(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】自動車ドア用シール材
(51)【国際特許分類】
B60J 10/70 20160101AFI20221012BHJP
B60J 10/30 20160101ALI20221012BHJP
【FI】
B60J10/70
B60J10/30
(21)【出願番号】P 2018203162
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 和之
(72)【発明者】
【氏名】長居 達也
(72)【発明者】
【氏名】池上 学
(72)【発明者】
【氏名】中重 壮寛
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-502048(JP,A)
【文献】特開2015-067112(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01619060(EP,A2)
【文献】特開2010-221870(JP,A)
【文献】特開2017-087830(JP,A)
【文献】特開2003-072384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00-10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ドアのウインド開口を形成するように延びるウインドフレームの上辺部に形成された車室外側へ延びるシール材取付板部に対して車室外側から取り付けられ、該ウインドフレームとウインドガラスとの間をシールする自動車ドア用シール材において、
前記シール材の車両前後方向の端末部には、該端末部を構成する型成形部よりも硬質な材料からなる固定部材が設けられ、
前記固定部材には、前記シール材の前記端末部に固定される本体部と、前記シール材取付板部を厚み方向に挟持して該シール材取付板部に係合する係合部と、前記ウインドフレームにおける前記シール材取付板部から車両前後方向に離れた部分に固定される被固定部とが設けられていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車ドア用シール材において、
前記シール材の前記端末部は、開閉動作する金型で成形された型成形部を有し、
前記シール材の前記端末部の前記型成形部には、芯材と共に押出成形された押出成形部が接続され、
前記固定部材は、前記押出成形部に達するまで延長されて該押出成形部に支持される延長部を備えていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車ドア用シール材において、
前記延長部は、前記シール材取付板部に対して上方から当接する当接板部を備えていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車ドア用シール材において、
前記延長部は、前記シール材取付板部における車室外側の端面に当接する端面当接部を備えていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の自動車ドア用シール材において、
前記係合部は、前記本体部から車室内側へ向けて突出し、前記シール材取付板部に対して上方から当接する上側当接部と、前記本体部から車室内側へ向けて突出し、前記シール材取付板部に対して下方から当接する下側当接部とを備えていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【請求項6】
請求項5に記載の自動車ドア用シール材において、
前記上側当接部及び前記下側当接部の少なくとも一方の突出方向先端側には、前記シール材取付板部を前記上側当接部と前記下側当接部との間に導く案内部が設けられていることを特徴とする自動車ドア用シール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアに設けられるシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車ドアには、該ドアと車体の開口部の周縁部との間をシールするためのシール材が配設されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1のシール材は、押出成形された押出成形部と、金型で成形された型成形部とを備えており、型成形部は、車体のセンターピラー上部とルーフとの接続部に弾接する隅片部を有し、この隅片部がドアのウインドフレームに取り付けられている。型成形部のウインドフレームへの固定に際しては、固定プレートが使用されている。固定プレートは、樹脂製のプレート本体と、プレート本体における車外側面から突出する2つのクリップ片とを備えている。プレート本体を型成形部に組み付け、このとき、クリップ片を、型成形部の挿通孔に挿通させるとともに、ウインドフレームに形成された係合孔に挿通して該固定孔の周縁部に係合させることにより、型成形部をサッシュ部に対して動かないように組み付けることができる。
【0003】
また、特許文献2のウインドフレームの上辺部には、シール材が取り付けられるシール材取付板部が車室外側に向けて突出するように設けられ、このシール材取付板部に対してシール材が車室外側から取り付けられている。特許文献2のようにウインドフレームに対して車室外側から取り付けられるシール材は、ウインドフレームの一部を車室外側から覆って隠すヒドンタイプと呼ばれるものであり、例えば車両のデザイン上の要求から採用される場合がある。
【0004】
特許文献2では、シール材の上端部の隅部には張出部が一体に設けられており、張出部が取付部材によってウインドフレームに固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3755080号公報
【文献】特許第6065798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ウインドフレームに固定されるシール材の端末部が浮き上がると、車体との隙が部分的に狭くなるので外観見栄えの悪化を招くことがあり、また、シール材の端末部近傍を車外側から押したときにがたつくような感じになることがあり、好ましくない。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1のような固定プレートのクリップを使用して端末部をウインドフレームに固定する方法が考えられるが、がたつきを抑制するためには、特許文献1のように2つのクリップが必要になり、従って、クリップを係合させるための係合孔をウインドフレームに2つ形成する必要が生じる。
【0008】
ところが、特許文献2のようなヒドンタイプのシール材の場合、シール材取付板部がウインドフレームから車室外側に向けて突出するように設けられているので、2つの係合孔を形成するためのスペースをウインドフレームに確保するのが困難になる。特に、近年、デザイン上の要求からウインドフレームが細く形成された場合には、このことが顕著な問題となる。
【0009】
また、特許文献2の場合、ヒドンタイプのシール材を固定する構造として、張出部を取付部材によってウインドフレームに固定するようにしているが、この例はヒドンタイプであるため、上述したように係合孔を1つしか形成することができないものである。よって、シール材の端末部の浮き上がりが発生する懸念がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウインドフレームから車室外側に向けて突出するシール材取付板部にシール材を取り付ける場合に、シール材の端末部の浮き上がりを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明は、自動車ドアのウインド開口を形成するように延びるウインドフレームの上辺部に形成された車室外側へ延びるシール材取付板部に対して車室外側から取り付けられ、該ウインドフレームとウインドガラスとの間をシールする自動車ドア用シール材において、前記シール材の車両前後方向の端末部には、該端末部を構成する型成形部よりも硬質な材料からなる固定部材が設けられ、前記固定部材には、前記シール材の前記端末部に固定される本体部と、前記シール材取付板部を厚み方向に挟持して該シール材取付板部に係合する係合部と、前記ウインドフレームにおける前記シール材取付板部から車両前後方向に離れた部分に固定される被固定部とが設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、シール材の端末部が固定部材によってウインドフレームに固定されることになる。このとき、固定部材の係合部がウインドフレームのシール材取付板部を厚み方向に挟持し、被固定部がウインドフレームにおけるシール材取付板部から車両前後方向に離れた部分に固定される。つまり、固定部材の互いに離れた複数箇所がウインドフレームに固定されることになるので、固定部材が安定した状態でがたつきにくくなり、よって、シール材の端末部の浮き上がりが抑制される。
【0013】
また、固定部材の係合部を固定するに当たっては、車室外側へ延びるシール材取付板部を利用しているので、固定部材を固定するのに要するウインドフレームのスペースが狭くて済み、ヒドンタイプのシール材であっても端末部の浮き上がりが抑制される。
【0014】
第2の発明は、前記シール材の前記端末部は、開閉動作する金型で成形された型成形部を有し、前記シール材の前記端末部の前記型成形部には、芯材と共に押出成形された押出成形部が接続され、前記固定部材は、前記押出成形部に達するまで延長されて該押出成形部に支持される延長部を備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、固定部材がシール材に取り付けられた状態で固定部材の延長部が押出成形部の芯材によって支持されるので、固定部材がより一層安定する。
【0016】
第3の発明は、前記延長部は、前記シール材取付板部に対して上方から当接する当接板部を備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、シール材がウインドフレームに取り付けられた状態で、固定部材の延長部の当接板部がシール材取付板部に当接するので、固定部材がより一層安定する。
【0018】
第4の発明は、前記延長部は、前記シール材取付板部における車室外側の端面に当接する端面当接部を備えていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、シール材がウインドフレームに取り付けられた状態で、固定部材の端面当接部が、シール材取付板部における車室外側の端面に当接することになる。これにより、固定部材の車室内外方向の位置が定まる。
【0020】
第5の発明は、前記係合部は、前記本体部から車室内側へ向けて突出し、前記シール材取付板部に対して上方から当接する上側当接部と、前記本体部から車室内側へ向けて突出し、前記シール材取付板部に対して下方から当接する下側当接部とを備えていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、シール材がウインドフレームに取り付けられた状態で、固定部材の上側当接部がシール材取付板部に上から当接し、下側当接部がシール材取付板部に下から当接するので、固定部材が上下方向にぐらつき難くなる。
【0022】
第6の発明は、前記上側当接部及び前記下側当接部の少なくとも一方の突出方向先端側には、前記シール材取付板部を前記上側当接部と前記下側当接部との間に導く案内部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、シール材の組付時にシール材取付板部に対して上側当接部と下側当接部との間を差し込む際、シール材取付板部が案内部によって相対的に上側当接部と下側当接部との間に導かれることになる。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明によれば、シール材の端末部に固定部材を設け、固定部材に、シール材取付板部を厚み方向に挟持する係合部と、ウインドフレームにおけるシール材取付板部から離れた部分に固定される被固定部とを設けたので固定部材を安定させることができる。したがって、シール材取付板部にシール材を取り付ける場合にシール材の端末部の浮き上がりを抑制することができる。
【0025】
第2の発明によれば、固定部材の延長部が押出成形部の芯材によって支持されるので、固定部材をより一層安定させることができ、シール材の端末部のがたつきを低減することができる。
【0026】
第3の発明によれば、延長部の当接板部がシール材取付板部に対して上方から当接するので、固定部材をより一層安定させることができ、シール材の端末部のがたつきを低減することができる。
【0027】
第4の発明によれば、延長部の端面当接部がシール材取付板部における車室外側の端面に当接することで固定部材の車室内外方向の位置が定まるので、シール材の端末部の組み付け位置を所定位置にすることができる。
【0028】
第5の発明によれば、シール材取付板部に対して上方から当接する上側当接部と、シール材取付板部に対して下方から当接する下側当接部とを備えているので、固定部材が上下方向にぐらつき難くなり、シール材の端末部のがたつきを低減することができる。
【0029】
第6の発明によれば、シール材取付板部に対して上側当接部と下側当接部との間を導くことができるので、組付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動車ドア用シール材を備えた右側の自動車ドアを車室外側から見た側面図である。
【
図2】右側の自動車ドアの後部近傍を車室外側から見た拡大図である。
【
図3】ガーニッシュを取り外した状態の右側の自動車ドアの後部近傍を車室外側から見た斜視図である。
【
図4】右側のグラスランの後部を車室外側から見た斜視図である。
【
図5】ガーニッシュ及びグラスランを取り外した状態の右側の自動車ドアの後部近傍を車室外側から見た斜視図である。
【
図6】グラスランを取り外して固定部材を取り付けた状態を示す
図5相当図である。
【
図7】グラスランを取り外して固定部材を取り付けた状態の右側の自動車ドアの後部近傍を車室内から見た斜視図である。
【
図8】右側の固定部材を車室内側から見た斜視図である。
【
図9】右側の固定部材を車室内側から見た側面図である。
【
図12】
図3におけるXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車ドア用シール材を備えた自動車ドア100を示すものである。
図1に示す自動車ドア100は、車体に形成された乗降用の開口部(図示せず)を開閉するためのものであり、自動車の後部右側に設けられる右リヤドアである。
図1は、自動車ドア100を車室外側から見た図である。この実施形態では、本発明が適用された自動車ドア100が右リヤドアである場合について説明するが、これに限らず、本発明は左リヤドアや、自動車の前部に設けられる左右のフロントドアに対しても適用することができる。
【0033】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両右側を単に「右」といい、車両左側を単に「左」というものとする。
【0034】
(自動車ドア100の構成)
自動車ドア100は、ドア本体部101と、ウインドフレーム102と、ウインドフレーム102によって保持されるウインドガラス103と、固定ガラス104とを備えている。ドア本体101の内部には、ウインドガラス103を下降させるためのスペースが設けられているとともに、ウインドガラス103を昇降させる昇降装置(図示せず)を配設するためのスペースも設けられている。
【0035】
ウインドフレーム102は、ドア本体部101から上方へ突出してドア本体部101の上縁部と共にウインド開口102aを形成するように枠状に延びており、サッシュとも呼ばれる部材である。ウインドフレーム102の後側には、略三角形状の枠状に形成されたリヤ固定ガラスシール材105がウインド開口102a内に位置するように取り付けられている。ウインド開口102aにおけるリヤ固定ガラスシール材105よりも前側部分は、ウインドガラス103が昇降することによって開閉される。一方、リヤ固定ガラスシール材105の内側には、固定ガラス104が固定されており、この固定ガラス104によってウインド開口102aにおけるウインドガラス103よりも後側部分が閉塞されている。
【0036】
ウインドフレーム102は、ドア本体部101の上端部の前側から上方へ延びるフレーム前辺部102bと、フレーム前辺部102bの上端部から後側へ向けて緩やかに下降しながら延びてドア本体部101の上端部の後側に達するフレーム上辺部102cとを有している。
図12に示すように、ウインドフレーム102は、車室外側を構成するアウタパネル110と、車室内側を構成するインナパネル111とが組み合わされて構成されている。アウタパネル110の上辺部110aは、車室外側へ向けて延びるとともに前後方向にも延びるように形成されている。インナパネル111の上辺部111aも、車室外側へ向けて延びるとともに前後方向にも延びるように形成されている。アウタパネル110の上辺部110aはインナパネル111の上辺部111aの下面に接合されており、これにより、
図5にも示すように、ウインドフレーム102のフレーム上辺部102cには、車室外側へ延びるシール材取付板部102dが構成される。インナパネル111の上辺部111aには、切り起こし部111bが形成されている。切り起こし部111bは、インナパネル111の上辺部111aの一部を上方へ切り起こすことによってできた部分であり、上方への突出部となっている。
【0037】
ウインドフレーム102のフレーム上辺部102cの車室内外方向の寸法は、
図3におけるX-X線断面図である
図10と、
図3におけるXII-XII線断面図である
図12とを比較すると分かるように、フレーム上辺部102cの後側へ行くほど短くなっている。これは車両のデザイン上の要求によるものである。このようになっているため、
図10に示すように、フレーム上辺部102cの後側部分では、アウタパネル110の上辺部110aが上下方向に延びる面状に形成されているだけであり、この面状の部分110bの形成により、車室外側へ延びるシール材取付板部が形成されないことになる。
【0038】
また、ウインドフレーム102のフレーム上辺部102cの上下方向の寸法は、
図10と
図12とを比較すると分かるように、フレーム上辺部102cの後側へ行くほど長くなっている。これも車両のデザイン上の要求によるものである。したがって、上述したように、フレーム上辺部102cの後側部分には、
図10に示す面状の部分110bができることになり、この面状の部分110bには、
図5に示すように、前側取付孔110cと、後側取付孔110dとが前後方向に間隔をあけて形成されている。後側取付孔110dは、前側取付孔110cよりも下に位置している。
【0039】
(グラスラン1の構成)
図1に示すように、自動車ドア100には、ウインドフレーム102とウインドガラス103との間をシールするグラスラン(自動車ドア用シール材)1が設けられている。グラスラン1は、グラスラン上辺部10と、グラスラン前辺部11と、グラスラン後辺部12と、グラスラン後辺部12の上端部から後側へ突出するグラスラン後端末部13とを備えており、ウインドフレーム102とウインドガラス103との間をシールするための部材である。
【0040】
グラスラン上辺部10は、ウインドフレーム102のフレーム上辺部102cに沿って前後方向に延びている。グラスラン前辺部11は、グラスラン上辺部10の前側部分からウインドフレーム102のフレーム前辺部102bに沿って下方へ向けてドア本体部101の内部に達するまで延びている。グラスラン後辺部12は、固定ガラス104の前方に位置しており、グラスラン上辺部10の後側部分から固定ガラス104の前縁部に沿うように、下方へ向けてドア本体部101の内部に達するまで延びている。ウインドガラス103は、グラスラン前辺部11とグラスラン後辺部12との間を昇降するようになっており、ウインドガラス103の前縁部がグラスラン前辺部11によって保持され、また、ウインドガラス103の後縁部がグラスラン後辺部12によって保持されるようになっている。
【0041】
グラスラン上辺部10は、
図12に示すグラスラン後端末部13の前側部分13FRの断面形状と類似した断面形状を有しており、グラスラン上辺部10は、シール材取付板部102dの上側に配置される上壁部15と、シール材取付板部102dの下側に配置される下壁部16と、上壁部15の車室外側端部から下壁部16の車室外側端部まで延びる外側縦壁部17とを備えている。グラスラン上辺部10における上壁部15と下壁部16との間には、車室内側に開口した取付溝18が形成されている。グラスラン上辺部10をフレーム上辺部102cに取り付ける際には、グラスラン上辺部10をシール材取付板部102dの車室外側に配置して、シール材取付板部102dを取付溝18に差し込むようにすればよく、シール材取付板部102dに対して車室外側から取り付けられる。
【0042】
グラスラン上辺部10の上壁部15には、上方へ突出して前後方向に延びる上側シールリップ部19が設けられている。上側シールリップ部19は、自動車ドア100が閉状態となったときに車体パネル(図示せず)に接触して弾性変形することにより、シール性を確保する部分である。グラスラン上辺部10の外側縦壁部17は、下壁部16よりも下方へ突出している。外側縦壁部17の車室外面は、意匠面となっている。
【0043】
また、
図12に示すグラスラン後端末部13の前側部分13FRの断面形状の概要は、特開2017-226239号公報の
図3に記載されているような断面形状に対して不必要な部分である、内側シール板部24・第1内側シールリップ24a・第2シールリップ24b・インナー側装飾リップ22を、切除した断面形状である。
【0044】
図示および詳細な説明は省略するが、本発明のグラスラン上辺部10の押出断面形状は、特開2017-226239号公報の
図3に記載されているような断面形状をしており、特開2017-226239号公報の
図2に記載されているような自動車ドアのウィンドフレームにとりつけられている。
【0045】
また、外側縦壁部17の車室外面には、金属等からなる装飾モール(図示せず)を取り付けてもよい。
【0046】
グラスラン後端末部13は、ウインドフレーム102のフレーム上辺部102cの後端部近傍まで延びている。
図4において一点鎖線で示す境界線L1は、型成形部30と押出成形部31との境界を示している。型成形部30は、開閉動作する金型(図示せず)を使用して成形された部分であり、長手方向について異なる断面を有している。型成形部30の材料は例えばゴムやエラストマー等で構成されている。押出成形部31は、周知の押出ダイス等を使用して材料を押出成形することによって得られた部分であり、長手方向に同一断面を有している。押出成形部31を得る際には、図示しないが硬質樹脂等からなる芯材と一体に押出成形するようにしている。押出成形部31の芯材以外の部分は、型成形部30の材料と同様な材料で構成されている。押出成形部31を成形した後、押出成形部31の後端部を前記金型内のキャビティに配置し、その後、該キャビティに材料を供給して成形することで、型成形部30が成形されるとともに、型成形部30が押出成形部31に接続されて一体化する。
【0047】
図11及び
図12に示す境界線L2及び境界線L3は、型成形部30と押出成形部31との境界を示すものである。境界線L2よりも車室外側が押出成形部31であり、境界線L2よりも車室内側が型成形部30である。また、境界線L3よりも車室外側が押出成形部31であり、境界線L3よりも車室内側が型成形部30である。従って、グラスラン後端末部13の前側部分13FRは、型成形部30と押出成形部31とで構成されることになる。一方、
図10に示すように、グラスラン後端末部13の後側部分13RRは全て型成形部30である。
【0048】
図11及び
図12に示すように、グラスラン後端末部13の前側部分13FRの上壁部15の下面には、上方へ窪む凹部15aが形成されている。凹部15aは前後方向に延びている。
図10に示すように、グラスラン後端末部13の後側部分13RRには、後述する固定部材40が差し込まれる差込溝部13aが形成されている。差込溝部13aも前後方向に延びている。
【0049】
図4等に示すように、グラスラン後端末部13の後側部分13RRの車室外側には、固定部材40が嵌め込まれる嵌合凹部13bが形成されている。また、グラスラン後端末部13の後側部分13RRには、車室内外方向に貫通する貫通孔13cが形成されている。
【0050】
また、
図6に示すように、貫通孔13cは、フレーム上辺部102cの前側取付孔110cと一致するように形成されている。
図10に示すように、グラスラン後端末部13の貫通孔13cの後側には、固定孔13dが車室内外方向に貫通するように形成されている。
【0051】
(固定部材40の構成)
固定部材40は、グラスラン1の一部を構成しており、グラスラン後端末部13に設けられ、
図3に示すように、該グラスラン後端末部13をウインドフレーム102に固定するための部材である。固定部材40は、グラスラン後端末部13の型成形部30を構成する材料よりも硬質な材料からなるものであり、例えば硬質樹脂材で構成することができる。
【0052】
図8や
図9に示すように、固定部材40は、本体部41と、係合部44と、クリップ(被固定部)45と、延長部46とを備えており、本体部41、係合部44、クリップ45及び延長部46は一体成形されている。本体部41は、上下方向及び前後方向に延びる板状をなしており、グラスラン後端末部13の車室外側に形成されている嵌合凹部13bに対して車室外側から嵌め込まれて固定される部分である。本体部41の後端部は、グラスラン後端末部13の後端部まで延びており、この本体部41によってグラスラン後端末部13の後側部分13RRの変形が抑制されるようになっている。
【0053】
本体部41には、開口部41aが形成されている。
図3及び
図4に示すように、開口部41aの位置及び大きさは、グラスラン後端末部13の貫通孔13cの後側部分と略一致するように設定されている。従って、
図6に示すように、フレーム上辺部102cの前側取付孔110cは、グラスラン後端末部13の貫通孔13c及び固定部材40の開口部41aを通して車室外側から視認可能になる。また、前側取付孔110cは、後述するガーニッシュ50の取付固定用の孔である(図示せず)。
【0054】
図10に示すように、本体部41の上縁部は、グラスラン後端末部13の差込溝部13aに対して下方から差し込まれた状態でグラスラン後端末部13の後側部分13RRに保持されるようになっている。また、
図8及び
図9に示すように、本体部41の上縁部には、開口部41aよりも後側に切欠部41bが形成されている。切欠部41bには、グラスラン後端末部13の後側部分13RRの差込溝部13aの内部に形成された位置決め用凸部(図示せず)が嵌まるようになっている。切欠部41bに位置決め用凸部が嵌まることで、固定部材40がグラスラン後端末部13の後側部分13RRに対して前後方向に位置ずれしにくくなる。
【0055】
本体部41の後端部には、上側フック部41cと下側フック部41dとが上下方向に互いに間隔をあけて形成されている。上側フック部41cは下方に開放するように形成されており、グラスラン後端末部13の後側部分13RRに形成された上側フック係合孔(図示せず)に対して係合するようになっている。下側フック部41dは後側に開放するように形成されており、グラスラン後端末部13の後側部分13RRに形成された下側フック係合孔(図示せず)に対して係合するようになっている。上側フック部41c及び下側フック部41dがグラスラン後端末部13の後側部分13RRに係合することにより、固定部材40がグラスラン後端末部13の後側部分13RRに対してがたつき難くなる。
【0056】
本体部41における開口部41aと、上側フック部41c及び下側フック部41dとの間には、車室内側へ向けて窪む窪み部41eが形成されている。
図10にも示すように、窪み部41eは、フレーム上辺部102cの後側取付孔110dに対応する部分に形成されており、後側取付孔110dに接近するように窪んでいる。窪み部41eの車室内側の面には、クリップ45が車室内側へ突出するように形成されている。クリップ45は、グラスラン後端末部13の固定孔13d及びフレーム上辺部102cの後側取付孔110dに挿通されるとともに、後側取付孔110dの周縁部に対して車室内側から係合する爪部45aを有している。爪部45aがフレーム上辺部102cの後側取付孔110dの周縁部に係合することで、クリップ45の抜けが抑制されて固定部材40をフレーム上辺部102cに固定することができる。フレーム上辺部102cの後側取付孔110dは、シール材取付板部102dから後側に離れているので、クリップ45は、ウインドフレーム102におけるシール材取付板部102dから車両前後方向に離れた部分に固定されることになる。
【0057】
図8に示すように、延長部46は、本体部41の前端部の上側から前方へ向かって押出成形部31に達するまで延長された部分である。また、
図8及び
図11に示すように、係合部44は、シール材取付板部102dを厚み方向に挟持する部分であり、下側当接部42と上側当接部43とを有している。
図8及び
図11に示すように、下側当接部42は、延長部46の基端部近傍から車室内側へ向けて突出し、フレーム上辺部102cのシール材取付板部102dに対して下方から当接する部分である。
図8及び
図9に示すように、上側当接部43は、本体部41における上端部近傍から車室内側へ向けて突出し、
図7及び
図11に示すように、フレーム上辺部102cのシール材取付板部102dに対して上方から当接する部分である。
図8及び
図11に示すように、下側当接部42は上側当接部43よりも車室内側まで突出している。下側当接部42及び上側当接部43によりシール材取付板部102dを厚み方向に挟持することで、係合部44がシール材取付板部102dに係合した状態になる。
【0058】
また、
図7・
図8・
図9に示すように当接板部46aと上側当接部43は分離されており、かつ上側当接部43の設置位置は下側当接部42よりも後側に設定している。
図11では、上側当接部43の位置をわかりやすくするために、仮想線(破線)で示してある。また、図示は省略するが、当接板部46aと上側当接部43を分離させずに連続した形状にしておいてもよい。
【0059】
図11に示すように、上側当接部43は、グラスラン後端末部13の前側部分FRの凹部15aに収容されるようになっており、
図12に示すように、当接板部46aもグラスラン後端末部13の前側部分FRに収容されるようになっている。
【0060】
また
図11に示すように下側当接部42の突出方向先端側(車室内側)には、フレーム上辺部102cのシール材取付板部102dに対して上側当接部43と下側当接部42との間を導くための案内部42aが設けられている。案内部42aは、車室内側へ行くほど下に位置するように傾斜した傾斜面で構成されている。シール材取付板部102dに対して上側当接部43と下側当接部42との間を差し込む際に、シール材取付板部102dが相対的に正規の位置よりも下にあれば、案内部42aによって相対的に上方へ導かれて上側当接部43と下側当接部42との間を確実に差し込むことができる。尚、上側当接部43の突出方向先端側に、シール材取付板部102dを上側当接部43と下側当接部42との間に導くための案内部43aを設けてもよい。
【0061】
また、
図12に示すように、延長部46は、シール材取付板部102dに対して上方から当接するように配置される当接板部46aを有している。当接板部46aはシール材取付板部102dの上面に沿って前後方向に延びている。当接板部46aがシール材取付板部102dの上面に当接することで、固定部材40のがたつきが抑制される。
【0062】
また、
図12等に示すように、延長部46は、シール材取付板部102dにおける車室外側の端面に当接する端面当接部46bを備えている。端面当接部46bは、縦面部で構成されており、この端面当接部46bがシール材取付板部102dにおける車室外側の端面に当接することで、固定部材40の車室内外方向の位置が定まるようになる。
【0063】
(ガーニッシュ50の構成)
図1及び
図2に示すように、自動車ドア100はガーニッシュ50を備えている。ガーニッシュ50は、例えば硬質樹脂材等で構成されており、ウインドフレーム102の後側に取り付けられ、取付状態でグラスラン後端末部13の後側部分13RR及び固定部材40を車室外側から覆って隠すことができるように形成されている。ガーニッシュ50の車室内側に設けられた固定ピン(図示せず)は、固定部材40の開口部41a及びグラスラン後端末部13の後側部分13RRの貫通孔13cに挿入されてフレーム上辺部102cの前側取付孔110cに差し込まれて係合するようになっている。
【0064】
尚、固定部材40の後側部分である板状の本体部41は、ガーニッシュ50で車室外側から押さえるようにしてウインドフレーム102に固定するようにしてもよいし、両面テープや接着材等でウインドフレーム102に固定するようにしてもよい。これらの場合には、クリップ45を省略することができる。ガーニッシュ50で固定する場合には、固定部材40におけるガーニッシュ50で押さえられる部分が被固定部となり、また、両面テープや接着材等で固定する場合には、固定部材40における両面テープや接着材等で固定される部分が被固定部となる。
【0065】
また、本実施形態では、型成形部30を押出成形部31に接続して一体化した後に、固定部材40をグラスラン後端末部13に取付ける手順での説明をしたが、特許第4079132号公報に記載されている構造と同様に、固定部材40をインサート成形してもよい。たとえば、金型(図示せず)に、押出成形部31をセットし、セットされた押出成形部31に対して、固定部材40の係合部44と延長部46を所望位置に配置した上で、金型にセットし、金型のキャビティ内に型成形材料を注入し、型成形部30を成形するとともに、押出成形部31に接続して一体化する。その際、クリップ45は型成形材料で覆わないようにしなければならないが、板状の本体部41の車外側面は、特許第4079132号公報に記載されている構造のように型成形材料で覆ってもよいが、部分的に覆わない箇所があってもよい。
【0066】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、グラスラン後端末部13の後側部分13RRを固定部材40によってウインドフレーム102に固定することができる。固定状態にあるとき、固定部材40の係合部44がウインドフレーム102のシール材取付板部102dを厚み方向に挟持し、クリップ45がウインドフレーム102におけるシール材取付板部102dから後側に離れた部分である、ドアアウタパネル110の面状の部分110bの後側取付孔110dに固定される。つまり、固定部材40の互いに離れた部分がウインドフレーム102に固定されることになるので、固定部材40が安定した状態でがたつきにくくなり、よって、グラスラン後端末部13の後側部分13RRの浮き上がりを抑制することができる。
【0067】
また、固定部材40の係合部44を固定するに当たっては、車室外側へ延びるシール材取付板部102dを利用しているので、固定部材40を固定するのに要するウインドフレーム102のスペースが狭くて済み、ヒドンタイプのグラスラン1であってもグラスラン後端末部13の後側部分13RRの浮き上がりを抑制することができる。
【0068】
また、固定部材40がグラスラン1に取り付けられた状態で固定部材40の延長部46が押出成形部31に達するまで延びているので、押出成形部31の芯材によって支持されることになる。これにより、固定部材40がより一層安定する。
【0069】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明に係る自動車ドア用シール材は、例えば自動車の側部に配設されるドアに適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 グラスラン(自動車ドア用シール材)
30 型成形部
31 押出成形部
40 固定部材
41 本体部
42 下側当接部
42a 案内部
43 上側当接部
44 係合部
45 クリップ(被固定部)
46 延長部
46a 当接板部
46b 端面当接部
100 自動車ドア
102 ウインドフレーム
102a ウインド開口
102c フレーム上辺部
102d シール材取付板部