(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】レーザマーカラベル、およびレーザマーカラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20221012BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20221012BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20221012BHJP
B60R 13/10 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
G09F3/02 F
G09F3/00 E
B23K26/00 B
B60R13/10
(21)【出願番号】P 2018167956
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大森 俊和
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020374(JP,A)
【文献】特開2004-085827(JP,A)
【文献】特開2012-208283(JP,A)
【文献】登録実用新案第3001819(JP,U)
【文献】特開2017-111344(JP,A)
【文献】特開平05-077068(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2017-0113845(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 -26/70
B42D 1/00 -25/485
G09F 1/00 - 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色層、白色層、および粘着剤層を、積層方向にこの順序で有し、前記黒色層上に情報が印されたレーザマーカラベルであって、
前記情報は、前記黒色層上に
印刷によって形成された凸部によって印されており、
前記凸部は、可視光領域での透過率が前記黒色層より大きい被覆層によって覆われ
ており、
前記白色層が前記黒色層側に部分的に露出した露出部が形成される、レーザマーカラベル。
【請求項2】
前
記露出部と前記黒色層との色差よりも、前記情報の印されている箇所と前記黒色層との色差が小さい、請求項1に記載のレーザマーカラベル。
【請求項3】
前記白色層が前記黒色層側に部分的に露出した露出部が、前記白色層の厚み方向において、前記黒色層と前記白色層との境に近接している、請求項1または請求項2に記載のレーザマーカラベル。
【請求項4】
黒色層、白色層、および粘着剤層を、積層方向にこの順序で有する積層体を準備し、
前記黒色層上
に情報を
印刷して凸部を形成し、
前記黒色層よりも可視光領域での透過率が大きい被覆層によって前記凸部を覆
い、
前記白色層を前記黒色層側に部分的に露出させる露出部を形成する、レーザマーカラベルの製造方法。
【請求項5】
前
記露出部と前記黒色層との色差よりも、前記情報を印した箇所と前記黒色層との色差を小さくする、請求項4に記載のレーザマーカラベルの製造方法。
【請求項6】
前記白色層を前記黒色層側に部分的に露出させる露出部が、前記白色層の厚み方向において、前記黒色層と前記白色層との境に近接して形成されるよう、少なくとも前記被覆層および前記黒色層を前記積層方向に除去する、請求項4または請求項5に記載のレーザマーカラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザマーカラベル、およびレーザマーカラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車両識別番号(Vehicle Identification Number;VIN)を表示するラベルとして、レーザマーカラベルが使用されている。
【0003】
レーザマーカラベルは、レーザ光の照射によって除かれうる表層、および表層と隣接する下層を含み、レーザ光が照射されて表層が部分的に除去されると、表層と下層との色差によって、表層の除去された部分が文字等として視認される。
【0004】
このようにして、自動車の車両識別番号用のラベルでは当該番号が記録されるが、それとは別に、偽造防止を目的として企業名等のロゴが印されることがあり、例えば特許文献1では、表層としての黒色層に凹部を設け、この凹部によって、ロゴを視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、黒色層に形成した凹部は、凹部の深さによって視認性を変えることが可能であるものの、黒とは異なる色の様々なバリエーションのロゴに対応することは困難である。
【0007】
これに対し、黒色層の内部に黒色層とは異なる色のロゴを埋設したものがあるが、黒色層が妨げとなり、ロゴを所望の色合いで視認されるよう調整するのが難しい。一方で、ロゴを黒色層上に露出させて設けたとすると、ロゴが擦過等の影響を受け易く、消えてしまう虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、様々なバリエーションで黒色層上に情報を印すことができ、かつその情報が消え難い、レーザマーカラベル、およびレーザマーカラベルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のレーザマーカラベルは、黒色層、白色層、および粘着剤層を、積層方向にこの順序で有し、前記黒色層上に情報が印されている。前記情報は、前記黒色層上に印刷によって形成された凸部によって印されており、前記凸部は、可視光領域での透過率が前記黒色層より大きい被覆層によって覆われており、前記白色層が前記黒色層側に部分的に露出した露出部が形成される。
【0010】
上記目的を達成するための本発明のレーザマーカラベルの製造方法は、黒色層、白色層、および粘着剤層を、積層方向にこの順序で有する積層体を準備し、前記黒色層上に情報を印刷して凸部を形成し、前記黒色層よりも可視光領域での透過率が大きい被覆層によって前記凸部を覆い、前記白色層を前記黒色層側に部分的に露出させる露出部を形成する。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する発明では、情報を印す凸部が黒色層とは別に設けられるため、例えば色や光沢を黒色層とは様々に異ならせて、情報を印すことが可能である。また、凸部を覆う被覆層の透過率が黒色層より大きく光を通し易いため、視認性が良好で、凸部によって印される情報の例えば色や光沢を狙い通りに視認されるよう調整し易い。これらのことから、上記構成を有する発明によれば、様々なバリエーションで黒色層上に情報を印すことができる。
【0012】
また、情報を印す凸部が、被覆層によって覆われ、擦過等から保護されるため、黒色層上に印された情報が消え難い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態のレーザマーカラベルを示す平面図である。
【
図2】実施形態のレーザマーカラベルの断面を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態のレーザマーカラベルの製造方法の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
【0015】
図1に示すように、実施形態のレーザマーカラベル100は、自動車の車両識別番号101(Vehicle Identification Number;VIN)を示すラベルであり、偽造防止のため、製造業者のロゴ102(黒色層上に印された情報)が印字されている。
【0016】
車両識別番号101は、図中では簡単に「1234」と示されているが、これは模式的な例示に過ぎず、例えば、製造業者、車両属性、年式、国名、工場名等を表す数字等が表示される。
【0017】
ロゴ102は、本実施形態では、製造業者を示す文字であるロゴタイプで、模式的に「○×自動車」と示されているが、このような形態に限定されない。ロゴ102は、企業のマークであるシンボルマーク、または、ロゴタイプとシンボルマークとが合わさったロゴマークであってもよい。また、ロゴ102が黒色層110上にどのように配置されるかも、特に限定されない。
【0018】
レーザマーカラベル100は、脆質性を有しており、一旦、被着体に貼り付けられた後に剥がそうとすると、破壊され、再利用できなくなる。このため、貼り替えや改ざんが防止される。
【0019】
図2に示すように、レーザマーカラベル100は、黒色層110、白色層120、粘着剤層130、および剥離ライナー140を、積層方向にこの順序で有する。
【0020】
また、レーザマーカラベル100は、白色層120の露出した露出部150、黒色層110上に形成された凸部160、および凸部160を覆う被覆層170を有する。
【0021】
黒色層110は、形成材料として、例えば、黒色系着色剤、および樹脂を含み、それらの他に、添加剤を含んでも良い。
【0022】
黒色層110に含まれる黒色系着色剤として、例えば、カ-ボンブラック、鉄黒、コバルト酸化物系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック等が挙げられるが、これらに限定されない。黒色系着色剤は単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0023】
黒色層110に含まれる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
黒色層110は、白色層120の破損にともなって破損する性質を有する。黒色層110の厚みは、白色層120よりも小さいことが好ましく、具体的には30μm以下であることが好ましく、1~15μm以下であることがより好ましく、1~5μm未満であることがより好ましい。
【0025】
白色層120は、形成材料として、例えば、白色系着色剤、および樹脂を含み、それらの他に、添加剤を含んでも良い。白色層120は、脆質性を有するよう、好ましくはフィラーを含む。白色層120が脆質性を有することで、レーザマーカラベル100は、被着体から剥がされるときに破壊され、再利用できないようになる。
【0026】
白色層120に含まれる白色系着色剤としては、無機系の顔料が好ましく、例えば、二酸化チタン、アルミナホワイト、亜鉛華、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、シリカ、白雲母等を挙げることができる。中でも、白色性付与の観点から、着色剤は、二酸化チタンであることが好ましい。これらの白色系着色剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。白色系着色剤は、白色層120中1~50質量%(固形分換算)であることが好ましく、5~30質量%(固形分換算)であることがより好ましい。白色系着色剤の平均粒径は、0.2~0.3μmであることが好ましい。
【0027】
白色層120に含まれる樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
白色層120に含まれるフィラーとしては、上記白色系着色剤の記載と重複する場合もあるが、溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、アルミナ等が挙げられる。これらのフィラーは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、脆質性付与の観点から、フィラーが溶融シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0029】
白色層120に含まれるフィラーの平均粒径は0.01~20μmであることが好ましく、0.05~10μmであることがより好ましく、0.1~4μmであることがさらに好ましい。ここで、フィラーの「平均粒径」とは、レーザ回析法によって測定される体積基準粒子分布での、累積値50%に相当する中位径(メジアン径)のことを指す。フィラー(上記白色系着色剤を含む)の含有量は、白色層120に対して5~55質量%であることが好ましく、20~30質量%であることがより好ましい。
【0030】
白色層120の厚みは、白色層120の脆質性および機械的強度を考慮して、50~200μmであることが好ましく、60~100μmであることがより好ましい。
【0031】
粘着剤層130は、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤によって形成され、必要に応じて添加剤を含んでもよい。それらの粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。粘着剤層130の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm~100μmである。
【0032】
剥離ライナー140は、粘着剤層130に対して剥離自在に配置されている。レーザマーカラベル100が被着体に貼り付けられる際、剥離ライナー140は粘着剤層130から剥がされ、露出した粘着剤層130を介して、レーザマーカラベル100は被着体に貼り付けられる。
【0033】
剥離ライナー140の形成材料としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙、または、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、または、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
【0034】
剥離ライナー140の厚みは、例えば、10μm~400μmであるが、これに限定されない。剥離性向上のため、シリコーン等の剥離剤が、剥離ライナー140の表面に塗布されていてもよい。
【0035】
露出部150は、黒色層110側に白色層120が部分的に露出した箇所である。露出部150は、黒色層110側の面から見ると、黒色層110と白色層120との色差によって、
図1で示した車両識別番号101として視認される。本実施形態のレーザマーカラベル100において主たる表記である車両識別番号101は、視認し易いことが好ましく、このため、ロゴ102が車両識別番号101よりも目立たないよう、好ましくは、ロゴ102の印されている箇所と黒色層110との色差が、車両識別番号101を印す露出部150と黒色層110との色差よりも、小さい。色差の求め方は、例えば、JIS Z8781-6:2017およびJIS Z8722:2009に規定されており、公知の測色計を用いて測定可能である。色差ΔE*は5以上20以下であることが好ましい。
【0036】
露出部150は、白色層120の厚み方向において、どの程度の深さに形成されるかは特に限定されないが、浅めに形成され黒色層110と白色層120との境に近接することが好ましい。その境と露出部150とで白色層120の厚み方向における離間距離は、例えば、白色層120の厚みの1/5以下、好ましくは1/10以下である。最も好ましくは、露出部150の位置は、黒色層110と白色層120との境に一致する。
【0037】
凸部160は、黒色層110上に部分的に形成されており、凸部160によって、ロゴ102が印されている。凸部160が黒色層110とは異なる色を有し、それらの色差によって、ロゴ102は視認可能である。あるいは、この形態に限定されず、凸部160は黒色層110と同じ色を有するが、凸部160の光沢度が黒色層110とは異なっており、それらの光沢度の差によって、ロゴ102が視認されるようにしてもよい。例えば、光沢のある黒色層110の上に、マットな凸部160を形成することによって、ロゴ102が視認されるようにしてもよい。凸部160は、形成材料として、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂を含む。また、凸部160は、顔料や染料等の着色剤や、シリカ等のマット剤を含んでもよい。
【0038】
被覆層170は、可視光領域において黒色層110よりも大きい透過率を有する。被覆層170は、凸部160によって印されるロゴ102の視認性の観点から、好ましくは透明であり、可視光領域における被覆層170の透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
【0039】
被覆層170は、白色層120の破損にともなって破損する性質を有する。被覆層170の厚みは、破損性、および耐擦過性等を考慮して、例えば、0.1μm~10μmであることが好ましく、0.5μm~5μmであることがより好ましい。被覆層170は、形成材料として、例えば、紫外線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂を含むが、これに限定されない。
【0040】
次に、レーザマーカラベル100の製造方法を述べる。
【0041】
図3に示すように、実施形態の製造方法では、積層体103が準備され、その上に凸部160を形成してロゴ102が印字される。その後、凸部160が被覆層170によって覆われ、レーザLの照射によって露出部150を形成して車両識別番号101が記録される。
【0042】
積層体103は、黒色層110、白色層120、粘着剤層130、および剥離ライナー140を、積層方向にこの順序で有する。これらの各層をどのような順序で形成していくかは、特に限定されず、例えば、黒色層110を形成した後、白色層120を形成してもよいし、逆に、白色層120を形成した後、黒色層110を形成してもよい。
【0043】
前者の場合、黒色層110が、例えば溶媒キャスト法によって製膜された後、黒色層110の上に、白色層120が溶媒キャスト法によって積層される。後者の場合、白色層120が、例えば、溶媒キャスト法、カレンダー法、溶融法等によって製膜された後、黒色層110が、例えば印刷によって白色層120上に形成される。その後、例えば、黒色層110と白色層120とが一体になったものと、剥離ライナー140に塗布された粘着剤層130とが貼り合わされて、積層体103が形成される。
【0044】
積層体103の準備後の凸部160の形成は、例えば、黒色層110への印刷によって行われ、この場合、凸部160は、硬化したインクである。ここで、黒色層110への印刷は、例えば、フレキソ印刷、グラビア印刷等であり、印字するロゴ102の大きさや、ロゴ102が印字される範囲の大小によって適宜選択されうるが、それらの印刷法に限定されない。
【0045】
また、被覆層170も例えばフレキソ印刷等の印刷によって形成できる。例えば、硬化型樹脂を含む組成物が凸部160を覆うように黒色層110の全体に印刷され、その組成物が硬化されることによって、被覆層170は形成される。ただ、被覆層170の形成は、これに限定されず、他の方法であってもよい。
【0046】
形成された被覆層170は、黒色層110とともに、レーザLの照射によって部分的に除去される。レーザLは、被覆層170および黒色層110を積層方向に除去して白色層120に達し、その結果、露出部150が形成される。
【0047】
黒色層110は、レーザLを吸収し易いことが好ましく、そのような吸収性に優れた黒色系着色剤として、例えばカーボンブラックを含むことが好ましい。また、黒色系着色剤自体がレーザLに対して吸収性を持たない場合、黒色層110は、例えば、シアニン系、フタロシアニン系等の赤外線吸収剤等を含んでもよい。白色層120は、レーザLの照射にともなう変色防止の観点から、ウレタン樹脂またはアクリル系樹脂によって形成されることが好ましい。
【0048】
レーザLは、例えば、CO2レーザ、Nd:YAGレーザ、エキシマレーザ、半導体レーザ、半導体励起固体レーザ、Arレーザ、N2/Dyeレーザ、HeCdレーザ等が挙げられるが、黒色層110および被覆層170を部分的に除去できれば、特に限定されない。また、レーザLは、白色層120の厚み方向においてどの程度の深さまで照射されるかは、特に限定されないが、浅めに照射され、露出部150が黒色層110と白色層120との境に近接することが好ましい。また本実施形態では、レーザLは、被覆層170および黒色層110を除去しているが、レーザLの照射位置に凸部160がある場合、それらとともに凸部160を除去してもよい。
【0049】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0050】
本実施形態では、ロゴ102を印す凸部160が黒色層110とは別に設けられるため、例えば色や光沢を黒色層110とは様々に異ならせて、ロゴ102を印すことが可能である。また、被覆層170の透過率が黒色層110より大きく光を通し易いため、視認性が良好で、ロゴ102の例えば色や光沢を狙い通りに視認されるよう調整し易い。これらのことから、本実施形態によれば、ロゴ102を様々なバリエーションで黒色層110上に印すことができる。
【0051】
また、ロゴ102を印す凸部160が、被覆層170によって覆われ、擦過や薬品等から保護されるため、ロゴ102が消え難い。
【0052】
ロゴ102の印されている箇所(凸部160)と黒色層110との色差を、露出部150と黒色層110との色差よりも小さくすれば、ロゴ102が目立たず視認の妨げとなり難いため、主たる表記(本実施形態では車両識別番号101)の視認性を向上させることができる。
【0053】
露出部150が、白色層120の厚み方向において、黒色層110と白色層120との境界に近接して浅めに形成されるようにすれば、白色層120に深い除去部ができ難いため、白色層120の強度低下を防止できる。
【0054】
<実施例>
本発明者は、上記実施形態のレーザマーカラベル100に準じた構成を有する実施例1、2のラベルを作製し、各ラベルの黒色層上に印字したロゴの耐久性について、試験を行った。
【0055】
実施例1のラベルでは、グラビア印刷によってロゴが印刷され、実施例2のラベルでは、フレキソ印刷によってロゴが印刷されており、それらのロゴが、透明な被覆層によって覆われている。
【0056】
また、本発明者は、比較のため、上記実施形態のレーザマーカラベル100から被覆層170が省かれた構成、すなわち、黒色層上のロゴが露出した構成を有する比較例のラベルも作製し、これについても実施例1、2と同様の耐久性試験を行った。比較例のラベルでは、ロゴがグラビア印刷によって印刷されている。
【0057】
耐久性試験において、本発明者は、アセトンを浸み込ませたガーゼによって、各ラベルの表面を10回以上強く擦り、その後、ロゴの状態を確認した。ガーゼに浸み込ませたアセトンは、印刷を改ざんするのに悪用されるマニキュアの除光液を想定している。試験結果を下の表1に示す。
【0058】
【0059】
表1において、○はロゴが全く消えることなく残っている状態を示し、△はロゴが残っているものの薄い状態であることを示す。
【0060】
表1の結果から、実施例1、2のラベルでは、比較例に比べ、ロゴがより鮮明に残っていることが分かり、上記実施形態の構成によれば、ロゴが消え難いことが確認できた。
【0061】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
【0062】
例えば、本発明のレーザマーカラベルは、上記実施形態のように、自動車の車両識別番号を示すラベルに限定されず、例えば偽造防止用ラベル等、他の用途で用いられるラベルであってもよい。
【0063】
また、白色層の露出部を形成して記録する情報は、上記実施形態のように車両識別番号に限定されず、また、黒色層上に印される情報も、上記実施形態のように企業のロゴに限定されない。それらの情報は、文字、記号、数字、もしくは図形、またはそれらの組み合わせ等、様々な形態とすることが可能で、ラベルの用途に応じて適宜設計できる。
【符号の説明】
【0064】
100 レーザマーカラベル、
101 車両識別番号、
102 ロゴ(黒色層上に印された情報)、
103 積層体、
110 黒色層、
120 白色層、
130 粘着剤層、
140 剥離ライナー、
150 白色層の露出部、
160 凸部、
170 被覆層、
L レーザ。