(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20221012BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20221012BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221012BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221012BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20221012BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H01L27/04 R
H01L21/88 J
H01L21/90 N
(21)【出願番号】P 2019166231
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】河原 慎二
(72)【発明者】
【氏名】戸田 順之
(72)【発明者】
【氏名】山本 武志
(72)【発明者】
【氏名】山浦 和章
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-177456(JP,A)
【文献】特開平02-299261(JP,A)
【文献】特開2019-009345(JP,A)
【文献】特開平02-294062(JP,A)
【文献】特開2002-009245(JP,A)
【文献】特開昭61-096757(JP,A)
【文献】特開2003-303960(JP,A)
【文献】特開2009-272453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/532
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の半導体層と、
前記半導体層中に設けられた第2導電形の第1半導体部分と、
上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第1半導体部分に接続された第1導電部材と、
上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第1半導体部分に接続された第2導電部材と、
前記第1導電部材の側面を覆う第1絶縁膜と、
前記第2導電部材の側面を覆う第2絶縁膜と、
を備え、
前記第1導電部材の上端から下端までの長さは、前記半導体層の上面に平行な方向であって前記第1導電部材から前記第2導電部材に向かう方向における前記第1導電部材の長さ、前記第1導電部材と前記第2導電部材との距離、及び、前記第2導電部材の長さの合計長さよりも長
く、
前記第1半導体部分、前記第1導電部材、及び、前記第2導電部材により抵抗素子が形成される半導体装置。
【請求項2】
前記半導体層上に設けられ、前記第1導電部材の前記上端に接続され、抵抗率が前記第1導電部材の抵抗率よりも低い第1コンタクトをさらに備えた請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電部材及び前記第2導電部材はシリコンを含む請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層と前記第1半導体部分との間には、逆方向バイアスが印加される請求項1~
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体層中に設けられ、前記第1半導体部分から離隔し、前記第2導電形の第2半導体部分と、
上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第2半導体部分に接続された第3導電部材と、
上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第2半導体部分に接続された第4導電部材と、
前記第2導電部材の上端と前記第3導電部材に上端との間に接続された配線と、
をさらに備えた請求項1~
4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、回路の構成要素として抵抗素子が設けられている。チップに応力が印加されると、抵抗素子の抵抗値が変動する。抵抗素子には、抵抗値の安定化と面積の小型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-076311号公報
【文献】特開2001-267509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、応力が印加されても抵抗素子の抵抗値の変動を抑制でき、面積の小型化を図ることができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の半導体層と、前記半導体層中に設けられた第2導電形の第1半導体部分と、上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第1半導体部分に接続された第1導電部材と、上端が前記半導体層の上面に達し、下端が前記第1半導体部分に接続された第2導電部材と、前記第1導電部材の側面を覆う第1絶縁膜と、前記第2導電部材の側面を覆う第2絶縁膜と、を備える。前記第1導電部材の上端から下端までの長さは、前記半導体層の上面に平行な方向であって前記第1導電部材から前記第2導電部材に向かう方向における前記第1導電部材の長さ、前記第1導電部材と前記第2導電部材との距離、及び、前記第2導電部材の長さの合計長さよりも長い。
【0006】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の半導体層と、前記半導体層内に設けられ、前記半導体層の上面に達した第2導電形の半導体部分と、前記半導体部分の上部を第1部分と第2部分に分割する絶縁部材と、を備える。前記絶縁部材の上下方向における長さは、前記第1部分から前記第2部分に向かう方向における前記半導体部分の長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は第1の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A’線による断面図である。
【
図2】(a)は第1の実施形態に係る半導体装置を含む半導体パッケージを模式的に示す断面図であり、(b)は比較例に係る半導体装置を示す断面図であり、(c)は第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図3】第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【
図4】第3の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図5】(a)は第4の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すB-B’線による断面図である。
【
図6】(a)は第5の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すC-C’線による断面図である。
【
図7】(a)は第6の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すD-D’線による断面図である。
【
図8】(a)は第7の実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すE-E’線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について説明する。
【0009】
図1(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A’線による断面図である。
【0010】
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、導電形がp形のシリコン(Si)からなる半導体層20が設けられている。半導体層20は、例えば、半導体基板又はその上部である。半導体層20の内部には、導電形が例えばn形のシリコンを含む半導体部分21が設けられている。半導体部分21は半導体層20の上面20aから離隔している。
【0011】
以下、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。半導体層20の上面20aに平行な方向であって、相互に直交する方向を「X方向」及び「Y方向」とし、上面20aに対して直交する方向を「Z方向」とする。また、Z方向のうち、半導体層20の内部から上面20aに向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいうが、この表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0012】
半導体層20中には、2枚の導電部材23及び24がX方向に相互に離隔して設けられている。導電部材23及び24は導電材料からなり、例えば、不純物を含むポリシリコンからなる。導電部材23及び24の形状は、それぞれ、例えば、YZ平面に沿って拡がる平板状である。導電部材23の上端23a及び導電部材24の上端24aは、半導体層20の上面20aに達している。一方、導電部材23の下端23bは半導体部分21のある部分21aに接続されており、導電部材24の下端24bは半導体部分21の他の部分21bに接続されている。下端24bは下端23bからX方向に離隔している。本明細書において、「接続」とは、電気的な接続を意味する。
【0013】
例えば、導電部材23の高さ、すなわち、Z方向における長さLz23は、導電部材23の幅、すなわち、Y方向における長さLy23よりも長い。また、長さLy23は、導電部材23の厚さ、すなわち、X方向における長さLx23よりも長い。したがって、Lz23>Ly23>Lx23である。なお、長さLy23は長さLz23より長くてもよい。
【0014】
また、半導体装置1においては、絶縁部材として、例えばシリコン酸化物(SiO)からなる絶縁膜25及び26が設けられている。絶縁膜25の形状は略四角筒状であり、導電部材23の側面を覆っており、導電部材23の上端23a及び下端23bを覆っていない。同様に、絶縁膜26の形状も略四角筒状であり、導電部材24の側面を覆っており、導電部材24の上端24a及び下端24bを覆っていない。絶縁膜25により導電部材23は半導体層20から絶縁されており、絶縁膜26により導電部材24は半導体層20から絶縁されている。絶縁膜25と絶縁膜26とは相互に離隔している。絶縁膜25と絶縁膜26との間には、半導体層20の一部及び半導体部分21の一部が配置されている。絶縁膜25の一部及び絶縁膜26の一部は、導電部材23と導電部材24との間に配置されている。
【0015】
半導体部分21の形状は、例えば、部分21aを中心とする楕円体と部分21bを中心とする楕円体とが重なった形状である。このような形状の半導体部分21は、例えば、導電部材23及び24を埋め込むためのトレンチを形成し、これらのトレンチを介してドナーとなる不純物をイオン注入し、トレンチ内に導電部材23及び24等を埋め込み、熱処理を施して不純物を拡散させると共に活性化させることにより、形成される。但し、半導体部分21の形状は上述の例には限定されない。例えば、半導体部分21の形状は、直方体又は直方体に近い形状であってもよい。
【0016】
X方向における導電部材23と導電部材24との距離をSxとする。上述の如く、X方向における導電部材23の長さはLx23である。X方向における導電部材24の長さをLx24とする。X方向における導電部材23の長さLx23、導電部材23と導電部材24との距離Sx、及び、導電部材24の長さLx24の合計長さをLx11とする。一方、導電部材23の上端23aから下端23bまでの長さは、Lz23である。そして、長さLz23は長さLx11よりも長い。すなわち、Lz23>Lx11=Lx23+Sx+Lx24である。例えば、導電部材23の形状は導電部材24の形状と略同じである。したがって、長さLx23は長さLx24と略等しい。
【0017】
半導体層20上には、コンタクト31及び32が設けられている。コンタクト31の下端は導電部材23の上端23aに接続されており、コンタクト32の下端は導電部材24の上端24aに接続されている。コンタクト31及び32は、金属材料、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)等からなる。コンタクト31及び32の抵抗率は、導電部材23及び24の抵抗率よりも低い。
【0018】
コンタクト31上には配線33が設けられており、コンタクト31の上端に接続されている。コンタクト32上には配線34が設けられており、コンタクト32の上端に接続されている。半導体層20上には、例えばシリコン酸化物からなる層間絶縁膜30が設けられている。層間絶縁膜30は、コンタクト31及び32、並びに、配線33及び34を覆っている。なお、
図1(a)においては、図示の便宜上、層間絶縁膜30を省略している。後述する他の平面図についても同様である。
【0019】
次に、本実施形態に係る半導体装置1の動作について説明する。
【0020】
p形の半導体層20に基準電位、例えば、接地電位(GND)を印加する。一方、配線33、コンタクト31及び導電部材23を介して、n形の半導体部分21に半導体層20よりも高い電位を印加する。これにより、半導体層20と半導体部分21との間には、逆方向バイアスが印加される。この結果、半導体層20と半導体部分21との界面に空乏層が形成されて、半導体部分21は半導体層20から電気的に分離される。
【0021】
これにより、導電部材23、半導体部分21及び導電部材24からなる電流経路が半導体層20から電気的に分離されて、抵抗素子11が形成される。上述の如く、導電部材23のZ方向における長さLz23は、長さLx11よりも長い。このため、抵抗素子11においては、全体の抵抗成分におけるZ方向の抵抗成分の割合を大きくすることができる。
【0022】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0023】
図2(a)は本実施形態に係る半導体装置を含む半導体パッケージを模式的に示す断面図であり、(b)は比較例に係る半導体装置を示す断面図であり、(c)は本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0024】
図2(a)に示すように、半導体パッケージ90においては、半導体装置1が樹脂部材91内にモールドされている。モールド工程等により、半導体装置1は樹脂部材90から曲げ応力を受け、例えば、Z方向に撓む。これにより、半導体装置1には、X方向の応力が発生する。
【0025】
図2(b)に示すように、比較例に係る半導体装置101においては、p形の半導体層120上にn形の半導体領域121が設けられており、半導体領域121のX方向中央部上にSTI(Shallow Trench Isolation:素子分離絶縁膜)122が設けられている。これにより、半導体装置101には横型の抵抗素子111が形成されている。抵抗素子111においては、電流経路Iの大部分はX方向に延びる。したがって、横型の抵抗素子111においては、応力が印加される方向(X方向)と電流経路Iの大部分が延びる方向(X方向)が一致する。この結果、電流経路Iの抵抗率は応力の影響を受けやい。このため、モールド工程等において生じる応力に起因して、抵抗素子111の抵抗値が変動しやすい。
【0026】
これに対して、
図2(c)に示すように、本実施形態に係る半導体装置1においては、抵抗素子11の電流経路Iの大部分はZ方向に延びている。このため、X方向に印加される応力の影響を受けにくい。この結果、モールド工程等に起因して、半導体装置1にX方向の応力が印加されても、抵抗素子11の抵抗値の変動を抑制することができる。
【0027】
このように、本実施形態に係る半導体装置1においては、抵抗素子11において、Z方向の抵抗成分を大きくすることができる。これにより、半導体装置1にX方向の応力が印加されても、導電部材23及び24における格子歪みを抑制し、抵抗率の変動を抑制することができる。このため、導電部材23及び24の抵抗率が応力の影響を受けにくく、抵抗素子11の抵抗値が安定する。
【0028】
また、抵抗素子11におけるZ方向の長さ(Lz23)をX方向の長さ(Lx11)よりも長くしているため、半導体装置1における抵抗素子11が占める面積を低減することができる。この結果、半導体装置1の小型化及び高集積化が可能となる。
【0029】
なお、本実施形態においては、半導体層20の導電形をp形とし、半導体部分21の導電形をn形とする例を示したが、半導体層20の導電形をn形とし、半導体部分21の導電形をp形としてもよい。この場合は、半導体部分21に半導体層20よりも低い電位を印加する。これにより、n形の半導体層20とp形の半導体部分21との間に逆方向バイアスが印加されて、半導体部分21を半導体層20から電気的に分離することができる。
【0030】
また、本実施形態においては、導電部材23及び24をポリシリコンにより形成する例を示したが、これには限定されない。例えば、導電部材23及び24は、単結晶のシリコン又は金属シリサイド等のシリコンを含む導電材料によって形成してもよく、金属又は金属化合物等の金属を含む導電材料によって形成してもよい。導電部材23及び24は、適当な抵抗率を持つ導電材料によって形成することができる。更に、導電部材23及び24の形状も平板状には限定されず、例えば、Z方向に延びる柱状であってもよい。
【0031】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
【0032】
図3は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0033】
図3に示すように、本実施形態に係る半導体装置2においては、抵抗素子11a及び11bが直列に接続されている。抵抗素子11a及び11bのそれぞれの構成は、第1の実施形態における抵抗素子11の構成と同様である。半導体装置2においては、層間絶縁膜30中に配線35が設けられており、抵抗素子11aに接続されたコンタクト32と、抵抗素子11bに接続されたコンタクト31に接続されている。
【0034】
本実施形態によれば、抵抗素子11a及び抵抗素子11bを直列に接続することにより、全体として大きな抵抗値を実現することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。なお、半導体装置においては、3つ以上の抵抗素子を直列に接続してもよい。
【0035】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
【0036】
図4は、本実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【0037】
図4に示すように、本実施形態に係る半導体装置3においては、複数個の抵抗素子11が設けられており、X方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配列されている。そして、X方向に延びる配線36及びY方向に延びる配線37によって抵抗素子11同士が接続されることにより、全ての抵抗素子11が直列に接続されている。
【0038】
本実施形態によれば、複数個の抵抗素子11を直列に接続することにより、より大きな抵抗値を得ることができる。また、複数個の抵抗素子11をX方向及びY方向に沿ってマトリクス状に配列させることにより、複数個の抵抗素子11を所定の領域内に配置することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
【0040】
図5(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すB-B’線による断面図である。
【0041】
図5(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置4においては、p形の半導体層20内に、n形の半導体部分40が設けられている。半導体部分40は、例えば、ドナーとなる不純物を含むシリコンにより形成されている。半導体部分40の上面は、半導体層20の上面20aに達している。半導体部分40のZ方向における長さLz
40は、半導体部分40のX方向における長さLx
40よりも長い。
【0042】
半導体部分40をイオン注入法によって形成する場合には、半導体部分40の形状は、例えば、複数の楕円体がZ方向に積み重ねられた形状となる。隣り合う楕円体同士は、一部が重なっている。一方、半導体部分40をエピタキシャル成長法によって形成する場合は、半導体部分40の形状は、例えば、略直方体となる。
図5(a)及び(b)は、半導体部分40をイオン注入法によって形成した場合を示している。この場合、半導体部分40のX方向における長さLx
40は、楕円体間のくびれた部分の値とする。但し、半導体部分40の形状はこれには限定されない。半導体部分40の形状は、例えば、直方体であってもよく、円柱形であってもよく、長円柱形であってもよい。
【0043】
半導体層20内には、絶縁部材41が設けられている。絶縁部材41は、例えば、シリコン酸化物等の絶縁材料により形成されている。絶縁部材41の形状は、YZ平面に沿って拡がる板状である。絶縁部材41の高さ、すなわち、Z方向における長さLz41は、絶縁部材41の幅、すなわち、Y方向における長さLy41よりも長い。長さLy41は、絶縁部材41の厚さ、すなわち、X方向における長さLx41よりも長い。したがって、Lz41>Ly41>Lx41である。なお、長さLy41は長さLz41より長くてもよい。
【0044】
Z方向において、絶縁部材41の長さLz41は、半導体部分40の長さLz40よりも短い。このため、絶縁部材41は半導体部分40をZ方向においては貫いておらず、半導体部分40の一部は絶縁部材41の下方にも配置されている。Y方向において、絶縁部材41の長さLy41は、半導体部分40の長さLy40よりも長い。絶縁部材41は、半導体部分40の上部を、Y方向において貫いている。X方向において、絶縁部材41の長さLx41は、半導体部分40の長さLx40よりも短い。半導体部分40は絶縁部材41のX方向両側に配置されている。
【0045】
このように、絶縁部材41は、半導体部分40の上部を部分42と部分44に分割している。半導体部分40における絶縁部材41の下方に配置された部分を部分43とする。すなわち、半導体部分40は、絶縁部材41のX方向の一方側に配置された部分42、絶縁部材41の下方に配置された部分43、絶縁部材41のX方向の他方側に配置された部分44を有する。部分42、部分43及び部分44により、絶縁部材41の下方を迂回する電流経路が形成されて、この電流経路により抵抗素子12が形成されている。
【0046】
半導体部分40の部分42は第1導電部材に相当し、部分43は第1半導体部分に相当し、部分44は第2導電部材に相当する。但し、部分42、部分43及び部分44は、同じ半導体材料によって一体的に形成されている。また、部分42、部分43及び部分44は、絶縁部材41に接している。
【0047】
部分42(第1導電部材)の上端から下端までの長さは、絶縁部材41のZ方向における長さLz41と等しい。部分42(第1導電部材)から部分44(第2導電部材)に向かう方向はX方向である。X方向における部分42(第1導電部材)の長さを長さLx42とし、X方向における部分44(第2導電部材)の長さを長さLx44とする。X方向における部分42(第1導電部材)と部分44(第2導電部材)との距離は、絶縁部材41のX方向における長さLx41に等しい。長さLx42、長さLx41及び長さLx44の合計長さは、半導体部分40のX方向における長さLx40と等しい。そして、半導体装置4においては、部分42(第1導電部材)の上端から下端までの長さ(Lz41)は、半導体部分40のX方向における長さLx40よりも長い。すなわち、Lz41>Lx40=Lx42+Lx41+Lx44である。
【0048】
半導体層20上には、コンタクト31及び32、配線33及び34、並びに、層間絶縁膜30が設けられている。コンタクト31は半導体部分40の部分42の上端に接続されており、コンタクト32は部分44の上端に接続されている。
【0049】
次に、本実施形態に係る半導体装置4の動作について説明する。
【0050】
p形の半導体層20に基準電位、例えば、接地電位(GND)を印加する。一方、配線33及びコンタクト31を介して、n形の半導体部分40に半導体層20よりも高い電位を印加する。これにより、半導体層20と半導体部分40との間に、逆方向バイアスが印加される。この結果、半導体部分40は半導体層20から電気的に分離される。
【0051】
これにより、半導体部分40の部分42、部分43及び部分44からなる電流経路が半導体層20から分離され、抵抗素子12が形成される。上述の如く、部分42のZ方向における長さ(Lz41)は、半導体部分40のX方向における長さ(Lx40)よりも長いため、抵抗素子12においても、全体の抵抗におけるZ方向の抵抗成分の割合を大きくすることができる。
【0052】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0053】
本実施形態においても、抵抗素子12において、Z方向の抵抗成分を大きくすることができる。これにより、半導体装置4にX方向の応力が印加されても、部分42及び44の抵抗率が応力の影響を受けにくく、抵抗素子12の抵抗値が安定する。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
なお、本実施形態においては、半導体層20の導電形をp形とし、半導体部分40の導電形をn形とする例を示したが、半導体層20の導電形をn形とし、半導体部分40の導電形をp形としてもよい。この場合は、半導体部分40に半導体層20よりも低い電位を印加する。これにより、n形の半導体層20とp形の半導体部分40との間に逆方向バイアスが印加されて、半導体部分40を半導体層20から電気的に分離することができる。
【0055】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。
【0056】
図6(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すC-C’線による断面図である。
【0057】
図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置5においては、絶縁部材41の内部にエアギャップ46が形成されている。エアギャップ46は、絶縁部材41の表面から離隔している。
【0058】
本実施形態においては、半導体装置5に印加された応力をエアギャップ46が吸収する。これにより、半導体部分40の抵抗率に及ぼす応力の影響をより低減し、抵抗素子12の抵抗値がより安定する。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第4の実施形態と同様である。
【0059】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
【0060】
図7(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すD-D’線による断面図である。
【0061】
図7(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置6においては、抵抗素子12a及び12bが直列に接続されている。抵抗素子12a及び12bのそれぞれの構成は、第5の実施形態における抵抗素子12の構成と同様である。半導体装置6においては、層間絶縁膜30中に配線35が設けられており、抵抗素子12aに接続されたコンタクト32と、抵抗素子12bに接続されたコンタクト31に接続されている。
【0062】
本実施形態によれば、抵抗素子12a及び抵抗素子12bを直列に接続することにより、全体として大きな抵抗値を実現することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第5の実施形態と同様である。
【0063】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態について説明する。
【0064】
図8(a)は本実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示すE-E’線による断面図である。
【0065】
図8(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る半導体装置7は、第6の実施形態に係る半導体装置6(
図7(a)及び(b)参照)と比較して、絶縁部材41の替わりに絶縁部材51が設けられている点が異なっている。
【0066】
絶縁部材51の形状は平板状ではなく、Z方向から見て8字形の筒状である。各絶縁部材51には、2つの貫通孔52及び53が形成されている。貫通孔52及び53は、Z方向において絶縁部材51を貫いている。そして、貫通孔52内に半導体部分40の部分42が配置されており、貫通孔53内に半導体部分40の部分44が配置されている。また、絶縁部材51の下方に、半導体部分40の部分43が配置されている。部分42、部分43及び部分44は、1つの半導体部分40として、例えばn形の半導体材料によって一体的に形成されている。本実施形態においては、半導体部分40の形状が直方体である例を示している。但し、半導体部分40の形状は、これには限定されない。
【0067】
絶縁部材51内には、エアギャップ54が形成されている。エアギャップ54の形状は、Z方向から見て、貫通孔52及び53を囲む8字形である。なお、エアギャップ54は形成されていなくてもよく、部分的に形成されていてもよい。
【0068】
本実施形態においては、絶縁部材51が半導体部分40の部分42及び部分44を囲んでいる。これにより、部分42及び44を、半導体層20から確実に分離することができる。また、部分42及び部分44内に空乏層が形成されないため、電流経路の実効的な断面積を精密に設定することができ、抵抗素子12a及び12bの抵抗値を精度良く制御することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第6の実施形態と同様である。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、応力が印加されても抵抗素子の抵抗値の変動を抑制でき、面積の小型化を図ることができる半導体装置を実現することができる。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。また、前述の実施形態は、相互に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1、2、3、4、5、6、7:半導体装置
11、11a、11b、12、12a、12b:抵抗素子
20:半導体層
20a:上面
21:半導体部分
21a、21b:部分
23:導電部材
23a:上端
23b:下端
24:導電部材
24a:上端
24b:下端
25、26:絶縁膜
30:層間絶縁膜
31、32:コンタクト
33、34、35、36、37:配線
40:半導体部分
41:絶縁部材
42、43、44:部分
46:エアギャップ
51:絶縁部材
52、53:貫通孔
54:エアギャップ
90:半導体パッケージ
91:樹脂部材
101:半導体装置
111:抵抗素子
120:半導体層
121:半導体領域
122:STI
I:電流経路
Lx11:抵抗素子11のX方向の長さ
Lx23:導電部材23のX方向の長さ
Lx24:導電部材24のX方向の長さ
Lx40:半導体部分のX方向の長さ
Lx41:絶縁部材41のX方向の長さ
Lx42:部分42のX方向の長さ
Lx44:部分44のX方向の長さ
Ly23:導電部材23のY方向の長さ
Ly40:半導体部分40のY方向の長さ
Ly41:絶縁部材41のY方向の長さ
Lz23:導電部材23のZ方向の長さ
Lz40:半導体部分40のZ方向の長さ
Lz41:絶縁部材41のZ方向の長さ
Sx:X方向における導電部材23と導電部材24との距離