【0078】
フライトケースコンベヤ90は、し渣・沈砂の投入口15aに接続される流路15bに配置され、例えば、投入口15aに投入されるし渣・沈砂を、予め設定された移動速度で流路15cに向けて搬送する。流路15cに搬送されたし渣・沈砂は、スクリューコンベヤ20上に落下する。スクリューコンベヤ20上に落下したケーキおよびし渣・沈砂は、スクリューコンベヤ20により混合され、流路10cに向けて圧送される。ここで、流路15b、15cの圧力は大気圧である。ケーキとし渣・沈砂との混合物は、焼却炉200で焼却する処理対象物の一例である。
【0079】
図7に示す太線は、ケーキ、し渣・沈砂、またはケーキとし渣・沈砂との混合物の流路を示している。流路14b、14cは、ケーキの投入口14aと流路10aを形成する配管との間を接続する配管内に形成される。流路15b、15cは、し渣・沈砂の投入口15aと流路10aを形成する配管との間を接続する配管内に形成される。
【0080】
遮断機構42は、制御装置60からの制御信号MV2に応じて動作する駆動機42aと、駆動機42aにより駆動されて、流路15bと流路15cとの間を遮断または開放する遮断弁42bとを有する。遮断弁42bは、流路15cに設けられ、制御信号MV2に応じて流路15cを遮断可能である。例えば、遮断弁42bは、スライド弁であるが、流路15bと流路15cとの間を遮断または開放する機能を有するボール弁等の他の弁を使用してもよい。
【0081】
制御装置60は、図1と同様に、圧力差ΔPが下限値LMTより小さい場合、遮断機構42の遮断弁42bを閉じるための制御信号MV2を駆動機42aに出力する。また、制御装置60は、圧力差ΔPが下限値LMT以上の場合、遮断機構42の遮断弁42bを開くための制御信号MV2を駆動機40aに出力する。遮断弁42bを、流路10cではなく、し渣・沈砂のみが搬送される流路15cに設けることで、遮断弁42bが閉じている間も、圧送装置80から送給されるケーキをスクリューコンベヤ20により流路10cに圧送し、焼却炉200に投入することができる。また、圧力差ΔPが下限値LMTより小さくなったことに基づいて遮断弁42bが遮断された後に、流路に搬送されるケーキにより流路10cの圧力P1を上昇させることができる。遮断弁42bが閉じた後、流路14c、15cは、一軸偏芯ポンプ80とスクリューコンベヤ20と遮断弁42bとにより密閉された状態になるため、大気圧とは異なる圧に保つことができる。圧力P1の上昇により、圧力差ΔPが下限値LMT以上になった場合、遮断弁42bが開放されるため、し渣・沈砂をスクリューコンベヤ20に再び供給することができる。
【0082】
なお、遮断機構42の代わりに、図1と同様に、遮断機構40を流路10cに設けてもよい。あるいは、遮断機構42と図1に示した遮断機構40との両方を、流路15cと流路10cとのそれぞれに設け、遮断機構40の遮断弁40bを、供給システム104を含む設備の停止時に遮断してもよい。同様に、設備の停止時に遮断する遮断弁を流路14cに設けてもよい。
【0083】
図7に示す供給システム104の動作は、図1から図5で説明した動作と同じである。すなわち、制御装置60は、図2または図3に示した制御フローを実行し、図4に示したように、スクリューコンベヤ30の回転数を制御する。なお、図7に示す供給システム104においても、差圧演算器56の機能を制御装置60により実現してもよく、図1に示す圧力計52、54および差圧演算器56の代わりに、図5に示した差圧計57を使用して圧力差ΔPを計測してもよい。
【0084】
以上、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、スクリューコンベヤ30の回転数を下げることで、スクリューコンベヤ30内のケーキとし渣・沈砂との混合物によるマテリアルシールのシール性を高くすることができる。この結果、焼却炉200内で発生する排ガス等の高温、高圧の物質が流路10c側に噴出することを防止することができ、伸縮継手12等の熱に弱い部品の焼損または劣化を防止することができる。
【0085】
さらに、第3の実施形態では、遮断弁42bを遮断した場合にも、ケーキの焼却炉200への供給を継続することができ、ケーキの焼却を継続することができる。また、遮断弁42bの遮断後に流路10cに圧送されるケーキにより、流路10cの圧力P1を上昇させることができる。圧力P1の上昇により、圧力差ΔPが下限値LMT以上になった場合、遮断弁42bが開放されることで、し渣・沈砂をスクリューコンベヤ20に再び供給することができる。
【0086】
なお、上述した供給システム100、102、104は、下水汚泥のケーキ以外の処理対象物を、焼却炉200以外の炉に供給するために使用されてもよい。例えば、供給システム100、102、104は、バイオマスケーキを高圧の反応炉に供給するために使用されてもよく、スラリー状物質や水分を含む樹脂粉末等を乾燥炉または加熱炉等に供給するために使用されてもよい。すなわち、供給システム100、102、104は、スラリー状物質等の処理対象物やスラリー状物質等を含む処理対象物を、処理対象物を処理する処理用容器に供給するために使用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10a、10b、10c…流路;10e…投入口;14a…投入口;14b、14c…流路;15a…投入口;15b、15c…流路;20…圧送装置(スクリューコンベヤ);30…スクリューコンベヤ;40、42…遮断機構;52、54…圧力計;56…差圧演算器;57…差圧計;58、59…配管;60…制御装置;70…混合機構;80…一軸偏芯ポンプ;90…フライトケースコンベヤ;100、102、104…供給システム;200…焼却炉;LMT…下限値;MV1、MV2…制御信号;PV(ΔP)…圧力差実測値;SV…圧力差設定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7