(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置及び当該装置を用いた砂除去方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20221012BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
(21)【出願番号】P 2018144256
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】505280705
【氏名又は名称】三由工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 和希
(72)【発明者】
【氏名】吉本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】足立 倫海
(72)【発明者】
【氏名】井口 昌之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 幸隆
(72)【発明者】
【氏名】石神 秀行
(72)【発明者】
【氏名】廣田 純生
(72)【発明者】
【氏名】石崎 勉
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-286540(JP,A)
【文献】特開2003-309912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/06
H02G 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウオータージェットノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より、やや小さい断面形状を有する枠体からなる先端冶具を設け、
当該先端冶具を高圧水ホースの先端に接続し、
前記
先端冶具はパイプ枠体からなり、先端冶具の前方に高圧水を噴霧する前部吐出ノズルと先端冶具の後方に高圧水を噴霧する複数の後部吐出ノズルを着脱自在に設けたことを特徴とする、ウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項2】
前記先端冶具は、平面視略三角形状のパイプ枠体から成り、
当該パイプ枠体の後方の一片中央部を前記
パイプ枠体より大径の基部管とし、当該基部管から前記パイプ枠体の三角形状の先端角部に向けて湾曲端部を導出し、当該湾曲端部の、前記パイプ枠体より上方に立ち上げてパイプ枠体と平行な前端部に、前記前部吐出ノズルを着脱自在に接続し、当該前部吐出ノズルは前記パイプ枠体の三角形状の先端角部より後方に位置し、
前記基部管の後部中央に設けた接続管体に前記高圧水ホースが接続され、
当該接続管体の両側の前記基部管の後部及び、当該基部管と同じ辺を成すパイプ枠体の両側後部に、複数個の前記後部吐出ノズルを着脱自在に接続したことを特徴とする、請求項1に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項3】
前記先端冶具は、平面視前部の両側が後方に折れ曲がった逆U字型の外側パイプ枠体と、当該外側パイプ枠体の前部の背面中央部に両端を接続したU字型の内側パイプ枠体とから成り、
前記内側パイプ枠体の後部中央部から後方に突出した接続管体に、前記高圧水ホースの先端部を接続し、
前記内側パイプ枠体の後部中央部から前方に前部突出パイプを突出させ、当該前部突出パイプの前端部に前記前部吐出ノズルを着脱自在に接続し、
前記外側パイプ枠体の両側後部端に夫々、前記後部吐出ノズルを着脱自在に接続したことを特徴とする、請求項1に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項4】
前記前部吐出ノズルは、先細の先端部、その後方の回転部及び固定後部から成り、前記回転部の外周箇所に、当該回転部が回転しながら斜め前方に高圧水を噴射する複数の吐出口を有し、さらに、前記固定後部の後端面外周に、斜め後方に高圧水を噴射する複数の吐出口を有する構成としたことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項5】
前記後部吐出ノズルは、前記外側パイプ枠体の後部に接続され、大径部の後面部分から後方に突出した突起部分の後端面に水が後方に噴霧する吐出口を設け、
前記大径部の後面部分の外周に、斜め後方に高圧水を噴霧する複数の吐出口を設けたことを特徴とする、請求項
3に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置。
【請求項6】
前記請求項1~5に記載のいずれかの砂除去装置を用いて、トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前部吐出ノズル及び後部吐出ノズルから夫々高圧水を噴射させながら前記先端冶具をトラフ内に挿入し、当該先端冶具の前部吐出ノズルからの高圧水で砂を崩し、後部吐出ノズルからの高圧水の噴射により先端冶具を前進させると共に先端冶具の後方の砂を吹き飛ばして後方に搬送させ、トラフの一端開口部から前記高圧水ホースを引っ張ることにより、トラフの一端開口部側に先端冶具を後退させて、先端冶具の高圧水の噴射により後方の砂をトラフの一端開口部側に搬送し、高圧水ホースの引っ張りを止めて、再度先端冶具をトラフ内で自走前進させ、当該先端冶具のトラフ内の自走による前進及び高圧水ホースの引き戻しによる先端冶具の後退を繰り返すことにより、トラフ内の少なくとも電力ケーブルの上方の砂を除去することを特徴とする、ウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設されたトラフ内に布設されている不要な電力ケーブルを撤去するに際し、トラフ内の前記電力ケーブルの周囲に充填されている砂を除去する除去装置及び当該装置を用いた除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたトラフ内に布設されている電力ケーブルの周囲には砂が充填されている。この状態で不要となった電力ケーブルを一方から引っ張って電力ケーブルを撤去するには多大な労力を有し、極めて困難である。
【0003】
そこで、地中に埋設されたトラフに沿って、地表面を開削し、掘削溝内でトラフを露出させ、トラフ本体と同時に電力ケーブルを撤去していた。そして、撤去した後の掘削溝に土砂を埋め戻していた。
【0004】
この工法ではトラフ上面の地上部をトラフに沿って開口、掘削しなければならず、掘削範囲が大きく、掘削土砂も多量となり、手間がかかると同時に、工期が長く、工事費が高くなっていた。その上、トラフ等のコンクリートガラ等の建設廃材が発生するため、これらの廃棄処理にも手間や費用を要していた。
【0005】
また、土中に埋設されたトラフの上の地上に建物や工作物がある場合には開削は不可能である。トラフ上面の地上部を掘削しないで、ケーブルのみを引き抜くことも考えられるが、トラフ内のケーブルの周囲に充填している砂が経年により硬化し、無理にケーブルを引っ張るとケーブルが切断してしまう恐れがあった。
【0006】
そのため、トラフの一定長の一端から他端までの電力ケーブルを切断し、当該電力ケーブルが埋設されているトラフ内の砂をまず抜き取り、その後当該トラフに入っている電力ケーブルを引き抜く工法が、特許文献1に示す様に開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のものは、ロケット形状の単体のノズルであり、断面形状が小さいため、複数条の電力ケーブルの間や電力ケーブルとトラフ内面の隙間に挟まることがあり、挟まると当該ノズルを引き抜くことが出来なくなる欠点がある。またさらに、ウオータジェットでほぐした砂がノズルの後方の高圧ホースを埋めてしまいノズルが抜けなくなる欠点があった。
【0009】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、複数条の電力ケーブルの間や電力ケーブルとトラフの隙間に挟まることがない、複数の吐出ノズルを有する幅広の先端冶具を設け、かつ、先端冶具の前後の吐出ノズルを着脱自在とし、砂の状況に合わせて、前後の吐出ノズルを交換可能にし、トラフ内に充填された砂を確実に抜き取り、除去できるトラフ内の砂除去装置及び当該装置を用いた砂除去方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、ウオータージェットノズルとして、電力ケーブルが1本又は複数本収納されたトラフの、前記電力ケーブルの上部のトラフの断面より、やや小さい断面形状を有する枠体からなる先端冶具を設け、当該先端冶具を高圧水ホースの先端に接続し、前記先端冶具はパイプ枠体からなり、先端冶具の前方に高圧水を噴霧する前部吐出ノズルと先端冶具の後方に高圧水を噴霧する複数の後部吐出ノズルを着脱自在に設けた、ウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0011】
請求項2の発明は、前記先端冶具は、平面視略三角形状のパイプ枠体から成り、当該パイプ枠体の後方の一片中央部を前記パイプ枠体より大径の基部管とし、当該基部管から前記パイプ枠体の三角形状の先端角部に向けて湾曲端部を導出し、当該湾曲端部の、前記パイプ枠体より上方に立ち上げてパイプ枠体と平行な前端部に、前記前部吐出ノズルを着脱自在に接続し、当該前部吐出ノズルは前記パイプ枠体の三角形状の先端角部より後方に位置し、前記基部管の後部中央に設けた接続管体に前記高圧水ホースが接続され、当該接続管体の両側の前記基部管の後部及び、当該基部管と同じ辺を成すパイプ枠体の両側後部に、複数個の前記後部吐出ノズルを着脱自在に接続した、請求項1に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0012】
また、請求3の発明は、前記先端冶具は、平面視前部の両側が後方に折れ曲がった逆U字型の外側パイプ枠体と、当該外側パイプ枠体の前部の背面中央部に両端を接続したU字型の内側パイプ枠体とから成り、前記内側パイプ枠体の後部中央部から後方に突出した接続管体に、前記高圧水ホースの先端部を接続し、前記内側パイプ枠体の後部中央部から前方に前部突出パイプを突出させ、当該前部突出パイプの前端部に前記前部吐出ノズルを着脱自在に接続し、前記外側パイプ枠体の両側後部端に夫々、前記後部吐出ノズルを着脱自在に接続した、請求項1に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0013】
また、請求項4の発明は、前記前部吐出ノズルは、先細の先端部、その後方の回転部及び固定後部から成り、前記回転部の外周箇所に、当該回転部が回転しながら斜め前方に高圧水を噴射する複数の吐出口を有し、さらに、前記固定後部の後端面外周に、斜め後方に高圧水を噴射する複数の吐出口を有する構成とした、請求項1~3のいずれかに記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0014】
また、請求項5の発明は、前記後部吐出ノズルは、前記外側パイプ枠体の後部に接続され、大径部の後面部分から後方に突出した突起部分の後端面に水が後方に噴霧する吐出口を設け、前記大径部の後面部分の外周に、斜め後方に高圧水を噴霧する複数の吐出口を設けた、請求項3に記載のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置とした。
【0015】
また、請求項6の発明は、前記請求項1~5に記載のいずれかの砂除去装置を用いて、トラフの一端開口部から、電力ケーブルの上の砂に向けて、前部吐出ノズル及び後部吐出ノズルから夫々高圧水を噴射させながら前記先端冶具をトラフ内に挿入し、当該先端冶具の前部吐出ノズルからの高圧水で砂を崩し、後部吐出ノズルからの高圧水の噴射により先端冶具を前進させると共に先端冶具の後方の砂を吹き飛ばして後方に搬送させ、トラフの一端開口部から前記高圧水ホースを引っ張ることにより、トラフの一端開口部側に先端冶具を後退させて、先端冶具の高圧水の噴射により後方の砂をトラフの一端開口部側に搬送し、高圧水ホースの引っ張りを止めて、再度先端冶具をトラフ内で自走前進させ、当該先端冶具のトラフ内の自走による前進及び高圧水ホースの引き戻しによる先端冶具の後退を繰り返すことにより、トラフ内の少なくとも電力ケーブルの上方の砂を除去する、ウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去方法とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1~3及び6の各発明によれば、ウオータージェットノズルとして先端冶具の断面をトラフの断面形状よりやや小さくした形状を有するため、複数の電力ケーブルの間や電力ケーブルとトラフの内壁との間等に挟まることがない。当該断面形状を有することで電力ケーブルの上を安定して走行できる。
【0017】
また、前部吐出ノズルと後部吐出ノズルは夫々着脱自在に接続されているので、トラフに充填されている砂の状態、即ち、締まり具合によって、前部吐出ノズルと後部吐出ノズルの吐出穴の径の異なるものに変え、前部吐出ノズルと後部吐出ノズルの高圧水の噴出割合を変えることが出来る。この様にして、トラフ内に充填された砂を、先端冶具の前部吐出ノズルからの高圧水の噴射で前方の砂を崩し、後部吐出ノズルからの高圧水の噴射で先端冶具自体の前方への推進力を得るとともに後方の砂を吹き飛ばすことによりトラフの一端開口部に砂を押しやり、また、先端冶具を、高圧水ホースを引きもどすことにより後退させ、トラフ内に残った砂を一端開口部に搬送することが出来、これによりトラフ内の砂を除去できる。
【0018】
また、特に、請求項2の発明では、前部吐出ノズルより前方下部にパイプ枠体の先端角部が突出しているため、先端冶具の自走の際に、当該先端角部が砂に突き当たり、その衝撃で砂が崩れ、前部吐出ノズルからの高圧水の噴霧と相俟って砂を容易に崩すことが出来る。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、前記前部吐出ノズルが、先端部に続く回転部の外周の複数箇所の吐出口から、回転しながら斜め前方のトラフの内周面に向けて高圧水を噴射させ、また、その後方の固定後部に、斜め後方のトラフ内周面に向けて高圧水を噴射する吐出口を有するため、一箇所だけでなく、先端冶具の前後のトラフの内周面の広い範囲の砂をまんべんなく崩すことにより、先端冶具の前方、後方の砂を確実に崩して、先端冶具自体の走行及び砂の排出を容易にしている。
【0020】
また、請求項5の発明によれば、請求項4の前記後部吐出ノズルは、前記外側パイプ枠体の後部に接続され、大径部の後面部分から後方に突出した突起部分の後端面に高圧水が後方に噴霧する吐出口を設け、前記大径部の後面部分の外周縁に、斜め後方のトラフ内面に向けて高圧水を噴射する複数の吐出口を設けているため、先端冶具の後方のトラフの内周面全面に高圧水が噴射されるため、トラフ内の砂は確実に除去される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の概略構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の側面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の正面図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の平面図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の背面図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の前部吐出ノズルの拡大図で、(a)図は側面図、(b)図は背面図である。
【
図7】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置を用いるトラフの縦断面図である。
【
図8】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具をトラフの端部に入れた状態のトラフの端面図である。
【
図9】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置をトラフ内に挿入した際の高圧水の噴射状態を示す先端冶具の平面図である。
【
図10】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置が前進していく状態のトラフの縦断面図である。
【
図11】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置を引き戻している状態のトラフの縦断面図である。
【
図12】この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の概略構成図である。
【
図13】この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の側面図である。
【
図14】この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の正面図である。
【
図15】この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の平面図である。
【
図16】この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置の先端冶具の背面図である。
【
図17】この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置をトラフ内に挿入した際の高圧水の噴射状態を示す先端冶具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Aを
図1~
図6に基づいて説明する。
【0023】
砂抜き除去装置Aは、
図1に示すように、先端冶具1の後方に、高圧水ホース2の先端が取り付けられている。前記先端冶具1と高圧水ホース2の取付けは、先端冶具1の背面から突出した接続管体3に、高圧水ホース2を差し込み、螺子3aの締付けにより強固に接続されている。
【0024】
前記先端冶具1は、後述する電力ケーブル12が1本又は複数本収納されたトラフ10の、前記電力ケーブル12の上部のトラフ10の断面より、やや小さい断面形状を有するパイプ枠体4からなる(
図8参照)。
【0025】
前記パイプ枠体4は、平面視略三角形状を成し、当該パイプ枠体4の後方の一片中央部を前記パイプ枠4より大径の基部管5とし、当該基部管5から前記パイプ枠体4の三角形状の先端角部4aに向けて、前記パイプ枠体4より上方に立ち上げた湾曲端部6の先端部に、パイプ枠体4と略平行に前部吐出ノズル7を着脱自在に接続し、当該前部吐出ノズル7の先端部は前記パイプ枠体4の三角形状の先端角部4aより後方に位置している。
【0026】
前記接続管体3は前記基部管5の後部中央から後方に突出しており、当該接続管体3の両側の前記基部管5の後部及び当該基部管5と同じ辺を成すパイプ枠体4の両側後部に、夫々後部吐出ノズル8を着脱自在に設けている。こられの後部吐出ノズル8は、後方に突出した突起部分8aを有し、これらの各突起部分8aの後端面に、先端冶具1の後方に高圧水を噴射させる吐出口8bを備えている。そして、具体的には前記突起部分8aが着脱自在となっている。
【0027】
また、前記前部吐出ノズル7は、
図6に示す様に、先細の先端部7aと、これに続き、横向き短円柱状の回転部7bと、当該回転部7bの後ろの、横向き短円柱状の固定後部7cとから構成されている。この固定後部7cの後端面中央部には、前記湾曲端部6を嵌合螺着する螺子孔7dを有している。
【0028】
そして、前記回転部7bの外周複数箇所に、回転部7bが回転しながら斜め前方に高圧水を噴射する吐出口7eを有し、さらに、前記固定後部7cの後端面外周の複数箇所に、斜め後方に高圧水を噴射させる吐出口7fを設けている。従って、これらの吐出口7e及び7fから高圧水が、当該前部吐出ノズル7の前後のトラフ10の内周面に向けて噴射される構造になっている。
【0029】
また、前記前部吐出ノズル7及び後部吐出ノズル8は夫々着脱自在となっており、径の異なる吐出口7e、7f及び8bを有する前部吐出ノズル7及び後部吐出ノズル8を複数用意しており、これらを取り替えることによって先端冶具1の前後の高圧水の噴射量割合を変えることが出来る。従って、トラフ内の砂が固い時は、前部吐出ノズル7の吐出口7e、7fの大きい径のものを選び、後部吐出ノズル8の吐出口8bの吐出量との割合を調整する。
【0030】
なお、前記先端冶具1の前記接続管体3、パイプ枠体4及び基部管5、湾曲端部6は内部が相互につながっている。
【0031】
次に、この発明の実施の形態例1の砂除去装置Aを用いた砂除去方法について
図7~
図11に基づいて説明する。
【0032】
まず、
図7に示すように、一定長のトラフ10の両端に立坑11を設け、当該各立坑11内で、電力ケーブル12を切断する。前記一定長のトラフ10の両端にマンホールがある場合は各マンホールを利用し、立坑11を設ける必要はない。また、トラフ10内には砂13が充填されている。
【0033】
このトラフ10において、一方の立坑11から前記砂除去装置Aを、
図8に示す様に、トラフ10内に入れる。このトラフ10の下部には2本の電力ケーブル12、12が配設されているため、これらの電力ケーブル12の上の砂13に先端冶具1を押し込む。なお、トラフ10内に電力ケーブル12が1本収納されている場合があるが、その場合も電力ケーブル12の上の砂13に先端冶具1を押し込む。
【0034】
その後、地上のコンプレッサー等により高圧水を高圧水ホース2に注入する。これにより、
図9に示す様に、砂除去装置Aの先端冶具1の前部吐出ノズル7及び後部吐出ノズル8の各吐出口7e、7f及び吐出口8bから高圧水が、先端冶具1の前後のトラフ10の内周に噴射される。そして、
図10に示す様に、前部吐出ノズル7の吐出口7eから高圧水が斜め前方に噴射して先端冶具1の前方の砂13が緩む。また、前部吐出ノズル7の吐出口7fから高圧水が斜め後方に噴射するとともに後部吐出ノズル8の吐出口8bから高圧水が後方に噴射し、これらにより先端冶具1の前方への推進力を得るとともに先端冶具1の後方の砂13を吹き飛ばす。これにより、先端冶具1はトラフ10内を前進自走し、後方の砂13は水を含んで崩れ、トラフ10の一端開口部側に流れる。
【0035】
そして、先端冶具1がトラフ10内を一定距離進んだら、トラフ10の一端開口部から高圧水ホース2を引き戻す。これは、作業者による人力か機械等の動力により高圧水ホース2を引っ張る。
【0036】
この様に、先端冶具1を後方に引っ張ることにより、
図11に示す様に、先端冶具1の前部吐出口7の吐出口7f及び後部吐出ノズル8の吐出口8bから噴射した高圧水は先端冶具1の後方の砂13を吹き飛ばしながら、先端冶具1の後方への移動にともなって、トラフ10内の砂が一端開口部に移送され、砂13が除去される。
【0037】
この様にして、先端冶具1の自走による前進及び高圧水ホース2による引き戻しを複数回繰り返して、先端冶具1をトラフ10の奥まで入れ、トラフ10内の砂13を取り除く。
【0038】
これにより、トラフ10内の砂13、又は、少なくとも電力ケーブル12の上の砂13を取り除く。その後、電力ケーブル12を一方の立坑11から容易に引き剥くことが出来る。
【0039】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2のウオータージェットノズルを用いたトラフ内の砂除去装置Bを
図12~
図17に基づいて説明する
【0040】
砂抜き除去装置Bは、
図12に示すように、先端冶具15の後方に、高圧水ホース16の先端が取り付けられている。前記先端冶具15への高圧水ホース2の取付けは、先端冶具15の背面から突出した接続管体17に、高圧水ホース16の先端を差し込み、螺子17aの締付けにより強固に接続されている。
【0041】
前記先端冶具15は、前記電力ケーブル12が1本又は複数本収納されたトラフ10の、前記電力ケーブル12の上部のトラフ10の断面より、やや小さい断面形状を有するパイプ枠体18からなる。
【0042】
前記先端冶具15は平面視前部の両側が後方に折れ曲がった逆U字型の外側パイプ枠体18aと、当該外側パイプ枠体18aの前部の背面中央部に両端を接続したU字型の内側パイプ枠体18bとから成り、前記内側パイプ枠体18bの後部中央部から後方に突出した前記接続管体17に、前記高圧水ホース16の先端部を、前述の様に、接続している。
【0043】
また、前記内側パイプ枠体18bの後部中央部から前方に突出して、前記外側パイプ枠体18aの前部より前方に突出する前部突出パイプ19を設け、当該前部突出パイプ19の端部に、前記実施の形態例1の前部吐出ノズル7と同じ構造の前部吐出ノズル20を接続し、外側パイプ枠体18aの両側後部端に夫々、後部吐出ノズル21を着脱自在に接続している。
【0044】
前記前部吐出ノズル20は、前記前部吐出ノズル7と同様に、先端部20a、回転部20b及び固定後部20cから構成され、前記回転部20bの外周に、回転しながら斜め前方に高圧水を噴射する吐出口20eと、前記固定後部20cの後端面外周の複数箇所に、斜め後方に高圧水を噴射させる吐出口20fを設けている。また、図示はしていないが、固定後部20cの後端面中央部には、前部突出パイプ19の先端部が勘合螺着する螺子孔を有している。
【0045】
また、前記各後部吐出ノズル21は、
図15及び
図16に示す様に、大径部の後面部分21aの中央部から後方に突出した突起部分21bの後端面に、高圧水を後方に噴射させる吐出口21cを設け、また、前記後面部分21aの周縁4箇所に、斜め後方に高圧水を噴射させる吐出口21dを夫々設けている。そして、当該後部吐出ノズル21は、具体的には前記突起部分21bが着脱自在となっている。
【0046】
そして、この砂除去装置Bをトラフ10内に入れて、地上のコンプレッサーにより高圧水を高圧水ホース16に注入する。これにより、
図17に示す様に、砂除去装置Bの先端冶具15の前部吐出ノズル20及び後部吐出ノズル21の各吐出口20a、20b及び各吐出口21c、21dから高圧水がトラフ10の全内周に噴射される。
【0047】
なお、当該先端冶具15の接続管体17、外側パイプ枠体18a、内側パイプ枠体18b及び前部突出パイプ19は内部が相互につながっている。
【0048】
この実施の形態例2の砂抜き除去装置Bの使用方法は、前記実施の形態例1の砂抜き除去装置Aと同様であるので、説明を省略する。
【0049】
以上の実施の形態例1及び2の砂抜き吸引装置A、Bを用いてトラフ10内の砂13を取り除く方法によれば、先端冶具1又は15の断面が、トラフ10の左右の断面幅よりやや小さい幅を有し、かつ、電力ケーブルの上のトラフ断面の高さに近い高さを有しているため、先端冶具1又は15はトラフ10内で安定した姿勢を保ち、トラフ10と電力ケーブル12との間や、2本の電力ケーブル12の間等に挟まって動けなくなる恐れがない。
【0050】
またさらに、先端冶具1又は15の前部吐出ノズル7又は20及び後部吐出口8又は21を、吐出口の径の異なったものに変更できるため、前後の高圧水の噴射量の割合を、砂の状況に応じて、変更することができ、トラフ10内の砂13を確実に除去することが出来る。
【0051】
なお、前記実施の形態例1及び2の前部吐出ノズル7又は20、及び後部吐出ノズル8又は21は相互に交換でき、さらに、径の異なる吐出口を有する前部吐出口7又は20、後部吐出ノズル8又は21を複数種用意している。
【符号の説明】
【0052】
A 砂抜き除去装置
B 砂抜き除去装置
1 先端冶具 2 高圧水ホース
3 接続管体 3a 螺子
4 パイプ枠体 4a 先端角部
5 基部管 6 湾曲端部
7 前部吐出ノズル 7a 先端部
7b 回転部 7c 固定後部
7d 螺子孔 7e 吐出口
7f 吐出口 8 後部吐出ノズル
8a 突起部分 8b 吐出口
10 トラフ 11 立坑
12 電力ケーブル 13 砂
15 先端冶具 16 高圧水ホース
17 接続管体 17a 螺子
18 パイプ枠体 18a 外側パイプ枠体
18b 内側パイプ枠体 19 前部突出パイプ
20 前部吐出ノズル 20a 先端部
20b 回転部 20c 固定後部
20e 吐出口 20f 吐出口
21 後部吐出ノズル 21a 後面部分
21b 突起部分 21c 吐出口
21d 吐出口