(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】運搬車両と運搬車両に素材を積み込む作業機械とを含むシステム、方法、及び作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20221012BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221012BHJP
【FI】
E02F9/20 N
G05D1/02 T
(21)【出願番号】P 2018191789
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 健二郎
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/167375(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/058247(WO,A1)
【文献】特開2000-192514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0136509(US,A1)
【文献】特開2013-002161(JP,A)
【文献】特開平09-086262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬車両と、
前記運搬車両に素材を積み込む作業機械と、
を備え、
前記作業機械は、
前記作業機械の位置を検出する第1位置センサと、
前記第1位置センサが検出した前記作業機械の位置を示すデータを取得し、前記作業機械に対する前記運搬車両の目標オフセット距離を示すデータを取得し、前記作業機械の位置と前記目標オフセット距離とに基づいて前記運搬車両の目標停止位置を決定する第1プロセッサと、
を含み、
前記運搬車両は、
前記作業機械と通信する通信装置と、
前記運搬車両の位置を検出する第2位置センサと、
前記作業機械から前記目標停止位置を示すデータを取得し、前記第2位置センサが検出した前記運搬車両の位置を示すデータを取得し、前記目標停止位置に前記運搬車両を移動させるように前記運搬車両を制御する第2プロセッサと、
を含み、
前記第1プロセッサは、
前記作業機械に対する前記素材の積込位置の方向を示すデータを取得し、
前記積込位置の方向と、前記目標オフセット距離と、前記作業機械の位置とに基づいて、前記目標停止位置を決定
し、
前記目標停止位置を含む許容停止範囲を示すデータを取得し、
停止した前記運搬車両に含まれる参照点の位置が前記許容停止範囲内であるかを判定し、
前記運搬車両の参照点の位置が前記許容停止範囲内であるときには、前記作業機械を制御して前記運搬車両への前記素材の積込を開始する、
システム。
【請求項2】
前記第1プロセッサは、前記作業機械からの距離に基づいて、前記許容停止範囲を決定する、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記作業機械は、旋回体と、前記旋回体を旋回可能に支持する支持体と、前記旋回体に設けられ掘削対象の地形を計測する地形センサとを含み、
前記第1プロセッサは、前記掘削対象の地形の位置に基づいて、前記許容停止範囲を決定する、
請求項
1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2プロセッサは、
前記運搬車両の進入禁止領域を示すデータを取得し、
前記運搬車両が前記進入禁止領域内に位置しているかを判定し、
前記運搬車両が前記進入禁止領域内に位置しているときには、前記作業機械による自動制御の中止指令を前記第1プロセッサに送信する、
請求項1から
3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記第2プロセッサは、
前記運搬車両の現在位置から前記目標停止位置までの目標走行経路を取得し、
前記運搬車両が前記目標走行経路から離れた距離が、所定の閾値より大きいかを判定し、
前記運搬車両が前記目標走行経路から離れた距離が、所定の閾値より大きいときには、前記作業機械による自動制御の中止指令を前記第1プロセッサに送信する、
請求項1から
4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記運搬車両は、走行体と、前記走行体に対して旋回可能に支持された荷台と、をさらに含み、
前記第2プロセッサは、
前記作業機械の位置を示すデータを取得し、
前記作業機械の位置と前記運搬車両の位置とに基づいて、前記走行体に対する前記荷台の旋回角度を制御する、
請求項1から
5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記第2プロセッサは、
前記荷台が、前記荷台の旋回中心と前記作業機械の位置とを結ぶ方向を向くように、前記走行体に対する前記荷台の旋回角度を制御する、
請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
運搬車両と、前記運搬車両に素材を積み込む作業機械とを制御するために1又は複数のプロセッサによって実行される方法であって、
前記作業機械の位置を示すデータを取得することと、
前記作業機械に対する前記運搬車両の目標オフセット距離を示すデータを取得することと、
前記作業機械に対する前記素材の積込位置の方向を示すデータを取得することと、
前記作業機械の位置と前記目標オフセット距離と前記積込位置の方向とに基づいて前記運搬車両の目標停止位置を決定することと、
前記運搬車両の位置を示すデータを取得することと、
前記目標停止位置に前記運搬車両を移動させるように前記運搬車両を制御すること
と、
前記目標停止位置を含む許容停止範囲を示すデータを取得することと、
停止した前記運搬車両に含まれる参照点の位置が前記許容停止範囲内であるかを判定することと、
前記運搬車両の参照点の位置が前記許容停止範囲内であるときには、前記作業機械を制御して前記運搬車両への前記素材の積込を開始すること、
を備える方法。
【請求項9】
前記目標停止位置を示すデータは、前記作業機械から前記運搬車両に送信される、
請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記作業機械に対する前記素材の積込位置の方向を示すデータを取得することをさらに備え、
前記目標停止位置は、前記積込位置の方向と、前記目標オフセット距離と、前記作業機械の位置とに基づいて決定される、
請求項
8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記許容停止範囲は、前記作業機械からの距離に基づいて、決定される、
請求項
8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記作業機械は、旋回体と、前記旋回体を旋回可能に支持する支持体と、前記旋回体に設けられ掘削対象の地形を計測する地形センサとを含み、
前記許容停止範囲は、前記掘削対象の地形の位置に基づいて決定される、
請求項
8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記運搬車両の進入禁止領域を示すデータを取得することと、
前記運搬車両が前記進入禁止領域内に位置しているかを判定することと、
前記運搬車両が前記進入禁止領域内に位置しているときには、前記作業機械による自動制御の中止指令を前記作業機械に送信すること、
をさらに備える請求項
8から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記運搬車両の現在位置から前記目標停止位置までの目標走行経路を取得することと、
前記運搬車両が前記目標走行経路から離れた距離が、所定の閾値より大きいかを判定することと、
前記運搬車両が前記目標走行経路から離れた距離が、所定の閾値より大きいときには、前記作業機械による自動制御の中止指令を前記作業機械に送信すること、
をさらに備える請求項
8から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記運搬車両は、走行体と、前記走行体に対して旋回可能に支持された荷台とを含み、
前記作業機械の位置と前記運搬車両の位置とに基づいて、前記走行体に対する前記荷台の旋回角度を制御することをさらに備える、
請求項
8から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記荷台が、前記荷台の旋回中心と前記作業機械の位置とを結ぶ方向を向くように、前記走行体に対する前記荷台の旋回角度が制御される、
請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
作業機械の位置を検出する第1位置センサと、
前記第1位置センサが検出した前記作業機械の位置を示すデータを取得し、前記作業機械に対する前記運搬車両の目標オフセット距離を示すデータを取得し、前記作業機械の位置と前記目標オフセット距離とに基づいて運搬車両の目標停止位置を決定する第1プロセッサと、
前記目標停止位置を前記運搬車両に送信する通信装置と、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記作業機械に対する前記素材の積込位置の方向を示すデータを取得し、
前記積込位置の方向と、前記目標オフセット距離と、前記作業機械の位置とに基づいて、前記目標停止位置を決定
し、
前記目標停止位置を含む許容停止範囲を示すデータを取得し、
停止した前記運搬車両に含まれる参照点の位置が前記許容停止範囲内であるかを判定し、
前記運搬車両の参照点の位置が前記許容停止範囲内であるときには、前記作業機械を制御して前記運搬車両への前記素材の積込を開始する、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬車両と、運搬車両に素材を積み込む作業機械とを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械によって土砂などの素材を掘削して、ダンプトラックなどの運搬車両に積み込む作業がある。運搬車両は、所定の積込位置で材料を積み込まれる。運搬車両は、所定のダンプ位置まで走行して、ダンプ位置で素材をダンプする。そして、運搬車両は積込位置へ戻り、作業機械によって再び素材が積み込まれる。
【0003】
従来、上記のような作業機械による積込作業を自動制御によって行う技術が知られている。例えば、特許文献1では、掘削位置と排土位置とが作業機械のコントローラに予め教示される。コントローラは、掘削位置で掘削を行い、掘削位置から排土位置に向けて作業機械を旋回させ、排土位置で排土するように作業機械を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術によれば、自動制御によって作業機械による積込作業を行うことができる。しかし、積込作業は、作業機械だけではなく運搬車両と協働して行われる。従って、積込作業をより効率よく行うためには、作業機械と運搬車両とが適切に連携して作業を行うことが重要である。
【0006】
本発明の目的は、作業機械による運搬車両への積込作業を自動制御によって行うと共に、作業機械と運搬車両との連携を適切に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、システムであって、運搬車両と、運搬車両に素材を積み込む作業機械とを備える。作業機械は、第1位置センサと第1プロセッサとを含む。第1位置センサは、作業機械の位置を検出する。第1プロセッサは、第1位置センサが検出した作業機械の位置を示すデータを取得する。第1プロセッサは、作業機械の位置に基づいて運搬車両の目標停止位置を決定する。運搬車両は、通信装置と、第2位置センサと、第2プロセッサとを含む。通信装置は、作業機械と通信する。第2位置センサは、運搬車両の位置を検出する。第2プロセッサは、作業機械から目標停止位置を示すデータを取得する。第2プロセッサは、目標停止位置に運搬車両を移動させるように運搬車両を制御する。
【0008】
第2の態様は、運搬車両と、運搬車両に素材を積み込む作業機械とを制御するために1又は複数のプロセッサによって実行される方法である。当該方法は以下の処理を備える。第1の処理は、作業機械の位置を示すデータを取得することである。第2の処理は、作業機械の位置に基づいて運搬車両の目標停止位置を決定することである。第3の処理は、運搬車両の位置を示すデータを取得することである。第4の処理は、目標停止位置に運搬車両を移動させるように運搬車両を制御することである。
【0009】
第3の態様は、作業機械であって、第1位置センサと、第1プロセッサと、通信装置とを備える。第1位置センサは、作業機械の位置を検出する。第1プロセッサは、第1位置センサが検出した作業機械の位置を示すデータを取得し、作業機械の位置に基づいて運搬車両の目標停止位置を決定する。通信装置は、目標停止位置を運搬車両に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、作業機械の位置に基づいて運搬車両の目標停止位置が決定される。そして、運搬車両は、目標停止位置に移動するように制御される。それにより、作業機械による運搬車両への積込作業を自動制御によって行うと共に、作業機械と運搬車両との連携を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】作業機械及び運搬車両が用いられる作業現場の一例を示す平面図である。
【
図6】作業機械での自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図7】作業機械での自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図8】運搬車両での自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図9】運搬車両での自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図10】自動制御モードにおける作業現場の状況を模式的に示す平面図である。
【
図11】自動制御モードにおける作業現場の状況を模式的に示す平面図である。
【
図12】自動制御モードにおける作業現場の状況を模式的に示す平面図である。
【
図13】自動制御モードにおける作業現場の状況を模式的に示す平面図である。
【
図15】運搬車両の荷台の旋回角度の調整を示す平面図である。
【
図16】現在の地形と掘削経路との一例を示す平面図である。
【
図17】現在の地形の断面と掘削経路との一例を示す側面図である。
【
図18】自動制御モードにおける作業現場の状況を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る作業機械及び運搬車両の制御システムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1及び運搬車両2が用いられる作業現場の一例を示す平面図である。作業現場には、作業機械1と運搬車両2とが配置されている。作業機械1と運搬車両2とは、自動制御により互いに協働して作業を行う。
【0013】
本実施形態において、作業機械1は油圧ショベルである。運搬車両2はダンプトラックである。作業機械1は、作業現場内の所定の掘削位置L1の横に配置されている。運搬車両2は、作業現場内の所定の積込位置L2と所定のダンプ位置L3との間を走行して往復する。作業機械1は、自動制御により、掘削位置L1を掘削して、掘削対象物としての土砂等の素材を、積込位置L2に停車している運搬車両2に積み込む。素材を積み込まれた運搬車両2は、ダンプ位置L3まで走行し、ダンプ位置L3に素材を降ろす。ダンプ位置L3には、ブルドーザなどの他の作業機械3が配置されており、ダンプ位置L3に降ろされた素材を敷き広げる。素材を降ろした運搬車両2は積込位置L2まで走行し、作業機械1は、積込位置L2に停車した運搬車両2に再び素材を積み込む。このような作業が繰り返されることで、掘削位置L1の素材がダンプ位置L3に移送される。
【0014】
図2は、作業機械1の側面図である。
図2に示すように、作業機械1は、車両本体11と作業機12とを含む。車両本体11は、旋回体13と支持体14とを含む。旋回体13は、支持体14に対して旋回可能に取り付けられている。旋回体13にはキャブ15が配置されている。ただし、キャブ15は省略されてもよい。支持体14は、履帯16を含む。後述するエンジン24の駆動力によって履帯16が駆動されることで、作業機械1は走行する。
【0015】
作業機12は、車両本体11の前部に取り付けられている。作業機12は、ブーム17とアーム18とバケット19とを含む。ブーム17は、旋回体13に対して上下方向に動作可能に取り付けられている。アーム18は、ブーム17に対して動作可能に取り付けられている。バケット19は、アーム18に対して動作可能に取り付けられている。作業機12は、ブームシリンダ21と、アームシリンダ22と、バケットシリンダ23とを含む。ブームシリンダ21と、アームシリンダ22と、バケットシリンダ23とは、油圧シリンダであり、後述する油圧ポンプ25から供給される作動油によって駆動される。ブームシリンダ21は、ブーム17を動作させる。アームシリンダ22は、アーム18を動作させる。バケットシリンダ23は、バケット19を動作させる。
【0016】
図3は、作業機械1の制御システムの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、作業機械1は、エンジン24と、油圧ポンプ25と、動力伝達装置26と、コントローラ27とを含む。
【0017】
エンジン24は、コントローラ27からの指令信号により制御される。油圧ポンプ25は、エンジン24によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ25から吐出された作動油は、ブームシリンダ21と、アームシリンダ22と、バケットシリンダ23とに供給される。
【0018】
作業機械1は、旋回モータ28を含む。旋回モータ28は、油圧モータであり、油圧ポンプ25からの作動油によって駆動される。旋回モータ28は、旋回体13を旋回させる。油圧ポンプ25は、可変容量ポンプである。なお、
図3では、1つの油圧ポンプ25が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。油圧ポンプ25にはポンプ制御装置29が接続されている。ポンプ制御装置29は、油圧ポンプ25の傾転角を制御する。ポンプ制御装置29は、例えば電磁弁を含み、コントローラ27からの指令信号により制御される。コントローラ27は、ポンプ制御装置29を制御することで、油圧ポンプ25の容量を制御する。
【0019】
油圧ポンプ25とシリンダ21-23と旋回モータ28とは、制御弁31を介して油圧回路によって接続されている。制御弁31は、コントローラ27からの指令信号によって制御される。制御弁31は、油圧ポンプ25からシリンダ21-23及び旋回モータ28に供給される作動油の流量を制御する。コントローラ27は、制御弁31を制御することで、作業機12の動作を制御する。また、コントローラ27は、制御弁31を制御することで、旋回体13の旋回を制御する。
【0020】
動力伝達装置26は、エンジン24の駆動力を支持体14に伝達する。動力伝達装置26は、例えば、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。或いは、動力伝達装置26は、HST(Hydro Static Transmission)、或いはHMT(Hydraulic Mechanical Transmission)などの他の形式のトランスミッションであってもよい。
【0021】
コントローラ27は、取得したデータに基づいて作業機械1を制御するようにプログラムされている。コントローラ27は、エンジン24と支持体14と動力伝達装置26とを制御することで、作業機械1を走行させる。コントローラ27は、エンジン24と油圧ポンプ25と制御弁31とを制御することで、作業機12を動作させる。
【0022】
コントローラ27は、CPU或いはGPU等の第1プロセッサ271と、メモリ272とを含む。第1プロセッサ271は、作業機械1の自動制御のための処理を行う。メモリ272は、作業機械1の自動制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。例えば、メモリ272は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。
【0023】
作業機械1は、負荷センサ32a-32cを含む。負荷センサ32a-32cは、作業機12にかかる負荷を検出し、負荷を示す負荷データを出力する。本実施形態では、負荷センサ32a-32cは、油圧センサであり、シリンダ21-23の油圧をそれぞれ検出する。負荷データは、シリンダ21-23の油圧を示す。コントローラ27は、負荷センサ32a-32cと有線或いは無線によって通信可能に接続されている。コントローラ27は、負荷センサ32a-32cから負荷データを受信する。
【0024】
作業機械1は、第1位置センサ33と、作業機センサ34a-34cと、旋回角度センサ39とを含む。第1位置センサ33は、作業機械1の位置を検出し、作業機械1の位置を示す位置データを出力する。第1位置センサ33は、GNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバとIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)とを含む。GNSSレシーバは、例えばGPS(Global Positioning System)用の受信機である。位置データは、GNSSレシーバが出力する作業機械1の位置を示すデータと、IMUが出力する車両本体11の姿勢を示すデータとを含む。車両本体11の姿勢は、例えば、作業機械1の前後方向の水平に対する角度(ピッチ角)と、作業機械1の横方向の水平に対する角度(ロール角)とを含む。
【0025】
作業機センサ34a-34cは、作業機12の姿勢を検出し、作業機12の姿勢を示す姿勢データを出力する。作業機センサ34a-34cは、例えばシリンダ21-23のストローク量を検出するストロークセンサである。作業機12の姿勢データは、シリンダ21-23のストローク量を含む。或いは、作業機センサ34a-34cは、ブーム17、アーム18、及びバケット19のそれぞれの回転角度を検出するセンサなどの他のセンサであってもよい。旋回角度センサ39は、支持体14に対する旋回体13の旋回角度を検出し、旋回角度を示す旋回角度データを出力する。
【0026】
コントローラ27は、第1位置センサ33、作業機センサ34a-34c、及び旋回角度センサ39と有線或いは無線によって通信可能に接続されている。コントローラ27は、第1位置センサ33と作業機センサ34a-34cと旋回角度センサ39とから、それぞれ作業機械1の位置データと作業機12の姿勢データと旋回角度データとを受信する。コントローラ27は、位置データと姿勢データと旋回角度データとから、バケット19の刃先位置を算出する。例えば、作業機械1の位置データは、第1位置センサ33のグローバル座標を示す。コントローラ27は、作業機12の姿勢データと旋回角度データとに基づいて、第1位置センサ33のグローバル座標からバケット19の刃先位置のグローバル座標を算出する。
【0027】
作業機械1は、地形センサ35を含む。地形センサ35は、作業機械1の周囲の地形を計測して、地形センサ35が計測した地形を示す地形データを出力する。本実施形態では、地形センサ35は、旋回体13の側部に取り付けられている。地形センサ35は、旋回体13の側方に位置する地形を計測する。地形センサ35は、例えばライダ(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)である。ライダは、レーザーを照射して、その反射光を計測することで、地形上の複数の計測点までの距離を測定する。地形データは、作業機械1に対する各計測点の位置を示す。
【0028】
作業機械1は、第1カメラ36と、複数の第2カメラ37とを含む。第1カメラ36は、旋回体13の前方に向けて、旋回体13に取り付けられている。第1カメラ36は、旋回体13の前方を撮影する。第1カメラ36はステレオカメラである。第1カメラ36は、撮影した動画を示す第1画像データを出力する。
【0029】
複数の第2カメラ37は、それぞれ旋回体13の左側方と右側方と後方とに向けて、旋回体13に取り付けられている。第2カメラ37は、撮影した動画を示す第2画像データを出力する。第2カメラ37は、単眼カメラであってもよい。或いは、第2カメラ37は、第1カメラ36と同様にステレオカメラであってもよい。コントローラ27は、第1カメラ36及び第2カメラ37と有線或いは無線により通信可能に接続されている。コントローラ27は、第1カメラ36から第1画像データを受信する。コントローラ27は、第2カメラ37から第2画像データを受信する。
【0030】
作業機械1は、第1通信装置38を含む。第1通信装置38は、作業機械1の外部の機器とデータ通信を行う。第1通信装置38は、作業機械1の外部のリモートコンピュータ機器4と通信を行う。リモートコンピュータ機器4は、作業現場に配置されてもよい。或いは、リモートコンピュータ機器4は、作業現場から離れた管理センタ内に配置されてもよい。リモートコンピュータ機器4は、ディスプレイ401と入力装置402とを含む。
【0031】
ディスプレイ401は、作業機械1に関する画像を表示する。ディスプレイ401は、コントローラ27から第1通信装置38を介して受信した信号に応じた画像を表示する。入力装置402は、オペレータによって操作される。入力装置402は、例えばタッチパネルを含んでもよく、或いは、ハードウェアキーを含んでもよい。リモートコンピュータ機器4は、入力装置402によって入力された指令を示す信号を、第1通信装置38を介してコントローラ27に送信する。また、第1通信装置38は、運搬車両2とデータ通信を行う。
【0032】
図4は、運搬車両2の側面図である。
図4に示すように、運搬車両2は、車両本体51と、走行体52と、荷台53とを含む。車両本体51は、走行体52に対して旋回可能に支持されている。走行体52は、履帯54を含む。後述するエンジン55の駆動力によって履帯54が駆動されることで、運搬車両2は走行する。荷台53は、車両本体51に支持されている。従って、荷台53は、走行体52に対して車両本体51と共に旋回可能に支持されている。荷台53は、ダンプ姿勢と運搬姿勢とに動作可能に設けられている。
図4において、実線で示す荷台53は、運搬姿勢の荷台53の位置を示している。二点鎖線で示す荷台53’は、ダンプ姿勢の荷台53の位置を示している。運搬姿勢では、荷台53は、概ね水平に配置される。ダンプ姿勢では、荷台53は、運搬姿勢に対して傾斜した状態となる。
【0033】
図5は、運搬車両2の制御システムの構成を示すブロック図である。運搬車両2は、エンジン55と、油圧ポンプ56と、動力伝達装置57と、リフトシリンダ58と、旋回モータ59と、コントローラ61と、制御弁62とを含む。コントローラ61は、CPU或いはGPU等の第2プロセッサ611と、メモリ612とを含む。第2プロセッサ611は、運搬車両2の自動制御のための処理を行う。メモリ612は、運搬車両2の自動制御のためのデータ及びプログラムを記憶している。例えば、612は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。
【0034】
エンジン55、油圧ポンプ56、動力伝達装置57、コントローラ61、制御弁62は、それぞれ作業機械1のエンジン24、油圧ポンプ25、動力伝達装置26、コントローラ27、制御弁31と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
リフトシリンダ58は、油圧シリンダである。旋回モータ59は、油圧モータである。油圧ポンプ56から吐出された作動油は、リフトシリンダ58と旋回モータ59とに供給される。リフトシリンダ58と旋回モータ59とは、油圧ポンプ56からの作動油によって駆動される。リフトシリンダ58は、荷台53を昇降する。それにより、荷台53の姿勢が、運搬姿勢とダンプ姿勢とに切り換えられる。旋回モータ59は、走行体52に対して車両本体51を旋回させる。コントローラ61は、制御弁62によってリフトシリンダ58を制御することで、荷台53の動作を制御する。また、コントローラ61は、制御弁62によって旋回モータ59を制御することで、車両本体51の旋回を制御する。
【0036】
運搬車両2は、第2位置センサ63と、荷台センサ64と、旋回角度センサ65とを含む。第2位置センサ63は、作業機械1の第1位置センサ33と同様に、GNSSレシーバとIMUとを含む。第2位置センサ63は、位置データを出力する。位置データは、運搬車両2の位置を示すデータと、車両本体51の姿勢を示すデータとを含む。
【0037】
荷台センサ64は、荷台53の姿勢を検出し、荷台53の姿勢を示す荷台データを出力する。荷台センサ64は、例えばリフトシリンダ58のストローク量を検出するストロークセンサである。荷台データは、リフトシリンダ58のストローク量を含む。或いは、荷台センサ64は、荷台53の傾斜角度を検出するセンサなどの他のセンサであってもよい。旋回角度センサ65は、走行体52に対する車両本体51の旋回角度を検出し、旋回角度を示す旋回角度データを出力する。
【0038】
コントローラ61は、第2位置センサ63と、荷台センサ64と、旋回角度センサ65と、有線或いは無線によって通信可能に接続されている。コントローラ61は、第2位置センサ63と荷台センサ64と旋回角度センサ65から、それぞれ位置データと荷台データと旋回角度データとを受信する。
【0039】
運搬車両2は、第2通信装置66を含む。運搬車両2のコントローラ61は、第2通信装置66を介して、作業機械1のコントローラ27とデータ通信を行う。運搬車両2のコントローラ61は、第2通信装置66を介して、運搬車両2の位置データと荷台データと旋回角度データとを送信する。作業機械1のコントローラ27は、第1通信装置38を介して、運搬車両2の位置データと荷台データと旋回角度データとを受信する。作業機械1のコントローラ27は、運搬車両2の車両本体51、及び、荷台53の配置及び寸法を示す車両寸法データを記憶している。コントローラ27は、運搬車両2の位置データと荷台データと旋回角度データと車両寸法データとから、荷台53の位置を算出する。
【0040】
次に、作業機械1のコントローラ27と、運搬車両2のコントローラ61とによって実行される自動制御モードの処理について説明する。自動制御モードでは、運搬車両2のコントローラ61は、運搬車両2が積込位置L2と所定のダンプ位置L3との間を自動で走行して往復するように、運搬車両2を制御する。作業機械1のコントローラ27は、作業機械1が上述した掘削及び積込の作業を自動で行うように、作業機械1を制御する。
図6及び
図7は、作業機械1のコントローラ27によって実行される自動制御モードの処理を示すフローチャートである。
図8及び
図9は、運搬車両2のコントローラ61によって実行される自動制御モードの処理を示すフローチャートである。
【0041】
作業機械1のコントローラ27は、自動制御モードの開始指令を受信すると、
図6に示す自動制御モードの処理を実行する。
図10に示すように、自動制御モードの開始指令は、例えばオペレータが上述したリモートコンピュータ機器4の入力装置402を操作することで、リモートコンピュータ機器4から出力される。コントローラ27は、第1通信装置38を介して開始指令を受信する。また、運搬車両2のコントローラ61も、自動制御モードの開始指令を受信する。運搬車両2のコントローラ61は、自動制御モードの開始指令を受信すると、
図8に示す自動制御モードの処理を実行する。
【0042】
図6に示すように、ステップS101では、作業機械1のコントローラ27は、作業機械1の位置を取得する。ここでは、コントローラ27は、第1位置センサ33と、作業機センサ34a-34cと、旋回角度センサ39とから、それぞれ作業機械1の位置データと作業機12の姿勢データと旋回角度データとを取得する。コントローラ27は、位置データと作業機データと旋回角度データとから、バケット19の刃先位置を算出する。なお、コントローラ27は、自動制御モード中には、作業機械1の位置を継続的に取得し、更新する。
【0043】
ステップS102では、コントローラ27は、作業機械1の位置に基づいて、運搬車両2の積込位置L2における目標停止位置P1を決定する。詳細には、コントローラ27は、作業機械1に対する積込位置L2の方向を示すデータを取得する。コントローラ27は、作業機械1の位置と積込位置L2とから演算により、作業機械1に対する積込位置L2の方向を取得する。また、コントローラ27は、作業機械1に対する運搬車両2の目標オフセット距離を示すデータを取得する。例えば、目標オフセット距離は、メモリ272に保存されており、コントローラ27は、メモリ272から目標オフセット距離を読み出す。コントローラ27は、積込位置L2の方向と、目標オフセット距離と、作業機械1の位置とに基づいて、運搬車両2の目標停止位置P1を決定する。例えば、コントローラ27は、作業機械1の位置から、積込位置L2の方向に向かって、目標オフセット距離分、離れた位置を、運搬車両2の目標停止位置P1として決定する。
【0044】
ステップS103では、コントローラ27は、運搬車両2の許容停止範囲A1を決定する。
図10に示すように、許容停止範囲A1は、作業機械1に対して、積込位置L2の方向に位置する範囲であり、目標停止位置P1を含む。コントローラ27は、作業機械1の位置から許容停止範囲A1を決定する。許容停止範囲A1については、後述する。
【0045】
ステップS104では、コントローラ27は、運搬車両2と通信する。ここでは、コントローラ27は、目標停止位置P1を運搬車両2に送信する。
図8に示すように、ステップS201では、運搬車両2のコントローラ61は、作業機械1と通信する。ここでは、運搬車両2のコントローラ61は、作業機械1のコントローラ27が送信した目標停止位置P1を第2通信装置66を介して受信する。
【0046】
ステップS202では、コントローラ61は、運搬車両2の位置を取得する。ここでは、コントローラ27は、第2位置センサ63と、荷台センサ64と、旋回角度センサ65とから、それぞれ運搬車両2の位置データと荷台データと旋回角度データとを取得する。なお、コントローラ61は、自動制御モード中には、運搬車両2の位置を継続的に取得し、更新する。
【0047】
ステップS203では、コントローラ61は、領域データを取得する。領域データは、作業現場の地形を示すデータを含む。また、領域データは、
図11に示す運搬車両2の進入禁止領域A2,A3を示すデータを含む。
【0048】
ステップS204では、コントローラ61は、目標走行経路R1を決定する。目標走行経路R1は、運搬車両2の現在位置から目標停止位置P1までの経路である。コントローラ61は、上述した領域データと、運搬車両2の位置データと、目標停止位置P1とから目標走行経路R1を決定する。コントローラ61は、進入禁止領域A2,A3を避けるように、目標走行経路R1を決定する。例えば、コントローラ61は、進入禁止領域A2,A3を避け、且つ、運搬車両2の移動距離が最短となるように、目標走行経路R1を決定する。なお、コントローラ61は、進入禁止領域A2,A3以外の他の要因を考慮して、目標走行経路R1を決定してもよい。
【0049】
ステップS205では、コントローラ61は、運搬車両2に移動を開始させる。コントローラ61は、運搬車両2が目標走行経路R1に沿って目標停止位置P1まで移動するように、運搬車両2を制御する。
【0050】
図9に示すステップS206では、コントローラ61は、運搬車両2が進入禁止領域A2,A3内に位置しているかを判定する。コントローラ61は、上述した運搬車両2の位置データが示す運搬車両2の現在位置と、領域データが示す進入禁止領域A2,A3とから、運搬車両2が進入禁止領域A2,A3内に位置しているかを判定する。
【0051】
運搬車両2が進入禁止領域A2,A3内に位置しているときには、ステップS214において、コントローラ61は、自動制御の中止指令を作業機械1に送信する。また、ステップS215において、コントローラ61は、運搬車両2の作業を中止する。例えば、コントローラ61は、運搬車両2を停止させる。或いは、コントローラ61は、運搬車両2をダンプ位置L3に戻らせてもよい。
【0052】
図7に示すように、ステップS105において、作業機械1のコントローラ27は、運搬車両2から、自動制御の中止指令を受信すると、ステップS111において、コントローラ27は、作業機械1の作業を中止する。例えば、コントローラ61は、作業機械1を停止させる。
【0053】
図9に示すように、ステップS207では、コントローラ61は、逸脱距離D1が所定の閾値Th1より大きいかを判定する。
図12に示すように、逸脱距離D1は、運搬車両2が目標走行経路R1から離れた距離である。コントローラ61は、上述した運搬車両2の位置データが示す運搬車両2の現在位置と目標走行経路R1とから、逸脱距離D1を算出する。所定の閾値Th1は、例えば、メモリ612に保存されている。逸脱距離D1が所定の閾値Th1より大きいときには、上記と同様に、コントローラ61は、ステップS214において自動制御の中止指令を作業機械1に送信する。また、ステップS215において、コントローラ61は、作業を中止する。
【0054】
ステップS208では、コントローラ61は、運搬車両2が目標停止位置P1に到達したかを判定する。コントローラ61は、上述した運搬車両2の位置データが示す運搬車両2の現在位置と目標停止位置P1とから、運搬車両2が目標停止位置P1に到達したかを判定する。例えば、コントローラ27は、運搬車両2に含まれる参照点P2の位置が目標停止位置P1と一致、或いは略一致したときに、運搬車両2が目標停止位置P1に到達したと判定する。例えば、運搬車両2の参照点P2は、荷台53の旋回中心である。ただし、運搬車両2の参照点P2は、運搬車両2の他の位置であってもよい。例えば、運搬車両2の参照点P2は、運搬車両2の前後方向及び幅方向における中心点であってもよい。
図13に示すように、運搬車両2が目標停止位置P1に到達したときには、ステップS209において、コントローラ61は、運搬車両2を停止させる。
【0055】
図7に示すように、ステップS106において、作業機械1のコントローラ27は、運搬車両2が停止したかを判定する。例えば、コントローラ27は、運搬車両2から受信した運搬車両2の位置データから、運搬車両2が停止したかを判定する。或いは、コントローラ27は、第1カメラ36から出力された第1画像データ、及び/又は、第2カメラ37から出力された第2画像データに基づいて、画像認識技術により、運搬車両2が停止したかを判定してもよい。運搬車両2が停止したときには、処理は、ステップS107に進む。
【0056】
ステップS107では、コントローラ27は、運搬車両2が許容停止範囲A1内に位置しているかを判定する。上述したように、許容停止範囲A1は、目標停止位置P1を含む範囲であり、コントローラ27は、作業機械1の位置から許容停止範囲A1を決定する。
図14は、許容停止範囲A1の一例を示す図である。コントローラ27は、作業機械1からの距離と、掘削位置L1とに基づいて、許容停止範囲A1を決定する。
【0057】
詳細には、
図14に示すように、許容停止範囲A1は、旋回体13の旋回中心C1からの距離が第1距離閾値Td1以内の範囲である。許容停止範囲A1は、旋回体13の旋回中心C1からの距離が第2距離閾値Td2以上の範囲である。例えば、第1距離閾値Td1は、バケット19の刃先が到達可能な距離の最大値である。第2距離閾値Td2は、バケット19の刃先が到達可能な距離の最小値である。
【0058】
また、許容停止範囲A1は、作業機械1に対する積込位置L2の方向X1に対して、許容停止範囲A1内の任意の位置と旋回中心C1とを結ぶベクトルがなす角度の絶対値が、角度閾値Ta1以内である範囲である。作業機械1の支持体14は、方向X1を向いて配置されている。例えば、角度閾値Ta1は、積込中に地形センサ35による掘削位置L1の地形の計測を適切に行える範囲の値である。なお、
図14では、作業機械1に対する積込位置L2の方向X1を0度として、反時計回りを正の値としている。
【0059】
コントローラ27は、運搬車両2の参照点P2の位置が許容停止範囲A1内に位置しているときに、運搬車両2が許容停止範囲A1内に位置していると判定する。例えば、コントローラ27は、
図14に示す運搬車両2の位置2_1は、許容停止範囲A1内に位置していると判定する。コントローラ27は、
図14に示す運搬車両2の位置2_2,2_3は、許容停止範囲A1内に位置していないと判定する。
【0060】
ステップS107において、運搬車両2が許容停止範囲A1内に位置していないときには、処理はステップS112に進む。ステップS112では、コントローラ27は、運搬車両2にやり直し指令を送信する。
図9に示すように、ステップS210で、運搬車両2のコントローラ61は、やり直し指令を受信すると、ステップS205に戻り、目標停止位置P1への移動をやり直す。
【0061】
ステップS107において、運搬車両2が許容停止範囲A1内に位置しているときには、ステップS211で、運搬車両2のコントローラ61は、運搬車両2を停止させたまま、荷台53の旋回角度を調整する。コントローラ61は、作業機械1の位置と運搬車両2の位置とに基づいて、走行体52に対する荷台53の旋回角度を決定する。詳細には、
図15に示すように、コントローラ61は、荷台53が、荷台53の旋回中心C2と作業機械1の旋回中心C1とを結ぶ直線X2の方向を向くように、走行体52に対する荷台53の旋回角度を決定し、荷台53を旋回させる。
すなわち、荷台53の長手方向が、荷台53の旋回中心C2と作業機械1の旋回中心C1とを結ぶ直線X2の方向と一致するように、走行体52に対する荷台53の旋回角度を決定し、荷台53を旋回させる。それにより、荷台53の後端が、荷台53の旋回中心C2から作業機械1の旋回中心C1に向かう方向に作業機械1に正対して配置される。
【0062】
運搬車両2での荷台53の旋回角度の調整が終了すると、ステップS108で、作業機械1のコントローラ27は、素材の掘削、及び、運搬車両2への素材の積込を開始する。ここでは、コントローラ27は、地形センサ35が計測した掘削位置L1の現在の地形T1を示す地形データを取得する。コントローラ27は、作業機械1の現在位置と地形データとから、掘削経路PA1を決定する。掘削経路PA1は、バケット19の刃先位置の目標軌跡である。
図16は、現在の地形T1と掘削経路PA1の一例を示す平面図である。
図17は、現在の地形T1の断面と掘削経路PA1との一例を示す側面図である。コントローラ27は、作業機12によって掘削される素材の量、例えば体積又は重量が、目標値と一致するように、掘削経路PA1を決定する。
【0063】
図17に示すように、コントローラ27は、現在の地形T1の表面と掘削経路PA1との間の体積(
図17においてハッチングを付した部分)が目標値に一致するように、掘削経路PA1を決定する。目標値は、例えばバケット19の容量に基づいて決定される。掘削経路PA1は、掘削開始点S1と掘削終了点E1とを含む。掘削開始点S1と掘削終了点E1とは、地形T1の表面と掘削経路PA1との交点である。
【0064】
コントローラ27は、ダウン旋回時の目標旋回角度を決定する。コントローラ27は、バケット19の現在の刃先位置と、作業機械1の旋回中心C1と掘削開始点S1とを結ぶ直線X3とからダウン旋回時の目標旋回角度を決定する。コントローラ27は、ダウン旋回において、掘削開始点S1に向かって、旋回体13を旋回させると共に、バケット19の刃先位置を掘削開始点S1の高さに向かって下降させる。そして、コントローラ27は、掘削経路PA1に従ってバケット19の刃先位置が移動するように、作業機12を制御する。それにより、素材が作業機12によって掘削される。
【0065】
また、コントローラ27は、ホイスト旋回時の目標旋回角度を決定する。コントローラ27は、掘削後のバケット19の現在の刃先位置と、作業機械1の旋回中心C1と荷台53の旋回中心C2とを結ぶ直線X2から、ホイスト旋回時の目標旋回角度を決定する。コントローラ27は、ホイスト旋回において、排土位置P3に向かって、旋回体13を旋回させると共に、バケット19の刃先位置を排土位置P3に向けて上昇させる。排土位置P3は、作業機械1の旋回中心C1と荷台53の旋回中心C2とを結ぶ直線X2上、且つ、荷台53の上方の位置である。そして、コントローラ27は、バケット19が抱えている素材を荷台53上に排出するように、作業機12を動作させる。それにより、素材が荷台53に積み込まれる。
【0066】
図7に示すステップS109では、コントローラ27は、積込が終了したかを判定する。コントローラ27は、荷台53に積み込まれた素材の量(以下、「積込量」と呼ぶ)が許容量に達したときに、積込が終了したと判定する。積込量は、体積であってもよく、或いは重量であってもよい。コントローラ27は、負荷データから積込量を算出する。詳細には、コントローラ27は、負荷データから掘削した素材の量を算出する。コントローラ27は、荷台53に積み込まれた素材の量の合計値を積込量として算出する。
【0067】
ステップS109において、積込が終了していないとコントローラ27が判定したときには、再び、素材の掘削と運搬車両2への積込とが行われる。そして、積込が終了したと判定されるまで、素材の掘削と運搬車両2への積込とが繰り返される。ステップS109において、積込が終了したとコントローラ27が判定したときには、処理はステップS110に進む。ステップS110では、
図18に示すように、コントローラ27は、運搬車両2に積込位置L2からの離脱指令を送信する。
【0068】
図9に示すように、ステップS212で、運搬車両2のコントローラ61は、離脱指令を受信したかを判定する。コントローラ61が離脱指令を受信したときには、処理は、ステップS213に進む。ステップS213で、コントローラ61は、運搬車両2を制御して、積込位置L2からダンプ位置L3に向かって移動を開始する。
【0069】
以上説明した本実施形態に係る制御システムによれば、作業機械1の位置に基づいて運搬車両2の目標停止位置P1が決定される。そして、運搬車両2は、目標停止位置P1に移動するように制御される。それにより、作業機械1による運搬車両2への積込作業を自動制御によって行うと共に、作業機械1と運搬車両2との連携を適切に行うことができる。
【0070】
作業機械1のコントローラ27は、運搬車両2の停止位置が許容停止範囲A1内であるときには、運搬車両2への素材の積込を開始する。従って、運搬車両2の位置が目標停止位置P1から少しずれていても、素材の積込を開始することができる。また、運搬車両2の位置が目標停止位置P1から大きくずれているときには、積込は行われない。それにより、作業機械1による運搬車両2への積込作業を効率よく行うことができる。
【0071】
運搬車両2のコントローラ61は、運搬車両2が進入禁止領域A2,A3内に位置しているときには、作業機械1による自動制御の中止指令を作業機械1に送信する。また、コントローラ61は、運搬車両2の目標走行経路R1からの逸脱距離D1が、所定の閾値Th1より大きいときには、作業機械1による自動制御の中止指令を作業機械1に送信する。それにより、運搬車両2の移動が適切に行われていないときには、迅速に自動制御を中止することができる。
【0072】
運搬車両2のコントローラ61は、作業機械1の位置と運搬車両2の位置とに基づいて、走行体52に対する荷台53の旋回角度を制御する。それにより、作業機械1による運搬車両2への素材の積込作業を容易に行うことができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
作業機械1は、油圧ショベルに限らず、ホイールローダ、或いはモータグレーダ等の他の機械であってもよい。作業機械1の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。作業機械1は、電動モータで駆動される車両であってもよい。例えば、支持体14及び/又は旋回体13は、電動モータで駆動されてもよい。作業機12の構成が変更されてもよい。例えば、作業機12は、バケット19に限らず、グラップル、フォーク、リフティングマグネットなどの他の積込用アタッチメントを含んでもよい。
【0075】
運搬車両2は、ダンプトラック以外の車両であってもよい。運搬車両2の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、運搬車両2は、電動モータで駆動される車両であってもよい。例えば、走行体52及び/又は荷台53は、電動モータで駆動されてもよい。運搬車両2の荷台53は旋回不能であってもよい。運搬車両2の走行体52は、履帯ではなく、タイヤを備えてもよい。
【0076】
作業機械1及び運搬車両2に備えられる各種のセンサの構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、地形センサ35は、旋回体13の側部以外の部分に配置されてもよい。地形センサ35は、ライダに限らず、レーダーなどの他のセンシング装置であってもよい。或いは、地形センサ35はカメラであり、コントローラ27は、カメラが撮影した画像を解析することで、地形を認識してもよい。
【0077】
上記の実施形態では、コントローラ27は、負荷センサ32a-32cが検出した負荷データによって積込量を算出している。しかし、コントローラ27は、第1画像データが示す荷台53の画像に基づいて、積込量を算出してもよい。
【0078】
作業機械1のコントローラ27は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。コントローラ27によって実行される処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。その場合、複数のコントローラの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。
【0079】
運搬車両2のコントローラ61は、一体に限らず、複数のコントローラに分かれていてもよい。コントローラ61によって実行される処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。その場合、複数のコントローラの一部は、運搬車両2の外部に配置されてもよい。
【0080】
作業機械1のコントローラ27と運搬車両2のコントローラ61とは、互いに直接的に通信するのではなく、他のコントローラを介して通信してもよい。コントローラ27によって実行される自動制御モードの処理は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0081】
例えば、目標停止位置P1を決定する処理は、作業機械1及び運搬車両2の外部に配置された遠隔コントローラ、或いは、運搬車両2のコントローラ61によって実行されてもよい。許容停止範囲A1を決定する処理は、遠隔コントローラ、或いは、運搬車両2のコントローラ61によって実行されてもよい。運搬車両2が進入禁止領域A2,A3内に位置しているかの判定は、遠隔コントローラ、或いは作業機械1のコントローラ27によって実行されてもよい。運搬車両2の目標走行経路R1からの逸脱距離D1が所定の閾値より大きいかの判定は、遠隔コントローラ、或いは作業機械1のコントローラ27によって実行されてもよい。荷台53の目標旋回角度の決定は、遠隔コントローラ、或いは作業機械1のコントローラ27によって実行されてもよい。
【0082】
上記の実施形態では、目標停止位置が作業機械1から運搬車両2に与えられている。しかし、目標停止位置に加えて、運搬車両2の停止方向に関する情報が運搬車両2に与えられてもよい。作業機械1のバケット19は、旋回動作によって掘削位置L1と目標停止位置P1との間を移動するため、バケット19の移動範囲に、運搬車両2の前方部分が存在しない方が好ましい。よって、運搬車両2の停止方向を運搬車両2に事前に与えて、運搬車両2を適切に停車させれば、運搬車両2が積込動作に与える影響を低減することができる。これは特に、旋回しない固定式の荷台を有する運搬車両2に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明では、作業機械による運搬車両への積込作業を自動制御によって行うと共に、作業機械と運搬車両との連携を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 作業機械
2 運搬車両
13 旋回体
14 支持体
33 第1位置センサ
52 走行体
53 荷台
63 第2位置センサ
66 第2通信装置
271 第1プロセッサ
611 第2プロセッサ