(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221012BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L21/304 648A
H01L21/304 648J
H01L21/304 651M
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2018247438
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】菊本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光治
(72)【発明者】
【氏名】天久 賢治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 毅
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 祐一
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103597(JP,A)
【文献】特開2017-162978(JP,A)
【文献】特開2016-219471(JP,A)
【文献】特開2010-225935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を収容
して基板に対し液処理を行う液処理室および前記
液処理室において前記基板に対し
ノズルから処理液を供給する液処理部と、
前記基板を収納する収納室からの前記基板を前記
液処理部に供給する基板供給部と、
前記基板供給部と前記
液処理部との間に設けられ、前記基板を収容する加熱処理室および前記加熱処理室にて前記基板を加熱するヒーターを有する加熱処理部と、
前記基板供給部から供給される前記基板を、順に、前記
液処理部、前記加熱処理部、前記基板供給部に搬送する搬送部と、
を備え
、
前記基板供給部は、前記収納室と前記基板を搬出入するインデクサロボットおよび該インデクサロボットから前記基板が渡される基板受渡部を含み、
前記搬送部は、
前記基板受渡部から前記基板の授受を行うとともに、前記基板を前記加熱処理部に搬出入する第1搬送ロボットと、
前記第1搬送ロボットと前記基板の授受が行われる第1搬送部と、
前記第1搬送部との間で前記基板の授受が行われるとともに、前記液処理部に前記基板を搬出入する第2搬送ロボットと、
を含み、
前記第1搬送ロボットは、前記インデクサロボットから受け取った前記基板を前記第1搬送部を介して前記第2搬送ロボットに渡し、前記第2搬送ロボットは前記第1搬送部を介して受け取った前記基板を前記液処理部に搬入し、前記液処理部で前記液処理が行われた前記基板を前記液処理部から受け取って、前記第1搬送部を介して前記第1搬送ロボットに渡し、前記第1搬送ロボットは前記第1搬送部を介して受け取った前記基板を前記加熱処理部に搬入し、前記加熱処理部で加熱された前記基板を受け取って前記基板受渡部に渡し、前記インデクサロボットは前記基板受渡部から前記基板を受け取って前記収納室に前記基板を搬入する、基板処理装置。
【請求項2】
請求項
1の基板処理装置であって、
前記加熱処理部と前記
液処理部とが第1方向に離間して配置されており、
前記
第1搬送部は、
前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットの間に配置され
、
前記基板を保持す
る基板保持具、および前
記基板保持具を第1方向に移動させる第1モーターを有
し、
前記基板保持具は、第1授受位置で前記第1搬送ロボットと前記基板の授受を行うとともに第2授受位置で前記第2搬送ロボットと前記基板の授受を行い、
前記第1モーターは、前記第1授受位置と前記第2授受位置との間で前記基板保持具を前記第1方向に沿って移動させる、基板処理装置。
【請求項3】
請求項
2の基板処理装置であって、
前記
第1搬送
ロボットは、前記
基板を保持するハンドと、前記ハンドを鉛直方向の旋回軸線まわりに旋回させる旋回モーター
と、をさらに有する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項
2の基板処理装置であって、
前記加熱処理部は、鉛直方向に重なる複数の前記加熱処理室を含み、
前記
液処理部は、鉛直方向に重なる複数の前記
液処理室を含み、
前記
第1搬送ロボットおよび前記
第2搬送ロボットの各々は、前記
基板を保持するハンドと、前記ハンドを鉛直方向に移動させる移動モーター
と、を有する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項
4の基板処理装置であって、
前記
第1搬送ロボットが前記加熱処理部における最も高い前記加熱処理室に前記基板を搬送するときの前記基板の鉛直位置、および前記
第2搬送ロボットが前記
液処理部における最も高い前記
液処理室に前記基板を搬送するときの前記基板の鉛直位置が同一である、基板処理装置。
【請求項6】
請求項
1から請求項5のいずれか1項の基板処理装置であって、
前記
第1搬送ロボットは、前記基板受渡部および前記第1搬送部に対して同一の高さで前記基板を搬送する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項
2から請求項5のいずれか1項の基板処理装置であって、
前
記基板保持具よりも上方の位置から下方に向けてエアを供給するエア供給部、
をさらに備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に対して加熱処理を含む各処理を行う基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体基板、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、プリント基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板の製造工程においては、基板処理装置において、基板に対して規定処理が行われた後、当該基板を加熱処理が行われる場合がある。例えば、特許文献1では、カセットステーションから供給された半導体ウエハを、搬送機構が、順に表面洗浄ユニット、裏面洗浄ユニット、加熱ユニット、冷却ユニットに搬送し、その後再びカセットステーションに搬送する。洗浄された半導体ウエハを加熱処理することによって、半導体ウエハが乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、カセットステーション、表面洗浄ユニット、裏面洗浄ユニットおよび加熱ユニットが、この順番で配置されている。すなわち、加熱ユニットは、各洗浄ユニットの、カセットステーションとは反対側に設けられている。このため、加熱ユニットから取り出された半導体ウエハは、各洗浄ユニットの横を通過してカセットステーションに戻される。したがって、加熱処理後の半導体ウエハに各洗浄ユニットで発生した異物(洗浄液を含む。)が付着することによって、汚染されるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、加熱処理後に搬送される基板の汚染を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、基板を処理する基板処理装置であって、前記基板を収容して基板に対し液処理を行う液処理室および前記液処理室において前記基板に対しノズルから処理液を供給する液処理部と、前記基板を収納する収納室からの前記基板を前記液処理部に供給する基板供給部と、前記基板供給部と前記液処理部との間に設けられ、前記基板を収容する加熱処理室および前記加熱処理室にて前記基板を加熱するヒーターを有する加熱処理部と、前記基板供給部から供給される前記基板を、順に、前記液処理部、前記加熱処理部、前記基板供給部に搬送する搬送部とを備え、前記基板供給部は、前記収納室と前記基板を搬出入するインデクサロボットおよび該インデクサロボットから前記基板が渡される基板受渡部を含み、前記搬送部は、前記基板受渡部から前記基板の授受を行うとともに、前記基板を前記加熱処理部に搬出入する第1搬送ロボットと、前記第1搬送ロボットと前記基板の授受が行われる第1搬送部と、前記第1搬送部との間で前記基板の授受が行われるとともに、前記液処理部に前記基板を搬出入する第2搬送ロボットと、を含み、前記第1搬送ロボットは、前記インデクサロボットから受け取った前記基板を前記第1搬送部を介して前記第2搬送ロボットに渡し、前記第2搬送ロボットは前記第1搬送部を介して受け取った前記基板を前記液処理部に搬入し、前記液処理部で前記液処理が行われた前記基板を前記液処理部から受け取って、前記第1搬送部を介して前記第1搬送ロボットに渡し、前記第1搬送ロボットは前記第1搬送部を介して受け取った前記基板を前記加熱処理部に搬入し、前記加熱処理部で加熱された前記基板を受け取って前記基板受渡部に渡し、前記インデクサロボットは前記基板受渡部から前記基板を受け取って前記収納室に前記基板を搬入する。
【0009】
第2態様は、第1の基板処理装置であって、前記加熱処理部と前記液処理部とが第1方向に離間して配置されており、前記第1搬送部は、前記第1搬送ロボットと前記第2搬送ロボットとの間に配置され、前記基板を保持する基板保持具、および前記基板保持具を第1方向に移動させる第1モーターを有し、前記基板保持具は、第1授受位置で前記第1搬送ロボットと前記基板の授受を行うとともに第2授受位置で前記第2搬送ロボットと前記基板の授受を行い、前記第1モーターは、前記第1授受位置と前記第2授受位置との間で前記基板保持具を前記第1方向に沿って移動させる。
【0011】
第3態様は、第2態様の基板処理装置であって、前記第1搬送ロボットは、前記基板を保持するハンドと、前記ハンドを鉛直方向の旋回軸線まわりに旋回させる旋回モーターと、をさらに有する。
【0012】
第4態様は、第2態様の基板処理装置であって、前記加熱処理部は、鉛直方向に重なる複数の前記加熱処理室を含み、前記液処理部は、鉛直方向に重なる複数の前記液処理室を含み、前記第1搬送ロボットおよび前記第2搬送ロボットの各々は、前記基板を保持するハンドと、前記ハンドを鉛直方向に移動させる移動モーターと、を有する。
【0013】
第5態様は、第4態様の基板処理装置であって、前記第1搬送ロボットが前記加熱処理部における最も高い前記加熱処理室に前記基板を搬送するときの前記基板の鉛直位置、および前記第2搬送ロボットが前記液処理部における最も高い前記液処理室に前記基板を搬送するときの前記基板の鉛直位置が同一である。
【0014】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記第1搬送ロボットは、前記基板受渡部および前記第1搬送部に対して同一の高さで前記基板を搬送する。
【0015】
第7態様は、第2態様から第5態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記第1基板保持具よりも上方の位置から下方に向けてエアを供給するエア供給部をさらに備える。
【発明の効果】
【0016】
第1態様の基板処理装置によると、加熱処理部で加熱処理が完結した基板が、液処理部とは反対側の基板供給部へ搬送される。このため、加熱処理部で加熱処理された基板が、液処理部の付近を通らずに基板供給へ搬送される。したがって、液処理部およびその周辺で発生した異物が、加熱処理部から搬出された基板に付着することを軽減できるため、加熱処理後に搬送される基板の汚染を軽減できる。
【0019】
第2態様の基板処理装置によると、第1搬送部を備えることによって、加熱処理部と液処理部とを第1方向に離すことができる。このため、液処理部およびその周辺で発生した異物が、加熱処理部から搬出された基板に付着することを軽減できる。また、加熱処理部の熱が、液処理部に影響することを低減できる。
【0021】
第3態様の基板処理装置によると、ハンドを鉛直方向の旋回軸線まわりに旋回させることによって、基板の水平位置を変更できる。このため基板供給部、第1搬送部、および加熱処理部を第1搬送ロボットの周囲に配置することによって、これらの間で基板を搬送できる。
【0022】
第4態様の基板処理装置によると、各加熱処理室および各液処理室が鉛直方向に重ねられているため、加熱処理部および液処理部の占有面積を小さくしつつ、複数の基板を並行に処理できる。また、第1搬送ロボットおよび第2搬送ロボットの各々のハンドが鉛直方向に移動できる。このため、第1搬送ロボットおよび第2搬送ロボットが鉛直方向に積まれた各加熱処理室および各液処理室に対して基板を搬送できる。
【0023】
第5態様の基板処理装置によると、第1搬送ロボットおよび第2搬送ロボットは、同一の鉛直位置で最上の加熱処理室および液処理室の各々に基板を搬送するため、第1搬送ロボットおよび第2搬送ロボットのハンドを昇降する機構について、共通の構成を採用できる。
【0024】
第6態様の基板処理装置によると、基板受渡部と第1搬送部との間で、基板を鉛直方向に移動させず水平移動させることによって基板を搬送できるため、基板を円滑に搬送できる。
【0025】
第7態様の基板処理装置によると、第1搬送部において、基板よりも上方から下方にエアの気流が形成される。この気流の作用によって、液処理部側から加熱処理部側への異物が移動することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態の基板処理装置1の全体レイアウトを示す概略平面図である。
【
図2】実施形態の基板処理装置1を示す概略側面図である。
【
図3】実施形態の流体処理室32を示す概略側面図である。
【
図4】実施形態の加熱処理室42を示す概略側面図である。
【
図5】実施形態のシャトル搬送機構50を示す概略側面図である。
【
図6】変形例に係る基板処理装置1Aの全体レイアウトを示す概略平面図である。
【
図7】変形例に係る搬送ロボット60Aの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0028】
添付の図面では、右手系のXYZ直交座標系の各方向を示す矢印が付されている場合がある。ここでは、X軸方向およびY軸方向を水平方向とし、Z軸方向を鉛直方向とする。各矢印の先端が向く方を+(プラス)方向とし、その逆方向を-(マイナス)方向とする。
【0029】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「~の上」とは、特に断らない限り、2つの要素が接している場合のほか、2つの要素が離れている場合も含む。
【0030】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態の基板処理装置1の全体レイアウトを示す概略平面図である。
図2は、実施形態の基板処理装置1を示す概略側面図である。基板処理装置1は、半導体の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置であり、ここでは、円形のシリコンの基板Wに加熱処理以外の処理を実行することが可能な規定処理を行う規定処理、および加熱処理を行う。本例では、規定処理は流体処理である。流体処理は、液体またはガスを基板Wに供給して基板Wの表面を処理することをいう。
【0031】
基板処理装置1は、インデクサ部IDおよび処理部PUを水平方向であるX方向に連結して構成される。本例では、インデクサ部IDは-X側に配置され、処理部PUは+X側に配されている。処理部PUは、+X側に配された加熱処理部40と-X側に配された流体処理部30とを含む。加熱処理部40および流体処理部30は、X軸方向に離間して配置されている。
【0032】
基板処理装置1は、シャトル搬送機構50(第1搬送部)を備える。シャトル搬送機構50は、処理部PUに設けられており、ここでは、加熱処理部40よりも+X側(流体処理部30の側)であって、流体処理部30よりも-X側(加熱処理部40の側)に設けられている。
【0033】
基板処理装置1は、基板処理装置1に設けられた要素の動作を制御して、基板Wの処理を実現する制御部90を備える。
【0034】
インデクサ部IDは、複数のキャリアC(収納室)を載置する載置台11、および各キャリアCに対して基板Wを搬送するインデクサロボット12およびパス部80を含む。
【0035】
載置台11には、水平方向であるY軸方向に沿って複数(ここでは4つ)のキャリアCを整列状態が載置される。載置台11に対してはAGV(automated guided vehicle)等の無人搬送機構によってキャリアCの搬入および搬出が行われる。キャリアCは、複数枚の基板Wを収納する収納室の一例である。キャリアCとして、複数枚の基板Wを所定間隔の積層状態で密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)が採用されてもよい。なお、キャリアCとして、FOUPのほか、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納された基板Wを外気に曝すOC(open cassette)が採用されてもよい。載置台11に載置されるキャリアCの数量は、4つに限定されるものではなく、1~3つ、あるいは5つ以上であってもよい。
【0036】
インデクサロボット12は、未処理の基板Wを各キャリアCから搬出して処理部PUに渡すとともに、処理が完了した処理済の基板Wを処理部PUから受け取って各キャリアCに搬入する。インデクサロボット12は、Y軸方向に沿って形成された搬送路10を走行するとともに、各キャリアCとパス部80との間で基板Wを搬送する。
【0037】
インデクサロボット12は、2つのアーム13a,13bを独立して駆動することができるいわゆるダブルアーム型の搬送ロボットである。各アーム13a,13bの先端には、鉛直方向に位置をずらされたハンド14aおよびハンド14bがそれぞれ結合されている。ハンド14bは、ハンド14aの-Z側に設けられている。ハンド14aおよびハンド14bは、それぞれ1枚の基板Wを水平姿勢で保持する。
【0038】
インデクサロボット12は、アーム13a,13bを独立して駆動することによって、ハンド14aおよびハンド14bを個別に水平方向へ進退移動させるモーターを含む進退駆動機構15を備えている。また、インデクサロボット12は、アーム13a,13bをZ軸方向に平行な鉛直軸線まわりに旋回させる旋回モーターを含む旋回駆動機構、アーム13a,13bを鉛直方向に昇降させる昇降モーターを含む昇降駆動機構、および、インデクサロボット12全体を搬送路10に沿って水平移動させる移動モーターを含むスライド駆動機構(いずれも図示省略)を備える。インデクサロボット12は、各モーターの作用によりハンド14aおよびハンド14bを個別に載置台11の各キャリアCの内部に進入させることによって、未処理の基板Wの取り出し、および処理済の基板Wの格納を行う。また、インデクサロボット12は、ハンド14aおよびハンド14bを個別にパス部80の内部に進入させることによって、未処理の基板Wの引き渡し、および処理済の基板Wの受け取りを行う。
【0039】
パス部80は、インデクサ部IDよりも+X側(すなわち、流体処理部30を含む処理部PUに近い側)に設けられている。本例では、パス部80は、インデクサロボット12と第1搬送ロボット60との間に設けられている。後述するように、インデクサロボット12からパス部80に渡された未処理の基板Wは、第1搬送ロボット60によって流体処理部30に搬送される。インデクサ部IDおよびパス部80は、キャリアCに収納された基板Wを流体処理部30に供給する基板供給部の一例である。
【0040】
処理部PUは、シャトル搬送機構50のほか、第1搬送ロボット60および第2搬送ロボット70を備える。
【0041】
第1搬送ロボット60は、パス部80とシャトル搬送機構50との間に配置されている。第1搬送ロボット60は、+Y側および-Y側に配置された加熱処理タワー41の間に設けられている。加熱処理タワー41は、鉛直方向に積み重ねられた複数(本例では5つ)の加熱処理室42で構成される。また、本例では、パス部80は2つの加熱処理タワー41の間に設けられている。複数の加熱処理室42を積み重ねて加熱処理タワー41を形成することにより、加熱処理部40の専有面積を小さくしつつ、複数の基板Wを並行に加熱処理できる。
【0042】
第2搬送ロボット70は、流体処理部30の水平方向中央部に中央に設置されている。ここでは、流体処理部30が備える4つの流体処理タワー31の中央に設けられている。流体処理タワー31は、鉛直方向に積み重ねられた複数(本例では3つ)の流体処理室32で構成されている。4つの流体処理タワー31のうち、2つは流体処理部30の+Y側にてX軸方向に配列されており、残りの2つは流体処理部30の-Y側にてX軸方向に配列されている。複数の流体処理室32を積み重ねて流体処理タワー31を形成することにより、流体処理部30の専有面積を小さくしつつ、複数の基板Wを並行に加熱処理できる。
【0043】
第2搬送ロボット70は、第1搬送ロボット60と同一の構成を備えているため、ここでは第1搬送ロボット60の構成について説明する。ただし、第2搬送ロボット70が第1搬送ロボット60と同一の構成を備えることは必須ではない。
【0044】
第1搬送ロボット60は、鉛直方向に位置をずらして配置された2つのハンド61a,61bを備える。第1搬送ロボット60は、ハンド61a,61bを鉛直方向に沿った旋回軸線まわりに旋回させる旋回モーターを含む旋回駆動機構62、およびハンド61aおよびハンド61bを鉛直方向に昇降させる昇降モーターを含む昇降駆動機構63を備える。さらに、第1搬送ロボット60は、ハンド61a,61bを上記旋回軸線に直交する旋回半径方向(旋回軸線に直交する水平方向)に沿って独立して進退移動させるモーターを含む進退駆動機構64を備えている。進退駆動機構64は、例えば多関節アームで構成されており、モーターが関節を屈曲させることによって、先端のハンド61a,61bを水平方向に進退させる。なお、進退駆動機構64は、ボールネジ、リニアモーターまたはシリンダなどの直動駆動機構を備えていてもよい。
【0045】
第1搬送ロボット60は、各駆動機構で各ハンド61a,61bを個別にパス部80、各加熱処理室42およびシャトル搬送機構50に進入させて、基板Wの搬送を行う。例えば、第1搬送ロボット60は、パス部80に進入してパス部80から未処理の基板Wを受け取った後、180度旋回してシャトル搬送機構50(詳細には、第1授受位置L51)のシャトル本体部51に基板Wを渡す。また、第1搬送ロボット60は、シャトル搬送機構50(詳細には、第1授受位置L51)のシャトル本体部51から流体処理済の基板Wを受け取った後、空いている加熱処理室42に基板Wを搬入する。また、第1搬送ロボット60は、加熱処理が完了した加熱処理室42から基板Wを取り出した後、所定の角度分だけ旋回してパス部80に正対し、基板Wをパス部80に渡す。
【0046】
第2搬送ロボット70は、各駆動機構で各ハンド61a,61bを個別にシャトル搬送機構50および各流体処理室32に進入させて、基板Wの搬送を行う。例えば、第2搬送ロボット70は、シャトル搬送機構50(詳細には、第2授受位置L52)のシャトル本体部51から未処理の基板Wを受け取った後、空いている流体処理室32に基板Wを搬入する。また、第2搬送ロボット70は、流体処理が完了した流体処理室32から基板Wを受け取った後、当該基板Wをシャトル搬送機構50(詳細には、第2授受位置L52)のシャトル本体部51に渡す。
【0047】
搬送ロボット60,70は、各々のハンド61a,61bを鉛直方向に昇降させることによって、鉛直方向に積まれた複数の加熱処理室42または複数の流体処理室32のうちの1つに対して、基板Wを搬送できる。
【0048】
基板処理装置1においては、シャトル搬送機構50、搬送ロボット60,70が、基板供給部(インデクサ部IDおよびパス部80)から供給された基板Wを、順に、流体処理部30、加熱処理部40に搬送し、その後再び基板供給部に戻す。シャトル搬送機構50、搬送ロボット60,70は、搬送部の一例である。
【0049】
図2に示すように、流体処理部30において最も高い位置にある流体処理室32のシャッター33と、加熱処理部40において最も高い位置にある加熱処理室42のシャッター43とは、同一の高さ(鉛直位置)にある。このため、第1搬送ロボット60が最上の加熱処理室42に基板Wを搬送するときの基板Wの鉛直位置と、第2搬送ロボット70が最上の流体処理室32に基板Wを搬送するときの基板Wの鉛直位置とが同一である。このように、搬送ロボット60,70は、同一の鉛直位置で加熱処理室42および流体処理室32の各々に基板Wを搬送するため、各々のハンド61a,61b(第2および第3基板保持具)を昇降させるために共通の昇降駆動機構63を採用できる。このように搬送ロボット60,70について、構成の共通化を図ることによって、基板処理装置1の製造コストを軽減できる。
【0050】
搬送ロボット60,70は、その基台部65が処理部PUに対して固定されており、処理部PU内で水平方向に沿って移動するものではない。ただし、搬送ロボット60,70が、移動モーターを含む水平移動機構を備えることによって、水平方向に移動してもよい。
【0051】
図3は、実施形態の流体処理室32を示す概略側面図である。流体処理室32においては、基板Wに処理液を用いた表面処理が行われる。「処理液」とは、基板Wの表面を処理する液の総称であり、薬液およびリンス液の双方を含む。薬液には、例えば、フッ酸、アンモニア過酸化水素水(SC-1)、塩酸過酸化水素水(SC-2)、硫酸過酸化水素水(SPM)などが含まれる。流体処理室32で行われる流体処理は、フッ酸を用いて基板Wの表面に形成された不要な膜を除去するエッチング処理、SC-1で基板Wの表面からパーティクルを除去する処理、SC-2で基板Wの金属汚染を取り除く処理、あるいは、SPMで基板Wの表面のレジストを除去する処理としてもよい。また、流体処理室32で行われる処理は、リンス液である純水で基板Wの表面を洗浄する処理としてもよい。
【0052】
流体処理室32の側壁面の一部には、流体処理室32に対して基板Wを搬出入するための開口部が設けられており、当該開口部はシャッター33によって開閉される。シャッター33は、図示しないモーターによって開閉する。シャッター33が開いているときには、第2搬送ロボット70が開口部を介して流体処理室32に基板Wを搬入するとともに流体処理室32から基板Wを搬出する。シャッター33が閉じているときには、流体処理室32の内部は実質的に密閉空間とされ、流体処理室32の内部の雰囲気が外側(第2搬送ロボット70が配置されている空間側)に漏洩することが抑制される。
【0053】
流体処理室32の内部には、基板Wを水平姿勢で保持するとともに、その中心を通る鉛直方向に沿った中心軸まわりに基板Wを回転させる回転保持部34が設けられている。回転保持部34は、スピンチャック35、回転軸36および回転モーター37を備える。スピンチャック35は、チャックピンによって基板Wの端縁部を把持することにより、基板Wの下面中央部に接触することなく基板Wをほぼ水平姿勢にて保持する基板保持具である。回転軸36は、スピンチャック35の下面側中心部に垂設されている。回転モーター37は、回転軸36を介してスピンチャック35を水平面内で回転させる。スピンチャック35に保持された基板Wは、スピンチャック35および回転軸36とともに、水平面内にて鉛直方向に沿った中心軸線まわりで回転する。
【0054】
流体処理室32の内部には、回転保持部34のスピンチャック35を取り囲む処理カップ38が設けられている。基板Wが回転することによって、基板Wの上面から外方へ振り切られた処理液は、処理カップ38の内面で受け止められ、適宜排出ポートから流体処理室32の外へ排出される。処理カップ38は、不図示の昇降モーターを含む昇降機構によって、鉛直方向に昇降する。
【0055】
流体処理室32の内部には、ノズル39が設けられている。ノズル39は、流体処理室32に併設された流体ボックス32Bから処理液が供給される。ノズル39は、下方に設けられた吐出口から基板Wに向けて処理液を吐出する。これにより、基板Wの上面に処理液が供給される。流体ボックス32Bには、ノズル39に処理液を供給するための配管や配管に介装されたバルブなどの複数の流体機器が収容されている。ノズル39は、基板Wに対して処理を行う処理ツールの一例である。
【0056】
なお、スピンチャック35に保持された基板Wの裏面に処理液を供給するノズルが設けられてもよい。この場合、例えば回転軸36を中空に、当該空間内に処理液の流路と、当該流路に接続されてスピンチャック35の中心部において上側へ開口するノズルを設けてもよい。当該ノズルから処理液を吐出することによって、基板Wの裏面側の中心部に処理液を供給できる。
【0057】
ノズル39は、不図示のノズルアームに取り付けられる。ノズルアームはモーターに接続されており、モーターの作動によって、水平方向に移動することができる。ノズル39は、このノズルアームの水平移動によって、スピンチャック35に保持された基板Wの上方の位置と、その基板Wの上方から外れた位置との間で移動できる。
【0058】
本例では、流体処理室32において、処理液で基板Wを液処理している。しかしながら、流体処理室32において液処理することは必須ではない。例えば、流体処理室32において、基板Wの表面を所定の処理ガスに暴露させるドライ処理が行われてもよい。
【0059】
図4は、実施形態の加熱処理室42を示す概略側面図である。加熱処理室42の側壁面の一部には、加熱処理室42に対して基板Wを搬出入するための開口部が設けられており、当該開口部はシャッター43によって開閉される。シャッター43は、図示しないモーターによって開閉する。シャッター43が開いているときには、第1搬送ロボット60が開口部を介して加熱処理室42に基板Wを搬入するとともに加熱処理室42から基板Wを搬出する。シャッター43が閉じているときには、加熱処理室42の内部は実質的に密閉空間とされ、加熱処理室42の内部の雰囲気が外側(第1搬送ロボット60が配置されている空間の側)に漏洩することが抑制される。
【0060】
加熱処理室42は、基板Wを内部に収容して当該基板Wを加熱する。加熱処理室42の内部には、基板Wを水平姿勢で支持するステージ44が設けられている。ステージ44は、基板保持具の一例である。ステージ44の内部には、ヒーター45が設けられている。ヒーター45は、抵抗線、および当該抵抗線に電圧を印加する電源などを含む。ここでは、ステージ44の内部に抵抗線が設けられており、当該抵抗線に電圧が印加されることによって、ステージ44の上面に輻射熱が放射される。この輻射熱によって、ステージ44に支持された基板Wが加熱される。なお、加熱処理室42において、基板Wを加熱する機構は図示の例に限定されるものではない。例えば、加熱処理室42の内部に、熱源によって加熱された熱風を噴出するファンヒーターを設けて、当該熱風によって基板Wを直接または間接的に加熱してもよい。
【0061】
図5は、実施形態のシャトル搬送機構50を示す概略側面図である。シャトル搬送機構50は、X軸方向に延びるとともにY軸方向に間隔をあけて配置された2つのレール501、各レール501に連結されているシャトル本体部51、各レール501上に沿ってシャトル本体部51を往復移動させる直動モーター53(第1モーター)を有する。
【0062】
シャトル本体部51の上面には、2つの基板保持具52a,52bが設けられている。基板保持具52a,52bは、X軸方向にずれた位置に設けられている。具体的には、基板保持具52aはシャトル本体部51の-X側寄りの位置に、基板保持具52bはシャトル本体部51の+X側寄りの位置に設けられている。基板保持具52a,52bは、それぞれ、Y軸方向に間隔をあけて設けられた一対のハンド521を有する。一対のハンド521は、内側に凹む円弧状の内面を有しており、その内面どうしがY軸方向に対向する向きでシャトル本体部51に取り付けられている。
図1に示すように、各ハンド521の内面には、内方に向けて突出する2つの支持爪54が設けられている。基板保持具52a,52bは、複数の支持爪54で基板Wを下方から支持することによって、基板Wを略水平姿勢に支持する。なお、ハンド521に複数の支持爪54を設ける代わりに、基板Wの周縁部に沿う形状の鍔部を設けてもよい。
【0063】
シャトル本体部51は、基板保持具52aを鉛直方向に昇降させる昇降機構55aおよび基板保持具52bを鉛直方向に昇降させる昇降機構55bを備える。基板保持具52a,52bは、昇降機構55a,55bによって独立に昇降できる。昇降機構55aは各基板保持具52aの一対のハンド521を一体的に同じ高さで昇降させ、昇降機構55bは基板保持具52bの一対のハンド521を一体的に同じ高さで昇降させる。基板保持具52a,52bが異なる高さに配置されることによって、各基板保持具52a,52bは基板Wをシャトル本体部51は2つの基板Wを同時に搬送できる。
【0064】
シャトル本体部51の底面には、レール501を摺動自在に移動することが可能な摺動ブロック56が取り付けられている。シャトル本体部51は、直動モーター53によって、各レール501上を摺動自在に案内されつつ、第1授受位置L51および第2授受位置L52との間で往復移動される。
【0065】
第1授受位置L51は、シャトル搬送機構50における-X側寄りの位置である。シャトル本体部51が第1授受位置L51にあるとき、第1搬送ロボット60とシャトル搬送機構50との間で基板Wの授受が行われる。具体的には、ハンド61aと基板保持具52aとの間、ハンド61bと基板保持具52bとの間で基板Wの授受が行われる。この際、各ハンド61a,61bが基板保持具52aまたは基板保持具52bに対応する水平位置まで進出し、基板保持具52a,52bが上昇または下降することによって、基板Wの授受が行われる。
【0066】
第2授受位置L52は、シャトル搬送機構50における+X側寄りの位置である。シャトル本体部51が第2授受位置L52にあるとき、第2搬送ロボット70とシャトル搬送機構50との間で基板Wの授受が行われる。具体的には、ハンド61aと基板保持具52aとの間、ハンド61bと基板保持具52bとの間で基板Wの授受が行われる。この際、各ハンド61a,61bが基板保持具52aまたは基板保持具52bに対応する水平位置まで進出し、基板保持具52a,52bが上昇または下降することによって、基板Wの授受が行われる。
【0067】
シャトル搬送機構50は、エア供給ヘッド57を備えている。エア供給ヘッド57は、第2授受位置L52にあるシャトル本体部51よりも上方の位置に設けられている。エア供給ヘッド57は、下面に複数の吐出孔を備えるとともに、バルブ571を介してエア供給源572に接続されている。バルブ571が開放されることによって、エア供給ヘッド57の各吐出孔から下方に向けてエアが噴出される。これによって、シャトル搬送機構50の搬送室500の内部にダウンフローの気流が形成される。このように、搬送室500の内部にダウンフローが形成されることによって、例えば、流体処理部30において発生した異物が、シャトル搬送機構50を通過して加熱処理部40側に移動することを低減できる。なお、エア供給源572は、例えば基板Wの表面に対して不活性な不活性ガスである窒素ガス(N2)を供給する供給源としてもよい。これにより、窒素ガスのダウンフローを形成できる。また、エア供給ヘッド57として、基板Wの表面と反応し得る処理用ガス(オゾンガスなど)を供給することによって、シャトル搬送機構50において基板Wの表面が処理されてもよい。
【0068】
パス部80の内部には、基板Wを水平姿勢に支持するステージ81(基板保持具)が設けられている。ステージ81は、その上面に立設された複数のピンを備えており、その各ピンの上端で基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢に保持する。インデクサロボット12のハンド14a,14bおよび第1搬送ロボット60のハンド61a,61bは、各ピンの間に進入し、上昇することによって基板Wを各ピンから受け取る。
【0069】
第1搬送ロボット60(第2搬送部)は、パス部80(基板受渡部)およびシャトル搬送機構50(第1搬送部)に対して同一の高さで基板Wを搬送する。すなわち、第1搬送ロボット60は、パス部80から基板Wを受け取った後、当該基板Wを上昇または下降させることなく、シャトル搬送機構50へ搬送する。同様に、第1搬送ロボット60は、シャトル搬送機構50から基板Wを受け取った後、当該基板Wを上昇または下降させることなくパス部80へ搬送する。このように、基板Wを鉛直方向に移動させないことによって、パス部80とシャトル搬送機構50間における基板Wの搬送時間を短縮できる。
【0070】
制御部90は、CPU(プロセッサー)、ROM、RAM(メモリー)、固定ディスク、およびこれらを互いに接続するバスラインを備えている。固定ディスクは、固定ディスクは、CPUが実行可能なプログラム、または各種データを記憶する補助記憶装置である。
【0071】
制御部90は、例えば、インデクサロボット12が備える各モーター、各加熱処理室42のシャッター43およびヒーター45、並びにシャトル搬送機構50の直動モーター53、昇降機構55a,55bおよびバルブ571に接続されており、これらの動作をプログラムに従って制御する。また、制御部90は、例えば、搬送ロボット60,70における旋回駆動機構62、昇降駆動機構63、進退駆動機構64の各モーター、各流体処理部30のシャッター33、回転モーター37、並びに各流体ボックス32Bのバルブ類に接続されており、これらの動作をプログラムに従って制御する。
【0072】
制御部90には、画像を表示する表示部、およびキーボードまたはマウスなどを含む操作部が接続される。表示部は、タッチパネルで構成されていてもよく、この場合、表示部は操作部としても機能する。
【0073】
制御部90のバスラインには、読取装置および通信部が接続されてもよい。読取装置は、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのコンピュータ読み取り可能な非一過性の記録媒体から情報の読み取りを行う。通信部は、制御部90と他のコンピュータ(サーバーなど)との間で情報通信を可能にする。プログラムが記録された記録媒体を読取装置で読み取ることにより、当該プログラムが制御部90に提供される。なお、プログラムは、通信部を介して制御部90に提供されてもよい。
【0074】
以上のように、基板処理装置1では、流体処理部30で処理された基板Wは、第2搬送ロボット70、シャトル搬送機構50および第1搬送ロボット60によって、流体処理部30よりも-X側(インデクサ部ID側)の加熱処理部40に搬送される。そして、加熱処理部40において加熱処理が完了した基板Wは、第1搬送ロボット60によって、流体処理部30とは反対側のインデクサ部ID側に搬送される。このように、加熱処理後の基板Wが流体処理部30の付近を通過させないことによって、流体処理部30で発生した異物(処理液を含む。)が基板Wに付着することを抑制できる。これによって、加熱処理後に搬送される基板Wが汚染されることを抑制できる。また、本例では、シャトル搬送機構50の搬送室500の内部において、ダウンフローが形成されるため、加熱処理部40において流体処理部30で発生した異物が板Wに付着することを効果的に抑制できる。
【0075】
基板処理装置1では、流体処理部30と加熱処理部40との間で、X軸方向に基板Wを搬送するシャトル搬送機構50が設けられている。このため、流体処理部30と加熱処理部40とをX軸方向に離間させることができる。これにより、加熱処理部40において、流体処理部30で発生した異物(処理液を含む。)が基板Wに付着することを抑制できる。また、加熱処理部40を流体処理部30から離すことによって、加熱処理部40が持つ熱によって、流体処理部30における雰囲気の温度が上昇することを低減できる。
【0076】
<変形例>
上記実施形態に係る搬送ロボット60,70は、多関節アームで構成された進退駆動機構64を備えることによって、ハンド61a,61bを前後に進退させている。しかしながら、搬送ロボットは、多関節アームを備えるものに限定されない。
【0077】
図6は、変形例に係る基板処理装置1Aの全体レイアウトを示す概略平面図である。
図7は、変形例に係る搬送ロボット60Aの概略側面図である。
図6に示すように、基板処理装置1Aは、搬送ロボット60,70の代わりに、搬送ロボット60a,70aを備えている。搬送ロボット60a,70aは、同一の構成を備えており、以下、搬送ロボット60aの構成について主に説明する。
【0078】
搬送ロボット60aは、基台部65a、進退駆動機構64a、旋回駆動機構62a、昇降駆動機構63aを備える。搬送ロボット60aの基台部65aは、処理部PUに固定されており、かつX軸方向に並ぶ加熱処理タワー41と流体処理タワー31との間の位置に固定されている。また、搬送ロボット60aの基台部65aは、パス部80の+X側に設けられている。なお、搬送ロボット70aの基台部65aは、Y軸方向に並ぶ2つの流体処理タワー31,31の間の位置に固定されている。基台部65aの上面には、鉛直方向に延びる支柱651が立設されている。
【0079】
進退駆動機構64aは、ハンド61a,61bを水平方向に移動させる。進退駆動機構64aは、ステージ641、水平方向に往復移動する水平スライダ642、水平スライダ642を移動させる水平モーター643を備える。ステージ641の上面には直線状に延びるレール(不図示)が設けられており、水平スライダ642の移動方向が当該レールによって規制される。水平スライダ642の移動は、例えばリニアモーター機構またはボールネジ機構などの周知の機構で実現される。水平スライダ642の先端部に、2つのハンド61a,61bが設けられている。水平モーター643によって水平スライダ642がレールに沿って移動することにより、ハンド61a,61bは水平方向に進退移動できる。換言すると、進退駆動機構64aは、ハンド61a,61bを基台部65aおよび支柱651に対して水平方向に離間および接近する方向に移動させる。
【0080】
旋回駆動機構62aは、ステージ641を鉛直方向に沿う回動軸線CA1まわりに回動させる回動モーターを備えている。この回動モーターの駆動によって、ハンド61a,61bは回動軸線CA1まわりに、支柱651に干渉しない範囲で回動できる。
【0081】
昇降駆動機構63aは、鉛直スライダ631、鉛直モーター632、連結具633を備えている。鉛直スライダ631は、支柱651に設けられた鉛直方向に延びるレール(不図示)に係合している。鉛直モーター632は、鉛直スライダ631を当該レールに沿って鉛直方向に往復移動させる。鉛直モーター632は、例えば、基台部65aに設けられている。鉛直スライダ631の移動は、例えばリニアモーター機構またはボールネジ機構などの周知の機構で実現される。連結具633は、鉛直スライダ631およびステージ641を連結しており、ステージ641を下方から支持している。鉛直モーター632が鉛直スライダ631を移動させることにより、ステージ641が鉛直方向に移動する。これによって、ハンド61a,61bが鉛直方向に昇降移動できる。
【0082】
搬送ロボット60aを備えることにより、パス部80とシャトル搬送機構50との間で基板Wを搬送できるとともに、鉛直方向に積まれた各加熱処理室42に対して基板Wを搬送できる。これと同様に、搬送ロボット70aを備えることにより、鉛直方向に積まれた各流体処理室32に対して基板Wを搬送できる。搬送ロボット60a,70aを採用する基板処理装置1Aは、基板処理装置1と略同一の作用効果を奏する。
【0083】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 基板処理装置
12 インデクサロボット
30 流体処理部(規定処理部)
32 流体処理室(規定処理室)
39 ノズル(処理ツール)
40 加熱処理部
42 加熱処理室
45 ヒーター
50 シャトル搬送機構
500 搬送室
501 レール
51 シャトル本体部
52a,52b 基板保持具(第1基板保持具)
53 直動モーター(第1モーター)
57 エア供給ヘッド
60 第1搬送ロボット
61a,61b ハンド(第2基板保持具、第3基板保持具)
62 旋回駆動機構
63 昇降駆動機構
70 第2搬送ロボット
80 パス部
81 ステージ
90 制御部
C キャリア(収納室)
ID インデクサ部(基板供給部)
W 基板