(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】カバー及び電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/14 20060101AFI20221012BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20221012BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20221012BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H05K5/03 A
H05K5/00 C
(21)【出願番号】P 2018220060
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 刀貢臣
(72)【発明者】
【氏名】藤本 圭
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 健史
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-111222(JP,U)
【文献】実開平6-4421(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H05K 5/03
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材によって部品が締結される締結部を有する被装着体に装着されるカバーであって、
前記締結部を覆う板状部と、
前記板状部に対して前記締結部材の締結方向に沿って変位可能に設けられるとともに、前記板状部の外方から視認可能な部材検知部と、を有し、
前記締結部材が前記締結部に装着された装着状態においては、前記部材検知部が前記締結部材に当接して前記締結部材との当接前の初期位置から前記板状部に対して相対的に変位され、
前記締結部材が前記締結部に装着されていない非装着状態においては、前記部材検知部が前記初期位置に維持される
ことを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記部材検知部は、
前記板状部に一体に成形されて前記板状部の外面に沿って延在する可撓アーム部と、
前記可撓アーム部の揺動端から前記締結部における前記締結部材の装着位置へ向かって突出する当接片と、を有し、
前記締結部に装着されている前記締結部材に前記当接片が当接することで、前記可撓アーム部が変形して前記板状部に対して相対的に変位される
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記可撓アーム部は、前記締結部に装着されている前記締結部材に前記当接片が当接することで前記板状部の外面から突出され、
前記板状部の外面からの前記可撓アーム部の突出寸法は、前記可撓アーム部の厚さよりも小さくされている
ことを特徴とする請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記部材検知部は、
前記板状部に形成された孔部に挿し込まれて保持される棒体からなり、
前記締結部に装着されている前記締結部材に前記棒体の先端が当接することで、前記棒体が移動して前記板状部に対して相対的に変位される
ことを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のカバーと、
前記締結部に重ね合わされた状態で前記締結部材によって共締めされる複数のバスバーを前記部品として有する前記被装着体であるケースと、備える
ことを特徴とする電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューズユニット等の電子機器を覆うカバーとして、ヒューズユニットのボルトに端子を締結するナットの締結忘れを防止するための構造を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このカバーは、ヒューズユニットのナットに対応する位置の内面に、締結位置のナットには干渉せず、締結位置以外のナットには干渉する高さの突部が設けられ、この突部が設けられた箇所の周囲が薄肉部とされている。そして、このカバーでは、締結位置まで締結されていないナットに突部が干渉すると、突部が設けられた周囲の薄肉部が伸びて白化する。これにより、ナットの締結忘れを目視によって認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカバーでは、ナットが締結位置まで締結されていないことを確認することはできるが、ボルトにナットが装着されていないような欠品を確認することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、締結部材の欠品を容易に確認することが可能なカバー及びそれを備えた電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 締結部材によって部品が締結される締結部を有する被装着体に装着されるカバーであって、
前記締結部を覆う板状部と、
前記板状部に対して前記締結部材の締結方向に沿って変位可能に設けられるとともに、前記板状部の外方から視認可能な部材検知部と、を有し、
前記締結部材が前記締結部に装着された装着状態においては、前記部材検知部が前記締結部材に当接して前記締結部材との当接前の初期位置から前記板状部に対して相対的に変位され、
前記締結部材が前記締結部に装着されていない非装着状態においては、前記部材検知部が前記初期位置に維持される
ことを特徴とするカバー。
【0007】
上記(1)の構成のカバーによれば、板状部の外方から視認可能な部材検知部が、締結部材が締結部に装着された装着状態においては締結部材に当接して板状部に対して相対的に変位され、締結部材が締結部に装着されていない非装着状態においては初期位置に維持される。したがって、被装着体へ装着したカバーの部材検知部を目視して変位の有無を確認することで、カバーに覆われた締結部材の装着及び非装着を容易にかつ正確に確認することができる。これにより、締結部材が欠品した非装着状態で流通することを抑制できる。
また、締結部材の有無を直接目視して確認するための大きな覗き窓を形成する場合と比べ、外来固形物が内部の部品に不用意に触れるような不具合をなくし、安全性を高めることができる。
更に、部材検知部の変位量を確認することで、締結部に装着された締結部材が未締結状態であるか否かを確認することもできる。
【0008】
(2) 前記部材検知部は、
前記板状部に一体に成形されて前記板状部の外面に沿って延在する可撓アーム部と、
前記可撓アーム部の揺動端から前記締結部における前記締結部材の装着位置へ向かって突出する当接片と、を有し、
前記締結部に装着されている前記締結部材に前記当接片が当接することで、前記可撓アーム部が変形して前記板状部に対して相対的に変位される
ことを特徴とする上記(1)に記載のカバー。
【0009】
上記(2)の構成のカバーによれば、カバーが被装着体に装着される際に、締結部に締結部材が装着された装着状態であれば、当接片が締結部材に当接して可撓アーム部が変形し、可撓アーム部は板状部に対して相対的に変位される。したがって、この可撓アーム部の変形による変位を目視で確認することで、締結部材の装着及び非装着を容易にかつ正確に確認することができる。
【0010】
(3) 前記可撓アーム部は、前記締結部に装着されている前記締結部材に前記当接片が当接することで前記板状部の外面から突出され、
前記板状部の外面からの前記可撓アーム部の突出寸法は、前記可撓アーム部の厚さよりも小さくされている
ことを特徴とする上記(2)に記載のカバー。
【0011】
上記(3)の構成のカバーによれば、板状部の外面からの可撓アーム部の突出寸法が可撓アーム部の厚さよりも小さくされている。これにより、可撓アーム部が板状部の外面から突出しても、板状部とアーム部との間には、板状部の厚さ方向に隙間が形成されることはなく、安全性を確保することができる。
【0012】
(4) 前記部材検知部は、
前記板状部に形成された孔部に挿し込まれて保持される棒体からなり、
前記締結部に装着されている前記締結部材に前記棒体の先端が当接することで、前記棒体が移動して前記板状部に対して相対的に変位される
ことを特徴とする上記(1)に記載のカバー。
【0013】
上記(4)の構成のカバーによれば、カバーが被装着体に装着される際に、締結部に締結部材が装着された装着状態であれば、先端が締結部材に当接して棒体が移動し、棒体は板状部に対して相対的に変位される。したがって、この棒体の移動による変位を目視で確認することで、締結部材の装着及び非装着を容易にかつ正確に確認することができる。
【0014】
(5) 上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のカバーと、
前記締結部に重ね合わされた状態で前記締結部材によって共締めされる複数のバスバーを前記部品として有する前記被装着体であるケースと、を備える
ことを特徴とする電気接続箱。
【0015】
上記(5)の構成の電気接続箱によれば、ケースにカバーを装着することで、カバーの部材検知部によって締結部材の有無を容易に検知することができる。したがって、バスバー同士が共締めされずに流通されるのを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、締結部材の欠品を容易に確認することが可能なカバー及びそれを備えた電気接続箱を提供できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカバー及びケースを有する電気接続箱の分解斜視図である。
【
図2】本第1実施形態に係るカバー及びケースの斜視図である。
【
図3】本第1実施形態に係る電気接続箱の全体斜視図である。
【
図4】
図2に示したカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【
図6】図部材検知部の動きを示す図であって、(a)及び(b)は、それぞれカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【
図7】部材検知部の変形例を示すカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【
図9】
図8に示した部材検知部の動きを示す図であって、(a)及び(b)は、それぞれカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るカバー10及びケース50を有する電気接続箱1の分解斜視図である。
図2は、本第1実施形態に係るカバー10及びケース50の斜視図である。
図3は、本第1実施形態に係る電気接続箱1の全体斜視図である。
【0020】
図1~
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係るカバー10は、被装着体であるケース50の上部に装着されて電気接続箱1を構成する。
【0021】
カバー10は、絶縁性の合成樹脂により一体成形される。カバー10は、板状部11と、周壁部12とを有している。周壁部12は、板状部11の周囲を囲うように一体に形成されている。カバー10は、周壁部12における互いに反対側の側面13に、爪部14を有する係止片15が形成されている。係止片15は、ケース50への装着方向へ向かって延在されている。爪部14は、係止片15の先端に形成されており、カバー10における外方へ向かって突出されている。
【0022】
カバー10は、部材検知部20を備えている。本第1実施形態に係る部材検知部20は、U字状のスリット23により画成されて板状部11に一体に成形されている。スリット23は、外来固形物(手指、工具、針金等)が内部の部品に不用意に触れることがない開口幅に設定されている。
【0023】
カバー10は、部品装着凹部26及び端子収容部27を有している。部品装着凹部26は、板状部11に一体に形成されている。部品装着凹部26には、例えば、ヒューズやリレー等の電気部品が上方から嵌め込まれて装着される。端子収容部27は、カバー10の周壁部12に形成されており、上下に貫通する収容穴28を有している。
【0024】
カバー10が上部に装着されるケース50は、絶縁性の合成樹脂により一体成形される。ケース50は、外壁部51を有しており、外壁部51に囲まれた内側が収容部52とされている。ケース50には、二つの締結部53,54が設けられている。締結部53,54は、平坦面からなる座面55と、この座面55の中心に立設されたスタッドボルト56とを有している。また、ケース50には、外壁部51における互いに反対側の側面57に、挿入穴58を有する係止部59が形成されている。
【0025】
ケース50の収容部52には、二つのバスバー(部品)70,80が組付けられる。バスバー70,80は、銅やアルミニウム等の導電性の金属の薄板を屈曲させることで形成されている。バスバー70は、一端が締結端71とされており、この締結端71には、ボルト挿通穴73が形成されている。また、バスバー70は、他端が上方へ屈曲された接続端74とされている。バスバー80は、両端が締結端81,82とされており、これらの締結端81,82には、ボルト挿通穴83が形成されている。
【0026】
バスバー70は、締結端71のボルト挿通穴73に一方の締結部53のスタッドボルト56が挿通され、また、接続端74が上方へ突設された状態でケース50の収容部52に収容される。また、バスバー80は、一端の締結端81のボルト挿通穴83に一方の締結部53のスタッドボルト56が挿通され、他端の締結端82のボルト挿通穴83に他方の締結部54のスタッドボルト56が挿通された状態でケース50の収容部52に収容される。また、一方の締結部53では、一方のバスバー70の締結端71に他方のバスバー80の締結端81が重ね合わされる。
【0027】
ケース50のそれぞれの締結部53,54には、それぞれナット(締結部材)90がねじ込まれて締結される。これらのナット90は、フランジ部91を有するフランジ付き六角ナットである。なお、ナット90としては、フランジ付き六角ナットに限定されず、フランジ部91のない一般的な六角ナットを用いてもよい。
【0028】
そして、ケース50の一方の締結部53では、ナット90がスタッドボルト56に螺合されて締結されることで、二つのバスバー70,80の締結端71,81が重ね合わされた状態で座面55とナット90に挟持されて共締めされる。これにより、バスバー70,80が電気的に接続される。また、ケース50の他方の締結部54では、ナット90がスタッドボルト56に螺合されて締結されることで、バスバー80の締結端82が座面55とナット90に挟持されて固定される。
【0029】
ケース50には、その上方側からカバー10が被せられて装着され、カバー10の周壁部12がケース50の外壁部51の外面側に配置される。また、カバー10をケース50に被せる際に、係止片15をケース50の挿入穴58へ挿し込むことで、係止片15の爪部14が係止部59を係止する。これにより、カバー10は、ケース50に対して、その上部に組付けられる。そして、ケース50は、バスバー80の締結端82が締結固定された締結部54を除く収容部52の上部がカバー10の板状部11によって覆われる。また、カバー10をケース50に装着することで、ケース50に組付けられたバスバー70の接続端74が端子収容部27の収容穴28に挿し込まれて収容される。
なお、本第1実施形態に係る電気接続箱1は、ケース50に装着されたカバー10の上方が、さらに図示しない蓋体により覆われる構成とされている。
【0030】
次に、カバー10に設けられた部材検知部20について説明する。
図4は、
図2に示したカバー10及びケース50の一部を示す締結方向に沿う断面図である。
図5は、
図3に示したケース50の平面図である。
【0031】
図4に示すように、本第1実施形態に係る部材検知部20は、カバー10の板状部11に一体に形成されている。部材検知部20は、可撓アーム部21と、可撓アーム部21の先端(揺動端)に形成された当接片22とを有している。可撓アーム部21は、スリット23により片持ち梁状に形成された基端側が板状部11に一体に成形され、板状部11の上面(外面)11aに沿って延在されている。可撓アーム部21は、板状部11の上面11aに対してケース50への装着側へ向かって僅かに傾斜して形成されている。これにより、当接片22を有する可撓アーム部21の先端は、板状部11の上面11aに対してケース50への装着側である下方側に配置されている。当接片22は、可撓アーム部21の先端からケース50への装着側へ向かって突出されている。当接片22は、可撓アーム部21の延在方向に対して略直交する方向に突出されている。
【0032】
当接片22は、その先端にテーパ部24を有している。テーパ部24は、当接片22における可撓アーム部21と反対側の面に形成されており、ケース50への装着側である先端へ向かって次第に可撓アーム部21側へ傾斜されている。
【0033】
図5に示すように、本第1実施形態に係る部材検知部20は、ケース50にカバー10が装着された際に、平面視において、当接片22がケース50における締結部53のスタッドボルト56に締結されるナット90に重なる位置に形成されている。
【0034】
次に、ケース50にカバー10を装着する際の部材検知部20の動きについて説明する。
図6は、部材検知部20の動きを示す図であって、
図6の(a)及び
図6の(b)は、それぞれカバー及びケースの一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【0035】
図6の(a)に示すように、ケース50に対してカバー10が装着されると、部材検知部20は、その当接片22の先端が締結部53でバスバー70,80の締結端71,81を締結固定しているナット90の上端部に当接する。これにより、部材検知部20は、可撓アーム部21が弾性変形して上方へ変位し、可撓アーム部21の先端側が板状部11の上面11aよりも上方へ突出される。
【0036】
これに対して、
図6の(b)に示すように、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定するナット90がスタッドボルト56に装着されていない非装着状態であると、当接片22がナット90に当接されない。そのため、部材検知部20は、可撓アーム部21が初期位置に配置された状態を維持する。
【0037】
なお、ケース50に対してカバー10が装着される際に、カバー10が装着方向と直交する方向へ位置ずれして当接片22の位置がスタッドボルト56側へ偏った状態で装着される場合がある。このような場合であっても、当接片22には、その先端部分にテーパ部24が形成されているので、スタッドボルト56の上端部への当接片22の先端部の干渉が抑制される。
【0038】
以上、説明したように、本第1実施形態に係るカバー10によれば、板状部11の外方から視認可能な部材検知部20は、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定するナット90がスタッドボルト56に装着されている場合に、可撓アーム部21が弾性変形して変位することとなる。具体的には、カバー10がケース50に装着される際に、締結部53にナット90が装着された装着状態であれば、部材検知部20の当接片22がナット90に当接して可撓アーム部21が変形し、板状部11に対して相対的に変位される。したがって、組み立てられた電気接続箱1の部材検知部20を目視して変位の有無を確認することで、ナット90の装着及び非装着を容易にかつ正確に確認することができる。
【0039】
ところで、締結部53で重ね合わされたバスバー70,80は、ナット90で共締めされなくても接触して互いに導通される場合があり、この場合、ケース50にカバー10を組付けた後の通電検査を通過して流通されるおそれがある。
【0040】
本第1実施形態に係るカバー10を備えた電気接続箱1では、カバー10に覆われたナット90の装着及び非装着を容易にかつ正確に確認することができるので、バスバー70,80の締結端71,81を共締めするナット90が欠品した非装着状態で流通することを抑制でき、信頼性を高めることができる。
【0041】
また、ナット90の有無を直接目視して確認するための大きな覗き窓を形成する場合と比べ、外来固形物が内部の部品に不用意に触れるような不具合をなくし、安全性を高めることができる。更に、部材検知部20の変位量を確認することで、締結部53に装着されたナット90が未締結状態であるか否かを確認することもできる。
【0042】
また、本第1実施形態に係る部材検知部20において、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定しているナット90の上端部に当接片22の先端が当接して板状部11の上面11aから突出する可撓アーム部21は、その突出寸法Pが、可撓アーム部21の厚さ(板厚)Tよりも小さくなるように設定されている。したがって、部材検知部20が変位して可撓アーム部21の先端側が板状部11の上面11aから突出しても、板状部11と可撓アーム部21との間には、板状部11の厚さ方向に隙間が形成されることはなく、安全性を確保することができる。
【0043】
なお、上記第1実施形態では、当接片22の先端がナット90に当接することで可撓アーム部21が板状部11の上面11aから突出するように設定した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、
図7に示すように、可撓アーム部21が板状部11の上面11aと面一となるように設定してもよい。
また、上記第1実施形態では、カバー10の板状部11に部材検知部20を一体に成形したが、カバー10とは別に形成した部材検知部20をカバー10の板状部11に対してヒンジ等によって連結させてもよい。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係るカバーについて説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るカバー10A及びケース50の一部を示す締結方向に沿う断面図である。なお、本第2実施形態のカバー10Aにおける上記第1実施形態のカバー10と同様の構成部材については、同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
図8に示すように、本発明の第2実施形態に係るカバー10Aは、ピンタイプの部材検知部20Aを備えている。部材検知部20Aは、カバー10Aの板状部11に形成された孔部30に挿し込まれて保持されている。部材検知部20Aは、棒体からなる本体部31を有している。本体部31の先端は、半割れ形状に形成されて一対の係止部32が構成されている。係止部32は、外側へ突出する係止爪33を有している。本体部31の後端には、本体部31が挿し込まれている孔部30よりも大径に形成された移動規制板部35が形成されている。また、本体部31は、軸方向の中間部に、外周側へ突出する保持突起37を有している。移動規制板部35と保持突起37との間隔は、カバー10Aにおける板状部11の厚さとほぼ同一寸法とされている。
【0046】
本第2実施形態の部材検知部20Aは、カバー10Aの板状部11に形成された孔部30に、カバー10Aの上方から係止部32を向けて挿し込まれ、移動規制板部35が上面11aに当接されている。この状態で、部材検知部20Aは、保持突起37が板状部11の裏面側に配置される。そして、部材検知部20Aは、移動規制板部35と保持突起37との間に板状部11の孔部30の内縁部が入り込むことで、板状部11に保持される。また、板状部11の孔部30に挿し込まれた部材検知部20Aは、その先端の係止部32の係止爪33によって孔部30から抜け止めされる。
【0047】
次に、本第2実施形態に係る部材検知部20Aの動きについて説明する。
図9は、
図8に示した部材検知部20Aの動きを示す図であって、
図9の(a)及び
図9の(b)は、それぞれカバー10A及びケース50の一部を示す締結方向に沿う断面図である。
【0048】
図9の(a)に示すように、ケース50に対してカバー10Aが装着されると、部材検知部20Aは、その先端が締結部53でバスバー70,80の締結端71,81を締結固定しているナット90の上端部に当接する。これにより、板状部11に保持されている部材検知部20Aは、本体部31が押圧されて板状部11に対して移動され、上方へ変位する。そして、部材検知部20Aは、後端側が板状部11の上方へ突出し、保持突起37が孔部30を通過して板状部11の上面11a側に配置される。
【0049】
これに対して、
図9の(b)に示すように、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定するナット90がスタッドボルト56に装着されていない非装着状態では、部材検知部20Aの先端は、ナット90に当接されない。そのため、板状部11に保持されている部材検知部20Aは、初期位置に配置された状態を維持する。
【0050】
従って、本第2実施形態に係るカバー10Aによれば、板状部11の外方から視認可能な部材検知部20Aは、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定するナット90がスタッドボルト56に装着されている場合に、板状部11からの本体部31の後端側の突出量が大きくなる。したがって、組み立てられた電気接続箱1の部材検知部20Aを目視して変位を確認することで、バスバー70,80の締結端71,81を締結固定するナット90が確実に装着されているか否かを正確に確認することが可能である。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
例えば、上記各実施形態では、バスバー70,80をナット90で共締めする場合を例示したが、ナット90で締結固定する部品は、バスバー70,80に限定されない。
【0053】
また、上記各実施形態では、締結部53に立設されたスタッドボルト56に、締結部材であるナット90を螺合させて締結したが、本発明は、締結部53に雌ねじを形成し、この雌ねじに締結部材としてボルトをねじ込んで締結する構造にも適用可能である。
【0054】
ここで、上述した本発明に係るカバー及び電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 締結部材(ナット90)によって部品(バスバー70,80)が締結される締結部(53)を有する被装着体(ケース50)に装着されるカバーであって、
前記締結部(53)を覆う板状部(11)と、
前記板状部(11)に対して前記締結部材(ナット90)の締結方向に沿って変位可能に設けられるとともに、前記板状部(11)の外方から視認可能な部材検知部(20,20A)と、を有し、
前記締結部材(ナット90)が前記締結部(53)に装着された装着状態においては、前記部材検知部(20,20A)が前記締結部材(ナット90)に当接して前記締結部材(ナット90)との当接前の初期位置から前記板状部(11)に対して相対的に変位され、
前記締結部材(ナット90)が前記締結部(53)に装着されていない非装着状態において、前記初期位置に維持される
ことを特徴とするカバー(10,10A)。
[2] 前記部材検知部(20)は、
前記板状部(11)に一体に成形されて前記板状部(11)の外面に沿って延在する可撓アーム部(21)と、
前記可撓アーム部(21)の揺動端から前記締結部(53)における前記締結部材(ナット90)の装着位置へ向かって突出する当接片(22)と、を有し、
前記締結部(53)に装着されている前記締結部材(ナット90)に前記当接片(22)が当接することで、前記可撓アーム部(21)が変形して前記板状部(11)に対して相対的に変位される
ことを特徴とする上記[1]に記載のカバー(10)。
[3] 前記可撓アーム部(21)は、前記締結部(53)に装着されている前記締結部材(ナット90)に前記当接片(22)が当接することで前記板状部(11)の外面(上面11a)から突出され、
前記板状部(11)の外面(上面11a)からの前記可撓アーム部(21)の突出寸法(P)は、前記可撓アーム部(21)の厚さ(T)よりも小さくされている
ことを特徴とする[2]に記載のカバー(10)。
[4] 前記部材検知部(20A)は、
前記板状部(11)に形成された孔部(30)に挿し込まれて保持される棒体(本体部31)からなり、
前記締結部(53)に装着されている前記締結部材(ナット90)に前記棒体(本体部31)の先端が当接することで、前記棒体(本体部31)が移動して前記板状部(11)に対して相対的に変位される
ことを特徴とする上記[1]に記載のカバー(10A)。
[5] 上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のカバー(10,10A)と、
前記締結部(53)に重ね合わされた状態で前記締結部材(ナット90)によって共締めされる複数のバスバー(70,80)を前記部品として有する前記被装着体であるケース(50)と、を備える
ことを特徴とする電気接続箱(1)。
【符号の説明】
【0055】
1…電気接続箱
10…カバー
11…板状部
11a…上面(外面)
20…部材検知部
21…可撓アーム部
22…当接片
50…ケース(被装着体)
53…締結部
70,80…バスバー(部品)
90…ナット(締結部材)