IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧 ▶ ニットウ,インク.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】防湿材料
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20221012BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221012BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20221012BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20221012BHJP
   C09J 121/00 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 109/06 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 7/40 20180101ALI20221012BHJP
【FI】
C09J7/38
B32B27/00 M
B32B7/06
C09J7/22
C09J121/00
C09J109/06
C09J107/00
C09J11/04
C09J11/06
C09J7/40
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018561049
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 US2017033999
(87)【国際公開番号】W WO2017205372
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】62/340,225
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517201057
【氏名又は名称】ニットウ,インク.
【氏名又は名称原語表記】NITTO, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダースマ, チャド
(72)【発明者】
【氏名】ジョーゲンセン, デレック
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332843(JP,A)
【文献】特開2011-032734(JP,A)
【文献】特開2013-245351(JP,A)
【文献】特表2007-529652(JP,A)
【文献】特開2015-155490(JP,A)
【文献】特開2010-067695(JP,A)
【文献】特開2001-10007(JP,A)
【文献】特開2012-188498(JP,A)
【文献】特開平5-318663(JP,A)
【文献】特表2001-515190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
B29C 41/00- 41/36
B29C 41/46- 41/52
B29C 70/00- 70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平坦形状を有する物体の表面を覆って該物体を湿気から保護するための防湿材料であって、
前記防湿材料は、支持体、前記支持体の少なくとも1つの表面上に形成された粘着剤層、およびライナーを含み、
前記支持体は熱可塑性支持体であり、
前記防湿材料の引張強度は20.64N/25mm以上であり、
前記防湿材料の破断伸度は800%以上であり、
前記物体の形状と一致する非平坦形状を有する、防湿材料。
【請求項2】
前記支持体は、ポリウレタンフィルムである、請求項1に記載の防湿材料。
【請求項3】
前記ポリウレタンフィルムは、ポリエステル系ポリウレタンフィルムである、請求項2に記載の防湿材料。
【請求項4】
前記粘着剤は、合成ゴム粘着剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項5】
前記粘着剤は、スチレン系ゴム粘着剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項6】
前記粘着剤は、天然ゴム粘着剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項7】
前記粘着剤層は、難燃剤を前記防湿材料全体の5重量%未満の含有量で含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項8】
前記ライナーは、ポリ塩化ビニルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項9】
0.00006355g/mm・日以下の水蒸気透過率を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項10】
燃焼性試験において、15秒以下の燃焼時間、203mm以下の燃焼長さ、および5秒以下の焼落物の燃焼時間を示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項11】
燃焼性試験において、5秒以下の燃焼時間、127mm以下の燃焼長さ、および0.5秒以下の焼落物の燃焼時間を示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の防湿材料。
【請求項12】
防湿材料を製造する方法であって、
被覆および保護される表面の形状に関するパラメータを測定することと、
前記パラメータを使用して、形状付与されたダイを製造することと、
前記ダイを使用することにより、支持体を加熱成形することと、
前記加熱成形された支持体を前記ダイから取り出すことと
を含み、さらに、
前記加熱成形された支持体に粘着剤を塗工すること、または、前記支持体を加熱成形する前に前記支持体の少なくとも1つの表面に粘着剤を塗工することを含む、方法。
【請求項13】
前記加熱成形された支持体に粘着剤を塗工することをさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記加熱成形された支持体上の前記粘着剤にライナーを貼り付けることをさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記支持体を加熱成形する前に前記支持体の少なくとも1つの表面に粘着剤を塗工することをさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記支持体を加熱成形する前に前記支持体の少なくとも1つの表面に粘着剤を塗工し、かつ前記粘着剤の表面にライナーを貼り付けることをさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項17】
前記支持体は、ポリウレタンフィルムである、請求項12~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記ポリウレタンフィルムは、ポリエステル系ポリウレタンフィルムである、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記粘着剤は、合成ゴム粘着剤である、請求項12~18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記ライナーは、ポリ塩化ビニルである、請求項14~19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
非平坦形状を有する物体の表面を覆って該物体を湿気から保護するための防湿材料であって、
前記防湿材料は、支持体、前記支持体の少なくとも1つの表面上に形成された粘着剤層、およびライナーを含み、
前記支持体は熱可塑性ポリウレタンフィルムであり、
前記ライナーはポリ塩化ビニルであり、
前記物体の形状と一致する非平坦形状を有する、防湿材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/340,225号に基づく利益を主張するものであり、その開示内容の全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、様々な部材に直接接着され得る、様々な用途のための防湿材料に関する。特に、本開示は、航空機、小型船、大型船等の輸送機内部において、ブラケットを有するフロアーパネル等の表面に直接接着される防湿材料に関する。本開示は、形状付与された継ぎ目、接合部、または保護を必要とする他の非平坦表面を有する、自動車産業を含む任意の産業の技術に適用され得る。本開示は、形状付与され得る任意の材料を利用することができる。
【背景技術】
【0003】
従来の防湿テープは、裏張りまたは支持体上に塗工された粘着剤を含む。防湿テープは、粘着剤上にさらに保護ライナーを含むこともでき、保護ライナーは、表面にテープを貼り付ける際に取り除かれる。航空宇宙産業では、航空機の溝領域等の特定の領域は、水分が溜まって腐食が発生しやすい。溝領域は、乗客が乗降する航空機の出入口通路に存在し、通常、ギャレー(厨房)領域も同様である。これらの領域に使用されるフロアーパネルは、液体を排水管に向けて流すための凹んだ水路を有し、したがって他の領域と比べて湿気に曝される機会が多い。これに従い、これらの凹んだ水路を良好にシールするために従来の防湿テープを貼り付けることに伴い、排水領域の内側をテープでシールすることが困難であり、多くの場合にヒートガンでの加熱および手作業でのシール材の形成が必要になるため、問題が発生する。
【0004】
加えて、航空機には、キャビン内に様々な構造部品を取り付けるためのブラケットが使用されており、これは、床から隆起した金属の小片である。このブラケットを湿気から保護するためにテープでシールしなければならず、その際、水分が流れ込み得る空隙または流路が生じないように、テープとブラケットとの間に最適なシール接触がもたらされるように注意が払われる。しかし、従来、平坦な防湿テープは、ブラケットの周囲に効果的に沿わせることができないため、ヒートガンを使用してテープを加熱しなければならず、次いで、テープがブラケットの周囲に押し付けられる。この作業は、高温(約160℃)で行われ、急いでいる技術者は手を保護する装備を使用せずに作業を行うこともあるため、技術者にとって危険である。これは、時間のかかる作業でもあり、ブラケット1個当たりの所要時間は、平均して15~20分間であり、30分を超えることもある。
【0005】
さらに、従来の防湿テープはブラケットの周囲に良好に沿わないため、従来の防湿テープを使用する場合、テープをブラケット上に押し当てて形状を合わせることが必要となる(上に述べた加熱と同様)。さらに、この形状を合わせる過程で加熱および引き伸ばしに耐えることができる好適な支持体およびライナーを見出すことも困難である。従来の支持体は、被覆される表面の所望の形状(ブラケット等)に良好に変形させるために必要とされる弾性を有していない。
【0006】
耐水材料は、例えば、ポリウレタン基材を使用するものが公知である(米国特許第9,546,303号明細書)。しかしながら、この耐水材料は、上述の問題を解決するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上述の状況に鑑みてなされたものである。本開示は、不規則形状を有する表面のための防湿材料に関する。すなわち、本開示の防湿材料は、この材料を使用しなければ平坦なテープで覆うことが難しい形状に合わせてカスタム成形される。本開示の防湿材料はまた、貼り付け工程も迅速化し、貼り付けがより安全かつより簡単であり、結果としてより形状一致性の高い製品をもたらす。本開示の防湿材料により、貼り付け工程も標準化される。
【0008】
本開示の防湿材料は、弾性がより高く、熱を用いた成形がより容易であることから、平坦形状で使用される従来の防湿テープの問題を克服するものである。加えて、本開示の防湿材料は、貼り付けを行う前に加熱成形工程を安全に完了させることを可能にする。例えば、本開示の防湿材料は、ブラケットに貼り付けながら熱を用いて成形する代わりに、貼り付け前に熱を用いて予めカスタム形状に成形され得る。
【0009】
具体的には、本開示の防湿材料の一実施形態は、支持体および粘着剤を含む。他の一実施形態において、粘着剤は、加熱成形工程中に粘着剤を保護する役割を果たすライナーでライニングすることができる。本開示の防湿材料を貼り付ける際、上記ライナーは単に剥がすだけでよい。
【0010】
航空宇宙産業において従来の防湿テープと比較した場合の本開示の防湿材料の利点は、例えば、カスタム成形が可能であることと、貼り付けの際に加熱を必要とせずに剥がして固定できることとである。他の利点は、簡便さである。従来の防湿テープを使用する場合、防湿対象全体にわたって同じテープの複数のテープ片を貼り付けることが求められる。一方、表面を覆って保護するために、単一のカスタム成形された本開示の防湿材料のみが必要とされる。
【0011】
本開示の他の特徴、目的および利点は、以下に記載する詳細な説明から明らかである。ただし、以下の詳細な説明は、本開示の好ましい実施形態を示唆するが、限定ではなく例示のみを目的として提示されることが理解されるべきである。以下の詳細な説明から、本発明の範囲内での様々の変形や修正が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】従来の防湿テープによりシールされた取付ブラケットを示す写真である。
図1B】従来の防湿テープによりシールされた取付ブラケットを示す写真である。
図2】本開示の防湿材料の一実施形態の概略図である。
図3】加熱成形した本開示の防湿材料の一実施形態の写真である。
図4A】取付ブラケットをシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、シールされる取付ブラケットを示す。
図4B】取付ブラケットをシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、取付ブラケットのパラメータの3Dスキャンを示す。
図4C】取付ブラケットをシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、測定されたパラメータに従って加熱成形された防湿材料を示す。
図5A】溝領域をシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、シールされる溝領域を示す。
図5B】溝領域をシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、溝領域のパラメータの3Dスキャンを示す。
図5C】溝領域をシールするために本開示の防湿材料を成形する一実施形態に関し、測定されたパラメータに従って加熱成形された防湿材料を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここに記載された特定の実施形態の態様は様々に変化し得るため、本開示は、これらの実施形態に限定されないと理解されたい。本開示の防湿材料は、その弾性に起因して非平坦形状の物体の保護を提供し、それにより、表面に容易に貼り付けることを可能にする所望の形状に防湿材料を加熱成形することを可能にする。
【0014】
本開示を、以下に示す好ましい実施形態を参照しながら説明する。
【0015】
図2に示すように、本開示の防湿材料は、支持体1、支持体1の少なくとも1つの表面上に形成された粘着剤2、および伸長可能なライナー3を含む。本開示の防湿材料は、平坦形状を有していてもよく、非平坦形状を有していてもよいる。例えば、防湿材料は、テープ形状等の平坦形状であってもよく、非平坦形状または形状付与された形状であってもよい。
【0016】
本開示の一態様において、防湿材料は、次のように使用することができる。非平坦形状を有する物体が存在し、使用者は、その少なくとも1つの表面を湿気から保護することを望んでいるとする。使用者は、最初に、保護することが望まれる表面のパラメータを、当該技術分野において知られている方法を用いて、3Dスキャナまたはその部品のオリジナル装置製造業者もしくは顧客から入手した製品図面等により測定する。得られたパラメータに基づいてカスタム形状のダイを作製し、熱成形機に取り付ける。次いで、支持体、粘着剤およびライナーを含むシートをこの装置に供給することにより防湿材料を得る。上記装置は、シートを加熱し、これをダイの形状に変形する。シートの構造は、様々に変化し得る。例えば、シートは、単一の支持体層または複数の支持体層を含むことができる。シートの他の変形形態は、支持体を含むが、粘着剤またはライナーを含まないものである。シートが支持体のみを含む場合、粘着剤は、支持体を加熱成形した後に該支持体上に塗工される。加えて、加熱成形された支持体上に塗工された粘着剤にライナーをさらに貼り付けることができる。換言すれば、加熱成形は、支持体のみに適用してもよく、粘着剤および/もしくはライナーで覆われた支持体に適用してもよい。
【0017】
詳細には、本開示の防湿材料は、支持体およびその少なくとも1つの面を覆う粘着剤を含む。防湿材料は、不透明、半透明または透明であり得る。
【0018】
本開示の一実施形態において、支持体は、熱可塑性である。支持体は、形状に適合させることが可能な任意の材料、例えばダイを使用して変形することが可能な材料である。そのような材料の例としては、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンおよび発泡体が挙げられる。好ましくは、支持体は、ポリウレタンである。ポリウレタンとしては、特に限定されないが、ポリオール成分がポリエーテルポリオールから構成されるポリエーテル系ポリウレタン、ポリオール成分がポリエステルポリオールから構成されるポリエステル系ポリウレタン、ポリオール成分がポリカーボネートポリオールから構成されるポリカーボネート系ポリウレタン等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル系ポリウレタンが強度、耐熱性および粘着剤との投錨性の観点から好ましい。
【0019】
ポリエステル系ポリウレタンのポリオール成分の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸との重縮合物から構成されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。1種以上のポリオール成分を使用することもできる。防湿材料の耐水性の観点から、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸からなる群から選択される1種以上の二塩基酸との重縮合物から構成されるポリエステルポリオールが好ましい。
【0020】
ポリエステル系ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有する公知の脂肪族、脂環式または芳香族の有機イソシアネート化合物を使用することができる。脂肪族イソシアネート化合物の例として、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシ基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。また、脂環式イソシアネート化合物の例として、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。さらに、芳香族イソシアネート化合物の例として、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネート成分として、アダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体等の3官能性以上のポリイソシアネート化合物を用いてもよい。1種以上のポリイソシアネート成分を使用することができる。耐黄変性の観点から、ポリイソシアネート成分は、脂肪族および/または脂環式イソシアネート化合物が好ましい。
【0021】
ポリウレタンフィルム基材を構成するために、1種以上のポリウレタンを使用することができる。ポリウレタンの平均分子量は、限定されないが、数平均分子量(Mn)は一般に5,000~500,000、好ましくは10,000~300,000である。
【0022】
支持体は、例えば、ペレットを加熱溶融して押出成形するか、またはカレンダー成形等の方法でペレットからフィルムを形成することによって作製することができる。
【0023】
支持体としては、市販品を使用することができる。市販の芳香族熱可塑性ポリウレタンフィルムとして、例えば、Bayer MaterialScience社製のX2313 NAT(商品名Dureflex(登録商標))が挙げられる。ポリエーテル系ポリウレタンフィルム基材の例としては、American Polyfilm,Inc.社製のMT2001等が挙げられる。ポリエステル系ポリウレタンフィルム基材の例としては、American Polyfilm,Inc.社製のVLM4001、VLM3301、VLM3301等が挙げられる。
【0024】
支持体は、難燃剤および着色剤等の様々な添加剤をさらに含むことができる。難燃剤は、特に限定されないが、後述する粘着剤に使用可能な難燃剤を使用することができる。また、難燃剤の好ましい例として、無機化合物(水酸化アルミニウム等);有機リン化合物(リン酸トリクレジル等);有機ハロゲン(ビスペンタブロモフェニルエタン等);および重金属化合物(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)が挙げられる。支持体の厚みは、特に限定されない。もっとも、支持体の厚みは、0.0508~0.635mmであってよく、好ましくは0.1016~0.508mm、より好ましくは0.4064~0.4572mmである。さらに、支持体は、用途に応じて単層もしくは多層フィルムであり得、または発泡体であり得る。
【0025】
本開示の他の実施形態において、粘着剤は、任意の耐熱性粘着剤である。その例として、天然ゴム粘着剤、合成ゴム粘着剤、ポリウレタン粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン粘着剤およびホットメルト粘着剤が挙げられる。合成ゴム粘着剤が好ましい。市販の合成ゴムの例として、Royal Adhesives and Sealants社製のDC 14044)ならびにGlobalprene 5516、5517、5518、5525および5526(LCY Elastomers LP社製のスチレン-イソプレンブロック共重合体)が挙げられる。2種以上の粘着剤を使用してもよい。
【0026】
粘着剤の厚みは、特に限定されない。もっとも、防湿材の耐水性および防湿材を貼り替える際の作業性の観点から、粘着剤の厚みは、0.0127~0.127mm、好ましくは0.0508~0.0635mmである。厚みが0.0127mm以上であると、防湿材の耐水性がより向上し、0.127mm以下であると、防湿材を貼り替える際の作業性により有利となる。
【0027】
粘着剤は、難燃剤および着色剤等の様々な添加剤をさらに含むことができる。難燃剤は、特に限定されないが、環境面からノンハロゲン難燃剤が好ましい。ノンハロゲン難燃剤の公知の例としては、水和金属化合物系難燃剤、無機化合物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤および有機金属化合物系難燃剤が挙げられる。特に、難燃性付与効果、燃焼時のドリップ抑制、環境規制への適合性等に優れたリン系難燃剤が好ましい。
【0028】
水和金属化合物系難燃剤の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。無機化合物系難燃剤の例としては、アンチモン化合物(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、ナノフィラー(モンモリロナイト(MMT)、ナノ水和金属化合物、シリカ)、カーボンナノチューブ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0029】
リン系難燃剤の例としては、リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、ポリリン酸アンモニウム類等が挙げられる。リン酸エステル類の具体例としては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸クレジルジフェニル(CDP)、リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリ-n-ブチル、リン酸トリキシレニル、リン酸キシレニルジフェニル(XDP)等が挙げられる。芳香族縮合リン酸エステル類の具体例として、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)等が挙げられる。ポリリン酸アンモニウム類の具体例としては、ポリリン酸アンモニウム(APP)、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムおよび被覆ポリリン酸アンモニウムが挙げられる。ここで、被覆ポリリン酸アンモニウムは、耐水性を向上させるためにポリリン酸アンモニウムを樹脂で被覆またはマイクロカプセル化することにより得られる。リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類およびポリリン酸アンモニウム類は、組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、リン酸エステルとポリリン酸アンモニウムとの組合せ使用が好ましい。なぜなら、リン酸エステルが炭化層を形成することによる難燃効果と、ポリリン酸アンモニウムが不活性気体を生成することによる難燃効果との組合せにより、固相および気相の両方を難燃化できるためである。
【0030】
シリコーン系難燃剤の例としては、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等が挙げられる。窒素化合物系難燃剤の例としては、ヒンダードアミン化合物、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物等が挙げられる。有機金属化合物系難燃剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸銅、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム等が挙げられる。
【0031】
ハロゲン難燃剤の例は、塩素化パラフィンおよび有機ハロゲン(ビスペンタブロモフェニルエタン等)である。好ましい難燃剤としては、水和金属化合物系難燃剤(水酸化アルミニウム等);有機リン難燃剤(リン酸トリクレジル等);有機ハロゲン(ビスペンタブロモフェニルエタン等);および重金属難燃剤(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)が挙げられる。難燃剤は、好ましくは、リン酸トリクレジルまたは塩素化パラフィンである。市販の難燃剤としては、Rit-Chem Co.,Inc.社製のリン酸トリクレジルおよびDover Chemical Corporation社製のParoil 63 NR(登録商標)等の塩素化パラフィンが挙げられる。1種以上の難燃剤を使用することができる。
【0032】
難燃剤の使用量は、難燃剤の種類に応じて変化するが、一般に、防湿材料の透明性および粘着剤層の凝集力の低下抑制の観点から、好ましくは防湿材料全体の5重量%未満、より好ましくは3重量%未満、さらに好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1重量%未満である。難燃剤を防湿材料全体の5重量%以上の比率で混合すると、耐水材料の透明性が低下し、接着作業において接着対象表面(接着される表面)を耐水材料越しに観察することが困難になるため、接着作業性が低下する傾向にある。
【0033】
好ましい粘着剤組成物は、合成ゴムおよび難燃剤を含む。好ましい粘着剤組成物は、例えば、スチレン-イソプレン/スチレン-ブタジエン共重合体と、難燃剤としてのリン酸トリクレジルまたは塩素化パラフィンの少なくとも1種とを含む。
【0034】
粘着剤は、使用時までライナーで覆っておくことができる。ライナーは、耐熱材料から形成され、好ましくは伸張性または形状適合性である。さらに、ライナーは、粘着剤から剥離可能である。ライナーは、防湿材の加熱成形中に粘着剤を保護するために使用することができる。ライナーの例としては、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミドおよびポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。ライナーは、好ましくは、ポリ塩化ビニルである。ラミネートや共押出等により形成された多層ライナー(例えば、2層以上の複合体)を使用することもできる。
【0035】
また、ライナーの少なくとも1つの表面を、例えば剥離処理により、改質することができる。剥離処理の例としては、ライナーの少なくとも1つの表面に剥離剤の層を堆積させることが挙げられる。剥離処理に使用される剥離剤は、特に限定されない。例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体等)、無極性高分子剥離剤(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂)、長鎖アルキル系剥離剤等の低粘着剤を使用することができる。剥離剤は、好ましくは、シリコーン系である。剥離剤は、単独で使用するか、または2種以上を組み合わせて使用することができる。市販の剥離剤としては、MPI Technologies,Inc社製のポリシロキサンが挙げられる。
【0036】
ライナーの寸法は、特に限定されず、寸法は、用途に応じて変化させることができる。例えば、ライナーの平面サイズは、支持体および/または粘着剤の平面サイズより大きくてもよい。ライナーの厚みは、特に限定されない。とはいえ、ライナーの厚みは、0.0127~0.254mmであってよく、好ましくは0.0127~0.127mmである。ライナーは、着色剤等の添加剤をさらに含むこともできる。好ましくは、着色剤は、青色または淡青色である。ライナーの100%モジュラスは、機械方向(MD)が22~36.8N/2cm、好ましくは32.1~33.5N/2cmであり、横方向(TD)が20~34.8N/2cm、好ましくは27.7~28.7N/2cmであり;引張強度は、機械方向が34.6~66N/2cm、好ましくは53.0~55.0N/2cmであり、横方向が27.4~58.8N/2cm、好ましくは44.6~46.5N/2cmであり;伸びは、機械方向が160~370%、好ましくは268~281%であり、横方向が160~370%、好ましくは301~316%であり;熱収縮率は、機械方向が0.5~12.5%、好ましくは5.3~5.5%であり、横方向が-4.5~1.5%、好ましくは-1.3~-1.8%である。本開示の防湿材は、ライナーを取り除いた後、対象物をシールするために貼り付けることができる。
【0037】
防湿材の引張強度および伸びは、特に限定されない。防湿材の引張強度は、好ましくは、20.64N/25mm以上、より好ましくは22.13N/25mm以上である。防湿材料の引張強度は、防湿材料の柔軟性の観点から、好ましくは28.51N/25mm以下である。破断伸度は、好ましくは、800%以上、より好ましくは850%以上である。耐水材料の破断伸度は、耐水材料の接着の作業性の観点から、好ましくは913.27%以下である。
【0038】
防湿材料の引張強度および破断伸度は、ASTM D3759に準拠した測定方法により測定することができる。「ASTM D3759」等は、ASTM INTERNATIONALが定める規格である。
【0039】
上記防湿材は、容易に重量を軽くすることができ、単位面積当たりの重量は、好ましくは702g/m以下、より好ましくは579.8g/m以下である。単位面積当たりの重量が702g/m以下であると、航空機、小型船、大型船等の輸送機用防湿材として特に好ましく使用することができる。
【0040】
本開示の防湿材は、フロアーパネル上の取付ブラケット等の防湿される対象物に直接接着させて使用される。その接着力は、室温および湿度50%RHにおいて、好ましくは0.22N/25mm以上である。このような接着力は、ASTM D1000に準拠した測定方法で測定することができる。
【0041】
本開示の防湿材料は、湿気を透過させにくく、好ましくは0.00006355g/mm・日以下、より好ましくは0.0000465g/mm・日以下の水蒸気透過率を有する。水蒸気透過率は、ASTM F1249に記載されている測定方法で測定することができる。
【0042】
航空機、小型船、大型船等の輸送機に使用される防湿材料は、特に高い耐水性を示すことが要求されるが、本開示の防湿材料は、その要求に十分に応えることができる。
【0043】
本開示の防湿材料は、優れた難燃性を示す。本開示の防湿材料は、FAR 25.853 Appendix F Part 1(a)(1)(ii)(燃焼性試験)に照らして試験した場合に、15秒以下、好ましくは2~3.5秒以内、より好ましくは3秒未満の消炎時間、203mm以下、より好ましくは61mm以下の燃焼長さ、および5秒以下、好ましくは0秒の焼落物の燃焼時間を示す。
【0044】
他の態様では、上に述べたように、本開示は、防湿材料を製造する方法であって、被覆および保護される表面のパラメータを測定することと、このパラメータを装置に入力してカスタム形状のダイを作製することと、そのダイを使用することにより、測定されたパラメータに適合するように支持体を加熱成形機で成形することとを含む方法を提供する。次いで、成形された支持体に粘着剤が塗工される。成形された支持体上の粘着剤にライナーがさらに貼り付けられ得る。
【0045】
具体的には、本方法は、支持体を単独で、または粘着剤を塗工された支持体を、または粘着剤およびライナーで被覆された支持体を成形することを含み得る。例えば、粘着剤が塗工された支持体を使用する場合、支持体(例えば、ポリウレタン)は、リバースロールコーターを用いてウェットキャスト法によって16フィート毎分の速度において粘着剤を直接塗工され、直接衝突加熱ノズルおよび蛇行型加熱コイルから構成される4ゾーン乾燥機を使用して乾燥される。次いで、シリコーンで被覆されたポリエチレンフィルム等の剥離ライナーを粘着面に貼り付けた後、ロールに巻き取る。粘着剤およびライナーを有する支持体を使用する場合、剥離ライナーを剥がし/取り除き、粘着剤にシリコーン処理されたPVCライナー等のライナーを貼り付けることを除いて、粘着剤を有する支持体と同様に製造する。
【0046】
一態様では、支持体は、電気コイルによって232~260℃の温度で20~30秒間直接加熱した後、軟化した材料に所望の形状のダイを挿入し、真空成形により成形することによって加熱成形する。支持体が冷えたらダイから取り外して保形する。この態様において、この方法は、支持体のみを成形すること、粘着剤が塗工された支持体を成形すること、または粘着剤およびライナーで被覆された支持体を成形することを含み得る。
【0047】
他の態様において、本開示の方法は、カスタム形状のフラットダイを形成することと、このフラットダイを用いて支持体を平坦なシートに成形することとを含む。本開示の防湿材を形成するために、シートを折り曲げて特定の形状にするための指示、印および/またはくぼみが付与されている。あるいは、支持体を平坦形状に3D印刷し、次いでこれを折り曲げて所望の形状にすることもできる。
【0048】
本開示の防湿材料は、任意の所望の非平坦形状に成形することができる。非平坦形状の例として、立方体、3次元矩形(直方体)、3次元楕円、および1つの面が平坦な半球形が挙げられる。好ましくは、非平坦形状は、3次元矩形である。成形された防湿材料の非平坦表面への貼り付けは、加熱成形された防湿材料から伸長可能なライナーを取り除き、粘着剤を介して防湿材を表面に貼り付けることにより行われる。
【0049】
防湿材料を成形するために使用されるダイは、剛性材料で作られている。その例として、鋼、プラスチック、ポリカーボネート、木材およびアルミニウムが挙げられる。好ましくはアルミニウムが使用される。他の実施形態では、3D印刷によりカスタム形状のダイを作製し、防湿材料の加熱成形に使用することができる。
この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
〔1〕 支持体、前記支持体の少なくとも1つの表面上に形成された粘着剤層、およびライナーを含む防湿材料であって、非平坦形状を有する、防湿材料。
〔2〕 前記支持体は、ポリウレタンフィルムである、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔3〕 前記ポリウレタンフィルムは、ポリエステル系ポリウレタンフィルムである、上記〔2〕に記載の防湿材料。
〔4〕 前記粘着剤は、合成ゴム粘着剤である、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔5〕 前記粘着剤は、スチレン系ゴム粘着剤である、上記〔4〕に記載の防湿材料。
〔6〕 前記粘着剤は、天然ゴム粘着剤である、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔7〕 前記粘着剤層は、難燃剤を前記防湿材料全体の5重量%未満の含有量で含む、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔8〕 前記ライナーは、ポリ塩化ビニルである、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔9〕 0.00006355g/mm ・日以下の水蒸気透過率を有する、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔10〕 燃焼性試験において、15秒以下の燃焼時間、203mm以下の燃焼長さ、および5秒以下の焼落物の燃焼時間を示す、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔11〕 燃焼性試験において、5秒以下の燃焼時間、127mm以下の燃焼長さ、および0.5秒以下の焼落物の燃焼時間を示す、上記〔1〕に記載の防湿材料。
〔12〕 防湿材料を製造する方法であって、
被覆および保護される表面のパラメータを測定することと、
前記パラメータを使用して、形状付与されたダイを製造することと、
前記ダイを使用することにより、支持体を加熱成形することと、
前記加熱成形された支持体を前記ダイから取り出すことと
を含む方法。
〔13〕 前記加熱成形された支持体に粘着剤を塗工することをさらに含む、上記〔12〕に記載の製造方法。
〔14〕 前記加熱成形された支持体上の前記粘着剤にライナーを貼り付けることをさらに含む、上記〔13〕に記載の製造方法。
〔15〕 前記支持体を加熱成形する前に前記支持体の少なくとも1つの表面に粘着剤を塗工することをさらに含む、上記〔12〕に記載の製造方法。
〔16〕 前記支持体を加熱成形する前に前記支持体の少なくとも1つの表面に粘着剤を塗工し、かつ前記粘着剤の表面にライナーを貼り付けることをさらに含む、上記〔12〕に記載の製造方法。
〔17〕 前記支持体は、ポリウレタンフィルムである、上記〔12〕に記載の製造方法。
〔18〕 前記ポリウレタンフィルムは、ポリエステル系ポリウレタンフィルムである、上記〔17〕に記載の製造方法。
〔19〕 前記粘着剤は、合成ゴム粘着剤である、上記〔13〕に記載の製造方法。
〔20〕 前記ライナーは、ポリ塩化ビニルである、上記〔14〕に記載の製造方法。
【実施例
【0050】
以下に示す実施例を参照しながら本発明をより詳細に説明する。実施例において使用される防湿材料の実施形態は、平坦形状(すなわちテープ)である。次に示す方法により、実施例の防湿材料の評価試験を実施した。
【0051】
1.粘着力
ASTM-D1000に準拠し、2kgのローラーをテープの長さ方向に10往復させ、24℃±5℃、相対湿度50%±5%で48時間±4時間放置した後、180°の角度で速度305mm/分で引き剥がす条件で180°ピール強度を測定し、この180°ピール強度を粘着力とした。被着体としてハニカム被着体(The Gill Corporation社製のGillfloor(商標)4417)およびアルミニウム被着体(2024番手)を使用した。
【0052】
また、防湿テープから試験片を切り取り(長さ10インチ×幅1インチ)、室温(24℃±5)および湿度50%±5RHの条件下で180°ピール強度を測定することにより、粘着剤のライナーに対する接着力を測定した。この180°ピール強度をライナーに対する接着力とした。
【0053】
2.引張強度および破断伸度
ASTM D3759に準拠して測定を行った。
【0054】
具体的には、引張強度および破断伸度を試験片の幅12.5mm、試験片の長さ152mm、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件下で測定した。
【0055】
3.燃焼性試験
FAR 25.853 Appendix F Part 1(a)(1)(ii)に準拠して測定した。
【0056】
具体的には、テープ(長さ305mm×幅76.2mm)形状に切り取った試験片の長手方向の一端を固定し、鉛直方向に吊るし、長手方向の他端に12秒間接炎し、(1)燃焼時間、(2)燃焼長さ、および(3)焼落物の燃焼時間を測定した。防湿材料単独で試験を行ったほか、被着体としてハニカム被着体(Gillfloor(商標) 4417およびGillfloor(商標) 4709、いずれもThe Gill Corporation社製)を使用した。
【0057】
4.水蒸気透過率
ASTM F1249に準拠して測定した。
【0058】
具体的には、防湿材料の試験片で仕切られた2つの隔室(内室および外室)を有する装置(Mocon Permatran-W 3-61 MN)を使用した。外室は、温度38℃±1℃および相対湿度100%の流動する空気を含む環境下にあり、内室は、乾燥窒素気流(流量10.0~10.5sccm)を含む。試験片を透過した水分子を窒素気流が捕捉し、これをセンサーで検出する。単位は、フィルム面積1mmを透過した1日当たりの水のグラム数(g/mm・日)である。
【0059】
実施例
粘着剤
スチレン-イソプレン/スチレン-ブタジエン共重合体(Royal Adhesives and Sealants製DC-14044)およびスチレン-イソプレンポリマー(LCY Elastomers LP製SIS 5516)の組み合わせ100重量部を、リン酸トリクレジル(Rit-Chem Co.,Inc.製)および塩素化パラフィン(Dover chemical Corporation製Paraoil 63-NR)の組み合わせ33.4重量部ならびにトルエン48.1重量部と混合することにより粘着剤を調製する。
【0060】
支持体
支持体として、Bayer MaterialScience LLC製Dureflex(登録商標)X2313 NAT(厚み16~17.6mil)を使用した。
【0061】
ライナー
ライナーとして、シリコーン剥離処理を施したポリ塩化ビニル基材を使用した(累積厚み0.07mm)。
【0062】
実施例1、2および3
支持体、粘着剤およびライナーを含む防湿材を作製し、引張強度および破断伸度を測定した。得られた防湿材を上述の試験に付した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C