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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20221012BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
F25D17/06 312
F25D17/08 307
F25D17/06 304
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018229072
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020091076
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川本 修平
(72)【発明者】
【氏名】真下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】阪井田 佳信
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 孝仁
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-075465(JP,A)
【文献】特開平06-117744(JP,A)
【文献】実開昭58-093764(JP,U)
【文献】特開2001-227855(JP,A)
【文献】実開昭50-141262(JP,U)
【文献】特開2007-212053(JP,A)
【文献】特開2017-116121(JP,A)
【文献】特開2020-008189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/06 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チルド室が設けられた冷蔵室を有する冷蔵庫本体と、
冷気を生成する冷却器と、
前記冷却器に冷媒を流して冷却器温度を低下させるための冷却手段と、
前記冷蔵室の温度を検出するための冷蔵室温度センサと、
前記冷却器で生成された冷気を前記チルド室及び前記冷蔵室に送風するためのファンであって、その送風作用により冷気流路を通じて前記チルド室に連通する第1吹出口から冷気を供給するとともに前記冷蔵室に連通する第2吹出口から冷気を供給する、複数個並列配置されたファンと、
前記複数のファンの運転を制御する制御装置と、を備え、
前記冷気流路の構造を、それぞれの前記ファンごとに異ならせ、前記制御装置によりそれぞれの前記ファンの回転数を制御して、前記第1吹出口から前記チルド室へ供給する冷気の供給量と、前記第2吹出口から前記冷蔵室へ供給する冷気の供給量とを調整する構成とし、
前記制御装置は、
前記冷蔵室温度センサの検出結果に基づいて、予め定められた目標温度範囲内に前記冷蔵室の温度が保持されように前記冷却手段を制御するモードであって前記複数のファンをそれぞれ予め定められた所定回転数で運転する第1運転モードと、
前記目標温度範囲の上限温度と下限温度との双方を低温側に変更し及び/又は前記目標温度範囲を狭くするように当該目標温度範囲の上限温度と下限温度とを変更し、その変更した目標温度範囲内に前記冷蔵室の温度が保持されるように前記冷却手段を制御するモードであって、前記複数のファンを、それぞれ前記所定回転数で運転したときよりも前記チルド室への冷気の供給量が多くなり且つ前記冷蔵室への冷気の供給量が少なくなる回転数で運転する第2運転モードと、を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2運転モードに設定する操作入力を受付けるための受付部を備える請求項記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記チルド室内の冷却負荷温度を検出する赤外線センサ又は前記チルド室の温度を検出するチルド室温度センサを備え、
前記制御装置は、前記赤外線センサ又は前記チルド室温度センサの検出結果に基づいて、前記第1運転モードと前記第2運転モードとの間で設定変更する請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記複数のファンの並列配置は、前記冷却器の上方において当該冷却器の長手方向に互いに隣り合わせた並列の配置形態である請求項1からのいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷気流路における、前記複数のファンの間に、それらファンの間を仕切るとともに一方のファン側に偏らせて壁部を設けた請求項1からのいずれか一項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記冷気流路における前記第1吹出口の近傍に位置させて、その第1吹出口側に冷気を導くガイド壁部を設けた請求項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第1吹出口に対して、その第1吹出口の開口面積を調整する調整カバーを移動可能に設けた請求項1からの何れか一項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、一般的には温度帯の異なる複数の貯蔵室を備えており、各貯蔵室の温度を適切に制御する必要がある。そのため、従来では、各貯蔵室に供給される冷気の量を調整するためのダンパ等の機構部品を設けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-116121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダンパのような比較的大きな機構部品を設けると、貯蔵室の容量が相対的に低下してしまう。
この点、例えば特許文献1の冷蔵庫では、並列配置された左右一対のファンの回転数を異ならせることで、チルド室に連通する左右一対の吹出口から供給される冷気の量を調整するようにしているが、チルド室内を左右で異なる温度に冷却するにすぎない。
そこで、大きな機構部品を設けることなく、チルド室への冷気の供給量と冷蔵室への冷気の供給量とを調整することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、チルド室が設けられた冷蔵室を有する冷蔵庫本体と、冷気を生成する冷却器と、前記冷却器に冷媒を流して冷却器温度を低下させるための冷却手段と、前記冷蔵室の温度を検出するための冷蔵室温度センサと、前記冷却器で生成された冷気を前記チルド室及び前記冷蔵室に送風するためのファンであって、その送風作用により冷気流路を通じて前記チルド室に連通する第1吹出口から冷気を供給するとともに前記冷蔵室に連通する第2吹出口から冷気を供給する、複数個並列配置されたファンと、前記複数のファンの運転を制御する制御装置と、を備え、前記冷気流路の構造を、それぞれの前記ファンごとに異ならせ、前記制御装置によりそれぞれの前記ファンの回転数を制御して、前記第1吹出口から前記チルド室へ供給する冷気の供給量と、前記第2吹出口から前記冷蔵室へ供給する冷気の供給量とを調整する構成とし、前記制御装置は、前記冷蔵室温度センサの検出結果に基づいて、予め定められた目標温度範囲内に前記冷蔵室の温度が保持されように前記冷却手段を制御するモードであって前記複数のファンをそれぞれ予め定められた所定回転数で運転する第1運転モードと、前記目標温度範囲の上限温度と下限温度との双方を低温側に変更し及び/又は前記目標温度範囲を狭くするように当該目標温度範囲の上限温度と下限温度とを変更し、その変更した目標温度範囲内に前記冷蔵室の温度が保持されるように前記冷却手段を制御するモードであって、前記複数のファンを、それぞれ前記所定回転数で運転したときよりも前記チルド室への冷気の供給量が多くなり且つ前記冷蔵室への冷気の供給量が少なくなる回転数で運転する第2運転モードと、を有する
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態における冷蔵庫の内部構成を示す断面図
図2】ファンおよび冷却器の配置態様と流路の構造を示す後方からの斜視図
図3】冷蔵庫の扉を省略して示す正面図
図4】冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図5】第1運転モードと第2運転モードでの温度変化の一例を示す説明図
図6】第1運転モードと第2運転モードの設定に係る処理の流れを示す図
図7】第2実施形態における第1運転モードと第2運転モードの設定に係る処理の流れを示す図
図8】第3実施形態の冷気流路における吹出口側のガイド壁部をファンとともに示す模式図
図9】第4実施形態の冷気流路における第1吹出口の調整カバーをファンとともに示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を具体化した複数の実施形態について、図面に基づき説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成については同一の符号を付す等して説明を省略する。
【0008】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図1から図6を参照しながら説明する。
図1に示す冷蔵庫1は、前面が開口した矩形箱状をなす冷蔵庫本体2内に、冷蔵温度帯の冷蔵室3及び野菜室4と、冷凍温度帯の製氷室、小冷凍室5及び大冷凍室6とを備える。を備える。こうした冷蔵室3~大冷凍室6は、何れも食品等の貯蔵物(以下「食材」と称す)を貯蔵するための貯蔵室とされている。なお、製氷室は、小冷凍室5と左右に隣り合うように配置されているため、その扉とともに図示を省略する。
【0009】
冷蔵庫本体2における冷蔵室3の前面開口は、両開き式(観音開き式でもよい)の扉3aによって開閉される。野菜室4、製氷室、小冷凍室5及び大冷凍室6の前面開口部は、引き出し式の扉4a、扉5a、及び扉6aによって夫々開閉される。なお、図1に示す冷蔵庫1の構成は一例であり、貯蔵室の数や配置はこれに限定されない。
【0010】
冷蔵室3内には、透明性材料(例えばガラス材料やアクリル樹脂等)で形成された複数の棚板Pa、Pb、Pc、Pdが設けられ、その最下段には、チルド室7が設けられている。チルド室7は、冷蔵室3とは異なる温度帯であるチルド温度帯に制御されるようになっている。チルド室7にはチルドケース7aが配置されている。詳しい図示は省略するが、チルドケース7aは例えば上面側が開口した矩形箱状容器状をなし、チルド室7に収納された状態から前方へ引き出すことにより、開口したその上面側から食材を出し入れするようになっている。以下では説明の簡単化のために、チルドケース7a内を「チルド室7内」と称する等、チルド室7のチルドケース7aを便宜的に「チルド室7」と略す。
【0011】
冷蔵庫1は、冷蔵室3よりも下方となる野菜室4の後方に位置して、冷蔵温度帯の冷気を生成する冷蔵用冷却器8が設けられているとともに、概ねチルド室7の後方に位置して冷蔵用冷却器8で生成された冷気を送風する2つのファン9a、ファン9b(図2参照)が設けられている。
また、冷蔵庫1は、冷凍室の後方に位置して、冷凍温度帯の冷気を生成する冷凍用冷却器10と、冷凍用冷却器10で生成された冷気を送風するファン11とを備えている。つまり、冷蔵庫1は、複数の冷却器を備えているとともに、本実施形態では冷蔵用冷却器8に対して複数ここでは2つのファン9a及びファン9bが設けられている。本実施形態では、ファン9a、9bは、回転数を個別に制御可能となっている。
【0012】
冷蔵庫1に設けられている各冷却器8,10は、冷蔵庫本体2の底部に設けられた機械室12に配置されている圧縮機13等とともに周知の冷凍サイクルを構成する。詳しい図示は省略するが、冷凍サイクルは、圧縮機13から吐出された高温高圧の冷媒を受けて放熱液化させる凝縮器、この凝縮器の出口側にて冷媒流路を切り換える切替弁、冷却器8,10各々の減圧装置も含み、これらを冷媒配管で接続してなる。このうち、圧縮機13や切替弁は、後述する制御装置20により制御されることで、冷却器8,10に冷媒を流して冷却器温度を低下させる冷却手段として機能する。
【0013】
図1に示すように、上記した貯蔵室3,4,7の背面側には、背面ダクト15が設けられている。背面ダクト15は、貯蔵室3,4,7の奥方にて、冷蔵用冷却器8で生成された冷気を冷蔵室3とチルド室7とに供給する冷気流路15Rを形成する。
即ち、背面ダクト15は、冷蔵庫本体2における冷蔵室3の最下段の後方(チルド室7の後方)に位置して冷却器8及びファン9a,9bを収容する下部ダクト15aと、この下部ダクト15aの上方に延び且つ当該ダクト15aと連通する上部ダクト15bとで構成されている。下部ダクト15a内は冷蔵用冷却器室とされており、上部ダクト15bよりも前方へ膨出した段付き状をなしている。
【0014】
図2図3にも示すように、下部ダクト15aには、チルド室7と冷気流路15Rを連通させる左右一対の開口21a,21bが設けられている。一方の開口21aはファン9aの上側に位置し、他方の開口21bはファン9bの上側に位置する。これら開口21a,21bは、相互に左右に並び、且つ左右に延びる帯状に形成された貫通孔であり、第1吹出口に相当する。
【0015】
上部ダクト15bには、冷蔵室3と冷気流路15Rを連通させる複数の開口22が設けられている。複数の開口22は、図1に示す棚板Pdよりも上側に位置する。複数の開口22は、図3に示す上下方向に延びる左右一対のスリット状の開口22aや、その左右方向の中間部にて上下方向に並ぶ開口22bを含み、何れの開口22a、22bも第2吹出口に相当する。
【0016】
冷蔵用冷却器8で生成された冷気は、ファン9a及びファン9bの運転によって、背面ダクト15内の冷気流路15Rを通じて下部ダクト15aの開口21a,21bからチルド室7へ吹出されるとともに、上部ダクト15bの複数の開口22から冷蔵室3へと吹出され、当該開口22から吹出された冷気が冷蔵室3から野菜室4にも供給されるようになっている。以下、説明の簡略化のために、開口22から吹出される冷気が供給される冷蔵室3及び野菜室4を便宜的に「冷蔵室3側」とも称する。
また、冷蔵用冷却器8は、いわゆるフィンチューブ型のものであり、冷蔵室3等の比較的大容量の貯蔵室を冷却する冷気を生成するために、冷蔵庫1の左右方向にある程度の長さを持って形成されている。つまり、冷蔵用冷却器8は、冷蔵庫1の左右方向を長手方向として配置されている。
【0017】
図2に示すように、ファン9a及びファン9bは、互いに前記長手方向に隣り合う並列配置とされており、冷蔵用冷却器8の上方において、ホルダ19を介して取付けられている。本実施形態のファン9aとファン9bは、同一仕様のものを採用しており、各々の送風面が上向きとなるように配置されている。また、ホルダ19には、ファン9aとファン9bとの間に位置させて、少なくとも開口21a及び開口21bの上端よりも上方に延びて形成された壁部18が設けられている。この壁部18は、ファン9a及びファン9bを保持するホルダ19に対して一体に形成されている。ホルダ19は、その左右両側の係止部17a、17bに掛け渡されるようにして支持されている。
【0018】
この壁部18は、冷蔵用冷却器8の長手方向において、ファン9aとファン9bとの間を仕切るとともに一方のファン9a側に偏って配置されたファン側壁部とされている。そのため、冷蔵用冷却器8の図示左端側から壁部18までの距離(Wa)は、冷蔵用冷却器8の図示右端側から壁部18までの距離(Wb)よりも短くなっている(Wa<Wb)。よって、開口21a及び開口21bが同じ大きさであった場合には、壁部18の図示左方側を通って開口21aからチルド室7に供給される冷気の量は、壁部18の図示右方側の開口21bからチルド室7に供給される冷気の量よりも小さくなる。
【0019】
それ故、冷蔵庫1では、冷蔵用冷却器8で生成された冷気をチルド室7の開口21a,21b或いは冷蔵室3の開口22に導く冷気流路15Rの構造を、ファン9a,9bごとに異ならせており、又、冷気流路15Rは、構造的に、冷蔵室3側とチルド室7とに供給される冷気の量を調整可能とするものといえる。
【0020】
また、前記壁部18がファン9a側に偏って配置されることで、ファン9aから上部ダクト15bへ向かう冷気流路の大きさは、ファン9bから上部ダクト15bへ向かう流路冷気の大きさよりも小さくなっている。このため、ファン9a側とファン9b側とでは、冷蔵室3の開口22側(上部ダクト15b側)に流れる冷気とチルド室7の開口21a,21bに流れる冷気との比が異なる。例えば、ファン9a側では、上部ダクト15bに流れる冷気と開口21aに流れる冷気との比が1:2であり、ファン9b側では、上部ダクト15bに流れる冷気と開口21bに流れる冷気との比が2:1であったとする。なお、この比は、必要な冷却性能に応じて適宜設定することができる。
【0021】
よって、ファン9aとファン9bとが同じ回転数であったとしても、ファン9aによってチルド室7に供給される冷気の供給量とファン9bによってチルド室7に供給される冷気の供給量とが異なり、又、ファン9aによって冷蔵室3側に供給される冷気の供給量とファン9bによって冷蔵室3側に供給される冷気の供給量も異なる。
【0022】
そのため、例えばチルド室7が適温で冷蔵室3側の温度が若干高くなっているような場合、つまりは、チルド室7にはそれほど冷気を供給したくない場合には、チルド室7への冷気の供給比率が相対的に高いファン9aの回転数よりも、チルド室7への冷気の供給比率が相対的に低いファン9bの回転数を冷却バランスが崩れない範囲で大きくすることにより、チルド室7を過度に冷却することなく冷蔵室3側への冷気の供給量を増やして適切に冷却することができる。
【0023】
逆に、例えば冷蔵室3側が適温でチルド室7の温度が若干高くなっているような場合には、ファン9aの回転数をファン9bの回転数よりも冷却バランスが崩れない範囲で大きくすることにより、チルド室7への冷気の供給量が増え、冷蔵室3側を過度に冷却することなくチルド室7を適切に冷却することができる。係る複数のファン9a,9bのそれぞれの回転数の制御について、詳しくは後述する。
【0024】
図1に示す冷蔵庫本体2の天井壁の上面後部には、制御装置20(図4参照)の制御基板を収容する基板収容部14が設けられている。制御装置20は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成されており、ROMやRAM等の記憶部20aを有する。具体的には図4に示すように、制御装置20には、冷蔵用のファン9a,9b,冷凍用のファン11、圧縮機13、冷蔵室温度センサ25、赤外線センサ26、操作パネル27、通信部28が接続されるとともに、図示しない前記切替弁等が接続されている。
【0025】
冷蔵室温度センサ25は、冷蔵室3の温度(以下「冷蔵室温度T」とも称する)を検出するものであり、冷蔵室3内の後壁側に設けられている。赤外線センサ26は、チルド室7に収納されている食材が有する熱エネルギーを赤外線の放射量として検出するものであり、チルド室7の天井壁を構成する棚板Pdに設けられている。
【0026】
操作パネル27は、扉3aの前面側に設けられ(図1参照)、ユーザのタッチ操作による操作入力を受付ける。通信部28は、図4に示す外部の通信端末29と通信する通信装置である。通信端末29(外部装置)は、例えばユーザが所有する携帯端末であり、当該端末29の図示しない画面にて操作入力を行うことにより、その操作入力に係るデータを送信し、通信部28にて受信させる(当該データを受付ける)。このように、操作パネル27や通信部28は、ユーザの操作入力を冷蔵庫1にて受付ける受付部として機能する。
【0027】
制御装置20は、記憶部20aに記憶されているプログラムを実行し、上記したセンサ25,26で検出した検出結果並びに操作パネル27や通信部28で受付けた操作入力等に基づいて、ファン9a,9b,11や、圧縮機13を含む冷凍サイクルを運転することにより、各貯蔵室を冷却する。
【0028】
さて、上記したチルド室7は、一般的に冷蔵室3よりも容積が小さく且つある程度密閉されている空間を形成しているが、同じ温度の食材を入れた際には、冷蔵室3に比べると温度が上昇しやすいものといえる。また、チルド室7は、棚板Pdから冷蔵室3側への冷熱の漏れ等も懸念される。
そこで、本実施形態では、ファン9a,9b各々の運転や冷却手段の制御により、チルド室7を迅速に適切な温度範囲に制御するとともに、チルド室7へ開口21a,21bから吹出す冷気の供給量と、冷蔵室3側へ開口22から吹出す冷気の供給量とを好適に調整するようにしている。係る構成について、図5図6も参照しながら説明する。
【0029】
まず、冷蔵庫1の基本的な制御の流れと、後述するモード変更処理を行わない場合の冷蔵室温度Tの変化の一例とについて、図5を参照しながら説明する。
冷蔵庫1には、図5(a)に示すように、冷蔵室3に対する目標温度範囲ΔTが予め設定されている。この場合、一例ではあるが、初期状態つまりはモード変更処理を行っていない状態(図5のt2以前の第1運転モード)においては、冷蔵室3の目標温度範囲ΔTは、その上限温度T-Hが6℃、下限温度T-Lが2℃に設定され、温度差4℃の範囲として設定される。
【0030】
ここで、制御装置20は、冷蔵室温度Tが目標温度範囲ΔT内に収まるように、冷却手段を制御する。即ち、制御装置20は、図5(a)の太線のグラフG1にて示すように、冷蔵室温度Tが上昇し、例えば時刻t1において目標温度範囲ΔTの上限温度T-Hに到達したとすると、圧縮機13の動作を開始する。以下、圧縮機13を動作させた状態であって、前記切替弁の切替動作により冷却器8に冷媒を流している状態を単に「運転」とも称する(図5の冷却手段「ON」参照)。また、制御装置20は、圧縮機13の運転中に、ファン9a,9bもそれぞれ予め定められた回転数で運転させる。これにより、冷却器8において生成された冷気は、冷気流路15Rを通じて上記した各開口21a,21b,22からチルド室7或いは冷蔵室3側へ吹出され、そして循環することにより、チルド室7及び冷蔵室3側が冷却される。
【0031】
一方、制御装置20は、圧縮機13の運転により冷蔵室温度Tが低下し、例えば時刻(t2)において目標温度範囲ΔTの下限温度T-Lに到達すると、それ以上の冷却が不要であることから、圧縮機13の動作を終了する。以下、圧縮機13が動作していない状態を単に「停止」とも称する。このとき、ファン9a,9bも停止させる。このように、制御装置20は、冷蔵室温度Tに基づいて、より厳密に言えば、冷蔵室温度Tが上限温度T-Hあるいは下限温度T-Lに達したか否かに基づいて、圧縮機13の運転を制御する。
【0032】
ここで、図6は、冷蔵庫1における運転モードの変更に係る処理の流れを示すフローチャーチを示しており、制御装置20は、上記した第1運転モードを、初期状態の設定として、冷蔵庫1の動作を制御する。
【0033】
即ち先ず、制御装置20は、図6のモード設定処理を開始すると、目標温度範囲ΔTの変更を初期化して第1運転モードに設定する(ステップS1)。第1運転モードは、予め定められた冷蔵室3の目標温度範囲ΔTと、予め定められたファン9a,9bの所定回転数Na,Nbとを規定しており、夫々規定された値(デフォルトの設定値)で冷却を行うモードである。このうち、目標温度範囲ΔTは、目標温度を中心として所定の温度範囲を定めたものであり、その上限温度T-Hと下限温度T-L、で画定される(図5(a)の左半部のグラフG1参照)。所定回転数Na,Nbは、上記した冷蔵室3側に供給される量とチルド室7に供給される量との比などに応じて定められたファン9aの回転数Naと、ファン9bの回転数Nbである。
【0034】
制御装置20は、ステップS2において、上記した操作パネル27や通信部28といった受付部で受け付けた入力信号に基づいて、ユーザにより第2運転モードが指定されたか否かを判断する。
制御装置20は、第2運転モードが指定されていないとき(ステップS2:NO)、ステップ1にリターンするため、第1運転モードの設定のままとする。これに対し、制御装置20は、例えばユーザが操作パネル27のモード選択釦(図示略)をタッチ操作されると(ステップS2:YES)、そのタッチ操作を受付けた時点で(図5のt2参照)、第1運転モードから第2運転モードに設定を変更する(ステップS3)。
【0035】
例えば、図5(a)に示すt2の時点で、上限温度T-H及び下限温度T-Lの双方を-x℃低温側に変更することで、目標温度範囲ΔTを低温側へずらす。これに併せて、図5(b)に示すように、上限温度を-y℃低温側に変更するとともに下限温度を+y℃高温側に変更して、目標温度範囲ΔTを狭くする。つまり、図5に示す(a)の低温側への変更と(b)の目標温度範囲ΔTを狭くする変更は、制御装置20により同時に行われ、合成される(同図(c)参照)。
【0036】
よって、ステップS3において変更された、第2運転モードでの目標温度範囲ΔT´は、初期の上限温度T-Hを-(x+y)℃低温側とし、且つ、下限温度T-Lを-x℃と+y℃とで相殺した値となる。従って例えば、xの値を1℃、yの値も1℃とした場合(x=y=1)、目標温度範囲ΔT´は、初期の上限温度T-Hを2℃低下させ、初期の下限温度T-Lを維持するように画された範囲に設定される(図5(c)参照)。
【0037】
また、ステップS3において、制御装置20は、ファン9aの回転数を初期の回転数Naよりも大きい値Na´に設定し、ファン9bの回転数を初期の回転数Nbよりも小さい値Nb´に設定する。こうして、チルド室7への冷気の供給比率が相対的に高いファン9aを回転数Na´(>Na)で運転することにより、チルド室7への冷気の供給量を増加させて迅速且つ効果的にチルド室7を冷却する一方、冷蔵室3側への冷気の供給比率が相対的に高いファン9bの回転数Nb´(<Nb)を抑えて運転することにより、冷蔵室3側への冷気の供給量を減少させて、冷蔵室3側の過度な冷却を抑制し、食材の凍結を防止することができる。
【0038】
制御装置20は、操作パネル27でのタッチ操作により第2運転モードの設定が解除されるまで(ステップS4でYESと判断されるまで)、第2運転モードの設定を継続する(ステップS4とS5を繰り返す)。これにより、制御装置20は、第2運転モードにおいて、図5(c)のグラフG1´の如く、目標温度範囲ΔT´内に冷蔵室温度Tが保持されるように圧縮機13の運転を制御する。こうして、チルド室7と冷蔵室3側を冷却するタイミングを早め、所期の温度に迅速に冷却することができる(同(c)のt2~t6参照)。
【0039】
また、第2運転モードでは、ファン9a,9bを、それぞれ所定回転数Na、Nbで運転したときよりもチルド室7への冷気の供給量を多く且つ冷蔵室3側への冷気の供給量を少なくする回転数Na´、Nb´で運転するため、その低い動作温度(図5(c)のt3,t5の時点の温度)と相俟って、総じてチルド室7を当該低温側の温度に迅速に冷却することができ、しかも当該モード中の食材の凍結を防止することができる。
【0040】
この後、制御装置20は、操作パネル27で受付けた入力信号に基づいて、ユーザにより第2運転モードの設定が解除されたと判断すると(ステップS4:YES)、第2運転モードでの運転を終了して(ステップS6)。ステップS1にリターンする。これにより、制御装置20は、上限温度T-Hと下限温度T-Lを初期化して目標温度範囲ΔT´を初期の目標温度範囲ΔTに戻すとともに、ファン9a,9bの回転数Na´,Nb´を初期化して所定回転数Na,Nbに戻し、第1運転モードに復帰する(ステップS1)。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1は、冷却器8で生成された冷気をチルド室7及び冷蔵室3に送風するためのファン9a,9bであって、その送風作用により冷気流路15Rを通じてチルド室7に連通する開口21a,21bから冷気を供給するとともに冷蔵室3に連通する開口22から冷気を供給する、複数個並列配置されたファン9a,9bを備え、冷気流路15Rの構造を、それぞれのファン9a,9bごとに異ならせ、制御装置20によりそれぞれのファン9a,9bの回転数を制御して、開口21a,21bからチルド室7へ供給する冷気の供給量と、開口22から冷蔵室3へ供給する冷気の供給量とを調整する。
【0042】
これによれば、ファン9a,9bの回転数をそれぞれ制御して、チルド室7と冷蔵室3側とに供給される冷気の供給量を調整することが可能となり、ダンパのような大きな機構部品を設けることなく、チルド室7と冷蔵室3側とに対する冷気の分配を調整することができる。
また、構造的に冷気流路15Rが異なる構成において、ファン9a、9bの回転数をそれぞれ制御することにより、冷却器8の冷却バランスを大きく崩すことなく、チルド室7と冷蔵室3側との冷気の分配割合を大きく変化させることが可能となり、チルド室7と冷蔵室3側を迅速且つ容易に適切な温度範囲に制御することができる。
【0043】
また、一般的にチルド室7は、冷蔵室3よりも容積が小さく且つある程度密閉されていると考えられるため、同じ温度の食材を入れた際には、冷蔵室3に比べると温度が上昇しやすいものといえる。そのため、チルド室7に対する冷気の供給量を相対的に増加させるようにファン9a,9bの回転数制御を行うことで、より迅速にチルド室7を適切な温度範囲に制御することができ、食材が傷んだりすることを抑制できる。
【0044】
前記目標温度範囲ΔTの上限温度T-Hと下限温度T-Lとの双方を低温側に変更するとともに前記目標温度範囲ΔTを狭くするように当該目標温度範囲ΔTの上限温度T-Hと下限温度T-Lとを変更し、その変更した目標温度範囲ΔT´内に冷蔵室3の温度が保持されるように冷却手段を制御するモードであって、複数のファン9a,9bを、それぞれ所定回転数Na、Nbで運転したときよりもチルド室7への冷気の供給量が多くなり且つ冷蔵室3側への冷気の供給量が少なくなる回転数Na´、Nb´で運転する第2運転モードを有する。
【0045】
これによれば、第2運転モードでの運転が行われると、目標温度範囲ΔTが低温側に変更されるため、その変更前よりも冷却手段で冷却を開始するタイミングを早くして(図5(a)参照)、チルド室7や冷蔵室3側の冷却が不充分になる虞を低減することができる。また、目標温度範囲ΔTが狭くなるため、より早く目標温度に冷却することができ(図5(b)参照)、冷却/非冷却時の温度差を極力小さくすることができる。さらに、ファン9a,9bの所定回転数Na、Nbを回転数Na´、Nb´に変更することで、当該モード中の食材の凍結を防止しつつ、チルド室7を前記低温側の温度に迅速に冷却することができる。
【0046】
第2運転モードに設定する操作入力を受付けるための受付部として、操作パネル27や通信部28を備えることから、例えばユーザがチルド室7の食材を前記低温側の温度で貯蔵したいとき、ユーザの操作入力により第2運転モードに設定することができ、使い勝手のよいものとすることができる。
【0047】
複数のファン9a,9bの並列配置は、冷却器8の上方において当該冷却器8の長手方向に互いに隣り合わせた並列の配置形態である。このため、必要な冷却性能を得るために一般的にはある程度の長さで形成されている冷却器8を全体的に利用して冷気を生成することが可能となり、冷却器8における冷却バランスを保つことができる。また、冷却バランスが崩れて部分的に着霜量が増えること等を防止することもできる。
【0048】
冷気流路15Rにおける、複数のファン9a、9bの間に、一方のファン9a側に偏らせて配置した壁部18を備えている。これにより、ファン9a側とファン9b側とにおいて冷気流路15Rの構造を容易に異ならせることができる。このとき、実施形態のようにファン9a,9bを保持するホルダ19に壁部18を一体に形成することで、追加部品を必要とすることなく、又、スペースを消費することなく壁部18を設けることができる。
【0049】
<第2実施形態>
図7は、本第2実施形態における第1運転モードと第2運転モードの設定に係る処理の流れを示すフローチャートであり、制御装置20は、図6のステップS1~S6の処理に代えて、図7のステップS11~S16の処理を実行する。
【0050】
即ち、制御装置20は、モード設定処理を開始すると第1実施形態と同様、目標温度範囲ΔTの変更を初期化して第1運転モードに設定する(ステップS11)。次いで、制御装置20は、赤外線センサ26の検出結果に基づいて、ユーザによりチルド室7へ食材が投入されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0051】
具体的には、赤外線センサ26は、チルド室7内の食材が有する熱エネルギーを赤外線の放射量として検出する。制御装置20は、赤外線センサ26により検出された熱エネルギーの値から、その食材自体の温度を取得して、冷却負荷である食材がチルド室7へ投入されたか否かを判断する。
制御装置20は、食材がチルド室7に投入されていなければ或いは冷却負荷としての食材がチルド室7に存しないとき(ステップS12:NO)、ステップ1にリターンするため、第1運転モードの設定を維持する。
【0052】
これに対し、制御装置20は、食材がチルド室7へ投入されると(ステップS12:YES)、第1運転モードから第2運転モードに設定を変更する(ステップS13)。この場合、制御装置20は、ステップS3と同様、図5(a)の目標温度範囲ΔTの低温側への変更を行うとともに、(b)の温度範囲ΔTを狭くする変更を行うことで、(c)に示す目標温度範囲ΔT´に設定する。また、ファン9aの回転数を初期の回転数Naよりも大きい値Na´に設定し、ファン9bの回転数を初期の所定回転数Nbよりも小さい値Nb´に設定する。
【0053】
この後、制御装置20は、赤外線センサ26の検出結果に基づいて、冷却負荷である食材がチルド室7から取り出され或いは食材の温度がチルド温度に達したと判断するまで(ステップS14でYESと判断するまで)、第2運転モードの設定を継続する(ステップS14とS15を繰り返す)。
【0054】
そして、制御装置20は、食材がチルド室7から取り出される等して、冷却負荷としての食材がチルド室7に存しないとき(ステップS14:YES)、第2運転モードでの運転を終了して(ステップS16)。ステップS11にリターンする。これにより、制御装置20は、上限温度T-Hと下限温度T-Lを初期化して目標温度範囲ΔT´を初期の目標温度範囲ΔTに戻すとともに、ファン9a,9bの回転数Na´,Nb´を初期化して所定回転数Na,Nbに戻し、第1運転モードに復帰する(ステップS11)。
【0055】
以上のように本第2実施形態では、チルド室7内の冷却負荷温度を検出する赤外線センサ26を備え、制御装置20は、赤外線センサ26の検出結果に基づいて、第1運転モードと第2運転モードとの間で設定変更する。これによれば、赤外線センサ26の検出結果に基づき、冷却負荷である食材がチルド室7へ投入された時等、適切なタイミングで第1運転モードと第2運転モードとの設定変更を自動的行うことができる。
また、第2運転モードでチルド室7内の食材を迅速に冷却できる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
なお、赤外線センサ26に代えて、チルド室7の温度を検出するチルド室温度センサ(図示略)をチルド室7の天井部に設け、制御装置20により、当該チルド室温度センサの検出結果に基づいて、第1運転モードと第2運転モードとの間で設定変更するようにしてもよい。この場合、前記ステップS12に代えて、チルド室温度センサにより検出されたチルド室7の温度が所定の上限温度に達したか否かを判定するステップを実行し、前記ステップS14に代えて、チルド室温度センサにより検出されたチルド室7の温度が所定の下限温度に達したか否かを判定するステップを実行する。このように、チルド室温度センサを用いた場合でも、適切なタイミングで第1運転モードと第2運転モードとの設定変更を自動的行うことができる。
【0057】
<第3実施形態>
図8は、本第3実施形態の冷気流路15Rにおける開口21aのガイド壁部31を示す模式図である。
【0058】
同図に示すように、下部ダクト15aの裏面側には、開口21aの近傍に位置させて、ガイド壁部31が設けられている。ガイド壁部31は、縦方向に延びる縦壁32と横方向に延びる横壁33とを一体に有してL字状をなす。ガイド壁部31の縦壁32は、開口21aの左縁に沿い、横壁33は、開口21aの上縁に沿う。これにより、ガイド壁部31は、下部ダクト15a内の冷気流路15Rにおいて、ファン9aから送風される冷気を開口21aに導き、チルド室7への冷気の供給比率を、より高める機能を有する。
以上のように、本第3実施形態では、冷気流路15Rにおける開口21aの近傍に位置させて、その開口21aに冷気を導くガイド壁部31を設けることにより、簡単な構成でチルド室7への冷気の供給比率を増加させることができる。
【0059】
<第4実施形態>
図9は、本第4実施形態の冷気流路15Rにおける開口21aの調整カバー41を示す模式図である。
【0060】
同図に示すように、下部ダクト15aの裏面側には、開口21aの開口面積を調整する調整カバー41が設けられている。調整カバー41は、開口21aを覆う大きさに形成された横長な板状部材である。下部ダクト15aには、調整カバー41を、長手方向たる左右方向へスライド可能に支持する上下一対の支持レール部42が設けられている。調整カバー41の前面には、摘み部41aが設けられている。これにより、ユーザは手指で摘み部41aを摘まんで調整カバー41を左右方向へスライドさせて、所望の開口21aの大きさに調整することができる。
以上のように、本第4実施形態では、開口21aに対して、その開口21aの開口面積を調整する調整カバー41を移動可能に設けることにより、チルド室7への冷気の供給量つまりは冷気の分配を調整することができる。
【0061】
上記した実施形態は一例であり、その要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように変形、拡張あるいは組み合わせることができ、上記した具体数値は、要旨を逸脱しない範囲で適宜設定することができる。
実施形態では開口21aと開口21bの大きさを同じにした構成を例示したが、チルド室7や冷蔵室3側への冷気の供給量は開口21a、開口21bの大きさによって定めることができる。よって開口21aと開口21bの大きさを異ならせることにより、或いは調整カバー41を開口21aと開口21bとの少なくとも何れか一方に設けることにより、チルド室7及び冷蔵室3側に対する冷気の供給量を調整することができる。
【0062】
実施形態ではファン9a側に開口21aを設け、ファン9b側に開口21bを設ける構成を例示したが、例えばファン9a側にのみ開口21aを設け、ファン9aは冷蔵室3側とチルド室7に冷気を供給する構成とし、ファン9bは冷蔵室3側にのみ冷気を供給する構成とすることもできる。勿論、その逆の構成とすることもできる。このような構成によっても、実施形態と同様に大きな機構部品を設けることなくチルド室7や冷蔵室3側への冷気の供給量を調整することができる。
【0063】
第1実施形態では壁部18を偏らせて設ける構成を例示したが、壁部18を偏らせずに、或いは、壁部18を設けずに、開口21aと開口21bの大きさを異ならせる構成とすることもできる。このような構成によっても、チルド室7及び冷蔵室3側への冷気の供給量を調整することができる。また、第4実施形態において冷気の供給量を調整するガイド壁部31と調整カバー41とのうち、ガイド壁部31を省略してもよい。
【0064】
実施形態ではチルド室7内とファン9a、ファン9b側とが直接的に連通している構成を例示したが、ダクト部材を介してチルド室7まで冷気を案内する構成とすることもできる。この場合、ファン9a側とファン9b側とでダクト部材の断面積や折れ曲がり形状等を異ならせることによって、つまりは、冷気流路の大きさや配管抵抗を異ならせる構造とすることによって、実施形態と同様にチルド室7と冷蔵室3側への冷気の量を調整することができる。
また、第2運転モードでは、図5(a)の目標温度範囲ΔTの低温側への変更と、(b)の温度範囲ΔTを狭くする変更とを行うようにしたが、これら(a)と(b)の変更のうち、何れか一方のみの変更を行うようにしてもよい。
【0065】
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
図面中、1は冷蔵庫、2は冷蔵庫本体、3は冷蔵室、7はチルド室、8は冷却器、9a,9bはファン、13は圧縮機(冷却手段)、15Rは冷気流路(背面ダクト)、18は壁部、20は制御装置、21a,21bは開口(第1吹出口)、22は開口(第2吹出口)、25は冷蔵室温度センサ、26は赤外線センサ、27は操作パネル(受付部)、28は通信部(受付部)、31はガイド壁部、41は調整カバーを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9