(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】決済処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20221012BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20221012BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/38 340
(21)【出願番号】P 2018181850
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2019-11-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】奥山 知博
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102886(JP,A)
【文献】特開2015-194796(JP,A)
【文献】特開2014-225103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザが利用する第1ユーザ端末が、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバに、決済用トークンの取得要求を送信するステップと、
前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられた決済用トークンを前記第1ユーザ端末に送信するステップと、
前記第1ユーザ端末が、前記決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを表示するステップと、
第2ユーザが利用する第2ユーザ端末が、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む
情報であって前記第2ユーザが利用可能な第2決済事業者であり前記第1決済事業者とは異なる第2決済事業者が通信時に情報を暗号化するための暗号鍵を用いて暗号化した決済情報を、前記第2ユーザが登録された仲介サーバであって、前記第1決済事業者を含む複数の決済事業者がそれぞれ通信時に情報を暗号化するための暗号鍵を有する仲介サーバに送信するステップと、
前記仲介サーバが、前記決済用トークンに関連付けられている前記第1事業者識別子を取得するステップと、
前記仲介サーバが、前記決済用トークンを生成した前記第1決済サーバに、前記第1決済事業者が通信時に情報を暗号化するための暗号鍵を用いて暗号化した前記決済情報を送信するステップと、
前記第1決済サーバが、前記暗号鍵を用いて復号した前記決済情報に含まれる前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザのユーザ認証をするステップと、
を含む決済処理方法。
【請求項2】
前記第2ユーザは、前記第1決済事業者が提供する決済サービスを利用するための登録を行っていないユーザである、
請求項
1に記載の決済処理方法。
【請求項3】
前記第1決済サーバは、前記第1ユーザ端末に送信した決済トークンと前記仲介サーバから受信した決済トークンとが一致することを条件として、前記第1ユーザが前記決済金額を決済できるか否かを判定した判定結果を前記仲介サーバに通知する、
請求項1
又は2に記載の決済処理方法。
【請求項4】
前記仲介サーバは、前記第1ユーザが前記決済金額を決済できる場合、前記第2ユーザが登録された第2決済事業者が管理する第2決済サーバに、前記決済情報に含まれる決済金額の決済要求を送信する、
請求項
3に記載の決済処理方法。
【請求項5】
前記仲介サーバは、前記第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子を、前記第2ユーザ端末から取得する、
請求項
4に記載の決済処理方法。
【請求項6】
前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して前記仲介サーバに送信するステップと、
前記仲介サーバが、前記第1決済サーバから受信した決済用トークンと、前記第2ユーザ端末から受信した決済情報に含まれる前記決済用トークンとが不一致の場合、決済処理を中止するステップとをさらに含む請求項1から
5のいずれか一項に記載の決済処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は決済処理方法に関し、特に、決済用コードを用いた決済処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣や硬貨等の実物の貨幣を介さず、電子的に決済を行う電子決済が普及してきている。電子決済においては、決済の前提として商品やサービスの対価を支払うユーザの認証が行われる場合があるが、このユーザ認証時に、画像化されたコードをカメラ等のコードリーダで読み取ることによって認証処理を実現する仕組みが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術は、バーコードやQRコード(登録商標)に埋め込まれた情報に基づいて認証処理を実行する。しかしながら、コードに埋め込むための情報の構造や符号化に関する規格が乱立しつつあり、種別の異なる規格では互換性がないという状況が生じている。このため、上記のような電子決済の利用を望むユーザにとっては、どの規格の電子決済を利用すればよいか判断に迷い、結果として電子決済の普及の妨げになりかねない。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが電子決済の種別を意識せずに決済を行えるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、決済処理方法である。この方法は、第1ユーザが利用する第1ユーザ端末が、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバに、決済用トークンの取得要求を送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられた決済用トークンを前記第1ユーザ端末に送信するステップと、前記第1ユーザ端末が、前記決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを表示するステップと、前記第1決済事業者とは異なる第2決済事業者が管理する第2決済サーバに登録をしている第2ユーザ端末が、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を仲介サーバに送信するステップと、前記仲介サーバが、前記決済用トークンに関連付けられている前記第1事業者識別子を取得するステップと、前記仲介サーバが、前記決済用トークンを生成した前記第1決済サーバに、前記決済用トークンを送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザのユーザ認証をするステップと、を含む。
【0007】
本発明の第2の態様も、決済処理方法である。この方法は、第1ユーザが利用する第1ユーザ端末が、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバに、決済用トークンの取得要求を送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを前記第1ユーザ端末に送信するステップと、前記第1ユーザ端末が、前記決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを表示するステップと、第2ユーザ端末が、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を前記第2ユーザ端末を利用する第2ユーザが利用可能な第2決済事業者が管理する第2決済サーバに送信するステップと、前記第2決済サーバが、前記第2ユーザ端末から受信した前記決済情報を仲介サーバに転送するステップと、前記仲介サーバが、前記第2決済サーバから受信した前記決済情報に含まれる前記決済用トークンから、前記第1事業者識別子を抽出するステップと、前記仲介サーバが、前記決済情報を前記第1事業者識別子で特定される前記第1決済事業者が管理する前記第1決済サーバに、前記決済用トークンを送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザの認証をするステップと、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様も、決済処理方法である。この方法は、第1ユーザが利用する第1ユーザ端末が、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバに、決済用トークンの取得要求を送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられた決済用トークンを前記第1決済サーバが用いる暗号鍵である第1暗号鍵を用いて暗号化して前記第1ユーザ端末に送信するステップと、前記第1ユーザ端末が、前記第1決済サーバから受信した暗号化された前記決済用トークンを、前記第1暗号鍵を用いて復号するステップと、前記第1ユーザ端末が、前記決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを表示するステップと、前記第1決済事業者とは異なる第2決済事業者が管理する第2決済サーバに登録をしている第2ユーザ端末が、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を、前記第1決済サーバが用いる暗号鍵である第2暗号鍵を用いて暗号化して仲介サーバに送信するステップと、前記仲介サーバが、前記第2ユーザ端末から受信した暗号化されている前記決済情報を、前記第2暗号鍵を用いて復号するステップと、前記仲介サーバが、復号して得られた決済用情報に含まれる前記決済用トークンに関連付けられている前記第1事業者識別子を取得するステップと、前記仲介サーバが、復号した前記決済情報に含まれる決済用トークンを前記第1暗号鍵で暗号化するステップと、前記仲介サーバが、前記決済用トークンを生成した前記第1決済サーバに、暗号化した前記決済用トークンを送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記仲介サーバから取得した暗号化された決済用トークンを前記第1暗号鍵を用いて復号するステップと、前記第1決済サーバが、復号した前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザのユーザ認証をするステップと、を含む。
【0009】
前記決済処理方法は、前記第1決済サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して前記仲介サーバに送信するステップと、前記仲介サーバが、前記第1決済サーバから受信した決済用トークンと、前記第2ユーザ端末から受信した決済用トークンとが不一致の場合、決済処理を中止するステップとをさらに含んでもよい。
【0010】
本発明の第4の態様も、決済処理方法である。この方法は、第1ユーザが利用する第1ユーザ端末が、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバを利用して決済をするための決済用トークンの取得要求を、仲介サーバに送信するステップと、前記仲介サーバが、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを前記第1ユーザ端末に送信するステップと、前記第1ユーザ端末が、前記決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを表示するステップと、第2ユーザ端末が、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を仲介サーバに送信するステップと、前記仲介サーバが、前記決済用トークンに関連付けられている前記第1事業者識別子を取得するステップと、前記仲介サーバが、前記決済用トークンを生成した前記第1決済サーバに、前記決済用トークンを送信するステップと、前記第1決済サーバが、前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザの認証をするステップと、を含む。
【0011】
本発明の第5の態様も、決済処理方法である。この方法は、第1ユーザが利用する第1ユーザ端末から、前記第1ユーザが利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバを利用して決済をするための決済用トークンの取得要求を受信するステップと、前記第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを前記第1ユーザ端末に送信するステップと、前記決済用トークンに基づいて前記第1ユーザ端末が生成した決済用コードを読み取った第2ユーザ端末から、前記決済用コードを読み取って得られた決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を受信するステップと、前記決済用トークンに対応する決済事業者の決済サーバである第1決済サーバに前記決済用トークンを送信するステップと、前記第1決済サーバから前記決済用トークンに基づく決済承認に関する情報を受信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザが電子決済の種別を意識せずに決済を行えるようにする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る決済処理システムの事前登録処理を説明するための図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る決済処理システムが備える各装置の機能構成を模式的に示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る記憶部が記憶する決済用トークンデータベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【
図5】第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図6】第1の実施の形態の第2の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図7】第1の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図8】第1の実施の形態の第4の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図9】第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図10】第1の実施の形態の第6の変形例に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る決済処理システムが備える各装置の機能構成を模式的に示す図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る決済処理システムが実行する決済処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
<第1の実施の形態の概要>
第1の実施の形態の概要を述べる。第1の実施の形態に係る仲介サーバは、QRコード等を利用した電子決済の仲介をする装置である。第1の実施の形態に係る仲介サーバは、電子決済をしようとするユーザが用いるユーザ端末と、ユーザが利用する店舗に設置されている店舗端末と、ユーザが利用可能な決済事業者の決済サーバと、店舗が利用可能な決済事業者の決済サーバとの4者の間における情報のやり取りを仲介する。
【0015】
ここで、コードを利用した電子決済の技術は、店舗を利用するユーザのユーザ端末に表示されたコードを店舗端末が読み取って決済サーバに送信する方式(以下、「ユーザ提示方式」と記載する。)と、店舗端末に表示されたコードをユーザ端末が読み取って決済サーバに送信する方式(以下、「店舗提示方式」と記載する。)との大きく分けて2種類の方式が存在する。
【0016】
以下、第1の実施の形態において、コードを表示する端末のユーザを「第1ユーザ」、第1ユーザが利用する端末を「第1ユーザ端末」、第1ユーザが契約している決済事業者を「第1決済事業者」、第1決済事業者が管理している決済サーバを「第1決済サーバ」と記載する。また、第1ユーザ端末が表示するコードを読み取る端末を「第2ユーザ端末」、第2ユーザ端末を利用するユーザを「第2ユーザ」、第2ユーザが契約している決済事業者を「第2決済事業者」、第2決済事業者が管理している決済サーバを「第2決済サーバ」と記載する。
【0017】
したがって、ユーザ提示方式の決済システムでは、店舗を利用するユーザのユーザ端末が第1ユーザ端末となり、ユーザが利用している店舗に設置されている店舗端末が第2ユーザ端末となる。この場合、第2ユーザは店舗の経営者等になる。また、店舗提示方式の決済システムでは、店舗を利用するユーザのユーザ端末が第2ユーザ端末となり、ユーザが利用している店舗に設置されている店舗端末が第1ユーザ端末となる。
【0018】
一般に、ある電子決済の決済事業者が決済のために各ユーザ端末とやり取りする情報は、各決済事業者が個別に用いる暗号鍵で暗号化される。したがって、第1決済事業者と第2決済事業者とが異なる場合、第1決済事業者との通信のために第1事業者が用いる暗号鍵で暗号化された決済情報を第2決済事業者が受信しても、第2決済事業者は決済処理をすることは通常できない。
【0019】
第1の実施の形態に係る仲介サーバは、あらかじめ複数の決済事業者から各決済事業者が用いる暗号鍵を取得し、各社が通信時に用いる暗号化された情報を読み取ることができるように構成されている。このため、第1の実施の形態に係る仲介サーバは、第1ユーザ端末が送信した第1決済サーバ用のトークンを含む決済情報を受信してその内容を読み取り、第2決済サーバに決済情報を転送することができる。
【0020】
このように、第1の実施の形態に係る仲介サーバは、電子決済をしようとするユーザが契約している電子決済の決済事業者と、ユーザが利用する店舗が契約している決済事業者とが異なっても、両者の間を仲介して決済処理を実現させることができる。したがって、第1の実施の形態に係る仲介サーバは、ユーザが電子決済の種別を意識せずに決済を行えるようにすることができる。
【0021】
<事前登録処理>
図1は、第1の実施の形態に係る決済処理システムSの事前登録処理を説明するための図である。なお、以下では説明の便宜のため、決済処理システムSがユーザ提示方式の決済を処理するシステムであることを前提として主に説明する。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る決済処理システムSは、第1ユーザU1が利用する端末である第1ユーザ端末T1、第1ユーザU1が利用する店舗Rに設置されている端末である第2ユーザ端末T2、第1ユーザU1が契約している決済事業者が管理する決済サーバQである第1決済サーバQ1、店舗Rの経営者である第2ユーザU2が契約している決済事業者の決済サーバQである第2決済サーバQ2、及び仲介サーバMを含んでいる。
【0023】
以下、
図1を参照して第1の実施の形態に係る決済処理システムSの事前登録処理を(1)から(5)の順序で説明するが、この数字は
図1における(1)から(5)と対応する。
【0024】
(1)第2ユーザU2は、第2決済事業者が提供する電子決済サービスを利用するために、第2決済事業者が管理する第2決済サーバQ2にユーザ登録を行う。これにより、第2ユーザU2は、第2決済サーバQ2が管理している電子決済用の口座を開設する。
(2)第2ユーザU2は、仲介サーバMにユーザ登録を行う。
【0025】
(3)第2決済事業者は仲介サーバMに事業者登録を行い、第2決済事業者が通信時に情報を暗号化するための暗号鍵を仲介サーバMに提供する。
(4)第1決済事業者は仲介サーバMに事業者登録を行い、第1決済事業者が通信時に情報を暗号化するための暗号鍵を仲介サーバMに提供する。
(5)第1ユーザU1は、第1決済事業者が提供する電子決済サービスを利用するために、第1決済事業者が管理する第1決済サーバQ1にユーザ登録を行う。これにより、第1ユーザU1は、第1決済サーバQ1が管理している電子決済用の口座を開設する。
【0026】
ここで「決済用トークン」は、第1ユーザU1が第1決済サーバQ1で決済しようとするときに、第1決済サーバQ1が第1ユーザU1の第1ユーザ端末T1に送信するランダムな文字列である。第1決済サーバQ1は、各第1ユーザU1に送信する決済用トークンが重複しないように各決済用トークンを生成する。第1決済サーバQ1は、第1ユーザ端末T1からの要求があったときに決済用トークンを生成して第1ユーザU1のユーザ識別子と紐づけて記憶部に格納する。
【0027】
ここで、第1決済サーバQ1は、発行する各決済用トークンに有効期限を定める。第1決済サーバQ1は、有効期限が切れた決済用トークンを、記憶部から削除する。有効期限は、決済に求められる安全性等を考慮して定めればよいが、例えば数分から数十分である。
【0028】
第1ユーザ端末T1が決済用トークンに基づいて決済用コード(例えば、QRコードやバーコード等の画像)を生成し、第1ユーザ端末T1の表示部に表示する。この決済用コードを第2ユーザ端末T2が読み取って決済金額とともに第1決済サーバQ1に送信することができれば、第1決済サーバQ1は受信した決済用トークンに紐付けられているユーザ識別子から第1ユーザU1を特定することができる。第1ユーザU1を特定できれば、第1決済サーバQ1は、第2ユーザ端末T2から受信した決済金額で第1ユーザU1の口座から決済をすることができる。
【0029】
ところが、第2ユーザU2が第1決済事業者の電子決済サービスを利用するためのユーザ登録を行っていない場合、第1ユーザ端末T1が表示部に表示した決済用コードを第2ユーザ端末T2が読み取っても、決済情報を第1決済サーバQ1に送信する術がない。
【0030】
また、一般に、ユーザ端末Tと決済サーバQとの間では暗号化された情報がやり取りされるが、各決済サーバQが情報の暗号化に用いる暗号鍵は互いに異なる。したがって、第2ユーザU2が第1決済事業者の電子決済サービスを利用するための加盟店登録を行っていない場合、第1ユーザ端末T1が表示部に表示した決済用コードを第2ユーザ端末T2が読み取っても、第2ユーザ端末T2は第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵を持っていないため、第1決済サーバQ1で解読できるように決済用コードを暗号化することができない。
【0031】
そこで、仲介サーバMは、第2ユーザ端末T2と第1決済サーバQ1との間の情報の送受信を仲介し、第2ユーザ端末T2から受信した情報を第1決済サーバQ1が扱える情報に変換して第1決済サーバQ1に送信する。これにより、仲介サーバMは、第1ユーザU1が契約している電子決済の種別と第2ユーザU2が契約している電子決済の種別とが異なっても、電子決済を実現させることができる。
【0032】
<第1の実施の形態に係る決済処理システムSの機能構成>
図2は、第1の実施の形態に係る決済処理システムSが備える各装置の機能構成を模式的に示す図である。決済処理システムSは、第1ユーザ端末T1、第2ユーザ端末T2、仲介サーバM、第1決済サーバQ1、及び第2決済サーバQ2を備え、これらは通信ネットワークNを介して通信可能な態様で接続している。第1ユーザ端末T1は、記憶部10と制御部11とを備える。第2ユーザ端末T2も、記憶部20と制御部21とを備える。同様に、仲介サーバMは記憶部30と制御部31とを備え、第1決済サーバQ1は記憶部40と制御部41とを備え、第2決済サーバQ2は記憶部50と制御部51とを備える。
【0033】
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってもよい。
図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。各機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0034】
記憶部10は、第1ユーザ端末T1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や第1ユーザ端末T1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0035】
制御部11は、第1ユーザ端末T1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することによってトークン要求部110及び表示制御部111として機能する。
【0036】
同様に、記憶部20は、第2ユーザ端末T2を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや第2ユーザ端末T2の作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。制御部21は、第2ユーザ端末T2のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部20に記憶されたプログラムを実行することによってコード読取部210及び決済情報送信部211として機能する。
【0037】
記憶部30は、仲介サーバMを実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや仲介サーバMの作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。制御部31は、仲介サーバMのCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部30に記憶されたプログラムを実行することによって決済情報受信部310、決済要求部311、及び通知部312として機能する。
【0038】
記憶部40は、第1決済サーバQ1を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや仲介サーバMの作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。制御部41は、第1決済サーバQ1のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部40に記憶されたプログラムを実行することによってトークン送信部410、決済管理部411、及び精算管理部412として機能する。
【0039】
記憶部50は、第2決済サーバQ2を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや仲介サーバMの作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。制御部51は、第2決済サーバQ2のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部50に記憶されたプログラムを実行することによってトークン送信部510、決済管理部511、及び精算管理部512として機能する。
【0040】
図3は、第1の実施の形態に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。以下、
図2及び
図3を参照しながら、第1の実施の形態に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(13)の順序で説明するが、この数字は
図3における(1)から(13)と対応する。
【0041】
(1)第1ユーザ端末T1のトークン要求部110は、第1ユーザU1が利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバQ1に、決済用トークンの取得要求を送信する。
(2)第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、第1ユーザ端末T1から取得した取得要求に応答して、第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して第1ユーザ端末T1に送信する。トークン送信部410は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンを、第1ユーザU1を特定するための第1ユーザ識別子と紐づけて記憶部40に記憶させる。なお、第1決済サーバQ1は、第1ユーザ端末T1のトークン要求部110からトークンの要求があったとき、又はトークンの要求に先立って、第1ユーザ端末T1を用いるユーザのユーザ認証を実行する。このユーザ認証が成功することを条件として、第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、決済用トークンを生成する。
【0042】
図4は、第1の実施の形態に係る記憶部40が記憶する決済用トークンデータベースのデータ構造を模式的に示す図である。決済用トークンデータベースは、各ユーザ識別子、決済用トークン、及び有効期限を紐づけて格納している。
【0043】
図4に示す決済用トークンデータベースは、第1決済サーバQ1の記憶部40に格納されている。
図4に示すように、決済用トークンは基本的にランダムな文字列であるが先頭の3つの文字はすべて共通の「001」という文字列である。この文字列は第1事業者識別子に対応する。このように、
図4に示す例では、決済用トークンに事業者識別子を含める形で決済用トークンと事業者識別子とが関連付けられている。これにより、決済用トークンを取得した装置は、どの決済サーバQが扱う決済用トークンであるかを判別することができる。
【0044】
図3の説明に戻る。
(3)第1ユーザ端末T1の表示制御部111は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを、第1ユーザ端末T1の表示部に表示させる。
(4)第2ユーザ端末T2のコード読取部210は、第1ユーザ端末T1の表示部に表示された決済用コードを読み取って決済用トークンを取得する。
【0045】
(5)第2ユーザ端末T2の決済情報送信部211は、コード読取部210が読み取って取得した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2を利用する第2ユーザU2を特定するための第2ユーザ識別子と、第2ユーザU2が利用可能な第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子と、決済金額と、を含む決済情報を仲介サーバMに送信する。
【0046】
(6)仲介サーバMの決済情報受信部310は、第2ユーザ端末T2から決済情報を受信する。
(7)仲介サーバMの決済要求部311は、決済情報受信部310が受信した決済情報に含まれる決済用トークンから取得した第1事業者識別子で特定される第1決済事業者の第1決済サーバQ1に、決済用トークンと決済金額とを送信する。
【0047】
(8)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致するか否かを判定することにより、ユーザ認証を実行する。第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致することを条件として、仲介サーバMから受信した決済用トークンに紐付けられている第1ユーザ識別子を記憶部40から取得し、第1ユーザ識別子で特定される第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、結果を決済承認に関する情報として仲介サーバMに通知する。
【0048】
(9)仲介サーバMの決済要求部311は、第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できる場合、第2決済事業者が管理する第2決済サーバQ2に、第2ユーザ識別子と決済情報に含まれる決済金額の決済要求とを送信する。なお、第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できない場合、決済要求部311は決済処理を中止する。
【0049】
(10)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、仲介サーバMの決済要求部311から受信した第2ユーザ識別子に基づくユーザ認証が成功することを条件として、仲介サーバMから受信した決済金額で決済を実行する。具体的には、決済管理部511は、第2ユーザU2が開設している口座に決済金額に相当する額を振り込む。これは、第2決済サーバQ2が第1ユーザU1の支払いを立て替えていることになる。なお、ユーザ認証に失敗した場合、すなわち、第2ユーザU2が第2決済事業者にユーザ登録をしていない場合、第2決済サーバQ2の決済管理部511は決済処理を中止する。
【0050】
(11)決済管理部511は、決済が完了したことを第2ユーザ端末T2に通知する。
(12)仲介サーバMの通知部312は、第2決済サーバQ2に決済要求を送信すると、決済が完了したことを第1ユーザ端末T1に通知する。
【0051】
(13)第2決済サーバQ2の精算管理部512は、第1決済サーバQ1の精算管理部412に精算要求を行う。この結果、第1決済サーバQ1が管理する第1ユーザU1の口座から決済金額に相当する額が第2決済サーバQ2に送金され、第2決済サーバQ2が立て替えた第1ユーザU1の支払いが精算される。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。例えば、仲介サーバMの図示しない精算仲介部が第2決済サーバQ2の精算管理部512から精算要求を受信し、第1決済サーバQ1の精算管理部412に転送してもよい。
【0052】
このように、第1の実施の形態に係る仲介サーバMは、第1ユーザ端末T1、第2ユーザ端末T2、第1決済サーバQ1、及び第2決済サーバQ2の間で行われる決済処理を仲介する。これにより、仲介サーバMは、第1ユーザU1が契約している電子決済の種別と第2ユーザU2が契約している電子決済の種別とが異なっても、電子決済を実現させることができる。
【0053】
<第1の実施の形態に係る仲介サーバMが奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る仲介サーバMによれば、ユーザUが電子決済の種別を意識せずに決済を行えるようにすることができる。
【0054】
<第1の実施の形態の第1の変形例>
図5は、第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSとは異なり、第1決済サーバQ1が決済情報に基づいて決済処理を実行する。
【0055】
以下、
図5を参照しながら、第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(12)の順序で説明するが、この数字は
図5における(1)から(12)と対応する。なお、(1)から(7)までの処理は
図3における(1)から(7)までの処理と同様であるため省略する。
【0056】
(8)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致するか否かを判定することにより、ユーザ認証を実行する。第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致することを条件として、仲介サーバMから受信した決済用トークンに紐付けられている第1ユーザ識別子を記憶部40から取得し、第1ユーザ識別子で特定される第1ユーザU1の口座からの残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、決済可能な場合は決済を実行して第1ユーザU1の口座から決済金額に相当する額を引き落とす。
【0057】
(9)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、決済の結果を仲介サーバMに送信する。
(10)仲介サーバMの通知部312は、第1決済サーバQ1から受信した決済の結果を第2ユーザ端末T2に送信する。
(11)仲介サーバMの通知部312は、第1決済サーバQ1から受信した決済の結果を第1ユーザ端末T1に送信する。
【0058】
(12)第1決済サーバQ1の精算管理部412は、第2決済サーバQ2の精算管理部512に精算要求を行う。この結果、第1決済サーバQ1が管理する第1ユーザU1の口座から引き落とされた決済金額に相当する額が、第2決済サーバQ2が管理する第2ユーザU2の口座に振り込まれる。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0059】
このように、第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、第1ユーザU1が利用可能な決済事業者の第1決済サーバQ1が決済処理を実行する。このため、第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSは、第1ユーザU1の口座に決済金額を決済するだけの残高が存在すれば、残高確認の結果を仲介サーバMに通知する処理を省略してすぐに決済処理が実行できるため、決済処理を迅速化することができる。
【0060】
第1の実施の形態に係る決済処理システムSと、第1の実施の形態の第1の変形例に係る決済処理システムSとを考慮すると、仲介サーバMの決済要求部311は、第1決済サーバQ1と、第2決済サーバQ2とのいずれか一方の決済サーバQに、決済金額の決済要求を送信すればよいとも言える。決済要求を受信した一方の決済サーバQが決済処理を実行して、他方の決済サーバQに精算要求を送信することにより、決済処理システムSは、第1ユーザU1が契約している電子決済の種別と第2ユーザU2が契約している電子決済の種別とが異なっても、電子決済を実現させることができる。
【0061】
<第1の実施の形態の第2の変形例>
図6は、第1の実施の形態の第2の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。第1の実施の形態の第2の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSとは異なり、仲介サーバMは、第1ユーザ端末T1及び第1決済サーバQ1との間でやり取りする情報を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化する。また、仲介サーバMは、第2ユーザ端末T2及び第2決済サーバQ2との間でやり取りする情報を第2決済サーバQ2が用いる暗号鍵で暗号化する。
【0062】
以下、
図6を参照しながら、第1の実施の形態の第2の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(14)の順序で説明するが、この数字は
図6における(1)から(14)と対応する。なお、(1)の処理は、
図3における(1)の処理と同様であるため省略する。
【0063】
(2)第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、第1ユーザ端末T1から取得した取得要求に応答して、第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成し、生成した決済用トークンを第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化した上で第1ユーザ端末T1に送信する。トークン送信部410は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンを、第1ユーザU1を特定するための第1ユーザ識別子と紐づけて記憶部40に記憶させる。なお、第1決済サーバQ1は、第1ユーザ端末T1のトークン要求部110からトークンの要求があったとき、又はトークンの要求に先立って、第1ユーザ端末T1を用いるユーザのユーザ認証を実行する。このユーザ認証が成功することを条件として、第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、決済用トークンを生成する。
【0064】
(3)第1ユーザ端末T1の表示制御部111は、第1決済サーバQ1から受信した暗号化された決済用トークンを復号し、得られた決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを、第1ユーザ端末T1の表示部に表示させる。
(4)第2ユーザ端末T2のコード読取部210は、第1ユーザ端末T1の表示部に表示された決済用コードを読み取って決済用トークンを取得する。
【0065】
(5)第2ユーザ端末T2の決済情報送信部211は、コード読取部210が取得した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2を利用する第2ユーザU2を特定するための第2ユーザ識別子と、第2ユーザU2が利用可能な第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子と、決済金額とを含む決済情報を、第2決済サーバQ2が利用する暗号鍵で暗号化して仲介サーバMに送信する。
【0066】
(6)仲介サーバMの決済情報受信部310は、暗号化された決済情報を第2ユーザ端末T2から受信する。
(7)決済情報受信部310は、第2ユーザ端末T2から受信した暗号化された決済情報を、第2決済サーバQ2が利用する暗号鍵を用いて復号する。
【0067】
(8)仲介サーバMの決済要求部311は、決済情報受信部310が受信した決済情報に含まれる決済用トークンから取得した第1事業者識別子で特定される第1決済事業者の第1決済サーバQ1に、決済用トークンと決済金額とを含む情報を第1決済サーバQ1が利用する暗号鍵で暗号化して送信する。
【0068】
(9)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致するか否かを判定することにより、ユーザ認証を実行する。第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致することを条件として、仲介サーバMから受信した情報を復号して決済用トークンに紐付けられている第1ユーザ識別子を記憶部40から取得する。決済管理部411は、第1ユーザ識別子で特定される第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、結果を暗号化して仲介サーバMに通知する。
【0069】
(10)仲介サーバMの決済要求部311は、決済管理部411から受け取った通知を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で復号する。仲介サーバMの決済要求部311は、第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できる場合(すなわち、第1決済サーバQ1において第1ユーザUIのユーザ認証が成功し、残金がある場合)、第2決済事業者が管理する第2決済サーバQ2に、決済情報に含まれる決済金額の決済要求と第2ユーザ識別子とを第2決済サーバQ2が用いる暗号鍵で暗号化して送信する。
【0070】
(11)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、仲介サーバMの決済要求部311から受信した第2ユーザ識別子に基づくユーザ認証が成功することを条件として、仲介サーバMから受信した情報を復号し、決済金額で決済を実行する。
(12)決済管理部511は、決済が完了したことを示す情報を第2決済サーバQ2が用いる暗号鍵で暗号化して第2ユーザ端末T2に通知する。
【0071】
(13)仲介サーバMの通知部312は、第2決済サーバQ2に決済要求を送信すると、決済が完了したことを示す情報を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化して第1ユーザ端末T1に通知する。
(14)第2決済サーバQ2の精算管理部512は、第1決済サーバQ1の精算管理部412に精算要求を行う。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0072】
このように、仲介サーバMは、第1ユーザ端末T1及び第1決済サーバQ1との間でやり取りする情報を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化する。また、仲介サーバMは、第2ユーザ端末T2及び第2決済サーバQ2との間でやり取りする情報を第2決済サーバQ2が用いる暗号鍵で暗号化する。これより、仲介サーバMは、決済処理の安全性をより向上することができる。
【0073】
<第1の実施の形態の第3の変形例>
図7は、第1の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。第1の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、第1決済サーバQ1は、生成した決済用トークンを仲介サーバMにも送信する。
【0074】
以下、
図7を参照しながら、第1の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(15)の順序で説明するが、この数字は
図7における(1)から(15)と対応する。なお、(1)及び(2)の処理は、
図3における(1)及び(2)の処理と同様であるため省略する。
【0075】
(3)トークン送信部410は、生成した決済用トークンを仲介サーバMに送信する。
(4)第1ユーザ端末T1の表示制御部111は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを、第1ユーザ端末T1の表示部に表示させる。
(5)第2ユーザ端末T2のコード読取部210は、第1ユーザ端末T1の表示部に表示された決済用コードを読み取って決済用トークンを取得する。
【0076】
(6)第2ユーザ端末T2の決済情報送信部211は、コード読取部210が取得した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2を利用する第2ユーザU2を特定するための第2ユーザ識別子と、第2ユーザU2が利用可能な第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子と、決済金額と、を含む決済情報を仲介サーバMに送信する。
【0077】
(7)仲介サーバMの決済情報受信部310は、第2ユーザ端末T2から決済情報を受信する。
(8)仲介サーバMの決済要求部311は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2から受信した決済用トークンとが不一致の場合、決済処理を中止する。具体的には、決済要求部311は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンのうち有効期限が切れていない決済用トークンのいずれかに、第2ユーザ端末T2から受信した決済用トークンが含まれていない場合に不一致と判断する。
【0078】
(9)仲介サーバMの決済要求部311は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2から受信した決済用トークンとが一致する場合、決済用トークンと決済金額とを第1決済サーバQ1に送信する。
【0079】
(10)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、仲介サーバMから受信した決済用トークンに紐付けられている第1ユーザ識別子を記憶部40から取得し、第1ユーザ識別子で特定される第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、結果を仲介サーバMに通知する。
【0080】
(11)仲介サーバMの決済要求部311は、第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できる場合、第2決済事業者が管理する第2決済サーバQ2に、決済情報に含まれる決済金額の決済要求を送信する。
(12)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、仲介サーバMから受信した決済金額で決済を実行する。具体的には、決済管理部511は、第2ユーザU2が開設している口座に決済金額に相当する額を振り込む。
【0081】
(13)決済管理部511は、決済が完了したことを第2ユーザ端末T2に通知する。
(14)仲介サーバMの通知部312は、第2決済サーバQ2に決済要求を送信すると、決済が完了したことを第1ユーザ端末T1に通知する。
【0082】
(15)第2決済サーバQ2の精算管理部512は、第1決済サーバQ1の精算管理部412に精算要求を行う。この結果、第1決済サーバQ1が管理する第1ユーザU1の口座から決済金額に相当する額が第2決済サーバQ2に送金される。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0083】
このように、第1の実施の形態の第3の変形例に係る仲介サーバMにおいて、決済要求部311は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2から受信した決済用トークンとが不一致の場合、決済処理を中止する。これにより、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1が残高確認等の処理を実行することを抑制できるため、第1決済サーバQ1の負荷を軽減することができる。
【0084】
なお、第1決済サーバQ1は、第1ユーザ端末T1の決済用トークンの取得要求に応じて生成する決済用トークンに、第1事業者識別子を含めなくてもよい。この場合、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1から決済用トークンを受信したとき、受信した決済用トークンを第1事業者識別子と関連付けて記憶部30に記憶する。仲介サーバMは、第2ユーザ端末T2から受信した決済情報に含まれる決済用トークンと一致する決済用トークンを記憶部30から読み出し、その決済用トークンに関連付けられている第1事業者識別子を取得することで、第1ユーザU1が利用可能な決済事業者を特定することができる。
【0085】
<第1の実施の形態に係る第4の変形例>
図8は、第1の実施の形態の第4の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。第1の実施の形態の第4の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、決済用コードを読み取った第2ユーザ端末T2は、決済情報を仲介サーバMではなく第2決済サーバQ2に送信する。
【0086】
以下、
図8を参照しながら、第1の実施の形態の第4の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(14)の順序で説明するが、この数字は
図8における(1)から(14)と対応する。なお、(1)から(4)までの処理は、
図3における(1)から(4)までの処理と同様であるため省略する。
【0087】
(5)第2ユーザ端末T2の決済情報送信部211は、コード読取部210が取得した決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を第2決済サーバQ2に送信する。
【0088】
(6)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、第2ユーザ端末T2から受信した決済情報に含まれる決済用トークンが第2決済サーバQ2が用いる決済用トークンとは異なる場合、第2ユーザ端末T2から受信した決済情報を仲介サーバMに転送する。
(7)仲介サーバMの決済情報受信部310は、第2決済サーバQ2から決済情報を受信する。
(8)仲介サーバMの決済要求部311は、決済情報受信部310が受信した決済情報に含まれる決済用トークンから取得した第1事業者識別子で特定される第1決済事業者の第1決済サーバQ1に、決済用トークンと決済金額とを送信する。
【0089】
(9)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致するか否かを判定することにより、ユーザ認証を実行する。第1決済サーバQ1の決済管理部411は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンと仲介サーバMから受信した決済用トークンとが一致することを条件として、仲介サーバMから受信した決済用トークンに紐付けられている第1ユーザ識別子を記憶部40から取得し、第1ユーザ識別子で特定される第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、結果を仲介サーバMに通知する。
【0090】
(10)仲介サーバMの決済要求部311は、第1ユーザU1の口座の残金で決済金額を決済できる場合、第2決済事業者が管理する第2決済サーバQ2に、決済情報に含まれる決済金額の決済要求を送信する。
(11)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、仲介サーバMの決済要求部311から受信した第2ユーザ識別子に基づくユーザ認証が成功することを条件として、仲介サーバMから受信した決済金額で決済を実行する。
(12)決済管理部511は、決済が完了したことを第2ユーザ端末T2に通知する。
【0091】
(13)仲介サーバMの通知部312は、第2決済サーバQ2に決済要求を送信すると、決済が完了したことを第1ユーザ端末T1に通知する。
(14)第2決済サーバQ2の精算管理部512は、第1決済サーバQ1の精算管理部412に精算要求を行う。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0092】
このように、第1の実施の形態の第4の変形例に係る決済処理システムSでは、第2ユーザ端末T2は、決済情報を仲介サーバMではなく第2決済サーバQ2に送信する。第2決済サーバQ2は、受信した決済情報に含まれる決済用トークンは第1決済サーバQ1が生成したものであるため決済処理を実行できないので、決済情報を仲介サーバMに転送する。第2ユーザ端末T2と仲介サーバMとの間の情報のやり取りが不要となるため、第2ユーザU2が仲介サーバMに加盟店登録を指定しなくても、第2決済サーバQ2が仲介サーバMに事業者登録をしていれば、仲介サーバMは決済処理を仲介することができる。
【0093】
<第1の実施の形態の第5の変形例>
図9は、第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムSは、第1の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、第1ユーザ端末T1は、仲介サーバMに決済用トークンの取得要求を送信する。
【0094】
以下、
図9を参照しながら、第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(13)の順序で説明するが、この数字は
図9における(1)から(13)と対応する。
【0095】
(1)第1ユーザ端末T1のトークン要求部110は、第1決済サーバQ1を利用して決済をするための決済用トークンの取得要求を、仲介サーバMに送信する。
(2)仲介サーバMのトークン送信部(不図示)は、第1ユーザ端末T1から取得した取得要求に応答して、第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して第1ユーザ端末T1に送信する。記憶部30は、第1ユーザ端末T1に送信した決済用トークンを、第1ユーザU1を特定するための第1ユーザ識別子と紐づけて記憶する。
【0096】
なお、仲介サーバMは、第1ユーザ端末T1のトークン要求部110からトークンの要求があったとき、又はトークンの要求に先立って、第1ユーザ端末T1を用いるユーザのユーザ認証を実行する。具体的には、第1ユーザ端末T1が、第1ユーザ識別子に関連付けられた識別子で仲介サーバMにサインインすることをもって、仲介サーバMはユーザ認証を実現できる。又は、仲介サーバMは、第1ユーザ端末T1のトークン要求部110からトークンの要求があったときに、トークン要求部110から第1事業者識別子を取得することを条件として、ユーザ認証が成功したとみなしてもよい。このユーザ認証が成功することを条件として、第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、決済用トークンを生成する。
【0097】
図9における(3)から(13)までの処理は、
図3における(3)から(13)までの処理と同様であるため省略する。第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムSでは、仲介サーバMにユーザ登録をしているユーザ端末Tから決済用トークンの取得要求があった場合、仲介サーバMが決済用トークンを生成する。このように、決済用トークンの生成処理の一部を仲介サーバMが担えるため、第1の実施の形態の第5の変形例に係る決済処理システムSは、第1決済サーバQ1の処理負荷を分散させることができる。
【0098】
<第1の実施の形態の第6の変形例>
図10は、第1の実施の形態の第6の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。具体的には、第6の変形例に係る決済処理システムSは、店舗提示方式の決済システムである。したがって、第1ユーザ端末T1が店舗端末となり、第1ユーザU1は店舗端末が設置されている店舗Rの経営者等である。また、店舗Rの顧客が第2ユーザU2となり、第2ユーザU2のユーザ端末が第2ユーザ端末T2となる。
【0099】
以下、
図10を参照しながら、第1の実施の形態の第6の変形例に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(13)の順序で説明するが、この数字は
図10における(1)から(13)と対応する。
【0100】
(1)第1ユーザ端末T1のトークン要求部110は、第1ユーザU1が利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバQ1に、決済用トークンの取得要求を送信する。
(2)第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、第1ユーザ端末T1から取得した取得要求に応答して、第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して第1ユーザ端末T1に送信する。
【0101】
(3)第1ユーザ端末T1の表示制御部111は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを、第1ユーザ端末T1の表示部に表示させる。
(4)第2ユーザ端末T2のコード読取部210は、第1ユーザ端末T1の表示部に表示された決済用コードを読み取って決済用トークンを取得する。
【0102】
(5)第2ユーザ端末T2の決済情報送信部211は、コード読取部210が取得した決済用トークンと、第2ユーザ端末T2を利用する第2ユーザU2を特定するための第2ユーザ識別子と、第2ユーザU2が利用可能な第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子と、決済金額と、を含む決済情報を仲介サーバMに送信する。
【0103】
(6)仲介サーバMの決済情報受信部310は、第2ユーザ端末T2から決済情報を受信する。
(7)仲介サーバMの決済要求部311は、第2ユーザ端末T2を所持する第2ユーザU2が契約をしている第2決済事業者の第2決済サーバQ2に、決済金額、及び第2ユーザU2を特定するための第2ユーザ識別子を送信する。
【0104】
(8)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、仲介サーバMから受信した第2ユーザ識別子を用いてユーザ認証を行う。認証が成功した場合、第2決済サーバQ2の決済管理部511は、第2ユーザ識別子で特定される第2ユーザU2の口座の残金で決済金額を決済できるか否かを判定し、結果を仲介サーバMに通知する。
【0105】
(9)仲介サーバMの決済要求部311は、第2ユーザU2の口座の残金で決済金額を決済できる場合、第1決済事業者が管理する第1決済サーバQ1に、決済情報に含まれる決済金額の決済要求を送信する。
(10)第1決済サーバQ1の決済管理部411は、仲介サーバMから受信した決済金額で決済を実行する。具体的には、決済管理部411は、第1ユーザU1が開設している口座に決済金額に相当する額を振り込む。
【0106】
(11)決済管理部411は、決済が完了したことを第1ユーザ端末T1に通知する。
(12)仲介サーバMの通知部312は、第1決済サーバQ1に決済要求を送信すると、決済が完了したことを第2ユーザ端末T2に通知する。
【0107】
(13)第1決済サーバQ1の精算管理部412は、第2決済サーバQ2の精算管理部512に精算要求を行う。この結果、第2決済サーバQ2が管理する第2ユーザU2の口座から決済金額に相当する額が第1決済サーバQ1に送金される。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0108】
これにより、決済処理システムSは、第1ユーザU1が契約している電子決済の種別と第2ユーザU2が契約している電子決済の種別とが異なっても、電子決済を実現させることができる。
【0109】
[第2の実施の形態]
<第2の実施の形態の概要>
第2の実施の形態の概要を述べる。第2の実施の形態に係る決済処理システムSは、店舗提示方式の決済システムである。したがって、第2の実施の形態に係る決済処理システムSにおいては、第1ユーザ端末T1は店舗Rに設置された店舗端末であり、第2ユーザ端末は店舗Rを利用する顧客が所持する顧客端末である。以下、第2の実施の形態に係る決済処理システムSにおいては、第1ユーザ端末T1である店舗端末を「店舗端末T1」、第2ユーザ端末T2である顧客端末を「顧客端末T2」と記載する。
【0110】
第2の実施の形態に係る顧客端末T2には、あらかじめ複数の異なる決済サーバQで用いられるコード生成アルゴリズム及び暗号化鍵を備えるアプリケーションソフトウェア(以下、「決済用アプリ」と記載する。)がインストールされている。具体的には、顧客端末T2の所有者が仲介サーバMにユーザ登録をすると、顧客端末T2は仲介サーバMから決済用アプリをダウンロードすることができるようになる。
【0111】
第2の実施の形態に係る顧客端末T2は決済用アプリを備えているため、店舗端末T1から読み取った決済用トークンをその決済用トークンを用いる決済サーバQが用いるアルゴリズムで符号化したり、決済サーバQが用いる暗号鍵で暗号化したりすることができる。第2の実施の形態に係る決済処理システムSでは、顧客端末T2が、店舗端末T1から受信した情報を第1決済サーバQ1が扱える情報に変換したり、変換した情報を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化したりすることを実行する。この点で、第1の実施の形態における特に第2の変形例に係る決済処理システムSと異なる。
【0112】
以下、第2の実施の形態に係る決済処理システムSが備える各装置の機能構成、及び第2の実施の形態に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するが、第1の実施の形態に係る決済処理システムS又はその各種変形例と重複する記載については、適宜省略又は簡略化して説明する。
【0113】
図11は、第2の実施の形態に係る決済処理システムSが備える各装置の機能構成を模式的に示す図である。
図11において、仲介サーバM、第1決済サーバQ1、及び第2決済サーバQ2は、
図2に示す第1の実施の形態に係る仲介サーバM、第1決済サーバQ1、及び第2決済サーバQ2と同様の機能構成を有するため詳細な図示を省略している。
図11に示すように、第2の実施の形態に係る顧客端末T2の制御部21が、暗号化部212を備えている点で、第1の実施の形態に係る第2ユーザ端末T2と異なる。
【0114】
図12は、第2の実施の形態に係る決済処理システムSが実行する決済処理を説明するための図である。以下、
図11及び
図12を参照しながら、第2の実施の形態に係る決済処理システムSが実行する決済処理を(1)から(15)の順序で説明するが、この数字は
図12における(1)から(15)と対応する。
【0115】
(1)店舗端末T1のトークン要求部110は、店舗端末T1が設置されている店舗Rの経営者が利用可能な第1決済事業者が管理する第1決済サーバQ1に、決済用トークンの取得要求を送信する。
【0116】
(2)第1決済サーバQ1のトークン送信部410は、店舗端末T1から取得した取得要求に応答して、第1決済事業者を特定するための第1事業者識別子が関連付けられたトークンを生成して店舗端末T1に送信する。
【0117】
(3)店舗端末T1の表示制御部111は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンに基づいて生成した決済用コードを、店舗端末T1の表示部に表示させる。
(4)顧客端末T2のコード読取部210は、第1ユーザ端末T1の表示部に表示された決済用コードを読み取って決済用トークンを取得する。
【0118】
(5)顧客端末T2の暗号化部212は、顧客端末T2を所持する顧客が利用可能な第2決済事業者を特定するための第2事業者識別子と、決済用トークンと、決済金額と、を含む決済情報を、第1決済事業者の決済サーバである第1決済サーバQ1が利用する暗号鍵で暗号化する。
【0119】
(6)顧客端末T2の決済情報送信部211は、暗号化部212が暗号化した決済情報を仲介サーバMに送信する。
(7)仲介サーバMの決済情報受信部310は、顧客端末T2から暗号化された決済情報を受信する。
【0120】
(8)仲介サーバMの暗号化部212は、顧客端末T2から受信した決済情報を復号し、決済用トークンに含まれる第1事業者識別子を取得する。
(9)仲介サーバMの決済要求部311は、顧客端末T2から取得した暗号化された決済情報を第1決済サーバQ1に転送する。
(10)第1決済サーバの決済管理部411は、仲介サーバMから転送された決済情報に基づいて店舗端末T1のユーザである顧客のユーザ認証を実行して認証結果を仲介サーバMに送信する。具体的には、第1決済サーバの決済管理部411は、トークン送信部410が店舗端末T1に送信した決済用トークンと、仲介サーバMから受信した決済情報に含まれる決済用トークンとが一致する場合、顧客の認証が成功したと判定する。
【0121】
(11)仲介サーバMの決済要求部311は、認証が成功した場合、第2決済サーバQ2に決済金額の決済要求を送信する。
(12)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、顧客の口座の残高で決済できる場合、決済を実行する。
(13)第2決済サーバQ2の決済管理部511は、決済完了の通知を仲介サーバMに送信する。
【0122】
(14)仲介サーバMの通知部312は、店舗端末T1及び顧客端末T2に決済完了を通知する。
(15)第2決済サーバQ2の精算管理部512は、第1決済サーバQ1の精算管理部412に精算要求を行う。この結果、第2決済サーバQ2が管理する顧客の口座から決済金額に相当する額が第1決済サーバQ1に送金される。なお、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1と第2決済サーバQ2との間で行われる精算処理を仲介してもよい。
【0123】
<第2の実施の形態に係る決済処理システムSが奏する効果>
以上説明したように、第2の実施の形態に係る決済処理システムSによれば、ユーザUが電子決済の種別を意識せずに決済を行えるようにすることができる。
【0124】
特に、第2の実施の形態に係る決済処理システムSでは、顧客端末T2が、店舗端末T1から受信した情報を第1決済サーバQ1が扱える情報に変換したり、変換した情報を第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化したりすることを実行する。第2の実施の形態に係る決済処理システムSでは、仲介サーバM又は決済サーバQが実行すべき処理の一部を顧客端末T2が肩代わりするため、システム全体としての負荷を分散できる。
【0125】
<第2の実施の形態の第1の変形例>
上記では、第2決済サーバQ2が決済情報に基づいて決済し、事後的に第1決済サーバQ1に精算要求をする場合について説明した。これに替えて、第1決済サーバQ1が決済情報に基づいて決済し、事後的に第2決済サーバに精算要求をしてもよい。すなわち、仲介サーバMの決済要求部311は、第1決済サーバQ1と、第2決済サーバQ2とのいずれか一方の決済サーバQに、決済金額の決済要求を送信すればよいとも言える。決済要求を受信した一方の決済サーバQが決済処理を実行して、他方の決済サーバQに精算要求を送信することにより、決済処理システムSは、店舗Rの経営者が契約している電子決済の種別と顧客が契約している電子決済の種別とが異なっても、電子決済を実現させることができる。
【0126】
<第2の実施の形態の第2の変形例>
第2の実施の形態の第2の変形例に係る決済処理システムSは、第2の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、第1決済サーバQ1は、生成した決済用トークンを仲介サーバMにも送信する。
【0127】
第2の実施の形態の第2の変形例に係る仲介サーバMにおいて、決済要求部311は、第1決済サーバQ1から受信した決済用トークンと、顧客端末T2から受信した決済用トークンとが不一致の場合、決済処理を中止する。より具体的には、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1から第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化された決済用トークンを受信し、同じ暗号鍵を用いて復号することで決済用トークンを取得する。また、仲介サーバMは、顧客端末T2から第1決済サーバQ1が用いる暗号鍵で暗号化された決済情報を受信し、同じ暗号鍵を用いて復号した上で決済用トークンを抽出する。仲介サーバMは、第1決済サーバQ1に由来する決済用トークンと、顧客端末T2に由来する決済用トークンとを比較して、両者が一致するか否かを判定する。これにより、仲介サーバMは、第1決済サーバQ1による店舗端末T1の認証処理に相当する処理を実行することになるので、第1決済サーバQ1の負荷を軽減することができる。
【0128】
<第2の実施の形態の第3の変形例>
第2の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムSは、第2の実施の形態に係る決済処理システムSと異なり、店舗端末T1は、仲介サーバMに決済用トークンの取得要求を送信する。これにより、決済用トークンの生成処理の一部を仲介サーバMが担えるため、第2の実施の形態の第3の変形例に係る決済処理システムSは、第1決済サーバQ1の処理負荷を分散させることができる。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0130】
T1・・・第1ユーザ端末
10・・・記憶部
11・・・制御部
110・・・トークン要求部
111・・・表示制御部
T2・・・第2ユーザ端末
20・・・記憶部
21・・・制御部
210・・・コード読取部
211・・・決済情報送信部
212・・・暗号化部
M・・・仲介サーバ
30・・・記憶部
31・・・制御部
310・・・決済情報受信部
311・・・決済要求部
312・・・通知部
Q1・・・第1決済サーバ
40・・・記憶部
41・・・制御部
410・・・トークン送信部
411・・・決済管理部
412・・・精算管理部
Q2・・・第2決済サーバ
50・・・記憶部
51・・・制御部
510・・・トークン送信部
511・・・決済管理部
512・・・精算管理部
N・・・通信ネットワーク
S・・・決済処理システム