(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】マルチコア光ファイバの融着のための調芯装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20221012BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20221012BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G02B6/26 301
G02B6/02 461
G02B6/255
(21)【出願番号】P 2018164431
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2020-07-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英憲
(72)【発明者】
【氏名】相馬 大樹
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 剛宏
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145989(JP,A)
【文献】特開2003-344735(JP,A)
【文献】特開2004-138736(JP,A)
【文献】特開2002-258123(JP,A)
【文献】特開平08-015547(JP,A)
【文献】特開2004-012799(JP,A)
【文献】特開2015-004762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0219609(US,A1)
【文献】特開2013-160800(JP,A)
【文献】特開平08-015562(JP,A)
【文献】国際公開第2017/195834(WO,A1)
【文献】特開2016-127241(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047658(WO,A1)
【文献】特開2005-284223(JP,A)
【文献】特開2015-169873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/10
G02B 6/24- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1マルチコア光ファイバと複数の第2マルチコア光ファイバとを、複数の第3マルチコア光ファイバを含む接続部材を介して接続するための調芯装置であって、
前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの第1端部を含む第1領域の少なくとも一部を保持するための第1保持手段と、
前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの第2端部を含む第2領域の少なくとも一部を保持するための第2保持手段と、
前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの前記第1領域と前記第2領域との間にある第3領域を保持するための第3保持手段と、
前記第1保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを周方向に回転させる第1回転手段と、
前記第2保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを周方向に回転させる第2回転手段と、
を備え、
前記第1保持手段及び前記第2保持手段は、前記第3保持手段に対して同じ側に配置されていることを特徴とする調芯装置。
【請求項2】
前記第1回転手段及び前記第2回転手段は、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれが前記第3領域において回転しない様に前記第3保持手段が前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの前記第3領域を保持している間に、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを周方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の調芯装置。
【請求項3】
前記複数の第3マルチコア光ファイバは、前記第3領域内の固着領域において互いに固着されていることを特徴とする請求項1に記載の調芯装置。
【請求項4】
前記第3保持手段は、前記固着領域を保持することを特徴とする請求項3に記載の調芯装置。
【請求項5】
前記複数の第3マルチコア光ファイバは、それぞれ、前記第3保持手段により保持される位置を示すマークを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の調芯装置。
【請求項6】
複数の第1マルチコア光ファイバを含む第1テープ芯線と複数の第2マルチコア光ファイバを含む第2テープ芯線とを、複数の第3マルチコア光ファイバを含む接続部材を介して接続するための調芯装置であって、
前記接続部材は、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれが互いに固着されていない、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの第1端部を含む第1領域と、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれが互いに固着されていない、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの前記第1端部とは異なる第2端部を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間にある、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれが互いに固着されている第3領域と、を有し、
前記調芯装置は、
前記接続部材の前記第1領域の少なくとも一部を保持するための第1保持手段と、
前記接続部材の前記第2領域の少なくとも一部を保持するための第2保持手段と、
前記接続部材の前記第3領域の少なくとも一部を保持するための第3保持手段と、
前記第1保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを個別に周方向に回転させる第1回転手段と、
前記第2保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを個別に周方向に回転させる第2回転手段と、
を備え
、
前記第1保持手段及び前記第2保持手段は、前記第3保持手段に対して同じ側に配置されることを特徴とする調芯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコア光ファイバを融着する際の調芯技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シングルコア光ファイバ(以下、SCF)によるテープ芯線の融着方法を開示している。テープ芯線とは、複数の光ファイバを1列に並べて固着させたものである。特許文献1は、2つのテープ芯線をフォルダにより固定して対向させ、各光ファイバの位置を合わせた後、一括して融着することを開示している。また、特許文献2は、テープ芯線ではなく、複数の個別のSCFを一括して融着するため、複数のSCFを整列させ、かつ、その整列状態を維持するためのフォルダを開示している。さらに、特許文献3は、マルチコア光ファイバ(以下、MCF)の融着方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-194208号公報
【文献】特開2007-171825号公報
【文献】特開2013-210602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MCFの各コアには個別の番号が付与されており、2つのMCFを融着する際には、同じ番号のコア同士を接続する必要がある。このため、2つのMCFを融着する際の調芯処理においては、まず、2つのMCFの位置決めを行い、続いて、2つのMCFのいずれか、或いは、両方を周方向に回転させて、2つのMCFの同じ番号のコア同士を対向させる必要がある。なお、2つのMCFの位置決めとは、2つのMCFの断面が平行、かつ、その中心が一致する様に2つのMCFの位置を決めることを意味する。なお、以下の説明において、2つのMCFの位置決めを行った後、2つのMCFの同じ番号のコア同士が対向する様に、2つのMCFのいずれか、或いは、両方を周方向に回転させることを、2つのMCFの“位相合わせ”と呼ぶものとする。なお、MCFの位相とは、所定方向に対する所定番号、例えば、番号1のコアの方向を意味するものとする。
【0005】
上記の通り、2つのMCFを接続するには、2つのMCFの位相合わせのため、特許文献3が開示する様に、2つのMCFの少なくとも一方を周方向に回転させる回転機構が必要になる。ここで、複数のMCFをテープ芯線とする場合を考える。複数のMCFをテープ芯線とする際に、テープ芯線の各MCFの位相を完全に所定の位相にすることができれば、例えば、特許文献1に記載のSCFによるテープ芯線と同様に、MCFによるテープ芯線を一括して融着することができる。しかしながら、テープ芯線の各MCFの位相を総て同じ所定の位相としてテープ芯線を製造することは非常に難しく、一般的に、テープ芯線内の各MCFの位相はばらばらになる。したがって、特許文献1の構成をMCFのテープ芯線に対して適用することはできない。
【0006】
本発明は、複数の第1MCFそれぞれの位相と複数の第2MCFそれぞれの位相が一致していなくても複数の第1MCFと複数の第2MCFとを接続するための調芯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、複数の第1マルチコア光ファイバと複数の第2マルチコア光ファイバとを、複数の第3マルチコア光ファイバを含む接続部材を介して接続するための調芯装置は、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの第1端部を含む第1領域の少なくとも一部を保持するための第1保持手段と、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの第2端部を含む第2領域の少なくとも一部を保持するための第2保持手段と、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれの前記第1領域と前記第2領域との間にある第3領域を保持するための第3保持手段と、前記第1保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを周方向に回転させる第1回転手段と、前記第2保持手段と前記第3保持手段との間にあって、前記複数の第3マルチコア光ファイバそれぞれを周方向に回転させる第2回転手段と、を備え、前記第1保持手段及び前記第2保持手段は、前記第3保持手段に対して同じ側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、複数の第1MCFそれぞれの位相と複数の第2MCFそれぞれの位相が一致していなくても複数の第1MCFと複数の第2MCFとを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】一実施形態による調芯装置にMCFを設定した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0011】
<第一実施形態>
以下、MCFのテープ芯線を、他のMCFのテープ芯線と接続するために使用する、本実施形態の調芯装置について説明する。なお、以下の説明において、接続する一方のMCFのテープ芯線を第1MCFテープ芯線と呼び、他方のテープ芯線を第2MCFテープ芯線と呼ぶものとする。また、第1MCFテープ芯線と第2MCFテープ芯線を纏めて、単に、MCFテープ芯線と呼ぶものとする。なお、第1MCFテープ芯線及び第2MCFテープ芯線に含まれるMCFの数は同じであり、かつ、各MCFのコア数及びコアの配置は同じとする。さらに、以下の説明において、第1MCFテープ芯線及び第2MCFテープ芯線は、4つのMCFをテープ状に固着させたものとし、各MCFには1から4の番号が付与されているものとする。
【0012】
本実施形態では、第1MCFテープ芯線と第2MCFテープ芯線の同じ番号のMCFの同じ番号のコアを接続するために接続部材を使用する。
図1は、本実施形態による接続部材50を示している。接続部材50は、接続対象のMCFテープ芯線と同じMCF数、つまり、本実施形態では4つのMCF51~54によるテープ芯線に基づき作成される。なお、MCF51~54のコア数及びコアの配置は、第1MCFテープ芯線及び第2MCFテープ芯線の各MCFと同じである。接続部材50は、4つのMCF51~54をテープ状に固着した固着領域58の両側において、MCF51~54それぞれを固着しない個別領域を設ける。なお、以下の説明において、
図1に示す様に、MCF51~54の一方の端部を含む領域を第1領域と呼び、他方の端部を含む領域を第2領域と呼ぶものとする。さらに、第1領域と第2領域の間の領域の内の所定領域を第3領域と呼ぶものとする。なお、本実施形態においては、固着領域58と第3領域は等しい。さらに、以下の説明において、
図1の左右方向を長手方向と呼び、
図1の上下方向を幅方向と呼ぶものとする。接続部材50のMCF51~54は、それぞれ、第1領域と第3領域の間と、第2領域と第3領域の間において、コーティング部55を有する。コーティング部55は、MCFの周囲全体を摩擦係数の高い材料でコーティングしたものである。なお、
図1に示す様に、本実施形態において、MCF51~54の長手方向において、コーティング部55は、それぞれ、異なる位置に設けられる。なお、コーティング部55の位置がどの様に設定されるかについては後述する。
【0013】
本実施形態では、第1領域側のMCF51~54を、それぞれ、第1MCFテープ芯線の番号1、2、3及び4のMCFと融着し、第2領域側のMCF51~54を、それぞれ、第2MCFテープ芯線の番号1、2、3及び4のMCFと融着することで、第1MCFテープ芯線と第2MCFテープ芯線を接続する。
【0014】
図2は、本実施形態による調芯装置100の構成図である。主保持部1は、接続部材50の固着領域58を保持するフォルダであり、調芯装置100から脱着可能に構成される。
図4は、主保持部1の構成図である。なお、主保持部1が接続部材50を保持している状態において、幅方向は、
図4の左右方向に対応し、長手方向は
図4の面と直交する方向に対応する。
図4に示す様に主保持部1は、上側保持部11と下側保持部12を有し、上側保持部11と下側保持部12は不図示のロック機構によりロックされる様に構成される。なお、上側保持部11と下側保持部12が接する面には、接続部材50の固着領域58を保持するための溝13が設けられる。上側保持部11と下側保持部12を分離した状態で、下側保持部12の溝に、接続部材50の固着領域58を載せ、上側保持部11を下側保持部12に対してロックすることで、接続部材50は、主保持部1に保持される。なお、このロック状態において、主保持部1に対する接続部材50の相対位置は動かない様に主保持部1及び接続部材50の大きさは設定される。接続部材50を保持した後、主保持部1は、調芯装置100の本体に固定される。
【0015】
図3は、接続部材50を保持した主保持部1を調芯装置100の本体に固定した状態を示している。
図3において、黒塗りの太線は接続部材50のMCF51~54を示している。主保持部1を調芯装置100の本体に固定した状態において、第1領域側のコーティング部55が回転機構部21に位置し、第2領域側のコーティング部55が回転機構部22に位置する様に、コーティング部55の位置は設定される。回転機構部21及び22については後述する。また、主保持部1を調芯装置100の本体に固定した状態において、第1領域が補助保持部31に位置し、第2領域が補助保持部32に位置する様に、接続部材50と調芯装置100の各部分のサイズは設定されている。
【0016】
補助保持部31及び32は、それぞれ、接続部材50のMCF51~54の端部近傍を保持する。補助保持部31及び32の構成は同様であるため、以下では、補助保持部31について説明する。
図5は、補助保持部31がMCF51~54の端部近傍を保持している様子を示している。なお、
図5の左右方向は幅方向に対応し、
図5の面と直交する方向は長手方向に対応する。
図5に示す様に補助保持部31は、上側保持部312と下側保持部311を有し、下側保持部311には、V字状の溝が設けられる。なお、V字状の溝の幅の最大値は、MCF51~54それぞれを溝に載せたときに、MCF51~54の全体が溝内に入ることがない大きさとする。MCF51~54それぞれをV字状の溝に載せた後、上側保持部312によりMCF51から54に下向きの力を加えることで、補助保持部31は、接続部材50を保持する。なお、本実施形態において、補助保持部31が接続部材50を保持した状態において、MCF51~54は、周方向に回転可能とする。つまり、MCF51~54の位置を固定するが、周方向の回転については可能な様に、上側保持部312がMCF51~54に加える力は設定される。
【0017】
図2に戻り、第1保持部41は、第1MCFテープ芯線を固定して保持し、第2保持部42は、第2MCFテープ芯線を固定して保持する。なお、第1保持部41及び第2保持部42は、主保持部1と同様に、調芯装置100の本体から着脱可能な様に構成される。第1保持部41及び第2保持部42の構成は同様であり、例えば、特許文献1に記載のテープ芯線(SCF)の融着に使用するフォルダと同様の構成を使用できる。
図3は、第1保持部41及び第2保持部42が、それぞれ、第1MCFテープ芯線61及び第2MCFテープ芯線62を保持して、調芯装置100の本体に装着されている状態も示している。なお、参照符号611はテープ状に固着されている部分を示し、参照符号612は、固着のためのコーティングを取り除き、各MCFが剥き出しになっている領域を示している。例えば、各MCFが剥き出しになっている領域612は、補助保持部31及び32と同様の構成により固定することができる。しかしながら、各MCFが剥き出しになっている領域612において、各MCFが周方向に回転しない様に第1保持部41及び第2保持部42は、MCFを保持する。
【0018】
図3に示す様に、調芯装置100に主保持部1、第1保持部41及び第2保持部42を装着した後、回転機構部21及び22を使用して、接続部材50のMCF51~54をそれぞれ周方向に回転させることで、第1MCFテープ芯線及び第2MCFテープ芯線の各MCFと、MCF51~54の位相合わせを行う。なお、回転機構部21及び22の構成は同様であるため、以下では、回転機構部21について説明する。
図6は、回転機構部21の構成を示している。回転機構部21は、摩擦係数の高い部材で構成された、可動板211~214を有する。可動板211~214は、それぞれ、MCF51~54のコーティング部55と接する様に、可動板211~214及びMCF51~54のコーティング部55の位置は設定されている。可動板211~214は、不図示の駆動源により幅方向に移動が可能である。不図示の駆動源により、可動板211~214を幅方向に移動させることで、可動板211~214とコーティング部55の摩擦により、MCF51~54は周方向に回転する。なお、図示してはいないが、回転機構部21は、
図5の下側保持部311と同様のV字状の溝を有する上側保持部を有する。上側保持部は、MCF51~54に対して可動板211~214とは反対側から、つまり、上側からMCF51~54が幅方向に移動しない様にMCF51~54を保持する。
【0019】
例えば、
図3に示す様に、第1MCFテープ芯線61の番号1、2、3及び4のMCFの端面と、第1領域側のMCF51~54の端面をそれぞれ対向させる。なお、本実施形態では、主保持部1、第1保持部41及び第2保持部42を調芯装置100の本体に装着すると、融着する2つのMCFの断面の中心が一致する様に構成されているものとする。しかしながら、例えば、第1保持部41又は補助保持部31を3次元の各方向に移動可能な様に構成し、公知の方法を使用して融着する2つのMCFの断面の中心が一致する様に第1保持部41又は補助保持部31を移動させる構成とすることもできる。
【0020】
例えば、不図示のミラー等を用いて、第1MCFテープ芯線61の各MCFの端面と、第1領域側のMCF51~54の端面とを撮像して不図示のディスプレイに端面を表示する。そして、作業者は、ディスプレイに表示された端面を確認しながら、第1領域側のMCF51~54の各位相が、第1MCFテープ芯線61の融着対象のMCFの位相と一致する様に、第1領域側のMCF51~54を回転させる。第1領域側のMCF51~54の各位相が、第1MCFテープ芯線61の融着対象のMCFの位相に一致した後、例えば、非特許文献1に開示されている融着方法を使用することで、第1MCFテープ芯線61と接続部材50を融着することができる。第2領域側についても同様である。なお、可動板211~214によりMCF51~54の位相を決めた後、可動板211~214の移動を停止させると、コーティング部50と可動板との摩擦によりMCF51~54は、その位相で保持される。しかしながら、可動板211~214によりMCF51~54の位相を決めた後、補助保持部31及び補助保持部32の上側保持部312がMCF51~54に加える力を強くし、補助保持部31及び補助保持部32によりMCF51~54の回転を抑える構成とすることもできる。この場合、補助保持部31及び補助保持部32は、MCF51~54を回転可能に保持する第1状態と、MCF51~54が回転しない様に保持する第2状態に設定可能な様に構成される。
【0021】
なお、本実施形態では、可動板211~214をMCF51~54の下側に設けたが可動板の位置は、MCF51~54の下側に限定されない。例えば、可動板211~214をMCF51~54の上側に設けることができる。この場合、例えば、回転機構部21及び22には、補助保持部31の下側保持部311と同様のV字状の溝を設けた下側保持部を設けて、MCF51~54が幅方向に移動することを抑える。さらに、可動板211~214を、幅方向及び長手方向を含む面とは垂直方向に伸びる様に設け、可動板211~214を垂直方向に動かすことで、MCF51~54を周方向に回転させる構成とすることもできる。この場合、各MCF51~54のコーティング部50の長手方向の位置を同じにすることができる。さらに、本実施形態では、コーティング55と可動板211~214との摩擦力により、MCF51~54を周方向に回転させたが、例えば、コーティング55及び可動板211~214にお互いが噛み合う様に溝を設ける構成とし、ギア形式により可動板211~214の動力をMCF51~54に伝達させてMCF51~54を回転させる構成とすることもできる。つまり、可動板をラックとし、MCF51~54には、対応するラックと噛み合うギアを設ける構成とすることもできる。
【0022】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図7は、本実施形態による調芯装置101を示している。第一実施形態と異なり、本実施形態では、主保持部11と主保持部12の2つの主保持部を有し、第1保持部41、補助保持部31及び回転機構部21と、第2保持部42、補助保持部32及び回転機構部22は、主保持部に対して互いに同じ側に配置される。
図8は、本実施形態による接続部材501を示している。本実施形態の接続部材501の第3領域は、2つの固着領域581及び582と、2つの固着領域581及び582の間にあって、MCF51~54が剥き出しにされた個別領域を有する。個別領域においてMCF51~MCF54は、180度だけ曲げられる。そして、主保持部11は、固着領域581を保持し、主保持部12は、固着領域582を保持する。その他の構成や、MCF51~54の位相合わせの方法は、第一実施形態と同様である。
【0023】
本実施形態では、接続する第1MCFテープ芯線と第2MCFテープ芯線が同じ方向に敷設されている場合でも接続部材501により両テープ芯線を接続することができる。
【0024】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第一実施形態及び第二実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態及び第二実施形態の接続部材は、第3領域において固着領域を有し、主保持部は、固着領域を保持していた。また、固着領域を保持することで、コーティング部50が回転機構部21及び22に位置する様に、接続部材は構成されていた。本実施形態の接続部材502は、
図9に示す様に第3領域において固着領域を有さない。つまり、接続部材502は、個別のMCFである。しかしながら、例えば、
図9に示す様に、第3領域には、主保持部1により保持する範囲を示すマーク56及びマーク57を設ける。
図10は、本実施形態による主保持部1を示している。主保持部1は、MCF51~MCF54を保持する。例えば、マーク56~マーク57の範囲を主保持部1に保持させることで、コーティング部50は、それぞれ、回転機構部に位置する様に、コーティング部50、マーク56及びマーク57の位置は設定されている。なお、マーク56及びマーク57を設けることなく、作業者が、目視によりコーティング部50が回転機構に位置する様に主保持部1により保持させる接続部材502の位置を決める構成であっても良い。
【0025】
例えば、第一実施形態において、接続部材50は固着領域58を有し、この固着領域58においてはMCF51~MCF54を回転させることができない。したがって、固着領域58の両側において、MCF51~MCF54の回転量の最大値はそれぞれ180度となる。したがって、最悪の場合、接続部材50において、MCF51~MCF54の両側を相対的に360度回転させる必要がある。本実施形態では、MCF51~MCF54それぞれの位相を調整した後、主保持部1により保持させることで、MCF51~MCF54の両側の相対的な回転量の最大値を180度に抑えることができる。
【0026】
<第四実施形態>
続いて、第四実施形態について第一実施形態から第三実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態から第三実施形態においては接続部材を使用していた。本実施形態では、接続部材を使用しない。
図11は、本実施形態による調芯装置102の構成図である。第1保持部41には、第一実施形態と同様に第1MCFテープ芯線を保持させる。一方、本実施形態では、第2MCFテープ芯線の端部部分のコーティングを取り除き、第2MCFテープ芯線の各MCFの先端部分をばらばらにした後、第2MCFテープ芯線の各MCFにギアを通しておく。そして、第2MCFテープ芯線の固着領域を主保持部1に保持させて調芯装置の本体に固定した後、各MCFに通したギアが、回転機構部22の対応するラックと噛み合う様に各ギアの位置を決め、その後、各ギアをMCFに接着して固定させる。そして、各MCFの端部領域を第一実施形態の接続部材50と同様に補助保持部31に保持させる。この構成により、接続部材を使用することなく、第1MCFテープ芯線と第2MCFテープ芯線を接続することができる。なお、ギア方式により本実施形態を説明したが、摩擦方式とすることもできる。
【0027】
<その他の実施形態>
第一実施形態から第四実施形態では、2つのMCFテープ芯線を接続するものとしたが、本発明は、複数の第1MCFと複数の第2MCFとをそれぞれ接続する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1:主保持部、21、22:回転機構部、31、32:補助保持部