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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】回転構造物の支持構造
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/22 20060101AFI20221012BHJP
   F27B 7/10 20060101ALI20221012BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
F27B7/22
F27B7/10
F23G5/00 111
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018244614
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020106194
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩祐
(72)【発明者】
【氏名】塩見 謙介
(72)【発明者】
【氏名】若松 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 典之
【審査官】岡田 眞理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-003879(JP,A)
【文献】国際公開第2018/164244(WO,A1)
【文献】特開平10-026323(JP,A)
【文献】実開昭61-172991(JP,U)
【文献】特開2001-065837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 7/00-7/42
F23G 5/00
F23G 5/20-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転構造物の支持構造であって、
横置きに配置された、回転可能な中空円柱状の回転構造物と、
前記回転構造物の外周に間隔を置いて取り付けられた少なくとも二つの環状のタイヤと、
前記タイヤのそれぞれを下方から支持する一対の支持ローラと、
前記タイヤのそれぞれに上方から接触する従動ローラである補助ローラと、を備え、
前記回転構造物がロータリストーカ炉の炉本体であり、
前記少なくとも二つのタイヤの外径が等しく、
前記タイヤの一方を下方から支持する前記一対の支持ローラの間隔が、前記タイヤの他方を下方から支持する前記一対の支持ローラの間隔よりも広くされており、
前記炉本体の前記一方側が前記炉本体内で焼却される廃棄物の排出側である、ことを特徴とする回転構造物の支持構造。
【請求項2】
前記補助ローラのそれぞれを前記タイヤに向けて付勢する付勢装置がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の回転構造物の支持構造。
【請求項3】
前記補助ローラが、前記タイヤのそれぞれに対して一対設けられており、
前記補助ローラが、前記回転構造物の回転軸に対して、前記支持ローラの反対側に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の回転構造物の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転構造物の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリストーカ炉及びロータリキルンなどは、大型回転構造物として円筒状の炉又は窯を備えている(下記特許文献1)。例えば、焼却炉として用いられるロータリストーカ炉の場合、回転構造物である円筒状の炉本体は外径3メートル及び長さ10メートルの大きさを有している。これらの回転構造物は、その回転軸をほぼ水平にして回転可能に下方から支持される。具体的には、回転構造物(炉又は窯)の外周に少なくとも二つのタイヤと呼ばれる環状の被支持部材が離間して取り付けられ、各タイヤが自由回転可能な一対の従動ローラ(ターニングローラ)によって下方から支持される。
【0003】
即ち、回転構造物は、基本的には、四つの従動ローラ上に載せられているだけであり、それ自身の重量(質量)によって従動ローラ上に保持される。なお、モータの出力軸に取り付けられたスプロケットと噛み合う環状ギアも回転構造物の外周に取り付けられており、回転構造物は当該モータによって回転される。また、回転構造物の軸方向の移動を規制するスラストローラ等の機構も設けられる。スラストローラは、回転構造物の軸方向に直角な軸回りに自由回転可能な従動ローラであり、その外周がタイヤの側面に接触される。即ち、スラストローラは、タイヤの軸方向の移動を規制することで、回転構造物の軸方向の移動を規制する。このような大型回転構造物の支持構造は、攪拌機又は乾燥機のドラム等にも用いられており、回転構造物は炉又は窯に限られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-114213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
阪神淡路大震災及び東日本大震災等の大きな地震を経て、近年、地震への対策がより強く要望されている。具体的には、規模のより大きな地震を考慮した設計が回転構造物の支持構造にも求められている。地震に伴う横加速度が回転構造物に作用した場合、当該加速度と回転構造物の質量との積で表される大きさの力が回転構造物に横方向に加わる。上述した従来の支持構造では回転構造物は四つの従動ローラ上に載せられているだけであるので、回転構造物が従動ローラ(ターニングローラ)を乗り越えてしまうと従動ローラ(ターニングローラ及びスラストローラ)及び駆動機構(環状ギア、スプロケット及びモータ)が破損する。回転構造物の質量及び大きさも考えると、これらの機構が破損した場合は復旧が非常に困難となることが予想される。
【0006】
本開示の目的は、より安定的に回転構造物を支持することのできる、回転構造物の支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の回転構造物の支持構造は、横置きに配置された、回転可能な中空又は中実円柱状の回転構造物と、前記回転構造物の外周に間隔を置いて取り付けられた少なくとも二つの環状のタイヤと、前記タイヤのそれぞれを下方から支持する一対の支持ローラと、前記タイヤのそれぞれに上方から接触する従動ローラである補助ローラと、を備えていることを特徴としている。
【0008】
前記補助ローラのそれぞれを前記タイヤに向けて付勢する付勢装置がさらに設けられていてもよい。
【0009】
ここで、前記補助ローラが、前記タイヤのそれぞれに対して一対設けられており、前記補助ローラが、前記回転構造物の回転軸に対して、前記支持ローラの反対側に配置されていてもよい。
【0010】
前記回転構造物がロータリストーカ炉の炉本体であり、前記少なくとも二つのタイヤの外径が等しく、前記タイヤの一方を下方から支持する前記一対の支持ローラの間隔が、前記タイヤの他方を下方から支持する前記一対の支持ローラの間隔よりも広くされており、前記炉本体の前記他方側が前記炉本体内で焼却される廃棄物の排出側であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の回転構造物の支持構造によれば、より安定的に回転構造物を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る回転構造物の支持構造が適用されたロータリストーカ炉の断面図である。
図2図2は、上記回転構造物(炉本体)の断面図である。
図3図3は、図2中のIII部拡大断面図である。
図4図4は、上記支持構造の概略斜視図である。
図5図5は、上記支持構造の正面図である。
図6図6は、上記支持構造の変形例の正面図である。
図7図7は、他の実施形態に係る回転構造物の支持構造の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る回転構造物の支持構造を説明する。一実施形態における回転構造物は、図1~3に示されるように、廃棄物14の焼却炉として用いられるロータリストーカ炉の炉本体1である。後述するタイヤ9を含めて、炉本体1の周辺部品は、炉の高温に対して耐熱性を備えた金属で構成されている。まず、ロータリストーカ炉の構成について説明する。
【0014】
ロータリストーカ炉は、炉本体(回転構造物)1を有している。炉本体1は火格子とも呼ばれ、本実施形態の炉本体1は円筒形の火格子である。炉本体1は、環状に形成された入口ヘッダー管2と出口ヘッダー管3との間に、多数の水管4を周方向に一定間隔で配置することで構成されている。各水管4の両端は、入口ヘッダー管2及び出口ヘッダー管3にそれぞれ接続されている。隣り合う水管4はフィン7によって結合されており、各フィン7には、その長手方向に沿って多数の空気孔6が間隔をおいて形成されている。水管4とフィン7とが交互に結合されることで、炉本体1の円筒形状が形成されている。
【0015】
炉本体1は、カバーケーシング8内に収納され、入口ヘッダー管2よりも出口ヘッダー管3の方が低くなるように傾斜して横置きされる。本実施形態では、炉本体1の設置面F(図4参照)が傾斜されることで、炉本体1が傾斜される。なお、上述したように、炉本体1は横置きされる。ここで、「横置き」とは、炉本体1の回転軸がほぼ水平であることを意味し、正確に水平でない場合も含む。本実施形態では、炉本体1の回転軸は、水平に対して6度傾斜している(上述した設置面Fが水平に対して6度傾斜している)。また、本実施形態の大型回転構造物としての炉本体1は、外径3メートル及び長さ10メートルの大きさを有している。
【0016】
炉本体1の両端近傍の外周には、炉本体1と同心円状にタイヤ9がそれぞれ取り付けられている。二つのタイヤ9の大きさは同じである。炉本体1とタイヤ9との間(図5参照)には炉本体1の径方向の熱膨張を吸収する機構(図示せず)が設けられている。即ち、タイヤ9は、この吸収機構を介して炉本体1の外周に取り付けられている。また、この構造によって、炉本体1とタイヤ9との間には距離が確保されるのでタイヤ9は炉本体1からの熱の影響をほとんど受けず、熱膨張に伴うタイヤ9の外径の変化は無視できる。
【0017】
なお、タイヤ9は外径5メートルの大きさを有しており、炉本体1は、共に回転するタイヤ9などの付随機構も含めて、70~80トンもの重量を有している。各タイヤ9がそれぞれ一対のターニングローラ(支持ローラ)10上に載置されている。ターニングローラ10はカバーケーシング8の外部にあり、ターニングローラ10をタイヤ9に接触させるために、カバーケーシング8には開口部が形成されている。各ターニングローラ10は、自由回転可能な従動ローラである。また、炉本体1を回転させるための駆動源としてモータ11も設けられている(炉本体1の駆動機構については追って詳しく説明する)。
【0018】
各水管4内には、出口ヘッダー管3に連結されたロータリージョイント12を通してボイラ水が循環される。出口ヘッダー管3とロータリージョイント12との間の配管は二重管となっており、水管4へのボイラ水の供給と水管4からのボイラ水の回収とを同時に行う。水管4にボイラ水を循環させることで、熱を回収して再利用できる。また、廃棄物14を高温で燃焼させつつも、ボイラ水の循環によって水管4の温度を所望範囲に制御することで水管4の寿命を延ばすことができる。投入ホッパ13内の廃棄物14は、給塵機15によって炉本体1の内部に供給される。
【0019】
炉本体1の下方にはエアダクト16が設けられている。エアダクト16によって、燃焼用空気5が空気孔6を通して下方から炉本体1の内部に供給される。エアダクト16は、炉本体1の長手方向に三分割された分割流路16aを有しており、各分割流路16aにダンパ17が設けられている。ダンパ17を制御することで、炉本体1内の廃棄物14の長手方向の偏りに応じて、燃焼用空気5の供給量が調整される。図2に示されるように、各分割流路16aは、炉本体1の周方向にも複数の分割部16bに分割されている。各分割部16b毎にもダンパ17が設けられており、回転する炉本体1内の廃棄物14の周方向の偏りに応じて、燃焼用空気5の供給量が調整される。
【0020】
各分割部16bの炉本体1近傍には、シールブロック18が取り付けられている。各水管4の外側に取り付けられたシールプレート19は、炉本体1の回転に伴ってシールブロック18と接触する。従って、エアダクト16から供給された燃焼用空気5は、炉本体1の外側で上方に吹き抜けることなく、空気孔6を通して炉本体1の内部に供給される。また、反対に、シールブロック18及びシールプレート19によってカバーケーシング8内の高温のガスが下方に逃げるのも防止され、燃焼が促進される。
【0021】
上述した構成のロータリストーカ炉では、炉本体1の内部に供給された廃棄物14が、エアダクト16から供給された燃焼用空気5により乾燥・熱分解・燃焼の過程を経て焼却される。低速回転(1~2rph)される炉本体1内の廃棄物14は、炉本体1内で撹拌されつつ炉本体1の傾斜によって徐々に下流へ移送される。なお、炉本体1から排出された焼却物は、後燃焼装置20によって完全に焼却される。また、炉本体1及び後燃焼装置20での燃焼で生じた排ガス中の有害物質は、二次燃焼室21で分解される。
【0022】
次に、上述したロータリストーカ炉に採用された、炉本体(回転構造物)1の支持構造について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4及び図5は、概略図である。例えば、水管4及びフィン7からなる炉本体1の構造は、図4では示されていない。図4に示されるように、炉本体(回転構造物)1は、傾斜された設置面F上に設けられたフレーム30の内部に配置されている。フレーム30も、カバーケーシング8の内部にある。フレーム30は、設置面Fから直角に立設された四本の柱31と、柱31の上端を繋ぐ四本の梁32とで構成されている。
【0023】
上述したように、炉本体1は、タイヤ9を介して、下方より四つのターニングローラ10で支持されている。即ち、炉本体1は、タイヤ9を介して、四つのターニングローラ10上に載せられている。図4には、上述したモータ11の出力軸に取り付けられたスプロケット11aも示されている。スプロケット11aは、傾斜している炉本体1の上方側のタイヤ9に隣接して設けられた環状ギア11bと噛み合っている。環状ギア11bも、タイヤ9と同様に炉本体1の外周に取り付けられている。スプロケット11a及び環状ギア11bによって、いわゆるピンギア構造が構築されている。また、モータ11、スプロケット11a及び環状ギア11bによって炉本体1の駆動機構が構成されており、炉本体1はこの駆動機構によって回転される。本実施形態の四つのターニングローラ10は全て同一であり(外径が同じ)、各タイヤ9に対応する一対のターニングローラ10の間隔は同じである。
【0024】
また、傾斜している炉本体1の上方側のタイヤ9に付随して、炉本体1の軸方向の移動を抑止するスラストローラ(図示せず)も設けられている。スラストローラは、炉本体1の軸方向に直角な軸回りに自由回転可能な従動ローラであり、その外周がタイヤ9の側面に接触している。本実施形態では、炉本体1の傾斜を考慮して、炉本体1の軸方向に沿った下方への移動を規制するために、タイヤ9の傾斜下方側にスラストローラが設けられている。しかし、炉本体1の軸方向に沿った上方への移動も規制するために、タイヤ9の傾斜上方にもスラストローラがさらに設けられてもよい。この場合、タイヤ9は、一対のスラストローラによって挟まれることとなる。
【0025】
さらに、各タイヤ9に上方から接触する補助ローラ35も設けられている。補助ローラ35は自由回転可能な従動ローラである。本実施形態では、各タイヤ9に対して一対の補助ローラ35が接触している。各補助ローラ35は、タイヤ9に向けて付勢されており、タイヤ9の外周に押圧されている。具体的構成としては、フレーム30の上部コーナに二本の平行なブレース33が固定され、これらのブレース33にスプリングハンガ(付勢装置)34が固定されている。なお、二本のブレース33でスプリングハンガ34を固定した方が剛性及び強度が高いので好ましいが、剛性及び強度上問題がなければ一本のブレース33でスプリングハンガ34を固定してもよい。そして、このスプリングハンガ34のプランジャに補助ローラ35が回転可能に取り付けられている。補助ローラ35は、スプリングハンガ34のコイルスプリング36によって、タイヤ9に向けて付勢されてタイヤ9の外周に押圧される。
【0026】
また、本実施形態では、補助ローラ35は、炉本体1の回転軸O(図5参照)に対して、ターニングローラのそれぞれの反対側に配置されている。従って、コイルスプリング36が補助ローラ35をタイヤ9に押圧する力は、ターニングローラ10によって効果的に受け止められる。また、この押圧力は炉本体1及びタイヤ9の回転軸Oを通る方向に作用するので、この押圧力によってタイヤ9に横力を作用させてしまうこともない。なお、炉本体1(タイヤ9)の回転軸O、ターニングローラの回転軸P、及び、補助ローラ35の回転軸は、互いに平行である。
【0027】
図4では、ターニングローラ10は設置面Fと同じ高さに配置されて、概略的に示されている。しかし、実際には、図5に示されるように、ターニングローラ10はベース10Xを介して設置面F上に設けられている。また、上述したように、図5に示される炉本体1とタイヤ9との間には、炉本体1の径方向の熱膨張を吸収する機構(図示せず)が設けられる。なお、炉本体1の軸方向の熱膨張は、10メートルの長さで2センチメートル程度である。傾斜上方側のタイヤ9の軸方向の位置は上述したようにスラストローラで規制されるため、炉本体1の軸方向の熱膨張は、傾斜下方側のタイヤ9及びターニングローラ10の幅で吸収される。即ち、ターニングローラ10は、炉本体1の軸方向の熱膨張を許容し得る幅を有している。
【0028】
本実施形態では、上述したように、タイヤ9に補助ローラ35が上方から接触している。即ち、ターニングローラ10上に載置された炉本体1は、ターニングローラ10によって下方から支持されると共に、補助ローラ35によって上方から保持されている。このため、ターニングローラ10上に載置された炉本体1に地震に伴う横力が作用しても、炉本体1のターニングローラ10からの浮き上がりが補助ローラ35によって阻止される。この結果、炉本体1は、横力に効果的に対抗でき、より安定的に支持される。なお、地震によって縦加速度が生じる場合もあるが、炉本体1は縦加速度に起因する縦力にも補助ローラ35によって効果的に対抗できる。炉本体1は一方向に継続して回転されるので、炉本体1をどこかに締結してターニングローラ10からの落下を防止することは非常に困難である。このような補助ローラ35を用いた保持機構を伴う支持構造を採用することで、確実に炉本体1を支持することができる。
【0029】
また、本実施形態では、補助ローラ35がスプリングハンガ(付勢装置)34によってタイヤ9に向けて付勢されてタイヤ9に押圧されている。このため、炉本体1が、地震によって、ターニングローラ10から落下はしないがターニングローラ10上で振動した場合に、当該振動をスプリングハンガ34で吸収することができる。また、炉本体1はターニングローラ10上で回転するが、タイヤ9は完全な真円ではないため、補助ローラ35の位置が固定されていると補助ローラ35と回転するタイヤ9との間の接触状態が安定しないことが考えられる。しかし、補助ローラ35がスプリングハンガ(付勢装置)34によってタイヤ9に向けて付勢されていれば、補助ローラ35とタイヤ9との間の接触状態が安定する。即ち、スプリングハンガ(付勢装置)34によって補助ローラ35をより安定的にタイヤ9に接触させることができ、炉本体1をさらに一層安定的に支持することができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、補助ローラ35が、タイヤ9のそれぞれに対して一対設けられており、各補助ローラ35が、炉本体1の回転軸Oに対して、対応するターニングローラ10の反対側に配置されている。このように補助ローラ35を配置することで、スプリングハンガ(付勢装置)34が補助ローラ35をタイヤ9に押圧する力が、ターニングローラ10によって効果的に受け止められる。この結果、タイヤ9、即ち、炉本体1をより一層安定的に支持できる。また、タイヤ9は一対のターニングローラ10上に載置され、ターニングローラ10に対して反対側に補助ローラ35が配置される。一対のターニングローラ10上に載置されたタイヤ9の回転軸Oは一対のターニングローラの中央に調心されるので、ターニングローラ10及び補助ローラ35は回転軸Oを通る鉛直面に対して左右対称に配置される。従って、タイヤ9(炉本体1)はターニングローラ10及び補助ローラ35によって、回転可能に四方から安定的に支持される。
【0031】
なお、本実施形態では、補助ローラ35はタイヤ9の外周面に押圧された。このようにした方が、炉本体1を保持する効果が高い。しかし、補助ローラ35の位置が変位しないように取り付ければ、タイヤ9、即ち、炉本体1がターニングローラ10から落下することは抑止できる。従って、この場合は、補助ローラ35は、少なくともタイヤ9と接触していればよく、必ずしもタイヤ9の外周面に押圧されなくてもよい。
【0032】
図5に示される本実施形態の変形例を図6に示す。図6に示されるように、本変形例では、各タイヤ9に対して1つの補助ローラ35が設けられる。補助ローラ35は、梁32上に設けられたサブフレーム33aを利用してフレーム30に取り付けられている。具体的には、平行な梁32とサブフレーム33aの横部材とにスプリングハンガ(付勢装置)34が固定されている。スプリングハンガ(付勢装置)34が補助ローラ35及びコイルスプリング36を有しているのは図5に示される実施形態と同様である。
【0033】
補助ローラ35の回転軸は、炉本体1の回転軸Oを含む鉛直面内にある。タイヤ9は、ターニングローラ10上に載置されるので、ターニングローラ10は当該鉛直面に対して対称に配置される。即ち、補助ローラ35はタイヤ9の真上からタイヤ9に向けて付勢されて接触しており(タイヤ9を押圧しており)、その押圧力の方向は当該鉛直面に沿って作用する。なお、炉本体1が傾斜しているのでタイヤ9も傾いており、「真上」とは、当該鉛直面内でタイヤ9の回転軸Oに対して直角且つ上方からという意味である。このようにしても、炉本体1のターニングローラ10上からの落下を阻止でき、炉本体1をより安定的に支持できる。
【0034】
なお、より効果的に横力に対抗するのに、一対のターニングローラ10の間隔を広くすることも考えられる。即ち、図5に示されるターニングローラ10の中心角αを大きくしてもよい。例えば、中心角αが30°よりも40°の方がより効果的に横力に対抗できる。ただし、一対のターニングローラ10の間隔を広げ過ぎると(中心角αを大きくし過ぎると)、炉本体1(及び付随して回転するタイヤ9などを含む構成部分)の重量に起因してターニングローラ10に作用する横方向の分力が大きくなってしまう。また、ロータリストーカ炉の設置面積も大きくする必要がある。
【0035】
次に、一対のターニングローラ10の間隔を広げることを利用した他の実施形態を、図7を参照しつつ説明する。本実施形態の回転構造物も、ロータリストーカ炉の炉本体1である。従って、図1~4に示される上記実施形態と同一及び同等の構成要素には、同一の参照符号を付してそれらの詳しい説明は省略する。上述したように、炉本体1は、内部の廃棄物14を徐々に下流へと移送するために、その排出側が下方となるように傾斜されている。そのために、上記実施形態では、設置面F自体が傾斜されていた。本実施形態では、図7に示されるように、設置面Fhは水平面であり、ターニングローラ10U及び10Dの間隔を利用して炉本体1を傾斜させる。即ち、炉本体(回転構造物)1の支持構造を利用して、炉本体1を傾斜させる。
【0036】
具体的には、図4に示される上述した実施形態における炉本体1の排出側の一対のターニングローラ10の(回転軸Pの)間隔dが、本実施形態では図7に示されるように(回転軸Qの)間隔Dに広げられている(d<D)。即ち、廃棄物14の排出側(一方)のタイヤ9を下方から支持する一対のターニングローラ10Dの間隔Dが、投入側(他方)のタイヤ9を下方から支持する一対のターニングローラ10Uの間隔dよりも広くされている。より詳しくは、排出側におけるタイヤ9とターニングローラ10Dとの接触位置の間隔が、投入側におけるタイヤ9とターニングローラ10Uとの接触位置の間隔よりも広くされている。
【0037】
このようにすることで、設置面Fhを水平にしつつも、炉本体1を傾斜して設置することができる。図7に示されるように、炉本体1の回転軸Oは水平軸Hに対して傾斜角θで傾斜しており、フレーム30の柱31は鉛直軸Vに対して傾斜角θで傾いている。なお、簡略的に示されている図7では、設置面Fhと炉本体1との干渉を回避するために、設置面Fh上に凹部40が形成されている。しかし、上述したように、ターニングローラ10U及び10Dがベース10X(図5参照)を介して設置面Fh上に設けられれば、このような凹部40を形成する必要はない(設置面Fhと炉本体1とが干渉しない)。また、設置面Fhに対してフレーム30が傾斜されるので、図7に示されるようなブレース37が設置面Fhと柱との間に設けられてもよい。
【0038】
また、この場合、排出側の一対のターニングローラ10Dの間隔が広いので、より効果的に横力に対応することができる。なお、上述したように、ロータリストーカ炉では、炉本体1の内部の廃棄物14に偏りが生じる(図1及び図2参照)。炉本体1の投入側の方が排出側よりも廃棄物14の量が多い。また、廃棄物14は焼却によって灰になるため、投入側の燃焼初期の廃棄物14の方が排出側の燃焼後の廃棄物14よりも重い場合が多い。従って、ロータリストーカ炉の運用時には、炉本体1の回転軸Oに対して、炉本体1の投入側の重心は排出側の重心より低くなることも考えられる。
【0039】
このような場合、地震に伴う横力を考慮する場合、投入側では重量は重いが重心も低い一方で、排出側では重量は軽いが重心が高くなることも考えられる。従って、炉本体1に関して、横力によって投入側及び排出側のどちらの方で炉本体1が落下しやすいとは一概には言い難い。しかし、運用状況によっては(廃棄物14の種類及び量も変わるので)、投入側よりも排出側の方で炉本体1が落下しやすい状態となることも考えられる。いずれにしても、排出側に関してはターニングローラ10Dの間隔が広いので横力に対してより効果的に対抗でき、かつ、投入側及び排出側とも補助ローラ35によって炉本体1をより安定的に支持することができる。従って、本実施形態では、設置面Fhを水平とし、かつ、炉本体1を傾斜して設置しつつ、より安定的に炉本体1を支持することができる。
【0040】
本実施形態によっても、図4に示される上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、ターニングローラ10U及び10Dの間隔を利用して炉本体1を傾斜させるので、設置面Fhを水平面とすることができる。従って、ロータリストーカ炉の建屋を建築し易くできる。また、ロータリストーカ炉を建屋内で組み立てる際に、設置面Fhを水平面にできるので、工作機械(フォークリフトなど)だけでなく作業員の足場も安定するので設置作業を行いやすくできる。
【0041】
なお、上述したように、炉本体1(タイヤ9)の回転軸O、ターニングローラ10Uの回転軸P、ターニングローラ10Dの回転軸Q、及び、補助ローラ35の回転軸は、互いに平行である。しかし、これらは全て水平軸Hに対して傾斜角θで傾斜している。また、フレーム30の柱31も鉛直軸Vに対して傾斜角θで傾いている。一方で、図4に示される上述した実施形態でも、炉本体1(タイヤ9)の回転軸O、ターニングローラの回転軸P、及び、補助ローラ35の回転軸は、水平ではなく設置面Fと共に傾斜しており、フレーム30の柱31も鉛直ではなく傾いている。即ち、これらの傾きはデメリットではなく、本実施形態では設置面Fhが水平であるので、これらを傾斜する構造を構築する作業も行いやすい。
【0042】
なお、本開示は上記実施形態(変形例を含む)に限定されない。例えば、上記実施形態では、ターニングローラ(支持ローラ)10は全て従動ローラであり、駆動機構が別に設けられた。しかし、何れか一つ又は複数のターニングローラ10をモータ11で直接駆動することで、炉本体1を回転させてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、フレーム30を利用して補助ローラ35を配置したが、ロータリストーカ炉の建屋の壁及び天井(建屋の柱及び梁)を利用して補助ローラ35を配置してもよい。(この場合、建屋の構造部材でフレーム30が形成されていると考えることもできる。)
【0044】
また、上記実施形態では、フレーム30は直方体状に形成されたが、門形のフレームを各タイヤ9に対して一つずつ設けてもよい。このようにしても、補助ローラ35をタイヤ9に接触(押圧)させることはできる。また、図4及び図7に示される実施形態では、フレーム30の柱31は鉛直に延設されてはいない(鉛直に対して傾いている)。しかし、鉛直な柱31によってフレーム30を形成させても、タイヤ9に対して補助ローラ35を直角に押圧できればよい。例えば、傾斜角θで傾斜する炉本体1に合わせて、鉛直な柱31を有するフレーム30に対してスプリングハンガ34を斜めに取り付ければよい。
【0045】
また、上記実施形態では、回転構造物はロータリストーカ炉の炉本体1であったが、これに限定されない。回転構造物は、ロータリキルンの円筒状の窯、又は、攪拌機若しくは乾燥機のドラムであってもよい。さらに、回転構造物は、円筒形(中空円柱状)でなく中実円柱状であってもよいし、円錐台のような回転体形状を有する持つ回転構造物でもよい。このような回転体形状を持つ回転構造物でも、補助ローラ35を設けることで、当該回転構造物をより安定的に支持することができる。なお、この場合、少なくとも二つのタイヤ9の外径は、同じでもよいし(回転構造物との距離が異なる)、異なってもよい(回転構造物との距離を同じにできる)。
【0046】
また、上記実施形態では、炉本体(回転構造物)1に二つのタイヤ9が取り付けられたが、三つ以上のタイヤ9が、互いに離間されて取り付けられてもよい。回転構造物1が軸方向に長い場合などは、二つだけでなく三つ以上のタイヤ9で支持することでより適切に回転構造物1を支持できる。なお、補助ローラ35は、全てのタイヤ9に対して設けられなければならないということはない。少なくとも一つのタイヤ9に対して設けられればよい。例えば、一つのタイヤ9については、ターニングローラ10の間隔を広げることのみで横力に対抗し、他のタイヤ9については、ターニングローラ10の間隔を上記の一つのタイヤ9のターニングローラ10の間隔よりも狭くしつつも補助ローラ35を設けて横力に対抗してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、付勢装置としてスプリングハンガ34が用いられた。しかし、付勢装置は、タイヤ9に向けて補助ローラ35を付勢して補助ローラ35をタイヤ9に押圧できればよく、例えば、液圧を用いて補助ローラ35をタイヤ9に向けて付勢してもよい。あるいは、コイルスプリング36に代えて、ゴムなどの弾性部材を用いて、当該弾性部材の弾性復元力によって補助ローラ35をタイヤ9に向けて付勢してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、回転構造物が炉本体1であったため、ターニングローラ10や補助ローラ35は高温に耐えられる金属で構成された。しかし、回転構造物が高温にならないのであれば、ターニングローラ10及び補助ローラ35は、その外周にゴムなどを有していてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 炉本体(回転構造物)
9 タイヤ
10,10U,10D ターニングローラ(支持ローラ)
14 廃棄物
34 スプリングハンガ(付勢装置)
35 補助ローラ
d,D (ターニングローラの)間隔
O (炉本体及びタイヤの)回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7