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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】枠体の連結構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E06B1/18 Y
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019030188
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020133307
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】伊奥 優
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-002096(JP,A)
【文献】特開平10-205225(JP,A)
【文献】実開平03-008219(JP,U)
【文献】特開平01-006489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00-15/58
E05F 1/00-17/00
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に隣り合って配設されて内外を仕切る第一パネル体と第二パネル体とを連結する連結部材を有し、
前記第一パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第一連結枠体を連結部材側の端部に備え、
前記第二パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第二連結枠体を連結部材側の端部に備え、
前記第一連結枠体と第二連結枠体とは、あいだに配された前記連結部材を介して連結された、枠体の連結構造において、
前記第一連結枠体の外面部は、第二連結枠体の外面部よりも外方に位置し、
前記第二連結枠体の外面部には、内外方向に幅を有するスペーサが取り付けられており、
前記第一連結枠体の外面部と前記スペーサの外面部とは、少なくとも一部が外方から視認可能であることを特徴とする枠体の連結構造。
【請求項2】
前記スペーサは、外面部が前記第一連結枠体の外面部と内外方向に略同位置となるよう配されていることを特徴とする請求項1記載の枠体の連結構造。
【請求項3】
前記スペーサと前記第二連結枠体とは、前記連結部材と反対側の側面部が面一状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の枠体の連結構造。
【請求項4】
前記スペーサには、前記第二連結枠体への取付端部に止水材が配されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1に記載の枠体の連結構造。
【請求項5】
前記スペーサは、第一スペーサ部材と第二スペーサ部材とによって構成されており、
前記第一スペーサ部材は、前記止水材を配するための止水材保持部を有しており、
前記第二スペーサ部材は、前記止水材保持部を前記第二連結枠体の外面部に向けて外方から押圧する押圧部を有していることを特徴とする請求項4に記載の枠体の連結構造。
【請求項6】
前記スペーサには、前記第二連結枠体の連結部材側の面部に当接する突部が設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか1記載の枠体の連結構造。
【請求項7】
建築物の開口部に、内外を仕切る第一パネル体と第二パネル体とを隣り合わせて配設するために連結部材で連結するに際し、
前記第一パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第一連結枠体を連結部材側の端部に備え、
前記第二パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第二連結枠体を連結部材側の端部に備えたものとし、
前記第一連結枠体と第二連結枠体とを、あいだに配した前記連結部材を介して連結するにあたり、
前記第一連結枠体の外面部を、第二連結枠体の外面部よりも外方に配する工程と、
第二連結枠体の外面部に、内外方向に幅を有するスペーサを取り付ける工程と、
前記第一連結枠体の外面部と前記スペーサの外面部とを、少なくとも一部が露出して外方から視認可能に配設する工程と、を有することを特徴とする枠体の連結構造の施工方法。
【請求項8】
前記スペーサは、第一スペーサ部材と第二スペーサ部材とからなるものとし、
前記第一スペーサ部材は、スペーサの外面部を構成しており、
前記第二連結枠体の外面部に前記第二スペーサ部材を第一ネジによって外方からネジ止めした後に、
前記第一スペーサ部材を前記第二スペーサ部材に対して前記第一ネジが外方に露出しないよう取り付けることを特徴とする請求項7記載の枠体の連結構造の施工方法。
【請求項9】
前記第一スペーサ部材を、前記第二スペーサ部材に対して第二ネジが外方に露出しないよう、内方からネジ止めすることを特徴とする請求項8記載の枠体の連結構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の枠体の連結構造とその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の開口部に複数のサッシ等のパネル体の枠体を隣接して配設するに際し、方立や無目といった連結部材をあいだに介して、隣接する枠体同士を連結させるものが知られている(特許文献1参照)。そして、連結部材で連結される枠体の見込寸法が異なる場合、例えば室内側で枠体同士の見込位置を揃えて連結部材に取り付けると、室外側では枠体同士の見込位置が異なってしまうため、外観上好ましくない場合がある。そこで、連結される枠体の構造を連結部材に合わせた形状とすることにより、視認部分における枠体同士の見込位置を揃えたものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-1120号公報
【文献】特開平1-6489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載されたもののように、枠体の構造を種々の連結部材の形状や見込寸法に合わせて設計するものとすると、パネル体の汎用性が低くなるという問題がある。他方、連結部材を各枠体に合わせた形状とするように設計すると、連結部材の汎用性が低くなってしまう。そこで、見込寸法が異なる2つの枠体を連結するに際して、枠体と連結部材に汎用性をもたせたうえで、視認部分において各枠体の見込位置が揃っているように見えることが可能な枠体の連結構造を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため鋭意創作されたものであって、請求項1の発明は、建築物の開口部に隣り合って配設されて内外を仕切る第一パネル体と第二パネル体とを連結する連結部材を有し、前記第一パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第一連結枠体を連結部材側の端部に備え、前記第二パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第二連結枠体を連結部材側の端部に備え、前記第一連結枠体と第二連結枠体とは、あいだに配された前記連結部材を介して連結された、枠体の連結構造において、前記第一連結枠体の外面部は、第二連結枠体の外面部よりも外方に位置し、前記第二連結枠体の外面部には、内外方向に幅を有するスペーサが取り付けられており、前記第一連結枠体の外面部と前記スペーサの外面部とは、少なくとも一部が外方から視認可能であることを特徴とする枠体の連結構造である。
請求項2の発明は、前記スペーサは、外面部が前記第一連結枠体の外面部と内外方向に略同位置となるよう配されていることを特徴とする請求項1記載の枠体の連結構造である。
請求項3の発明は、前記スペーサと前記第二連結枠体とは、前記連結部材と反対側の側面部が面一状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の枠体の連結構造である。
請求項4の発明は、前記スペーサには、前記第二連結枠体への取付端部に止水材が配されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1に記載の枠体の連結構造である。
請求項5の発明は、前記スペーサは、第一スペーサ部材と第二スペーサ部材とによって構成されており、前記第一スペーサ部材は、前記止水材を配するための止水材保持部を有しており、前記第二スペーサ部材は、前記止水材保持部を前記第二連結枠体の外面部に向けて外方から押圧する押圧部を有していることを特徴とする請求項4に記載の枠体の連結構造である。
請求項6の発明は、前記スペーサには、前記第二連結枠体の連結部材側の面部に当接する突部が設けられていることを特徴とする請求項1~5の何れか1記載の枠体の連結構造である。
請求項7の発明は、建築物の開口部に、内外を仕切る第一パネル体と第二パネル体とを隣り合わせて配設するために連結部材で連結するに際し、前記第一パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第一連結枠体を連結部材側の端部に備え、前記第二パネル体は、連結部材に対して取り付けられる第二連結枠体を連結部材側の端部に備えたものとし、前記第一連結枠体と第二連結枠体とを、あいだに配した前記連結部材を介して連結するにあたり、前記第一連結枠体の外面部を、第二連結枠体の外面部よりも外方に配する工程と、第二連結枠体の外面部に、内外方向に幅を有するスペーサを取り付ける工程と、前記第一連結枠体の外面部と前記スペーサの外面部とを、少なくとも一部が露出して外方から視認可能に配設する工程と、を有することを特徴とする枠体の連結構造の施工方法である。
請求項8の発明は、前記スペーサは、第一スペーサ部材と第二スペーサ部材とからなるものとし、前記第一スペーサ部材は、スペーサの外面部を構成しており、前記第二連結枠体の外面部に前記第二スペーサ部材を第一ネジによって外方からネジ止めした後に、前記第一スペーサ部材を前記第二スペーサ部材に対して前記第一ネジが外方に露出しないよう取り付けることを特徴とする請求項8記載の枠体の連結構造の施工方法である。
請求項9の発明は、前記第一スペーサ部材を、前記第二スペーサ部材に対して第二ネジが外方に露出しないよう、内方からネジ止めすることを特徴とする請求項9記載の枠体の連結構造の施工方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2、7の発明とすることにより、第一連結枠体と第二連結枠体の外面部の内外位置が異なるような場合であっても、スペーサを配することで、各枠体や連結部材の形態に変更を加えることなく、外方からの視認部分において各枠体の内外位置が揃っているように見えるようにすることが可能となる。
請求項3の発明とすることにより、スペーサと第二連結枠体が一体的な外観性を有するものとすることができる。
請求項4、5の発明とすることにより、スペーサと第二連結枠体とのあいだの止水性能が向上したものとすることができる。
請求項6の発明とすることにより、突部によってスペーサを第二連結枠体に取り付ける際の位置決めを容易なものとすることができる。
請求項8、9の発明とすることにより、スペーサを第二連結枠体に取り付けるに際し、ネジが露出しないものとすることができるため、外観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開口部に取り付けられたパネル体全体の正面図である。
図2図1のX-X断面図である。
図3図2の方立部分の拡大図である。
図4図2のスペーサ部分の拡大図である。
図5図4の要部の見込寸法の関係を示す図である。
図6】(A)(B)スペーサの斜視図である。
図7】上部スペーサの取付例を示す縦断面図である。
図8】取付鋼材への枠体の連結構造についての変形例を示す平面図である。
図9】(A)第一連結枠体同士を連結させる場合、(B)第二連結枠体同士を連結させる場合の連結構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1、2に示されるように、建築物の開口部Oに、隣り合う第一パネル体2と第二パネル体3とが室内外を仕切って配設されている。室外側から視て右側に第一パネル体2、左側に第二パネル体3が配され、その間には連結部材に相当する方立4が配されており、方立4によって第一パネル体2と第二パネル体3とが連結されている。
【0009】
本実施形態における第一パネル体2及び第二パネル体3は、いずれも耐熱ガラス2a、3aの四周をサッシ枠2b、3bによって囲繞されたFIX窓である。サッシ枠2b、3bはいずれもアルミ材からなる枠体である。そして、各サッシ枠2b、3bにおいて、方立4に連結される縦枠が、それぞれ第一連結枠体6(左縦枠)、第二連結枠体7(右縦枠)である。すなわち、方立4が、第一パネル体2の第一連結枠体6と、第二パネル体3の第二連結枠体7とを連結することで、枠体の連結構造1が構成されている。なお、各パネル体2、3はFIX窓に限られるものではなく、例えば開閉窓やドア等の開閉体であってもよく、第一パネル体2と第二パネル体3とでそれぞれ異なる機能を有するものであってもよい。
【0010】
第一連結枠体6は、室外側(正面側)に外面部6aを、室内側(背面側)に内面部6bを備えており、方立4側の側面(左側面)には、後述する係合部材8と係合するために開口した係合部6cが形成されている。さらに、耐熱ガラス2aを保持するための受け部6dが、方立4と反対側の側面(右側面)に形成されている。
【0011】
同様に、第二連結枠体7は、室外側に外面部7a、室内側に内面部7bを備えており、方立4側の側面(右側面)には係合部材8と係合するための係合部7cが、方立4と反対側の側面(左側面)には、耐熱ガラス3aを保持するための受け部7dが形成されている。そして、特に図4に示されているように、第一連結枠体6の見込寸法L1は、第二連結枠体7の見込寸法L2より大きく設計されている。
【0012】
図3に示されるように、方立4は、取付鋼材9と、取付鋼材9の室内側(背面側)に配された防火被覆10と、取付鋼材9と防火被覆10とを接続する接続部材11を備えて構成されている。取付鋼材9は、2つのコ字状の鋼材を対向させることで、中空な方形状に構成された上下に長尺な鋼材である。取付鋼材9の各側面9aには、それぞれ係合部材8が溶接され、その間に溶接部9bが形成されている。係合部材8は、内外端部において、第一連結枠体6、第二連結枠体7の開口した係合部6c、7cの端部を左右方向から挟み込むように係合することで、取付鋼材9に第一連結枠体6、第二連結枠体7が連結されている。
【0013】
なお、取付鋼材9と第一、第二連結枠体6、7との連結は、溶接した係合部材8を介したものに限られない。例えば、図8に示すように、各枠体6、7と取付鋼材9のあいだにそれぞれ鋼材からなる連結鋼材8aを配し、連結鋼材8aと受け部6d、7dの底部をネジ止めするとともに、取付鋼材9の各側面9aと連結鋼材8aをネジ止めすることで、取付鋼材9と第一、第二連結枠体6、7とを連結したものとしてもよい。あるいは、取付鋼材9と各枠体6、7を直接ネジ止めして連結したものとすることもできる。これらの場合には、溶接が不要となって作業性に優れる。
【0014】
防火被覆10は、ケイ酸カルシウム板からなる耐火材であり、右左両端部が第一パネル体2、第二パネル体3の方立4側の端部と正面視で重なり合うよう構成されている。接続部材11は、平板状の平板面部11aと、その右左両端部から室内側に延出した側面部11bとによって平面視で略冂字形状に構成された、上下に長尺な金属部材である。接続部材11の平板面部11aは、取付鋼材9と防火被覆10のあいだに配されて、取付鋼材9に対して室内側からネジ止めされている。防火被覆10は、前端部が接続部材11によって覆われている。
【0015】
接続部材11の両側面部11bには、L字状の留め付け金具12がネジ止めされており、これによって防火被覆10の側面部及び内面部が保持されている。さらに、接続部材11の両側面部11bと、留め付け金具12の外周とを覆う、上下に長尺な内部カバー13が、これらと一体にネジ止めされている。この内部カバー13によって、防火被覆10が室内側で露出しないように配慮されている。
【0016】
接続部材11の平板面部11aの右左端部は、第一連結枠体6の内面部6b、第二連結枠体7の内面部7bに対して面接触した状態でネジ止めされている。これによって、第一連結枠体6と第二連結枠体7とは、各内面部6b、7bが内外方向(見込方向)で略同位置で方立4に対して取り付けられることとなる。したがって、第一連結枠体6の外面部6aは、第二連結枠体7の外面部7aに対し、室外側にL1-L2だけ突出した位置に配されていることとなる。
【0017】
このように、防火設備としての第一パネル体2、第二パネル体3同士を連結させるに際しては、防火被覆10側に第一、第二連結枠体6、7の内面部6b、7bを合わせることが望まれる。したがって、見込寸法の異なる枠体6、7同士を方立4によって連結しようとすると、各枠体6、7の外面部6a、7aの内外位置が異なることとなる。
【0018】
そこで、第二連結枠体7の外面部7aには、第一連結枠体6の外面部6aと内外方向に略同位置となるよう外面部14aが配されたスペーサ14が取り付けられている。スペーサ14は、第一連結枠体6、第二連結枠体7と同じアルミ材からなり、第一スペーサ部材15と第二スペーサ部材16とが係合して構成され、内外方向にL1-L2の幅を有している。したがって、図4に示されるように、スペーサ14は、外面部14aが第一連結枠体6の外面部6aと内外方向に略同位置となるように配されることとなる。これによって、あたかもスペーサ14の外面部14aが第二パネル体3の第二連結枠体7の外面部7aであるかのような外観性が付与され、各枠体6、7の外面部6a、7aの内外方向の位置が揃っているように見えることとなる。
【0019】
図5、6に示されるように、第一スペーサ部材15は、スペーサ14の外面部14aを構成する外面部15aと、外面部15aの方立4側端部から室内側に延出した右側面部15bと、外面部15aの方立4と反対側の端部から室内側に延出し、室内側端部で第二連結枠体の外面部7aと当接する左側面部15cと、を備えて構成されている。右側面部15bの室内側端部には、右側(方立4側)に向けて突出して、後述する第二スペーサ部材16の係合片16bに嵌入する係合突部15dと、スペーサ14の内部側である左側に向けて突出し、第二スペーサ部材15と一体にネジ止めされる受け部15eと、が形成されている。
【0020】
また、第二連結枠体7の外面部7aの左端部と当接する、第一スペーサ部材15の左側面部15cの室内側端部は取付端部15fであって、止水材17を保持する止水材保持部15gを有している。止水材保持部15gは、取付端部15fのスペーサ14内部側に位置し、室内側が開口して内部に止水材17を充填・保持できるようになっている。保持された止水材17は、第二連結枠体7の外面部7aに室外側から当接することとなり、止水性能が発揮されるようになっている。さらに、左側面部15cのスペーサ14内部側には、ネジ受け部15hが形成されている。このネジ受け部15hは、後述するように第二パネル体3のサッシ枠3bの上枠3dに左右方向に取り付けられた上部スペーサ24と連結するに際して、ネジを受けるために設けられている。
【0021】
第二スペーサ部材16は、スペーサ14の内面部14bを構成する平板状の平板部16aと、平板部16aの右端部に設けられて第一スペーサ部材15の係合突部15dを嵌入して係合可能なコ字状の係合片16bと、平板部16aの左端部に設けられて止水材保持部15gを室内側に向けて押圧する逆L字状の押圧部16cと、を備えている。押圧部16cによって止水材保持部15gが押圧されることで、保持された止水材17がより強く第二連結枠体7の外面部7aに押圧されることとなり、スペーサ14と第二連結枠体7とのあいだの止水性能が向上する。
【0022】
また、第二スペーサ部材16には、第二連結枠体6の室外側の右側面部に当接する突部16dが平板部16aから室内側に向けて突設されている。この突部16dを第二連結枠体7に当接させることにより、スペーサ14の位置決めが容易なものとなっている。また、突部16dからスペーサ14の左端部までの長さが第二連結枠体7の外面部7aの左右長さと等しくなっており、これによって突部16dを第二連結枠体7に当接させて位置決めをしたときに、スペーサ14と第二連結枠体7とが、方立4と反対側の側面(左側面)で面一状に連結されている。
【0023】
第二連結枠体7へのスペーサ14の取り付け方法は、以下のようになされる。まず、第二連結枠体7に第二スペーサ部材16の突部16dを当接させて位置決めをした状態で、第二スペーサ部材16の平板部16aを第二連結枠体7の外面部7aに面接触させる。この状態で、第一ネジ18によって室外側から平板部16aを外面部7aにネジ止めする。その後、第一スペーサ部材15の係合突部15dを第二スペーサ部材16の係合片16bに嵌入して係合させるとともに、止水材17が保持された止水材保持部15gを押圧部16c内に押圧状に組み入れる。この状態で、第一スペーサ部材15の受け部15eと第二スペーサ部材16の平板部16aの右端部とを、室内側から第二ネジ19によってネジ止めする。このように取り付けると、第一ネジ18及び第二ネジ19が、いずれも第一スペーサ部材15の外面部15aによって覆蓋されるため、外部に露出しない構造となっている。
【0024】
方立4はさらに、取付鋼材9の室外側端部に取り付けられた外面部20を有している。外面部20は、平面視で室外側が開口した逆凸字状の外面部材21と、外面部材21のさらに室外側で方立4の室外側を覆蓋する外部カバー22と、を備えて構成されている。外面部材21は、室外側の幅広部21aが第一連結枠体6の外面部6a、スペーサ14の外面部14aよりも室外側に突出して右左に延出している一方、室内側の幅狭部21bの内面部が取付鋼材9の外面部にネジ止めされている。また、外部カバー22は、外面部材21の幅広部21aよりもさらに左右に延出して方立4の室外側を覆蓋するとともに、室外側から視て、第一連結枠体6の外面部6a、第二連結枠体7の外面部7a、スペーサ14の外面部14aの方立4側の端部と重なり合うようになっている。これによって、室外側から各連結枠体6、7と方立4との連結部位が視認されず、外観性に優れる。また、第一連結枠体6の外面部6a、スペーサ14の外面部14aと、外部カバー22の左右への延出部位とのあいだには、それぞれコーキング材23が充填されている。コーキング材23も、左右に延出した外部カバー22によって室外側からは視認されないよう配慮されている。
【0025】
なお、このような方立4の構造は、見込寸法が異なる第一連結枠体6、第二連結枠体7を連結させる場合に限られず、見込寸法が同じ場合にも用いることができる。例えば、左右ともに第一パネル体2(すなわち、第一連結枠体6)を連結させる場合には、図9(A)のように、本実施形態と同形状の方立4を用いて各第一連結枠体6を連結させることができる。他方、左右ともに第二パネル体3(すなわち、第二連結枠体7)を連結させる場合には、図9(B)のように、外面部40の形状、特に外面部材41の形状を変形したものを採用することで、スペーサ14を用いずに各第二連結枠体7を連結させることができる。この際、外部カバー22は共通のものを採用することができる。この外面部材41は、本実施形態の外面部材21に対して、幅狭部41bの内外長さが短尺なものとなっている。もっとも、本実施形態と同形状の方立4に、ともにスペーサ14を取り付けた第二連結枠体7を連結させたものとすることもできる。
【0026】
第二パネル体3のサッシ枠3bの左縦枠3cには、第二連結枠体7と同様に外面部にスペーサ14が取り付けられている(図1、2参照)。さらに、サッシ枠3bの上枠3dの外面部にも、スペーサ14と断面同形状の上部スペーサ24が左右方向にわたって取り付けられている(図1、7参照)。上部スペーサ24の左右端部は、スペーサ14の側面部にネジ止めされている。この際、スペーサ14の内部から上部スペーサ24のネジ受け部(スペーサ14のネジ受け部15eに相当)に対して、ネジが螺入されるようになっている。このように、第二パネル体3のサッシ枠3bには、下部を除く3周にスペーサ14及び上部スペーサ24が取り付けられているため、サッシ枠3bにおいて外面部の内外方向の位置がそろって外観性に優れる。さらに、連結された第一パネル体2のサッシ枠2bの外面部とも内外方向の位置がそろうため、連結された第一パネル体2、第二パネル体3を含めた構造全体として、外観性に統一感を与えることができる。なお、第二パネル体3のサッシ枠3bの下枠にも上部スペーサ24を取り付けたものとしてもよい。
【0027】
叙述の如く構成された本実施形態に係る枠体の連結構造1において、建築物の開口部Oに左右に隣り合って配設され、室内外を仕切る第一パネル体2と第二パネル体3とが、連結部材である方立4によって連結されている。第一連結枠体6の外面部6aは、第二連結枠体7の外面部7aよりも外側に位置しているが、第二連結枠体7の外面部7aには、内外方向に幅を有するスペーサ14が取り付けられており、特に、第一連結枠体6の外面部6aとスペーサ14の外面部14aが内外方向に略同位置となるように設計されている。そして、第一連結枠体6の外面部6aとスペーサ14の外面部14aとは、左右方向で方立4と反対側の端部側が、方立4の外面部20の左右端部よりも左右に広がった位置にあるため、室外側から視て外面部20とは重ならず、視認可能となっている。したがって、第一連結枠体6と第二連結枠体7の各外面部6a、7aの内外方向の位置が異なる場合であっても、スペーサ14を配することにより、方立4や各枠体6、7の形態を変更せずに汎用性をもたせたまま、室外側からの視認部分において各枠体の内外位置が揃っているように見えるようにすることが可能となっている。
【0028】
また、スペーサ14と第二連結枠体6とは、方立4と反対側の側面部である左側面部が、面一状となっているため、スペーサ14と第二連結枠体7が一体的な外観性を有するものとなっている。
【0029】
さらに、スペーサ14は第一スペーサ部材15と第二スペーサ部材16とによって構成され、第一スペーサ部材には、第二連結枠体7への取付端部15fに止水材17を配するための止水材保持部15gを有している。第二スペーサ部材16は、止水材保持部15gを第二連結枠体7の外面部7aに向けて室外側から押圧する押圧部16cを有している。これによって、スペーサ14と第二連結枠体7とのあいだの止水性能が向上したものとなっている。
【0030】
また、第二スペーサ部材16には、第二連結枠体7の連結部材側の面部である右側面部に当接する突部16dが設けられているため、スペーサ14を第二連結枠体7に取り付ける際の位置決めが容易なものとなっている。
【0031】
このような枠体の連結構造1の施工方法は、第一連結枠体6の外面部6aを、第二連結枠体7の外面部7aよりも室外側に配する工程と、第二連結枠体7の外面部7aにスペーサ14を取り付ける工程と、第一連結枠体6の外面部6aとスペーサ14の外面部14aとを、少なくとも一部が露出して室外側から視認可能に配設する工程を有したものである。
【0032】
そして、第二連結枠体7の外面部7aに、第二スペーサ部材16の平板部16aを第一ネジ18によって室内側からネジ止めした後、スペーサ14の外面部14aを構成する第一スペーサ部材15を第二スペーサ16に対して取り付けることで、スペーサ14内部に第一ネジ18が配されることとなって、第一ネジ18が外方に露出しないように取り付けられているため、外観性が優れたものとすることができる。
【0033】
さらに、第一スペーサ部材15のスペーサ14内部側に延出したネジ受け部15eと、第二スペーサ部材16の平板部16aとを第二ネジ19によって室内側からネジ止めすることで、第二ネジ19も室外側に露出せず、外観性が優れたものとすることができる。
【0034】
なお、本実施形態では左右に隣り合った各パネル体を上下に長尺な連結部材である方立によって連結したものとしているが、上下に隣り合った各パネル体を、左右に長尺な連結部材(すなわち、無目)によって連結したものとすることもできる。
【0035】
また、本実施形態では防火設備同士を連結する方立による構造としているが、本発明は必ずしもこれに限られない。さらに、第一連結枠体の外面部と第二連結枠体の外面部の内外方向の位置が異なったものであればよく、必ずしも各内面部の内外方向の位置が揃っていなくてもよい。その他、本発明は上記本実施形態で説明された具体的な形態等に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、建築物の開口部に設けられる枠体に係る分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 連結構造
2 第一パネル体
3 第二パネル体
4 方立(連結部材)
6 第一連結枠体
6a 外面部
7 第二連結枠体
7a 外面部
14 スペーサ
14a 外面部
15 第一スペーサ部材
15g 止水材保持部
16 第二スペーサ部材
16c 押圧部
16d 突部
17 止水材
18 第一ネジ
19 第二ネジ
20 (連結部材の)外面部
O 開口部
図1
図2
図3
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図5
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図9