(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】患者モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018102906
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511180259
【氏名又は名称】ビジョン アールティ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ダニエル メイアー
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン ロジャー ウィリアム バレット
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531289(JP,A)
【文献】特開2015-019693(JP,A)
【文献】特表2016-524983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線経路に沿って放射線を給送するよう動作可能な治療装置に対する患者の位置決めをモニタリングするモニタリングシステムであって、
モニタリングされる前記患者の表面のモデルを生成するように動作可能であるモデル生成モジュールと、
標的表面のモデルを格納するように動作可能である標的モデル記憶装置と、
前記モデル生成モジュールによって生成される前記患者の前記表面のモデルを前記標的モデル記憶装置内に格納される前記標的表面のモデルと一致させるのに必要とされる変換を決定するように動作可能である比較モジュールと、
前記比較モジュールによって決定される前記変換及び前記治療装置の現在位置を示すデータを利用して、前記患者に適用される前記治療装置によって生成される放射線のための決定される現在の放射線経路に対応する軸に対
して法線方向における前記患者の前記表面の
動きの程度を示すオフセット値を決定するように動作可能である、オフセット決定モジュールとを含む、
モニタリングシステム。
【請求項2】
当該モニタリングシステムは、前記治療装置の位置及び向きをモニタリングして、前記治療装置によって生成される放射線の前記現在の放射線経路を決定するように構成される、請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項3】
当該モニタリングシステムは、前記治療装置からデータを受信するように動作可能であり、当該モニタリングシステムは、前記治療装置の位置及び向きを決定して、受信するデータに基づいて前記治療装置によって生成される放射線の前記現在の放射線経路を決定するように構成される、請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項4】
前記オフセット決定モジュールは、
前記患者に適用される前記治療装置によって生成される放射線のための決定される現在の放射線経路に対応する軸に加えて又はそのような軸の代わりに、前記患者が照射される位置及び向きを特定する治療計画から前記治療装置によって生成される放射線の
ための推定される前記現在の放射線経路に対応する軸
に対して法線方向における前記患者の前記表面の動きの程度を示すオフセット値を決定するように動作可能である、請求項1に記載のモニタリングシステム。
【請求項5】
前記オフセット決定モジュールは、前記現在の放射線経路に対応する前記軸に対して法線方向において標的表面
の重心と生成されるモデル表面の重心との間のオフセットを示すオフセット値を決定するように動作可能である、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項6】
前記オフセット決定モジュールは、生成される表面を
標的表面のモデ
ルと一致させるための計算される変換に対応するベクトルの係数に対応するオフセット値を決定するように動作可能であり、前記ベクトルの係数は、
前記ベクトルの大きさに対して、前記治療装置によって生成される放射線の前記決定される現在の放射線経路と前記ベクトルとの間の角度に対応する角度のサインによって乗算される、請求項5に記載のモニタリングシステム。
【請求項7】
前記
オフセット値は、標的領域と生成される放射線ビームとの間のオーバーラップ度を示
す値を
含む、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項8】
前記オフセット決定モジュールは、前記比較モジュールによって決定される前記変換及び前記治療装置の現在位置を示すデータを利用して、前記患者の体を通じる放射線ビームの通過をモデル化して、患者が
前記放射線経路に対して法線方向に位置ずれしたか否かを決定するように構成される、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項9】
モニタリングされる前記患者の前記表面を撮像するように動作可能であるカメラシステムを更に含み、前記モデル生成モジュールは、前記カメラシステムによって取得される画像を処理して、モニタリングされる前記患者の前記表面のモデルを生成するように動作可能である、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項10】
前記カメラシステムは、
外部光源によって前記患者の前記表面に投射される光のパターンを撮像するように動作可能である、請求項9に記載のモニタリングシステム。
【請求項11】
前記光のパターンは、構造光を含み、前記モデル生成モジュールは、前記カメラシステムによって取得される前記患者の画像を処理して、前記患者の前記表面上の前記投射される光のパターンの決定に基づいてモニタリングされる前記患者の前記表面のモデルを生成するように動作可能である、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
前記カメラシステムは、立体視カメラシステムを含み、前記光のパターンは、準無作為的なスペックルパターンを含み、前記モデル生成モジュールは、前記立体視カメラシステムによって取得される前記患者の画像を処理して、モニタリングされる前記患者の前記表面上の地点に対応する立体視画像の部分の間の一致を特定し、且つ該一致する部分を利用してモニタリングされる前記患者の前記表面のモデルを生成するように動作可能である、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記モデル生成モジュールは、前記患者の前記表面に投射される前記光による前記患者の部分の照明
と前記投射される光の画像の受信
との間の相対的なタイミングに基づく前記患者と前記カメラシステムとの間の相対的な距離の決定に基づいて、モニタリングされる前記患者の前記表面のモデルを生成するように動作可能である、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
前記カメラシステムは、前記治療装置の画像を取得し、前記画像を処理して前記現在の放射線経路に対応する軸の向きを決定するように、動作可能である、請求項9乃至13のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステム。
【請求項15】
指令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記指令は、プログラム可能なコンピュータによって解釈されるときに、前記コンピュータが、請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のモニタリングシステムとして構成されるようになるようにさせる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者モニタリングシステムに関する。より具体的には、本出願の実施形態は、患者の位置決め(positioning)をモニタリング(監視)することに関し、適切な場合には、患者が動いて位置ずれしたことが見出されるならば、警告信号を生成し或いは処置を停止することに関する。本発明は、患者の動きの正確な位置決め及び検出が治療の成功に重要である放射線療法デバイス等との使用に特に適している。
【背景技術】
【0002】
放射線療法は、患者の体内に存在する腫瘍を破壊し或いは排除するために患者の体の所定の領域に放射線ビームを投射することからなる。そのような治療は、普通、周期的に且つ反復的に実行される。各医療介入で、放射線源は、放射線ビームが有害である隣接組織を照射するのを避けるよう、可能な最高の精度で選択的な領域を照射するために、患者に対して位置付けられなければならない。患者の動きが検出されるならば、腫瘍場所以外の患者の領域を照射するのを避けるために、治療は停止されなければならない。
【0003】
Vision RTの以前の特許及び特許出願、即ち、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されているような、放射線療法中に患者を位置決めすること及び患者の動きをモニタリングすることを支援する多数のモニタリングシステムが提案されており、それらの特許文献の全てを本明細書中に参照として援用する。Vision RTの特許出願に記載されるシステムでは、患者の立体視画像を取得し且つ処理して、撮像される患者の表面上の地点に対応する多数の地点の3D位置を特定するデータを生成する。そのようなデータを以前の機会に生成したデータと比較することができ、一貫した方法で患者を位置決めるために或いは患者が動いて位置ずれするときに警告を提供するためにそのようなデータを用いることができる。典型的には、そのような比較は、プロクラステス分析(Procrustes analysis)を行って、生画像に基づいて生成されるデータによって特定される患者の表面上の地点と以前の機会に生成されたデータによって特定される患者の表面上の地点との間の位置の差を最小限に抑える変換(transformation)を決定することを含む。次に、患者を位置決めするときには、その変換を利用して、患者を再位置決めする指令を生成することができる。治療中、その変換を使用して、患者が位置ずれしているときを特定し、患者が閾量よりも多い量だけ位置ずれしているならば、警告を生成し且つ/或いは治療を停止する。
【0004】
警告を生成するための又は治療を停止するための適切な閾値を決定することは困難である。閾値が低すぎるレベルに設定されるならば、治療は不必要に停止されることがある。逆に、高すぎる閾値を設定することは、誤って方向付けられる放射線ビームをもたらし、腫瘍よりもむしろ健康な組織が治療デバイスによって照射されることがある。従って、この問題に対処する患者をモニタリングする仕方の改良が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,348,974号明細書
【文献】米国特許第7,889,906号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/265852号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、放射線経路に沿って放射線を給送するよう動作可能な治療装置に対する患者の位置決めをモニタリングするモニタリングシステムが提供され、モニタリングシステムは、モニタリングされる患者の表面のモデルを生成するように動作可能であるモデル生成モジュールと、標的表面のモデルを格納するように動作可能である標的モデル記憶装置と、モデル生成モジュールによって生成される患者の表面のモデルを標的モデル記憶装置内に格納される標的表面のモデルと一致させるのに必要とされる変換を決定するように動作可能である比較モジュールと、比較モジュールによって決定される変換及び治療装置の現在位置を示すデータを利用して、患者に適用される治療装置によって生成される放射線のための決定される現在の放射線経路に対応する軸に対する患者の表面のオフセットを示すオフセット値を決定するように動作可能である、オフセット決定モジュールとを含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、オフセット値は、現在の放射線経路に対応する軸に対して法線方向の方向において標的表面及び生成されるモデル表面の重心(centroid)の間のオフセットを示す値を含んでよい。他の実施形態において、オフセット値は、標的領域と生成される放射線ビームとの間のオーバーラップ度(degree of overlap)を示す値を含んでよい。
【0008】
一層更なる実施形態において、オフセット決定モジュールは、決定される変換及び治療装置の現在位置を示すデータを利用して、患者の体を通じる放射線ビームの通過をモデル化して、患者が患者に有害である可能性が高い仕方で動いて位置ずれしたか否かを決定するように構成されてよい。
【0009】
幾つかの実施形態において、モニタリングシステムは、治療装置の位置及び向きをモニタリングして、治療装置によって生成される放射線の現在の放射線経路を決定するように構成されてよい。
【0010】
幾つかの実施形態において、モニタリングシステムは、治療装置からデータを受信するように動作可能であってよく、モニタリングシステムは、治療装置の位置及び向きを決定して、受信するデータに基づいて治療装置によって生成される放射線の現在の放射線経路を決定するように構成されてよい。治療装置から受信するデータは、治療装置が採用するように指示された位置及び向きを特定するデータを含んでよい。代替的に、他の実施形態において、治療装置は、治療装置の位置決め及び向きをモニタリングするために、治療装置内にサーボ、ステッパーモータ又は運動検出器のような、モニタリングデバイスを含んでよい。
【0011】
代替的に、他の実施形態では、治療装置によって生成される放射線の現在の放射線経路に対応する軸が、患者が照射されるべき位置及び向きを特定する治療計画から推定されてよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、モニタリングシステムは、モニタリングされる患者の表面を撮像するように動作可能であるカメラシステムを含んでよく、モデル生成モジュールは、カメラシステムによって取得される画像を処理して、モニタリングされる患者の表面のモデルを生成するように動作可能であってよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、カメラシステムは、治療装置の画像を取得して、その画像を処理して現在の放射線経路に対応する軸の向きを決定するように構成されてよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、カメラシステムは、患者の表面に投射される光のパターンを撮像するように動作可能であるカメラシステムを含んでよい。光源は、幾つかの実施形態において、レーザ光源を含んでよく、光の投射パターンは、赤外光のパターンを含んでよい。
【0015】
幾つかの実施形態において、光のパターンは、スペックルパターンを含んでよく、カメラシステムは、立体視カメラシステムを含んでよい。そのような実施形態において、モデル生成モジュールは、スペックルパターンが投射されるカメラシステムによって取得される立体視画像中に現れる表面の対応する部分を特定することによって、カメラシステムによって取得される画像中に現れる表面のモデルを生成するように構成されてよい。
【0016】
他の実施形態において、光のパターンは、線又は格子又は他の所定の光のパターンの形態の構造光を含んでよく、モデル生成モジュールは、カメラシステムによって取得される画像中のパターンの変形に基づいてカメラシステムによって取得される画像中に現れる表面のモデルを生成するように動作可能であってよい。
【0017】
代替的に、カメラシステムは、モデル生成モジュールが、光源のアクティブ化に対する表面から反射される光の画像の取込みのタイミングに基づいて、カメラシステムによって取得される画像中に現れる表面のモデルを生成するように動作可能である、飛行時間型カメラシステムを含んでよい。
【0018】
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に従った患者モニタの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1の患者モニタのカメラシステムの正面斜視図である。
【
図3】
図1の患者モニタのコンピュータシステムの概略的なブロック図である。
【
図4】患者を通じる放射線ビームの通過の概略的な例示である。
【
図5】患者を通じる放射線ビームの通過の概略的な例示である。
【
図6】患者を通じる放射線ビームの通過の概略的な例示である。
【
図7】患者を通じる放射線ビームの通過の概略的な例示である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態に従った患者モニタの概略的な正面斜視図である。この実施形態によれば、配線(図示せず)によってコンピュータ14に接続される立体視カメラ10のセットが提供される。コンピュータ14は、放射線療法を適用するために線形加速器のような治療装置16にも接続される。機械的カウチ18が、治療装置の部分として提供され、治療中に患者が機械的カウチ18の上に横たわる。治療装置16及び機械的カウチ18は、コンピュータ14の制御の下で、機械的カウチ18及び治療装置16の相対的な位置が、カウチに隣接する矢印によって図面中に示すように、横方向に、垂直に、長手に及び回転的に変更されてよいように、構成される。
【0021】
治療装置16は、本体22を含み、ガントリ24が本体22から延びる。コリメータ26が、治療装置16の本体22から遠隔にガントリ24の端に設けられる。放射線が患者20を照射する角度を変更するために、ガントリ24は、コンピュータ14の制御の下で、治療装置16の本体22の中心を通過する軸について回転するように構成される。加えて、治療装置による照射の場所は、ガントリ24の端でコリメータ26を回転させることによって変更されてもよい。
【0022】
使用中、立体視カメラ10は、機械的カウチ18の上に横たわる患者20のビデオ画像を取得する。これらのビデオ画像は、配線を介してコンピュータ14に送られる。次に、コンピュータ14は、患者20の画像を処理して、患者の表面のモデルを生成する。このモデルは、以前の治療セッション中に生成された患者のモデルと比較される。患者を位置決めするとき、現在のモデル表面と以前のセッションから取得された標的モデル表面との間の差が特定され、それらの表面を整列させるのに必要な位置決め指令が決定され、機械的カウチ18に送信される。
【0023】
引き続き、治療中、初期的な設定からのあらゆる偏差を特定することができ、偏差が閾値よりも大きいならば、コンピュータ14は、治療装置16に指令を送信して、患者20を再位置決めすることができるまで治療を停止させる。
【0024】
しかしながら、必ずしも全ての動きが治療部位への放射線の適用に対して有害な効果を有するとは限らない。治療装置16によって生成される放射線ビームの経路と整列させられる動作は、一般的に、治療の有効性に対して僅かな影響を有する。何故ならば、放射線は依然として治療部位に適用されるからである。むしろ、そのような動きは治療部位を放射線源により接近させる効果又は放射線源から更に離れさせる効果を有するに過ぎない。対照的に、放射線ビームの経路に対して法線方向の動作は、恰もそのような動作が起こるかのような極めて有意な影響を有し得る。これは放射線ビームが治療部位を照射し損なうようにさせ、代わりに隣接する健康な組織を照射するようにさせ得る。
【0025】
この実施形態では、患者20をモニタリングすることに加えて、モニタリングシステムは、ガントリ24及びコリメータ26の場所及び向きもモニタリングして、治療装置16の現在の向きを決定し、それにより、治療装置16によって患者20に適用される放射線ビームの向きを決定する。次に、放射線ビームの決定される向き及び患者の表面を予め格納された標的表面と一致させるために決定される計算された変換(transform)を利用して、患者20が動いて位置ずれする程度を患者20に有害である可能性が高い仕方で特定するオフセット測定値を計算することができる。次に、このオフセット値を閾値と比較して、患者の動作が警告を生成すること又は治療を停止することを正当化するのに十分であるか否かを決定することができる。
【0026】
よって、このようにして、患者動作の絶対的な測定値に基づいて警告を生成すること又は治療を停止することよりもむしろ、モニタリングシステムは、治療装置16の向き、故に、治療装置16によって患者に適用される放射線の向きに対する測定値を決定する。
【0027】
コリメータ26、ガントリ24、及び治療装置の本体の表面にそれぞれ取り付けられる多数のマーカ30-37を提供することによって、治療装置16及び患者20の相対的な位置のモニタリングを容易化することができる。適切な光源を備える立体視カメラシステム10を提供し、マーカを反射的にすることによって、閾化作業(thresholding operation)を遂行することによりマーカ30-37に対応する画像の部分を特定することが可能になる。これはマーカ30-37に対応する画像の部分が急速に特定されることを可能にする。治療装置16の予想される又はモニタリングされる位置を使用して、追加的に、マーカ30-37が見られることが予期される画像の予期される部分を特定することによって、マーカ30-37に対応する画像の部分を特定する画像の処理を容易化することができる。
【0028】
マーカ30-37の位置決め及びフォーマットは、異なる時に不明瞭である治療装置16の異なる部分を考慮するよう選択される必要がある。
【0029】
マーカ30-37の1つの適切な配置は、マーカ30-37を以下のように置くことである。
【0030】
治療装置の本体に対するガントリ24の回転をトラッキング(追跡)するために、2つのマーカがガントリヘッドに置かれてよく(それらのマーカのうちの1つは
図1で見えないが、
図1で見えるマーカ30に対して相応的に対称的な位置にある、ガントリ24の遠隔側に位置付けられている)、2つのマーカ32,33が、治療装置16の本体22に隣接する治療装置の本体部分に置かれてよく、それにより、マーカ30-33は、正方形又は長方形の4つの隅を特定する。4つのマーカ30-33のこの配置は、3つ又はそれよりも多くのマーカが、常に、
図1に例示されるような治療装置16の反対側に置かれる立体視カメラシステム10の視野内にあることを保証する。立体視カメラシステム10のカメラのカメラ平面がガントリ24の回転平面と実質的に整列させられる
図1に例示されるような配置において、ガントリ24の回転をトラッキングするために用いられるマーカ30-33は、立体視カメラシステム10によって見られる治療装置表面に貼り付けられる反射性材料からなる個々の接着性ステッカであり得る。立体視カメラシステム10のカメラのカメラ平面及びガントリ24の回転平面の整列は、トラッキングを単純化する。何故ならば、ガントリ24の回転は、マーカ30-33の見かけの位置を変化させるに過ぎず、マーカ30-33の見かけの大きさ及び形状を変化させないからである。
【0031】
ガントリ24の回転をモニタリングし得る精度を最大にするために、好ましくは、マーカ30-33の形状及び外観は、立体視カメラシステム10によって取得される画像中に現れるときのマーカ30-33の中心を容易に決定し得るような形状及び外観でなければならない。この実施形態において、これは円形マーカを利用して画像データを処理して撮像されるマーカ30-33の中心を特定することによって達成される。
【0032】
立体視カメラシステム10のカメラのカメラ平面がガントリ24の回転平面と実質的に整列させられるコリメータ26の場合、コリメータ26は、立体視カメラシステム10のカメラのカメラ平面に対して直角である平面内で回転するように配置される。これは、コリメータ26が回転するときに、コリメータ26の異なる部分が立体視カメラシステム10の視野内に提示されることを意味する。このため、コリメータ26の回転をトラッキングするために、好ましくは、コリメータ26上に存在するマーカ34-37は、マーカ34-37又は特定のパターンの存在又は不存在がコリメータ26の回転位置が推測されるのを可能にし得るよう、特有のパターン(distinctive patterns)でグループ分けされなければならない。よって、例えば、マーカ34-37は、僅かに異なるパターンにおいて、コリメータ26の外周の周りに均等に離間させられた、4つのグループに配置されてよく、例えば、1つのグループは、単一のマーカ37で構成されてよく、1つのグループは、互いに直ぐ隣接する2つのマーカ36,37で構成されてよく、他のグループは、離間させられた2つのマーカ34,35で構成されてよく、第3のグループは、他のグループの1つに対してコリメータ26の反対側にある(図面に示していない)3つのマーカで構成されてよい。例示の実施形態において、これは離間したマーカ34,35のペアの反対側にあり且つそれらから遠隔のコリメータ26の側にある。このようにして、2つのグループのマーカが見えるときにはいつでも、グループの同一性(identity)を特定することができ、コリメータの回転位置は、見えるマーカの見かけの位置及び見えるグループの同一性から推定される。
【0033】
ガントリ24の回転をトラッキングするマーカ30-33と同様に、好ましくは、マーカ34-37の形状及び外観は、コリメータ26の回転をトラッキングするマーカ34-37の中心も容易に決定されなければならないような形状及び外観でなければならない。コリメータ26の回転は、立体視カメラシステム10のカメラのカメラ平面に対するコリメータ26上のマーカ34-37の場所、距離及び向きを変更するので、マーカ34-37の形状及び外観は、コリメータ26が回転させられるのに応じて変動する。球形マーカを利用することによってこの変動を減少させることができる。何故ならば、マーカの見かけの形状ではなく見かけの大きさのみが変わるからであり、故に、マーカの中心の場所の特定を単純化するからである。
【0034】
図2は、
図1の患者モニタの立体視カメラシステム10の正面斜視図である。
【0035】
この実施形態において、カメラシステム10は、ヒンジ44を介してブラケット42に接続されるハウジング41を含む。ブラケット42は、カメラシステム10が治療室の天井に対する固定的な場所に取り付けられるのを可能にするのに対し、ヒンジ44は、カメラシステム10の向きが、カメラシステム10が機械的カウチ18上の患者20を見るように配置されるよう、ブラケット42に対して方向付けられるのを許容する。
【0036】
一対のレンズ46が、ハウジング41の正面48の両端に取り付けられている。これらのレンズ46は、ハウジング41内に収容されるCMOSアクティブ画素センサ又は電荷結合デバイス(図示せず)のような画像検出器の正面に位置付けられる。画像検出器は、レンズ46を介して患者20の画像を取り込むために、レンズ46の背後に配置される。
【0037】
LED光源50のセットが、各々のレンズ46の外周の外側の周りに位置付けられている。LED光源50は、カメラシステム10の視野、具体的には、治療装置16に取り付けられる逆反射性マーカ30-37を照らすように方向付けられる。
【0038】
この実施形態では、スペックル投射器52が、2つのレンズ46の間で、ハウジング41の正面48の中央に設けられている。患者20の画像が2つの画像検出器によって取り込まれるときに、取り込まれる画像の対応する部分を区別することができるように、スペックル投射器52は、非反復的なスペックルパターン(speckled pattern)の赤外光で患者20を照らすように構成される。その目的を達成するために、スペックル投射器52は、LEDのような光源(light source)と、無作為なスペックルパターンを備える膜(film)とを含み、膜の上にはスペックルパターンが印刷される。使用中、光源からの光は膜を介して投射され、その結果、明るい領域と暗い領域とで構成されるパターンが患者20の表面に投射される。投射されるスペックルパターンの画像がカメラシステム10によって取り込まれるときに、画像を処理して患者の表面上の地点のセットの位置を決定することができ、故に、患者の位置決めをモニタリングすることができる。
【0039】
図3は、
図1の患者モニタのコンピュータ14の概略的なブロック図である。
【0040】
コンピュータ14が立体視カメラ10から受信する画像を処理するために、コンピュータ14は、ディスク54上に提供されるソフトウェアによって或いは通信ネットワークを介して多数の機能モジュール56-68への電気信号55を受信することによって構成される。
図3に例示する機能モジュール56-68は、請求項の発明の作動の理解を助けるために純粋に概念的(notional)であり、特定の実施形態ではソフトウェアのためのソースコード中のコードのブロックと直接的に対応しないことがある。他の実施形態において、例示する機能モジュール56-68によって遂行される機能は、異なるモジュールの間で分割されてよく、或いは異なる機能のために同じモジュールの使用によって遂行されてよい。
【0041】
この実施形態において、機能モジュール56-68は、立体視カメラ10から受信する画像を処理する3D位置決定モジュール56と、3D位置決定モジュール56によって生成されるデータを処理し且つデータを撮像される表面の3Dワイヤメッシュモデルに変換するモデル生成モジュール58と、撮像される表面の3Dワイヤメッシュモデルを格納する生成モデル記憶装置60と、以前に生成された3Dワイヤメッシュモデルを格納する標的モデル記憶装置62と、生成されるモデルを標的モデルと一致させるのに必要とされる回転及び並進を決定する比較モジュール64と、治療装置の位置及び向きを決定し、それにより、治療装置が放射線のビームを生成する経路の向きを決定する、装置位置決定モジュール66と、比較モジュール64によって決定される変換及び装置位置決定モジュール66によって決定される放射線経路の向きに基づいてオフセット測定値を決定するよう動作可能なオフセット決定モジュール68とを含む。
【0042】
使用中、立体視カメラ10によって画像を取得するときに、これらの画像を3D位置決定モジュール56によって処理する。これらの処理は、3D位置決定モジュール56が患者20の表面上の画像のペア中の対応地点の3D位置を特定することを可能にする。これは、立体視カメラ10によって取得される画像のペア中の対応地点を特定し、次に、画像を取得するカメラの相対的な位置を特定する格納データ及び取得した画像のペア中の対応する地点の相対的な位置に基づいてそれらの地点についての3D位置を決定する、3D位置決定モジュール56によって達成される。
【0043】
典型的には、対応する地点の特定は、約16×16画素の画像パッチ(image patches)の分析に基づく。記載するような対応するパッチの特定及びマッチングを助けるために、立体視カメラ10は、患者20の表面の異なる部分をより容易に区別することができるよう、無作為な又は準無作為なスペックルパターン(speckle pattern)を撮像される患者20に投射するように構成される。スペックルパターンの大きさは、異なるパターンが異なる画像パッチ中で明らかであるように選択される。
【0044】
次に、3D位置決定モジュール56によって生成される位置データをモデル生成モジュール58に送り、モデル生成モジュール58は位置データを処理して、立体視カメラ10によって撮像される患者20の表面の3Dワイヤメッシュモデルを生成する。この実施形態において、3Dモデルは、モデルの頂点が3D位置決定モジュール56によって決定される3D位置に対応する、三角形ワイヤメッシュモデル(triangulated wire mesh model)を含む。そのようなモデルが決定されるとき、それは生成モデル記憶装置60内に格納される。
【0045】
患者20の表面のワイヤメッシュモデルを格納すると、比較モジュール64を次に呼び出して、立体視カメラ10によって取得されている現在の画像に基づく生成モデルと標的モデル記憶装置62内に格納されている以前に生成したモデル表面との間のマッチング並進及び回転を決定する。次に、決定した並進及び回転を機械的カウチ18に指令として送信して、カウチに、患者が以前に治療されたときと同じ治療装置16に対する位置に、患者20を位置付けさせる。
【0046】
治療中、立体視カメラシステム10は、患者20をモニタリングし続け、生成モデル記憶装置60中の患者の表面の生成モデルを更新する。同時に、立体視カメラ10は、治療装置16に取り付けられたマーカ34-37の画像も取得する。
【0047】
装置位置決定モジュール66は、立体視カメラシステム10によって取り込まれる画像を処理して、治療装置16に取り付けられたマーカ30-37に対応する画像の部分を特定するように構成される。次に、装置位置決定モジュール66は、画像の特定された部分を利用して、治療装置16の位置決めを決定することにより、治療装置によって生成される放射線ビームの向きを決定するように構成される。次に、オフセット決定モジュール68は、放射線ビームの決定された向き及び生成されるモデル表面と比較モジュール64によって生成される標的モデル記憶装置62内に格納される標的モデルとの間の比較を利用して、治療に悪影響を及ぼすことがある患者の動きの程度を示すオフセット値を決定する。
【0048】
患者の動きは、治療装置16が選択的な治療部位よりもむしろ健康な組織を照射するようにさせ得る。しかしながら、前述のように、患者の動きの絶対的な程度(absolute extent)は、患者の動きが治療部位への放射線の適用に対して有害な影響を有することがある或いは患者に対して悪影響を有する恐れがある程度を必ずしも良く示さない。
【0049】
図4及び
図5は、患者を通じる放射線ビームの通過の概略的な例示であり、ビーム向きと患者の動きと放射線の誤適用との間の関係を例示している。
【0050】
これらの図面では、矢印71によって示す方向に方向付けられた放射線ビーム70が標的腫瘍72に向かって向けられている。患者の動きの故に、標的腫瘍及び患者の表面73の実際の場所は、(
図4及び
図5に点線で示す)第1の位置から(
図4及び
図5に示す)新しい位置に動く。
図4の場合における動作は、放射線ビームの経路と実質的に平行な動作である。他方、
図5に例示する動作は、放射線ビームの経路に対して法線方向である。動きの程度及び方向は、矢印75及び矢印76によって示されている。
【0051】
図4及び
図5に示すように、
図4に矢印75の長さによって示す動きの絶対的な程度は、
図5に矢印76の長さによって示す動きの程度よりも大きい。しかしながら、
図4における動作の方向は放射線ビーム70の方向と実質的に平行であるので、
図4に例示する動きの絶対的な程度は
図5に示す動きの絶対的な程度よりも大きいが、
図5に例示するより小さな動作は、放射線ビーム70が標的腫瘍72を最早照射しないようにさせるのに対し、
図4において、標的腫瘍72は、放射線ビーム70によって依然として照射されている。
【0052】
患者の表面をモニタリングすること及び患者20の表面の生成モデルを治療部位を選択するために利用される患者のモデルと一致させるのに必要とされる変換を決定することは、モニタリングシステムが患者の表面73の動きの程度及び方向を特定するのを可能にし、含蓄的に関連する標的部位72の可能な動きを特定するのを可能にする。
【0053】
この実施形態では、オフセット決定モジュール68が、放射線ビームの決定された向き及び生成モデル表面を標的モデル記憶装置62内に格納された標的モデルと一致させるのに必要とされる決定された変換を特定するデータを受信するときに、オフセット決定モジュール68は、治療に悪影響を及ぼすことがある患者の動きの程度を示すオフセット値を決定する。
【0054】
単純な測定値は、現在の生成されているモデル表面を比較モジュール64によって計算される標的モデルと一致させるのに必要とされる計算される変換の方向及び大きさ並びに装置位置決定モジュール66によって計算される治療装置によって生成される放射線ビームの決定される向きに基づく測定値である。
【0055】
よって、例えば、1つの測定(measure)は、|α|sinθの形態の測定値(measurement)の決定であることができ、ここで、|α|は、生成モデル記憶装置60内に格納されている現在の生成された表面と比較モジュール64によって決定される標的モデル記憶装置62内に格納されている格納標的モデルとの間の最良適合(best fit)のための変換に対応するベクトルαの大きさであり、θは、比較モジュール64によって決定されるベクトルαと装置位置決定モジュール66によって決定されるような放射線ビームの向きと整列させられるベクトルとの間の角度である。
【0056】
本発明の他の実施形態では、現在の生成されている表面と格納されているモデルと放射線ビーム70の決定される向きとの間の最良適合に対応するベクトルから直接的に計算される単純なオフセット値というよりもむしろ、オフセット値のより複雑な決定を行うことができる。
【0057】
よって、例えば、幾つかの実施形態において、標的腫瘍72の形状及び容積をモデル化することができる。次に、放射線ビームの決定される向き及び変換に基づいて、標的腫瘍との放射線ビームの交差の推定される程度に基づいてオフセット値を決定することができる。
【0058】
そのような実施形態において、腫瘍72の動作は、患者の検出される表面の動作に基づく経路に従うと推定されることができる。そのような動作は、腫瘍をモニタリングされる表面に対して固定的な位置に置くと推定されることができ、或いは、代替的に、腫瘍の動きについての追加的な情報が入手可能である場合には、腫瘍72の動作のより複雑なモデルが使用されることができ、オフセット値は、そのようなモデルを利用して決定されることができる。
【0059】
多くの放射線治療装置は、放射線ビーム70の形状が変化させられるのを可能にするマルチリーフコリメータ(multi-leaf collimators)を含む。マルチリーフコリメータ又は放射線ビーム70の形状を変更する他の手段を含む治療装置16が提供される場合、標的腫瘍72との放射線ビーム70の交差の推定される程度の決定は、腫瘍への放射線ビームの推定される投射に基づく標的腫瘍の推定される交差に基づいてよく、推定される投射の形状は、放射線が患者に適用されるときのマルチリーフコリメータの配置に基づく。
【0060】
オフセット値を決定した後、オフセット値をコンピュータ14のスクリーン上に表示して、患者20の有害な動きの程度を技術者に知らせることができる。代替的に又は追加的に、コンピュータ14は、計算されるオフセットを閾値と比較して、計算されたオフセットが閾値を超えるならば、警告を発し或いは代替的に治療を停止するように構成されることができる。
【0061】
他の実施形態では、オフセット決定モジュール68が比較モジュールによって決定される変換及び治療装置の現在の位置を示すデータを利用してオフセット値を決定し且つその値を表示すること又はその値を利用して警告を発し或いは治療を停止することよりもむしろ、オフセット決定モジュール68は、比較モジュール64によって決定される変換及び治療装置の現在の位置を示すデータを代わりに利用して、患者の体を通じる放射線ビームの通過をモデル化して、患者が患者に有害である可能性が高い仕方で動いて位置ずれしたか否かを決定することができる。そのようなモデルは、患者の動きが、治療装置16が標的腫瘍を照射し損なうようにさせる可能性が高いか否かを決定することに加えて、オフセット決定モジュールが、治療装置が決定組織(critical tissue)を照射する恐れがあるか否かを決定し、それが起こる恐れがあるならば、警告をもたらし或いは治療を停止するのも可能にする。
【0062】
よって、例えば、
図6に示すように、治療計画は、標的腫瘍72が患者の表面73に対する特定の位置に位置付けられることを特定する画像に基づいてよい。この例において、標的腫瘍は、決定組織77に隣接して示されている。治療を計画するとき、放射線ビーム70は、決定組織77を照射せずに標的腫瘍72を照射するよう、放射経路71に沿って適用されることが想定される。
【0063】
引き続き、治療中、
図7に示すように、患者の表面73は、生成モデル記憶装置60内に格納される生成モデルと標的モデル記憶装置62内に格納される標的モデルとの間の比較に基づいて、僅かに動かされたと決定される。加えて、治療装置16の特定される位置は、治療計画中の治療装置16の予期される位置と比較された僅かな角度で患者を照射するよう特定されてよい。
【0064】
そのような状況では、生成モデル記憶装置60内に格納される生成モデルと標的モデル記憶装置62内に格納される標的モデルとを一致させるのに必要とされる変換に基づいて決定されるオフセット値が、標的腫瘍72の受け入れ可能な割合が放射線ビーム70の予期される経路内に依然として入るのを示すことがある。しかしながら、
図7に示すように、患者の動きと治療装置の不整列との組み合わせは、放射線ビーム70が決定組織77の部分を照射するようにさせることがある。
【0065】
患者のモデル化された表面を格納されたモデル表面に一致させるための決定された変換及び放射線ビームの向きを決定するために利用されるデータに基づいてオフセット値を計算することに加えて或いはその代替として、幾つかの実施形態において、決定される向き及び計算されるオフセットを利用して、患者を通じる放射線の通過をモデル化し、放射線ビームが腫瘍標的部位を照射するか否かに加えて、患者の動き及び/又はビーム向きの変動の結果として、放射線ビームが決定組織を照射するか否かを決定することができ、そのようなモデルを利用して警告及び/又は治療の停止を発することができる。
【0066】
上述の実施形態では、立体視カメラシステム10が光のパターンを患者の表面に投射して、立体視カメラシステム10によって取り込まれる立体視画像中に現れる患者20の対応する部分を特定する、モニタリングシステムを記載したが、他の形態の患者モニタリングシステムを用い得ることが理解されるであろう。
【0067】
よって、例えば、他の実施形態では、格子パターン又はレーザ光又は他の所定のパターンの光のような構造光のパターンを患者の表面に投射し、そのパターンが患者の表面に投射されるときに、そのパターンがどのように変形させられるかをモニタリングすることによって、患者20の位置をモニタリングすることができる。
【0068】
代替的に、他の実施形態では、光(典型的には赤外レーザ光)がモニタリングされる物体の表面に投射され、カメラと物体との間の距離が光のアクティブ化とカメラによる表面から反射される光の受光との間に要する時間によって決定される、飛行時間型カメラ(time of flight camera)を使用して、患者20及び/又は治療装置16をモニタリングすることによって、患者20の位置及び/又は治療装置16の向きを決定することができる。
【0069】
上述の実施形態では、立体視カメラシステム20を使用して患者20の位置と治療装置16の位置及び向きとをモニタリングするが、治療装置16の位置及び向きを他の方法においてモニタリングし得ることが理解されるであろう。よって、例えば、治療装置16内の動作検出器、ステッパーモータ又はサーボからのフィードバックを使用して、治療装置16の位置及び向きを決定することができる。
【0070】
代替的に、治療装置16の位置及び向きをモニタリングすることよりもむしろ、患者20を治療する治療計画に基づく時間の特定の地点で治療装置の推定される位置及び向きに基づきオフセット測定値を得ることができる。
【0071】
図面を参照して記載した本発明の実施形態は、コンピュータ装置及びコンピュータ装置において実行されるプロセスを含むが、本発明は、コンピュータプログラム、特に、本発明を実施するために適合させられるキャリア(carrier)上の又は内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソース若しくはオブジェクトコードの形態又は本発明に従ったプロセスの実装における使用に適した任意の適切な形態にあってよい。
【0072】
例えば、キャリアは、ROM、例えば、CD-ROM若しくは半導体ROMのような、記憶媒体、又は磁気記録媒体、例えば、フロッピーディスク若しくはハードディスクを含んでよい。更に、キャリアは、電気ケーブル又は光ケーブルを介して或いは無線又は他の手段によって伝えられてよい電気信号又は光信号のような送信可能なキャリアであってよい。プログラムが、ケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって直接的に伝えられてよい信号において具現されるとき、キャリアは、そのようなケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成されてよい。代替的に、キャリアは、プログラムが埋設される集積回路であってよく、集積回路は、関連するプロセスを実行するために或いは関連するプロセスの実行における使用のために適合される。
【符号の説明】
【0073】
10 立体視カメラ(stereoscopic cameras)
14 コンピュータ(computer)
16 治療装置(treatment apparatus)
18 機械的カウチ(mechanical couch)
20 患者(patient)
22 本体(main body)
24 ガントリ(gantry)
26 コリメータ(collimator)
33-37 マーカ(markers)
41 ハウジング(housing)
42 ブラケット(bracket)
44 ヒンジ(hinge)
46 レンズ(lenses)
48 正面(front surface)
50 LED光源(LED lights)
52 スペックル投射器(speckle projector)
54 ディスク(disk)
55 電気信号(electrical signal)
56 3D位置決定モジュール(3D position determination module)
58 モデル生成モジュール(model generation module)
60 生成モデル記憶装置(generated model store)
62 標的モデル記憶装置(target model store)
64 比較モジュール(comparison module)
66 装置位置決定モジュール(apparatus position determination module)
68 オフセット決定モジュール(offset determination module)
70 放射線ビーム(radiation beam)
71 矢印/放射経路(arrow/radiation path)
72 標的腫瘍/標的部位(target tumor/target site)
73 表面(surface)
75-76 矢印(arrows)