(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】RFIDタグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20221012BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
G06K19/07 040
G06K19/077 112
G06K19/07 150
(21)【出願番号】P 2019151309
(22)【出願日】2019-08-21
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】新納 範高
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-303513(JP,A)
【文献】特開2012-252666(JP,A)
【文献】特開2016-146082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFID用ICと、表示器と、発電部とを備えるRFIDタグであって、
前記発電部の電力を入力して電源電圧を生成するレギュレータと、
前記電源電圧を受けて動作し、前記表示器へ表示信号を出力する制御回路と、
前記電源電圧を監視し、監視の結果に基づいて前記制御回路を停止させる電源監視回路と、
を備えるRFIDタグ。
【請求項2】
前記電源監視回路が前記制御回路を停止させる前記電源電圧の閾値電圧は、前記表示信号を生成するための下限電圧に対応した電圧である、
請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記電源監視回路が前記制御回路を停止させる前記電源電圧の閾値電圧は、前記制御回路の動作下限電圧に対応した電圧である、
請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記電源監視回路が前記制御回路を停止させる前記電源電圧の閾値電圧は、前記表示器の受信動作の下限電圧に対応した電圧である、
請求項1記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記表示信号を生成するための下限電圧は前記制御回路の動作下限電圧よりも大きい、
請求項2記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記レギュレータは、前記制御回路に供給される第1電源電圧と、前記表示器に供給される第2電源電圧とを生成し、
前記電源監視回路は、前記第1電源電圧を監視する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記レギュレータは、前記制御回路に供給される第1電源電圧と、前記表示器に供給される第2電源電圧とを生成し、
前記電源監視回路は、前記第2電源電圧を監視する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記制御回路は、前記電源電圧の供給による起動に基づいて、前記RFID用ICから情報を読み出し、読み出した情報を反映した表示信号を前記表示器に出力する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記制御回路は、前記電源監視回路による停止制御の解除に基づいて、前記RFID用ICから情報を読み出し、読み出した情報を反映した表示信号を前記表示器に出力する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、RFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RFIDタグとして、商品情報を記憶するメモリと、メモリに記憶された商品情報を表示する表示装置と、電源部たる太陽電池とを備えた構成が開示されている。このRFIDタグは、リーダライタを用いて表示装置に表示される商品情報を更新できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電された電力を用いて表示装置から情報を表示させる場合、発電量が低下すると、表示信号又はその送受信動作が不安定になる恐れがある。
【0005】
本開示は、発電量の低下に起因して表示器に誤った表示が行われることを抑制できるRFIDタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
RFID用ICと、表示器と、発電部とを備えるRFIDタグであって、
前記発電部の電力を入力して電源電圧を生成するレギュレータと、
前記電源電圧を受けて動作し、前記表示器へ表示信号を出力する制御回路と、
前記電源電圧を監視し、監視の結果に基づいて前記制御回路を停止させる電源監視回路と、
を備えるRFIDタグである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、発電量の低下に起因して表示器に誤った表示が行われることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るRFIDタグを示す分解斜視図である。
【
図2】実施形態1に係るRFIDタグの内部構成を示す図である。
【
図3】実施形態1に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。
【
図4】発電量に応じた第1電源電圧の変化の一例を示すタイムチャートである。
【
図5】制御回路及び表示器により実行される表示処理を説明するフローチャートである。
【
図6】実施形態2に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。
【
図7】実施形態3に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るRFIDタグを示す分解斜視図である。
図2は、実施形態1に係るRFIDタグの内部構成を示す図である。
図3は、実施形態1に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。
【0011】
実施形態1のRFIDタグ1は、
図1に示すように、筐体10と、回路基板20と、発電部31、32と、表示器33と、蓋体40とを備える。筐体10は、一方が開放された凹状の形態を有し、回路基板20と表示器33とを重ねかつ表示器33の左右に2つの発電部31、32を並べて収容できる。回路基板20は、複数の集積回路が搭載される主部20Aと、アンテナ導体28を有する延在部20Bとを有する。発電部31、32は、外部から光を受けて発電する光発電パネルであるが、熱又は振動を吸収して発電を行う環境発電器等であってもよい。
【0012】
表示器33は、例えば液晶表示器であり、回路基板20と配線(フィルム配線等)33hを介して電気的に接続される。表示器33は、表示信号が入力される入力ポートと、少なくとも1画面分の各画素の情報を含む表示データが書き込まれる表示メモリとを有する。表示信号は、例えばデジタル表示信号であってもよい。表示器33は、表示メモリの表示データに応じて画像を表示する。
【0013】
図3に示すように、さらに、RFIDタグ1は、発電部31、32から発電電力を入力し電力管理を行うPMIC(Power Management Integrated Circuit)21と、PMIC21から電力を受けて制御系の第1電源電圧を生成する第1電源IC22と、PMIC21から電力を受けて表示駆動用の第2電源電圧を生成する第2電源IC23とを備える。PMIC21、第1電源IC22及び第2電源IC23は、本開示に係るレギュレータの一例に相当する。さらに、RFIDタグ1は、電波を介してリーダライタと無線通信を行うRFID用IC25と、情報処理を行う制御回路24と、電源電圧を監視する電源監視回路26とを備える。制御回路24及び電源監視回路26の各々は、IC(集積回路)であってもよい。
【0014】
図2に示すように、RFID用IC25、制御回路24、電源監視回路26、PMIC21、第1電源IC22、第2電源IC23は、回路基板20に搭載されている。制御回路24、RFID用IC25及び電源監視回路26は、第1電源IC22から第1電源電圧(例えば3V)を受けて動作する。表示器33は、第2電源IC23から第2電源電圧(例えば5V)を受けて動作する。第2電源電圧は第1電源電圧よりも大きい。
【0015】
RFID用IC25は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を用いて無線通信を行う。RFID用IC25は、リーダライタから読み書きが可能な記憶部、並びに、個体識別情報を記憶した記憶部を有する。前者の記憶部は、表示器33に表示する情報の格納場所として使用できる。
【0016】
制御回路24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータである。ROMには、制御回路24の起動直後、並びに、リセット直後にCPUが実行する表示制御処理のプログラム、並びに、通常動作時の制御処理のプログラムが格納されている。表示制御処理には、RFID用IC25と通信を行ってRFID用IC25の記憶部の情報を読み出す処理と、読み出した情報から表示信号を生成し、表示器33へ出力する処理とが含まれる。通常動作時の制御処理には、RFID用IC25の情報の更新を待機する処理、更新があった場合に、上記の表示制御処理を実行する処理が含まれる。
【0017】
制御回路24は、リセット信号の入力が可能なリセット端子T1を有し、リセット信号が入力されると動作を中断し、初期化される。リセット信号が継続して入力されると、その間、制御回路24は動作を停止する。
【0018】
電源監視回路26は、第1電源IC22と制御回路24との間で第1電源電圧を監視し、第1電源電圧が閾値電圧を下回ったら、リセット信号を制御回路24へ出力する。
【0019】
<発電量に応じた第1電源電圧の変化>
図4は、発電量に応じた第1電源電圧の変化の一例を示すタイムチャートである。
【0020】
発電部31、32は、環境の明るさによって、発電状態が「Good(良好)」「Poor(貧弱)」「Bad(不良)」などに変化する。発電状態が悪くなると、発電部31、32の供給電力の低下により、第1電源電圧が低下する。
【0021】
第1電源電圧に関係する電圧として、制御回路24の動作下限電圧Vlim0と、表示信号生成用の下限電圧Vlim1とがある。制御回路24の動作下限電圧Vlim0は、制御回路24の安定的な論理動作が保証される第1電源電圧の下限値を示す。表示信号生成用の下限電圧Vlim1は、表示に誤りが生じない表示信号の生成が保証される第1電源電圧の下限値を示す。制御回路24は、第1電源電圧を受けて表示信号を生成する。よって、第1電源電圧が低下すると、表示信号を構成する複数レベルの信号(例えば最も高いレベルの信号)の電圧が低下し、表示信号により表わされる値に誤りが生じる。この誤りが生じない第1電源電圧の下限が、下限電圧Vlim1に相当する。実施形態1において、表示信号生成用の下限電圧Vlim1は、制御回路24の動作下限電圧Vlim0よりも高い。
【0022】
電源監視回路26は、第1電源電圧と、表示信号生成用の下限電圧Vlim1に対応する閾値電圧Vth2とを比較し、第1電源電圧が閾値電圧Vth2未満となったら、制御回路24へリセット信号を出力する。下限電圧Vlim1に対応する閾値電圧Vth2とは、下限電圧Vlim1に一致する電圧、あるいは、下限電圧Vlim1にマージンδVを加えた電圧である。
【0023】
<表示処理>
図5は、制御回路24及び表示器33により実行される表示処理を説明するフローチャートである。発電部31、32の発電が開始され、第1電源電圧が制御回路24へ供給されると、制御回路24が起動する。同様に、第2電源電圧が表示器33へ供給されると、表示器33が起動する。制御回路24と表示器33が起動すると、
図5の表示処理が開始される。
【0024】
まず、制御回路24が起動すると、制御回路24は、RFID用IC25と通信(回路基板20の配線を介した通信)し、RFID用IC25に記憶されているID情報及び管理情報等の各種の情報を読み出す(ステップS1)。
【0025】
次に、制御回路24は、ステップS1で読み出した情報を用いて、表示器33に表示させる画像データを作成する(ステップS2)。
【0026】
次に、制御回路24は、画像データを表示信号に変換し、表示信号を表示器33へ送信する(ステップS3)。
【0027】
表示信号が表示器33に受信されると、表示信号から変換された表示データが表示器33の表示メモリに書き込まれ(ステップS4)、書き込まれた表示データに基づき表示器33に画像が表示される(ステップS5)。
【0028】
表示器33に画像が表示された後、第1電源電圧及び第2電源電圧が安定し、かつ、RFID用IC25の情報の書き換えがなければ、制御回路24は、RFID用IC25の情報の更新があるまで待機する。また、表示器33は、表示メモリに書き込まれた表示データに基づく画像の表示を維持する。
【0029】
第1電源電圧及び第2電源電圧が安定している状態で、リーダライタを用いて外部からRFID用IC25の情報が更新された場合、制御回路24は、情報の更新に基づき、ステップS1~S3の処理を実行し、表示器33の表示データを更新する。表示器33は、ステップS4、S5の処理により、画像の表示を更新する。
【0030】
<電力不足があった場合の表示処理>
図5のステップS1~S5の各処理中に、第1電源電圧が閾値電圧Vth2を下回ると、電源監視回路26が制御回路24へリセット信号を送り、制御回路24が処理を中断する。さらに、閾値電圧Vth2を第1電源電圧が下回った状態が維持されると、電源監視回路26は、制御回路24にリセット信号を送り続け、その間、制御回路24は動作を停止する。
【0031】
例えば、
図5のステップS1、S2の処理中に、第1電源電圧が閾値電圧Vth2を下回ったとする。この場合、制御回路24は、表示器33に画像を表示するため、あるいは、表示器33の画像を更新するための処理の途中、表示信号を出力する前に、処理が中断され、動作を停止する。したがって、第1電源電圧の低下により、誤った表示信号が生成されて、表示器33に送信されることが抑制される。
【0032】
また、
図5のステップS3の処理中に、第1電源電圧が閾値電圧Vth2を下回った場合、制御回路24は、表示器33の表示信号を出力している途中に、処理が中断され、動作を停止する。しかし、出力された表示信号は、正常であるため、表示器33の表示メモリに書き込まれた表示データに誤りは含まれず、表示器33に誤った表示がなされてしまうことが抑制される。
【0033】
また、
図5のステップS4、S5の処理中に、第1電源電圧が閾値電圧Vth2を下回ったとする。この場合、制御回路24は、表示信号の出力完了後に、動作が停止し、表示器33の表示メモリには、正常な表示データが書き込まれている。したがって、正常な画像の表示が継続され、表示器33に誤った表示がなされることがない。
【0034】
<電力不足が解消された場合の表示処理>
第1電源電圧が閾値電圧Vth2を下回って制御回路24の動作が停止し、その後、第1電源電圧が閾値電圧Vth2以上に復帰したら、制御回路24はリセットされ、起動時と同様の処理を実行する。すなわち、前述のとおり、制御回路24は、RFID用IC25から情報を読み込み(ステップS1)、情報に基づき画像データを作成し(ステップS2)、画像データを表示信号に変換して表示器33へ出力する(ステップS3)。表示信号が表示器33へ送られると、表示信号から変換された表示データが表示メモリに上書きされ(ステップS4)、表示器33に表示データに従った画像が出力される(ステップS5)。
【0035】
上記のような表示処理により、リーダライタからRFID用IC25に情報を書き込むことで、この情報が反映された画像を表示器33から表示させることができる。また、発電状況が悪くなっても、表示器33に誤った画像が表示されることが抑制され、発電状況が回復すれば、再び、RFID用IC25に書き込まれた情報が反映された画像を表示器33に表示することができる。
【0036】
以上のように、実施形態1のRFIDタグ1によれば、第1電源電圧を監視し、監視結果に基づいて制御回路24を停止させる電源監視回路26を備える。したがって、第1電源電圧が低下した場合に、制御回路24を停止し、表示器33に誤った表示がなされることを抑制できる。
【0037】
さらに、実施形態1のRFIDタグ1によれば、制御回路24が停止される第1電源電圧の閾値電圧Vth2として、表示信号を正常に生成できる第1電源電圧の下限電圧Vlim1に対応する電圧が採用されている。よって、表示信号の生成に誤りが生じるような状況で、制御回路24を停止することができる。したがって、誤った表示信号が表示器33へ送られて、表示器33に誤った表示がなされてしまうことを抑制できる。
【0038】
さらに、実施形態1のRFIDタグ1によれば、表示信号生成用の下限電圧Vlim1は、制御回路24の動作下限電圧Vlim0よりも大きい。この場合、第1電源電圧が動作下限電圧Vlim0の近傍になるまで、制御回路24を動作させたのでは、制御回路24の内部動作は正常のまま、誤った表示信号が生成される恐れがある。しかし、実施形態1では、制御回路24の内部動作が正常でも、表示信号の生成に誤りが生じるような状況で、制御回路24が停止される。したがって、誤った表示信号が表示器33へ送られて、表示器33に誤った表示がなされてしまうことを抑制できる。
【0039】
さらに、実施形態1のRFIDタグ1によれば、PMIC21、第1電源IC22及び第2電源IC23は、制御回路24を動かす第1電源電圧と、表示器33を動かす第2電源電圧とを生成する。さらに、電源監視回路26は、第1電源電圧を監視して制御回路24の停止制御を行う。表示器33は駆動電力の変動が少ないのに対して、制御回路24は例えば待機時と処理実行時とで駆動電力が比較的に大きく変動する。したがって、第1電源電圧を監視することで、誤った表示信号が生成される恐れがあるときを正確に判別し、制御回路24の適切な停止制御を実現できる。
【0040】
さらに、実施形態1のRFIDタグ1によれば、起動時において、制御回路24は、RFID用IC25から情報を読み出し、読み出した情報が反映された表示信号を表示器33に出力する。したがって、発電部31、32の発電による、RFIDタグ1の自発的な表示出力が実現される。
【0041】
さらに、実施形態1のRFIDタグ1によれば、リセット(停止解除)により、制御回路24は、RFID用IC25から情報を読み出し、読み出した情報が反映された表示信号を表示器33に出力する。したがって、発電状況が悪化して制御回路24が停止しても、再び発電状況が改善されることで、RFIDタグ1の自発的な表示出力が実現される。
【0042】
なお、実施形態1のRFIDタグ1において、リセット信号は制御回路24に出力される構成としたが、リセット信号は制御回路24と表示器33との両方に出力される構成としてもよい。表示器33は、リセット信号を受けた場合に、表示メモリが初期化され、その後、表示メモリに表示データが書き込まれるまで、ブランク表示など、初期状態の表示が維持される構成としてもよい。リセット信号により制御回路24が停止すると、制御回路24は、表示情報の更新に対応できない。このため、制御回路24が停止する一方、表示器33の動作が維持されると、表示器33に更新前の情報の表示が残ってしまうという事態が生じえる。しかし。リセット信号が表示器33にも送られることで、上記の事態を避けることができる。なお、表示器33の初期化は、リセット信号に基づく表示器33のリセット動作により実現されるほか、リセット信号に基づき表示器33へ供給される第2電源電圧が遮断される構成により実現されてもよいし、その他、様々な手段により実現されてもよい。
【0043】
また、実施形態1のRFIDタグ1においては、電源監視回路26が、第1電源電圧と、表示信号を生成するための下限電圧Vlim1に対応する閾値電圧Vth2とを比較した。しかし、電源監視回路26は、第1電源電圧と、制御回路24の動作下限電圧Vlim0に対応する電圧とを比較する構成としてもよい。第1電源電圧の低下に伴い、表示信号が不安定になる前、又は、それと同時に制御回路24の論理動作が不安定になる場合には、上記の構成を適用することで、制御回路24の不安定な論理動作に起因して表示器33に誤った表示がなされることを抑制できる。
【0044】
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。実施形態2は、回路構成の一部が異なるほかは、実施形態1と同様である。同様の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
実施形態2のRFIDタグ1Aにおいては、電源監視回路26Aが、第2電源IC23と表示器33との間で第2電源電圧を監視し、第2電源電圧が表示器33の受信動作用の下限電圧に対応する閾値電圧を下回った場合に、リセット信号を制御回路24へ出力する。
【0046】
受信動作用の下限電圧とは、表示器33により正常な表示信号の受信を保証できる第2電源電圧の下限値を意味する。実施形態2のRFIDタグ1Aが、例えば、表示器33の消費電力が大きく、発電状況が劣化した場合に、第1電源電圧に比べて第2電源電圧が大きく変動する構成であったとする。このような構成では、発電状況が劣化したときに、制御回路24の動作及び表示信号の生成が安定しているのに、表示器33の表示信号の受信動作が不安定になる場合がある。そこで、実施形態2のRFIDタグ1Aでは、表示器33の受信動作が不安定になる前に、制御回路24を停止することができ、不安定な受信動作に起因して表示器33に誤った表示がなされてしまうことを抑制できる。
【0047】
なお、実施形態2においても、電源監視回路26Aは、リセット信号を制御回路24と表示器33との両方に出力する構成としてもよく、この構成により、前述のように表示器33に更新前の情報の表示が残ってしまうという事態を避けることができる。
【0048】
(実施形態3)
図7は、実施形態3に係るRFIDタグの回路構成を示す図である。実施形態3のRFIDタグ1Bは、回路構成の一部が異なるほかは、実施形態1と同様である。以下、同様の構成要素については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
実施形態3のRFIDタグ1Bは、制御回路24と表示器33Bとは、同一の電源電圧を受けて動作する。電源IC22Bは、PMIC21から電力を受けて単独で電源電圧を生成し、生成した電源電圧を表示器33Bと制御回路24とに供給する。PMIC21及び電源IC22Bは、本開示に係るレギュレータの一例に相当する。
【0050】
電源監視回路26Bは、電源IC22Bが出力する電源電圧が、閾値電圧を下回ったら制御回路24へリセット信号を出力する。閾値電圧は、表示信号生成用の下限電圧Vlim1に対応する電圧、制御回路24の動作下限電圧Vlim0に対応する電圧、あるいは、表示器33Bの受信動作用の下限電圧に対応する電圧のいずれかに設定される。閾値電圧は、表示信号生成用の下限電圧Vlim1、制御回路24の動作下限電圧Vlim0、受信動作用の下限電圧のうち、最も高い下限電圧に対応した電圧に設定されてもよい。
【0051】
このような構成においても、表示メモリに不安定な表示データが書き込まれる前に、制御回路24を停止させることができる。したがって、表示器33Bに誤った表示がなされることを抑制できる。
【0052】
なお、実施形態3のRFIDタグ1Bにおいても、電源監視回路26Bは、制御回路24と表示器33Bとの両方にリセット信号を出力するように構成されてもよい。この構成により、前述したように表示器33Bに更新前の情報の表示が残ってしまうという事態を避けることができる。
【0053】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、制御回路24は、RFID用IC25の記憶部から読み出した情報に基づき、表示器33に表示する画像データを作成する例を示した。しかし、画像に示される情報は、制御回路24内の記憶部、又は、別途用意された不揮発性メモリに記録されていてよく、制御回路24は、これらの記憶部から読み出した情報を反映した画像を表示器33から出力させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B RFIDタグ
20 回路基板
21 PMIC
22 第1電源IC
22B 電源IC
23 第2電源IC
24 制御回路
25 RFID用IC
26、26A、26B 電源監視回路
31、32 発電部
33 表示器
T1 リセット端子
Vlim0 制御回路の動作下限電圧
Vlim1 表示信号を生成するための下限電圧
Vth2 閾値電圧