(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】スマートコントラクトシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/64 20130101AFI20221012BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20221012BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20221012BHJP
【FI】
G06F21/64
G06Q20/38 320
G06Q20/06 300
(21)【出願番号】P 2019128916
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】514080763
【氏名又は名称】フリーサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 政人
【審査官】局 成矢
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-511758(JP,A)
【文献】特開2008-158590(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010455(WO,A1)
【文献】特開2019-009772(JP,A)
【文献】木下 学,文書改ざんはブロックチェーンで防げる!,日経ソフトウエア,第21巻 第4号,2018年05月29日,P40~49
【文献】福光 正幸,ブロックチェーンと中央集権型サーバの連携による実用的スマートコントラクトの実現手法,情報処理学会 研究報告 コンピュータセキュリティ(CSEC) 2018-CSEC-082 [online],2018年07月25日,P1~7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/64
G06Q 20/38
G06Q 20/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末間の書類データの真偽を判定する処理装置を有するスマートコントラクトシステムであって、
前記処理装置にアクセスする管理者端末を設け、
前記処理装置は、前記ユーザ端末からの書類データについてハッシュ値を生成し、ブロックチェーンネットワークに登録すると共に、当該書類データの内容を外部から参照可能に記憶し、前記ユーザ端末からハッシュ値の問合せがあると、当該ハッシュ値が前記ブロックチェーンネットワークに登録されているか否かを検証し、登録されていれば当該ハッシュ値に対応する書類データを真と判定し、登録されていなければ当該ハッシュ値に対応する書類データを偽と判定し、
前記管理者端末は、前記ユーザ端末から書類データについて金銭の支払いの指示があると、前記書類データが契約書データであるか否を判定し、契約書データである場合に、当該契約書データの内容に規定された金銭支払いの条件を読み取り、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行することを特徴とするスマートコントラクトシステム。
【請求項2】
前記管理者端末が、ユーザ端末から書類データを受け取ると、前記処理装置にアクセスして、記憶されている書類データの中から当該書類データの内容に類似する書類データを抽出して前記ユーザ端末に通知することを特徴とする請求項1記載のスマートコントラクトシステム。
【請求項3】
前記管理者端末は、契約書データの内容に、支払いの自動実行を行う旨又は行わない旨の規定が含まれる場合に、当該規定を参照し、支払いの自動実行を行う旨の規定がある場合は支払いを実行し、支払いの自動実行を行わない旨の規定がある場合は支払いを保留することを特徴とする請求項1又は2記載のスマートコントラクトシステム。
【請求項4】
スマートコントラクトシステムの処理装置で実行されるプログラムと、
前記処理装置にアクセスする管理者端末で実行されるプログラムであって、
前記処理装置を、ユーザ端末からの書類データについてハッシュ値を生成させ、ブロックチェーンネットワークに登録させると共に、当該書類データの内容を外部から参照可能に記憶させ、前記ユーザ端末からハッシュ値の問合せがあると、当該ハッシュ値が前記ブロックチェーンネットワークに登録されているか否かを検証させ、登録されていれば当該ハッシュ値に対応する書類データを真と判定させ、登録されていなければ当該ハッシュ値に対応する書類データを偽と判定させ、
前記管理者端末を、前記ユーザ端末から書類データについて金銭の支払いの指示があると、前記書類データが契約書データであるか否を判定させ、契約書データである場合に、当該契約書データの内容に規定された金銭支払いの条件を読み取らせ、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行させることを特徴とす
るプログラム。
【請求項5】
前記管理者端末で実行されるプログラムにおいて、
前記管理者端末を、ユーザ端末から書類データを受け取ると、前記処理装置にアクセスして、記憶されている書類データの中から当該書類データの内容に類似する書類データを抽出させて前記ユーザ端末に通知させることを特徴とする請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記管理者端末を、契約書データの内容に、支払いの自動実行を行う旨又は行わない旨の規定が含まれる場合に、当該規定を参照させ、支払いの自動実行を行う旨の規定がある場合は支払いを実行させ、支払いの自動実行を行わない旨の規定がある場合は支払いを保留させることを特徴とする請求項4又は5記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンライン上で締結された契約書等の書類の正当性を保証するスマートコントラクトシステムに係り、特に、適正でない書類に対して適正と推測される書類の候補をレコメンドし、更に契約書等に基づく処理を実現可能とするスマートコントラクトシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、オンライン上の書類について、ブロックチェーン技術を用いて正当性を保証するものはあった。
電子署名システムからエビデンスをブロックチェーン上に登録できる技術としては、例えばイーサリアム(Ethereum)がある。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術文献として、特開2018-157432号公報「生成装置、検証装置、及びプログラム」(特許文献1)、特開2019-057827号公報「分散認証システム及びプログラム」(特許文献2)、国際公開第2017/010455号「契約合意方法、合意検証方法、契約合意システム、合意検証装置、契約合意装置、契約合意プログラム及び合意検証プログラム」(特許文献3)がある。
【0004】
特許文献1には、ブロックチェーンを用いて端末間の取引の正当性を保証するもので、ハッシュ値、取引者毎の秘密鍵情報及び取引識別情報を生成することが記載されている。
特許文献2には、ブロックチェーンを用いて判定対象の真正を検証するもので、ハッシュ値の一致により文書データの真正が得られることが記載されている。
特許文献3には、契約の証跡をブロックチェーンに残し、各トランザクションを連鎖させ、最後の合意者端末は、契約発行元端末宛にトランザクションを生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-157432号公報
【文献】特開2019-057827号公報
【文献】国際公開第2017/010455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、書類の真偽は判別するものの、偽の書類の場合に、書類作成者等は、適正な書類を探し出すことができず、不便であるという問題点があった。
【0007】
また、従来の技術では、書類が契約書等である場合に、契約内容の金銭の支払いをユーザの指示によりブロックチェーンの仮想通貨で行うものはあるが、書類が契約書であるか否かを判定し、契約書の場合にその契約内容を参照して規定された条件に従って金銭の支払いまでも自動で行うものとはなっておらず、利便性に欠けるという問題点もあった。
【0008】
尚、特許文献1~3には、書類の真偽を判定し、偽の場合に候補の書類をレコメンドする機能はなく、契約書を判定して自動支払いを行うことの記載がない。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、オンライン上でやり取りされた書類の真偽を判別し、偽である場合に適正な書類をレコメンドできるスマートコントラクトシステム及びプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、書類が契約書であるか否かを判定し、契約書の場合にその契約内容を参照して規定された条件に従って金銭の支払いを自動で行うスマートコントラクトシステム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ユーザ端末間の書類データの真偽を判定する処理装置を有するスマートコントラクトシステムであって、処理装置にアクセスする管理者端末を設け、処理装置が、ユーザ端末からの書類データについてハッシュ値を生成し、ブロックチェーンネットワークに登録すると共に、当該書類データの内容を外部から参照可能に記憶し、ユーザ端末からハッシュ値の問合せがあると、当該ハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されているか否かを検証し、登録されていれば当該ハッシュ値に対応する書類データを真と判定し、登録されていなければ当該ハッシュ値に対応する書類データを偽と判定し、管理者端末が、ユーザ端末から書類データについて金銭の支払いの指示があると、書類データが契約書データであるか否を判定し、契約書データである場合に、当該契約書データの内容に規定された金銭支払いの条件を読み取り、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記スマートコントラクトシステムにおいて、管理者端末が、ユーザ端末から書類データを受け取ると、処理装置にアクセスして、記憶されている書類データの中から当該書類データの内容に類似する書類データを抽出してユーザ端末に通知することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記スマートコントラクトシステムにおいて、管理者端末が、契約書データの内容に、支払いの自動実行を行う旨又は行わない旨の規定が含まれる場合に、当該規定を参照し、支払いの自動実行を行う旨の規定がある場合は支払いを実行し、支払いの自動実行を行わない旨の規定がある場合は支払いを保留することを特徴とする。
【0014】
本発明は、スマートコントラクトシステムの処理装置で実行されるプログラムと、処理装置にアクセスする管理者端末で実行されるプログラムであって、処理装置を、ユーザ端末からの書類データについてハッシュ値を生成させ、ブロックチェーンネットワークに登録させると共に、当該書類データの内容を外部から参照可能に記憶させ、ユーザ端末からハッシュ値の問合せがあると、当該ハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されているか否かを検証させ、登録されていれば当該ハッシュ値に対応する書類データを真と判定させ、登録されていなければ当該ハッシュ値に対応する書類データを偽と判定させ、管理者端末を、ユーザ端末から書類データについて金銭の支払いの指示があると、書類データが契約書データであるか否を判定させ、契約書データである場合に、当該契約書データの内容に規定された金銭支払いの条件を読み取らせ、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記プログラムにおける管理者端末で実行されるプログラムであって、管理者端末を、ユーザ端末から書類データを受け取ると、処理装置にアクセスして、記憶されている書類データの中から当該書類データの内容に類似する書類データを抽出させてユーザ端末に通知させることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記プログラムにおいて、管理者端末を、契約書データの内容に、支払いの自動実行を行う旨又は行わない旨の規定が含まれる場合に、当該規定を参照させ、支払いの自動実行を行う旨の規定がある場合は支払いを実行させ、支払いの自動実行を行わない旨の規定がある場合は支払いを保留させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、処理装置が、ユーザ端末からの書類データについてハッシュ値を生成し、ブロックチェーンネットワークに登録すると共に、当該書類データの内容を外部から参照可能に記憶し、ユーザ端末からハッシュ値の問合せがあると、当該ハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されているか否かを検証し、登録されていれば当該ハッシュ値に対応する書類データを真と判定し、登録されていなければ当該ハッシュ値に対応する書類データを偽と判定し、管理者端末が、ユーザ端末から書類データについて金銭の支払いの指示があると、書類データが契約書データであるか否を判定し、契約書データである場合に、当該契約書データの内容に規定された金銭支払いの条件を読み取り、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行するスマートコントラクトシステム及びプログラムとしているので、書類の真偽が保証されると共に、オンラインでの契約締結から金銭の支払いまでスムーズに行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】書類のハッシュ値登録処理フローを示す図である。
【
図4】候補書類レコメンド処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るスマートコントラクトシステム(本システム)は、ブロックチェーン技術を用いてオンライン上でやり取りされた書類の真偽を判定すると共に、判定された書類が偽である場合に、書類をやり取りした当事者、日時及びタイトル等から適正と推測される書類をレコメンドするものであり、契約書等の書類の真偽が保証されると共に、偽の場合に容易に適正な書類を探し出すことができるものである。
【0021】
また、本システムは、書類が契約書等であるか否かを判定し、契約書等である場合に、その契約内容を参照し、契約の条件に従って金銭の支払いをブロックチェーンの仮想通貨の技術を用いて実行するものであり、オンラインでの契約締結から金銭の支払いまでスムーズに行うことができるものである。
【0022】
尚、ブロックチェーンの技術は、分散型台帳技術といわれる分散型ネットワークである。
ブロックチェーンは、ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードが連続的に増加するリストを持ち、各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。一度記録されると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0023】
[本システムの概略:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略図である。
本システムは、
図1に示すように、スマートコントラクト提供サーバ1と、管理者端末2と、ネットワーク3と、当事者A端末4と、当事者B端末5とを基本的に備えている。
スマートコントラクト提供サーバ1、管理者端末2、当事者A端末4及び当事者B端末5(以下、まとめて「ユーザ端末」とする)は、ネットワーク3に接続している。
尚、
図1では、説明を簡単にするためにユーザ端末を2台だけ示しているが、実際は複数台のユーザ端末が接続するものである。
【0024】
[本システムの各部:
図1]
本システムの各部について具体的に説明する。
[スマートコントラクト提供サーバ1]
スマートコントラクト提供サーバ1は、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを備える処理装置である。
記憶部12は、処理プログラムと、後述するPDF形式の書類データを記憶する。
インタフェース部13は、ネットワーク3に接続するインタフェースである。
制御部11は、記憶部12に記憶する処理プログラムを読み込み、以下に説明する処理を行う。
【0025】
スマートコントラクト提供サーバ1は、ネットワーク3に接続し、当事者A端末4と当事者B端末5との間でのやり取りされた電子的な書類データのハッシュ値をブロックチェーンネットワークに登録する処理を行う。
尚、書類データは、例えば、PDF形式とし、スマートコントラクト提供サーバ1でハッシュ値の登録を行ったPDF形式のデータも記憶部12で記憶する。
【0026】
更に、スマートコントラクト提供サーバ1は、ユーザ端末から書類データのハッシュ値の問い合わせ(入力)があると、当該ハッシュ値がブロックチェーンネットワークに存在するか否かを検証する。
具体的に、問い合わせのあったハッシュ値がブロックチェーンネットワークに存在すれば、当該書類データのハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されたものであり、当該書類データは真であると判定し、存在しなければ、当該書類データのハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されたものではなく、当該書類データは偽であると判定する。
本システムでの処理の詳細は、後述する。
【0027】
[管理者端末2]
管理者端末2は、コンピュータ装置であり、制御部、記憶部、インタフェース部、表示部、入力部等を備え、ネットワーク3に接続する。
また、管理者端末2は、問い合わせがあったハッシュ値が登録されたものでない場合に、当該ハッシュ値の書類データをユーザ端末から受け取り、その書類データの内容に基づいて適正と推測される書類データの候補をレコメンドする。
更に、管理者端末2は、書類データが締結された契約書等であるか否かを判定し、契約書等である場合に、契約条件に従って金銭の支払いをブロックチェーンの仮想通貨を用いて履行する処理を実行する。
【0028】
ネットワーク3は、インターネットを想定しており、ブロックチェーンネットワークを含むものである。
当事者A端末4は、電子的な書類データのやり取りを行う一方の当事者の端末である。
当事者B端末5は、電子的な書類データのやり取りを行う他方の当事者の端末である。
【0029】
[処理内容:
図2~5]
次に、本システムにおける処理について
図2~5を参照しながら説明する。
本システムの処理としては、ハッシュ値登録処理、書類の真偽判定処理、候補書類レコメンド処理、支払い実行処理等がある。
ハッシュ値登録処理、書類の真偽判定処理は、スマートコントラクト提供サーバ1の制御部11が記憶部12から処理プログラムを読み込んで実行することで機能を実現され、候補書類レコメンド処理、支払い実行処理は、管理者端末2の制御部が機能を実行するものである。
【0030】
[ハッシュ値登録処理:
図2]
ハッシュ値登録処理について
図2を参照しながら説明する。
図2は、書類のハッシュ値登録処理フローを示す図である。
スマートコントラクト提供サーバ1でのハッシュ値登録処理は、
図2に示すように、PDF形式の書類データをユーザ端末から受信すると、書類データを記憶部12に記憶する(S1)と共に当該書類データについてのハッシュ値を生成し(S2)、ブロックチェーンネットワークに登録する(S3)。そして、ユーザ端末にブロックチェーンネットワークに登録したハッシュ値を返信する(S4)。
【0031】
また、ハッシュ値を登録できるのは、契約締結が完了した電子的契約に限らず、契約の途中段階の書類データであってもよい。
但し、契約の途中段階の書類データは、後述する支払い実行において、締結が完了した契約書データではないとして、金銭支払いの対象から除外されるようになっている。
【0032】
[書類の真偽判定処理:
図3]
書類の真偽判定処理について
図3を参照しながら説明する。
図3は、書類の真偽判定処理フローを示す図である。
スマートコントラクト提供サーバ1での書類の真偽判定処理は、
図3に示すように、ユーザ端末からブロックチェーン上へのハッシュ値の登録の有無の問い合わせがある(S11)と、そのハッシュ値がブロックチェーンネットワークに登録されているかどうか検証し(S12)、登録されたハッシュ値であれば(Yesの場合)、当該書類データを真(正当)と判定し(S13)、登録されたハッシュ値でなければ(Noの場合)、当該書類データを偽と判定し(S14)、処理を終了する。
【0033】
[候補書類レコメンド処理:
図4]
候補書類レコメンド処理について
図4を参照しながら説明する。
図4は、候補書類レコメンド処理フローを示す図である。候補書類レコメンド処理は、
図3で「偽」と判定された場合に、行われるものである。
管理者端末2での候補書類レコメンド処理は、
図4に示すように、ユーザ端末からのハッシュ値の問い合わせに対して、ハッシュ値が登録されていない場合に、ユーザ端末から対応する偽と判定された書類データを受け取り、記憶部に記憶する(S21)。
【0034】
管理者端末2は、当該書類データの日付、タイトル、当事者、記載内容等から類似性の高い書類データを検索して抽出し(S22)、抽出した書類データについて候補書類データのリストを生成する(S23)。
そして、管理者端末2は、ユーザ端末に候補書類データのリストを表示させ、そのリストから書類データが選択されると当該書類データを表示する(S24)。これにより、ユーザ端末は、「偽」と判定された書類データでブロックチェーンネットワークに登録されている類似性の高い書類データを容易に知ることができる。
【0035】
管理者端末2は、ユーザ端末にリストと候補書類データを直接表示させてもよいが、リストを電子メールで通知して、当該電子メールのリストから選択された書類データを表示するようにしてもよい。
また、書類データが「偽」と判定されていない場合でもユーザ端末は、書類データを管理者端末2に送信して候補書類をレコメンドしてもらってもよい。
【0036】
[支払い実行処理:
図5]
次に、支払い実行処理について
図5を参照しながら説明する。
図5は、支払い実行処理フローを示す図である。
管理者端末2での支払い実行処理は、
図5に示すように、ユーザ端末から特定の書類データについて支払い実行の指示があるかどうかを判定する(S31)。
当該指示は、個々の書類データについての指示でもよいが、初期設定として、書類の種類単位での指示でもよく、更に全ての書類を支払い実行の対象にするという指示でもよい。
【0037】
支払い実行の指示がなければ(Noの場合)、処理を終了し、支払い実行の指示があれば(Yesの場合)、次に、スマートコントラクト提供サーバ1の記憶部12にアクセスして、特定書類データが締結された契約書データであるか否か判定し(S32)、契約書データでなければ(Noの場合)、処理を終了する。
【0038】
判定処理S32で締結済の契約書データであれば(Yesの場合)、当該契約書データの契約内容を参照して金銭支払いの条件を読み込み、当該条件に従ってブロックチェーンの仮想通貨を用いて支払いを実行する(S33)。そして、管理者端末2は、ユーザ端末に契約書に基づく支払い完了を通知する(S34)。
【0039】
支払いの自動実行は、ユーザ端末間で予め行うか否かを決めておくことができ、契約書毎に支払いの自動実行を設定又は留保できるものである。
また、契約書の内容として、金銭の支払いの自動実行を行う旨、若しくは行わない旨の規定を含めるようにすれば、当該規定を参照して支払いの自動実行を行う又は行わないの制御が可能である。
【0040】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、スマートコントラクト提供サーバ1が、ブロックチェーン技術を用いてオンライン上でやり取りされた書類の真偽を判定すると共に、判定された書類が偽である場合に、管理者端末2が、書類がやり取りされた当事者、日時及びタイトル等から適正と推測される書類をレコメンドするものであり、契約書等の書類の真偽が保証されると共に、偽の場合に容易に適正な書類を探し出すことができる効果がある。
【0041】
また、本システムは、書類が契約書等であるか否かを判定し、契約書等である場合に、その契約内容を管理者端末2が参照して支払い条件に従って金銭の支払いをブロックチェーンの仮想通貨の技術を用いて実行するものであり、オンラインでの契約締結から金銭の支払いまでスムーズに行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、オンライン上でやり取りされた書類の真偽を判別し、偽である場合に適正な書類をレコメンドできるスマートコントラクトシステム及びプログラムに好適である。
【符号の説明】
【0043】
1…スマートコントラクト提供サーバ、 2…管理者端末、 3…ネットワーク、 4…当事者A端末(ユーザ端末)、 5…当事者B端末(ユーザ端末)、 11…制御部、 12…記憶部、 13…インタフェース部