(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】機械式駐車装置とその消火方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20221012BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20221012BHJP
A62C 3/07 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
E04H6/18 601Z
E04H6/18 606A
E04H6/42 Z
A62C3/07 A
(21)【出願番号】P 2018169022
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】松下 周平
(72)【発明者】
【氏名】森 真也
(72)【発明者】
【氏名】清水 健二
(72)【発明者】
【氏名】今福 修
(72)【発明者】
【氏名】黒▲瀬▼ 道明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信男
(72)【発明者】
【氏名】迫田 央司
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-180390(JP,A)
【文献】特開2001-037900(JP,A)
【文献】特開2010-248722(JP,A)
【文献】特開2013-028458(JP,A)
【文献】特開平5-111543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
A62C 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が入出庫する入出庫室と、複数の前記車両を格納する格納エリアと、前記入出庫室と前記格納エリアとの間で前記車両を搬送する搬送装置と、を有する機械式駐車装置であって、
前記格納エリアに設けられ前記車両をそれぞれ格納する複数の格納棚と、
前記格納棚にそれぞれ設けられ前記格納棚の火災を検知する複数の火災感知器と、
前記入出庫室と前記格納エリアとの境界部に設けられ、前記搬送装置による前記車両の搬送口を全閉可能な仕切扉と、
前記入出庫室の内部に消火ガスを放出する消火ガス設備と、
火災発生時に非常運転を実施する非常運転制御装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記格納棚との間で前記車両を移載する移載装置と、火災を起こした火災車両に搬送中に消火ガスを放出する補助消火装置と、を有し、
前記非常運転制御装置は、前記搬送装置
の前記補助消火装置により消火ガスを放出しながら前記火災車両を前記入出庫室まで搬送し、前記仕切扉及び前記入出庫室の入出庫口を全閉し、前記入出庫室の内部に消火ガスを放出する、機械式駐車装置。
【請求項2】
前記入出庫室の内部に、複数の前記格納棚を備える、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記非常運転制御装置は、火災発生時に一定期間作動する非常用電源を有する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
請求項1に記載の機械式駐車装置の消火方法であって、
(A)火災発生時に、前記火災感知器の検知信号により前記火災車両を特定し、
(B)前記搬送装置
の前記補助消火装置により前記火災車両に消火ガスを放出しながら前記火災車両を前記入出庫室まで搬送し、
(C)前記仕切扉及び前記入出庫室の入出庫口を全閉し、
(D)前記消火ガス設備により、前記入出庫室の内部に前記消火ガスを放出する、機械式駐車装置の消火方法。
【請求項5】
前記火災車両を前記入出庫室内の前記格納棚に移載し、前記搬送装置を前記仕切扉より上方へ移動した後に、前記仕切扉を全閉する、請求項4に記載の機械式駐車装置の消火方法。
【請求項6】
(A)前記入出庫室内の前記火災感知器の検知信号により、前記火災車両の鎮火を検出し、
(B)前記搬送装置により、鎮火した前記車両を前記格納エリアの前記格納棚に搬送する、請求項4に記載の機械式駐車装置の消火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に係り、さらに詳しくは、機械式駐車装置とその消火方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置、例えばエレベータ式駐車装置や地下式駐車装置では、車両(例えば乗用車)を収容する複数の格納棚の間に仕切りがなく、複数の格納棚全体が1つの防火区画となっている。
そのため、従来は機械式駐車装置の内部で火災が発生した場合、防火区画全域(複数の格納棚全体)に消火ガスを放出・充満させ、窒息消火や化学反応消火を行っていた。
【0003】
例えば、30台収容のエレベータ式駐車装置の内部である1台の車両が火元となる火災が発生した際、その他の29台の駐車スペース分まで消火ガスを放出している。そのため、常に大量の消火ガス量を貯蔵する必要があり、ボンベ室のスペース増大、消火設備機器の増大、保守・保全費用の増大、消火ガス放出による環境破壊の原因となっていた。
【0004】
この問題を解決するための消火手段が、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【0005】
特許文献1の「格納庫における消火方法、格納庫及び立体格納塔」では、複数設けた格納区画に格納された車両に火災が発生すると、火災感知器によりその火災を検出し、火災を起こした車両を格納区画から消火スペースに移動して同車両を消火するものである。
【0006】
特許文献2の「立体駐車場装置」は、煙検知信号に応じて建屋を任意の位置にて上下方向に複数に分割し、複数の防火区画を形成する可動式の仕切りを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平7-180390号公報
【文献】特開2008-25296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の消火手段には、以下の問題点があった。
(1)特許文献1の手段の場合、火災を起こした車両(以下「火災車両」)を格納区画から消火スペースに移動する間に火災車両により延焼を招く可能性がある。
(2)火災車両が1台であっても、複数の火災感知器がその火災を検出し、火元の火災車両を特定できない場合がある。
(3)特許文献2の手段の場合、火災車両が複数あり複数の防火区画内で火災が生じると、消火ガスが不足して消火できない可能性がある。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、火災車両による延焼を防止することができ、かつ消火ガスの必要量を大幅に削減することができる機械式駐車装置とその消火方法を提供することにある。
また第2の目的は、1台の火災車両に対して複数の火災感知器が火災を検出した場合、或いは火災が発生した車両が複数であっても、火災車両を確実に消火することができる機械式駐車装置とその消火方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、車両が入出庫する入出庫室と、複数の前記車両を格納する格納エリアと、前記入出庫室と前記格納エリアとの間で前記車両を搬送する搬送装置と、を有する機械式駐車装置であって、
前記格納エリアに設けられ前記車両をそれぞれ格納する複数の格納棚と、
前記格納棚にそれぞれ設けられ前記格納棚の火災を検知する複数の火災感知器と、
前記入出庫室と前記格納エリアとの境界部に設けられ、前記搬送装置による前記車両の搬送口を全閉可能な仕切扉と、
前記入出庫室の内部に消火ガスを放出する消火ガス設備と、
火災発生時に非常運転を実施する非常運転制御装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記格納棚との間で前記車両を移載する移載装置と、火災を起こした火災車両に搬送中に消火ガスを放出する補助消火装置と、を有し、
前記非常運転制御装置は、前記搬送装置の前記補助消火装置により消火ガスを放出しながら前記火災車両を前記入出庫室まで搬送し、前記仕切扉及び前記入出庫室の入出庫口を全閉し、前記入出庫室の内部に消火ガスを放出する、機械式駐車装置が提供される。
【0011】
また本発明によれば、上記の機械式駐車装置の消火方法であって、
(A)火災発生時に、前記火災感知器の検知信号により前記火災車両を特定し、
(B)前記搬送装置の前記補助消火装置により前記火災車両に消火ガスを放出しながら前記火災車両を前記入出庫室まで搬送し、
(C)前記仕切扉及び前記入出庫室の入出庫口を全閉し、
(D)前記消火ガス設備により、前記入出庫室の内部に前記消火ガスを放出する、機械式駐車装置の消火方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非常運転制御装置が、搬送装置により火災車両に消火ガスを放出しながら火災車両を入出庫室まで搬送するので、火災車両による延焼を防止することができる。
また、搬送後に、仕切扉及び入出庫室の入出庫口を全閉し、入出庫室の内部に消火ガスを放出するので、消火ガスの必要量を大幅に削減して、火災車両を確実に消火することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による機械式駐車装置を示す正面図である。
【
図2】火災発生時の機械式駐車装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明による機械式駐車装置100を示す正面図である。
この例において、機械式駐車装置100はエレベータ式駐車装置である。
この図において、1は車両(例えば、乗用車)、2は車両1を載せるパレット、3は搬送路、4は格納棚、5は搬送路3を移動(昇降)する搬送装置、6は本体フレーム、7は本体フレーム6の上部に設置されたトラクション方式(摩擦駆動式)の巻上機である。
【0016】
機械式駐車装置100は、複数の車両1を格納する格納エリア22を有する。
複数の格納棚4は、格納エリア22に設けられ車両1をそれぞれ格納する。格納棚4は、車両1を収容する格納空間である。格納棚4は、例えばレール4aを有し搬送装置5との間で車両1を移載できるようになっている。
【0017】
搬送装置5は、格納棚4との間で車両1を移載する移載装置(図示せず)を有する。すなわち、この例で、搬送装置5は、車両1が載るパレット2を水平に移動する横行機構を有し、車両1を載せたパレット2を格納棚4と搬送装置5の間で横行させるようになっている。
【0018】
図1において、機械式駐車装置100は、さらに車両1が入出庫する入出庫室8を有する。
入出庫室8は、車両1が外部から入庫し外部に出庫する入出庫口(図示せず)を有する。入出庫口には全閉可能な入出庫扉(図示せず)が設けられている。
搬送装置5は、入出庫室8と格納棚4との間で車両1を搬送(この例で昇降)する。
【0019】
図1において、機械式駐車装置100は、さらに、複数の火災感知器10、仕切扉12、消火ガス設備16、及び非常運転制御装置20を備える。
【0020】
複数の火災感知器10は、格納棚4にそれぞれ設けられ、格納棚4の火災を検知する。火災感知器10は、火炎及び煙を検知可能なアドレス式感知器であるのがよい。
図1に示すように、火災感知器10は、格納エリア22の格納棚4の他、入出庫室8の内部、及び巻上機7の近傍にも設置するのがよい。
【0021】
仕切扉12は、入出庫室8と格納エリア22との境界部に設けられ、搬送装置5による車両1の搬送口を全閉可能に構成されている。
この例で、仕切扉12は、固定仕切板12a、可動仕切板12b、及びアクチュエータ12cからなる。固定仕切板12aは、入出庫室8の天井部に設けられ搬送路3のみに開口(車両1の搬送口)を有する。可動仕切板12bは、固定仕切板12aに沿って水平移動し搬送路3の開口を全開又は全閉する。アクチュエータ12cは、可動仕切板12bを駆動して全開又は全閉する。
なお、この例で、入出庫室8の天井部以外の内壁は、防火壁9で覆われ、仕切扉12び入出庫室8の入出庫口(入出庫扉)を全閉することで、入出庫室8が外気が流入できない密閉空間になるように構成されている。
【0022】
図1において、入出庫室8は、その内部に車両1を収容する複数(この例で2基)の格納棚14を有する。入出庫室8の格納棚14を以下「消火棚14」と呼ぶ。
入出庫室8の格納棚14(消火棚14)は、例えばレール14aを有し、格納エリア22の格納棚4と同様に構成されている。この構成により搬送装置5により、入出庫室8の内部において、搬送装置5と消火棚14との間で車両1を移載することができる。
【0023】
消火ガス設備16は、入出庫室8の内部に消火ガスを放出するようになっている。消火ガスは、例えば炭酸ガス、窒素、アルゴン、又はこれらの混合ガスである。
消火ガス設備16は、ボンベ室16a、主放出ヘッド16b、及びガス配管(図示せず)を有する。
ボンベ室16aは、入出庫室8に近接して配置され、消火ガスを保有するボンベが設置されている。主放出ヘッド16bは、入出庫室8の内部に設置されている。ガス配管(図示せず)は、ボンベ室16aのボンベと主放出ヘッド16bとを連通する。ガス配管には、遠隔操作可能な開閉弁が設けられ、入出庫室8に消火ガスを放出できるようになっている。
【0024】
図1において、搬送装置5は、火災を起こした火災車両1Aに搬送中に消火ガスを放出する補助消火装置18を備える。
補助消火装置18は、補助ボンベ18a、補助放出ヘッド18b、及びガス配管(図示せず)を有する。
補助ボンベ18aは、搬送装置5に固定され消火ガスを保有する。補助ボンベ18aの容量は、火災車両1Aの想定台数(例えば1~3台)に応じて設定するのがよい。
補助放出ヘッド18bは、火災車両1Aに向けて搬送中に消火ガスを放出する。補助放出ヘッド18bは、火災車両1Aによる延焼を防止するように複数箇所に設置するのがよい。
ガス配管(図示せず)は、補助ボンベ18aと補助放出ヘッド18bとを連通する。ガス配管には、遠隔操作可能な開閉弁が設けられ、火災車両1Aの搬送中のみに消火ガスを放出できるようになっている。
【0025】
非常運転制御装置20は、例えばコンピュータ(PC)であり、火災発生時に非常運転を実施するようになっている。
非常運転制御装置20は、火災発生時に一定期間作動する非常用電源21を有し、火災発生時に、上述した搬送装置5、巻上機7、入出庫室8の入出庫扉(図示せず)、仕切扉12、及び消火ガス設備16を制御する。
【0026】
非常用電源21の「一定期間」は、火災車両1Aの想定台数(例えば1~3台)に応じて、すべての火災車両1Aの消火までに必要な機械式駐車装置100の運転時間(例えば5~10分)である。非常用電源21は、火災発生時に通常電源が遮断(停電)した場合に自動的に起動するのがよい。
【0027】
すなわち非常運転制御装置20は、火災発生時に、搬送装置5により消火ガスを放出しながら火災車両1Aを入出庫室8まで搬送し、仕切扉12及び入出庫室8の入出庫口を全閉し、入出庫室8の内部に消火ガスを放出する。
【0028】
図2~
図5は、本発明による機械式駐車装置100の消火方法を示す説明図である。このうち、
図2は火災発生時の機械式駐車装置100を示し、
図3~
図5は火災発生後の第1段階、第2段階、及び第3段階の消火方法を示す説明図である。以下、これらの図に基づき消火方法を説明する。
【0029】
図2において搬送装置5は、パレット2を搭載せずに搬送路3の途中又は入出庫室8に位置している。搬送装置5の位置(高さ)はどこであってもよい。
なお、火災発生時において、搬送装置5が空又は車両1を載せたパレット2を搭載している場合がある。この場合には、搬送装置5を移動(昇降)させ、格納エリア22の格納棚4にパレット2を移載(横行)し、搬送装置5がパレット2を搭載しない状態にする。
【0030】
図2において、火災を起こした火災車両1Aを斜線で示す。
非常運転制御装置20は、火災発生時に、火災感知器10の検知信号により、火災車両1Aを特定する。
例えば、火災が発生した車両1が1台であっても、複数の火災感知器10がその火災を検出し、火元の車両1を特定できない場合がある。しかしこの場合、複数の火災感知器10の検出信号の強弱や検出順序から、火元に最も近い、すなわち最も火元と考えられる火災車両1Aを特定することができる。
【0031】
次に、
図3、
図4の図中の矢印A,B、Cの順で、非常運転制御装置20は、搬送装置5により、消火ガスを放出しながら火災車両1Aを入出庫室8まで搬送する。
【0032】
次いで、
図5に示すように、仕切扉12及び入出庫室8の入出庫口を全閉し、消火ガス設備16により、入出庫室8の内部に消火ガスを放出する。
【0033】
なお仕切扉12は、火災車両1Aを消火棚14に移載し、搬送装置5を仕切扉12より上方へ移動した後に全閉するのがよい。
この構成により、搬送装置5を移動(昇降)させるワイヤロープ等との干渉なしに、仕切扉12を全閉し、入出庫室8を完全な密閉空間にすることができる。これにより消火ガスの必要量を大幅に削減して火災車両1Aの火災を確実に鎮火することができる。
【0034】
また、搬送装置5を仕切扉12より上方へ移動しているので、次の火災車両1Aに対して搬送装置5を直ぐに移動(昇降)することができる。
【0035】
火災車両1Aの搬送後に、非常運転制御装置20は、火災感知器10の検知信号により、次の火災車両1Aの有無を判断する。
1台の火災車両1Aに対して複数(例えば2つ)の火災感知器10が火災を検出した場合、最初に搬送した車両1に最も近い車両1が火災を起こした火災車両1Aである場合がある。また、最初に搬送した火災車両1Aの他に別の火災車両1Aがある場合がある。
【0036】
本発明の方法では、最初に搬送した火災車両1Aの他に次の火災車両1Aを検出した場合、
図2~5に示した動作を繰り返し、次の火災車両1Aを入出庫室8の消火棚14に移載し、搬送装置5を仕切扉12より上方へ移動した後に全閉する。
この方法により、1台の火災車両1Aに対して複数の火災感知器10が火災を検出した場合、或いは火災が発生した車両1が複数であっても、火災車両1Aを確実に消火することができる。
【0037】
さらに本発明の方法では、入出庫室内の火災感知器10の検知信号により、火災車両1Aの鎮火を検出し、搬送装置5により、鎮火した車両1を格納エリア22の格納棚4に搬送する。
【0038】
この例において、入出庫室8は3台の車両1のみを収容可能な密閉空間であり、消火ガスによる局所消火ができるので、火災車両1Aの鎮火に必要な時間を短縮できる。
したがって、鎮火した車両1を格納エリア22の格納棚4に搬送することで、入出庫室8の消火棚14を空にし、新たな火災車両1Aに備えることがdきる。
【0039】
上述した本発明の実施形態によれば、非常運転制御装置20が、搬送装置5により火災車両1Aに消火ガスを放出しながら火災車両1Aを入出庫室8まで搬送するので、火災車両1Aによる延焼を防止することができる。
また、搬送後に、仕切扉12及び入出庫室8の入出庫口を全閉し、入出庫室8の内部に消火ガスを放出するので、消火ガスの必要量を大幅に削減して、火災車両1Aを確実に消火することができる。
【0040】
また、搬送装置5を移動(昇降)させるためのワイヤロープとの干渉なしに、仕切扉12を全閉することができ、入出庫室8を完全な密閉空間にすることができ、消火ガスの必要量を大幅に削減して、火災車両1Aを確実に消火することができる。
【0041】
さらに、1台の火災車両1Aに対して複数の火災感知器10が火災を検出した場合、或いは火災が発生した車両1が複数であっても、火災車両1Aを順に入出庫室8まで搬送して密閉空間で短時間に消火(鎮火)するので、2台以上の火災車両1Aを確実に消火することができる。
【0042】
機械式駐車装置100は、上述したエレベータ式駐車装置に限定されず、入出庫室を有する限りで、その他の機械式駐車装置であってもよい。
例えば、地下式駐車装置において、入出庫室に上述した消火棚14と必要な場合に移載装置を設けることで、同様に構成することができる。
【0043】
なお本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両、1A 火災車両、2 パレット、3 搬送路、4 格納棚、4a レール、
5 搬送装置、6 本体フレーム、7 巻上機、8 入出庫室、9 防火壁、
10 火災感知器、12 仕切扉、12a 固定仕切板、12b 可動仕切板、
12c アクチュエータ、14 格納棚(消火棚)、14a レール、
16 消火ガス設備、16a ボンベ室、16b 主放出ヘッド、
18 補助消火装置、18a 補助ボンベ、18b 補助放出ヘッド、
20 非常運転制御装置、21 非常用電源、22 格納エリア、
100 機械式駐車装置