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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20221012BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20221012BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221012BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221012BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20221012BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J133/06
C09J11/06
B32B27/00 M
B32B27/30 A
C09J133/02
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019514068
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2018046646
(87)【国際公開番号】W WO2019124405
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2017243111
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】深石 孝嗣
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197724(JP,A)
【文献】特開2010-95722(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146108(WO,A1)
【文献】特表2014-524966(JP,A)
【文献】特表2014-534303(JP,A)
【文献】特開平4-4275(JP,A)
【文献】特開2011-122166(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0123368(KR,A)
【文献】スリーエムジャパン株式会社,Acrylic Foam Tape GT7100 Series,2014年10月,http://multimedia.3m.com/mws/media/1409260O/g-200.pdf,3M Automotive Products, Technical Data Sheet
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体基材と、前記基材両表面に設けられたアクリル系粘着剤層とを備える両面粘着テープであって、
前記発泡体基材はアクリル系ポリマー(X2)を含有するアクリル系樹脂発泡粘着層であり、その厚みが30~950μmであり、
前記アクリル系粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)を含むモノマー成分(M)の重合体であるアクリル系ポリマー(X)を含有し、
総厚みが1200μm以下であり、引張伸びが100~600%であり、30%圧縮応力が5~200kPaである両面粘着テープ。
【請求項2】
引張強さが、0.5~10MPaである請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
基材両表面のアクリル系粘着剤層の合計厚みが、10~170μmである請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
押圧接着力が、25~250Nである請求項1~3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記発泡体基材が、中空樹脂微粒子を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
前記発泡体基材が、ハロゲンフリーの発泡体基材である請求項1~5のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
可塑剤を30質量%含有した軟質ポリ塩化ビニルシートに対する以下の式で表される粘着力低下率が50%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の両面粘着テープ。
粘着力低下率=100×(初期180°ピール粘着力-3ヵ月後の180°ピール粘着力)/初期180°ピール粘着力
【請求項8】
可視光透過率が60%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項9】
前記発泡体基材が白色着色されている、請求項1~8のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項10】
前記アクリル系粘着剤層が黒色着色されている、請求項1~9のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項11】
前記アクリル系粘着剤層がアクリル系粘着剤組成物より形成されたものであり、該粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(X)、粘着付与樹脂(Y)、及び架橋剤(Z)を含有する、請求項1~10のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項12】
前記アクリル系ポリマー(X)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)100質量部と、カルボキシル基含有モノマー(B)5~18質量部とを含むモノマー成分(M)の重合体である、請求項1~11のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項13】
前記粘着付与樹脂(Y)がロジン系粘着付与樹脂である、請求項11又は12に記載の両面粘着テープ。
【請求項14】
前記粘着付与樹脂(Y)が、分子量600以下の成分の含有量が13質量%以下である、請求項11~13のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項15】
前記架橋剤(Z)が金属キレート系架橋剤及びイソシアネート系架橋剤からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項11~14のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項16】
車両用部材を被着体として使用される、請求項1~15のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項17】
前記車両用部材が凹凸形状又は曲面部を有する、請求項16に記載の両面粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープに関する。より具体的には、例えば、車両用部材等を被着対象とする両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れることから、養生、梱包、補修等を目的として、広く使用されている。例えば、アクリル系の粘着剤層を有する粘着テープは、耐候性、耐久性、耐熱性、透明性等の各種物性に優れているため、車両、住宅、電子機器内部等において部材を固定するために広く利用されている(例えば、特許文献1)。
粘着テープの中でも、基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープは、例えば、車両のガラス周りの部材であるウェザーストリップ、ダムラバーなどの車両用外装部品の固定などに用いられることが知られている。このような場合、両面粘着テープには、一般には、粘着力、止水性などの各種物性が良好であることが求められている。両面粘着テープの基材として、ポリエチレン製などのオレフィン系発泡体を用いる技術が開示されており、止水性等が良好になることが開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-175984号公報
【文献】特開2011-122166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両面粘着テープにより被着体同士を固定する際には、被着体の表面が凹凸を有していたり、曲面状である場合などには、両面粘着テープの被着体形状への追随性が悪いと、隙間が生じてしまい止水性などが低下してしまう場合があった。
また、上記した車両用外装部品などの各種部品には、軟質ポリ塩化ビニル樹脂を原材料とするものが多く、これを両面粘着テープを用いて固定する場合には、両面粘着テープの粘着力の経時的な低下が生じ、被着体の脱落あるいは、被着体と両面粘着テープとの間に隙間が生じるなどして、止水性が低下する場合があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、被着体表面が凹凸を有している場合、及び被着体が軟質ポリ塩化ビニル樹脂を原材料とするものであったとしても、粘着力が高く維持され、止水性も良好な両面粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定厚みのアクリル系樹脂発泡粘着層を基材として、その両面に特定のアクリル系粘着剤層を有し、かつ、一定の物性を満足する両面粘着テープが前記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[17]に関する。
[1]発泡体基材と、前記基材両表面に設けられたアクリル系粘着剤層とを備える両面粘着テープであって、前記発泡体基材はアクリル系ポリマー(X2)を含有するアクリル系樹脂発泡粘着層であり、その厚みが30~950μmであり、前記アクリル系粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)を含むモノマー成分(M)の重合体であるアクリル系ポリマー(X)を含有し、総厚みが1200μm以下であり、引張伸びが100~600%であり、30%圧縮応力が5~200kPaである両面粘着テープ。
[2]引張強さが、0.5~10MPaである上記[1]に記載の両面粘着テープ。
[3]基材両表面のアクリル系粘着剤層の合計厚みが、10~170μmである上記[1]又は[2]に記載の両面粘着テープ。
[4]押圧接着力が、25~250Nである上記[1]~[3]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[5]前記発泡体基材が、中空樹脂微粒子を含有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[6]前記発泡体基材が、ハロゲンフリーの発泡体基材である上記[1]~[5]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[7]可塑剤を30質量%含有した軟質ポリ塩化ビニルシートに対する以下の式で表される粘着力低下率が、50%以下である上記[1]~[6]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
粘着力低下率=100×(初期180°ピール粘着力-3ヵ月後の180°ピール粘着力)/初期180°ピール粘着力
[8]可視光透過率が60%以下である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[9]前記発泡体基材が白色着色されている、上記[1]~[8]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[10]前記アクリル系粘着剤層が黒色着色されている、上記[1]~[9]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[11]前記アクリル系粘着剤層がアクリル系粘着剤組成物より形成されたものであり、該粘着剤組成物が、アクリル系ポリマー(X)、粘着付与樹脂(Y)、及び架橋剤(Z)を含有する、上記[1]~[10]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[12]前記アクリル系ポリマー(X)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)100質量部と、カルボキシル基含有モノマー(B)5~18質量部とを含むモノマー成分(M)の重合体である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[13]前記粘着付与樹脂(Y)がロジン系粘着付与樹脂である、上記[11]又は[12]に記載の両面粘着テープ。
[14]前記粘着付与樹脂(Y)が、分子量600以下の成分の含有量が13質量%以下である、上記[11]~[13]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[15]前記架橋剤(Z)が金属キレート系架橋剤及びイソシアネート系架橋剤からなる群から選択される少なくとも一つである、上記[11]~[14]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[16]車両用部材を被着体として使用される、上記[1]~[15]のいずれかに記載の両面粘着テープ。
[17]前記車両用部材が凹凸形状又は曲面部を有する、上記[16]に記載の両面粘着テープ。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被着体への形状追随性が良好であり、止水性に優れ、また、被着体が軟質ポリ塩化ビニル樹脂を原材料とするものであったとしても、粘着力が長期間維持される両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】押圧接着力の測定に用いる試験片の概略図である。
図2】押圧接着力の測定方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[両面粘着テープ]
本発明の両面粘着テープは、アクリル系樹脂発泡粘着層である発泡体基材の両表面にアクリル系粘着剤層が設けられており、以下に記載する各物性を有している。
<厚み>
本発明の両面粘着テープの総厚みは1200μm以下である。総厚みが1200μmを超えると加工性が悪くなったり、剪断方向に対する力に対して粘着剤の剛性の不足による強度低下が起こり、携帯電子機器を構成する部材の接着固定、車両用部材の接着固定等の用途に適さなくなる。
両面粘着テープの総厚みは、好ましくは150~1100μmであり、より好ましくは200~1000μmであり、更に好ましくは300~1000μmである。このような範囲であると、被着体への形状追随性が良好であり、被着体と両面粘着テープとの間に隙間が発生しにくく、止水性が良好となりやすい。
【0009】
(発泡体基材の厚み)
本発明の発泡体基材の厚みは30~950μmである。このような範囲とすることで、止水性が良好となり、軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する経時的な粘着力低下が生じにくくなる。
発泡体基材の厚みが30μm未満であると、両面粘着テープの被着体に対する形状追随性が低下し、止水性が悪くなる傾向があり、また、軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する経時的な粘着力低下が生じやすくなる。一方、950μmより大きくなると、両面粘着テープの加工性が悪くなったり、あるいは携帯電子機器を構成する部材の接着固定、車両用部材の接着固定等の用途に適さなくなる。発泡体基材の厚みは好ましくは、好ましくは50~950μmであり、より好ましくは100~900μmである。
発泡体基材が、後述する中空樹脂微粒子を含有する場合には、両面粘着テープの軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する経時的な粘着力低下が特に生じにくく、発泡体基材の厚みを比較的厚くすることが好ましい。この場合、発泡体基材の厚みは好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは250μm以上であり、そして950μm以下である。
【0010】
(アクリル系粘着剤層の厚み)
本発明の各アクリル系粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましくは20~100μmであり、より好ましくは30~80μmである。このような範囲とすることにより、被着体に対する粘着性が向上する。また、アクリル系粘着剤層の厚みを上記の範囲とすると共に、発泡体基材の厚み範囲を上記のとおり調整することにより、止水性が高まり、軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する経時的な粘着力低下が生じにくくなる傾向にある。
発泡体基材の両表面のアクリル系粘着剤層の合計厚みは、発泡体基材の厚み以下に調整することが好ましく、発泡体基材の厚みの1/2以下であることが好ましく、発泡体基材の厚みの1/3以下であることが好ましい。このように、発泡体基材を比較的厚く、アクリル系粘着剤層を比較的薄く調整することにより、両面粘着テープの被着体に対する粘着性が良好となり、止水性が向上し、また軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する粘着力が低下しにくくなる傾向がある。
発泡体基材の両面のアクリル系粘着剤層の合計厚みは、10~170μmであることが好ましい。10μm以上とすることにより、両面粘着テープの被着体に対する粘着力が良好になり、170μm以下とすることにより、粘着剤層にせん断応力が加わった場合でも接合部位にずれが生じ難くなり、また剥離時に糊残りが少なくなる。発泡体基材の両側のアクリル系粘着剤層の合計厚みは、より好ましくは20~150μmであり、更に好ましくは50~130μmである。
【0011】
<引張伸び>
本発明の両面粘着テープの引張伸びは、100~600%である。引張伸びが100%未満であると、粘着剤自身の変形による応力分散効果が十分に発現されず、被着体界面で粘着剤の剥離が起こりやすくなり、防水性能・粘着力性能の低下が見られ、引張伸びが600%を超えるとテープを使用形状にカットする際に支障をきたしやすい。両面粘着テープの引張伸びは、好ましくは200~575%であり、より好ましくは240~550%である。
引張伸びは実施例に記載の方法で測定することができる。
【0012】
<30%圧縮応力>
本発明の両面粘着テープの30%圧縮応力は、5~200kPaである。30%圧縮応力がこのような範囲から外れると、両面粘着テープの被着体への形状追随性が悪く、止水性も低下する。なお、30%圧縮応力とは、はじめの厚さの30%だけ圧縮したときの荷重を意味する。
両面粘着テープの30%圧縮応力は、50~200kPaであることが好ましく、100~200kPaであることがより好ましい。
30%圧縮応力は実施例に記載の方法で測定することができる。
【0013】
<引張強さ>
本発明の両面粘着テープの引張強さは、特に限定されないが、加工性、止水性を向上させる観点から、好ましくは0.5~10MPaであり、より好ましくは0.7~7MPaである。
引張強さは実施例に記載の方法で測定することができる。
【0014】
<押圧粘着力>
本発明の両面粘着テープの押圧接着力は、好ましくは25~250Nであり、より好ましくは30~240Nであり、更に好ましくは50~230Nである。押圧粘着力がこのような範囲であると、両面粘着テープの内部応力による被着体からの剥がれを防止しやすくなるため、止水性が良好になる。
押圧接着力は実施例に記載の方法で測定することができる。
【0015】
<粘着力低下率>
本発明の両面粘着テープは、可塑剤を30質量%含有した軟質ポリ塩化ビニルシートを被着体としたときの粘着力低下率{100×(初期180°ピール粘着力-3ヵ月後の180°ピール粘着力)/初期180°ピール粘着力}が、50%以下であることが好ましい。
このような両面粘着テープは、被着体が、軟質ポリ塩化ビニル樹脂を原材料とするものであったとしても、粘着力が長期間維持される。粘着力低下率は好ましくは、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。粘着力低下率は低ければ低いほうがよいが、実用的には、1%以上である。
なお上記した、初期180°ピール粘着力とは、両面粘着テープを軟質ポリ塩化ビニルシート(可塑剤としてジイソノニルフタレート(DINP)を30質量%含有)に貼り付けた後23℃で30分経過後に180°に剥離する際の剥離強度を意味する。また、3ヵ月後の180°ピール粘着力とは、両面粘着テープを軟質ポリ塩化ポリビニルシートに貼り付けた後23℃で3ヶ月経過後に180°に剥離する際の剥離強度を意味する。
粘着力低下率は実施例に記載の方法で測定することができる。
【0016】
<可視光透過率>
本発明の両面粘着テープは、可視光透過率が60%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、35%以下であることが更に好ましい。
可視光透過率が60%以下であることにより、すりガラス効果が発揮され、被着体の表面を光学的に識別することが難しくなり、隠匿性能が向上する。
【0017】
[アクリル系粘着剤層、アクリル系粘着剤組成物]
本発明の両面粘着テープは、アクリル系粘着剤層が、発泡体基材の両表面に設けられていることにより、被着体同士を一体化し、固定化することができる。アクリル系粘着剤層は、好ましくはアクリル系粘着剤組成物より形成されたものである。アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)を含有し、好ましくは、アクリル系ポリマー(X)、粘着付与樹脂(Y)及び架橋剤(Z)を含有する組成物である。
以下、本発明のアクリル系粘着剤組成物を構成する各成分について説明する。
【0018】
<アクリル系ポリマー(X)>
アクリル系粘着剤組成物に含まれるアクリル系ポリマー(X)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)を含むモノマー成分(M)の重合体である。
本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
モノマー成分(M)には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)が60質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%以上含まれていることがより好ましく、80質量%以上含まれていることが更に好ましい。
【0019】
((メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A))
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)は、一種類の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーからなるものでもよいし、複数のアルキル基の炭素数の異なる(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーからなるものでもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)は、(メタ)アクリル酸アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a)を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a)を60質量%以上含むことが好ましい。アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a)の含有量が60質量%以上であると、アクリル系粘着剤組成物により形成されるアクリル系粘着剤層の軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体に対する粘着力が低下しにくくなる傾向にある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)におけるアルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a)の含有量は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する粘着力の低下を抑制する観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
アルキル基の炭素数が4以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。また、上記した中では、n-ブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレートを単独で使用することがより好ましい。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)は、アルキル基の炭素数が5以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b)を含んでもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b)としては、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)におけるアルキル基の炭素数が5以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(b)の含有量は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは20質%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
【0021】
(カルボキシル基含有モノマー(B))
アクリル系粘着剤組成物に含まれるアクリル系ポリマー(X)の原料であるモノマー成分(M)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)及びカルボキシル基含有モノマー(B)を含むことが好ましい。カルボキシル基含有モノマー(B)を含むことにより、アクリル系粘着剤組成物により形成されるアクリル系粘着剤層の軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体に対する粘着力が低下しにくくなる傾向にある。
また、モノマー成分(M)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)100質量部に対して、カルボキシル基含有モノマー(B)を5~18質量部含有することがより好ましい。カルボキシル基含有モノマー(B)が5質量部以上であると、後述する架橋剤との反応性が高くなるとともに、アクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層の軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体に対する粘着力が低下しにくくなる。
この理由は、カルボキシル基含有モノマー(B)が多いと、アクリル系ポリマー(X)の極性が高まり、比較的極性の低い化合物である可塑剤の軟質ポリ塩化ビニル樹脂から粘着剤層への移行が生じにくいからと考えられる。一方、カルボキシル基含有モノマー(B)が18質量部以下の場合には、アクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層自体が架橋の進行に伴い硬くなることによる粘着力低下を抑制することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)100質量部に対して、カルボキシル基含有モノマー(B)は、5~17質量部であることが好ましく、6~15質量部であることがより好ましく、10~15質量部であることがさらに好ましい。
カルボキシル基含有モノマー(B)は、分子内にカルボキシル基を含有し重合可能なモノマーであり、好ましくはカルボキシル基を含有したビニル系モノマーである。カルボキシル基含有モノマー(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。カルボキシル基含有モノマー(B)は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
モノマー成分(M)には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(A)及びカルボキシル基含有モノマー(B)以外のその他のモノマーを含有してもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、カルボキシル基以外の極性基を含有するモノマー、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、及びp-メチルスチレン等のスチレン系モノマーなどが挙げられる。
【0023】
(アクリル系ポリマー(X)の重量平均分子量)
本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いるアクリル系ポリマー(X)の重量平均分子量は、特に限定されないが、55万~100万であることが好ましい。重量平均分子量が55万以上であると、軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体に対する粘着力の経時的な低下が生じにくくなる傾向にある。一方、重量平均分子量が100万以下であると、粘着剤層が硬くなりすぎないため、複雑な形状の被着体に対する粘着力が低下しにくくなる。アクリル系ポリマー(X)の重量平均分子量は、好ましくは60万~80万であり、より好ましくは65~75万である。
【0024】
<アクリル系ポリマー(X)の製造方法>
アクリル系ポリマー(X)の製造方法に特に制限はないが、例えば、モノマー成分を重合開始剤の存在下にてラジカル重合させる方法が挙げられる。重合方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、及び塊状重合等が挙げられる。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。
【0025】
有機過酸化物系重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、o-クロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート又はジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
【0026】
アゾ系重合開始剤としては特に限定されず、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等が挙げられる。
上記した重合開始剤の中でも、アクリル系ポリマー(X)の臭気低減の観点から、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイドを使用することが好ましい。また、重合開始剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、特に制限されないが、モノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部であり、より好ましくは0.05~2質量部である。
【0027】
<粘着付与樹脂(Y)>
本発明のアクリル系粘着剤組成物は粘着付与樹脂(Y)を含有することが好ましい。粘着付与樹脂を含有することによりアクリル系粘着剤層の粘着力が向上する。特に、被着体がポリオレフィン系樹脂である場合において、より粘着力が向上する傾向にある。よって、本発明の両面粘着テープのアクリル系粘着剤層に粘着付与樹脂(Y)が含まれる場合は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂及びポリオレフィン系樹脂に対する粘着力が良好となる。
粘着付与樹脂(Y)の軟化点は140~160℃であることが好ましい。軟化点が上記範囲内である場合には、アクリル系粘着剤組成物により形成されるアクリル系粘着剤層の軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体に対する経時的な粘着力の低下が生じにくい。アクリル系粘着剤層の軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体への粘着力を高め、経時的な粘着力低下を抑制する観点から、粘着付与樹脂(Y)の軟化点は、140~150℃であることがより好ましい。軟化点はJIS K2207に準拠して測定することができる。
粘着付与樹脂(Y)の種類としては、例えば、石油樹脂系粘着付与樹脂、水添石油樹脂系粘着付与樹脂、ロジンジオール系粘着付与樹脂、ロジンエステル系粘着付与樹脂等のロジン系樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、及びこれらの変性樹脂等が挙げられる。これらの中では、軟質ポリ塩化ビニル樹脂などの被着体への粘着力を高め、経時的な粘着力を抑制する観点から、ロジン系粘着付与樹脂が好ましく、ロジンエステル系粘着付与樹脂がより好ましい。
ロジンエステル系粘着付与樹脂としては、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、水添ロジンエステル、ロジンフェノール系等が挙げられる。
【0028】
粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(Y)の配合量は、アクリル系ポリマー(X)100質量部に対して3~9質量部であることが好ましい。粘着付与樹脂の配合量が3質量部以上であると、粘着力が高まる。粘着付与樹脂の配合量が9質量部以下であると、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から粘着剤層への可塑剤の移行が生じにくくなり、経時的な粘着力の低下を抑制しやすい。アクリル系粘着剤組成物中の粘着付与樹脂(Y)の配合量は、アクリル系ポリマー(X)100質量部に対して好ましくは3~8質量部であり、より好ましくは4~7質量部である。
【0029】
粘着付与樹脂(Y)は、分子量600以下の成分が13質量%以下であることが好ましい。このような粘着付与樹脂を用いれば、粘着性を維持しつつ、粘着付与樹脂より発生する揮発成分を低く抑えることができる。さらに、低分子量成分が少ないことにより、粘着剤層の粘度を相対的に高くでき、粘着剤層を軟質ポリ塩化ビニル樹脂に積層した状態において、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から粘着剤層への可塑剤の移動が阻害されやすくなり、経時的な粘着力の低下が生じにくくなる。なお、上記粘着付与樹脂の分子量及びその含有量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値及び面積比により算出できる。
粘着付与樹脂から分子量600以下の成分を除去する方法としては、例えば、粘着付与樹脂を軟化点以上に加熱溶融する方法、水蒸気を吹き込む方法等が挙げられる。
【0030】
<架橋剤(Z)>
アクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を用いることで、形成される粘着剤層の凝集力が高まり、粘着テープとしての物性が向上する。架橋剤としては特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられるが、これらの中でも、金属キレート系架橋剤及びイソシアネート系架橋剤からなる群から選択される少なくとも一つが好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ナフチレンー1,5-ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられ、市販品としては、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートLなどが挙げられる。金属キレート系架橋剤としては、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等であるキレート化合物があげられるが、中心金属がアルミニウムであるアルミニウムキレートが好ましい。市販品としては、川研ファインケミカル株式会社製のアルミキレートA、アルミキレートMなどが挙げられる。
粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は特に制限されないが、アクリル系ポリマー(X)100質量部に対して、好ましくは0.005~5質量部であり、より好ましくは0.01~1質量部であり、さらに好ましくは0.02~0.1質量部である。
【0031】
<着色剤>
アクリル系粘着剤層は、着色剤を含有させてもよいし、含有させなくてもよいが、被着体の着色の有無、程度に応じて、必要に応じて着色剤を含有させればよい。
アクリル系粘着剤層は、黒色着色されていることが好ましい。例えば、ゴム材料等から形成されている被着体は、補強のためカーボンブラックが配合されていることが多く、そのため黒色を呈することが多い。したがって、アクリル系粘着剤層が黒色着色されていれば、被着体が黒色の部材である場合において、両者の接合部位を目立たなくすることができる。
黒色の着色剤としては、例えば、無機黒色顔料、有機黒色顔料が挙げられる。汎用性、コストの観点から、無機黒色顔料であるカーボンブラックが好ましい。アクリル系粘着剤組成物中の着色剤の配合量は特に限定されないが、アクリル系ポリマー(X)100質量部に対して1~5質量部を配合すればよい。
【0032】
<その他の成分>
本発明のアクリル系粘着剤組成物には、アクリル系ポリマー(X)、粘着付与樹脂(Y)、架橋剤(Z)、及び着色剤以外にも、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等の溶剤を含んでもよく、溶剤の中でも、揮発成分を低く抑える観点から酢酸エチルが好ましい。本発明のアクリル系粘着剤組成物には、充填剤、染料、酸化防止剤等の添加剤を含有させてもよい。
【0033】
<ゲル分率>
本発明のアクリル系粘着剤組成物を、後述するように、発泡体基材上に塗布、乾燥することでアクリル系粘着剤層を形成することができる。本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成されるアクリル系粘着剤層のゲル分率は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂から粘着剤層への可塑剤の移動を阻害し、経時的な粘着力の低下が抑制する観点から、30~50質量%が好ましく、35~45質量%がより好ましい。なお、ゲル分率は実施例に記載の方法で測定することができる。
【0034】
[発泡体基材]
本発明の発泡体基材は、アクリル系ポリマー(X2)を含有するアクリル系樹脂発泡粘着層であり、アクリル系ポリマー(X2)中に気泡が分散している。アクリル系樹脂発泡粘着層中のアクリルポリマー(X2)の量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。両面粘着テープの基材として、アクリル系樹脂発泡粘着層である発泡体基材を用いることで、被着体との密着性が高まり止水性が良好となる。また、発泡体基材は、アクリル系ポリマー(X2)を含有することにより、耐熱性が良好になる。
発泡体基材の発泡倍率は、1.25cm3/g以上であることが好ましく、1.3cm3/g以上であることがより好ましく、そして、4cm3/g以下が好ましく、3cm3/g以下がより好ましい。このような発泡倍率の発泡体基材を用いると、両面粘着テープの止水性が良好となる。なお、発泡倍率は、見かけ密度を測定してその逆数を求めたものである。また、見かけ密度は、JIS K7222に準拠して測定することができる。
【0035】
発泡体基材は、アクリル系ポリマー(X2)、及び発泡剤を少なくとも含有する発泡性組成物を発泡させることにより形成される。なお、発泡体基材は、その両面にアクリル系粘着剤層を有するが、発泡体基材自体もアクリル系粘着剤層と同様に粘着性が良好であることが好ましい。発泡体基材及びアクリル系粘着剤層が共に粘着性を有することで、両面粘着テープ全体が被着体への粘着に寄与するため、仮に発泡体基材の両表面のアクリル系粘着剤層が比較的薄くても、被着体に対する粘着性が良好となりやすい。
また、発泡体基材はアクリル系粘着剤層と同様に軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する粘着性が経時的に低下しないことが好ましい。これにより、両面粘着テープの軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する粘着性の低下を抑制する効果がより高まる。
そのため、後述するように、発泡体基材を形成するための発泡性組成物は、発泡剤を含有することを除いて、上記アクリル系粘着剤組成物と同種の成分で構成される組成とすることが好ましい。また、この場合、両面粘着テープを製造するときの加工性も良好となる。
【0036】
発泡性組成物に含有される発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド等の熱分解性発泡剤及び熱膨張性マイクロカプセル等を使用できるが、熱膨張性マイクロカプセルを使用することが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルは、重合体により形成された外殻に揮発性膨張剤が内包されたものであり、加熱により外殻が可塑化するとともに揮発性膨張剤がガス化し、膨張して、中空樹脂微粒子を形成させることができる。中空樹脂微粒子は、外殻の内部に気泡を有するものである。すなわち、本発明の発泡体基材は、熱膨張性マイクロカプセルが膨張した中空樹脂微粒子を含有することが好ましい。
中空樹脂微粒子を含有する発泡体基材は、熱膨張性マイクロカプセル以外の他の種類の発泡剤を使用して発泡させた発泡体基材と比較して、剛性が高いため、水圧等の応力に対して初期の変形を抑えることが可能となる。初期の変形が生じ易いと、変形が生じた部分にさらなる応力がかかり、結果的に、両面粘着テープの破断が生じやすい。中空樹脂微粒子を含有した発泡体基材の剛性が高い理由は、熱膨張後の外殻が気泡の補強材として機能するためと考えられる。
そのため、中空樹脂微粒子を含有した発泡体基材を有する両面粘着テープは、応力に対する初期の変形を防止しやすく、止水性が良好となる。また可塑剤による発泡体基材の凝集力低下を抑えることができ、両面粘着テープの軟質ポリ塩化ビニル樹脂に対する経時的な粘着力低下を抑制することができる。
【0037】
熱膨張性マイクロカプセルの外殻は、特に限定されないが、ニトリル系モノマー由来の構成単位を含むニトリル系重合体により形成されていることが好ましい。上記ニトリル系モノマーは、ニトリル基を含有するモノマーであって、具体的には、(メタ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、これらの中では(メタ)アクリロニトリルが好ましい。外殻がニトリル系モノマー由来の構成単位を有することで、ガスバリア性を良好にすることが可能になる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロとは、アクリロ及びメタクリロの一方又は両方を表す用語であり、他の類義用語も同様である。
【0038】
ニトリル系重合体は、通常、ニトリル系モノマー由来の構成単位以外にも、その他のモノマー成分由来の構成単位を含む共重合体である。その他のモノマー成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン、ハロゲン化スチレン類、α-メチルスチレン等のスチレン類、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸等の重合性モノマーが挙げられる。
また、その他のモノマー成分としては、ラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーを含んでいてもよい。該その他のモノマー成分としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、重量平均分子量が200~600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
上記外殻は、ニトリル系重合体以外にも、重合開始剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤、ニトリル系重合体以外のその他の重合体等を含有していてもよい。
ニトリル系モノマーは、外殻が含有する重合体を構成するモノマー全量に対して、40~95質量%の割合であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましい。ニトリル系モノマーの量を以上の数値範囲内とすることで、ガスバリア性が良好な外殻が形成されやすくなり、
なお、上記の「外殻が含有する重合体を構成するモノマー全量」とは、外殻が含有する重合体が、ニトリル系重合体のみからなる場合には、ニトリル系重合体を構成するモノマー全量を意味するが、ニトリル系重合体以外のその他の重合体を含有する場合には、ニトリル系重合体及びその他の重合体を構成するモノマー全量を意味する。
【0040】
揮発性膨張剤は、外殻を構成する重合体の軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、炭素数3~8の炭化水素、石油エーテル、メタンのハロゲン化物、クロロフロオロカーボン、テトラアルキルシラン等から選択される低沸点液体、アゾビスイソブチロニトリル等の加熱によりガスを発生する化合物等が挙げられる。上記炭素数3~8の炭化水素の例としては、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。上記メタンのハロゲン化物の例としては、塩化メチル、メチレンクロリド等が挙げられる。上記クロロフルオロカーボンの例としては、CCl3F、CCl22等が挙げられる。上記テトラアルキルシランの例としては、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン等が挙げられる。これらの中では、炭素数3~8の炭化水素が好ましく、イソペンタン、ノルマルペンタン、オクタン等の炭素数3~8の飽和炭化水素がより好ましい。
【0041】
熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは1~20μmであり、より好ましくは1~10μmである。また、熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度は、70~260℃が好ましく、80~130℃であることが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの最大発泡温度は、100~290℃が好ましく、100~150℃がより好ましい。
【0042】
熱膨張性マイクロカプセルの配合量は、アクリル系ポリマー(X2)100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~8質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることが更に好ましい。このような範囲とすると、両面粘着テープの止水性が良好になる傾向がある。
【0043】
なお、熱膨張性マイクロカプセルは、必要に応じて、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等の他の無機中空バルーンを更に含んでいてもよい。
【0044】
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのうち1種類もしくは2種類以上の共重合物から構成される熱可塑性樹脂を外殻とする熱膨張性マイクロカプセルが市販されており、例えば、積水化学社製のアドバンセル(登録商標)、日本フェライト社製のエクスパンセル(登録商標)等が挙げられる。
【0045】
アクリル系ポリマー(X2)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含有するモノマー成分の重合体であれば、特に限定されないが、前記したアクリル系粘着剤層に含有されるアクリル系ポリマー(X)と同種のものが好ましい。なおアクリル系ポリマー(X2)としては、前述したアクリル系ポリマー(X)で説明したものが同様に使用でき、好ましい分子量、モノマー成分の種類、量なども同様である。
発泡性組成物にはアクリル系ポリマー(X2)以外のその他のポリマーを含んでもよいが、その他のポリマーはアクリル系ポリマー(X2)100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
【0046】
発泡性組成物には、前記したアクリル系粘着剤組成物と同様に、粘着付与樹脂(Y2)を含むことが好ましい。発泡性組成物に含有される粘着付与樹脂(Y2)は、前記した粘着付与樹脂(Y)と同様ものが使用でき、好ましい粘着付与樹脂の軟化点、種類、配合量なども同様である。
【0047】
発泡性組成物には、前記したアクリル系粘着剤組成物と同様に、架橋剤(Z2)を含むことが好ましい。発泡性組成物に含有される架橋剤(Z2)は、前記した架橋剤(Z)と同様ものが使用でき、好ましい架橋剤の種類、配合量なども同様である。
【0048】
発泡体基材は、両面粘着テープの意匠性及び光学特性等を発現させるために着色されていてもよい。着色剤は、単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。両面粘着テープを、例えば光反射用途などに用いる場合には、発泡体基材が白色着色されていることが好ましい。
また、本発明の発泡体基材は、環境負荷低減の観点から、ハロゲンフリーであることが好ましい。ここでハロゲンフリーとは、発泡体基材にハロゲン化合物を意図的に配合しないことを意味し、好ましくは発泡体基材がハロゲン化合物を含まないことを意味する。
発泡性組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、充填材などの添加剤が配合されていてもよい。
【0049】
発泡体基材は、発泡性組成物を、射出成形、押出成形、プレス成形、塗工によるシート化などにより成形して、発泡させることにより製造できる。なお発泡は成形と同時でもよいし、成形前に発泡させておいてもよい。
【0050】
両面粘着テープの製造方法は特に限定されないが、例えば、発泡体基材等にアクリル系粘着剤組成物を塗布し、乾燥することで発泡体基材上にアクリル系粘着剤層を形成させ、製造することができる。乾燥方法としては、例えば、IRヒータやオーブンなどの乾燥炉に入れて乾燥させる方法が挙げられる。
【0051】
本発明の両面粘着テープの用途については、特に制限されないが、自動車や航空機、船舶等の車両用部材、建築部材、電子部品、カーペットの裏材等の生活部材、家庭用、業務用の電気製品等のあらゆる用途に用いることができる。中でも、車両用部材である車両用ウインドウガラス、又はエンブレム、ダムラバー、ウェザーストリップ等の車両用外装部材などに対して使用することがより好ましい。
さらに、本発明の両面粘着テープは、上記車両用部材の中でも、凹凸形状又は曲面部を有するものに使用することが好ましい。
【0052】
また、本発明の両面粘着テープは、軟質ポリ塩化ビニル樹脂を被着体として使用することも好ましい。軟質ポリ塩化ビニル樹脂は、可塑剤を含有したポリ塩化ビニルのことを意味し、可塑剤の含有量は、通常、軟質ポリ塩化ビニル樹脂全体の5質量%以上であり、好ましくは10~80質量%、より好ましくは10~50質量%である。
軟質ポリ塩化ビニル中に含まれる可塑剤の種類は特に限定されず、通常の軟質ポリ塩化ビニル樹脂中に含まれるものが使用できる。このような可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジn-オクチルフタレート(N-DOP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、ブチルオレエート(BO)等の脂肪酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
【実施例
【0053】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
<アクリル系ポリマーの製造>
反応容器の内に、n-ブチルアクリレート100質量部及びアクリル酸11質量部を導入しモノマー成分を得た。該モノマー成分を酢酸エチルに溶解して、還流点において、重合開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.1質量部を添加し、70℃で5時間還流させて、重量平均分子量が72万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。
<アクリル系粘着剤組成物の製造>
得られたアクリル系ポリマー溶液に、アクリル系ポリマー溶液の不揮発分であるアクリル系ポリマー100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂Pを6.3質量部、及び架橋剤として金属キレート系架橋剤Q(アルミニウムキレート)を0.054質量部となるように加えた。その後、均一に混合してアクリル系粘着剤組成物を得た。
<発泡体基材の製造>
上記アクリル系ポリマー100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂Pを6.3質量部、架橋剤として金属キレート系架橋剤Q(アルミニウムキレート)を0.054質量部、熱膨張性マイクロカプセルRを2.1質量部配合し、混合した。該混合物を型に流し込み、120℃で0.03時間放置して、発泡倍率が1.5cm/g、厚さが100μmの発泡体基材を得た。
なお上記アクリル系粘着剤組成物、及び発泡体基材の製造に用いた成分の詳細は以下のとおりである。
重合ロジンエステル系粘着付与樹脂P・・・軟化点「140℃」、分子量600以下の成分の含有量が13質量%
金属キレート系架橋剤Q・・・アルミニウムキレート、綜研化学株式会社製「M-A5DT」
熱膨張性マイクロカプセルR・・・日本フェライト社製「エクスパンセルDU120」
<両面粘着テープの製造>
上記アクリル系粘着剤組成物を発泡体基材の両面に塗布して、120℃で5分乾燥させ、発泡体基材の両側に厚さ50μmのアクリル系粘着剤層がそれぞれ積層された両面粘着テープを得た。
各評価結果を表1に示す。
【0055】
(実施例2~3、比較例1、2)
発泡体基材及びアクリル系粘着剤層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
各評価結果を表1に示す。
【0056】
[測定法、評価方法]
<(メタ)アクリル系ポリマーの分子量>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、架橋前の(メタ)アクリル系ポリマーを測定試料とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算値として算出した。GPC測定は、東ソー株式会社製GPC装置、HLC-8220GPCにより測定した。
<粘着付与樹脂の軟化点>
JIS K2207に準拠して測定した。
【0057】
<ゲル分率>
両面粘着テープの粘着剤層からW1(g)を採取し、採取した粘着剤成分を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した際の不溶解分を200メッシュの金網で濾過した。金網上の残渣を110℃にて加熱乾燥し、得られた乾燥残渣の重量W2(g)を測定し、下記式によりゲル分率(架橋度)を算出した。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
【0058】
<フタル酸エステルを含有する被着体(軟質ポリ塩化ビニルシート)に対する粘着力低下率(%)>
粘着力低下率は、以下の式にて算出した。
粘着力低下率(%)=100×(初期粘着力-経時粘着力)/初期粘着力
なお、後述するとおり、初期粘着力は初期180°ピール粘着力を意味し、経時粘着力は、3ヶ月後の180°ピール粘着力を意味する。
(1)初期粘着力(初期180°ピール粘着力)
各実施例、比較例の両面粘着テープの一方の面に対して、厚み23μmのPETフィルムを空気が入らないように貼付けた。次いで、該PETフィルムに貼り付けられた両面粘着テープのPETフィルムに貼り付けていない粘着剤層側を、室温(23℃)、相対湿度50%の環境下で、厚さ300μmの軟質ポリ塩化ビニルシート(可塑剤としてDINPを30質量%含有)の表面に、2kgの圧着ゴムローラーを用いて、30mm/分の速度で貼り付けた。
この環境下で30分放置した後、JIS Z0237の方法に準じて、25mm幅における180°剥離強度を3mm/分の速度で測定し、これを初期粘着力(N/25mm)とした。
(2)経時粘着力(3ヶ月後の180°ピール粘着力)
各実施例、比較例の両面粘着テープの一方の面に対して、厚み23μmのPETフィルムを空気が入らないように貼付けた。次いで、該PETフィルムに貼り付けられた両面粘着テープのPETフィルムに貼り付けていない粘着剤層側を、室温(23℃)、相対湿度50%の環境下で、厚さ300μmの軟質ポリ塩化ビニルシート(可塑剤としてDINPを30質量%含有)の表面に、2kgの圧着ゴムローラーを用いて、30mm/分の速度で貼り付けた。その後、室温(23℃)で3ヶ月放置した後、JIS Z0237の方法に準じて、25mm幅における180°剥離強度を3mm/分の速度で測定し、これを経時粘着力(N/25mm)とした。
【0059】
<引張伸び>
両面粘着テープの伸びは、JIS Z0237の方法に準じて、25mm幅における引張伸びをエー・アンド・ディ社製テンシロン万能材料試験機「RTF-1350」を用いて、23℃において測定した。
【0060】
<引張強さ>
両面粘着テープの引張強さは、JIS Z0237の方法に準じて、25mm幅における引張強さをエー・アンド・ディ社製テンシロン万能材料試験機「RTF-1350」を用いて、23℃において測定した。
【0061】
<30%圧縮応力>
両面粘着テープの30%圧縮応力は、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能材料試験機「RTF-1350」を用いて測定した。
【0062】
<押圧接着力>
両面粘着テープの押圧接着力の測定方法を図1、2により説明する。両面粘着テープを、図1に示すように幅1mm、横40mm、縦60mmの額縁状に打ち抜き額縁状の試験片11を作製した。
次いで中央部に直径15mmの貫通孔をあけたポリカーボネート板13(横70mm、縦80mm、厚み2mm)に対して、試験片11を貫通孔が中央部に位置するように貼り付けた。そして、試験片11のポリカーボネート板13が存在する表面と反対の表面側にアクリル板12(横40mm、縦60mm、厚み1mm)を貼り付け、2kgのローラーで一往復させることで圧着させて、評価用サンプルを作製した。該評価用サンプルをエー・アンド・ディ社製テンシロン万能材料試験機「RTF-1350」にセットして、丸棒14でアクリル板12を10mm/minの条件で押圧し、アクリル板12とポリカーボネート板13が分離するまでの最大応力を押圧接着力として測定した。
【0063】
<止水性>
150mm×150mm×5mmのアクリル板を2枚用意した。一方のアクリル板には、直径7mmの孔を設けた。
実施例及び比較例で得られた両面粘着テープを、外径60mm、内径50mmのドーナツ型に切り出し、サンプル片とした。このドーナツ型のサンプル片を用いて2枚のアクリル板を貼り合せた。その後、孔にホースを取り付け、発泡体基材の圧縮率が20%になるように圧縮した状態で、ドーナツ内径にあたる部分に水を10kPaの圧になるように満たした。そして、10kPaの圧をかけたままで、JIS C0920 IPX7に準拠し、漏水を評価した。評価基準を以下のとおりとした。
A:0.5時間漏水しなかった。
B:0.5時間未満で漏水した
【0064】
<粗面への形状追随性>
平滑な表面を有するスチール板を垂直に立て、両面粘着テープを3×10cmの長方形に切り取った試験片を上記スチール板に貼り付けた。次いで、表面に深さが約20~30μmの凹凸を有し、試験片と同じ大きさのアクリル樹脂板を上記試験片の表面から重ね合わせて手で押し当てた後、室温にて15分間放置した。その後、上記アクリル樹脂板に100gの重りを吊り下げて、アクリル樹脂板の剥離状態を次の基準で観察した。
A:スチール板、アクリル樹脂板ともに全く剥がれなかった。
B:アクリル樹脂板がすぐに剥がれた。
【0065】
<可視光透過率>
分光光度計(コニカミノルタ社製、CM-3700d)を使用して、360~740nmの可視光透過率を測定した。
【0066】
【0067】
実施例1~3の本発明の両面粘着テープは、粗面への形状追随性が良好であり、被着体が軟質ポリ塩化ビニルを原材料とする場合でも、粘着力が低下し難いことが分かった。また、止水性も良好であることが分かった。
一方、比較例1の両面粘着テープは、粗面への形状追随性が悪く、また比較例1及び2の両面粘着テープは、軟質ポリ塩化ビニルを被着体としたときの粘着力が低下しやすく、止水性も良好ではなかった。
【符号の説明】
【0068】
11 額縁状の試験片
12 アクリル板
13 ポリカーボネート板
14 丸棒
図1
図2