(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G02F1/1337
(21)【出願番号】P 2019008543
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】大西 郷
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-152626(JP,U)
【文献】実開昭54-174343(JP,U)
【文献】実開昭58-144345(JP,U)
【文献】特開昭63-182641(JP,A)
【文献】特開平11-038523(JP,A)
【文献】特開2004-226458(JP,A)
【文献】特開2007-266098(JP,A)
【文献】特開昭63-056644(JP,A)
【文献】米国特許第05392101(US,A)
【文献】中国特許出願公開第104656313(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G03F 7/20-7/24,9/00-9/02
G03B 27/54
H01L 21/30,21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅を持つ被照射体に対して
紫外光を照射する光照射装置において、
幅方向をX軸方向、同一平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向として、X軸方向に線状にのびるライン光を形成する光源と、前記光源と前記被照射体との間に配置されて前記被照射体に向けて照射される前記ライン光の局所的な減光を可能にする減光フィルターと、前記減光フィルターをY軸方向に被照射体に対して相対移動させる移動手段とを備え、
減光フィルターは、Y軸方向に対して傾斜した2辺を持つ輪郭を有して、移動手段の起点にてライン光の中央領域を減光し、前記起点からY軸方向一方への相対移動に伴ってライン光の減光領域がX軸方向に拡がるように構成され
、
前記減光フィルターの各辺が、Y軸方向に対して30度以下の傾斜角で傾斜されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記減光フィルターは、台形の輪郭を有して光源からの光を反射または吸収する減光部がメッシュ状に設けられたものであることを特徴とする請求項
1記載の光照射装置。
【請求項3】
被照射体に照射される光の照度を測定する測定手段と、測定手段の測定値に基づいて前記移動手段を制御する制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項1
または請求項2記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の幅を持つ被照射体に対して紫外光を照射する光照射装置に関し、より詳しくは、被照射体の幅方向で照度や光量の均一性よく光を照射できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの液晶表示素子が備える液晶配向膜を配向させるために、配向膜や配向層に偏向光を照射することで配向させる光配向と呼ばれる技術が知られている。また、画像表示パネルとタッチパネル部材を貼り合わせるために紫外線硬化型樹脂を主成分とする接着組成物をシート状に成形し、この接着組成物を完全に硬化させる場合と比較して低い照度の紫外光を照射して半硬化状態とし、半硬化状態の接着組成物を介して画像表示パネルとタッチパネル部材を位置合わせしながら貼り合わせ、再度紫外光を照射して接着組成物を完全に硬化させることで、気泡の残存を回避しながら、画像表示パネルとタッチパネル部材を強固に接着することが行われている。
【0003】
上記配向膜などの被照射体に対して紫外光(光)を照射する光照射装置は例えば特許文献1で知られている。このものは、被照射体の幅方向をX軸方向、同一平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向として、被照射体をY軸方向に搬送する搬送手段と、この搬送手段により搬送される被照射体に対向配置させる棒状光源とを備える。そして、棒状光源から発せられたX軸方向に線状にのびるライン光が被照射体に照射されるようにしている。このとき、光源から発せられる光の波長や光源の強さ(光度)に関係なく、被照射体のX軸方向中央領域でのライン光の照度が高く、中央領域からX軸方向両端領域に向かうのに従い照度が低下していくこと(即ち、X軸方向に照度むらが生じること)が一般に知られている。このような光照射装置を用いる場合、X軸方向の照度むらに起因した上記配向膜の品質への影響を排除するため、上記従来例のものでは、被照射体の中央領域でのライン光の照度を低下させて照度むらを抑制するために、被照射体と棒状光源との間に減光フィルターが固定配置されている。
【0004】
ところで、ライン光の照度を低下させるX軸方向の幅(言い換えると、減光領域のX軸方向長さ)は、例えば被照射体の種類に応じて変更する必要がある。このような場合、減光領域のX軸方向長さが異なる複数枚の減光フィルターを作製し、被照射体の種類に応じてその都度交換するのでは、その交換作業が面倒であるばかりか、交換作業後の調整作業も必要となって生産性の低下を招来する。そこで、減光領域のX軸方向長さが自動調整できる光照射装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、減光領域のX軸方向長さが自動調整できる光照射装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、所定の幅を持つ被照射体に対して紫外光を照射する本発明の光照射装置は、幅方向をX軸方向、同一平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向として、X軸方向に線状にのびるライン光を形成する光源と、前記光源と前記被照射体との間に配置されて前記被照射体に向けて照射される前記ライン光の局所的な減光を可能にする減光フィルターと、前記減光フィルターをY軸方向に被照射体に対して相対移動させる移動手段とを備え、減光フィルターは、Y軸方向に対して傾斜した2辺を持つ輪郭を有して、移動手段の起点にてライン光の中央領域を減光し、前記起点からY軸方向一方への相対移動に伴ってライン光の減光領域がX軸方向に拡がるように構成されることを特徴とする。尚、本発明には、減光フィルターをY軸方向に加えてX軸方向にも相対移動させるもの(つまり、X軸とY軸との交点回りのθ方向に回転させるもの)を含むものとする。
【0008】
本発明によれば、移動手段により減光フィルターをY軸方向に被照射体に対して相対移動させれば、ライン光の減光領域のX軸方向の幅が変化する、これにより、被照射体に照射する光の照度(または光量)ばらつきを調整することができる。このため、従来例のように被照射体の種類に応じてその都度減光フィルターの交換作業や交換作業後の調整作業を行う必要がなく、生産性を向上させることができる。
【0009】
本発明においては、前記減光フィルター各辺は、Y軸方向に対して30度以下の傾斜角で傾斜することが好ましい。各辺の傾斜角が30度よりも大きいと、減光フィルターのY軸方向への移動量に対する減光領域の変化量が大きくなり、減光領域ひいてはライン光の照度を精度良く制御できないという不具合が生じる。
【0010】
本発明においては、前記減光フィルターは、台形の輪郭を有して光源からの光を反射または吸収する減光部がメッシュ状に設けられたものであることが好ましい。
【0011】
本発明においては、被照射体に照射される光の照度を測定する測定手段と、測定手段の測定値に基づいて前記移動手段を制御する制御手段とを更に備えること好ましい。これによれば、被照射体に照射される光の照度を精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の光照射装置を示す模式図。
【
図3】(a)は起点位置の減光フィルターを説明図であり、(b)は移動後の減光フィルターを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、所定の幅を持つ帯状の基材を被照射体Wbとし、被照射体に対して光を照射する場合を例に、本発明の実施形態の光照射装置について説明する。以下においては、幅方向をX軸方向、同一平面内でX軸方向に直交する方向をY軸方向として説明する。
【0014】
図1を参照して、LMは、本実施形態の光照射装置である。光照射装置LMは、被照射体WbをY軸方向に搬送する搬送手段としての搬送ローラ1a,1bを備える。尚、被照射体Wbとしては、単層あるいは多層のプラスチックフィルムや、プラスチックフィルムに粘着剤を塗布して粘着剤層が形成された粘着フィルムや粘着シート等を用いることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂からなるものを好適に例示することができる。被照射体Wbの幅は、特に限定されないが、1400mm以下が好ましく、300mm~1000mmの範囲がより好ましい。
【0015】
搬送ローラ1a,1bの間の被照射体Wbの部分に対向させて、被照射体Wbの下方には光源2が配置されている。光源2は、X軸方向に長手の棒状ランプ21と、棒状ランプ21が収納される上面が開口された収納箱22とを備え、X軸方向にのびるライン光を形成できるようになっている。棒状ランプ21としては、UV(紫外線)ランプを用いることができる。光源2から被照射体Wbまでの距離(以下「照射距離」ともいう)d1は、被照射体Wbに照射する光の照度や光量に応じて適宜設定され、例えば200~1200mmの範囲に設定される。光源2のX軸方向の長さ(以下「光源幅」という)は、被照射体Wbの幅に応じて設定されるが、通常、被照射体Wbの幅の1~1.5倍の範囲に設定される。例えば、被照射体Wbの幅が1400mmである場合、光源幅は1400~2100mmの範囲、好ましくは1600~2000mmの範囲、より好ましくは1800~1900mmの範囲に設定される。尚、光源2のY軸方向の長さは、200mm以下が好ましく、100mm~150mmの範囲がより好ましい。
【0016】
光源2と被照射体Wbとの間には減光フィルター3が配置され、光源2からのライン光の局所的な減光を可能としている。減光フィルター3は、移動手段としてのモータ4の駆動軸4aに連結され、Y軸方向に被照射体Wbに対して相対移動できるようになっている。光源2から減光フィルター3までの距離d2は、例えば、100mm~300mmの範囲に設定することが好ましく、150mm~250mmの範囲に設定することがより好ましい。
【0017】
図2も参照して、減光フィルター3としては、例えば、光源2からの光の通過を許容する開口3aが画成されるように金属製の線材3bをメッシュ状に組み付けたものや(
図3参照)、パンチングメタルを用いることができる。減光フィルター3の減光率(減光フィルター3全体の面積に対する遮光部(線材3b)の面積の割合)は、20%~80%の範囲に設定することが好ましく、25%~75%の範囲に設定することがより好ましい。20%より低いと、照度むらを抑制するための十分な減光率が得られなくなり、80%より高いと、光の遮断量が大きくなり、減光フィルター3の熱変形や電力のロスを招来する虞がある。減光フィルター3の材質は、遮光できると共に光照射に対して耐性を持つものであればよく、例えば、ステンレス等の金属が好ましい。減光フィルター3の厚み(線材3bの線径)は、例えば、2mm以下が好ましく、0.1mm~1mmの範囲がより好ましい。2mmより大きいと、減光フィルター3に対して垂直に入射した光しか透過できなくなり、その結果として、被照射体Wbに十分な光を照射できなくなり、0.1mmより小さいと、減光フィルター3が変形することがある。減光フィルター3は、Y軸方向に対して傾斜した2辺31a,31bを持つ輪郭を有し、具体的には、台形や三角形の輪郭を有している。各辺31a,31bのY軸方向に対する傾斜角θは、30度以下に設定されることが好ましい。傾斜角θが30度よりも大きいと、減光フィルター3のY軸方向の移動量に対する減光領域の変化量が大きくなり、減光領域ひいてはライン光の照度を精度良く制御できないという不具合がある。減光フィルター3が台形の輪郭を持つ場合、上底の長さは、好ましくは光源幅の0.3倍~0.5倍、より好ましくは光源幅の0.3倍~0.4倍に設定することができ、また、下底の長さは、好ましくは光源幅の0.7倍~0.9倍、より好ましくは光源幅の0.8倍~0.9倍に設定することができる。減光フィルター3のY軸方向の両端は、矩形の枠体32で保持されており、枠体32のX軸方向両端は、Y軸方向に夫々のびる一対のガイド部材33によりガイドされている。枠体32のY軸方向一方の外側面にはモータ4の駆動軸4aが連結されている。このような構成を採用することにより、モータ4を駆動することで枠体32ひいては減光フィルター3をY軸方向に被照射体Wbに対して相対移動できるようになっている。例えば、モータ4の起点位置では、
図3(a)に示すように、減光フィルター3によりライン光の中央領域が減光される。そして、この起点からモータ4を作動させて、
図3(b)に示す位置まで、減光フィルター3をY軸方向一方へ相対移動させると、これに伴って減光フィルター3によるライン光の減光領域がX軸方向に拡がるようになっている。尚、モータ4として、図示省略するエンコーダを備えるものを用いることで、エンコーダの値と減光フィルター3の位置とを予め対応付けて後述する制御手段Cuに記憶しておけば、減光フィルター3を精度良く移動させることができる。
【0018】
被照射体Wbの上方には測定手段としての複数個(本実施形態では5個)の照度計5がX軸方向に並設されており、各照度計5が被照射体Wbの部分を透過した光の照度を測定できるようになっている。各照度計5の測定値は、制御手段Cuに入力される。制御手段Cuは、マイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた公知のものであり、制御手段Cuにより、搬送ローラ1a,1bの作動、光源2の作動やモータ4の作動等を統括制御するほか、各照度計5から入力される測定値から照度ばらつきを求めて照度ばらつきに基づいてモータ4をフィードバック制御するようになっている。以下、上記光照射装置LMを用いて、被照射体Wbに対する光の照射方法について説明する。
【0019】
先ず、照度のばらつきが目的とする範囲内に収まるように、被照射体Wbの材質に応じてライン光の減光領域のX軸方向の幅(以下「減光領域幅」ともいう)Rxが決定される。そして、減光領域幅Rxを実現する減光フィルター3のY軸方向の目標位置が求められる。例えば、被照射体Wbの種類と、減光領域幅Rx及び減光フィルター3のY軸方向の目標位置とを対応付けて制御手段Cuに記憶しておけば、被照射体Wbの種類に応じた減光領域幅Rxと目標位置とを取得することができる。モータ4を駆動して、減光フィルター3をY軸方向に相対移動させる。
【0020】
減光フィルター3が目標位置まで移動すると、図示省略するモータにより搬送ローラ1a,1bを回転駆動することにより、所定速度で被照射体WbがY軸方向に搬送される。このように被照射体Wbを搬送しながら、光源2から被照射体Wbの部分にUV光が照射される。
【0021】
ここで、被照射体Wbが光透過性を有するため、被照射体Wbを透過したUV光の照度が各照度計5により測定される。照度計5により測定された照度と、上記決定された照度との間に差が予め設定した基準値と異なる場合、その差に基づいてモータ4を駆動して減光フィルター3の位置を補正するようにしてもよい。
【0022】
以上によれば、減光フィルター3をY軸方向に被照射体Wbに対して相対移動させることで、ライン光の減光領域のX軸方向の幅(減光領域幅)Rxを変化させることができ、その結果として、被照射体Wbに照射する光の照度(または光量)を変化させることができる。このため、従来例のように被照射体Wbの種類に応じてその都度減光フィルター3の交換作業や交換作業後の調整作業を行う必要がなく、生産性を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明の実施形態をより具体化した実施例と実施例に対する参考例について説明する。実施例1では、被照射体Wbとして1400mmの幅を持つポリエチレンテレフタレート製フィルム(東レ株式会社製、商品名「PET25 T60」)を用い、この被照射体Wbに対向させて光源2を配置した。光源2から被照射体Wbまでの距離d1は、1000mmに設定した。光源2の棒状ランプ21としては、幅が1850mmである紫外線硬化用ランプ(アイグラフィックス株式会社製、商品名「H296-L41X」)を用いた。被処理体Wbと光源2との間には、減光フィルター3を配置し、光源2から減光フィルター3までの距離d2は、160mmに設定した。減光フィルター3としてはエキスパンドメンタル(奥谷金網株式会社製)を台形の輪郭にカットして用いた。この減光フィルター3は光を反射する減光部(金属)を有し、その減光率は50%であり、台形の2辺31a,31bのY軸に対する傾斜角θは30度とした。モータ4を駆動し、ライン光の減光領域幅(光源2を覆う減光フィルター3のX軸方向の幅)Rxが1200mmとなる位置まで減光フィルター3をY軸方向に移動した。この状態で、光源2からのライン光を被照射体Wbに照射した。被照射体Wbの上方に配置された5つの照度計5により、被照射体Wbを透過したライン光(被照射体Wbに照射されたライン光に相当する)の照度をX軸方向5点(-700mm、-350mm、0mm(中央)、+350mm、+700mm)で測定し、これらの測定値から下式(1)により照度ばらつき(±%)を求めたところ、±2.9%であった。下式(1)中、Imaxは測定した5点の照度の中の最大値、Iminは測定した5点の照度の中の最小値を示す。
照度ばらつき[±%]=(Imax-Imin)/(Imax+Imin)×100・・・(1)
上式(1)から得られる照度ばらつきは、測定された照度の中央値(ImaxとIminの中間の値)からのImaxとIminのばらつきを表す指標である。
【0024】
ここで、本実施例1においてだけでなく、後述する実施例2~29及び参考例1~5においても、照度ばらつきの評価を行った。評価については、求めた照度ばらつきが±3%未満の場合を「○」、±3%以上±5%未満の場合を「△」、±5%以上の場合を「×」とした。このような照度ばらつきの評価結果及び上述した光照射装置の各種条件を、表1に示す。
【0025】
【0026】
次に、実施例2では、ライン光の減光領域幅Rxが900mmとなる位置まで減光フィルター3をY軸方向に移動した後、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±3.2%であった。
【0027】
これら実施例1,2に対する参考例1,2では、ライン光の減光領域幅Rxが500mm,1500mmとなる位置まで減光フィルター3をY軸方向に移動した後、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、いずれも±5.6%と悪化した。
【0028】
実施例3では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1500mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.4%であった。また、実施例4では、減光領域幅Rxを1400mmとした点を除き、実施例3と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±3.9%であった。
【0029】
これら実施例3,4に対する参考例3では、減光領域幅Rxを1600mmとした点を除き、実施例3と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±5.8%と悪化した。
【0030】
実施例5では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとし、減光領域幅Rxを1400mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。また、実施例6では、減光領域幅Rxを1500mmとした点を除き、実施例5と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。
【0031】
これら実施例5,6に対する参考例4では、減光領域幅Rxを1300mmとした点を除き、実施例5と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±25.2%と悪化した。
【0032】
実施例7では、光源2から減光フィルター3までの距離d2を150mmとし、減光領域幅Rxを1100mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.9%であった。また、実施例8では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1500mmとした点を除き、実施例7と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.3%であった。また、実施例9では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとした点を除き、実施例8と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。
【0033】
実施例10では、光源2から減光フィルター3までの距離d2を200mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.1%であった。また、実施例11では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1450mmとした点を除き、実施例10と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.6%であった。また、実施例12では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとし、減光領域幅Rxを1600mmとした点を除き、実施例8と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。
【0034】
実施例13では、光源幅を2000mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.2%であった。また、実施例14では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1600mmとした点を除き、実施例13と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.1%であった。また、実施例15では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとした点を除き、実施例14と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.1%であった。
【0035】
実施例16では、光源幅を1600mmとし、減光領域幅Rxを900mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±3.7%であった。また、実施例17では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1200mmとした点を除き、実施例16と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.1%であった。また、実施例18では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとし、減光領域幅Rxを1300mmとした点を除き、実施例17と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.2%であった。
【0036】
実施例19では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光フィルター3の減光率を30%とした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±1.1%であった。また、実施例20では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとし、減光領域幅Rxを1400mmとした点を除き、実施例19と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±1.8%であった。
【0037】
これら実施例19,20に対する参考例5では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を1000mmとし、減光領域幅Rxを800mmとした点を除き、実施例19と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±7.1%と悪化した。
【0038】
実施例21では、減光フィルター3の減光率を40%とし、減光領域幅Rxを950mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±4.8%であった。また、実施例22では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1400mmとした点を除き、実施例21と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±1.3%であった。また、実施例23では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとした点を除き、実施例22と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±1.8%であった。
【0039】
実施例24では、減光フィルター3の減光率を60%とし、減光領域幅Rxを1300mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±1.3%であった。また、実施例25では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとし、減光領域幅Rxを1500mmとした点を除き、実施例24と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±4.2%であった。また、実施例26では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとした点を除き、実施例25と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。
【0040】
実施例27では、減光フィルター3の減光率を70%とし、減光領域幅Rxを1600mmとした点を除き、実施例1と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.0%であった。また、実施例28では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を500mmとした点を除き、実施例27と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±4.5%であった。また、実施例29では、光源2から被照射体Wbまでの距離d1を200mmとした点を除き、実施例28と同様の条件でライン光を照射して照度ばらつきを求めたところ、±2.5%であった。
【0041】
以上の実施例及び参考例によれば、減光フィルター3をY軸方向に移動させることで、減光領域幅Rxを調整できることが判った。さらに、実施例で示されるようにX軸方向の照度ばらつき(照度むら)を低減できることが判った。
【0042】
尚、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、減光フィルター3をY軸方向に相対移動させる場合を例に説明したが、減光フィルター3をY軸方向に加えてX軸方向にも相対移動させるように構成してもよい。この場合、減光フィルター3がX軸とY軸との交点回りのθ方向に回転することで、ライン光のX軸方向の幅を変化させるものを含むものとする。
【0043】
また、上記実施形態では、被照射体Wbとして光透過性を有するものを用い、この被照射体Wbを透過したライン光の照度を照度計5で測定する場合を例に説明したが、被照射体Wbが光透過性を有しない場合には、被照射体Wbで反射した反射光の照度を測定すればよい。
【0044】
また、上記実施形態では、搬送ローラ1a,1bにより被照射体Wbを搬送する場合を例に説明したが、被照射体Wbを搬送する手段としては公知のものを用いることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、減光フィルター3を構成する金属製の線材3bが光を反射する場合を例に説明したが、光を吸収する線材をメッシュ状に設けて所定の減光率を持つように構成したものを用いることもできる。
【符号の説明】
【0046】
LM…光照射装置、Wb…被照射体、2…光源、3…減光フィルター、3b…線材(減光部)、31a,31b…Y軸方向に対して傾斜した2辺、θ…Y軸方向に対する傾斜角、4…モータ(移動手段)、5…照度計(測定手段)、Cu…制御手段。