(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】白質脳卒中の治療のための、人工多能性幹細胞由来のグリア濃縮前駆細胞
(51)【国際特許分類】
A61K 35/30 20150101AFI20221012BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20221012BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20221012BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221012BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20221012BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221012BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221012BHJP
A61K 35/33 20150101ALN20221012BHJP
A61K 35/36 20150101ALN20221012BHJP
A61K 35/545 20150101ALN20221012BHJP
A61K 47/36 20060101ALN20221012BHJP
A61K 47/42 20170101ALN20221012BHJP
【FI】
A61K35/30
A61K9/06
A61P25/00
A61P9/00
A61P9/10
A61P43/00 105
A61P25/28
A61K35/33
A61K35/36
A61K35/545
A61K47/36
A61K47/42
(21)【出願番号】P 2018516741
(86)(22)【出願日】2016-09-27
(86)【国際出願番号】 US2016054007
(87)【国際公開番号】W WO2017058819
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-26
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー・トーマス・カーマイケル
(72)【発明者】
【氏名】アイリーン・ロレンソ・ジョレンテ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ローリー
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/137674(WO,A1)
【文献】Science,2012年,Vol.338, No.6106,pp.491-495
【文献】Science,2007年,Vol.318, No.5858,pp.1917-1920
【文献】Journal of Neuroscience Methods,2009年,Vol.180,pp.261-272
【文献】Neurorehabilitation and Neural Repair,2010年,Vol.24, No.7,pp.636-644
【文献】Stem Cell Reports,2014年,Vol.3,pp.743-757
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00 -35/768
C12N 5/00 - 5/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デフェロキサミンを用いた処理により人工多能性幹細胞由来のニューロン前駆細胞(iPSC-NPC)から産生された、主に星状細胞に分化する細胞であるヒト人工多能性グリア前駆細胞を含む、大脳虚血損傷後の哺乳類の治療における使用のための医薬組成物であって、前記大脳虚血損傷は皮質下白質脳卒中を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記使用は、前記細胞を梗塞核に投与することを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記使用は、前記細胞を皮質下白質内に投与することを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記使用は、前記前駆細胞を前記虚血損傷後の亜急性期間内に投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記使用は注射またはカニューレによる投与を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記前駆細胞はデポーデリバリーシステムにおいて提供される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記デポーデリバリーシステムはヒドロゲルを含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記大脳虚血損傷は、脳卒中によるもの、頭部損傷によるもの、呼吸不全によるもの、または、心停止によるものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記哺乳類はヒトである、請求項1~8のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
大脳虚血損傷後の哺乳類の治療のための医薬の製造における、デフェロキサミン処理により人工多能性幹細胞由来のニューロン前駆細胞(iPSC-NPC)から産生された、主に星状細胞に分化する細胞であるヒト人工多能性グリア前駆細胞の使用であって、前記大脳虚血損傷は皮質下白質脳卒中を含む、使用。
【請求項11】
前記治療は、前記細胞の梗塞核への投与を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記治療は、前記細胞を皮質下白質内への投与を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
前記医薬は、注射またはカニューレによる投与のために処方される、請求項10~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記医薬は、デポーデリバリーシステムを備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記デポーデリバリーシステムはヒドロゲルを含む、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記大脳虚血損傷は、脳卒中によるもの、頭部損傷によるもの、呼吸不全によるもの、または、心停止によるものである、請求項10~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記哺乳類はヒトである、請求項10~16のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月2日に出願された米国特許第62/236,642号の利益及び優先権を主張し、あらゆる目的のためその全体が本明細書に参照により組み込まれる。
政府援助の記述
該当なし
【背景技術】
【0002】
皮質下白質脳卒中(WMS)は、米国で1年に発生する新規の脳卒中795,000件の25%以下を占める(de Leeuw et al.(2001)J.Neural Neurosurg.Psychiatry,70:9;Schneider et al.(2004)Stroke,35:1552;Ladecola(2013)Neuron 80:844)。一般的なヒトのエイジングプロセスの間に、脳の白質領域は、顕性虚血、及び臨床的無症候性虚血の両方に関係する進行性障害を被る。この種類の虚血は、大脳動脈の閉塞を伴わずに発生し、かつ脳卒中損傷に典型的な臨床的症状を伴わずに生じる場合があるため、多くの場合「小血管病」と呼ばれる(Gorelick et al.(2011)Stroke 42(9):2672)。WMSを示す大脳白質損傷は、脳卒中に罹っていない無症候性個体の脳画像診断で検出されており(Debette and Markus,(2010)Br.Med.J.341:c3666)、年齢と共に蓄積して、80歳を超える個体全てにおいて、事実上存在するようになる(de Leeuw et al.(2001)J.Neural Neurosurg.Psychiatry 70:9)。白質損傷の程度は、認知異常、平衡異常及び歩行異常と密接に相関し、死亡リスクの増加を伴う(Zheng et al.(2011)Stroke,42:2086;Debette and Markus,(2010)Br.Med.J.341:c3666)。虚血性白質損傷のこの進行性の蓄積は、痴呆の第2の主要因である脳卒中の亜型であり、アルツハイマー病と相互作用してこの病気を悪化、そして場合により加速させる(Gorelick et al.(2011)Stroke 42(9):2672;DeCarli et al.(2013)J.Alzheimers Dis.33(Suppl 1):S417)。
【0003】
WMSは、大動脈脳卒中で発生する様々な異なるパターンの細胞損傷、または従来の動物脳卒中モデルで見られる様々な異なるパターンの細胞損傷を有する。WMSで損傷する神経構成要素としては、オリゴデンドロサイト、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)、星状細胞及び軸索が挙げられる。白質中の主要な神経細胞型はそれ故、グリア細胞:オリゴデンドロサイト、OPC及び星状細胞である。大動脈脳卒中において、虚血となる主な細胞型はニューロンオリゴデンドロサイトであり、OPCは脳の白質領域を有髄化するリネージに存在する(Richardson et al.(2011)Neuron 70(4):661)。有髄化は軸索の重要な絶縁形質であり、高速なシグナル伝達を可能にし、細胞死から軸索を守る(Fancy et al.(2010)Exp.Neurol,225:18)。星状細胞はOPCの生残、及び有髄オリゴデンドロサイトへの分化を促進し(Patel et al.(2012)Acta Neuropathol.124:847;Stoffels et al.(2015)Glia 63:2 42)、白質内でのグリア同士のシグナル伝達が、通常の白質機能、及び多発性硬化症などの病気において役割を果たしていることを示している(Clemente et al.(2013)Front Cell Neurosci.7:268)。大脳白質損傷はWMSにおいて集密性及び拡張性である。現在、白質脳卒中に利用可能な治療法は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】de Leeuw et al.(2001)J.Neural Neurosurg.Psychiatry,70:9
【文献】Schneider et al.(2004)Stroke,35:1552
【文献】Ladecola(2013)Neuron 80:844
【文献】Gorelick et al.(2011)Stroke 42(9):2672
【文献】Debette and Markus,(2010)Br.Med.J.341:c3666
【文献】Zheng et al.(2011)Stroke,42:2086
【文献】Debette and Markus,(2010)Br.Med.J.341:c3666
【文献】DeCarli et al.(2013)J.Alzheimers Dis.33(Suppl 1):S417
【文献】Richardson et al.(2011)Neuron 70(4):661
【文献】Fancy et al.(2010)Exp.Neurol,225:18
【文献】Patel et al.(2012)Acta Neuropathol.124:847
【文献】Stoffels et al.(2015)Glia 63:2 42
【文献】Clemente et al.(2013)Front Cell Neurosci.7:268
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で記載される様々な実施形態において、とりわけ、大脳虚血損傷後及び/または神経脱髄後の対象の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、大脳虚血損傷は白質皮質下脳卒中である。特定の実施形態では、対象はヒトである。様々な実施形態において、本方法は一般に、治療上有効量のヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を対象の脳内に投与することを伴う。いくつかの実施形態において、本方法は、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を梗塞核内に投与することを含む。特定の実施形態において、本方法は、ヒト胚幹細胞由来のオリゴデンドロサイト前駆細胞を梗塞核に直接隣接して投与することを更に、または代替的に含む。
【0007】
特定の実施形態において、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞は、虚血損傷後の亜急性期間内に投与される。いくつかの実施形態において、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞は、虚血損傷の初期亜急性期間内に投与される。特定の実施形態において、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞は後期亜急性期間内に投与される。
【0008】
特定の実施形態において、大脳虚血損傷後の、対象の運動及び/または認知機能、及び/または発話を改善するための方法を提供し、本方法は、治療上有効量のヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を、前記対象の脳内の梗塞核内に、及び/または直接隣接して投与することを含む。いくつかの実施形態では、大脳虚血損傷は白質皮質下脳卒中である。特定の実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、本方法は、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を梗塞核内に投与することを含む。別の実施形態において、本方法は、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を梗塞核に直接隣接して投与することを含む。更に他の実施形態において、本発明は、ヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞を含む、皮質下白質脳卒中の治療のための医薬組成物を提供する。
【0009】
本明細書で想到される様々な実施形態としては、以下の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:
【0010】
実施形態1:大脳虚血損傷後の哺乳類の回復の改善方法であって、前記方法は、治療上有効量の人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)(例えば、星状細胞マーカーの発現により画定される)を、前記哺乳類の脳内の梗塞核内に、または隣接して投与することを含む、前記方法。
【0011】
実施形態2:大脳虚血損傷は皮質下白質脳卒中である、実施形態1に記載の方法。
【0012】
実施形態3:大脳虚血損傷は血管性認知症である、実施形態1に記載の方法。
【0013】
実施形態4:対象はヒトである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
実施形態5:前記前駆細胞はヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
実施形態6:前記前駆細胞は梗塞核に直接投与される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施形態7:前記前駆細胞は、梗塞核の外の皮質下白質内に投与される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
実施形態8:前記前駆細胞は虚血損傷後の亜急性期間内に投与される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
実施形態9:前記前駆細胞は注射またはカニューレにより投与される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態10:前記前駆細胞は緩衝液内に含有される、実施形態9に記載の方法。
【0020】
実施形態11:前記前駆細胞はデポーデリバリーシステムを使用して投与される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
実施形態12:デポーデリバリーシステムはヒドロゲル(例えば注射可能なヒドロゲル)を含む、実施形態11に記載の方法。
【0022】
実施形態13:前記ヒドロゲルは生体高分子を含む、実施形態12に記載の方法。
【0023】
実施形態14:前記ヒドロゲルは、ヒアルロナン、ゼラチン、チオール変性ヒアルロナン、ヘパリン、チオール変性ヘパリン、チオール変性コンドロイチンサルフェート、チオール変性ゼラチン、ヒアルロナンナトリウム塩、及びアクリレート化ヒアルロン酸からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、実施形態13に記載の方法。
【0024】
実施形態15:前記ヒドロゲルはヒアルロナン誘導体及びゼラチン誘導体を含む、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
実施形態16:ヒアルロナン誘導体はチオレート化ヒアルロナンを含む、実施形態15に記載の方法。
【0026】
実施形態17:前記ゼラチン誘導体はチオレート化ゼラチンを含む、実施形態15~16のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
実施形態18:前記チオレート化ヒアルロナン及びチオレート化ゼラチンは、カルボジイミドが媒介するヒドラジド化学反応を用いてチオール変性されている、実施形態16~17のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
実施形態19:前記ヒアルロナン及びゼラチンのチオール変性誘導体は架橋してヒドロゲルを形成する、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態20:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は二価または多価の求電子試薬により架橋している、実施形態19に記載の方法。
【0030】
実施形態21:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により架橋している、実施形態20に記載の方法。
【0031】
実施形態22:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により架橋している、実施形態19に記載の方法。
【0032】
実施形態23:前記ヒドロゲルはヘパリンまたはヘパリン誘導体を含む、実施形態12~22のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態24:前記ヘパリン誘導体はチオール変性ヘパリンである、実施形態23に記載の方法。
【0034】
実施形態25:前記ヘパリン誘導体は前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合している、実施形態24に記載の方法。
【0035】
実施形態26:ヘパリン誘導体は二価または多価の求電子試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態25に記載の方法。
【0036】
実施形態27:ヘパリン誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態26に記載の方法。
【0037】
実施形態28:ヘパリン誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態25に記載の方法。
【0038】
実施形態29:前記ヒドロゲルは最大で約10%の固体(w/v)を含む、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
実施形態30:前記ヒドロゲルは最大で約5%の固体(w/v)を含む、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
実施形態31:前記ヒドロゲルは最大で約3%の固体(w/v)を含む、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
実施形態32:前記前駆細胞は線維芽細胞に由来する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
実施形態33:前記前駆細胞は皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態32に記載の方法。
【0043】
実施形態34:前記前駆細胞は新生児の皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態33に記載の方法。
【0044】
実施形態35:前記前駆細胞は上皮細胞に由来する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
実施形態36:前記前駆細胞は腎臓上皮細胞に由来する、実施形態35に記載の方法。
【0046】
実施形態37:前記大脳虚血損傷は脳卒中によるものである、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
実施形態38:前記大脳虚血損傷は頭部損傷によるものである、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態39:前記大脳虚血損傷は呼吸不全によるものである、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
実施形態40:前記大脳虚血損傷は心停止によるものである、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
実施形態41:大脳虚血損傷後の対象の、運動または認知機能を改善するための方法であって、前記方法は、治療上有効量の人工多能性グリア濃縮前駆細胞を前記哺乳類の脳の梗塞核内に、または梗塞核に隣接して投与することを含む、前記方法。
【0051】
実施形態42:大脳虚血損傷は皮質下白質脳卒中である、実施形態41に記載の方法。
【0052】
実施形態43:大脳虚血損傷は動脈性脳卒中である、実施形態41に記載の方法。
【0053】
実施形態44:大脳虚血損傷は血管性認知症である、実施形態41に記載の方法。
【0054】
実施形態45:対象はヒトである、実施形態41~44のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
実施形態46:前記前駆細胞はヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞である、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施形態47:前記前駆細胞は梗塞核に直接投与される、実施形態41~46のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施形態48:前記前駆細胞は梗塞核内に投与される、実施形態41~46のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施形態49:前記前駆細胞は虚血損傷後の亜急性期間内に投与される、実施形態41~48のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施形態50:前記前駆細胞はデポーデリバリーシステムを使用して投与される、実施形態41~49のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施形態51:前記前駆細胞は注射またはカニューレにより投与される、実施形態41~49のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施形態52:前記前駆細胞は緩衝液内に含有される、実施形態51に記載の方法。
【0062】
実施形態53:デポーデリバリーシステムはヒドロゲルを含む、実施例50に記載の方法。
【0063】
実施形態54:前記ヒドロゲルは生体高分子を含む、実施形態53に記載の方法。
【0064】
実施形態55:前記ヒドロゲルは、ヒアルロナン、ゼラチン、チオール変性ヒアルロナン、ヘパリン、チオール変性ヘパリン、チオール変性コンドロイチンサルフェート、チオール変性ゼラチン、ヒアルロナンナトリウム塩、及びアクリレート化ヒアルロン酸からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、実施形態54に記載の方法。
【0065】
実施形態56:前記ヒドロゲルはヒアルロナン誘導体及びゼラチン誘導体を含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態57:ヒアルロナン誘導体はチオレート化ヒアルロナンを含む、実施形態56に記載の方法。
【0067】
実施形態58:前記ゼラチン誘導体はチオレート化ゼラチンを含む、実施形態56~57のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態59:前記チオレート化ヒアルロナン及びチオレート化ゼラチンは、カルボジイミドが媒介するヒドラジド化学反応を用いてチオール変性されている、実施形態57~58のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態60:前記ヒアルロナン及びゼラチンのチオール変性誘導体は架橋してヒドロゲルを形成する、実施形態56~59のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態61:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は二価または多価の求電子試薬により架橋している、実施形態60に記載の方法。
【0071】
実施形態62:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により架橋している、実施形態61に記載の方法。
【0072】
実施形態63:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により架橋している、実施形態60に記載の方法。
【0073】
実施形態64:前記ヒドロゲルはヘパリンまたはヘパリン誘導体を含む、実施形態53~63のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態65:前記ヘパリン誘導体はチオール変性ヘパリンである、実施形態64に記載の方法。
【0075】
実施形態66:前記ヘパリン誘導体は前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合している、実施形態65に記載の方法。
【0076】
実施形態67:ヘパリン誘導体は二価または多価の求電子試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態66に記載の方法。
【0077】
実施形態68:ヘパリン誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態67に記載の方法。
【0078】
実施形態69:ヘパリン誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態66に記載の方法。
【0079】
実施形態70:前記ヒドロゲルは最大で約10%の固体(w/v)を含む、実施形態53~69のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態71:前記ヒドロゲルは最大で約5%の固体(w/v)を含む、実施形態53~69のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態72:前記ヒドロゲルは最大で約3%の固体(w/v)を含む、実施形態53~69のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態73:前記前駆細胞は線維芽細胞に由来する、実施形態41~72のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態74:前記前駆細胞は皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態73に記載の方法。
【0084】
実施形態75:前記前駆細胞は新生児の皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態74に記載の方法。
【0085】
実施形態76:前記前駆細胞は上皮細胞に由来する、実施形態41~72のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態77:前記前駆細胞は腎臓上皮細胞に由来する、実施形態76に記載の方法。
【0087】
実施形態78:前記大脳虚血損傷は脳卒中によるものである、実施形態41~77のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態79:前記大脳虚血損傷は外傷性損傷によるものである、実施形態41~77のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態80:前記外傷性損傷は頭部及び/または脊髄損傷を含む、実施形態79に記載の方法。
【0090】
実施形態81:前記大脳虚血損傷は、多発性硬化症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、シャルコー・マリー・トゥースニューロパシー、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、ゴーシェ病、及びハーラー症候群からなる群から選択される状態によるものである、実施形態41~77のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態82:前記大脳虚血損傷は心停止によるものである、実施形態41~77のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態83:前記大脳虚血損傷は呼吸不全によるものである、実施形態41~77のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態84:中枢神経系に影響を及ぼす脱髄性病状を有する哺乳類における、ミエリン喪失の遅延、及び/またはミエリン修復の促進、及び/または再ミエリン化の促進方法であって、前記方法は、治療上有効量の人工多能性グリア濃縮前駆細胞を前記哺乳類の脳の梗塞核内に、または梗塞核に隣接して投与することを含む、前記方法。
【0094】
実施形態85:前記病状は、多発性硬化症、炎症性脱髄疾患(多発性硬化症など)、白質ジストロフィー疾患、CNSニューロパシー、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄症、白質脳症、及び白質ジストロフィーからなる群から選択される、実施形態84に記載の方法。
【0095】
実施形態86:対象はヒトである、実施形態84~85のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態87:前記前駆細胞はヒト人工多能性グリア濃縮前駆細胞である、実施形態84~86のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態88:前記前駆細胞は梗塞核に直接投与される、実施形態84~87のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態89:前記前駆細胞は、梗塞核の外の皮質下白質内に投与される、実施形態84~87のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態90:前記前駆細胞は虚血損傷後の亜急性期間内に投与される、実施形態84~89のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態91:前記前駆細胞はデポーデリバリーシステムを使用して投与される、実施形態84~90のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態92:デポーデリバリーシステムはヒドロゲルを含む、実施例91に記載の方法。
【0102】
実施形態93:前記ヒドロゲルは生体高分子を含む、実施形態92に記載の方法。
【0103】
実施形態94:前記ヒドロゲルは、ヒアルロナン、ゼラチン、チオール変性ヒアルロナン、ヘパリン、チオール変性ヘパリン、チオール変性コンドロイチンサルフェート、チオール変性ゼラチン、ヒアルロナンナトリウム塩、及びアクリレート化ヒアルロン酸からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、実施形態93に記載の方法。
【0104】
実施形態95:前記ヒドロゲルはヒアルロナン誘導体及びゼラチン誘導体を含む、実施形態92~94のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態96:ヒアルロナン誘導体はチオレート化ヒアルロナンを含む、実施形態95に記載の方法。
【0106】
実施形態97:前記ゼラチン誘導体はチオレート化ゼラチンを含む、実施形態95~96のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態98:前記チオレート化ヒアルロナン及びチオレート化ゼラチンは、カルボジイミドが媒介するヒドラジド化学反応を用いてチオール変性されている、実施形態96~97のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態99:前記ヒアルロナン及びゼラチンのチオール変性誘導体は架橋してヒドロゲルを形成する、実施形態95~98のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態100:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は二価または多価の求電子試薬により架橋している、実施形態99に記載の方法。
【0110】
実施形態101:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により架橋している、実施形態100に記載の方法。
【0111】
実施形態102:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により架橋している、実施形態99に記載の方法。
【0112】
実施形態103:前記ヒドロゲルはヘパリンまたはヘパリン誘導体を含む、実施形態92~102のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態104:前記ヘパリン誘導体はチオール変性ヘパリンである、実施形態103に記載の方法。
【0114】
実施形態105:前記ヘパリン誘導体は前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合している、実施形態104に記載の方法。
【0115】
実施形態106:ヘパリン誘導体は二価または多価の求電子試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態105に記載の方法。
【0116】
実施形態107:ヘパリン誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態106に記載の方法。
【0117】
実施形態108:ヘパリン誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態105に記載の方法。
【0118】
実施形態109:前記ヒドロゲルは最大で約10%の固体(w/v)を含む、実施形態92~108のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態110:前記ヒドロゲルは最大で約5%の固体(w/v)を含む、実施形態92~108のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態111:前記ヒドロゲルは最大で約3%の固体(w/v)を含む、実施形態92~108のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
実施形態112:前記前駆細胞は線維芽細胞に由来する、実施形態84~111のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態113:前記前駆細胞は皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態112に記載の方法。
【0123】
実施形態114:前記前駆細胞は新生児の皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態113に記載の方法。
【0124】
実施形態115:前記前駆細胞は上皮細胞に由来する、実施形態84~111のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態116:前記前駆細胞は腎臓上皮細胞に由来する、実施形態115に記載の方法。
【0126】
実施形態117:人工多能性グリア濃縮前駆細胞を含む、皮質下白質脳卒中を治療するための医薬組成物。
【0127】
実施形態118:前記前駆細胞は注射可能な緩衝液に懸濁している、実施形態117に記載の医薬組成物。
【0128】
実施形態119:前記組成物はデポーデリバリーシステムを含む、実施形態117に記載の医薬組成物。
【0129】
実施形態120:デポーデリバリーシステムはヒドロゲル(例えば注射可能なヒドロゲル)を含む、実施形態119に記載の医薬組成物。
【0130】
実施形態121:前記ヒドロゲルは生体高分子を含む、実施形態120に記載の医薬組成物。
【0131】
実施形態122:前記ヒドロゲルは、ヒアルロナン、ゼラチン、チオール変性ヒアルロナン、ヘパリン、チオール変性ヘパリン、チオール変性コンドロイチンサルフェート、チオール変性ゼラチン、ヒアルロナンナトリウム塩、及びアクリレート化ヒアルロン酸からなる群から選択される1つ以上の材料を含む、実施形態121に記載の医薬組成物。
【0132】
実施形態123:前記ヒドロゲルはヒアルロナン誘導体及びゼラチン誘導体を含む、実施形態120~122のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0133】
実施形態124:ヒアルロナン誘導体はチオレート化ヒアルロナンを含む、実施形態123に記載の医薬組成物。
【0134】
実施形態125:前記ゼラチン誘導体はチオレート化ゼラチンを含む、実施形態123~124のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0135】
実施形態126:前記チオレート化ヒアルロナン及びチオレート化ゼラチンは、カルボジイミドが媒介するヒドラジド化学反応を用いてチオール変性されている、実施形態124~125のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0136】
実施形態127:前記ヒアルロナン及びゼラチンのチオール変性誘導体は架橋してヒドロゲルを形成する、実施形態123~126のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0137】
実施形態128:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は二価または多価の求電子試薬により架橋している、実施形態127に記載の医薬組成物。
【0138】
実施形態129:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により架橋している、実施形態128に記載の医薬組成物。
【0139】
実施形態130:前記ヒアルロナン及びゼラチンの誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により架橋している、実施形態127に記載の医薬組成物。
【0140】
実施形態131:前記ヒドロゲルはヘパリンまたはヘパリン誘導体を含む、実施形態120~130のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0141】
実施形態132:前記ヘパリン誘導体はチオール変性ヘパリンである、実施形態131に記載の医薬組成物。
【0142】
実施形態133:前記ヘパリン誘導体は前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合している、実施形態132に記載の医薬組成物。
【0143】
実施形態134:ヘパリン誘導体は二価または多価の求電子試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態133に記載の医薬組成物。
【0144】
実施形態135:ヘパリン誘導体は、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)、ポリエチレングリコールジビニルスルホン、ポリエチレングリコールビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メチル)アクリルアミド、及びポリエチレングリコールジ(ハロ)アセテートからなる群から選択される試薬により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態134に記載の医薬組成物。
【0145】
実施形態136:ヘパリン誘導体はポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)により、前記ヒアルロナン誘導体及び/または前記ゼラチン誘導体に結合する、実施形態133に記載の医薬組成物。
【0146】
実施形態137:前記ヒドロゲルは最大で約10%の固体(w/v)を含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0147】
実施形態138:前記ヒドロゲルは最大で約5%の固体(w/v)を含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0148】
実施形態139:前記ヒドロゲルは最大で約3%の固体(w/v)を含む、実施形態120~136のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0149】
実施形態140:前記前駆細胞は線維芽細胞に由来する、実施形態117~139のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0150】
実施形態141:前記前駆細胞は皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態140に記載の医薬組成物。
【0151】
実施形態142:前記前駆細胞は新生児の皮膚線維芽細胞に由来する、実施形態141に記載の医薬組成物。
【0152】
実施形態143:前記前駆細胞は上皮細胞に由来する、実施形態117~139のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0153】
実施形態144:前記前駆細胞は腎臓上皮細胞に由来する、実施形態143に記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【
図1】白質脳卒中のマウスモデルでiPSC-NPCまたはiPSC-GEPの移植を試験する試験1の実験タイムラインを示す。実験設計において鍵となる時点が示され、脳卒中後7日目の、iPSC-NPCまたはiPSC-GEPの移植、及び細胞移植後15日目の組織処理を含む。iPSC-NPCまたはiPSC-GEP=1回の1μL注射として、100,000cell/マウス。略称:L-NIO=N5-(1-イミノエチル)-L-オルニチン、ジヒドロクロリド;iPSC-NPC=人工多能性幹細胞のニューロン前駆細胞;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞のグリア濃縮前駆細胞。
【
図2】L-NIOの注射部位を示す、マウスの脳の冠状断面図である。青線は、巣状虚血損傷を引き起こすために36°の角度で各マウスの脳の脳梁内に直接送達される、L-NIOの3つの注射部位を示す。略称:Cx=皮質;Str=線条体;WM=白質。
【
図3】パネルA-Bは、脳卒中で障害を起こしたマウス脳内の、星状細胞活性化及び軸索喪失の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。画像パネルは、障害を持たない対側半球(A、対照)及び脳卒中障害を持つ半球(B、白質脳卒中)における、脳卒中障害の3週間後における、星状細胞(GFAP)及び軸索(NF200)の蛍光免疫染色を示す。(A)では、左の縦列はGFAP(緑)及びNF200(赤)をマージした蛍光画像を示し、中央の縦列はGFAPのみを示し、右の縦列はNF200のみを示す。(B)では、左の縦列はNF200のみを示し、中央の縦列はGFAPのみを示し、右の縦列はGFAP(緑)及びNF200(赤)をマージした蛍光画像を示す。(A)及び(B)について、横列は、損傷領域(B)と対側(A)の倍率の増加具合を示す。上の横列=40×、中央の横列=200倍、下。(A)の白枠は、下パネルで拡大された領域を示す。(A)の白い点線は、脳梁のおおよその境界を示す。(A)及び(B)のアスタリスクは側脳室を示す。略称:Cx=皮質;GFAP=グリア線維性酸性タンパク質;NF200=神経フィラメント200;Str=線条体;WM=白質。
【
図4-1】パネルA~Fは、脳卒中障害のマウス脳における、ミエリン喪失とオリゴデンドロサイト応答の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。損傷していない対側脳梁(A)~(B)、及び損傷した同側脳梁(C)~(D)における、脳卒中障害の3週間後の、相対的なミエリン喪失(MBP、緑)及びオリゴデンドロサイトの存在(OLIG2、赤)。(A)及び(B)について、左パネルは、MBP及びOLIG2をマージした画像を示し、中央のパネルはMBPのみを示し、右パネルはOLIG2のみを示す。パネル(C)及び(D)は、(A)及び(C)をマージした画像の、更なる拡大画像を示す。(E)(A)~(D)に記載する領域を示す、マウス脳の冠状断面図。倍率:(A)及び(B)=600倍;(C)及び(D)=1000倍。略称:MBP=ミエリン塩基性タンパク質。パネルFは、脳卒中損傷及びiPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後の、脳梁損傷内でのミエリン塩基性タンパク質の免疫反応性及びオリゴデンドロサイト応答の定量化を示す。パネルF(上))脳卒中(または見せかけの手術)後3週間における平均のミエリン塩基性タンパク質(MBP)免疫反応性を、各治療群に関して示す。パネルF(下))脳卒中(または見せかけの手術)後3週間におけるOLIG2陽性細胞の平均数を、各治療群に関して示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。
【
図4-2】パネルA~Fは、脳卒中障害のマウス脳における、ミエリン喪失とオリゴデンドロサイト応答の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。損傷していない対側脳梁(A)~(B)、及び損傷した同側脳梁(C)~(D)における、脳卒中障害の3週間後の、相対的なミエリン喪失(MBP、緑)及びオリゴデンドロサイトの存在(OLIG2、赤)。(A)及び(B)について、左パネルは、MBP及びOLIG2をマージした画像を示し、中央のパネルはMBPのみを示し、右パネルはOLIG2のみを示す。パネル(C)及び(D)は、(A)及び(C)をマージした画像の、更なる拡大画像を示す。(E)(A)~(D)に記載する領域を示す、マウス脳の冠状断面図。倍率:(A)及び(B)=600倍;(C)及び(D)=1000倍。略称:MBP=ミエリン塩基性タンパク質。パネルFは、脳卒中損傷及びiPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後の、脳梁損傷内でのミエリン塩基性タンパク質の免疫反応性及びオリゴデンドロサイト応答の定量化を示す。パネルF(上))脳卒中(または見せかけの手術)後3週間における平均のミエリン塩基性タンパク質(MBP)免疫反応性を、各治療群に関して示す。パネルF(下))脳卒中(または見せかけの手術)後3週間におけるOLIG2陽性細胞の平均数を、各治療群に関して示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。
【
図5】パネルA~Eは、脳卒中障害のマウス脳における、活性化されたマイクログリア/免疫細胞の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。(A)(B)~(D)に示す領域を示す、マウス脳の冠状断面図。(B)~(D)損傷していない対側脳梁(B)、及び損傷した同側脳梁(C)~(E)において、Iba1標識(紫)により測定される、脳卒中損傷の3週間後の、相対的なマイクログリア/免疫細胞活性化。パネル(D)及び(E)は、(C)に示す領域の更なる拡大画像を示す。(B)の白い点線は、梗塞核と梗塞周囲組織とのおおよその境界を示す。倍率:(B)及び(C)=600倍;(D)及び(E)=1000倍。略称:Iba1=イオン化カルシウム結合アダプター分子1。
【
図6】損傷していない脳梁への細胞注射部位を示す、マウス脳の冠状断面図である。矢印は、損傷していない脳梁内でのおおよその細胞注射部位を示す。略称;Cx=皮質;Str=線条体;WM=白質。
【
図7】パネルA~Dは、マウスの皮質下白質脳卒中及び細胞移植を示す。(A)L-NIO注射の1ヶ月後に撮影したマウスのMRI。矢印は、脳卒中により引き起こされた高強度域を示す。(B)L-NIO注射及びiPSC-NPC移植の1ヶ月後に撮影したMRI。(C)L-NIO注射及びiPSC-GEP移植の1ヶ月後に撮影したMRI。B及びCにおける矢印は、iPSC移植による、損傷を受けた白質の明らかな修復を示す。パネルDは、画素あたりの平均濃淡値を示す:これは、画素数により除した、選択した画素全ての濃淡値の合計である。較正単位で報告し、異なる治療群のマウス脳の対側(未損傷)及び同側(損傷)側面で測定。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。アスタリスクは、テューキ-のHDC事後分析による二元配置分散分析を用いた、脳の未損傷側に対する有意差を示す(p<0.05)。
【
図8】パネルA~Cは、梗塞エリア領域、IPS-NPCの位置、及びiPS-GEPの位置を示すマウスの冠状断面を表す。点は、1つのヒト細胞の位置を表す。(A)梗塞エリア領域を示すマウスの冠状断面を表す。(B)移植2ヶ月後の、iPS-NPCの位置を示すマウスの冠状断面を表す。(C)移植2ヶ月後の、iPS-GEPの位置を示すマウスの冠状断面を表す。略称:WMS=白質脳卒中;iPSC-NPC=人工多能性幹細胞のニューロン前駆細胞;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞のグリア濃縮前駆細胞。
【
図9】パネルA~Dは、脳卒中損傷後のマウス脳における、iPSC-NPCまたはiPSC-GEPの位置、活性化されたマイクログリア/免疫細胞、及びMBP応答の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。画像パネルは、iPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後の脳卒中損傷の2及び8週間後における、GFP+細胞(緑)、活性化されたマイクログリア/免疫細胞(IBA-1、青)及びMBP(赤)の蛍光免疫染色を示す。Aにおいて、パネル1(左上)は、IPS-NPC移植の2週間後におけるGFP+、MBP及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はMBPのみを示す。Bにおいて、パネル1(左上)は、IPS-NPC移植の8週間後におけるGFP+、MBP及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はMBPのみを示す。Cにおいて、パネル1(左上)は、IPS-GEP移植の2週間後におけるGFP+、MBP及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はMBPのみを示す。Dにおいて、パネル1(左上)は、IPS-GEP移植の8週間後におけるGFP+、MBP及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はMBPのみを示す。倍率=600倍。略称:MBP=ミエリン塩基性タンパク質;IBA-1=イオン化カルシウム結合アダプター分子;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞のグリア濃縮前駆細胞。
【
図10】パネルA、B、及びCは、脳卒中損傷及びiPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後のマウス脳におけるミエリン修復、炎症反応及び細胞生残の定量化を示す。(A)細胞移植の2及び8週間後における、各治療群についてのミエリン修復を示す。(B)細胞移植の2及び8週間後における、各治療群についての炎症反応を示す。(C)細胞移植の2及び8週間後における、各治療群についての細胞生残を示す。略称:MBP=ミエリン塩基性タンパク質;IBA-1=イオン化カルシウム結合アダプター分子;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞グリア濃縮前駆細胞。
【
図11】パネルA~Cは、脳卒中損傷後のマウス脳における、iPSC-NPCまたはiPSC-GEPの位置、活性化されたマイクログリア/免疫細胞及び軸索修復の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。画像パネルは、iPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後の脳卒中損傷の2及び8週間後における、GFP+細胞(緑)、活性化されたマイクログリア/免疫細胞(IBA-1、青)及びNF200(紫)の蛍光免疫染色を示す。Aにおいて、パネル1(左上)は、IPS-NPC移植の2週間後におけるGFP+、NF200及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はNF200のみを示す。Bにおいて、パネル1(左上)は、IPS-GEP移植の2週間後におけるGFP+、NF200及びIBA1をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はIBA-1のみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はNF200のみを示す。パネルCは、細胞移植の2週間後における、各治療群についての脳卒中損傷及びiPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後のマウス脳における、軸索修復の定量化を示す。倍率=600倍。略称:NF200=神経フィラメント200;MBP=ミエリン塩基性タンパク質;IBA-1=イオン化カルシウム結合アダプター分子;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞のグリア濃縮前駆細胞。
【
図12】パネルA~Cは、脳卒中損傷後のマウス脳における、iPSC-NPCまたはiPSC-GEPの位置、及び細胞分化の例示的な蛍光顕微鏡写真を示す。画像パネルは、iPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後の脳卒中損傷の8週間後における、GFP+細胞(緑)、未熟ニューロン(DCx、青)及びオリゴデンドロサイト(OLIG2、赤)の蛍光免疫染色を示す。パネルAにおいて、パネル1(左上)は、IPS-NPC移植の8週間後におけるGFP+、DCx及びOLIG2をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はDCxのみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はOLIG2のみを示す。パネルBにおいて、パネル1(左上)は、IPS-GEP移植の8週間後におけるGFP+、DCx及びOLIG2をマージした蛍光画像を示し、パネル2(右上)はDCxのみを示し、パネル3(左下)はGFP+のみを示し、パネル4(右下)はOLIG2のみを示す。パネルCは、細胞移植の8週間後における、各治療群についての脳卒中損傷及びiPSC-NPCまたはiPSC-GEP移植後のマウス脳における、細胞分化の定量化を示す。倍率=600倍。略称:DCx=ダブルコルチン;iPSC-GEP=人工多能性幹細胞のグリア濃縮前駆細胞。
【
図13】パネルAは、白質脳卒中のマウスモデルにおける、機能回復及び白質回避についてのiPSC-NPC及びiPSC-GEPの効果を試験する調査2の実験タイムラインを示す。実験設計において鍵となる時点が示され、脳卒中の7日後における細胞移植、及び毎月の行動試験を含む。パネルBは、損傷部位へのiPSC-NPCまたはiPSC-GEPの移植は、グリッド歩行試験において脳卒中損傷したマウスの動作を改善したことを示す。各治療群に関しての、グリッド歩行試験における平均動作(フットフォールトの割合として示す)を、時間の関数として示す(脳卒中後)。脳卒中後1週間は、細胞移植前の日に対応する。アスタリスク及びハッシュタグは、テューキ-のHDC事後分析による二元配置分散分析を用いた、脳卒中群に対する有意差を示す(p<0.05)。脳卒中の4ヶ月後に、細胞を移植した(iPSC-NPC、iPSC-GEP、iPSC-線維芽細胞及び組み合わせ治療)全ての脳卒中障害を持つ群は、脳卒中障害を持つ動物とは著しく異なり、運動回復を維持したことを示す。同じ時点において、脳卒中+iPSC線維芽細胞のみが他の治療群とは著しく異なり、移植後に運動回復がさほどしなかったことを示す。治療群の標識:対照=未損傷、非移植;脳卒中=脳卒中のみ;脳卒中+iPSC-NPC=脳卒中損傷+100,000個のiPSC-NPC細胞移植;脳卒中+iPSC-GEP=脳卒中損傷+100,000個のiPSC-GEP;脳卒中+iPSC線維芽細胞=脳卒中損傷+100,000個のiPSC線維芽細胞;脳卒中+組み合わせ治療=脳卒中損傷+50,000個のiPSC-NPC及び50,000個のiPSC-GEP。
【
図14】損傷部位へのiPSC-NPCまたはiPSC-GEPの移植は、シリンダー試験において脳卒中障害を持つマウスの動作を改善することを示す。各治療群に関しての、シリンダー試験における平均動作(損傷前のベースラインに対する運動欠陥として示す)を、時間の関数として示す(脳卒中後)。脳卒中後1週間は、AST-OPC1移植の前の日に対応する。アスタリスクは、テューキ-のHDC事後分析による二元配置分散分析を使用した、脳卒中のみの群に対する有意差を示す(p<0.05)。脳卒中後1週間は、細胞移植前の日に対応する。アスタリスク及びハッシュタグは、テューキ-のHDC事後分析による二元配置分散分析を用いた、脳卒中群に対する有意差を示す(p<0.05)。脳卒中の4ヶ月後に、脳卒中+iPSC-GEPの群のみが脳卒中のみの群と著しく異なり、異なる治療間での最良の運動回復を示す。治療群の標識:対照=未損傷、非移植;脳卒中=脳卒中のみ;脳卒中+iPSC-NPC=脳卒中損傷+100,000個のiPSC-NPC細胞移植;脳卒中+iPSC-GEP=脳卒中損傷+100,000個のiPSC-GEP;脳卒中+iPSC線維芽細胞=脳卒中損傷+100,000個のiPSC線維芽細胞;脳卒中+組み合わせ治療=脳卒中損傷+50,000個のiPSC-NPC及び50,000個のiPSC-GEP。
【発明を実施するための形態】
【0155】
様々な実施形態において、本明細書に記載する方法及び組成物は、大脳虚血損傷後のiPS-GEP移植は、WMSのマウスモデルにおける回復を高めるという発見に関する。亜急性の時点(例えば脳卒中後7日目)においてiPS-GEPを白質脳卒中の領域に移植することにより、皮質下白質全体にわたるiPS-GEPの広範な移動が生み出され、損傷した白質内での有髄化の増加がもたらされ、反応性の星状細胞増加及び炎症の大きさが低下した。iPS-GEPの移植後における白質のMRI画像診断では、マウスモデル及びヒトWMSの両方において、白質損傷の特徴である高強度域の減少が示された。行動評価では、運動機能の2つの試験において改善が示された。これらの結果は、iPS-GEP移植は白質修復、及び白質脳卒中の回復を促進することを示している。
【0156】
したがって、様々な実施形態において、白質脳卒中などの大脳虚血損傷の治療におけるiPS-GEPの使用方法が提供される。また、白質脳卒中の細胞ベースの臨床的治療法での使用に好適な医薬組成物及び配合物も、本明細書中で提供されている。
【0157】
人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)の使用
例えば本明細書に記載するように、人工多能性幹細胞からのグリア濃縮前駆細胞(GEP)の誘導は、大脳虚血性損傷の治療を含むがこれらに限定されない、多数の重要な治療、研究、開発、及び商用目的のための、再生可能かつ拡張性のあるGEP源を提供する。
【0158】
用語「人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)」とは、星状細胞と、明細書に記載する特定の分化プロトコールに従って未分化の人工多能性幹細胞から得られる、他の特性決定された細胞型との混合物を含有する、特性決定された特定の、in vitroで分化した細胞集団の細胞を意味する。
【0159】
免疫細胞化学(ICC)、マイクロアレイ分析、及び定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によるiPS-GEPの組成分析は、細胞集団が星状細胞及びニューロン表現型の神経リネージ細胞を主に含んでいることを示す。iPS-GEPの産生方法故に、培養液中の実質的に全ての細胞が神経細胞である。これが確立されているのは、方法の一部として、神経ロゼット構築物が手動で単離され、神経誘導体のみを拡大するために使用されるためである。更に、本方法は、様々な神経マーカーを免疫染色して同一性を測定することにより有効と認められている。最終的に、単一細胞RT-PCRは、全ての細胞が少なくとも神経マーカーのサブセットを発現することを示した。非神経細胞がこれらの培養液に存在するという証拠は存在しない。
【0160】
上で説明したように、IPSGEPがとりわけ白質脳卒中の治療で用いることが可能であることが発見された。本明細書で使用する場合、用語「治療」「治療する」「治療した」または「治療すること」は、治療的処理、または予防もしくは防止用手段をともに意味し、ここでは、目的は望ましくない生理学的状態、症状、疾患または病気を予防もしくは遅延(軽減)する、または有益もしくは所望の臨床的結果を得ることである。いくつかの実施形態において、この用語は治療及び予防の両方を意味してよい。本開示の目的に関して、有益または所望の臨床的結果としては、以下の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:有害な症状の緩和;状態、疾患、または病気の程度の低下;状態、疾患、または病気の状態の安定化(即ち悪化させないこと);状態、疾患、または病気の開始を遅らせること、または進行をゆっくりにすること;状態、疾患、または病気の回復;及び、状態、疾患、または病気の、検出可能か検出不可能かにかかわらない寛解(部分的または全体的かにかかわらない)、または向上もしくは改善。治療には、臨床的に著しい反応を誘発することを含む。治療には、治療を受けていない場合に予想される生残と比較した、生残の延長もまた含む。特定の実施形態において、特に脳虚血の場合において、治療は、運動制御の改善または回復、発話の改善または回復、平衡の改善または回復、(例えば、様々な認知機能アッセイのいずれかにより測定される)認知の改善などを含んでもよい。
【0161】
用語「対象」及び「患者」は本明細書では同じ意味で用いられ、哺乳類、例えばヒト、非ヒト霊長類、他の哺乳類(例えば非ヒト霊長類、イヌ、ウマ、ネコ、ブタ、ウシ、ウサギなど)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、対象は、例えば本明細書に記載したように脱髄を特徴とする病状を有すると決定された対象である。特定の実施形態において、対象は、中枢神経系での神経組織の脱髄を特徴とする病状のリスクがあると測定された対象である。このような特徴は、家族歴、対象の以前の病状例、脱髄性病状のリスクにあると対象を決定する遺伝試験を含むがこれらに限定されない試験結果などに基づくことができる。いくつかの実施形態において、用語「対象」とは、オスを意味する。いくつかの実施形態において、用語「対象」とは、メスを意味する。
【0162】
様々な実施形態において、本明細書に記載するiPS-GEPはミエリン修復及び/もしくは再ミエリン化を促進する、及び/または治療を必要とするヒト患者もしくは他の対象において脱髄を遅らせる。ミエリン修復または再ミエリン化を必要とする状態、病気及び病状の非限定例は、以下のとおりである:脳虚血性障害(白質脳卒中、多発性硬化症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、シャルコー・マリー・トゥースニューロパシー、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、ゴーシェ病、ハーラー症候群など)、及び有髄化の喪失がもたらされる外傷性障害(急性脊髄損傷など)。
【0163】
特定の実施形態において、ミエリン修復または再ミエリン化に加えて、iPS-GEPは、損傷した組織(例えば虚血組織)に直接回復作用をもたらし得る神経栄養因子(例えばBNDF)、例えばGDF15、GDNF、VEGFa、TGFβなどを産生することができる。
【0164】
様々な実施形態において、iPS-GEPは目的の組織部位に、iPS-GEPが存在し、及び/または目的の組織部位にグラフトし、及び/または移動し、機能が欠損した領域を再構築または再生する、及び/または神経組織の更なる退化を安定化及び/または予防する方法で投与される。対象への細胞の投与は、当該技術分野において公知の任意の方法で達成することができる。例えば、細胞は、細胞移植が必要な臓器または組織に、手術により直接投与することができる。あるいは、非侵襲性手順を用いて細胞を対象に投与することができる。非侵襲性送達法の例としては、シリンジ及び/またはカテーテル及び/またはカニューレを使用して、細胞治療が必要な臓器または組織に細胞を送達することが挙げられる。
【0165】
特定の実施形態において、iPS-GEPは梗塞核内に投与される。特定の実施形態において、OPCが梗塞核に隣接して、追加で、または代替的に投与される。本明細書で使用する場合、「隣接した」とは、場合によっては部分的な虚血性(例えば脳卒中)損傷を示す、梗塞核の外側領域を意味する。特定の実施形態において、「隣接した」とは、梗塞領域の外側の健康な組織を意味する。いくつかの実施形態において、iPS-GEPは梗塞核の約0.05mm~約3mmから投与される。いくつかの実施形態において、iPS-GEPは梗塞核の約0.1mm~約2mmから投与される。いくつかの実施形態において、iPS-GEPは梗塞核の約0.5mm~約1mmから投与される。いくつかの実施形態において、iPS-GEPは梗塞核の約0.3mm~約0.6mmから投与される。
【0166】
特定の実施形態において、iPS-GEPは亜急性期間内に対象に投与される。本明細書で使用する場合、「亜急性」とは、虚血性(例えば脳卒中)障害による初期障害及び細胞死が終了する、急性期と慢性期の間の期間を意味する。本明細書で使用する場合、ヒト対象における「初期亜急性」とは、脳卒中後の最大1ヶ月を意味し、「後期亜急性」とは、脳卒中後の1~3ヶ月の期間を意味する。
【0167】
特定の実施形態において、本明細書に記載したiPS-GEPを受け入れる対象を治療して、移植した細胞の免疫拒絶を低下させることができる。細胞及び/または組織の免疫拒絶の低下方法は、当業者には周知である。このような方法としては、このような方法としては、従来の免疫抑制剤(例えばタクロリムス、シクロスポリンAなど)の投与(例えばDunn et al.(2001)Drugs 61:1957を参照)、または、多能性幹誘導細胞の一致する母集団を用いた免疫寛容の誘発(例えばWO02/44343号;米国特許第6,280,718号;WO03/050251号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、抗炎症薬(プレドニゾンまたは他のステロイド系抗炎症薬など)と免疫抑制剤の組み合わせを使用してよい。特定の実施形態において、iPS-GEPを、ヒトへの投与のために十分滅菌した条件下にて調製した等張性賦形剤を含む医薬組成物の形態で供給することができる。
【0168】
医薬品処方の一般原則に関しては、読者はAllogeneic Stem Cell Transplantation,Lazarus and Laughlin Eds.Springer Science+ Business Media LLC 2010;及びHematopoietic Stem Cell Therapy,E.D.Ball,J.Lister & P.Law,Churchill Livingstone,2000を参照する。細胞賦形剤と任意の付随する組成物の構成成分の選択は、投与に使用される経路及びデバイスに従い適合される。組成物は、濃縮した標的細胞のグラフトまたは機能的可動化を容易にする1種以上の他の成分もまた含んでよい、またはこれを伴ってよい。好適な成分としては、標的細胞表現型の付着を支持もしくは促進する、または移植した組織の脈管化を促進するマトリックスタンパク質を挙げてもよい。
人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)の産生
【0169】
人工多能性幹細胞(IPSC)の産生方法は当業者に周知である。Takahashi and Yamanaka(2006)Cell 126:663-676による、マウス線維芽細胞をリプログラミングする元の方法では、Oct4、Sox2、Klf4、及びc-mycを、Fbx15遺伝子座にてβ-ガラクトシダーゼ-ネオマイシン融合タンパク質を発現するマウスに由来するマウス胚線維芽細胞(MEF)または尾部-チップ線維芽細胞(TTF)にレトロウイルスを用いて形質導入することを用い、これは特異的に多分化能幹細胞内で発現し、多能性に対する優れたマーカーとして機能する。4つの因子を形質導入した後にG418を用いて薬剤選択をすることで、形質導入後14~21日にて、MEFまたはTTFの0.02%においてリプログラミングがもたらされた。成人のヒト皮膚線維芽細胞(HDF)のリプログラミングは最初、4つのリプログラミング因子の形質導入後約30日にて、約0.02%の効率で生じることが報告された(Takahashi et al.(2007)Cell.131:861-872)。
【0170】
様々な実施形態において、レンチウイルス発現系を用いてOct4、Sox2、Nanog、及びLin28を線維芽細胞に送達することができ(Yu et al.(2007)Science,318:1917-1920)、1つのカセットリプログラミングベクターが、例えばCre-Loxが媒介する導入遺伝子除去を用いて開発されている(例えばPapapetrou et al.(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,106:12759-12764;Carey et al.(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,106:157-162;Chang et al.(2009)Stem Cells 27:1042-1049;Sommer et al.(2009)Stem Cells,27:543-549;Soldner et al.(2009)Cell136:964-977を参照のこと)。他のウイルス系もまた、リプログラミングに使用することができる。このような系としては、アデノウイルス系(例えばStadtfeld et al.(2008)Science,322:945-949;Zhou and Freed(2009)Stem Cells27:2667-2674などを参照)、及びセンダイウイルス系(例えばFusaki et al.(2009)Proc.Jpn.Acad.Ser.B Phys.Biol.Sci.85:348-362;Seki et al.(2010)Cell Stem Cell.7:11-14;Ban et al.(2011)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,108:14234-14239を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。リプログラミングは、mRNAトランスフェクション(例えば19を参照)、miRNA感染/トランスフェクション(例えばSubramanyam et al.(2011)Nat.Biotechnol.29:443-448;Anokye-Danso et al.(2011)Cell Stem Cell 8:376-388を参照)、PiggyBac-トランスポーゼースの存在下において染色体TTAA部位に組み込み可能で、その後トランスポーゼースの再発現の際にゲノムフットプリントフリーから除去可能な可動性遺伝因子(トランスポゾン)(例えばKaji et al.(2009) Nature 458:771-775;Woltjen et al.(2009)Nature 458:766-770を参照)、ミニサークルベクター(例えばNarsinh et al.(2011)Nature Protoc.6:78-88を参照)、エピソームプラスミド(Okita et al.(2008)Science 322:949-953; Yu et al.(2007)Science 318:1917-1920;Huet al.(2011)Blood 117:e109-e119)、oriP/EBNAベクター(31、32)などを用いてもまた達成されている。
【0171】
ヒトiPS細胞からグリア濃縮前駆細胞を迅速かつ効率的に誘導する1つの好適な方法が、Xie et al.(2014)Stem Cell Reports 3:743-757)により最近記載されている。この技術では、細胞培養培地での酸素張力の変化、またはその下流での酸素シグナル伝達分子-低酸素誘導因子(Hif)系を利用する。Hifの誘導因子であるデフェロキサミンを用いた治療では、iPS-NPCの分化能を星状細胞運命(Id.)を超えて長く制限することがもたらされる。この手法は、WMS用の治療法として、移植用のグリア濃縮前駆細胞の効率的な誘導を生み出すように機能することができるプロトコールを確立する。
【0172】
好適なiPS-GEPの産生について、材料及び方法を以下に記載する。これらの方法は例示を意図するものであり、非限定的である。本明細書において提供する教示を用いながら、好適なISP-GEPを産生する他の方法が当業者には利用可能である。
【0173】
医薬組成物
特定の実施形態において、人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)を、治療それ自体を必要とする対象に投与してよい。あるいは細胞を、好適な担体と混合した医薬組成物中で、及び/またはデポーデリバリーシステムを使用して、治療を必要とする対象に投与してよい。
【0174】
本発明で使用する場合、用語「医薬組成物」とは、他の構成成分、例えば生理学的に好適な担体及び賦形剤と組み合わされた1つの治療薬または複数の治療薬を含む配合物を意味する。
【0175】
本明細書で使用する時、用語「治療薬」とは、対象における生物学的効果を果たす、本明細書に記載する細胞(例えば人工多能性グリア濃縮前駆細胞(iPSC-GEP)またはIPC-NPC)を意味する。実施形態によっては、「治療薬」とは、本明細書に記載するIPSC-GEP及び/またはIPC-NPCを意味する場合がある。更に、または代替的に、「治療薬」とは、神経修復を補助する、IPSC-GEPにより分泌される1つ以上の因子を意味し得る。
【0176】
本明細書で使用する場合、用語「治療上有効量」とは、所望の結果を生み出すのに十分な用量、投薬レジメン、または量を意味する。
【0177】
本明細書で使用する場合、用語「担体」「生理学上許容できる担体」及び「生物学上許容できる担体」は同じ意味で用いることができ、対象において著しい悪影響または刺激を引き起こさず、治療薬の生物活性または効果を実質的に妨げない希釈剤または担体物質を意味する。用語「賦形剤」とは、治療薬の投与を更に促進するために医薬組成物に添加される物質を意味する。
【0178】
特定の実施形態において、本明細書で想到する組成物(例えばIPSC-GEPを含有する製剤)を、注射、例えばボーラス注射または連続点滴による非経口的投与のために製剤化することができる。特定の実施形態において、組成物を、約15分~約24時間の期間にわたって皮下連続点滴により投与することができる。特定の実施形態において、注射用製剤は単位剤形、例えばアンプルまたは複数回投与用容器中に存在することができ、所望により追加の防腐剤を含む。組成物は油性ビヒクルまたは水性ビヒクル内で懸濁液、溶液、またはエマルションの形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤、及び/または分散剤などの配合剤を含有することができる。
【0179】
特定の実施形態において、本明細書に記載する前駆細胞(例えば、IPSC-GEP)を、緩衝液中に懸濁させて投与(例えば注射、灌流)することができる。好適な緩衝液が当業者に周知である。1つの例示的で非限定的な緩衝液はISOLYTE(登録商標)S+25%ヒト血清アルブミン(HAS)である。ISOLYTE(登録商標)S(多電解質注射溶液)は、100mLの中に塩化ナトリウムUSP 0.53g;グルコン酸ナトリウムUSP 0.5g、酢酸ナトリウム三水和物USP 0.37g;塩化カリウムUSP 0.037g、塩化マグネシウム6水和物USP 0.03g、注射水USP 適量を含有し、約295mOsmol/リットルの計算浸透圧モル濃度を有する氷酢酸USP pH:6.7(6.3~7.3)で、pHを調整する。この緩衝液は例示的であり、非限定的である。多数の他の好適な注射緩衝液が当業者に周知である。
【0180】
特定の実施形態において、本明細書に記載する前駆細胞(例えばiPSC-GEP)を、埋込型持続性デリバリーシステム内に提供することができる。埋込型持続性デリバリーシステムは当業者に周知である。このようなシステムとしては、機械デバイス及び/または電子デバイス、例えば埋込型ドラッグポンプまたはマイクロチップシステム、及び埋込型徐放性ポリマーマトリックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
埋込型マイクロチップシステムとしては、MICROCHIPS(登録商標)デバイス(MicroChips,Inc.Bedford MA)などが挙げられる。MicroCHIPSの埋込型ドラッグデリバリーシステム(IDDS)は、複数の薬剤が充填された貯蔵容器を含有する微細加工シリコンチップをベースにしている。チップは、電池、制御回路、及び遠隔測定器を含有するチタンケースに取り付けられる。薬剤チップ及びチタンケースは気密密閉され、金属相互接続を用いてセラミック基板により電気的に接続されている。IDDSは、ワイヤレス伝達により外部のハンドヘルドコントローラーと通信する。薬剤レジメンを、この接続を通して埋め込まれたデバイスに伝達することが可能であり、貯蔵容器が、更なる通信を何も必要とせずに所定の時間に開口させることが可能となる。あるいは、貯蔵容器は所望により、コントローラーから操作することにより開口することができる。
【0182】
徐放性ポリマーデバイスを、埋め込み後長時間にわたる放出のために製造することができる。例示的な制御ポリマー放出デバイスは、埋込型ロッド、シリンダー、フィルム、ディスクなど、または注射可能なポリマー製剤(例えば微小粒子製剤)を含む。様々な実施形態において、埋込型マトリックスは微粒子などの微小粒子の形態であることができ、ここでは、IPSC-GEPは固体ポリマーマトリックスまたはマイクロカプセル内に分散されている。典型的には、このような系において、核はポリマーシェルとは異なる材料であり、活性剤(例えばIPSC-GEP)は核内に分散または懸濁されており、活性剤は本来液体または固体であることができる。あるいは、ポリマーは薄型スラブまたは薄膜として、あるいはヒドロゲルなどのゲルとしてキャストされてよい。
【0183】
特定の実施形態において、非生分解性または生分解性マトリックスのいずれかを、本明細書に記載した前駆細胞の送達のために使用することができるが、特定の実施形態において、生分解性マトリックスが通常好まれる。これらは天然ポリマーまたは合成ポリマーを含むことができる。多くの場合、合成ポリマーがより良い分解特性及び放出プロファイルをもたらす。ポリマーは通常、放出が所望される期間に基づいて選択される。場合によっては、線形放出が最も有用であり得るが、別の場合には、パルス放出、即ち「バルク放出」がより効果的な結果をもたらし得る。以下で論じるように、特定の実施形態において、ポリマーはヒドロゲルの形態であり、所望により多価イオンまたはポリマーと架橋することができる。
【0184】
様々な実施形態において、マトリックスは、溶媒蒸発、スプレードライ、溶媒抽出、及び当業者に周知の他の方法により形成することができる。生体内分解性微粒子は、例えばMathiowitz and Langer(1987)J.Controlled Release 5:13-22;Mathiowitz,et al.(1987)Reactive Polymers 6:275-283,Mathiowitz,et al.(1988)J.Appl.Polymer Sci.35:755-774などに記載されている、ドラッグデリバリー用微粒子を作製するために開発された方法のいずれかを使用して調製することができる。
【0185】
様々な実施形態において、局所放出して埋込領域(例えば梗塞空洞)を治療するためのデバイスを考案することができる。様々な実施形態において、これらを所望の領域に埋め込む、または注射することができる。
【0186】
特定の実施形態において、埋込型デポーデリバリーシステムは、ヒドロゲル内にパターニングされた微小粒子を含む。例示的な一実施形態において、前駆細胞は、ヒドロゲル(例えばPEGヒドロゲル)基剤内に閉じ込められた微小粒子(例えばPLGA微小粒子)内に提供される、または微小粒子と混合される。このようなシステムは、2つの異なる送達プロファイルを有する作用物質を送達するために構築されている(例えば、Wang et al.(2011)Pharmaceutical Res.,28(6):1406-1414を参照のこと)。
【0187】
特定の実施形態において、本明細書に記載する前駆細胞を、2014年5月12日に出願された米国特許出願第14/275,795号、及び米国特許第8,324,184号及び同第7,928,069号に記載されているものなどのヒドロゲルの構成成分として、投与することができる。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリ-(エチレングリコール)(PEG)及びポリ(ビニルアルコール)(PVA)などの合成ポリマーを含む、及び/またはコラーゲン、ヒアルロン酸(HA)、フィブリン、アルギネート、アガロース及びキトサンなどの天然源の材料を含むヒドロゲルが、当技術分野において周知である(例えばPeppas et al.(2006)Advanced Materials 18:1345;Lee et al.(2001)Chem.Rev.101:1869を参照のこと)。様々な化学修飾により形成された、共有架橋ヒドロゲルもまた、以前に記述されている(例えばVercruysse et al.(1997)Bioconjugate Chem.8:686;Prestwich et al.(1998)J.Controlled Release 53:93;Burdick et al.(2005)Biomacromolecules 6:386;Gamini et al.(2002)Biomaterials 23:1161;米国特許第7,928,069号;同第7,981,871号を参照のこと)。
【0188】
ヒアルロン酸(HA)のチオール変性誘導体、及びポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)と架橋したゼラチン(商標名HYSTEM(登録商標))をベースにするヒドロゲルは独自の化学的、生物学的及び物理的属性を有し、細胞培養、ドラッグデリバリーなどを含む多くの用途にそのヒドロゲルを好適なものにしている(例えばShu et al.(2004)J of Biomed Mat Res Part A 68:365;Shu et al.(2002)Biomacromolecules 3:1304;Vanderhooft et al.(2009)Macromolecular Biosci 9:20を参照のこと)。HYSTEM(登録商標)を含む架橋HAヒドロゲルは、角膜上皮創傷治癒の動物モデルで成功して使用されている(例えばYang et al.(2010)Veterinary Opthal 13:144,corneal tissue engineering(Espandar et al.(2012)Archives of Opthamol 130:202,及びretinal repair Liu et al.(2013)Tissue Engineering Part A 19:135を参照のこと)。
【0189】
ヒドロゲルを前臨床に使用して生物活性を維持し、生物学的製剤の放出を遅らせることが説明されている(Cai et al.(2005)Biomaterials 26:6054;Zhang(2011)Biomaterials 32:9415;Overman et al.(2012)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 109:E2230;Garbern et al.(2011)Biomaterials 32:2407;Koutsopoulos et al.(2009)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 106:4623)。更に、これらを細胞送達で使用すると、埋め込み後の細胞生存能及び局在化を改善することが示されている(Laflamme et al.(2007)Nature Biotechnology 25:1015;Zhong et al.(2010)Neurorehabilitation and Neural Repair 24:636;Compte et al.(2009)Stem Cells 27:753)。FDAが認可した眼の小分子治療薬において、眼球表面における滞留時間を増加させるために、いくつかの異なるヒドロゲルを賦形剤として使用している(例えばKompella et al.(2010)Therapeutic Delivery 1:435を参照のこと)。
【0190】
更に、治療用細胞の送達について将来性を示す、2種類の新規のヒドロゲル製剤が報告されている(Ballios et al.(2010)Biomaterials 31:2555;Caicco et al.(2012)Journal of Biomedical Materials Research Part A 101:1472;Yang et al.(2010)Veterinary ophthalmology 13:144;Mazumder et al.(2012)Journal of Biomedical Materials Research Part A 100:1877を参照)。
【0191】
これらの製剤及びプロトコールは例示的であり非限定であることを目的としている。本明細書において提供する教示を使用して、他の好適なヒドロゲル製剤が当業者に利用可能である。
【0192】
例示的方法及び材料
動物対象
用いた全ての手順はUCLA Chancellorの動物調査委員会により認可され、国立研究所の、実験動物のケア及び使用のための健康ガイドに従って実施した。NSGマウス(Shultz et al.(2007)Nat.Rev.Immunol.7(20):118;jaxmice.jax.org/nod-scid-gamma)はJackson Laboratories(Bar Harbor,ME)から入手した。全ての動物対象は、12時間の明暗サイクルの標準条件で飼育し、食料及び水を制約なく提供した。
【0193】
L-Nioを使用した、巣状虚血性損傷の誘発
中等度から高度ヒト白質虚血または血管性認知症で見られる大型の白質損傷を模した、以前に確立した皮質下白質脳卒中のマウスモデル(Sozmen et al.(2009)J.Neurosci Meth.180(2):261;Hinman et al.(2013)Stroke 44(1):182)を使用した。手短かに言えば、巣状虚血性損傷を誘発するために、
図2に示すように、各マウス脳の脳梁内に直接、N5-(1-イミノエチル)-L-オルニチン、ジヒドロクロリド(L-Nio、Calbiochem)を3つの定位座標にて注射した。
【0194】
iPS-GEPの産生
OCT4、SOX2、C-MYC、NANOG、KLF4、及びGFP用のcDNAをレトロウイルス型pMXベクターにクローニングし、Fugene(Roche)を使用して、Phoenix Ampho Cells(Orbigen)に個別にトランスフェクションした。3日後にウイルス上清を回収して組み合わせ、使用して10%FBS、不可欠アミノ酸、L-グルタミン及びペニシリン-ストレプトマイシンを含むDMEM中のヒト新生児の皮膚線維芽細胞(NHDF1;Lonza)に感染させた。3日目に第2ラウンドの感染を実施し、ウイルス混合物中のGFPの感染から推定した、各ウイルスのトランスフェクション効率は15~20%であった。このことは、ほぼ100%の細胞が少なくとも1つのウイルスを受け取ったことを示唆している。
【0195】
4日後、照射したマウス胚線維芽細胞(MEF)上に細胞を継代させた。UCLA胚幹細胞研究管理委員会に従い、ヒト人工PSC(hiPSC)を以前に説明されたとおりに培養した(Patterson et al.,2012)。フィーダー非含有PSCをmTeSRI(Stem Cell Technologies)を用いて保持し、StemPro EZPassage Tool(Invitrogen)を使用して機械的に継代させた。神経ロゼット誘導、NPC精製、ならびにニューロン及びグリアへの更なる分化を記載のとおりに実施した(Patterson et al.,2012)。手短かに言えば、N2及びB27サプリメント(Invitrogen)、20ng/mLの塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)(R&D Systems)、1μMのレチノイン酸(RA)(Sigma)、及び1pMのソニックヘッジホッグアゴニスト(Calbiochem)を含む、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/F12中で少なくとも7日間PSCを増殖させることによりロゼットを産生した。ロゼットを取り、DMEM/F12、N2及びB27、20ng/mLの塩基性FGF、ならびに500ng/mLの上皮増殖因子(EGF)(GIBCO)を含有するNPC培地内で培養した。DFX(Sigma)(100~200μM)をNPC段階で4~6日間加え、各細胞株に関してそれぞれ、濃度を調整した。NPCを100μMのDFXで、またはこれなしで3~5日間処理し、注射用にトリプシン化するまで、標準状態に戻した。
【0196】
NSGマウスでのiPS-GEP移植
脳卒中の7日後に細胞を定位的に移植した。直腸プローブ及び加熱パッドを使用して、マウスの温度を監視して36.5~37.5℃に維持した。定位アームに固定したHamiltonシリンジをiPS-GEPで満たし、圧力ポンプに接続した。第2の切り込みをAP+0.14、ML+3、DV-1.32に作製した。36°の角度で、iPs-GEPの2つの0.45pi注射を行った(100,000cell/μL)。最初の注射後に2分間、針をその場に残し、2回目の注射後は4分間残した。
【0197】
免疫蛍光法用の脳組織プロセシング、及びMRI
免疫蛍光法
手術後生残期間(15日及び2ヶ月)の後、各マウスに過剰用量のイソフルランを与え、0.1Mのリン酸緩衝生理食塩水、続いて4%パラホルムアルデヒドを経心的に灌流させた。脳を取り出し、4%パラホルムアルデヒドで一晩後固定し、30%スクロース中で2日間凍結保護した。続いて脳を取り出し、凍結させた。クリオスタット(Leica CM 0530)を使用して、脳組織を40pmの断片を200pm間隔で断片化した。
【0198】
1時間室温で5%の通常のロバ血清でブロッキングし、4℃で一晩一次抗体でインキュベーションし、1時間室温で二次抗体でインキュベーションし、切片をサブベッドスライドに固定して自然乾燥することにより、マイクログリア/マクロファージマーカーIBA-1、ニューロン細胞マーカーNF200、星状細胞マーカーGFAP、パンオリゴデンドロサイトマーカーOlig2、成熟オリゴデンドロサイトマーカーMBP、及び未成熟ニューロン細胞マーカーDCxに対して免疫染色を行った。アルコール及びキシレンの濃度が上昇する中で、固定した切片を無水化し、DPXによりカバーガラスをかけた。
【0199】
一次抗体は、ウサギ抗-lba-1(1:500,Wako Chemicals)、ウサギ抗-NF200(1:500,Sigma)、ラット抗ミエリン塩基性タンパク質(MBP,T.500,Millipore)、ウサギ抗Olig2(1:500,Millipore)、ラット抗GFAP(1:500,Millipore)、ヤギ抗ダブルコルチン(1:500,Santa Cruz Biotechnologies)であった。全ての二次抗体は、Cy2(シアン)またはCy3(黄)(Jackson Immunoresearch)染料にコンジュゲートしたロバF(ab’)2断片であり、1:1000に希釈して使用した。
【0200】
共焦点画像
Zスタックの高解像度共焦点画像を得た(Nikon C2共焦点システム)。梗塞核、IBA-1、GFAP、DCX、Olig2及びGFP陽性細胞の面積測定を、光学分別プローブ及び神経解剖定量化ソフトウェア(Stereoinvestigator,MBF Bioscience)を使用して、立体解析学的に定量化した。NF200及びMBPで染色した白質軸索の突起を強度プロファイル(ImageJ,NIH)で定量化した。
【0201】
MRI
マウスに麻酔をかけ、Bruker 7T小動物用MRI(Bruker Biospin,Switzerland)に配置した。MRI画像診断を脳卒中後0日目、7日目、及び6ヶ月目に実施した。手順全体を通して呼吸速度を監視し、体温を37±0.5℃に維持した。T2強調画像のセットを入手した:rapid acquisition relaxation enhancement factor8、反復時間5300ms、13回の連続スライスによる、0.0156_0.0156_0.50mmの面内解像度を有するエコー時間15.00ms。
【0202】
以下のパラメーター:TR/TE:5000/35ms;シグナル平均10、b=1000s/mm2及びb=0s/mm2の拡散加重を用いる、30の非同一直線上拡散勾配スキーム、及び視界3.5×3.5cmを使用した、スピンエコーシングルショットエコープラナイメージング(EPI)パルス配列を用いて、処理の後0日目、7日目、及び6ヶ月目にて、トラクトグラフィー、拡散テンソルデータ(DTI)を得た。96×96のマトリックス上でのシングルショットEPI配列、及びゼロフィリングしたk空間で30方向を使用してデータを得、128×128の画像マトリックスを構築した。画像は、複数プラットフォームの医学イメージ処理及び可視化ソフトウェアのmedInriaを用いて得られた。群あたりn=6の動物を使用して、損傷領域内でDTIトラクトグラフィーデータを実施した。ParaView 4.1.0ソフトウェアを使用して、DTIトラクトグラフィー画像の、拡大した損傷部位の3Dの眺めを示す。
【実施例】
【0203】
以下の実施例を例示のために提供するが、特許請求された発明を限定するものではない。
【0204】
実施例1
iPS-GEPの誘導及び特性決定
iPS-GEPをXie et al.(2014)Stem Cell Reports 3:743-757にて包括的に特性決定した。iPS-GEPはヒトNPCの典型的なマーカー全て、即ちSOX2、PAX6、SOX1、NESTINなどを引き続き発現することを示したが、神経発達の異なるパターンのマーカー(Dlx、Fox、Ngnファミリーの転写因子)もまた示した。
【0205】
増殖因子を取り出して、継続した最終分化を行わせた際に、GFAP及びS100B染色により測定すると、iPS-GEPは星状細胞リネージの細胞を産生する劇的に高い能力を示した。iPS-GEPはDFX処理の3~5日以内に標準NPCのみから分化するという事実にもかかわらず、iPS-GEPは移植後in vitro及びin vivoの両方において、分化については恒久的に一層星状細胞的である。DFX処理したiPS-GEPの遺伝子発現パターンはiPS-NPCとは著しく異なり、神経修復において役割を果たし得るいくつかの増殖因子の分化発現を含む(
図1)。
【0206】
【0207】
実施例2調査1-白質脳卒中のNSGマウスモデルにおけるiPS-GEP移植
iPS-GEP異種移植片移植の完全な調査を可能にするために、中等度から高度のヒト白質虚血または血管性認知症において見られる大型の白質損傷を模した、以前に確立した皮質下白質脳卒中のマウスモデル(Sozmen et al.(2009)J.Neurosci Meth.180(2):261;Hinman et al.(2013)Stroke 44(1):182)を免疫不全NSGマウスに適合させた(Shultz et al.(2007)Nat.Rev.Immunol.7(20):118;jaxmice.jax.org/nod-scid-gamma)。手短かに言えば、巣状虚血性損傷を誘発するために、
図2に示すように、各マウス脳の脳梁内に直接、N5-(1-イミノエチル)-L-オルニチン、ジヒドロクロリド(L-Nio、Calbiochem)を3つの定位座標にて注射した。実験のタイムラインを
図1に示す。調査の目的及びパラメーターを表2に詳述する。脳組織を、脳卒中誘発の15日後(即ち、iPSC-GEPまたは偽注射の2週間後)に処理し、蛍光免疫染色を実施して有髄化、軸索喪失、星状細胞の活性化、マイクログリア/マクロファージ応答、及びオリゴデンドロサイト応答の程度を測定した。例示的な結果を
図1~14に示す。
【0208】
【0209】
実施例3調査2-行動回復に関するiPS-GEPの有効性調査
実施例2に記載したWMSのNSGマウスモデルを使用して、MRI及びex vivo組織化学染色に基づき、行動回復におけるiPSC-GEP移植の効果、及びiPSC-GEP移植が白質保存を改善するか否かを評価する。実験のタイムラインを
図1に示す。行動試験(シリンダー試験及びグリッド歩行)を以下に詳述する。例示的な結果を図に記載する。
【0210】
【0211】
行動:
歩行における、障害を持つ前肢及び後肢機能の近位及び遠位運動制御を測定する。これらは、マウスの自然な動きを試験する。
【0212】
試験時間点:脳卒中前(ベースライン)、脳卒中の7日後(細胞移植前)、2ヶ月及び4ヶ月。
【0213】
MRI:脳卒中前、脳卒中の1ヶ月後。
【0214】
組織学:行動試験の完了時に、梗塞サイズ、内因性の脳回復及び炎症、ならびに移植した細胞の生残/表現型を組織学的に評価するために脳を処理する。
【0215】
シリンダー試験。マウスの探索行動は、空間及び運動行動の神経基盤を調査する可能性をもたらし、脳機能のアッセイとして使用することができる。シリンダー試験は、齧歯類の自然な前肢の使用の評価方法を提供し、脳卒中の多数の運動系損傷モデルで使用されてきた。前肢の欠陥を評価するために、動物を透明なプレキシグラスシリンダーに配置して観察する。後肢を上げ、前肢と感覚毛で表面を探索することにより、マウスは垂直面を積極的に探索する。シリンダー内での行動を評価する際に、右前肢、左前肢、及び両方の前肢において観察されたそれぞれの壁への配置数について同時に記録する。片側に脳損傷を有する動物は、垂直探索時の前肢使用に非対称性を示す。
【0216】
シリンダータスクは、客観的であり、使用及びスコアリングが簡単であり、他では検出できない慢性的な欠陥に対して感度が高く、高い評価者間信頼性を有することが発見されている。
【0217】
グリッド歩行試験。多くの場合フットフォールトタスクとも呼ばれるグリッド歩行試験は、齧歯類の運動中における四肢機能(最も一般的には後肢、しかし前肢も同様に評価されている)の運動機能障害、及び配置欠陥を評価するための、比較的単純な方法である。このタスクは、客観的に脳卒中後の運動協調欠陥及びリハビリテーション効果を示すことが発見されている。動物を、開口部を備える、高くて水平なグリッド上に配置する。脳損傷を有しない動物は通常、足をワイヤーフレームに正確に配置して自身を支えながら、グリッドに沿って移動する。開いたグリッド(「フットフォールト」)を通って足が滑ったときを毎回記録する。各肢に関して、対側及び同側のフォールトの両方の回数を、記録した歩みの総数と比較し、フットフォールト指数を使用してスコアリングする。無傷の動物は通常、数回~0回のフットフォールトを示し、フォールトが生じる場合、対称的にフォールトする。虚血性の動物は通常、無傷の動物よりも対側のフットフォールトを著しく多く記録する。フットフォールト試験は、齧歯類の虚血後における、感覚運動機能の障害を検出するための感度の高いインジケーターであることが示されている。
【0218】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、単に例証の目的のためであり、それらの観点から、種々の改変または変更が当業者には提案され、本出願の精神及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであると理解されている。本明細書で引用された全ての出版物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のためにそれら全体が、参照として本明細書に組み込まれる。