(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】局在化欠陥の検出及び除去による鉱物繊維マットの処理機器及び対応する方法
(51)【国際特許分類】
D06H 3/00 20060101AFI20221012BHJP
B65H 43/04 20060101ALI20221012BHJP
D04H 1/4209 20120101ALI20221012BHJP
D04H 1/4226 20120101ALI20221012BHJP
D04H 1/64 20120101ALI20221012BHJP
【FI】
D06H3/00
B65H43/04
D04H1/4209
D04H1/4226
D04H1/64
(21)【出願番号】P 2018564294
(86)(22)【出願日】2017-06-09
(86)【国際出願番号】 FR2017051469
(87)【国際公開番号】W WO2017216453
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-05-08
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-モーリス ルション
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536272(JP,A)
【文献】特開2003-105665(JP,A)
【文献】特開2006-027814(JP,A)
【文献】特開2002-087666(JP,A)
【文献】米国特許第06103049(US,A)
【文献】特開平03-090668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行面(X,Y)及び走行方向(X)に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマット(10)を、局在化欠陥(M)、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去によって処理するための機器(1)であって、以下を具備する処理機器(1):
- 鉱物繊維のマット(10)を輸送するための第一の
輸送部材(2)、
- 鉱物繊維のマット(10)を輸送するための第二の
輸送部材(3)であって、前記第一の輸送部材(2)の前記走行方向Xにおける後に配置されており、かつ処理ゾーン(4)によって前記方向で前記第一の輸送部材(2)と離れている、第二の輸送部材(3)、
- 前記処理ゾーン(4)の前記走行方向(X)における上流に位置する、鉱物繊維のマットの局在化欠陥(M)を検出するための
検出装置(5)、及び
- 前記処理ゾーン(4)において、
前記検出装置(5)によって検出された欠陥(M)を含むマットの部分を除去することによって、欠陥(M)をインラインで除去するのに適した欠陥を除去するための
除去装置(6)。
【請求項2】
前記検出装置(5)は、少なくとも1つの赤外線検出部材を含む、請求項1に記載の処理機器(1)。
【請求項3】
前記除去装置
(6)は、前記マットの厚さを通る除去方向に、前記欠陥を含むマットの部分が排出されるように構成されている、請求項1又は2に記載の処理機器(1)。
【請求項4】
前記除去装置(6)は、前記マットの
前記走行面(X,Y)に対する法線(Z)に実質的に平行な除去方向(F)に、前記欠陥を含むマットの部分が排出されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
【請求項5】
前記除去装置(6)は、除去方向(F)に、前記マットの部分に力を課す、圧力又は引張手段(P)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
【請求項6】
前記圧力又は引張手段によって課される力の適用方向は、前記走行面(X,Y)に対する法線方向(Z)と、3°~20°、好ましくは3°~10°、なおもより好ましくは4°~6°の角度をなしている、請求項5に記載の処理機器(1)。
【請求項7】
前記除去装置(6)は、前記処理ゾーン(4)に向けて配向され、前記機器の横断方向(Y)に分配されている、複数の圧力又は引張部材(P)を含む、請求項5又は6に記載の処理機器(1)。
【請求項8】
前記除去装置(6)に、前記欠陥(M)の横断方向(Y)における位置情報を送信するための送信手段、及び前記情報の関数としての、圧力又は引張部材(P)のそれぞれの選択的制御のための手段をさらに含む、請求項7に記載の処理機器(1)。
【請求項9】
前記第一の輸送部材
(2)の第一の輸送表面と、前記第二の輸送部材
(3)の第二の輸送表面との間の距離(d)は、50~150mmであり、好ましくは80~120mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
【請求項10】
前記処理ゾーンにおいて、前記鉱物繊維のマット(10)の下で、制御して開閉するのに適した少なくとも1つのハッチをさらに含む、請求項1~9のいずれ一項に記載の処理機器(1)。
【請求項11】
鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造するための製造ライン(20)であって、
- 鉱物繊維を得るための繊維化装置(22)、
- バインダーによって結合された鉱物繊維のマット(10)を形成するための、前記
鉱物繊維上にバインダーをスプレーするための
スプレー装置(24)、及び
- バインダー架橋装置(30)、
を少なくとも含み、
前記製造ライン(20)は、前記スプレー装置(24)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、請求項1~10のいずれか一項に記載の処理機器(1)をさらに含む、製造ライン(20)。
【請求項12】
前記処理機器(1)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、繊維のマット(10)をクロスラッピングするための装置(28)をさらに含む、請求項11に記載の製造ライン(20)。
【請求項13】
前記処理機器(1)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、クリンピング装置(26)をさらに含む、請求項11又は12に記載の製造ライン(20)。
【請求項14】
走行面(X,Y)及び走行方向(X)に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマット(10)を、請求項1~10のいずれか一項に記載の機器を用いて、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去によって処理するための方法であって、以下を含む方法:
- 鉱物繊維のマット(M)を第一の輸送部材(2)上で輸送し、次いで、前記第一の輸送部材(2)の後に位置し、かつ前記走行方向(X)で処理ゾーン(4)によって前記第一の輸送部材とは離れている第二の輸送部材(3)上で輸送すること、
- 前記処理ゾーン(4)の前記走行方向(X)での上流にて、鉱物繊維のマット(10)において局在化欠陥(M)を検出すること、及び
- 検出された欠陥(M)を含むマットの部分を除去することによって、検出された欠陥(M)を、インラインで前記処理ゾーン(4)において除去すること。
【請求項15】
前記欠陥を含むマットの部分が、前記マットの厚さを通る除去方向に排出される、請求項14に記載の処理方法。
【請求項16】
前記鉱物繊維のマットは、未硬化バインダーによって結合された鉱物繊維のブランケットである、請求項14又は15に記載の処理方法。
【請求項17】
前記鉱物繊維のマットは、バインダーによって結合されていない鉱物繊維のマットである、請求項14又は15に記載の処理方法。
【請求項18】
バインダーによって結合された
鉱物繊維をベースとする製品、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造するための方法であって、
- 鉱物繊維を得ること、
- 前記鉱物繊維上にバインダーをスプレーして、バインダー(10)によって結合された鉱物繊維のマットを形成すること、及び、
- 前記バインダーを架橋させること、
を少なくとも含み、
前記方法は、前記バインダーによるスプレーと架橋との間に、請求項14に記載の処理方法に記載されるとおり、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットを検出及び除去することによって鉱物繊維のマット(10)を処理することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にロックウール又はグラスウールに基づくミネラルウールから作られた製品の製造に関する。より詳細には、本明細書は、例えば防音及び/又は断熱を目的とする製品を製造するための方法の間又はその最後に得られる繊維マット内に特に存在しうる局在化欠陥の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
現在販売されているミネラルウールに基づく絶縁製品は、典型的には、ガラス繊維又は岩石繊維などの鉱物繊維のマット又はフェルトから得られたパネル、ボード、ロール、又は、チューブ状もしくは他の形状の製品からなり、該繊維は有機又は無機バインダーによって、又は、ニードルパンチングなどの機械的技術によって固定されている。それはまた、バインダーを供給せずに集められた鉱物繊維のマット又はブランケットから得られた緩いウールフレークの形態であって、次いで、ノジュール化として知られている技術によって小型繊維クラスターに縮小化されてもよい。
【0003】
これらの繊維マットの製造方法は周知であり、典型的には以下の一連の工程を含む:
- 鉱物材料を溶融させること、
- 回転式繊維化部材を用いたいわゆる回転繊維化技術、又は、高速ガスジェットによる細化技術により、繊維に転化させること、
- 場合により、繊維を結合又はサイジングことを意図する液体を繊維にスプレー塗布すること、
- ブランケット又はマットと呼ばれる、厚めの又は薄めの層の形態で受容表面上において繊維を蓄積させること、
- 前記ブランケット又はマットを熱的、機械的又は熱機械的に処理又は成形してそれを凝集させるか、又は、それとは逆に、断片へと縮小させること、
- 得られた製品を最終的に調製すること。
【0004】
そして、例えばロックウールの場合には、製造方法は、典型的には、以下の一連の工程を含む。
- 一般的に、炉又はキュポラ炉内で1500℃程度の温度で岩石を溶融させること、
- 繊維化すること、すなわち、一連の水平軸ロータを備えたこの目的のために知られている外部遠心装置に溶融材料を注ぐことにより岩石繊維を得ること、
- 水溶液中で一般に熱硬化性であるバインダーを含む結合性コンパウンドを、新たに形成された繊維上へスプレー塗布すること、
- 結合された繊維のブランケットの形態のバインダーで含浸された繊維を、受容ベルト上に受け取ること、
- 場合により、前記繊維のブランケットの幾つかの層を重ね合わせてクロスラッピングすること、
- バインダーの硬化及び架橋ならびに残留水の除去を可能にするのに十分な温度及び時間で乾燥オーブン又は炉内で焼成すること、
- 繊維マットを長手方向(例えば、不均一な縁を避けるため)、横断方向、及び、場合により、厚さ方向(スプリッティング)で、一般に鋸又はギロチンを使用して切断し、それにより、ボードとして又はロール状に構成されうるブロックを得ること、
- 場合により、このようにして得られたボード又はロールをパッケージングすること、例えばプラスチックフィルムによりラッピングすること、次いで、
- ボードを保管すること。
【0005】
グラスウールの製造方法は、ガラスバッチ材料の混合物が炉内で溶融され、内部遠心装置が繊維化のために使用されること以外は同様に分類され、該内部遠心装置は、垂直軸に関して回転し、オリフィスが貫通している周縁環状壁を備えた繊維化スピナー又はディスクと呼ばれる1つ以上の繊維化部材を備え、このオリフィスを通って溶融材料がフィラメントの形態で吐出され、次いで、高速のガスジェットによって細化される。
【0006】
上述したとおりの製造方法の状況において、方法の特定のパラメータの変動又は特定の装置の誤動作に関連して、特定の欠陥が現れることがある。
【0007】
局在化欠陥、すなわちフェルトの特定の非常に局在化した点にのみ存在する欠陥の2つのカテゴリが、例として以下に記載される:
1)「ホットスポット」タイプの欠陥、これは高い岩石密度又は高いガラス密度のゾーンに対応する。このような欠陥は繊維化方法から生じる。それは、未繊維化材料の不安定性又は蓄積により生じる。それはまた、グラスウールの場合にはスピナーからオーバーフローしたガラス片、又は、繊維化部材の摩耗により生じる金属片、又は、ロックウールの場合にはキュポラ炉に由来するコークス片、又はバッチ石などの固体含有物の形態であることができる。それは、繊維マットの内部に非常に局在化したクラスターを特徴とする。これらのクラスターは、フェルト内で急速に冷却され、このようにして、極端に密でかつ硬いゾーンを生じ、そこで切断装置(鋸、ギロチン)が破損し又は亀裂が入り、又は、絶縁製品中に保持された高温塊の熱慣性のために、非常にゆっくりと冷却することがあり、極端な場合には、例えば、保管領域中又はトラックでの輸送時に、製品の全体が火災に遭う可能性がある。
【0008】
2)「ウエットスポット」タイプの欠陥、これは繊維化工程の間に、より高密度の水及び/又は樹脂(バインダー)のクラスターが形成される場所に現れる。乾燥工程の間に、マットを通過する高温空気は、次いで、より高密度のこの点の周りを包囲する傾向があり、したがって、そこで高湿度が維持される。これらのウエットスポットは、次いで、使用中に美的欠陥を生成することがある。レンダリングで覆われた絶縁パネルを含む外側からの壁の絶縁は、このようにして、パネルのウエットスポットで、実装後に茶色の望ましくない跡を示すことがある。
【0009】
特許文献1は、製造方法の出口、すなわち架橋乾燥オーブンの出口で、バインダーによって結合された鉱物繊維のマット中の上記タイプの局在化欠陥を検出する方法を記載している。この方法によれば、検出装置は、バインダーの組成、吸引力、繊維の架橋温度、架橋手段中の滞留時間からなる群より選ばれる少なくとも1つのパラメータを調節する手段に連結されてもよい。1つの変形形態によれば、検出装置は、分析装置の下流に位置する部材を調節するための手段に結合されてもよく、前記部材は、例えば、次の選別又は切断のために、欠陥を含むマットの領域を分離及び/又はダウングレードし、又は、前記領域を非常に正確にマークするように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、この方法は欠陥を排出することを可能にするものではなく、製造方法の十分に上流ではなおさらである。その結果、欠陥を検出した場合に廃棄すべき材料の量は高いままである。
【0012】
本明細書の1つの主題は上記の問題を解決することである。
【0013】
もちろん、上述のホットスポット及びウエットスポットは、本記載の意味の範囲内の局在化欠陥の幾つかの例に過ぎない。一般に、マット構造の欠陥、特に局所的な変動、又は、色の局所的な変動、又は、マット内の繊維及び/又は水及び/又はバインダーの濃度の局所的な変動は本記載中に含まれることが考えられるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本記載によれば、上述の目的は、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去によって、平面及び走行方向に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマットを処理するための機器によって達成され、該機器は、
- 前記鉱物繊維のマットを輸送するための第一の部材、
- 前記鉱物繊維のマットを輸送するための第二の部材、ここで、該第二の部材は前記走行方向で第一の輸送部材の後に配置され、そして処理ゾーンによって前記方向でそれから離れている、
- 前記走行方向で前記処理ゾーンの上流に位置する鉱物繊維のマット中の局在化欠陥を検出するための装置、及び、
- 前記処理ゾーンにおいて、前記検出装置によって検出された欠陥を、それを含むマットの部分を除去することによってインラインで除去するのに適した、欠陥を除去するための装置、
を含む。
【0015】
欠陥の除去は、インラインで、換言すれば、繊維のマットの輸送中に、この輸送を中断することなく行われる。
【0016】
したがって、機器は、特定の改造を必要とする製造施設の他のステーションを使用することなく、鉱物繊維をベースとする製品を製造するための設備に統合することができる。
【0017】
本記載全体にわたって、輸送部材は、非常に一般的には、繊維のマットを受け取り、マットの変位を可能にするのに適した任意の部材を意味すると理解される。輸送部材は、例えば、コンベア、ドラム、受け取りベルト又は任意の他の適切な装置とすることができる。
【0018】
処理機器によって処理されたマットは、有利には、まだ硬化されていないバインダーの助けを借りて結合された鉱物繊維のブランケットであり、該ブランケットは絶縁ウールのボード又はロールの製造が意図されている。
【0019】
しかしながら、代わりとして、処理されたマットはバインダーを含まない鉱物繊維のマットであってもよい。この場合に、マットは、例えば、必要に応じて予め脱カードされた繊維ブランケットから得られ、凝集せずに繊維のクラスターを形成する。そのような製品は、ゆるやかに包装された任意のタイプのウールであってよく、例えば、スプレーウール又はブローイングウール(特にInsulsafe(商標)のブランドで販売されるタイプのもの)として後に使用されてよい。
【0020】
マットは繊維材料から製造されるが、マットの2つの主面を画定することが全体的に可能である。これら2つの主面の間の距離はマットの厚さを規定する。
【0021】
これらの主面から出発して、マットの走行面を局所的に規定することが可能である。マットの任意の点において、この走行面は、マットの主面の1つに接する平面に対応する。
【0022】
マットの走行方向は、それ自体も局所的に規定される。
好ましくは、除去装置は、欠陥を含むマットの部分が入射除去方向、すなわちマットの厚さを通って排出されるように構成され、該除去方向は、有利には、マットの走行面の法線に実質的に平行である。表現「実質的に平行」は、ここでは、この法線方向と0度~45度の間の角度を形成することを意味すると理解される。したがって、欠陥の除去は、マットの全厚にわたって、マットを貫通する穴を形成することが理解される。
【0023】
1つの例によれば、検出装置は静的であり、有利にはマットの全幅を、例えば約10mmの横断方向分解能で分析することが可能である。
【0024】
1つの例によれば、特にホットスポットの場合には、検出装置は、マットの表面を走査し、マットの表面温度を測定又は推定するのに適している。
【0025】
例えば、検出装置は少なくとも1つの赤外線検出部材、特に赤外線スキャナを含む。
【0026】
赤外線を使用することにより、接触することなくマットの温度の情報特性又は代表値を再確立することが可能になる。別の利点は、この方法が小さな寸法(幅10mm程度)のホットスポットを検出することを可能にすることである。
【0027】
特定の場合には、特にウエットスポットの検出のために、検出装置は、代わりとして、少なくとも1つのマイクロ波検出装置を含むことができる。
【0028】
さらに別の例示的な実施形態によれば、特にマットの色の不均一性を検出するために、検出装置はビデオカメラを含むことができる。
【0029】
しかしながら、上記の例は限定的なものではなく、他のタイプの検出も他の選択肢として想定することができる。
【0030】
1つの例によれば、除去装置は、除去方向でマットの一部に応力を課す、圧力手段又は引張手段、特に機械的手段又は空気圧手段を含む。
【0031】
本記載による圧力手段は、鉱物繊維のマットに圧力をかけるのに適した任意の流体又は固体要素を含むことができると理解されるべきである。
【0032】
したがって、圧力手段は、非限定的に、加圧指の形態、又は、加圧下で流体、特に空気又は水又は油のジェットの形態であることができる。
【0033】
本記載による引張手段は、鉱物繊維のマットに引張力を加えるのに適した任意の流体又は固体要素を含むことができると理解されるべきである。
【0034】
これには、特に、マット内に挿入され、欠陥に引張力を加える間に引き出されるフック、又は、吸引手段などの機械的抽出手段が含まれる。
【0035】
有利には、圧力又は引張手段によって加えられる力の適用方向(上述の除去方向に対応する)は、走行面の法線と3°~20°、好ましくは3°~10°、なおもより好ましくは4°~6°の角度を形成する。これらの角度値はブランケットを変形させることなく正確に切断することを可能にするので有利であることが観察されている。
【0036】
除去装置は、有利には、欠陥を含むマットの部分を局所的に除去するのに適する。換言すれば、装置は、マットの幅よりも小さい幅を有するマットの部分を除去するのに適していることができる。
【0037】
1つの例によれば、除去装置は、処理ゾーンに向けて配向され、機器の横断方向に分配された複数の圧力又は引張部材を含む。
【0038】
機器の横断方向を、マットの走行方向と直交し、同じ位置で走行面に平行な方向として局所的に規定することが可能である。
【0039】
この横断方向は、マットが接触することが意図されている輸送部材の主面にほぼ平行である。
【0040】
このように、圧力又は引張部材は、処理ゾーンにおいて、繊維のマットの全幅にわたって、好ましくは規則的に分布されることが理解される。
【0041】
有利には、これらの部材は、そこで、互いに独立して(すなわち、選択的に)制御されるのに適している。
【0042】
有利には、機器は、横断方向の欠陥の位置決めに関する情報を除去装置に送信するための送信手段、及び、前記情報の関数として各圧力部材又は引張部材を選択的に制御するための手段を含む。したがって、マットが処理ゾーンを通過するときに、検出された欠陥を含むマットの部分の直接的に反対側に位置する圧力部材又は引張部材のみを作動させることが可能である。これらの構成のために、そして圧力部材又は引張部材を掛け合わせることによって、排出されるマットの体積を必要最小限に減らすことができる。
【0043】
1つの例によれば、第一の輸送部材と第二の輸送部材との間の間隔は50~150mm、好ましくは80~120mmである。この距離は、実質的なサイズのホットスポット(80mmより大きい最大直径)を排除するのに十分であるが、それでもマットの走行連続性を維持することができる(2つの輸送部材間のマットの崩壊がない)。
【0044】
第一の輸送部材と第二の輸送部材との間の間隔は、ここでは、第一の輸送部材の主面の極点(走行方向でマットがそれを超えてはもはや第一のコンベアと接触しなくなる点)、第二の輸送部材の主面の極点(走行方向でマットがそれを超えてはもはや第二のコンベアと接触しなくなる点)を走行方向で隔てる距離であると考えられる。
【0045】
1つの例によれば、機器は、処理ゾーンに、鉱物繊維のマットの下で制御される様式で開閉するのに適した少なくとも1つのハッチをさらに含む。有利には、ハッチは、第一及び第二の輸送部材の間で、これらの2つの輸送部材の直接連続性をもって鉱物繊維のマットのための輸送表面を形成する。
【0046】
この構成は、特に、鉱物繊維のマットがバインダーによって結合されていない繊維のマットである場合に想定することができる。この場合に、マットは、繊維の間に凝集のない繊維のクラスターからなり、これは連続的な支持体の上で移動されることが必要である。ハッチは、この支持体と排除装置の両方を形成し、ハッチが開いているときに、ハッチ上に位置する繊維は重力によって落下し、このようにして排出される。
【0047】
本記載はまた、鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造するための製造ラインに関し、該ラインは、少なくとも、
- 鉱物繊維を得るための繊維化装置、
- バインダーによって結合された鉱物繊維のマットの形成のために、前記鉱物繊維上にバインダーをスプレー塗布するための装置、及び、
- バインダー架橋装置、
を含み、
前記製造ラインは、スプレー塗布装置とバインダー架橋装置との間に、上記で規定したとおりの処理機器をさらに含む。
【0048】
1つの例によれば、製造ラインは、処理機器とバインダー架橋装置との間に、繊維のマットをクロスラッピングするための装置をさらに含む。
【0049】
クロスラッピングの上流の欠陥の検出にはいくつかの利点がある:検出はより低い基本重量のマット上で実行され、したがってより信頼性があり、一方、欠陥の除去は最終製品の品質に影響を与えない。というのは、マットの一部の除去から生じる穴は、重ねられた繊維の厚さによって覆われるからである。
【0050】
1つの例によれば、製造ラインは、処理機器とバインダー架橋装置との間にクリンピング装置をさらに含む。クリンピング技術はそれ自体知られており、マットの構造を緻密化する繊維の蓄積を作り出すために、ラインにおけるマットの移動中に速度を低下させることにある。クリンピング操作はまた、繊維を再配列することによって、排出されたマットの部分による繊維レベルの局所的欠如を補償することを可能にする。これに関して、本発明によれば、クリンピングは、欠陥の除去に応答してのみトリガーされうる。
【0051】
本記載はまた、局在化欠陥、特にホットスポットの検出及び排除によって、平面及び走行方向に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマットを処理する方法にも関し、該方法は、
- 鉱物繊維のマットを第一の輸送部材上で輸送し、次いで、第一の輸送部材の後に位置し、処理ゾーンによって走行方向でそれと離れている第二の輸送部材上で輸送すること、
- 鉱物繊維のマット中の局在化欠陥を、走行方向の処理ゾーンの上流で検出すること、及び、
- 処理ゾーンで、検出された欠陥を含むマットの部分を除去することにより、該検出された欠陥をインラインで除去すること、
を含む。
【0052】
好ましくは、欠陥を含むマットの部分は、マットの走行面の法線に実質的に平行な除去方向にて除去される。
【0053】
1つの例によれば、欠陥を含むマット部分の除去は、圧力又は引張手段によって除去方向にて前記部分に応力を与えることにより行われる。
【0054】
1つの例によれば、鉱物繊維のマットは、バインダーによって結合された鉱物繊維のブランケットである。
【0055】
1つの例によれば、鉱物繊維のマットは、バインダーによって結合されていない鉱物繊維のマットである。
【0056】
1つの例によれば、局在化欠陥の検出は赤外線の使用を含む。
【0057】
本記載は最終的に、バインダーによって結合された鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造する方法に関し、
- 鉱物繊維を得ること、
- バインダーによって結合された鉱物繊維のマットの形成のために前記鉱物繊維上にバインダーをスプレー塗布すること、及び、
- バインダーを架橋させること、
を含み、該方法はバインダーのスプレー塗布と架橋との間に、上記に記載の処理方法によって、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去により、鉱物繊維のマットを処理することをさらに含む。
【0058】
1つの実施例によれば、製造方法は、バインダーの処理と架橋との間に、鉱物繊維のマットをクロスラッピングすることをさらに含む。
【0059】
1つの実施例によれば、製造方法は、バインダーの処理と架橋との間に、鉱物繊維のマットをクリンピングすることをさらに含む。
【0060】
本発明の詳細は、鉱物繊維をベースとする製品を製造するための製造ライン内の本処理機器の実施形態の以下の記載を読むことにより、よりよく理解されるであろう。本発明の関係の範囲内において、他の実施形態ももちろん可能であり、以下の記載は、例示のためだけに提供され、記載されるその態様のいずれをも限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は本発明の1つの実施形態による欠陥を検出しそして除去するための機器を示す。
【
図3】
図3は
図1及び
図2の処理機器を用いて欠陥Mを含むマットの部分の除去を示す。
【
図4】
図4は本発明による処理機器を組み込んだ、岩石繊維をベースとする製品を製造するための製造ラインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1には、局在化欠陥M、特にホットスポットの検出及び除去によって、走行方向Xに沿って動いている鉱物繊維、例えば岩石繊維のマット10を処理するための機器1が示されている。
【0063】
処理機器1は、
- 第一の輸送部材2、
- マットの走行方向Xで第一の輸送部材2の後に配置され、処理ゾーン4によって前記方向Xでそれから離れている第二の輸送部材3、
- 処理ゾーン4の走行方向Xについての上流に位置する、鉱物繊維のマットにおける局在化欠陥を検出するための装置5、
- 処理ゾーン4において、欠陥Mを含むマット10の部分を除去することによって、欠陥M(該欠陥Mは検出装置5によって検出される)をインラインで除去するのに適した、欠陥Mを除去するための装置6、
を含む。
【0064】
第一及び第二の輸送部材2,3は、ここでは、平行な軸の周りに取り付けられ、モータによって駆動されるエンドレスベルトである。各々の部材は、鉱物繊維のマット10と接触すること、より詳細には、この鉱物繊維のマット10を支持するように意図された主面2a,3a(ここでは上面)を備える。これらは、同等に、チェーンコンベア又はローラーテーブルコンベアであることができる。
【0065】
第一及び第二のコンベアの主面2a,3aは平坦である(これは決して限定ではないが)。それらは、
図1~
図3に示されるように、1つの同じ平面上に配置されていてよく、又は、場合により、互いに対して傾斜していてもよい。
【0066】
第一及び第二のコンベア2,3は、互いに離間されており、マットの走行方向Xで処理ゾーン4によって離れている。
【0067】
図2においてdで示す、第一の輸送部材と第二の輸送部材との間隔は、第一コンベア2の主面2aと第二のコンベア3の主面3aとを走行方向Xで隔てる距離に相当する。この間隔dは、有利には50~150mm、好ましくは80~120mmである。
【0068】
繊維のマット10は、ここでは、まだ硬化されていないバインダーの助けを借りて結合された岩石繊維のブランケットであり、このブランケットは絶縁性ウールのボード又はロール(以下、ブランケット)の製造を意図している。
【0069】
次に、マット10は、2つの平行な主面10a,10bを有する連続ストリップの形態で全体として存在し、そのうちの1つ(10b)は、ここで、コンベア2,3と接触する。マットは幅l及び厚さeを有し、
図1に示すとおりである。
【0070】
マット10の幅lは、例えば1000~4000mmである。その厚さeは、典型的には、10~30mmである。マットの基本重量は、例えば300~500g/m2である。
【0071】
上述したように、マットの任意の点において、走行面は、その主面10a,10bの1つに接しているものと定義される。
【0072】
さらに、局所的に、横断方向Yは、マットの走行方向Xと直交し、そして同じ点で前記走行面に平行である方向と定義される。
【0073】
欠陥検出装置5は、この例では、第一のコンベア2の上方、別の言い方をすれば、処理ゾーン4の上流に位置する赤外線スキャナである。
【0074】
スキャナ5はここでは固定型であり、ブランケットの少なくとも全幅lを横断方向に走査する視野を有する。
【0075】
その視野は、横断方向に、好ましくは一定の幅(1/N以下)であるN個のセクションS1, ..., Sn, ..., SNに分割される。
【0076】
スキャナ5は、上記の視野の上記のN個のセクションにおけるマットの表面温度の瞬間情報の特性又は代表値を再確立するのに適している。時点tにおけるこれらのセクションの1つ以上で測定された温度が所定の閾値(例えば250℃又は300℃又は350℃)を上回ると考えられる場合には、問題のセクションのX及びY座標(それぞれ走行方向及び横断方向に)を含む対応する情報は、除去装置6に送られる。
【0077】
除去装置6は、走行方向Xで検出装置5の下流に位置する。
【0078】
より具体的には、除去装置6は、第一の輸送部材2及び第二の輸送部材3との間に位置する。
【0079】
それは、例において、処理ゾーン4に向けて、別の言い方をすれば、第一及び第二の輸送部材2,3を分離する空間に配置されたブランケット10の部分に向けて、N個の圧力部材P1,...,Pn,PNを含む。
【0080】
図示された特定の例において、N個の圧力部材Pは、特に、検出装置5によって伝達される情報の関数として、電磁弁によって制御される圧縮空気ノズルである。
【0081】
1つの有利な構成によれば、各ノズルは、いわゆる増幅ノズルであり、すなわち、動作中に、誘導周囲空気を同伴させる。このため、所与のブローイング力のための空気消費量は低減される。したがって、このタイプのノズルは、典型的には5~6バールの圧縮空気ネットワークの標準圧力で使用することができ、ブースターポンプの追加を必要としない。
【0082】
1つの例として、ブローイング力(=ブローイング中にノズルから150mmの位置にある天秤に作用する最大の力)が22N以上であるノズルは、50~200mm、好ましくは80~100mmの距離だけノズルから離間した、300~500g/m2の基本重量を有する繊維ブランケットでは特に適することが観察された。
【0083】
圧力部材Pは、欠陥Mの正確な位置決めの関数として、横断方向Y及び走行方向Xで選択的に制御されうる。例えば、単一のノズルを作動させて、小さな寸法の欠陥を排除することができる。他の場合には、互いに隣接する幾つかのノズルを同時に作動させて、除去される材料の幅を広げることができる。
図1には、スキャナ5によって処理された2つのセクションSi及びSjにわたって延在している欠陥Mが示されている。
【0084】
欠陥の検出及び電磁弁の動作との間の時間tは、ノズルPから出てくる空気のジェットが、処理ゾーン4を通過する瞬間に、欠陥Mを含むマットの部分に遭遇し、そして、空気の圧力の影響下でこれらの部分が排出されるように、マット10の走行速度の関数として予め設定される。
【0085】
ノズルPの作動時間自体は、検出された欠陥のX座標に依存する。この欠陥がマットの所与の長さにわたって、走行方向に延在している場合には、電磁弁の開放時間は、結果的に調整される。
【0086】
好ましくは、そして
図2にさらに詳細に示すように、ノズルPiは、ブローイングの適用方向Fが、走行面に対する法線Zに対してわずかに傾斜するように配置される。
【0087】
1つの有利な構成によれば、ブローイング方向(マットの方向に各ノズルによって加えられる圧力の方向)は、マットの走行面に対する法線(Z)と3~20°、好ましくは3~10°、よりなおも好ましくは4°~6°(例えば5°)の角度ベータ(β)を形成する。これらの角度値はブランケットを変形させることなく正確に切断することを可能にするので有利であることが観察された。
【0088】
図3には、ノズルPi,Pjによる欠陥Mを含むマット10の部分の除去が示されている。2つのノズルによって加えられる圧力を受けるマットの部分は、マットから離れ、隣接部分を損傷することなく、マットの厚さ全体を通過する局在化された穴は形成される。欠陥のあるマット部分はコンベア間を通過し、そして回収容器などにマットの下で回収され、処理することができる(例えば、ホットスポットの場合には冷却後にリサイクル)。
【0089】
上記の処理器1は、一例として与えられるだけであって、明らかに本発明を限定するものではない。
【0090】
したがって、例えば、圧力手段は、典型的にN個の圧力指の形態の機械的圧力手段であって、選択的に動作させることができる。
【0091】
また、除去装置は、上記の加圧部材の代わりに引張部材、例えば、抜き取りフックタイプの機械的部材又は吸引装置を含むことができ、又は、これら2つのタイプの部材の組み合わせを含むことができる。
【0092】
同様に、第一の輸送部材及び第二の輸送部材の相対的な位置は、
図1~
図3に示したものとは異なることができる。ほとんどの場合には、第一及び第二の輸送部材は順番に配置されているが、変形形態として、それらは重ねられるか、又は、それらの間に角度、例えば90°の角度を形成することができる。
【0093】
最後に、処理されたマットはバインダーを含まない鉱物繊維のマットであることができる。この場合には、マットは、例えば、場合によって予め脱カードされた繊維ブランケットから得られ、凝集なしに繊維のクラスターを形成する。そのような製品は、その後、ブローイングウールとして、又は、スプレーイングウールを製造するために使用されうる。
【0094】
この場合には、マットは、支持要素なしで第一及び第二の輸送部材の間を移動することができない。この支持要素は、そこで、有利には、鉱物繊維のマットの下で制御様式で開閉するのに適した少なくとも1つのハッチによって形成することができる。そこで、ハッチは、第一及び第二の輸送部材の間で、これらの2つの輸送部材の直接連続性をもって、鉱物繊維のマットのための輸送表面を形成することが理解される。ハッチが開いているときに、ハッチ上にある繊維は、単なる重力の効果(圧力又は引張手段なしに)、又は、重力と上記のタイプの圧力又は引張手段との複合効果のいずれかで落下し、このようにして排出される。
【0095】
明らかに、除去されるマットの量を制限するために、機器は、有利には、機器の幅方向に分配された複数のハッチを含み、ハッチは、検出される欠陥の正確な位置に依存して、選択的に(互いに独立して)動作されうる。
【0096】
図4は、特に
図1及び
図2に関連して上述したタイプの本発明による処理機器を含むロックウール製品を製造するための製造ライン20を概略的に表している。
【0097】
製造ライン20は、上流から下流に下記の要素を含む。
- 岩石繊維を得るための繊維化装置22、
- このようにして得られた岩石繊維上にバインダーをスプレー塗布するための装置24(繊維化機械に統合されている)、
-
図1及び
図2に関連して上記のタイプの局在化欠陥の検出及び除去によって、繊維化装置及びスプレー塗布装置から生じる繊維のマットを処理するための機器1、
- クロスラッピング装置28、及び、
- バインダー架橋乾燥オーブン30。
【0098】
知られているように、繊維化装置22は、カスケード状に配列された、実質的に水平な軸を中心に回転することができる一連の4つの紡糸ホイール23a,23b,23c,23dを備え、ここで、第一のホイール23aは最小であり、第二のホイール23bはわずかにより大きく、第三及び第四のホイール23c、23dは非常に僅かにより大きく、実質的に同じ直径である。
【0099】
第一のホイール23aはシュート(図示せず)を介して溶融材料が供給され、第二のホイール23bに送られる材料を加速するために本質的に使用され、形成される繊維の量に比例して各ホイールで材料の流量が減少する。
【0100】
このような繊維化装置22は、一般に、繊維の形成方向に垂直な方向で繊維を引き込みかつ同伴させる効果によって繊維の形成を助ける目的で、紡糸ホイールの周囲に、ホイールの回転軸に実質的に平行な空気の流れを発生させる手段をさらに備える。
【0101】
バインダー溶液が専用手段によって供給されるスプレー塗布装置24によってバインダーを繊維にスプレー塗布する。次いで、繊維のマット10は、受容表面上の繊維の蓄積によって形成され、輸送部材によってライン内で、ホットスポットタイプの局在化欠陥の検出及び場合による除去を行うために本発明による処理機器1に輸送される。
【0102】
次いで、それはクロスラッピング装置28に輸送される。
【0103】
クロスラッピング装置28は、幾つかの重ね合わせ層の形態でコンベア32上に鉱物繊維を堆積させるのに適している。このため、繊維のマットの基本重量は増加し、改善された熱及び/又は音響特性を有する絶縁製品を得ることが可能になる。簡略化のために、コンベア32は、輸送方向Xと整列して
図4に示されているが、実際にはY方向に沿って垂直に向けられている。
【0104】
クロスラッピング装置28は、典型的には垂直である。それは、平行で互いに対向する鉱物繊維と接触することを意図された主面33a,34aを有する2つのベルト33,34を含む。 2つのベルト33,34は同じ速度で動き、それらの間でそれらの主面に対して繊維を巻き込む。2つのベルト33,34は、
図1の矢印fで示すように、それらの主面に平行な水平軸の周りで共に振動する。
【0105】
この機器は、クロスラッピング装置28の下流に配置され、かつ鉱物繊維の密度を増加させかつ配向させことを可能にするクリンピン機とも呼ばれるクリンピング装置26を好ましくは含む。クリンピング機26は、典型的には、対向して配置された3つの順次のベルト対として分配された6つのベルト36,37,38,39,40,41を含む。各ベルトは、鉱物繊維と接触することが意図された主面36a,37a,38a,39a,40a,41aをそれぞれ備える。
【0106】
第一の対のベルト36及び37は同じ速度で動く。第二の対のベルト38及び39は同じ速度で動く(第一の対のベルトとは異なる)。第三の対のベルト40及び41は同じ速度で動く(第一及び第二の対のベルトとは異なる)。
【0107】
クリンピング及びクロスラッピングの両方の操作は欠陥部分の除去から生じるマットに形成される穴の修復に役立つ。このため、最終製品の品質又は審美性は処置操作によって影響されない。
【0108】
次いで、繊維のマットは較正され、そして温度が例えば220℃に近い乾燥オーブン30に輸送される。乾燥オーブン30内の繊維マットの温度上昇及び滞留時間はバインダーの硬化及び水の除去を可能にするように調整される。乾燥オーブン30を出るときに、繊維のマットは、典型的には、切断装置の助けを借りて、その不均一な縁部の長手方向の切断、及び、場合により、中心部の長手方向の切断、横断方向、及び、場合により、厚さ方向(スプリット)の切断を受け、それにより、ボードの形態又はロール状で保管することを可能にするブロックを得る。
本開示は、下記の態様を含む。
<態様1>
平面(X,Y)及び走行方向(X)に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマット(10)を、局在化欠陥(M)、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去によって処理するための機器(1)であって、以下を具備する処理機器(1):
- 鉱物繊維のマット(10)を輸送するための第一の部材(2)、
- 鉱物繊維のマット(10)を輸送するための第二の部材(3)であって、前記第一の輸送部材(2)の前記走行方向Xにおける後に配置されており、かつ処理ゾーン(4)によって前記方向で前記第一の輸送部材(2)と離れている、第二の輸送部材(3)、
- 前記処理ゾーン(4)の前記走行方向(X)における上流に位置する、鉱物繊維のマットの局在化欠陥(M)を検出するための装置(5)、及び
- 前記処理ゾーン(4)において、検出装置(5)によって検出された欠陥(M)を含むマットの部分を除去することによって、欠陥(M)をインラインで除去するのに適した欠陥を除去するための装置(6)。
<態様2>
前記検出装置(5)は、少なくとも1つの赤外線検出部材を含む、態様1に記載の処理機器(1)。
<態様3>
前記除去装置は、前記マットの厚さを通る除去方向に、前記欠陥を含むマットの部分が排出されるように構成されている、態様1又は2に記載の処理機器(1)。
<態様4>
前記除去装置(6)は、前記マットの走行面(X,Y)に対する法線(Z)に実質的に平行な除去方向(F)に、前記欠陥を含むマットの部分が排出されるように構成されている、態様1~3のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
<態様5>
前記除去装置(6)は、除去方向(F)に、前記マットの部分に力を課す、圧力又は引張手段(P)を含む、態様1~4のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
<態様6>
前記圧力又は引張手段によって課される力の適用方向は、前記走行面(X,Y)に対する法線方向(Z)と、3°~20°、好ましくは3°~10°、なおもより好ましくは4°~6°の角度をなしている、態様5に記載の処理機器(1)。
<態様7>
前記除去装置(6)は、前記処理ゾーン(4)に向けて配向され、前記機器の横断方向(Y)に分配されている、複数の圧力又は引張部材(P)を含む、態様5又は6に記載の処理機器(1)。
<態様8>
前記除去装置(6)に、前記欠陥(M)の横断方向(Y)における位置情報を送信するための送信手段、及び前記情報の関数としての、圧力又は引張部材(P)のそれぞれの選択的制御のための手段をさらに含む、態様7に記載の処理機器(1)。
<態様9>
前記第一の輸送部材の第一の輸送表面と、前記第二の輸送部材の第二の輸送表面との間の距離(d)は、50~150mmであり、好ましくは80~120mmである、態様1~8のいずれか一項に記載の処理機器(1)。
<態様10>
前記処理ゾーンにおいて、前記鉱物繊維のマット(10)の下で、制御して開閉するのに適した少なくとも1つのハッチをさらに含む、態様1~9のいずれ一項に記載の処理機器(1)。
<態様11>
鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造するための製造ライン(20)であって、
- 鉱物繊維を得るための繊維化装置(22)、
- バインダーによって結合された鉱物繊維のマット(10)を形成するための、前記無機繊維上にバインダーをスプレーするための装置(24)、及び
- バインダー架橋装置(30)、
を少なくとも含み、
前記製造ライン(20)は、前記スプレー装置(24)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、態様1~10のいずれか一項に記載の処理機器(1)をさらに含む、製造ライン(20)。
<態様12>
前記処理機器(1)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、繊維のマット(10)をクロスラッピングするための装置(28)をさらに含む、態様11に記載の製造ライン(20)。
<態様13>
前記処理機器(1)と前記バインダー架橋装置(30)との間に、クリンピング装置(26)をさらに含む、態様11又は12に記載の製造ライン(20)。
<態様14>
平面(X,Y)及び走行方向(X)に沿って動いている鉱物繊維、特にガラス繊維又は岩石繊維のマット(10)を、態様1~10のいずれか一項に記載の機器を用いて、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットの検出及び除去によって処理するための方法であって、以下を含む方法:
- 鉱物繊維のマット(M)を第一の輸送部材(2)上で輸送し、次いで、前記第一の輸送部材(2)の後に位置し、かつ前記走行方向(X)で処理ゾーン(4)によって前記第一の輸送部材とは離れている第二の輸送部材(3)上で輸送すること、
- 前記処理ゾーン(4)の前記走行方向(X)での上流にて、鉱物繊維のマット(10)において局在化欠陥(M)を検出すること、及び
- 検出された欠陥(M)を含むマットの部分を除去することによって、検出された欠陥(M)を、インラインで前記処理ゾーン(4)において除去すること。
<態様15>
前記欠陥を含むマットの部分が、前記マットの厚さを通る除去方向に排出される、態様14に記載の処理方法。
<態様16>
前記鉱物繊維のマットは、未硬化バインダーによって結合された鉱物繊維のブランケットである、態様14又は15に記載の処理方法。
<態様17>
前記鉱物繊維のマットは、バインダーによって結合されていない鉱物繊維のマットである、態様14又は15に記載の処理方法。
<態様18>
バインダーによって結合された無機繊維をベースとする製品、特にガラス繊維又は岩石繊維をベースとする製品を製造するための方法であって、
- 鉱物繊維を得ること、
- 前記鉱物繊維上にバインダーをスプレーして、バインダー(10)によって結合された鉱物繊維のマットを形成すること、及び、
- 前記バインダーを架橋させること、
を少なくとも含み、
前記方法は、前記バインダーによるスプレーと架橋との間に、態様14に記載の処理方法に記載されるとおり、局在化欠陥、特にホットスポット又はウエットスポットを検出及び除去することによって鉱物繊維のマット(10)を処理することをさらに含む、方法。