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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】インクジェット印字装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20221012BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 305
B41J2/17 203
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019033228
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020138329
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】井沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】大山 耕一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和茂
(72)【発明者】
【氏名】草▲なぎ▼ 勝
(72)【発明者】
【氏名】武藤 雅俊
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213712(JP,A)
【文献】特開2019-014227(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001648(US,A1)
【文献】特開2020-066136(JP,A)
【文献】特開2016-124250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字媒体を所定の方向に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される印字媒体の印字面に印字する印字部と、前記印字部で発生したインクミストを回収するための送風部、排気部とを備えたインクジェット印字装置であって、
前記印字部は、箱体と、前記箱体内に、印字媒体の搬送方向に間隔を置いて設けた複数の印字ヘッドとを備え、
前記送風部は、送風用ブロワと、前記各印字ヘッドの印字媒体の搬送方向上流側にそれぞれ設けた複数の送風口と、前記送風用ブロワの吐出口と前記各送風口をそれぞれ接続する送風経路と、前記各送風口の吹出し風量をそれぞれ調整する吹出し風量制御手段とを備え、
前記排気部は、排気用ブロワと、前記各印字ヘッドの印字媒体の搬送方向下流側にそれぞれ設けた複数の回収口と、前記排気用ブロワの吸い込み口と前記各回収口をそれぞれ接続する排気経路と、前記排気経路に設けられて、前記各回収口から吸引した空気に含まれるインクミストをフィルタを通すことで液化して回収するインクミスト回収部と、前記各回収口の吸引風量をそれぞれ調整する吸引風量制御手段とを備え、
前記インクミスト回収部は、上部に流入孔を有して下部が開口した流入室と、上部に流出孔を有して下部が開口した流出室とを備え、前記流入孔が前記回収口と接続し、前記流出孔が前記排気用ブロワの吸い込み口と接続し、インクミストを含む空気が流入室の上から下に向けて流れて流出室の下に流入し、流出室の下から上に向けて流れる構成で、前記流入室と前記流出室には、空気が通ることでインクミストが液化するフィルタが設けられ、前記流入室と前記流出室の下方に、前記液化したインクミストを溜めるミスト溜めタンクを備え、前記ミスト溜めタンク内の液化したインクミストを排出するドレーンバルブを備え、
前記送風用ブロワと、前記排気用ブロワと、前記吹出し風量制御手段と、前記インクミスト回収部と、前記吸引風量制御手段とが、前記箱体の外部に設けてあることを特徴とするインクジェット印字装置。
【請求項2】
請求項記載のインクジェット印字装置において、
前記送風用ブロワは1基で、前記送風経路は、前記各送風口の数だけ分岐し、前記分岐した送風経路が前記各送風口にそれぞれ接続し、前記各分岐した送風経路に風量調整部を設けて前記吹出し風量制御手段とし、前記風量調整部は、前記箱体の外部に設けられ、
前記排気用ブロワは、前記回収口の数だけ有し、前記各排気用ブロワの吸い込み口と前記各回収口が排気経路でそれぞれ接続し、
前記各排気用ブロワの吸引風量を変更可能として、前記吸引風量制御手段としたインクジェット印字装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインクジェット印字装置において、
前記送風口は送風用ノズルの送風口とし、前記回収口は回収用ノズルの回収口とし、
前記複数の送風用ノズルの1つは前記箱体の印字媒体の搬送方向上流側の外部に設けられ、他の送風用ノズルは前記箱体の内部に設けられ、前記複数の回収用ノズルの1つは前記箱体の印字媒体の搬送方向下流側の外部に設けてあり、他の回収用ノズルは前記箱体の内部に設けてあるインクジェット印字装置。
【請求項4】
請求項に記載のインクジェット印字装置において、
前記送風用ノズルは、前記印字媒体の幅方向全域に開口する長さの送風口と、前記送風口の長さ方向に間隔をおいて設けられた複数の流入口を有し、
前記吹出し風量制御手段は、前記各流入口に送風する送風風量を調整可能とし、
前記回収用ノズルは、前記印字媒体の幅方向全域に開口する長さの回収口と、前記回収口の長さ方向に間隔をおいて設けた複数の流出口を有し、前記排気用ブロワは、前記流出口から空気を吸引するようにしたインクジェット印字装置。
【請求項5】
請求項1からいずれかに記載のインクジェット印字装置において、
モニターと制御部を備え、
前記排気経路の前記箱体外の部分における少なくとも一部分は鋼管によって構成され、
前記鋼管に風量計が設けられ、
前記制御部は、前記風量計の実測風量が、設定した風量基準値を下回った時に前記モニターに異常を表示するようにしたインクジェット印字装置。
【請求項6】
請求項1からいずれかに記載のインクジェット印字装置において、
前記排気用ブロワの吸い込み口とインクミスト回収部を接続する排気経路は、前記吸い込み口側と前記インクミスト回収部側が高く、中間部が低くなるように傾斜した形状で、前記排気経路における最も低い部分に排気経路内のミスト溜めが設けてあるインクジェット印字装置。
【請求項7】
請求項1からいずれかに記載のインクジェット印字装置において、
前記印字媒体が建材であるインクジェット印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の印字部で印字媒体に画像を印字するインクジェット印字装置、詳しくは、インクミストを回収できるインクジェット印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印字装置(インクジェット記録装置ともいう)では、インクを吐出して印字媒体(記録媒体ともいう)の印字面に画像を印字(記録ともいう)する際に、印字媒体の印字面に付着して画像を形成するインク滴とは別に、微小で軽量なインク滴のインクミストが発生することがある。このようなインクミストのほとんどが印字媒体に付着せず空気中に浮遊しており、印字ヘッド(記録ヘッドともいう)のノズル面(ヘッド底面ともいう)にインクミストが付着することによるインクの吐出不良、印字媒体を搬送するロール群にインクミストが付着することによる印字媒体の汚れを招くことがある。
そのため、空気中に浮遊するインクミストは発生とともに直ちに回収しておく必要があり、従来からインクミストを回収できるようにしたインクジェット印字装置が種々提案されている。
【0003】
特許文献1に記載されたインクジェット印字装置では、インクジェット方式の印字部を構成する複数の印字ヘッド(記録ヘッド)の印字媒体の搬送(移動)方向下流側に、吹き出し孔と吸い込み孔を有した気体の吹き出し吸い込み機構をそれぞれ設けることで、吹き出し孔から吹き出した空気とともにインクミストを吸い込み穴から吸い込みインクミストを回収するようにしている。
特許文献2に記載されたインクジェット印字装置では、印字媒体の搬送方向(記録紙走行方向)の最も上流側の印字ヘッド(インクジェットヘッド)の印字媒体の搬送方向上流側(記録紙走行方向上流側)に、ファンを備えた空気吹き出しノズルを設け、印字ヘッド間に、ファンとフィルタを備えた空気吸引、吹き出し装置を設け、印字媒体の搬送方向の最も下流側の印字ヘッドの印字媒体の搬送方向下流側に、ファンとフィルタを備えた空気吸引装置を設けることで、印字媒体の搬送方向の上流側から下流側に向けて空気を吹き流してインクミストをその流れに乗せ、下流側で吸引してインクミストをフィルタで捕捉して回収するようにしている。
【0004】
特許文献3に記載されたインクジェット印字装置(画像記録装置)では、印字媒体の搬送方向(記録媒体の搬送方向)の最も上流側の印字ヘッド(記録ヘッド)の印字媒体の搬送方向上流側と、印字媒体の搬送方向の最も下流側の印字ヘッド(記録ヘッド)の印字媒体の搬送方向下流側とに、吸引ファンとフィルタを有する吸引機構をそれぞれ設けることで、インクミストを空気とともに吸い込んでフィルタで捕捉して回収するようにしている。
特許文献4に記載されたインクジェット印字装置では、印字ヘッド(記録ヘッド)を搭載した箱体(キャリッジ)に、フィルタと吸引ファンと廃液タンクを有する装置を設けることで、インクミストがフィルタを通ることで液化し、液化したインクミストを廃液タンクに貯めることで回収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-193219号公報
【文献】特開2007-136761号公報
【文献】特開2010-234818号公報
【文献】特開2007-160871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に示すようにインクミストを回収するには、吹き出す空気の量(吹出し風量)と吸引する空気の量(吸引風量)が重要である。例えば、風量が少ない場合にはインクミストを十分に回収できず、風量が多い場合には印字に必要なインクに悪影響を及ぼしてしまう。つまり、インクミストの回収に適した吹出し風量、吸引風量は、印字媒体の印字面と印字ヘッドのノズル面との距離(ヘッドギャップ)、インク吐出量などで異なり、複数の印字ヘッドで異なる色をそれぞれ印字する場合には、各印字ヘッド毎にインクミスト発生量が異なるので、インクミストを回収するのに適した吹出し風量、吸引風量も異なる。
特許文献1に示すインクミストの回収であると、各気体の吹き出し吸引機構の吹出し風量、吸引風量をそれぞれ異なる風量にできないため、印字ヘッド毎のインクミスト発生量の違いに対応できず、インクミストの回収が不十分となる。
【0007】
特許文献2に示すインクミストの回収であると、各ファンの回転数を変えることで吹出し風量、吸引風量を変えることが出来るが、空気吸引、吹き出し装置においては印字媒体の搬送方向上流側の印字ヘッドのノズル面からの吸引風量と、印字媒体の搬送方向下流側の印字ヘッドのノズル面への吹出し風量がともに同じとなるので、印字ヘッド毎のインクミスト発生量の違いに対応できない。
しかも、インクミストをフィルタで捕捉して回収しているので、早期にフィルタが目詰まりし、空気の吸引能力が低下してインクミストの回収能力も低下するので、頻繁にフィルタの清掃や交換が必要で、その作業が面倒である。
【0008】
特許文献3に示すインクミストの回収であると、印字ヘッド毎の吹出し風量、吸引風量を異ならせることができないので、印字ヘッド毎のインクミスト発生量の違いに対応できない。
しかも、インクミストをフィルタで捕捉して回収しているので、早期にフィルタが目詰まりするので、頻繁にフィルタを清掃、交換する必要があり、その作業が面倒である。
さらに、吸引機構は印字ヘッドを設けている箱体(キャリッジ)内に設けてあり、フィルタを通過した空気は箱体内に流れ、その空気には多少のインクミストが含まれているので、箱体内にインクミストが流れ、印字ヘッドにインクミストが付着して印字動作に悪い影響を及ぼすことがある。
特許文献4に示すインクミストの回収であると、フィルタと吸引ファンと廃液タンクを有する装置が箱体に設けてあるため、箱体が大型化してしまう。
しかも、廃液タンクは箱体内に設けてあるので、廃液タンクに溜まった液化したインクミストを排出する作業が面倒である。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、複数の印字ヘッド毎のインクミスト発生量の違いに対応してインクミストを回収できるとともに、頻繁にフィルタを清掃、交換する必要がなく、液化したインクミストを容易に排出できることである。さらに、印字ヘッドを設けた箱体内にインクミストが流れることがなく、その箱体をコンパクトにできるインクジェット印字装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のインクジェット印字装置は、印字媒体を所定の方向に搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される印字媒体の印字面に印字する印字部と、前記印字部で発生したインクミストを回収するための送風部、排気部とを備えたインクジェット印字装置であって、前記印字部は、箱体と、前記箱体内に、印字媒体の搬送方向に間隔を置いて設けた複数の印字ヘッドとを備え、前記送風部は、送風用ブロワと、前記各印字ヘッドの印字媒体の搬送方向上流側にそれぞれ設けた複数の送風口と、前記送風用ブロワの吐出口と前記各送風口をそれぞれ接続する送風経路と、前記各送風口の吹出し風量をそれぞれ調整する吹出し風量制御手段とを備え、前記排気部は、排気用ブロワと、前記各印字ヘッドの印字媒体の搬送方向下流側にそれぞれ設けた複数の回収口と、前記排気用ブロワの吸い込み口と前記各回収口をそれぞれ接続する排気経路と、前記排気経路に設けられて、前記各回収口から吸引した空気に含まれるインクミストをフィルタを通すことで液化して回収するインクミスト回収部と、前記各回収口の吸引風量をそれぞれ調整する吸引風量制御手段とを備え、前記インクミスト回収部は、空気が通ることでインクミストを液化するフィルタと、液化したインクミストを溜めるミスト溜めタンクを有し、前記送風用ブロワと、前記排気用ブロワと、前記吹出し風量制御手段と、前記インクミスト回収部と、前記吸引風量制御手段とが、前記箱体の外部に設けてあることを特徴とするインクジェット印字装置である。
【0011】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記インクミスト回収部は、上部に流入孔を有して下部が開口した流入室と、上部に流出孔を有して下部が開口した流出室とを備え、前記流入孔が前記回収口と接続し、前記流出孔が前記排気用ブロワの吸い込み口と接続し、インクミストを含む空気が流入室の上から下に向けて流れて流出室の下に流入し、流出室の下から上に向けて流れる構成で、前記流入室と前記流出室には、空気が通ることでインクミストが液化するフィルタが設けられ、前記流入室と前記流出室の下方に、前記液化したインクミストを溜めるミスト溜めタンクを備え、前記ミスト溜めタンク内の液化したインクミストを排出するドレーンバルブを備えているインクジェット印字装置とすることができる。
【0012】
このインクジェット印字装置によれば、インクミストを含む空気は、フィルタを上から下に向けて通り、さらにフィルタを下から上に向けて通るとともに、フィルタの全面を通るので、空気に含まれるインクミストを確実に液化できる。
流入室と流出室の下方にミスト溜めタンクがあるので、液化したインクミストは、流入室、流出室に付着することなくスムーズに流れ落ちて、ミスト溜めタンクに溜まるので、液化したインクミストをミスト溜めタンクに確実に回収できる。
ミスト溜めタンクに溜まった液化したインクミストは、ドレーンバルブを開放することで簡単に排出できる。
【0013】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記送風用ブロワは1基で、前記送風経路は、前記各送風口の数だけ分岐し、前記分岐した送風経路が前記各送風口にそれぞれ接続し、前記各分岐した送風経路に風量調整部を設けて前記吹出し風量制御手段とし、前記風量調整部は、前記箱体の外部に設けられ、前記排気用ブロワは、前記回収口の数だけ有し、前記各排気用ブロワの吸い込み口と前記各回収口が排気経路でそれぞれ接続し、前記各排気用ブロワの吸引風量を変更可能として、前記吸引風量制御手段としたインクジェット印字装置とすることができる。
このインクジェット印字装置によれば、送風用ブロワを1基設ければよく、吸引風量制御手段は、排気用ブロワの回転数を制御すればよいので簡単な構成にできる。
【0014】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記送風口は送風用ノズルの送風口とし、前記回収口は回収用ノズルの回収口とし、前記複数の送風用ノズルの1つは前記箱体の印字媒体の搬送方向上流側の外部に設けられ、他の送風用ノズルは前記箱体の内部に設けられ、前記複数の回収用ノズルの1つは前記箱体の印字媒体の搬送方向下流側の外部に設けてあり、他の回収用ノズルは前記箱体の内部に設けてあるインクジェット印字装置とすることができる。
このインクジェット印字装置によれば、1つの送風用ノズルと1つの回収用ノズルが箱体の外部に設けてあるので、箱体をコンパクトにできる。
【0015】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記送風用ノズルは、前記印字媒体の幅方向全域に開口する長さの送風口と、前記送風口の長さ方向に間隔をおいて設けられた複数の流入口を有し、前記吹出し風量制御手段は、前記各流入口に送風する送風風量を調整可能とし、前記回収用ノズルは、前記印字媒体の幅方向全域に開口する長さの回収口と、前記回収口の長さ方向に間隔をおいて設けた複数の流出口を有し、前記排気用ブロワは、前記流出口から空気を吸引するようにしたインクジェット印字装置とすることができる。
このインクジェット印字装置によれば、印字媒体の幅方向全域に空気を吹き付けできると共に、吹き付け風量を幅方向全域で均一とすることができる。
印字媒体の幅方向全域から空気を均一な吸引風量で吸引できる。
【0016】
本発明のインクジェット印字装置においては、モニターと制御部を備え、前記排気経路の前記箱体外の部分における少なくとも一部分は鋼管によって構成され、前記鋼管に風量計が設けられ、前記制御部は、前記風量計の実測風量が、設定した風量基準値を下回った時に前記モニターに異常を表示するようにしたインクジェット印字装置とすることができる。
このインクジェット印字装置によれば、操作者が排気用ブロワの吸い込み風量が少ないことを知ることができるので、インクミスト回収部のフィルタの清掃、交換、排気用ブロワの点検、修理などを行うことが可能である。
【0017】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記排気用ブロワの吸い込み口とインクミスト回収部を接続する排気経路は、前記吸い込み口側と前記インクミスト回収部側が高く、中間部が低くなるように傾斜した形状で、前記排気経路における最も低い部分に排気経路内のミスト溜めが設けてあるインクジェット印字装置とすることができる。
このインクジェット印字装置によれば、インクミスト回収部で回収しきれなかったインクミストが排気経路の配管内壁で液化したものを、排気経路内のミスト溜めに溜めておくことができるので、その液化したインクミストが排気用ブロワで吸い込まれることがない。
【0018】
本発明のインクジェット印字装置においては、前記印字媒体が建材であるインクジェット印字装置とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のインクジェット印字装置によれば、各送風口の吹出し風量と、各回収口の吸引風量をそれぞれ調整できるから、複数の印字ヘッド毎のインクミスト発生量の違いに対応してインクミストを回収できる。インクミスト回収部は、インクミストを液化して回収するから、フィルタが早期に目詰まりしないので、頻繁にフィルタを清掃、交換する必要がない。インクミスト回収部は箱体の外部に設けてあるので、液化したインクミストを容易に排出できるとともに、印字ヘッドを設けた箱体内にインクミストが流れることがない。送風用ブロワ、吹出し風量調整手段、排気用ブロワ、インクミスト回収部、吸引風量調整手段が箱体外に設けてあるので、箱体をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インクジェット印字装置の全体正面図である。
図2図1に示すインクジェット印字装置の全体平面図である。
図3図2に示すインクジェット印字装置のA-A断面図である。
図4図1に示すインクジェット印字装置の印字部周辺の拡大図である。
図5図4に示す箱体内送風用ノズルと箱体内回収用ノズルの取り付け部の拡大図である。
図6】風量調節部の模式的説明図である。
図7図2に示すインクミスト回収部の拡大平面図である。
図8図7に示すインクミスト回収部の一部破断左側面図である。
図9図8に示すインクミスト回収部のB-B断面図である。
図10図9に示すインクミスト回収部のC-C断面図である。
図11】排気経路の排気用ブロワ寄りの正面図である。
図12】送風経路と排気経路の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係るインクジェット印字装置の全体構成を図1から図3に基づき説明する。図1は、インクジェット印字装置の全体正面図、図2は、図1に示すインクジェット印字装置の全体平面図、図3は、図2に示すインクジェット印字装置のA-A断面図である。
インクジェット印字装置100は、図示しない印字媒体を所定の方向に搬送する搬送部1と、搬送部1で搬送される印字媒体の印字面に対して所定の距離を置いて対向して設けられたインクジェット方式の印字部2と、印字部2で発生したインクミストを回収するための送風部3、排気部4と、乾燥部5と、モニター6と、制御部7を備えている。
搬送部1は、フレーム10に設けた搬送ベルト11を有し、その搬送ベルト11を回転駆動することで印字媒体を搬送する。
【0022】
印字部2は、箱体(ヘッドボックス)20内に複数の印字ヘッド21を印字媒体の搬送方向に間隔を置いて設けてある。各印字ヘッド21により異なる色のインクを用いて印字媒体の印字面に画像を印字する。
例えば、ブラック(K)のインクを用いる第1印字ヘッド21-1と、シアン(C)のインクを用いる第2印字ヘッド21-2と、マゼンタ(M)のインクを用いる第3印字ヘッド21-3と、イエロー(Y)のインクを用いる第4印字ヘッド21-4の4つの印字ヘッド21を備えている。
印字媒体を搬送しながら第4から第1印字ヘッド21-4~21-1の順番で、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のインクで印字をする。印字ヘッド21は、印字媒体に対向してインクを吐出するノズル面を印字媒体の幅方向(搬送方向と直角な方向)全域に亘って有するラインヘッドである。例えば、複数の印字ヘッドモジュール(図示せず)を印字媒体の搬送方向と直角な方向に千鳥状に配置したラインヘッドを印字ヘッド21としている。
【0023】
以下の説明においては、印字媒体の搬送方向と直角な方向の一方側を操作側とし、他方側を原動側として説明する。
箱体20はケーシング22内に設けてある。箱体20は、搬送部1(搬送ベルト11)と対向した印字位置(図2に点線で示す位置、図3に実線で示す位置)と、原動側のパージ位置(図2図3に2点鎖線で示す位置)に亘って印字媒体の搬送方向と直角の方向に移動する。
ケーシング22は上面板22aと、印字媒体の搬送方向両側の側面板22bと、操作側の開閉扉22cと、原動側の開閉扉22dを有する直方体の箱形状である。
ケーシング22はフレーム10に取り付けてある。
【0024】
送風部3は、各印字ヘッド21の印字媒体の搬送方向上流側から印字ヘッド21のノズル面と印字媒体の印字面の間に向けて空気をそれぞれ吹き出す。吹き出された空気は印字媒体の搬送方向下流側に向けて流れ、印字ヘッド21部分で発生したインクミストを印字媒体の搬送方向下流側に吹き流す。空気の吹出しの量(吹出し風量)は各印字ヘッド21毎に調整できる。
排気部4は、各印字ヘッド21の印字媒体の搬送方向下流側から、送風部3の吹出し空気で吹き流されたインクミストを周囲の空気とともにそれぞれ吸引する。排気部4は、吸引した空気に含まれているインクミストを回収し、インクミストが除去された空気を印字部2と離れた位置にそれぞれ排気する。空気の吸引量(吸引風量)は、各印字ヘッド21毎に調整できる。
【0025】
この空気の流れにより、各印字ヘッド21部分で発生したインクミストは回収される。つまり、送風部3と排気部4とでインクミスト回収装置を構成している。
本発明のインクジェット印字装置においては、各印字ヘッド21毎の吹出し風量と吸引風量がそれぞれ調整できるから、複数の印字ヘッド21毎のインクミスト発生量の違いに対応してインクミストを回収できる。
例えば、インクミスト発生量が多い場合は、吹出し風量と吸引風量を多くする。インクミスト発生量が少ない場合は、吹出し風量と吸引風量を少なくする。
乾燥部5は、印字部2の印字媒体の搬送方向の下流側に設けてあり、印字された印字媒体を乾燥する。
【0026】
図4に基づき印字部2を説明する。図4は、図1に示すインクジェット印字装置の印字部2の周辺の拡大図である。
箱体20の底壁20aに各印字ヘッド21(21-1~21-4)が取り付けてある。以下の説明においては底壁20aの下面を印字ヘッド21のノズル面として説明する。
箱体20の印字媒体の搬送方向両側の側壁20bに摺動部材23がそれぞれ設けられ、各摺動部材23が印字媒体の搬送方向と直角の方向に向かうガイドレール24に摺動可能に嵌り合い、図示しない箱体移動機構で、箱体20を印字媒体の搬送方向と直角の方向において、印字位置とパージ位置とに亘って移動自在としている。箱体20は図示しない上下移動機構で上下に移動可能で、印字位置とパージ位置に移動するときは上方に移動し、印字位置では下方に移動して、印字ヘッド21のノズル面と印字媒体の印字面との距離(ヘッドギャップ)を所定の値とする。例えば、ガイドレール24を図示しない上下移動機構で上下に移動可能とする。箱体移動機構としては、モータと歯車を用いて箱体20を移動するもの、上下移動機構としては、シリンダーでガイドレール24を上下移動するものなどである。
【0027】
送風部3は、図1図2に示すように、1基の送風用ブロワ30と、各印字ヘッド21の印字媒体の搬送方向上流側にそれぞれ設けた複数の送風用ノズル31と、送風用ブロワ30の吐出口と各送風用ノズル31の流入口を接続する送風経路32と、送風経路32に設けた風量調整部33を備えている。
送風用ブロワ30は印字部2よりも印字媒体の搬送方向下流側に設けたブロワボックス34内に設けてある。つまり、送風用ブロワ30は箱体20の外部に設置してある。
送風用ノズル31は、図4に示すように、箱体20の外部に設けた1つの箱体外の送風用ノズル31aと、箱体20の内部に設けた3つの箱体内の送風用ノズル31bを有している。
【0028】
排気部4は、図1図2に示すように、印字ヘッド21と同じ数の排気用ブロワ40と、各印字ヘッド21の印字媒体の搬送方向下流側にそれぞれ設けた回収用ノズル41と、その各排気用ブロワ40の吸い込み口と各回収用ノズル41の流出口をそれぞれ接続する複数の排気経路42と、各排気経路42にそれぞれ設けた複数のインクミスト回収部43を備えている。
排気部4は印字部2よりも印字媒体の搬送方向下流側に設けたブロワボックス44内に設けた4基の排気用ブロワ40を有している。つまり、各排気用ブロワ40は箱体20の外部に設置してある。
【0029】
各排気用ブロワ40は、モータ(図示せず)で回転駆動され、そのモータはインバータ制御して回転数がそれぞれ制御可能で、各排気用ブロワ40の吸い込み風量(排気風量)はそれぞれ変更可能である。
排気経路42は、4基の排気用ブロワ40の吸い込み口と4つの回収用ノズル41の流出口をそれぞれ接続する4つの排気経路42を有している。
4つの排気経路42には、それぞれインクミスト回収部43を備え、インクミスト回収部43は箱体20の外部に設けてある。
【0030】
回収用ノズル41は、図4に示すように、箱体20の外部に設けた1つの回収用ノズル41aと、箱体20の内部に設けた3つの回収用ノズル41bを有している。
3つの箱体内の回収用ノズル41bの流出口に3つの排気経路42がそれぞれ接続され、箱体外の回収用ノズル41aの流出口に他の1つの排気経路42が接続されている。
したがって、4つの排気用ブロワ40の吸い込み風量を変更することで、4つの回収用ノズル41(41a、41b)が吸引する空気の量(吸引風量)を、各印字ヘッド21部分で発生するインクミストの量に応じた吸引風量とすることができる。
【0031】
箱体外の送風用ノズル31aは、箱体20の印字媒体の搬送方向上流側に設けてある。
箱体外の送風用ノズル31aの送風口(箱体外送風口)35は、印字媒体の搬送方向の最も上流側に位置する印字ヘッドである第4印字ヘッド21-4のノズル面と印字媒体の印字面との間に向けて開口し、その間に向けて、印字媒体の搬送方向上流側から下流側に向けて空気を吹き出す。
箱体内の送風用ノズル31bは、印字媒体の搬送方向上流側で2番目に位置する印字ヘッドである第3印字ヘッド21-3の印字媒体の搬送方向上流側と、印字媒体の搬送方向上流側で3番目に位置する印字ヘッドである第2印字ヘッド21-2の印字媒体の搬送方向上流側と、印字媒体の搬送方向の最も下流側に位置する印字ヘッドである第1印字ヘッド21-1の印字媒体の搬送方向上流側にそれぞれ設けてある。
【0032】
各箱体内の送風用ノズル31bの送風口(箱体内の送風口)36は、第3印字ヘッド21-3のノズル面と印字媒体の印字面との間、第2印字ヘッド21-2のノズル面と印字媒体の印字面との間、第1印字ヘッド21-1のノズル面と印字媒体の印字面との間に向けてそれぞれ開口し、その各間に向けて、印字媒体の搬送方向上流側から下流側に向けて空気をそれぞれ吹き出す。
箱体外の送風用ノズル31aは、その箱体外の送風口35の上下方向位置(高さ)を調整可能としてある。例えば、フレーム10に図示しないブラケットで上下移動機構37を取り付け、その上下に移動する部材37aを箱体外の送風用ノズル31aに連結する。
上下移動機構37は、モータと歯車で部材37aを移動するものである。上下移動機構37は、シリンダーで部材37aを移動するものとすることが可能である。
【0033】
箱体外の回収用ノズル41aは、箱体20の印字媒体の搬送方向下流側に設けてある。
箱体外の回収用ノズル41aの回収口(箱体外回収口)45は、印字媒体の搬送方向の最も下流側に位置する印字ヘッドである第1印字ヘッド21-1のノズル面と印字媒体の印字面との間に向けて開口し、その間のインクミストを、印字媒体の搬送方向上流側から下流側に向けて流れる空気とともに吸引する。
各箱体内の回収用ノズル41bは、印字媒体の搬送方向下流側の2番目に位置する印字ヘッドである第2印字ヘッド21-2の印字媒体の搬送方向下流側と、印字媒体の搬送方向下流側の3番目に位置する印字ヘッドである第3印字ヘッド21-3の印字媒体の搬送方向下流側と、印字媒体の搬送方向の最も上流側に位置する印字ヘッドである第4印字ヘッド21-4の印字媒体の搬送方向下流側にそれぞれ設けてある。
【0034】
箱体内の各回収用ノズル41bの回収口(箱体内回収口)46は、第4印字ヘッド21-4のノズル面と印字媒体の印字面との間、第3印字ヘッド21-3のノズル面と印字媒体の印字面の間、第2印字ヘッド21-2のノズル面と印字媒体の印字面との間に向けてそれぞれ開口し、その各間のインクミストを、印字媒体の搬送方向上流側から下流側に向けて流れる空気とともに吸引する。
箱体外の回収用ノズル41aは、その箱体外の回収口45の上下方向位置(高さ)を調整可能としてある。例えば、フレーム10に図示しないブラケットで上下移動機構47を取り付け、その上下に移動する部材47aを箱体外の回収用ノズル41aに連結する。
箱体外の送風用ノズル31aと箱体外の回収用ノズル41aは、同期して上下に移動するように図示しない連結部材で連結してある。
【0035】
第4印字ヘッド21-4の印字媒体の搬送方向上流側、下流側に設けた箱体外の送風用ノズル31aと箱体内の回収用ノズル41bとで、第4印字ヘッド21-4部分で発生したインクミストを回収する。
第3印字ヘッド21-3の印字媒体の搬送方向上流側、下流側に設けた箱体内の送風用ノズル31bと箱体内の回収用ノズル41bとで、第3印字ヘッド21-3部分で発生したインクミストを回収する。
第2印字ヘッド21-2の印字媒体の搬送方向上流側、下流側に設けた箱体内の送風用ノズル31bと箱体内の回収用ノズル41bとで、第2印字ヘッド21-2部分で発生したインクミストを回収する。
第1印字ヘッド21-1の印字媒体の搬送方向上流側、下流側に設けた箱体内の送風用ノズル31bと箱体外の回収用ノズル41aとで、第1印字ヘッド21-1部分で発生したインクミストを回収する。
【0036】
図5に示すように、箱体20の底壁20aに形成した開口20cにプレート38を取り付け、そのプレート38に箱体内の送風用ノズル31bと箱体内の回収用ノズル41bを図示しないブラケットで取り付けてある。
箱体内の送風口36をプレート38の第1孔38aに連通して、第1孔38aから空気を吹き出す。箱体内の回収口46をプレート38の第2孔38bに連通して、第2孔38bから空気を吸引するようにしてある。
第1孔38aは垂直に対して印字媒体の搬送方向下流側に向けて斜めに形成されており、空気を斜め下向きに吹き出す。第2孔38bは垂直に対して印字媒体の搬送方向上流側に向けて斜めに形成されており、斜め上向きに空気を吸引する。
これにより、印字ヘッド21のノズル面と印字媒体の印字面との間にスムーズな空気の流れが形成されるので、インクミストを空気とともにスムーズに吸引することができる。
【0037】
図5に示す印字媒体は、建築用の内壁材、外壁材、間仕切り材などの建材12である。
建材12は紙と比べて厚さ(上下寸法)が大きく、しかも厚さが異なる複数種類の建材を印字することがあるので、印字ヘッド21のノズル面と建材12の印字面の距離を長く設定する。
したがって、印字ヘッド21のノズル面と建材12の印字面との距離(ヘッドギャップ)が長く、しかも印字するインク量が多いので、インクミストの発生量が、印字媒体が紙の場合よりも多くなる。
この実施の形態のインクジェット印字装置によれば、印字媒体が建材12である場合に次のようにして印字をする。
【0038】
箱体外の送風用ノズル31aと箱体外の回収用ノズル41aを上下に移動して高さを調整することで、箱体外の送風口35と箱体外の回収口45を、建材12の厚さに適した高さとする。箱体内の送風用ノズル31bと箱体内の回収用ノズル41bの高さを、箱体20を上下に移動して調整することで、箱体内の送風口36と箱体内の回収口46を建材12の厚さに適した高さとする。
送風口からの吹出し風量と回収口からの吸引風量を、印字ヘッド21のノズル面と建材12の印字面との距離、インク使用量に対応した風量とする。
したがって、厚さの異なる建材12に印字する場合でも、発生したインクミストを十分に回収できる。
【0039】
図5に示すように、各箱体内の送風用ノズル31bは、上面に第1流入口50aと第2流入口50bを有し、第1流入口50aに箱体内の第1送風用配管51aが接続され、第2流入口50bに箱体内の第2送風用配管51bが接続してある。
第1、第2流入口50a、50bからノズル内に流入した空気が箱体内の送風口36から吹き出す。
各箱体内の回収用ノズル41bは、上面に第1流出口60aと第2流出口60bを有し、第1流出口60aに箱体内の第1排気用配管61aが接続され、第2流出口60bに箱体内の第2排気用配管61bが接続してある。
第1、第2流出口60a、60bからノズル内の空気が吸引されることで、箱体内の回収口46から空気を吸引する。
【0040】
図3に示すように、第1流入口50aと第1流出口60aは、箱体内の送風用ノズル31b、箱体内の回収用ノズル41bの長さ方向原動側寄りに位置し、第2流入口50bと第2流出口60bは、箱体内の送風用ノズル31b、箱体内の回収用ノズル41bの長さ方向操作側寄りに位置している。
箱体内の第1、第2送風用配管51a、51bと箱体内の第1、第2排気用配管61a、61bは、インクに耐性のある材質からなるフレキシブル配管で、各配管は箱体20の原動側の側壁20dを貫通してケーシング22内に突き出し、ケーシング22内で印字媒体の搬送方向と直角な方向に略C字形状に湾曲して、ケーシング22の上面板22aから外部に突き出している。
C字状に湾曲した配管部分は、図示しないケーブルベヤ(登録商標)により支持案内され、箱体20が印字位置とパージ位置に移動する際に各配管がスムーズに移動するようにしている。
【0041】
図4に示すように、ケーシング22の外部に突き出た3つの箱体内の第1、2送風用配管51a、51bは、ケーシング22の上面板22aから印字媒体の搬送方向上流側の側面板22bに沿って配設され、風量調整部33に接続してある。
ケーシング22の外部に突き出た3つの箱体内の第1、第2排気用配管61a、61bは、ケーシング22の上面板22aから印字媒体の搬送方向下流側の側面板22bに沿って配設され、3つのインクミスト回収部43にそれぞれ接続してある。
ケーシング22の上面板22aと両方の側面板22bに配管カバー25を取り付け、配管を保護している。
【0042】
図2に示すように、箱体外の送風用ノズル31aは、その長さ方向原動側寄りに位置する第1流入口52aと、長さ方向操作側寄りに位置する第2流入口52bを有している。第1流入口52aに箱体外の第1送風用配管53aが接続し、第2流入口52bには箱体外の第2送風用配管53bが接続してある。
箱体外の第1、2送風用配管53a、53bは風量調整部33に接続してある。
箱体外の回収用ノズル41aは、その長さ方向原動側寄りに位置する第1流出口62aと、長さ方向操作側寄りに位置する第2流出口62bを有している。第1流出口62aに第1箱体外排気用配管63aが接続し、第2流出口62bには第2箱体外排気用配管63bが接続してある。
箱体外の第1、2排気用配管63a、63bは、別の1つのインクミスト回収部43に接続してある。
箱体外の第1、2送風用配管53a、53bと箱体外の第1、2排気用配管63a、63bは、インクに耐性のある材質からなるフレキシブル配管である。
【0043】
送風用ノズル31は、印字媒体の幅方向全域に亘る長さで、送風口35、36は送風用ノズル31の長さ方向の略全域(印字媒体の幅方向全域)に亘って開口しているので、印字媒体の印字面における幅方向全域に空気を吹き出すことができる。ここで、幅方向とは、印字媒体の搬送方向と直角な方向である。
送風用ノズル31内には、その長さ方向操作側寄りの流入口と長さ方向原動側よりの流入口から空気がそれぞれ流入するので、送風口35、36の長さ方向全域から空気をほぼ均等に吹き出すことができる。したがって、送風口35、36から印字媒体の印字面における幅方向全域に空気を均等に吹き出すことが出来る。
これに対し、1つの流入口からのみ空気が流入すると、送風口における流入口に近い部分から多量の空気が吹き出し、遠い部分からは少量の空気しか吹き出さない。
【0044】
回収用ノズル41は、送風用ノズル31と同一長さで、回収口45、46は回収用ノズル41の長さ方向の略全域(印字媒体の幅方向全域)に亘って開口しているので、印字媒体の幅方向全域から空気を吸引できる。
回収用ノズル41内の空気を、その長さ方向操作側寄りの流出口と長さ方向原動側寄りの流出口から吸引するので、回収口45、46の長さ方向全域から空気を均等に吸引することができる。したがって、回収口45、46から印字媒体の印字面における幅方向全域から空気を均等に吸引できる。
これに対し、1つの流出口からのみ空気が吸引すると、回収口45、46における流出口に近い部分から多量の空気が吸引され、遠い部分からは少量の空気しか吸引されない。
【0045】
4つの送風用ノズル31と4つの回収用ノズル41は、3つのノズル(箱体内ノズル)を箱体20内に設け、1つのノズル(箱体外ノズル)を箱体20の外に設けたので、4つのノズルを箱体20内に設ける場合と比べて、箱体20をコンパクトにできる。箱体20の外に設けたノズルは、箱体20とともに印字媒体の搬送方向と直角な方向に移動しないので、そのノズルへの配管が簡単にできる。
しかも、箱体20内のノズルは、印字媒体の搬送方向のスペースを小さくするために縦長の複雑なものとしているが、箱体20外のノズルは、箱体20の印字媒体の搬送方向のスペースに関係しないから、横長の単純なものとすることができる。
なお、図示は省略するが、4つの送風用ノズル31と4つの回収用ノズル41を、それぞれ箱体20内に設けるようにしてもよい。
【0046】
風量調整部33を図6に基づいて説明する。図6は、風量調整部の模式的説明図である。
送風用ブロワ30の吐出口30aに接続した主送風用配管70は、印字ヘッド21の数だけの複数の副送風用配管71に分岐している。例えば、4つの副送風用配管71に分岐している。
各副送風用配管71は、1つの送風用ノズル31の流入口の数だけの複数の送風用配管72に分岐している。例えば、2つの送風用配管72に分岐している。
各副送風用配管71の分岐部よりも気流方向上流側(主送風用配管70側)に、リーク量調整バルブ73がそれぞれ設けてある。
【0047】
リーク量調整バルブ73は、送風用ブロワ30から主送風用配管70を通り副送風用配管71に流れる空気の一部を、配管外、例えば、大気にリークして送風用配管72に送風する空気の量(送風量))を増減(調整)する。このリーク量調整バルブ73を調整操作することで、各送風用ノズル31の流入口へ送風する風量をそれぞれ調整できる。
各送風用配管72に流量調整バルブ74がそれぞれ設けてある。
流量調整バルブ74は、流出する流量を流入した流量よりも少なく調整するバルブである。1つの流量調整バルブ74を調整操作することで、1つの送風用ノズル31の1つの流入口へ送風する風量を制御できる。
【0048】
3つの副送風用配管71と連続する各2つの流量調整バルブ74の流出側に、箱体内の第1送風用配管51a、箱体内の第2送風用配管51bがそれぞれ接続してある。
他の1つの副送風用配管71と連続する2つの流量調整バルブ74の流出側に、箱体外の第1送風用配管53a、箱体外の第2送風用配管53bがそれぞれ接続してある。
【0049】
主送風用配管70、副送風用配管71、送風用配管72は、インクに耐性のある材質からなるフレキシブル配管である。これらの送風用配管70、71、72と箱体内の第1、第2送風用配管51a、51bと、箱体外の第1、第2送風用配管53a、53bとで送風経路32を構成している。
つまり、送風経路32は、送風用ブロワ30の空気吐出方向の下流側において印字ヘッド21の数だけの経路に分岐し、その各分岐部にリーク量調整バルブ73をそれぞれ有し、各分岐した経路はそれぞれ2つの経路に分岐し、流量調整バルブ74を経て各送風用ノズル31の流入口に接続している。
【0050】
風量調整部33は、1つのリーク量調整バルブ73と2つの流量調整バルブ74をそれぞれ調整操作することで、1つの送風用ノズル31の流入口に送風する空気の量(送風風量)をそれぞれ調整することができる。
したがって、各送風用ノズル31への送風量を調整して、各送風口の吹出し風量を、各印字ヘッド21部分で発生するインクミストの量などに応じた風量とすることができる。
例えば、副送風用配管71に接続した1つのリーク量調整バルブ73と、2つの流量調整バルブ74を全開(最大風量状態)とし、送風用ノズル31の第1流入口と、第2流入口に流入する空気の量を測定しながら各バルブ73、74を調整操作して、第1、第2流入口に流入する空気の量を設定した風量とすることで、送風用ノズル31の送風口から、印字ヘッド21部分で発生するインクミスト量に応じた吹出し風量で、空気を送風口の長さ方向全長に亘って均一に吹き出すことができる。
【0051】
つまり、リーク量調整バルブ73で設定の風量としても、箱体内の第1送風用配管51aと箱体内の第2送風用配管51bの長さが異なるので、第1流入口50aと第2流入口50bの風量が異なる。箱体外の第1送風用配管53aと箱体外の第2送風用配管53bの長さが異なるので、第1流入口52aと第2流入口52bの風量が異なる。
そこで、流量調整バルブ74を調整操作して箱体内の送風用ノズル31bの第1流入口50aと第2流入口50bの風量を同じにすると共に、箱体外の送風用ノズル31aの第1流入口52aと第2流入口52bの風量を同じにする。
送風用ノズル31の流入口が1つであれば、流量調整バルブ74を設けずに副送風用配管71を流入口に接続すればよい。
【0052】
つまり、風量調整部33は、各送風用ノズル31に送風する空気の量を調整して、各送風口から吹き出す空気の量(吹出し風量)を、各印字ヘッド21部分で発生するインクミストの量などに応じた風量とするものである。
送風用ブロワ30を回転するモータ(図示せず)をインバータ制御することで、送風用ブロワ30の回転数を制御して単位時間当たりの送風量を変えるようにしてもよい。
【0053】
インクミスト回収部43は、回収用ノズル41が吸引したインクミストを含む空気からインクミストを回収し、インクミストを除去した空気を排気用ブロワ40から排気するためのものである。
図7から図10に基づきインクミスト回収部43を説明する。図7は、図2に示すインクミスト回収部の拡大平面図、図8は、図7に示すインクミスト回収部の一部破断左側面図、図9は、図8に示すインクミスト回収部のB-B断面図、図10は、図9に示すインクミスト回収部のC-C断面図である。
【0054】
インクミスト回収部43は、本体80を有している。本体80は空洞で、内部は仕切り板81で流入室82と流出室83に仕切られている。流入室82の下部と流出室83の下部は本体80の内部底面80aに向けてそれぞれ開口し、相互に連通している。
流入室82と流出室83に、2つのフィルタ84が上下に間隔を置いてそれぞれ設けられている。フィルタ84は金属製、例えば、ステンレス製の金網である。
本体80の上部には、流入室82の上部に開口した2つの入口孔85と、流出室83の上部に開口した1つの出口孔86が設けてある。
本体80の内部底面80aと仕切り板81の下端面81aは上下方向に離隔している。
【0055】
本体80の内部底面80aは漏斗状に凹み、仕切り板81の下端面81aと内部底面80aは離隔していることで、本体80内の下部はミスト溜めタンク87を構成している。ミスト溜めタンク87の上部に流入室82の下部開口と流出室83の下部開口が位置している。
ミスト溜めタンク87にドレーンバルブ88が設けてある。
ミスト溜めタンク87は本体80とは別に設け、本体80の内部底面80aとミスト溜めタンク87を配管等で連通するようにしてもよい。
【0056】
1つのインクミスト回収部43の2つの入口孔85に、1つの箱体内の回収用ノズル41bの第1、第2流出口60a、60bに接続した箱体内の第1、第2排気用配管61a、61bと、箱体外の回収用ノズル41bの第1、第2流出口62a、62bに接続した箱体外の第1、第2排気用配管63a、63bのいずれかが接続されている。出口孔86に主排気用配管89が接続している。主排気用配管89は、1つの排気用ブロワ40の吸い込み口に接続している(図1参照)。
主排気用配管89はインクに耐性のある材質からなるフレキシブル配管であり、1つの主排気用配管89と1つの箱体内の第1、第2排気用配管61a、61bで排気経路42を構成し、1つの主排気用配管89と箱体外の第1、第2排気用配管63a、63bで排気経路42を構成する(図1参照)。
【0057】
つまり、4基の排気用ブロワ40の吸い込み口と4つの回収用ノズル41の流出口を接続する4つの排気経路42の各排気経路42にインクミスト回収部43が設けてある。
したがって、4つの回収用ノズル41の回収口45、46から吸い込んだ空気は、別々のインクミスト回収部43の流入室82にそれぞれ流入し、フィルタ84を通過して1つの主排気用配管89を経て1つの排気用ブロワ40に吸引されて排気される。
【0058】
インクミスト回収部43は次のようにしてインクミストを回収する。
排気用ブロワ40を回転して、吸い込み口から空気を吸い込むことで、回収口45、46から空気とともにインクミストを吸引する。回収口45、46から吸引したインクミストを含む空気は、図9に示すように、流入室82の上部から下部に向けて流れ、流出室83の下部に流れた後に上部に向けて流れるので、インクミストを含む空気がフィルタ84を通過することによってインクミストは液化される。
液化されたインクミストは自重で流れ落ちてミスト溜めタンク87に溜まる。
【0059】
フィルタ84は、仕切り板81と本体80の内周面とに跨って水平に取り付けしてあるので、インクミストを含む空気はフィルタ84の全面を通り、その結果フィルタ84の全面を利用してインクミストを液化できる。しかも、インクミストを含む空気は、流入室82のフィルタ84を上から下に向けて通り、さらに流出室83のフィルタ84を下から上に向けて通るので、空気に含まれているインクミストを確実に液化できる。
流入室82の下部開口と流出室83の下部開口の下方にミスト溜めタンク87があるので、フィルタ84の全面から液化したインクミストが、本体80の内周面に付着せずに流れ落ちて、ミスト溜めタンク87に溜まる。
したがって、空気に含まれているインクミストを効率よくミスト溜めタンク87に回収できる。
【0060】
インクミストを含む空気は、流入室82の下部開口から流出室83の下部開口に流れるから、その空気は、本体80の内部底面80aに沿って流れることがない。したがって、本体80内を流れるインクミストを含む空気の流れによって、ミスト溜めタンク87に溜まった液化したインクミストが流出室83に吸い上げることがなく、ミスト溜めタンク87に溜まった液化したインクミストが排気用ブロワ40に吸い込まれることがない。
フィルタ84を通過することによってインクミストを液化して除去された空気は、排気用ブロワ40の排気口から外部に排気される。
【0061】
ミスト溜めタンク87に溜まった液化したインクミストは、ドレーンバルブ88を開いてタンク外に排出することができるので、ミスト溜めタンク87に多量の液化したインクミストが溜まる前にタンク外に排出してインクミストの回収不能、排気用ブロワ40の故障などを防止できる。
つまり、ミスト溜めタンク87に多量の液化したインクミストが溜まり、仕切り板81の下端面81aと液化したインクミストの液面との隙間がなくなると、インクミストを含む空気が流入室82から流出室83に流れずに本体80内を通過できなくなるためインクミストを十分に回収できなくなり、最終的に回収不能となる。更には、溜まった液化したインクミストが排気用ブロワ40へ吸い出されてしまい、排気用ブロワ40の故障に繋がる。
【0062】
インクミスト回収部43は、フィルタ84にインクミストを含む空気を通過することで、インクミストを液化し、ミスト溜めタンク87に溜めて回収するので、フィルタ84は早期に目詰まりすることがなく、フィルタ84を頻繁に清掃、交換する必要がない。
インクミスト回収部43は箱体20の外部に設置してあるので、ミスト溜めタンク87に溜まった液化したインクミストを容易に排出できるとともに、インクミスト回収部43から漏れたインクミストは大気に流れるので、箱体20内に回収したインクミストの一部が流れて印字動作に悪い影響を及ぼすことがない。しかも箱体20をコンパクトにできる。
インクミスト回収部43は、排気用ブロワ40から遠く、回収用ノズル41に近い位置に設けてあるので、空気とともに回収したインクミストによる排気経路内の汚染を最小限にすることができる。
【0063】
インクミスト回収部43の本体80は、筒体90と上蓋91と底板92とで筒状体である。筒体90は、インク(インクミスト)への耐性を考慮してガラス材製で、外周面にはインク(インクミスト)の硬化防止のために紫外線を通さない図示しないフィルムが巻き付けてある。筒体90の上端部に押えリング93aを設け、筒体90の下端部を底板92に接し、押えリング93aと底板92との間にステー93bを介在して両者を締め付け固定することで筒状体とし、ガラス材製の筒体90に無理な力が加わらないようにしている。上蓋91は押えリング93aにボルト93cで固定してあり、ボルト93cを弛めることで上蓋92を取り外すことができる。
仕切り板81は上蓋91の下面に取り付けてある。仕切り板81の幅寸法は、筒体90の内径よりも小さく、仕切り板81の幅方向の両側にゴムなどのシール材94が取り付けしてある。そのシール材94が筒体90の内周面に接触して仕切り板81と筒体90の内周面の間を気密している。フィルタ84は、仕切り板81の一側面81bと他側面81cにそれぞれ取り付けられている上下一対の支持プレート95で挟持されている。仕切り板81の一側面81bには、流入室82を流れる空気が当たる流入側の空気当接板96aが取り付けてあり、仕切り板81の他側面81cには、流出室83を流れる空気が当たる流出側の空気当接板96bが取り付けてある。
【0064】
上蓋91を筒体90(押えリング93a)から外し、シール材94を筒体90の内周面に沿って滑らせながら上蓋91を上に移動することで、仕切り板81とともにフィルタ84を本体80から取り出すことができる。
したがって、フィルタ84を本体80から簡単に取り出しできるとともに、フィルタ84を本体80の外で清掃、交換することができ、その清掃、交換作業が容易である。
しかも、筒体90の内周面と仕切り板81の幅方向の両側面の間を通って流入室82と流出室83に空気が流れることがなく、空気は必ずフィルタ84を通過するので、空気に含まれているインクミストを確実に液化できる。
さらに、流入室82を流れる空気は、流入側の空気当接板96aに当接して筒体90の内周面方向に拡散しながらフィルタ84に向けて流れ、流出室83を流れる空気も同様に流出側の空気当接板96bに当接して拡散しながらフィルタ84に向けて流れる。したがって、空気に含まれているインクミストを効率よく液状化することができる。
【0065】
図1に示すように、4つの主排気用配管89は、インクミスト回収部43の出口孔86から上に向かう第1配管部89aと、第1配管部89aの上端部から斜め下に向かう第2配管部89bと、第2配管部89bの下端部から排気用ブロワ40に向かう第3配管部89cを有している。第3配管部89cは水平に対して下向きに傾斜し、第3配管部89cの排気用ブロワ40側が第2配管部89b側より低くなっている。第3配管部89cは、下向きに傾斜していることが好ましいが、水平でもよい。つまり、第3配管部89cは排気用ブロワ40側がインクミスト回収部43側より高くなければよい。
【0066】
図11に示すように、第3配管部89cの排気用ブロワ40側に、排気用ブロワ40の吸い込み口40aに接続した上向きの第4配管部89dが接続している。第4配管部89dと、第3配管部89cと、第2配管部89bと、第1配管部89aとで主排気用配管89を構成している。
主排気用配管89は、第4配管部89dと第3配管部89cの連続した部分が最も下方に位置している。この最も下方の位置に排気経路内のミスト溜(トラップ)97が設けてある。排気経路内のミスト溜97はドレーンバルブ97aを備えている。
インクミスト回収部43で回収しきれなかったインクミストは、主排気用配管89内で液化し、配管内壁に付着する。付着した液化したインクミストは、空気の流れとともに排気用ブロワ40に向けて流れ、排気経路内のミスト溜97に溜まる。排気経路内のミスト溜97に溜まった液化したインクミストは、ドレーンバルブ97aを開放操作することで外部に排出される。
【0067】
排気経路内のミスト溜97は、主排気用配管89(排気経路)における最も低い位置に設けてあるので、主排気用配管89の配管内壁に付着した液化したインクミストは、排気経路内のミスト溜97に向けて流れ易く、確実に排気経路内のミスト溜97に溜めることができる。
排気用ブロワ40の吸い込み口40aは、排気経路内のミスト溜97よりも高い位置であるので、排気経路内のミスト溜97に溜まった液化したインクミストを排気用ブロワ40が吸い込むことがない。
【0068】
図12に示すように、フレキシブル配管である4つの主排気用配管89の長さ方向の一部分は鋼管98で、その鋼管98に風量計99がそれぞれ設けてある。鋼管98は搬送ベルト11の下方に位置しているが、これに限ることはない。
風量計99で計測した実測風量は制御部7に送られる。モニター6は、風量基準値を設定できるようにしてある。
制御部7は、計測した実測風量と、設定した風量基準値を比較し、風量基準値より実測風量が少ない(下回った)場合は、モニター6にアラーム鳴動などの異常表示をする。この動作は、4つの風量計99毎に行う。
【0069】
操作者はモニター6の異常表示で、排気用ブロワ40から排気されている風量が少ないことを知ることができる。操作者は、インクミスト回収部43のフィルタ84を点検して目詰りしている場合は、フィルタ84の清掃、交換を行う。排気用ブロワ40が異常であれば修理する。
主排気用配管89は配管作業のし易さなどの面から、フレキシブル配管を採用しているが、フレキシブル配管に風量計を取り付けしたところ、配管の凹凸、配管の膨張などで空気の乱れが生じ、風量を正確に測定できなかった。そこで、主排気用配管89の一部分を鋼管98とし、その鋼管98に風量計99を取り付けしたことで空気の乱れなどがなく風量を正確に測定できた。
【0070】
先に説明した排気経路内のミスト溜97とは別に、主排気用配管89における最も低い位置よりもインクミスト回収部43側に、主排気用配管89の配管内壁に付着した液化したインクミストを排出するためのドレーンを複数備えてもよい。例えば、図12に示す主排気用配管89の一部分である鋼管98の最も低い位置に、図示しないドレーンを設けることができる。ドレーンを操作して鋼管98の内壁に付着した液化したインクミストを排出して、鋼管98の内壁に液化したインクミストが溜まらないようにすることができるから、鋼管98に設けた風量計99の故障を防ぐことができる。
【0071】
図12に示すように、フレキシブル配管である主送風用配管70の長手方向の一部分を鋼管75とし、その鋼管75に風量計76が設けてある。
この風量計76で測定した実測風量を利用して種々の点検、修理、制御をすることが可能である。
【0072】
この実施の形態では、4つの印字ヘッドを用いたが、これに限ることはなく、印字ヘッドは5つ以上でも良いし、3つ、2つでもよい。
この実施の形態では、送風用ブロワ30を1基とし、複数の風量調整部33を設けることで、送風用ノズル31の送風口35、36の吹出し風量をそれぞれ調整するようにしたが、送風用ブロワ30を送風用ノズル31の数だけ設け、各送風用ブロワ30の送風量を変更可能として送風用ノズル31の送風口35、36の吹出し風量を調整するようにしてもよい。
つまり、送風用ノズル31の送風口35、36の吹出し風量をそれぞれ調整する吹出し風量調整手段を設ければよい。
【0073】
この実施の形態では、複数基の排気用ブロワ40を設け、排気用ブロワ40の吸い込み風量を変更可能として、回収用ノズル41の回収口45、46の吸引風量を調整するようにしたが、排気用ブロワ40を1基とし、排気経路を分岐して各回収用ノズル41の流出口に接続し、分岐した各排気経路に風量調整部を設けて回収用ノズル41の回収口45、46の吸引風量を調整するようにしてもよい。
つまり、回収用ノズル41の回収口45、46の吸引風量をそれぞれ調整する吸引風量調整手段を設ければよい。
【符号の説明】
【0074】
1…搬送部、2…印字部、3…送風部、4…排気部、6…モニター、7…制御部、11…搬送ベルト、20…箱体、21…印字ヘッド、21-1…第1印字ヘッド、21-2…第2印字ヘッド、21-3…第3印字ヘッド、21-4…第4印字ヘッド、22…ケーシング、30…送風用ブロワ、31…送風用ノズル、31a…箱体外の送風用ノズル、31b…箱体内の送風用ノズル、32…送風経路、33…風量調整部、35…箱体外の送風口、36…箱体内の送風口、40…排気用ブロワ、41…回収用ノズル、41a…箱体外の回収用ノズル、41b…箱体内の回収用ノズル、42…排気経路、43…インクミスト回収部、45…箱体外の回収口、46…箱体内の回収口、70…主送風用配管、71…副送風用配管、72…送風用配管、73…リーク量調整バルブ、74…流量調整バルブ、80…本体、81…仕切り板、82…流入室、83…流出室、84…フィルタ、85…流入孔、86…流出孔、87…ミスト溜めタンク、88…ドレーンバルブ、97…排気経路内のミスト溜、98…鋼管、99…風量計、100…インクジェット印字装置。
図1
図2
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図12