(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
F01N1/08 A
F01N1/08 L
F01N1/08 N
(21)【出願番号】P 2018200318
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原 雅之
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-28243(JP,A)
【文献】特開2006-283644(JP,A)
【文献】特開平8-270431(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008023553(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第104213955(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの消音室を有するマフラシェルを備えたマフラにおいて、
排気ガスを導入するインレット管が設けられた入口消音室と、
前記入口消音室と隣接する第1消音室と、
前記入口消音室の前記第1消音室と反対側に隣接する第2消音室と、
前記第2消音室の前記入口消音室と反対側に隣接する第3消音室と、
前記4つの消音室の中の複数の消音室をそれぞれ連通し、周壁に前記第2消音室内で開口する複数の貫通孔がそれぞれ設けられた複数の干渉管と、
前記入口消音室と前記第1消音室との間で前記排気ガスの圧力に応じて開閉される排圧感応バルブと、を備え、
前記複数の干渉管の中で前記第1消音室と前記第3消音室に開口する干渉管を第1アウトレット管とし、
前記複数の干渉管の中で前記第1消音室のみに開口する干渉管を第2アウトレット管とし、
前記第1消音室と前記第3消音室に開口する前記第1アウトレット管に外部へ排気ガスを導出する第1デュアルテール管を連結し、
前記第1消音室のみに開口する前記第2アウトレット管に外部へ排気ガスを導出する第2デュアルテール管を連結し、
前記インレット管に流入した排気ガスの大流量時に、前記排圧感応バルブが開いて、一部の排気ガスが、前記入口消音室から前記第1消音室に流入し、前記2本のアウトレット管を経由して、前記2本のデュアルテール管より外部にそれぞれ流出し、
前記インレット管に流入した排気ガスの低流量時に、前記排圧感応バルブが閉じて、前記排気ガスが、前記干渉管及び前記2本のアウトレット管を介して前記第2消音室に前記干渉管及び前記2本のアウトレット管の複数の貫通孔より流出した排気ガスで複数回干渉して、前記2本のデュアルテール管より外部にそれぞれ流出することを特徴とするマフラ。
【請求項2】
筒状のマフラシェルに複数のバッフルプレートにより仕切られる複数の消音室を有したマフラにおいて、
排気ガスを導入するインレット管が挿通する入口消音室と、
前記入口消音室と隣接する第1消音室と、
前記入口消音室の前記第1消音室と反対側に並ぶ第2消音室及び第3消音室と、
前記入口消音室と前記第1消音室を仕切るバッフルプレートに設けられ、前記排気ガスの圧力が所定値以上に高まった時に該バッフルプレートに設けられた連通口を開いて前記排気ガスの一部を前記入口消音室から前記第1消音室へ流入させる排圧感応バルブと、
前記入口消音室内に開口する端部と、前記インレット管と連通し前記第2消音室を通過して前記第3消音室内に開口する他端部と、を有する干渉管と、
前記第3消音室内に開口する端部と、前記第2消音室を通過して前記第1消音室内に開口する他端部と、外部へ前記排気ガスを導出する第2の他端部と、を有する干渉管としての第1アウトレット管と、
前記第1消音室内に開口する端部と、前記第2消音室を通過して外部に前記排気ガスを導出する他端部と、を有する干渉管として第2アウトレット管と、
前記第1アウトレット管の第2の他端部に連結され、外部に前記排気ガスを導出する第1デュアルテール管と、
前記第2アウトレット管の他端部に連結され、外部に前記排気ガスを導出する第2デュアルテール管と、を備え、
前記干渉管と前記第1アウトレット管及び前記第2アウトレット管は、前記第2消音室内に通過する部分の各周壁に複数の貫通孔をそれぞれ有したことを特徴とするマフラ。
【請求項3】
請求項2記載のマフラであって、
前記第1アウトレット管は、細径の干渉管と、太径の分岐管と、を備え、前記分岐管の前記干渉管と反対側の端部を前記第2の他端部として前記第1デュアルテール管を連結したことを特徴とするマフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジン等の内燃機関の排気系に設けられ、3本の干渉管を有するマフラ(消音器)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のエンジンの排気系に使用され、3本の干渉管を備えたマフラとして、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたマフラは、密閉したチャンバ内で、排気ガスを導入するインレット管と、パスチューブと、外部へ排気ガスを導出するアウトレット管に各々小孔を空けて、インナハイプから各パイプの小孔に至るまでの距離の差が位相差をもっていて、爆発次に高調波の波が干渉する構造であり、2本の干渉管に比べ、3本の干渉管を設置することで、より干渉回数も増え、広帯域に効果が出るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のマフラの干渉構造では、三重干渉のような多数のパイプが必要な構造の場合、レイアウト要件から、さらに追加の吐出用の管(テール管)を追加することが困難な場合が多く、マフラボックス(マフラシェル)の大型化を招く場合もある。
【0005】
また、前記従来のマフラの干渉構造では、シングルアウトレット管にシングルテール管が連結されているため、その経路径が大径となり、圧力損失が高く、排気ガスの流量の増加により高周波域の気流音、高周波ノズルが増大する問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、高周波域の気流音及び圧力損失を低減し、かつ、レイアウト的にも3列のマフラパイプで三重干渉効果を得て、かつ、デュアルテール管との両立をコンパクトなマフラボックス内で実現でき、さらに、デュアルテール管とすることで、大径なシングルテール管に比べ、流速低減による高周波気流音の低減効果だけでなく、片側の吐出口の発生音圧も低減できるため、静粛性が向上すると共に、車外騒音規制(法規)の試験にも有利であるマフラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも4つの消音室を有するマフラシェルを備えたマフラにおいて、排気ガスを導入するインレット管が設けられた入口消音室と、前記入口消音室と隣接する第1消音室と、前記入口消音室の前記第1消音室と反対側に隣接する第2消音室と、前記第2消音室の前記入口消音室と反対側に隣接する第3消音室と、前記4つの消音室の中の複数の消音室をそれぞれ連通し、周壁に前記第2消音室内で開口する複数の貫通孔がそれぞれ設けられた複数の干渉管と、前記入口消音室と前記第1消音室との間で前記排気ガスの圧力に応じて開閉される排圧感応バルブと、を備え、前記複数の干渉管の中で前記第1消音室と前記第3消音室に開口する干渉管を第1アウトレット管とし、前記複数の干渉管の中で前記第1消音室のみに開口する干渉管を第2アウトレット管とし、前記第1消音室と前記第3消音室に開口する前記第1アウトレット管に外部へ排気ガスを導出する第1デュアルテール管を連結し、前記第1消音室のみに開口する前記第2アウトレット管に外部へ排気ガスを導出する第2デュアルテール管を連結し、前記インレット管に流入した排気ガスの大流量時に、前記排圧感応バルブが開いて、一部の排気ガスが、前記入口消音室から前記第1消音室に流入し、前記2本のアウトレット管を経由して、前記2本のデュアルテール管より外部にそれぞれ流出し、前記インレット管に流入した排気ガスの低流量時に、前記排圧感応バルブが閉じて、前記排気ガスが、前記干渉管及び前記2本のアウトレット管を介して前記第2消音室に前記干渉管及び前記2本のアウトレット管の複数の貫通孔より流出した排気ガスで複数回干渉して、前記2本のデュアルテール管より外部にそれぞれ流出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低周波域から中周波域の気流音を消音する複数の干渉管のうちの2本の干渉管をアウトレット管とし、この2本のアウトレット管にデュアルテール管をそれぞれ連結したことにより、2本のアウトレット管に流れる排気ガスの流量を低減して高周波域の気流音を低減することができると共に、圧力損失の低減を、コンパクトなマフラボックス内で両立することができる。また、爆発次高調波の中周波低減と気流音高周波低減と出力因子の排圧低減とレイアウト問題の解決を行う形状である。
【0009】
三重干渉構造の二干渉管をアウトレットとし、干渉による中周波低減と吐出流速・排圧低減とコンパクトとを実現できる。また、パッシブバルブ回路を追加することで、低速時の爆発次(低周波)を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のマフラを示す断面図である。
【
図2】上記マフラの低流量時の排気ガスの流れを示す断面図である。
【
図3】上記マフラの大流量時の排気ガスの流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態のマフラを示す断面図、
図2はマフラの低流量時の排気ガスの流れを示す断面図、
図3はマフラの大流量時の排気ガスの流れを示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、マフラ(消音器)10のマフラシェル(マフラ本体)11は、金属製で楕円筒状のアウタシェル12と、このアウタシェル12の前後両端開口部を閉塞する金属製で板状のアウタプレート13,14とで構成されており、図示しないエンジンから発生する気流音と高温の排気ガスGを、内部に設けられた3本の干渉管21,22,25と金属製で板状の3つバッフルプレート(仕切壁)15A,15B,15Cで4つに区画された消音室16,17,18,19とによって消音、冷却するものである。
【0014】
排気ガスGをマフラシェル11内に導入するインレット管20が挿通する消音室が入口消音室16となっている。この入口消音室16には、第1消音室17が隣接されており、また、入口消音室16の第1消音室17と反対側に第2消音室18と第3消音室19が並んで設けられている。
【0015】
マフラシェル11内には、入口消音室16内に開口する端部21aと、インレット管20に連通し第2消音室18を通過して第3消音室19内に開口する他端部21bと、を有する干渉管21と、第3消音室19内に開口する端部23aと、第2消音室18を通過して第1消音室17内に開口する他端部24aと、外部に排気ガスGを導出する第2の他端部24bと、を有する干渉管としての第1アウトレット管22と、第1消音室17内に開口する端部25aと、第2消音室18を通過して外部に排気ガスGを導出する他端部25bと、を有する干渉管としての第2アウトレット管25と、第1アウトレット管22の第2の他端部24bに連結され、外部に排気ガスGを導出するL字形の第1デュアルテール管26と、第2アウトレット管25の他端部25bに連結され、外部に排気ガスGを導出するL字形の第2デュアルテール管27と、を備えている。
【0016】
第1アウトレット管22は、細径(細管)の干渉管23と、T字形状で太径(太管)の分岐管24と、を備えている。この細径の干渉管23の端部23aは、第3消音室19に開口し、その他端部23bは分岐管24の端部24a′に連結されている。また、分岐管24の他端部24aは第1消音室17に開口している。さらに、分岐管24のもう一方(干渉管23と反対側)の第2の他端部24bには第1デュアルテール管26が連結されている。即ち、第1デュアルテール管26は、3本の干渉管21,22,25の中で第1消音室17と第3消音室19に開口する第1アウトレット管22と連結して外部へ排気ガスGを導出するものである。さらに、第2デュアルテール管27は、3本の干渉管21,22,25の中で第1消音室17のみに開口する第2アウトレット管25と連結して外部へ排気ガスGを導出するものである。
【0017】
干渉管21と第1アウトレット管22の細径の干渉管23及び第2アウトレット管25は、第2消音室18内に通過する部分の各周壁21c,23c,25cに複数の貫通孔21d,23d,25dを第2消音室18内で開口するようにそれぞれ設けられている。さらに、第1消音室17内の第1アウトレット管22の分岐管24と第2アウトレット管25の第3消音室19内の周壁24c,25cには、複数の貫通孔24d,25dが形成されていて、これら各貫通孔24d,25dは吸音材28でそれぞれ覆われている。
【0018】
また、入口消音室16と第1消音室17を仕切るバッフルプレート15Aには、排気ガスGの圧力が所定値以上に高まった時にバッフルプレート15に設けられた連通口15aを開いて排気ガスGを入口消音室16から第1消音室17へ流入させる排圧感応バルブ30が支軸31を介して開閉自在に設けられている。この排圧感応バルブ30は、図示しないコイルバネの付勢力により閉じられていて、入口消音室16と第1消音室17との間で排気ガスGの排気圧力に応じて開閉されるようになっている。
【0019】
即ち、
図2に示すように、インレット管20に流入したエンジンの低回転時(低回転域)での排気ガスGの低流量時に、排圧感応バルブ30がバッフルプレート15の連通口15aを閉じて、排気ガスGが、3本の干渉管21,22,25を介して第2消音室18に3本の干渉管21,22,25の複数の貫通孔21d,23d,25dより流出した排気ガスGで複数回干渉して、2本のデュアルテール管26,27より外部にそれぞれ流出するようになっている。
【0020】
また、
図3に示すように、インレット管20に流入したエンジンの高回転時(高回転域)での排気ガスGの大流量時に、排圧感応バルブ30がバッフルプレート15の連通口15aを開いて、排気ガスGの一部が入口消音室16から第1消音室17に流入して、2本のデュアルテール管26,27より外部へそれぞれ流出するようになっている。
【0021】
以上実施形態のマフラ10によれば、
図2に示すように、インレット管20に流入したエンジンの低回転域での排気ガスGの低流量時には、排圧感応バルブ30がコイルバネの付勢力によりバッフルプレート15の連通口15aが閉じられていて、排気ガスGが、3本の干渉管21,22,25を介して第2消音室18に3本の干渉管21,22,25の複数の貫通孔21d,23d,25dより流出した排気ガスGで複数回三重に干渉する。この複数回の三重干渉で、爆発次に高調波の波が半波長ずらし相殺され、中周波、高周波に干渉効果があり、中周波域から高周波域の気流音を消音することができる。また、第1アウトレット管22の細管の干渉管23により、低周波の干渉効果があり、低周波域の気流音を消音することができる。そして、排気ガスGは、2本のアウトレット管22,25より拡径(太管)の2本のデュアルテール管26,27から外部へそれぞれ排出される。
【0022】
また、
図3に示すように、インレット管20に流入したエンジンの高回転域での排気ガスGの大流量時には、コイルバネの付勢力に抗して排圧感応バルブ30がバッフルプレート15の連通口15aを開く方向に動き、この開口した連通口15aより排気ガスGの一部が入口消音室16から第1消音室17に流入して、中高周波が干渉されて、中周波域から高周波域の気流音を消音することができる。また、2本のアウトレット管22,25とそれより拡径の2本のデュアルテール管26,27で高周波が干渉され、さらに、開弁時の排圧感応バルブ30回りに発生する気流音を消音することができる。そして、排気ガスGは、2本のデュアルテール管26,27から外部へそれぞれ排出される。
【0023】
このように、低周波域から中周波域の広帯域の気流音を消音する3本の干渉管21,22,25のうちの2本の干渉管がアウトレットを兼ねたアウトレット管22,25とし、この2本のアウトレット管22,25に拡径のデュアルテール管26,27をそれぞれ連結したことにより、2本のアウトレット管22,25に流れる排気ガスGの流量を低減して高周波域の気流音を低減することができると共に、圧力損失の低減を、コンパクトなマフラシェル11内で両立することができる。また、爆発次高調波の中周波低減と気流音高周波低減と出力因子の排圧低減とレイアウト問題の解決を行う形状である。
【0024】
つまり、高周波域の気流音及び圧力損失を低減し、かつ、レイアウト的にも3列の干渉管21,22,25で三重干渉効果を得て、かつ、2本のデュアルテール管26,27との両立をコンパクトなマフラシェル11内で実現することができる。さらに、2本のデュアルテール管26,27とすることで、従来の大径なシングルテール管に比べ、流速低減による高周波気流音の低減効果だけでなく、片側の吐出口の発生音圧も低減できるため、静粛性が向上すると共に、車外騒音規制(法規)の試験にも有利である。
【符号の説明】
【0025】
10 マフラ
11 マフラシェル(マフラ本体)
15A,15B,15C バッフルプレート
15a 連通口
16 入口消音室
17 第1消音室
18 第2消音室
19 第3消音室
20 インレット管
21 干渉管
21a 端部
21b 他端部
21c 周壁
21d 貫通孔
22 第1アウトレット管(干渉管)
23 細径の干渉管
23a 端部
23c 周壁
23d 貫通孔
24 分岐管
24a 他端部
24b 第2の他端部
25 第2アウトレット管(干渉管)
25a 端部
25b 他端部
25c 周壁
25d 貫通孔
26 第1デュアルテール管
27 第2デュアルテール管
30 排圧感応バルブ
G 排気ガス