(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】トイレ用設備機器及びトイレ用設備機器の配置構造
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20221012BHJP
A47K 10/32 20060101ALI20221012BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221012BHJP
H05K 5/02 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
E03D9/08 A
A47K10/32
H04Q9/00 301D
H04Q9/00 371A
H05K5/02 E
(21)【出願番号】P 2018124434
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】香川 元輝
(72)【発明者】
【氏名】川原 渉
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163588(JP,A)
【文献】特開2009-047331(JP,A)
【文献】特開2005-192047(JP,A)
【文献】特開平11-206615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0018067(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
A47K 10/18、10/32
H04Q 9/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられるホルダーと、前記ホルダーに対してねじ止めされることにより前記壁面に取り付けられる設備機器本体と、を有するトイレ用設備機器であって、
前記ホルダーは、前記設備機器本体の下面に対して斜めに傾斜するように配置される固定片を有し、
前記設備機器本体は、前記固定片の傾斜に沿う傾斜壁面を前記下面に有し、
前記固定片及び前記傾斜壁面は、前記設備機器本体の左右方向に沿って傾斜しており、
前記設備機器本体が前記ホルダーに装着されることにより前記傾斜壁面に沿って配置される前記固定片に、前記設備機器本体の前記下面に対する
横斜め方向からねじが挿入されることにより、前記設備機器本体が前記ホルダーに固定される、トイレ用設備機器。
【請求項2】
前記設備機器本体の前記下面は、前記固定片を収容する凹部を有し、
前記傾斜壁面は、前記凹部内の壁面により構成される、請求項1に記載のトイレ用設備機器。
【請求項3】
前記設備機器本体は、前記凹部を着脱可能に覆う蓋体を有する、請求項2に記載のトイレ用設備機器。
【請求項4】
壁面に、請求項1~3のいずれか1項に記載のトイレ用設備機器からなる第1のトイレ用設備機器が配置されると共に、前記第1のトイレ用設備機器の下方の前記壁面に、前記第1のトイレ用設備機器に近接する第2のトイレ用設備機器が配置される、トイレ用設備機器の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ用設備機器及びトイレ用設備機器の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレルームの壁面には、各種のトイレ用設備機器が配置されている。例えば、トイレ用設備機器として便器洗浄ボタンを有する壁リモコンが、トイレルームの壁面に取り付けられたホルダーに対して着脱自在に係止されることにより、壁面に壁リモコンを配置させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような壁リモコン等のトイレ用設備機器がホルダーから容易に外れないようにするために、設備機器本体をホルダーに対してねじ止めする場合がある。この場合は、外観意匠性の向上のため、設備機器本体の下面側にねじを配置することにより、ねじが直接目視されにくくすることが望ましい。
【0005】
図10、
図11は、このようにトイレ用設備機器の下面でねじ止めされる取付け構造の一例を示している。ここでは、箱型の壁リモコン700が、壁面(図示せず)に取り付けられたホルダー800に対してねじ止めされるように構成される。
【0006】
ホルダー800は、平板状のホルダー本体801と、ホルダー本体801の四隅から壁リモコン700に向けて前方に突出し、壁リモコン700の背面に設けられた係止穴(図示せず)に対して係止される複数のフック状の係止突起802と、ホルダー本体801の下端部から前方に向けて突出し、壁リモコン700の下面700aに対して平行に配置される固定片803と、を備えている。固定片803には、壁リモコン700をねじ止めするためのねじ穴804が設けられている。
【0007】
壁リモコン700は、ホルダー800の上方から係止突起802を壁リモコン700の係止穴(図示せず)に係止させて装着される。壁リモコン700の下面700aには、ホルダー800の固定片803を収容する凹部701が設けられている。壁リモコン700がホルダー800に装着された時、固定片803は、凹部701内に収容されて凹部701内の底面に当接し、壁リモコン700の下面700aと平行に配置される。この状態で、ねじf10が、壁リモコン700の下方からワッシャーf11を介してねじ穴804に挿入される。その後、壁リモコン700の下面700aに対して垂直方向からドライバーTによってねじf10が回転操作され、壁リモコン700がねじf10によってホルダー800に固定される。
【0008】
このようにトイレ用設備機器を固定するねじをドライバーにより回転操作する場合、ねじに対してトイレ用設備機器の垂直下方向からアプローチすることになるため、トイレ用設備機器の下方にはドライバーを垂直に挿入可能な程度の作業スペースが必要となる。しかし、トイレ用設備機器の下方に他の機器が配置される場合、トイレ用設備機器の下方に十分な作業スペースを確保できず、ねじの回転操作が困難となる。特に、公共トイレ操作系JIS(JIS S 0026)では、便器洗浄ボタンは紙巻器の上方に設置され、両者の配置間隔にも制限が設けられるため、ねじ止めのための作業スペースは狭小スペースに制限され、ねじに対してドライバーでアプローチすることが困難又は不可能となる問題がある。
【0009】
なお、ドライバー式のねじに代えて六角レンチ式のねじを使用することも考えられるが、六角レンチは回転操作のために必要な作業半径がドライバーに比べて大きく、作業性が低下してしまう。このため、作業性を低下させることなく、トイレ用設備機器の下面に配置させるねじを回転操作できるようにすることが要望されている。
【0010】
そこで、本発明は、トイレ用設備機器の下方が狭小スペースであっても、作業性を低下させることなくねじ止めして壁面に配置することができるトイレ用設備機器及びトイレ用設備機器の配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明に係るトイレ用設備機器は、壁面(例えば、後述の壁面1c)に取り付けられるホルダー(例えば、後述のホルダー6)と、前記ホルダーに対してねじ止めされることにより前記壁面に取り付けられる設備機器本体(例えば、後述の設備機器本体30)と、を有するトイレ用設備機器(例えば、後述の便器洗浄壁リモコン3、大型壁リモコン4)であって、前記ホルダーは、前記設備機器本体の下面(例えば、後述の下面30c)に対して斜めに傾斜するように配置される固定片(例えば、後述の固定片643、653)を有し、前記設備機器本体は、前記固定片の傾斜に沿う傾斜壁面(例えば、後述の傾斜壁面332、361)を前記下面に有し、前記設備機器本体が前記ホルダーに装着されることにより前記傾斜壁面に沿って配置される前記固定片に、前記設備機器本体の前記下面に対する斜め方向からねじ(例えば、後述のねじf3)が挿入されることにより、前記設備機器本体が前記ホルダーに固定される。
【0012】
(2) (1)に記載のトイレ用設備機器において、前記設備機器本体の前記下面は、前記固定片を収容する凹部(例えば、後述の凹部33、36)を有し、前記傾斜壁面は、前記凹部内の壁面により構成されることが好ましい。
【0013】
(3) (2)に記載のトイレ用設備機器において、前記設備機器本体は、前記凹部を着脱可能に覆う蓋体(例えば、後述の蓋体39)を有することが好ましい。
【0014】
(4) 本発明に係るトイレ用設備機器の配置構造は、壁面(例えば、後述の壁面1c)に、(1)~(3)のいずれかに記載のトイレ用設備機器からなる第1のトイレ用設備機器(例えば、後述の便器洗浄壁リモコン3、大型壁リモコン4)が配置されると共に、前記第1のトイレ用設備機器の下方の前記壁面に、前記第1のトイレ用設備機器に近接する第2のトイレ用設備機器(例えば、後述の紙巻器5)が配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トイレ用設備機器の下方が狭小スペースであっても、作業性を低下させることなくねじ止めして壁面に配置することができるトイレ用設備機器及びトイレ用設備機器の配置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るトイレ用設備機器の配置構造の一例を示すトイレルームの要部正面図である。
【
図2】設備機器本体をホルダーに取り付ける様子を説明する説明図である。
【
図3】ホルダーの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図4】設備機器本体の背面側の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】ホルダーに設備機器本体を装着した状態の背面側の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図6】設備機器本体をホルダーにねじ止めする様子を説明する正面図である。
【
図7】他の実施形態に係るホルダーの要部を拡大して示す斜視図である。
【
図8】設備機器本体を他の実施形態に係るホルダーにねじ止めする様子を説明する側面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係るトイレ用設備機器の設備機器本体の背面側の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図10】従来のトイレ用設備機器をホルダーに取り付ける様子を説明する説明図である。
【
図11】従来のトイレ用設備機器をホルダーに取り付ける際の要部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して、トイレ用設備機器の配置構造について説明する。
図1は、本発明に係るトイレ用設備機器の配置構造の一例を示すトイレルームの要部正面図である。
トイレルーム1には、床面1a上に便器装置2が設置されている。便器装置2は、便器本体21と、便座22と、便蓋23と、便座装置の機能部24と、を備えている。便器装置2は、壁面1bに接するように配置されている。
【0018】
図1における便器装置2の奥側(便座22に着座した使用者から見た場合の右手側)の壁面1cには、各種のトイレ用設備機器が配置されている。本実施形態に示すトイレ用設備機器は、便器装置2の洗浄を遠隔操作する発電式の箱型の便器洗浄壁リモコン3と、便座装置を遠隔操作する発電式の箱型の大型壁リモコン4と、2連式の紙巻器5と、を備えている。
【0019】
便器洗浄壁リモコン3と大型壁リモコン4とは、同一高さ(
図1の上下方向に沿う高さ)を有し、床面1aから同一の高さ位置の壁面1cに横並びに近接して配置されている。紙巻器5は、便器洗浄壁リモコン3及び大型壁リモコン4から下方に距離Dだけ離れた位置の壁面1cに配置されている。この距離Dは、特に限定されないが、一例を挙げれば40mmとすることができる。なお、これらのトイレ用設備機器のうちの便器洗浄壁リモコン3及び大型壁リモコン4は、本発明の第1のトイレ用設備機器に対応し、紙巻器5は、本発明の第2のトイレ用設備機器に対応する。
【0020】
次に、第1のトイレ用設備機器の壁面1cへの取付け構造について、
図2~
図6を参照して説明する。
図2は、トイレ用設備機器の設備機器本体をホルダーに取り付ける様子を説明する説明図である。
図3は、ホルダーの要部を拡大して示す斜視図である。
図4は、設備機器本体の背面側の要部を拡大して示す斜視図である。
図5は、ホルダーに設備機器本体を装着した状態の背面側の要部を拡大して示す斜視図である。
図6は、設備機器本体をホルダーにねじ止めする様子を説明する正面図である。便器洗浄壁リモコン3と大型壁リモコン4の取付け構造は実質的に同一であるため、ここでは便器洗浄壁リモコン3の取付け構造について説明する。
【0021】
便器洗浄壁リモコン3は、
図2に示すように、直方体形状の縦長の箱型に形成されたリモコン本体(設備機器本体)30と、壁面1c(
図2では図示せず)に取り付けられるホルダー6と、を有する。リモコン本体30の前面30aには、1つの円形の洗浄ボタン31が設けられている。リモコン本体30の背面30bの四隅近傍には、
図2及び
図4に示すように、縦長の矩形状の係止穴32が設けられている。この便器洗浄壁リモコン3は、係止穴32を利用して、リモコン本体30を壁面1c(
図2では図示せず)に取り付けられたホルダー6に装着することにより、壁面1cに取り付けられる。
【0022】
なお、本明細書において、トイレ用設備機器が取り付けられる壁面1cに対して遠ざかる方向を「前方」とし、トイレ用設備機器において、前方に配置される面を「前面」、その反対側の面(壁面1cに対向する面)を「背面」とする。また、床面1aに対する鉛直方向に沿う上下の向きを「上」、「下」とし、トイレ用設備機器の前面を正視した際の観察者の右手側を「右」、左手側を「左」とする。
【0023】
ホルダー6は、
図2に示すように、リモコン本体30の背面形状よりもやや小さい略矩形状に形成された平板状のホルダー本体61を有する。本実施形態に示すホルダー6は金属板によって形成されるが、樹脂板によって形成されてもよい。ホルダー本体61には、上下方向の中央部の左右両側に、長穴状のねじ穴62がそれぞれ設けられている。ホルダー6は、ねじ穴62にそれぞれ挿通されたねじf1によって壁面1cに固定される。
【0024】
ホルダー本体61の四隅近傍には、ホルダー本体61から前方に向けて突出するように折り曲げ形成された4つの係止突起63が設けられている。係止突起63は、上方に向けてL型に屈曲したフック形状を呈している。係止突起63は、リモコン本体30の背面30bに設けられた係止穴32内に挿入された後、
図2中の矢印で示すように、リモコン本体30が押し下げられることにより、リモコン本体30を係止する。
【0025】
ホルダー本体61には、ホルダー本体61の下端部61aから前方に向けて突出するように折り曲げ形成された1つのリモコン固定部64が設けられている。リモコン固定部64は、
図3に示すように、ホルダー本体61の下端部61aの中央部から所定の幅を有して真っ直ぐ下方に延びる垂下片641と、垂下片641の下端から前方に向けて略直角に折り曲げ形成された突出片642と、突出片642の左右方向の一方側端から斜め下方に向けて折り曲げ形成された固定片643と、を有する。固定片643には、1つのねじ穴644が設けられている。
【0026】
この固定片643は、リモコン本体30の下面30cに対して、ホルダー6を正視したときに、右横斜め下方に向けて傾斜するように配置されている。この固定片643の傾斜角度は、後述するねじf3によって便器洗浄壁リモコン3をホルダー6に固定する際のドライバーのアプローチ角度を規定する。具体的な傾斜角度は特に限定されないが、通常は水平面に対して斜め下方向に45°程度の角度で傾斜していればよい。
【0027】
一方、リモコン本体30の背面30bの下部には、
図2及び
図4に示すように、ホルダー6のリモコン固定部64の突出片642及び固定片643を収容可能な凹部33が、リモコン本体30の背面30bから下面30cにかけて設けられている。本実施形態に示す凹部33は、リモコン本体30の背面30bを正視した際に、下面30c側に向けて拡開するほぼ左右対称の台形状となるように形成されている。
【0028】
具体的には、凹部33は、リモコン本体30の背面30bを正視したときに、下面30cに対して平行に配置される1つの天壁面331と、この天壁面331の左右両側から下面30cにかけてほぼ左右対称に斜めに配置される2つの傾斜壁面332、333と、背面30bに対して平行に配置される1つの側壁面334と、で構成されている。リモコン本体30の背面30bからの凹部33の深さは、リモコン固定部64のほぼ全体を収納可能とするため、ホルダー本体61からのリモコン固定部64の前方への突出量と同一又は僅かに大きく(深く)形成されている。
【0029】
天壁面331は、リモコン固定部64における突出片642の左右方向の幅と同一又は僅かに広い幅を有している。天壁面331は、リモコン本体30がホルダー6の係止突起63に係止させるために押し下げられた際に、
図5に示すように、突出片642と当接し、リモコン本体30のホルダー6に対する下端位置を規制する。
【0030】
2つの傾斜壁面332、333のうち、リモコン固定部64における固定片643に対応する傾斜壁面332は、固定片643の大きさと同じ又は僅かに大きな面積を有する。傾斜壁面332は、固定片643の傾斜に沿って傾斜するように形成されている。即ち、傾斜壁面332の天壁面331に対する傾斜角度は、固定片643の突出片642に対する傾斜角度と同一とされている。
【0031】
リモコン本体30の背面30bには、
図4に示すように、傾斜壁面332に近接して、ナット挿入溝34が設けられている。ナット挿入溝34は、ナットf2を背面30bから挿入して収容可能な溝幅及び溝深さを有する。一方、傾斜壁面332には、ナット挿入溝34と連通するスリット35が形成されている。スリット35は、背面30bに向けて開放すると共に、背面30bから側壁面334に向けてナット挿入溝34の溝幅よりも僅かに小さな幅を有するU字状に形成されている。このスリット35は、リモコン本体30をホルダー6に固定する際に用いられる後述するねじf3の挿通穴として機能する。
【0032】
ホルダー6の係止突起63にリモコン本体30が係止されて装着されると、
図5に示すように、ホルダー6のリモコン固定部64がリモコン本体30の凹部33に収容される。このとき、リモコン固定部64の突出片642が、リモコン本体30の凹部33の天壁面331に当接すると共に、固定片643が傾斜壁面332に当接する。このとき、固定片643のねじ穴644は、ナット挿入溝34に収容されたナットf2(
図5では図示せず)に対応するように配置される。
【0033】
その後、
図6に示すように、固定片643のねじ穴644にねじf3を、ワッシャーf4を介して挿入し、スリット35を経てナット挿入溝34内のナットf2に螺合させる。このとき、ドライバーTは、固定片643に対向する方向、即ち、リモコン本体30の下面30cに対する左横斜め下方向からアプローチすることができる。このため、
図1に示すように、便器洗浄壁リモコン3の下方の壁面1cに紙巻器5が近接配置されていても、ドライバーTは、紙巻器5と干渉することなく、ねじf3を回転操作することができる。
【0034】
これにより、便器洗浄壁リモコン3がホルダー6を介して壁面1cに固定され、紙巻器5の上方の所定の高さに配置される。従って、この便器洗浄壁リモコン3及び便器洗浄壁リモコン3の配置構造によれば、便器洗浄壁リモコン3の下方が狭小スペースであっても、作業性を低下させることなく、ドライバーTを用いて便器洗浄壁リモコン3をねじ止めすることが可能である。
【0035】
なお、凹部33の傾斜壁面333も傾斜壁面332と同一構成とし、更に傾斜壁面332側と同様のナット挿入溝及びスリットを設けてもよい。この場合、リモコン固定部64にも、突出片642を挟んで両側端に左右対称に固定片643を設けることにより、便器洗浄壁リモコン3を壁面1cに取り付ける際、左右いずれの固定片643を利用してもねじf3を取り付けることができるようになる。従って、便器洗浄壁リモコン3の周囲の他のトイレ用設備機器の配置状況に応じて、ドライバーTのアプローチ方向を左右で選択することができるため、作業性をより向上させることができる。
【0036】
図7は、他の実施形態に係るホルダーの要部を拡大して示す斜視図である。また、
図8は、トイレ用設備機器を他の実施形態に係るホルダーにねじ止めする様子を説明する側面図である。
図1~
図6と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの詳細な説明は上記説明を援用し、以下の説明では省略する。
本実施形態に示すホルダー6には、上記リモコン固定部64に代えてリモコン固定部65を有する。このリモコン固定部65は、
図7に示すように、上記実施形態のリモコン固定部64と同様の垂下片651、突出片652及び固定片653を有するが、固定片653は、突出片652の前方側の端部から前斜め上方に向けて傾斜するように折り曲げられて形成されている点で、リモコン固定部64と異なっている。固定片653には、1つのねじ穴654が設けられている。従って、ねじf3は、
図8に示すように、この固定片653に対して、便器洗浄壁リモコン3の前斜め下方からアプローチされるドライバーTによって回転操作される。
【0037】
この場合、リモコン本体30の下面30cには、
図8に示す形状の凹部36が設けられる。凹部36は、背面30b側に、リモコン固定部65の固定片653に沿うように配置される傾斜壁面361を有する。傾斜壁面361には、下面3cに開口するスリット37が設けられている。また、傾斜壁面361よりも背面3b側のリモコン本体30の下面30cには、ナット挿入溝38が設けられ、ナットf2を収容している。
【0038】
このようなリモコン本体30及びホルダー6の構成を有する便器洗浄壁リモコン3によっても、ドライバーTは、固定片653に対向する方向、即ち、リモコン本体30の下面30cに対する斜め前方向からアプローチすることができるため、便器洗浄壁リモコン3の下方の壁面1cに他のトイレ用設備機器が近接配置されていても、他のトイレ用設備機器と干渉することなく、ねじf3を回転操作することができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
図9は、便器洗浄壁リモコン3のリモコン本体30の背面30b側の要部を拡大して示す斜視図である。
図4と同一符号の部位は同一構成の部位であるため、それらの説明は
図4の説明を援用し、ここでは省略する。
このリモコン本体30は、凹部33を着脱可能に覆う蓋体39を有する。蓋体39は、リモコン本体30の下面30cと面一状に凹部33を下面30c側から覆う矩形状の蓋体本体391と、蓋体本体391の一端側に突出して設けられる係止片部392と、蓋体本体391の他端側に設けられる弾性爪部393と、を有する。この蓋体39の構造は、電池蓋等として一般に良く知られたものである。
【0040】
一方、リモコン本体30の凹部33は、一方の傾斜壁面332に、蓋体39の係止片部392を挿入可能な係止穴332aを有すると共に、他方の傾斜壁面333に、蓋体39の弾性爪部393と係合する係合溝333aを有する。
【0041】
蓋体39は、先ず、係止穴332aに係止片部392を挿入した後、弾性爪部393を係合溝333aに弾性的に係合させることにより、凹部33に着脱可能に取り付けられる。これにより、凹部33は、蓋体39によって下面30cと面一状に覆われ、外部から目隠しされる。従って、便器洗浄壁リモコン3の外観が更に良好になる。また、凹部33が蓋体39で覆われることにより、ホルダー6に固定された後の凹部33内のねじf3と外気との接触が制限されるため、例えばトイレルーム1内の水分によってねじf3が腐食するおそれも低減される。
【0042】
蓋体39の弾性爪部393は、係合溝333aに弾性的に係合しているだけであるため、リモコン本体30をホルダー6から取り外すためにねじf3にアクセスする際は、指で弾性爪部393の係合状態を解除することにより、蓋体39を容易に取り外すことが可能である。このような蓋体39は、
図7、
図8に示した構造の便器洗浄壁リモコン3の凹部36にも同様に設けることができる。
【0043】
以上の各実施形態では、リモコン固定部64、65の固定片643、653に、ねじ穴644、654を設けるようにしたが、ねじ穴644、654に代えて、ねじを挿通可能な円弧上の切欠きを設けるようにしてもよい。
また、以上の各実施形態に示す便器洗浄壁リモコン3の構造は、大型壁リモコン4の構造にも同様に適用することができる。
【0044】
以上の各実施形態では、トイレ用設備機器(第1のトイレ用設備機器)として便器洗浄壁リモコン3及び大型壁リモコン4を例示したが、これに限定されない。トイレ用設備機器(第1のトイレ用設備機器)は、トイレルーム内の壁面に配置され、ねじによって回転操作されることにより固定されるものであればよい。その他のトイレ用設備機器(第1のトイレ用設備機器)としては、例えば、呼出しボタン、擬音装置、信号受信ユニットが挙げられる。
また、第2のトイレ用設備機器も紙巻器5に限定されない。その他の第2のトイレ用設備機器としては、手摺、手洗器等を挙げることができる。
【0045】
本発明に係るトイレ用設備機器が配置される壁面は、以上説明したトイレルーム1のような室内の壁面に限定されず、例えば、室内壁に取り付けられる棚を構成する壁面(棚の側壁面や背壁面)であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1c 壁面
3 便器洗浄壁リモコン(トイレ用設備機器、第1のトイレ用設備機器)
30 リモコン本体(設備機器本体)
30c (リモコン本体)下面
33、36 凹部
332、361 傾斜壁面
39 蓋体
4 大型壁リモコン(トイレ用設備機器、第1のトイレ用設備機器)
5 紙巻器(第2のトイレ用設備機器)
6 ホルダー
6a (ホルダー本体の)下端部
61 ホルダー本体
643、653 固定片
f3 ねじ