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特許7157049ハロゲン化マグネシウム担持チタン(前駆)触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ハロゲン化マグネシウム担持チタン(前駆)触媒
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/658 20060101AFI20221012BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C08F4/658
C08F10/00 510
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019515885
(86)(22)【出願日】2017-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017052602
(87)【国際公開番号】W WO2018063899
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-09-16
(31)【優先権主張番号】62/401,353
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】リンフェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・スプリングス
(72)【発明者】
【氏名】メフメット・デミローズ
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/121842(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0046745(US,A1)
【文献】特開平03-203903(JP,A)
【文献】特開昭61-287909(JP,A)
【文献】特表平10-504055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60- 4/70
6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に(A)ヒドロカルビルアルミノキサンと(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液との反応の生成物からなる増強された触媒であって、
前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で(E)四塩化チタンと接触させて、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を得ることによって調製されており、
前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されており
前記反応が、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を(G)有機ボレートと接触させることをさらに含む、増強された触媒。
【請求項2】
(i)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、Alを含まず、
(ii)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、>0~<0.05のAl/Mgのモル比を特徴とし、
(iii)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記ハロゲン化マグネシウムが、塩化マグネシウムであり、
(iv)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記ハロゲン化マグネシウムが、臭化マグネシウムであり、
(v)(i)および(iii)の両方であり、
(vi)(i)および(iv)の両方であり、
(vii)(ii)および(iii)の両方であり、または、
(viii)(ii)および(iv)の両方である、
請求項1に記載の増強された触媒。
【請求項3】
前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、BET表面積法によって測定した場合、1グラム当たり≧200平方メートル(m/g)のブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有する、請求項1または2に記載の増強された触媒。
【請求項4】
前記(A)ヒドロカルビルアルミノキサンが、アルキルアルミノキサン、ポリメチルアルミノキサン、アリールアルミノキサン、アラルキルアルミノキサン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、請求項1~のいずれか一項に記載の増強された触媒。
【請求項5】
増強された触媒を調製する方法であって、(A)ヒドロカルビルアルミノキサンと(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液とを反応させ、それによって、前記増強された触媒を得ることを含み、
前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を(E)四塩化チタンと接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記懸濁液を得ることによって調製され、
前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって、前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を調製する予備ステップをさらに含み
前記反応が、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を(G)有機ボレートと接触させることをさらに含む、方法。
【請求項6】
増強された触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、請求項1~のいずれか一項に記載の増強された触媒または請求項に記載の方法によって調製された増強された触媒と接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
【請求項7】
トリアルキルアルミニウム化合物である活性剤と(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒とを接触させることによって調製されたハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒であって、
前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で(E)四塩化チタンと接触させて、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を得ることによって調製されており、
前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されており、
前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、ハロゲン化アルミニウムを含ま
前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(J)コンディショニング化合物であるテトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム(Zr(TMHD) )をさらに含む、ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒。
【請求項8】
ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、請求項に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒と接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この分野には、オレフィン重合(前駆)触媒、それを調製する方法、オレフィンを重合する方法、およびそれによって作製されるポリオレフィンが含まれる。
【背景技術】
【0002】
オレフィンは、分子触媒またはチーグラーナッタ触媒によって触媒される反応を含む気相、スラリー相、または溶液相重合プロセスで重合され得る。分子触媒は、分子前駆触媒をメチルアルミノキサンなどのアルミノキサンまたはペルフルオロフェニル-ホウ素化合物などのホウ素系活性剤と接触させることによって調製される。
【0003】
チーグラーナッタ触媒は、塩化マグネシウム担体上のハロゲン化チタンを含むチーグラーナッタ前駆触媒を、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)、ジエチルアルミニウムエトキシド(DEAE)、またはエチルアルミニウムジクロリド(EADC)などのアルキルアルミニウム活性剤と接触させることによって調製される。
【0004】
W.M.Coleman,IIIに対するUS4,612,300は、比較的狭い分子量分布のオレフィンポリマーを生成するための新規の触媒に言及している。チタンおよびバナジウムの両方を含有するチーグラーナッタハロゲン化マグネシウム担持触媒を使用する。触媒は、十分量のヒドロカルビルアルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、またはそれらの組み合わせを含有しなければならない。
【0005】
T.E.Nowlinらに対するWO95/11264(A1)(NOWLIN)は、二峰性分子量分布のポリオレフィンブレンドに言及している。
【0006】
J.A.DeGrootらに対するWO96/12762(A1)(DEGROOT)は、耐熱性、低いヘキサン抽出物、および制御された弾性率を示すポリオレフィン組成物に言及している。
【0007】
J.V.Estradaらに対するUS6,723,677(B1)(ESTRADA)は、高分子量のポリオレフィン用の高活性チーグラーナッタ触媒に言及している。溶液重合のためにアルミニウム、チタン、およびマグネシウム系触媒の成分を混合するための滞留時間、濃度、および温度を制御することによって、高い活性を有する触媒を調製すること、つまりこれによって、高分子量のポリオレフィンを調製することが可能になる。一般に、触媒は活性を失い、かつより高い温度でより低い分子量のポリマーを生成する。[ESTRADA]の触媒は、触媒の調製中に使用される成分の濃度を増加させることによって、より高い触媒活性を有し、より高い反応温度で匹敵するポリマーを調製することを可能にする。
【0008】
G.Moriniらに対するUS7,592,286(B2)は、触媒成分の調製方法およびそれから得られる成分に言及している。触媒成分は、必須化合物として、Mg化合物、Ti化合物、ならびにアルコール、グリコール、エステル、ケトン、アミン、アミド、ニトリル、アルコキシシラン、および脂肪族エーテルから選択される電子供与体化合物(ED)を含み、該必須化合物のうちの少なくとも1つを新鮮な反応物として単独で、またはそれを主成分としてなる混合物として使用することを伴う反応の2つ以上のステップを含み、該方法は、該1つ以上の反応ステップの最後で新鮮な反応物として使用される必須化合物がED化合物であるという事実を特徴とする。
【0009】
L.Richter-Lukesovaらに対するUS2014/0088275(A1)(LUKESOVA)は、エチレンとC1-C12アルファ-オレフィンとの共重合のための混合触媒系の製造方法に言及している。
【0010】
S.Desjardinsらに対するUS9,255,160(B2)は、オレフィン重合用の多金属チーグラーナッタ前駆触媒およびそれから調製される触媒に言及している。3つ以上の遷移金属を含む触媒組成物は、オレフィン、特に線状低密度ポリエチレン(LLDPE)重合において使用されるとき、触媒効率を高め、多分散度を低減し、かつ分子量分布の均一性を高める。得られたポリマーは、改善された光学的および機械的特性を示し得るフィルムを形成するために使用され得る。
【発明の概要】
【0011】
気相またはスラリー相重合プロセス用の触媒を調製するために使用される標準的なチーグラーナッタ前駆触媒の場合、チーグラーナッタ前駆触媒粒子の形態が重要である。チーグラーナッタ前駆触媒粒子の調製は、第1の反応媒体中の非ハロゲン化物チタン化合物および/または非ハロゲン化物マグネシウム化合物をそのハロゲン化物形態に変換するための少なくとも1つのステップを伴い得る。通常、得られたチーグラーナッタ前駆触媒粒子を第1の反応媒体から単離または分離することは、その後に、それを使用して気相重合プロセスまたはスラリー相重合プロセス用の触媒を調製するのに必要である。溶液相重合プロセスで使用される標準的なチーグラーナッタ前駆触媒の場合、チーグラーナッタ前駆触媒粒子の形態は重要ではなく、前駆触媒は、第2の反応媒体中の塩化マグネシウム支持体上にハロゲン化チタン化合物を堆積させることによって作製され得る。通常、得られたチーグラーナッタ前駆触媒粒子を第二反応媒体から単離または分離することは、その後に、それを使用して溶液相重合プロセス用の触媒を調製するのに不要である。
【0012】
我々(本発明者ら)は、予想外にも、高分子量成分を有するポリオレフィンが、塩化マグネシウム支持体上にハロゲン化チタン化合物をワンポットプロセスで堆積させることによって作製された前駆触媒を使用して生成され得ることを見い出した。本発明の前駆触媒は、高い触媒活性を有し、広い分子量分布(MWD)を有するポリオレフィンポリマーを生成する重合を触媒するのに有用である新しいハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒を調製するために使用され得る。本発明の触媒の触媒活性は、本発明の触媒を(従来のチーグラーナッタ前駆触媒を活性化するのに必要とされるトリアルキルアルミニウムまたはハロゲン化アルミニウム活性剤の代わりに)ヒドロカルビルアルミノキサンである活性剤と接触させることによって調製される場合に高めることが可能となる。本発明の触媒を用いて少なくとも1つのオレフィンモノマーを重合することによって作製されたポリオレフィンは、標準的なハロゲン化物含有チーグラーナッタ触媒を用いて作製されたポリオレフィンと比較して、有益により低い活性ハロゲン化物残量を有する。(前駆)触媒を調製する方法、オレフィンを重合する方法、およびそれによって作製されるポリオレフィンもまた提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要および要約は参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の例は、以下の番号付きの態様を含む。
【0014】
態様1.本質的に(A)ヒドロカルビルアルミノキサンと(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液との反応の生成物からなる増強された触媒であって、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で(E)四塩化チタンと接触させて、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を得ることによって調製されている、増強された触媒。
【0015】
態様2.(i)(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、Alを含まず、(ii)(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、>0~<0.05のAl/Mgのモル比を特徴とし、(iii)(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒のハロゲン化マグネシウムが、塩化マグネシウムであり、(iv)(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒のハロゲン化マグネシウムが、臭化マグネシウムであり、(v)(i)および(iii)の両方であり、(vi)(i)および(iv)の両方であり、(vii)(ii)および(iii)の両方であり、(viii)(ii)および(iv)の両方である、態様1に記載の増強された触媒。
【0016】
態様3.(i)(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、BET表面積法によって測定した場合、1グラム当たり≧200平方メートル(m/g)のブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有するか、(ii)(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されているか、または(iii)(i)および(ii)の両方である、態様1または2に記載の増強された触媒。
【0017】
態様4.(A)ヒドロカルビルアルミノキサンが、アルキルアルミノキサン、ポリメチルアルミノキサン、アリールアルミノキサン、アラルキルアルミノキサン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、態様1~3のいずれか1つに記載の増強された触媒。
【0018】
態様5.反応が、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を(G)有機ボレートまたは(H)有機ホウ素と接触させることをさらに含む、態様1~4のいずれか1つに記載の増強された触媒。
【0019】
態様6.増強された触媒を調製する方法であって、(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液と接触させ、それによって、増強された触媒を得ることを含み、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を(E)四塩化チタンと接触させて、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液を得ることによって調製されている、方法。
【0020】
態様7.(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を調製する予備ステップをさらに含む、態様6に記載の方法。
【0021】
態様8.(F)ジアルキルマグネシウム化合物が、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチル-エチル-マグネシウム、ブチル-オクチル-マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、態様7に記載の方法。
【0022】
態様9.増強された触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、態様1~5のいずれか1つに記載の増強された触媒または態様6~8のいずれか1つに記載の方法によって調製された増強された触媒と有効条件下で接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
【0023】
態様10.重合性オレフィンが、エチレンと少なくとも1つの(C-C40)アルファ-オレフィンとの組み合わせを含み、ポリオレフィン生成物が、ポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーを含む、態様9に記載の方法。
【0024】
態様11.(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を(E)四塩化チタンと接触させることによって調製されたハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒であって、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されており、ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、ハロゲン化アルミニウムを含まない、ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒。
【0025】
態様12.(J)コンディショニング化合物をさらに含む、態様11に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒。
【0026】
態様13.態様11または12に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を、トリアルキルアルミニウム化合物である活性剤と接触させて得られる、ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒。
【0027】
態様14.ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、態様1~5のいずれか1つに記載の増強された触媒または態様13に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒と有効条件下で接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
【0028】
態様15.重合性オレフィンが、エチレンと少なくとも1つの(C-C40)アルファ-オレフィンとの組み合わせを含み、ポリオレフィン生成物が、ポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーを含む、態様16に記載の方法。
【0029】
態様16.態様9、10、14、または15に記載の重合方法によって作製された、ポリオレフィン生成物。
【0030】
ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒。ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒は、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を、トリアルキルアルミニウム化合物である活性剤と接触させた反応生成物である。トリアルキルアルミニウム化合物と(C)中の(B)の懸濁液との接触は、0℃~300℃、あるいは15℃~250℃の不活性雰囲気(例えば、分子状窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合物のガス)中またはその下で、かつ>0分~48時間、あるいは0.1分~24時間、あるいは5秒~120秒の時間の間で行われ得る。好適なトリアルキルアルミニウム化合物の例は、式((C-C20)アルキル)Alのものであり、式中、各(C-C20)アルキルは独立して、同一であるか、または異なる。いくつかの態様において、トリアルキルアルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、またはそれらのうちの任意の2つ以上の組み合わせである。
【0031】
増強された触媒増強された触媒は、(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液と接触させて、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を活性化し、増強された触媒を得ることによって作製され得る。増強された触媒の形成は、重合反応器中のその場で、または重合反応器に入る直前に行われ得る。(A)と(C)中の(B)の懸濁液との接触は、0℃~300℃、あるいは15℃~250℃の不活性雰囲気(例えば、分子状窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合物のガス)中またはその下で、かつ>0秒~48時間、あるいは0.1分~24時間、あるいは5秒~120秒の時間の間で行われ得る。増強された触媒の触媒活性は、(B)をトリアルキルアルミニウム化合物と接触させることによって調製されたハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒の触媒活性よりも大きい。いくつかの態様において、増強された触媒の触媒活性は、(B)および(A)を(G)有機ボレートまたは(H)有機ホウ素にも接触させることによってさらに増強され得る。増強された触媒は、以下の元素:Al、C、H、Cl、Mg、O、およびTiから本質的になるか、またはそれらからなることができる。増強された触媒を作製するために使用される(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒は、元素Cl、Mg、およびTiから本質的になるか、またはそれらからなることができる。
【0032】
いくつかの態様において、増強された触媒、および増強された触媒を作製するために使用される(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒は独立して、Ti対ハロゲンのモル比によって特徴付けられる。例えば、0≦(N-80-4*NTi)≦6、あるいは0≦(N-80-4*NTi)≦4、あるいは0≦(N-80-4*NTi)≦2、式中、NTi=触媒中のMg40モル当たりのTiのモル数、およびN=触媒中のMg40モル当たりのハロゲンのモル数。いくつかの態様において、XはCl、あるいはBrである。
【0033】
(A):ヒドロカルビルアルミノキサンまたはHAO。アルキルアルミノキサンは、(C-C10)アルキルアルミノキサンまたはポリメチルアルミノキサン(PMAO)のポリマー形態であり得る。PMAOは、AkzoNobelから市販されているポリメチルアルミノキサン改良性能(PMAO-IP)であり得る。(C-C10)アルキルアルミノキサンは、メチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン、タイプ3A(MMAO-3A)、タイプ7(MMAO-7)、もしくはタイプ12(MMAO-12)などの変性メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n-ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n-ヘキシルアルミノキサン、n-オクチルアルミノキサン、2-エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、または1-メチルシクロヘキシルアルミノキサンであり得る。アリールアルミノキサンは、フェニルアルミノキサン、2,6-ジメチルフェニルアルミノキサン、またはナフチルアルミノキサンであり得る(C-C10)アリールアルミノキサンであり得る。アラルキルアルミノキサンは、ベンジルアルミノキサンまたはフェネチルアルミノキサンであり得る。典型的には、化合物(A)は、MAO、MMAO、PMAO、またはPMAO-IPである。ヒドロカルビルアルミノキサンは、周知の方法に従ってトリヒドロカルビルアルミニウム化合物を使用するか、もしくは部分加水分解することによる、非加水分解法によって作製され得るか、または商業的供給源から得ることができる。
【0034】
(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒。(B)の調製は、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で(E)四塩化チタンと接触させて、(B)を得るステップを含む。調製は、0℃~100℃、あるいは20℃~35℃の不活性雰囲気(例えば、分子状窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合物のガス)中またはその下で、かつ0.1分~24時間、あるいは5時間~12時間の間で行われ得る。(C)中の(B)の懸濁液は、互いに分離することなく次のステップで使用され得る。このようにして調製されるとき、(B)を(C)から分離する必要はなく、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)の懸濁液は、ワンポット合成において、直接使用され得、トリアルキルアルミニウム化合物または(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを用いて、それぞれハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒または増強された触媒を調製する。(対照的に、追加のハロゲン化アルキルアルミニウムまたはハロゲン化アルミニウム化合物(複数可)が典型的には、標準的な(本発明ではない)ハロゲン化物含有チーグラーナッタ触媒を調製するために使用される。)
【0035】
標準的なハロゲン化物含有チーグラーナッタ触媒を使用した重合反応によって調製されたポリオレフィンは、より高い残留活性ハロゲン化物含有量を有するであろう。実際の含有量は、次のように制限内で変化し得る:対応する標準的なチーグラーナッタ前駆触媒中の開始ハロゲン化物含有量に比例しておよび/またはそれから調製されたチーグラーナッタ触媒の活性に反比例する。(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒は、そのような方法で調製されており、残存活性ハロゲン化物含有量が低くなり、したがって、トリアルキルアルミニウム化合物を用いてそれから調製されたハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒および(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを用いてそれから調製された増強された触媒も、残存活性ハロゲン化物含有量が少なくなり、したがって、ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒または増強された触媒またはさらに増強された触媒を使用する重合方法によって調製された生成物ポリオレフィンもまた低い残存活性ハロゲン化物含有量を有する。活性ハロゲン化不純物は、周囲条件(例えば、25℃および101kPaの圧力)下で、水分または水に曝露されるとき、加水分解反応を受けて、ハロゲン化水素(例えば、HCl)を生じるハロゲン化物含有化合物を意味する。
【0036】
いくつかの態様において、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒は、TiおよびMgの94~100mol%、あるいは96~100mol%、あるいは98~99.5mol%の総金属含有量を有する。(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液は、以下の元素:C、H、Cl、Mg、およびTiから本質的になるか、またはそれらからなることができる。懸濁液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒は、Cl、Mg、およびTiの元素から本質的になるか、またはそれらからなることができる。
【0037】
(C)飽和または芳香族炭化水素液体。(C)飽和または芳香族炭化水素液体は、(i)飽和炭化水素液体、または(ii)芳香族炭化水素液体、または(iii)飽和炭化水素と芳香族炭化水素液体の混合物であり得る。化合物(C)飽和または芳香族炭化水素液体は、非置換芳香族炭化水素または非置換アルカンなどの任意の非置換飽和または芳香族炭化水素液体であり得る。非置換芳香族炭化水素は、トルエンまたはキシレン(複数可)であり得る。非置換アルカンは、直鎖アルカン、イソアルカンなどの分岐鎖アルカンもしくはISOPAR Eなどのイソアルカンの混合物、シクロヘプタンもしくはメチルシクロヘキサンなどのシクロアルカン、またはそれらの任意の2つ以上の混合物であり得る。好適な(C)飽和または芳香族炭化水素液体は、ExxonMobil Corp.から入手可能なイソアルカンなどの商業的供給源から入手可能である。
【0038】
いくつかの態様において、第1の生成物が調製される(C)飽和または芳香族炭化水素液体は、第1の生成物から除去され得、そこから次の生成物を調製する前に異なる(C)材料を第1の生成物と組み合わせる。除去は、ストリッピング、蒸発、蒸留、濾過、または「溶媒」交換などの方法によることができる。他の態様において、第1の生成物が調製される(C)飽和または芳香族炭化水素液体の少なくとも一部は、第1の生成物と共に、第1の生成物から除去されている(C)の全部または一部を含むことなく、第1の生成物から調製される次の生成物の調製に持ち込まれる。この持ち込みは、当該技術分野において一般によく知られているワンポット調製方法を使用して達成され得る。後者の態様の以下の例(i)~(iii)は、ワンポット調製方法を使用することができる:(i)(D)固体微粒子が調製される(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体(下記参照)は、(C)本発明の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が調製される(C)などの、ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が調製される(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体と同じであり得るか、(ii)(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が調製される(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体は、本発明の増強された触媒が調製される(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体と同じであり得るか、または(iii)例(i)および(ii)の両方。
【0039】
(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子。化合物(D)は、上述のように調製される。(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を得ることは、-25℃~100℃、あるいは0℃~50℃の不活性雰囲気(例えば、分子状窒素、アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合物のガス)中またはその下で、かつ0.1分~10時間、あるいは1時間~6時間の間で行われ得る。(C)中の(D)の懸濁液は、互いに分離することなく使用され得る。(D)を(C)から分離する必要はなく、このようにして調製された(D)は、条件付けされておらず、かつ(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を調製するためにワンポット合成において直接使用され得る。あるいは、(D)をV、Zr、またはHfを含有するコンディショニング化合物と、0~50℃、あるいは20℃~35℃で、かつ0.1分~24時間、あるいは1時間~12時間の間接触させることによって条件付けて、条件付けされた(D)を形成することができる。(C)中の条件付けされた(D)の懸濁液は、互いに分離することなく使用され得る。条件付けされた(D)を(C)から分離する必要はなく、このようにして調製された条件付けされた(D)は、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を調製するためにワンポット合成において直接使用され得る。(D)とコンディショニング化合物との接触は、(D)と(E)四塩化チタンとの接触の前、最中、または後に行われ得る。このようにして調製されるとき、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の条件付けされていないかまたは条件付けされた(D)の懸濁液は、(E)四塩化チタンと接触して、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を得ることができる。
【0040】
(D)ハロゲン化マグネシウムから本質的になる固体微粒子は、≧200m/g、あるいは>250m/g、あるいは>300m/g、あるいは>350m/gのBET表面積を有し得る。いくつかの態様において、(D)は、すべてBET表面積法によって測定した場合、1,500m/g、あるいは1,000m/g、あるいは500m/g、あるいは300m/gの最大BET表面積を有し得る。ハロゲン化物が塩化物であるとき、ハロゲン化マグネシウムは、MgClであり、ハロゲン化物が臭化物であるとき、ハロゲン化マグネシウムは、MgBrである。
【0041】
(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液は、以下の元素:C、H、Cl、およびMgから本質的になるか、またはそれらからなることができる。(D)の懸濁液は、1.5~2.5、あるいは1.8~2.2、あるいは1.95~2.05のハロゲン化物対マグネシウム比を有し得る。
【0042】
(E)四塩化チタンは、同じまたは異なる化合物(C)飽和または芳香族炭化水素液体などの飽和または芳香族炭化水素液体中の式TiClの化合物またはTiClの溶液である。TiClおよびその溶液は、商業的供給源から入手可能であるか、または周知の方法によって容易に調製され得る。
【0043】
(F)ジアルキルマグネシウム化合物は、式(I):RMgR(I)であり得、式中、RおよびRの各々は独立して、非置換(C-C20)アルキル基、あるいは非置換(C-C10)アルキル基、あるいは非置換(C-C)アルキル基である。いくつかの態様において、ジアルキルマグネシウム化合物は、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、イソプロピル-メチル-マグネシウム(すなわち、(CHCHMgCH)、ジブチルマグネシウム、ブチル-エチル-マグネシウム(すなわち、CH(CHMgCHCH)、ブチル-オクチル-マグネシウム(すなわち、CH(CHMg(CHCH)、またはそれらの組み合わせである、非置換(C-C)アルキル基を有する。ジアルキルマグネシウム化合物は、市販されているか、または周知の方法によって容易に調製され得る。
【0044】
(G)有機ボレート。化合物(G)は、エチレンモノマーを使用した重合方法を向上させる任意の有機ボレートであり得る。いくつかの態様において、(G)は、フルオロ有機ボレート化合物、例えば、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、もしくはトリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、またはそれらの任意の2つ以上の混合物などの(パー)フルオロアリールボレートである。いくつかの態様において、化合物(G)は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ((C14-C18)アルキル)アンモニウム塩であり、これは、長鎖トリアルキルアミン(Akzo-Nobel,Inc.から入手可能なArmeen(商標)M2HT)、HCl、およびLi[B(C]の反応によって調製され得る。そのような調製は、US5,919,983の実施例2に開示されている。または、ボレートは、Boulder Scientificから購入される。ボレートは、(さらなる)精製なしで本明細書中で使用され得る。
【0045】
(H)有機ホウ素化合物(H)は、エチレンモノマーを使用した重合方法を向上させる任意の有機ホウ素であり得る。いくつかの態様において、化合物(H)は、フルオロ有機ホウ素化合物である。いくつかの態様において、化合物(E)は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどのトリス(ペルフルオロアリール)ボラン、トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ素、またはそれらの任意の2つ以上の混合物である。
【0046】
(I)トリアルキルアルミニウム。トリアルキルアルミニウムは、式((C-C10)アルキル)Alであり得、式中、各(C-C10)アルキルは独立して、同一であるか、または異なる。各(C-C10)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、ヘキシル、またはオクチルであり得る。例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、またはトリオクチルアルミニウム。
【0047】
(J)コンディショニング化合物。(J)コンディショニング化合物は、ジルコニウム系、ハフニウム系、またはバナジウム系であり得る。例えば、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ハフニウム、ハフニウムテトライソプロポキシド、バナジウムトリクロリドオキシド、またはバナジウムトリイソプロポキシオキシド。重合法によって生成された生成物ポリオレフィンのMz/Mw比が不足している(J)と比較して、重合法によって生成された生成物ポリオレフィンのMz/Mw比を増加させる作用。
【0048】
ハロゲン化水素(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を調製するために使用されるハロゲン化水素のハロゲン化物は、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒のハロゲン化マグネシウムのハロゲン化物と同じである。例えば、両方とも塩化物であり、あるいは両方とも臭化物である。無水物。ハロゲン化水素対(F)ジアルキルマグネシウム化合物のモル当量は、1.95~2.05、あるいは2.00~2.05であり得る。
【0049】
重合性オレフィン好適な重合性オレフィンの例には、エチレン(CHCH)および(C-C40)アルファ-オレフィンが含まれる。重合性オレフィンは、エチレンと(C-C40)アルファ-オレフィンとの混合物を含み得る。(C-C40)アルファ-オレフィンは、混合物およびエチレンの残りの0.1重量%~20重量%、あるいは0.1~15重量%、あるいは0.1~10重量%、あるいは0.1~5重量%であり得る。(C-C40)アルファ-オレフィンは、(C-C20)アルファ-オレフィン、あるいは(C-C12)アルファ-オレフィン、あるいは(C-C)アルファ-オレフィンであり得る。(C-C)アルファ-オレフィンの例は、プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンである。増強された触媒は、エチレンを重合して、ポリエチレンを得るために使用され得る。あるいは、増強された触媒は、(C-C40)アルファ-オレフィンを重合して、ポリ((C-C40)アルファ-オレフィン)ポリマーを得るために使用され得る。あるいは、増強された触媒は、エチレンと少なくとも1つの(C-C40)アルファ-オレフィンを共重合させて、ポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーを得るために使用され得る。重合は、バッチ反応器などの任意の好適な反応器中で、または連続溶液重合反応器などの連続反応器中で行われ得る。
【0050】
オレフィンの重合方法ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒および増強された触媒は、チーグラーナッタ触媒を使用して、1つ以上の重合性オレフィンの重合を触媒するのと同様に、独立して使用され得る。この方法は、0℃~100℃の温度で行われるスラリープロセスであり得る。あるいは、この方法は、30℃~120℃の温度で行われる気相プロセスであり得る。あるいは、この方法は、100℃~250℃の温度で行われる溶液プロセスであり得る。圧力は、150psi~3,000psi(1メガパスカル(MPa)~21MPa)であり得る。
【0051】
オレフィンを重合する方法は、少なくとも1つの重合性オレフィンと、ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒または増強された触媒とを含有する反応混合物中で実施され得る。反応混合物は、希釈剤または溶媒として追加量の(C)飽和または芳香族炭化水素液体を含有し、(C)がポリマー生成物で過飽和になることを回避し、それによって触媒効率を低減し得る。いくつかの態様において、反応混合物中のポリマー生成物の量は、30重量%以下である。反応混合物は攪拌(agitated)(例えば、攪拌(stirred))され、反応混合物の温度はその反応熱を除去することによって制御されて、重合を最適化することができる。オレフィンを重合する方法において、触媒は、反応混合物1リットル(L)当たりの0.0001~0.1ミリグラム原子のTiなどの触媒的に有効な量で使用される。オレフィンを重合する方法は、バッチ方法、半連続方法、または連続方法のいずれでもよい。連続方法は、反応物を反応器に連続的に供給し、反応器からポリマー生成物を除去する。半連続方法は、反応物を反応器に周期的に添加し、反応器からポリマー生成物を周期的に除去する。バッチ方法は、反応物を反応器に添加し、次いで、反応が終了した後に反応器からポリマー生成物を除去する。
【0052】
重合方法の例は、攪拌槽型反応器を使用し、そこに、重合性オレフィン(複数可)を任意の追加量の(C)(C)飽和または芳香族炭化水素液体と共に連続的に導入する。反応器は、実質的にエチレン、および任意に(C-C40)アルファ-オレフィン、(C)、および溶解されたポリマー生成物からなる溶液相を含有する。触媒(いずれか1つ)および/または(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒、ならびに(A)ヒドロカルビルアルミノキサンまたはトリアルキルアルミニウム化合物は、場合によっては、反応器溶液相またはその任意の再循環部分に連続的または断続的に導入され得る。反応器温度および圧力は、溶媒/オレフィン比、触媒添加速度を調節することによって、ならびにコイル、ジャケット、またはそれらの両方を冷却または加熱することによって制御され得る。反応の程度は、触媒添加速度によって制御され得る。反応器内にポリマー生成物のエチレン含有量がある場合、エチレン対(C-C40)アルファ-オレフィンの比によって決定され、この比は、これらの成分の反応器へのそれぞれの供給速度を操作することによって制御される。ポリマー生成物の分子量は、任意に、温度、オレフィン濃度(複数可)などの他の重合変数を制御することによって、または制御された速度で分子状水素を反応器に供給することによって制御される。分子状水素は、使用される場合、エチレン1モル当たりの0.001~1モルパーセントの濃度を有し得る。反応器を出た後、生成物ポリマーを含有する流出物は、水、水蒸気、またはアルコールなどの触媒停止剤と接触し得る。生成物ポリマー混合物は、任意に加熱され、生成物ポリマーは、任意に減圧下でエチレン、アルファオレフィン、および成分(C)などのガス状または蒸気状成分を蒸発分離除去することによって回収される。所望される場合、脱揮押出機でさらに脱揮することができる。連続法において、反応器内の触媒および生成物ポリマーの平均滞留時間は一般に、1分~8時間、あるいは5分~6時間である。あるいは、US5,977,251、US6,319,989、またはUS6,683,149などの連続ループ反応器および適切な条件が、攪拌槽型反応器の代わりに使用され得る。
【0053】
いくつかの態様において、オレフィンを重合する方法は、溶液相プロセスである。
【0054】
オレフィンを重合する方法によって作製されたポリオレフィン生成物。ポリオレフィン生成物は、ポリマーまたはコポリマーであり得る。ポリマーは、ポリエチレンなどのホモポリマーまたはポリプロピレンなどのポリ((C-C40)アルファ-オレフィン)ポリマーであり得る。コポリマーは、ポリ(エチレン-コ-プロペン)コポリマー、ポリ(エチレン-コ-1-ブテン)コポリマー、ポリ(エチレン-コ-1-ヘキセン)コポリマー、またはポリ(エチレン-コ-1-オクテン)コポリマーなどのポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーであり得る。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高溶融強度高密度ポリエチレン(HMS-HDPE)、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0055】
ポリオレフィンポリマーまたはコポリマーは、帯電防止剤、色増強剤、染料、滑剤、充填剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、および紫外線(UV)安定剤などの1つ以上の添加剤をさらに含み得る。ポリオレフィン(コ)ポリマーを含有する得られた添加剤は、添加剤含有ポリオレフィン(コ)ポリマーの重量に基づいて、0重量%~10重量%の各添加剤を含み得る。Irgafos(商標)168およびIrganox(商標)1010などの酸化防止剤は、ポリオレフィン(コ)ポリマーを熱分解および/または酸化分解から保護するために使用され得る。Irganox(商標)1010は、Ciba Geigy Inc.から入手可能なテトラキス(メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4ヒドロキシヒドロシンナメート))である。Irgafos(商標)168は、Ciba Geigy Inc.から入手可能なトリス(2,4ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0056】
この方法によって作製されたポリオレフィンポリマーまたはコポリマーは、≧3.4のz平均分子量(Mz)対重量平均分子量(Mw)の比(Mz/Mw比)を有し得る。いくつかの態様において、Mz/Mw比は、少なくとも3.5、あるいは少なくとも3.6である。いくつかの態様において、Mz/Mw比は、最大7.7、あるいは最大7.0、あるいは最大6、あるいは最大4.5である。MzおよびMwは、下記のGPC方法に従ってポリスチレン標準物を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。
【0057】
この方法によって作製されたポリオレフィンポリマーまたはコポリマーは、2.5~8.0Mw/Mn、あるいは3~7.0Mw/Mn、あるいは3.5~6.5Mw/Mnの分子量分布(MWD)を有し得る。MWDは、後述するGPC方法によって測定され得る。
【0058】
ポリマー生成物は、50,000~300,000グラム/モル(g/mol)の重量平均分子量(Mw)を有し得る。ポリマー生成物は、0.880~0.970、あるいは0.890~0.960g/cc(1立方センチメートル当たりのグラム数)のポリマー密度を有し得る。
【0059】
ポリオレフィン生成物は、ポリオレフィン生成物からまたはポリオレフィン生成物を含む製造品を調製するための成形作業に使用され得る。そのような成形作業の例は、フィルム成形、シート成形、パイプ成形、繊維押出、繊維共押出、ブロー成形、射出成形、および回転成形である。それによって調製された製造品は、共押出または積層によって形成されたフィルムなどの吹き込みまたはキャストフィルム、不織布および織布に使用するためのメルトスパン繊維およびメルト吹き込み繊維などの繊維、押出成形品、ならびに成形品であり得る。フィルムは、収縮フィルム、粘着フィルム、伸縮フィルム、シーリングフィルム、延伸フィルム、スナック包装フィルム、重荷重用バッグ、食料品袋、焼成食品および冷凍食品包装、医療品用包装、工業用ライナー、農業用フィルム、ならびに食品接触および非食品接触膜などの膜として作製され得る。繊維は、おむつ布地、医療用衣類、および地質織布で使用するために作製され得る。押出物品は、医療用管、ワイヤーおよびケーブルのコーティング、ジオメンブレン、ならびに池の中敷きとして作製され得る。成形物品は、ボトル、タンク、大型中空物品、硬質食品容器、および玩具として作製され得る。
【0060】
本明細書の態様は、多数の利点を有する。有利には、前駆触媒、それから調製された触媒、およびそれを用いて作製されたポリオレフィンは、低レベルの残留活性ハロゲン化不純物を有する。
【0061】
態様の利点は、増強された触媒が、活性剤として(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを使用する代わりに、比較触媒の調製が、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を活性剤としてのトリエチルアルミニウム(TEA)と、あるいは活性剤としてのエチルアルミニウムジクロリド(EADC)と接触させるのを除いて、増強された触媒の調製と同じ方法で調製される比較触媒よりも高い触媒効率を有することである。
【0062】
いくつかの態様の別の利点は、(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を(A)ヒドロカルビルアルミノキサンおよび(G)有機ボレート、あるいは(H)有機ホウ素と接触させることによって増強された触媒の態様が調製されるとき、増強された触媒の触媒効率がさらに高められることである。
【0063】
いくつかの利点は、同じ反応器中で、同時にシングルサイト触媒と称されることがある分子触媒と共に増強された触媒を使用することを可能にするが、一方で比較塩化マグネシウムまたは比較塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒をEADCなどのハロゲン化アルミニウムと接触させることによって調製される比較触媒は、分子触媒と不適合である。
【0064】
別の利点は、増強された触媒および分子触媒が同じ反応器中で同時に使用されるとき、得られる重合によってポリオレフィンが広い分子量分布(MWD)または二峰性であると特徴付けられる分子量分布を有するようになることである。二峰性MWDは、ポリオレフィンの高分子の分子量のプロットが2つの異なる分子量値でピークまたは最大を示すことを意味する。
【0065】
別の利点は、(A)ヒドロカルビルアルミノキサンで変性されたハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒、およびハロイド化アルミニウムを使用して変性されていないハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、ハロゲン化アルミニウムで変性された比較前駆触媒で生成されたポリエチレンよりも高いMz/Mw比を有するポリエチレンを生成することである。(J)コンディショニング化合物をさらに含有するいくつかの態様の別の利点は、さらに高められたMz/Mw比である。
【0066】
用語「活性剤」は、本明細書において互換的に「共触媒」と称され得、前駆触媒と反応して触媒(触媒活性)を得る(A)、(G)、または(I)などの任意の化合物を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、チーグラーナッタ前駆触媒に適用される場合、「前駆触媒」(「プレ触媒」とも称され得る)は、活性剤(A)または(I)の非存在下で触媒として機能し得るが、活性剤(A)または(I)で活性化すると、前駆触媒よりも少なくとも10倍大きい触媒効率を有する反応生成物が得られる物質を意味する。対照的に、分子前駆触媒は通常不活性であり、分子触媒を形成するために活性剤で活性化される。
【0068】
(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子、ならびに(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)の懸濁液、ならびに(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子から調製された(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒、ならびに化合物(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液、ならびに化合物(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液および(A)ヒドロカルビルアルミノキサンから調製された増強された触媒は、まとめて「本発明の材料」であり、それらの対応する標準材料よりも純粋である。例えば、より低い活性ハロゲン化不純物含有量を有する本発明の材料のより高い純度は、前述のように、それらがそれぞれどのようにして調製されるかという点に部分的に起因する。例えば、本発明の材料(B)および増強された触媒を調製するそれぞれの本発明の方法は、アルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルミニウム化合物を使用することを回避するが、一方で少なくともいくつかの対応する標準材料は、アルキルアルミニウム化合物およびハロイド化アルミニウム化合物を使用して調製されており、これにより不要な副産物が生成される。また、化合物(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の本発明の懸濁液と共に(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを使用する増強された触媒の調製は、標準調製物であるハロゲン化アルミニウム化合物に対する改良である。本明細書で使用される場合、「~本質的になる(consisting essentially of)」および「~本質的になる(consists essentially of)」という句は、本発明の材料のより高い純度を取り込む部分的に限定された句であり、これに関連して、この句に続く列挙される材料以外の材料、または列挙される材料を調製するために使用される反応物を0mol%有すること、あるいは>0mol%~<5mol%、あるいは>0mol%~<3mol%、あるいは>0mol%~<2mol%有することを意味する。
【0069】
本明細書に別途定義されない限り、命名された一般用語は以下の意味を有する。代替的に、異なる実施形態に先行する。冠詞「a」、「an」、および「the」はそれぞれ、1以上を指す。ASTMとは、標準化機構である、ASTM International,West Conshohocken,Pennsylvania,USAを意味する。いずれの比較例も説明の目的でのみ使用されており、先行技術ではない。含まないまたは欠いているは、完全に存在しないこと、代替として検出不可能であることを意味する。IUPACは、国際純正応用化学連合(IUPAC事務局、米国ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)である。メンバーAとBのマーカッシュ群は、次のように同等に表すことができる。「AおよびBから選択されるメンバー」、「AおよびBからなる群から選択されるメンバー」、または「メンバーAまたはB」。各々のメンバーは独立して属の亜属または種であり得る。必須ではなく、選択の許容を与える可能性がある。NISTは、米国メリーランド州ゲーサーズバーグのアメリカ国立標準技術研究所である。作動とは、機能的に可能または有効なことを意味する。任意選択では、存在しない(または除外される)、代替として存在する(または含まれる)ことを意味する。特性は、標準試験方法および測定条件(例えば、粘度:23℃および101.3kPa)を使用して測定される。範囲は、端点、小範囲、およびその中に包含される整数値および/または小数値を含むが、整数の範囲が小数値を含まない場合を除く。室温は、特に明記しない限り23℃±1℃である。
【実施例
【0070】
ブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積法。MicromeriticsによるTristar3020表面積分析器を用いて表面積を測定する。30mLのMgClスラリーをファイラーし、30mLのヘキサン中に再スラリー化し、不活性雰囲気下で再スラリーを濾過し、追加のヘキサンで洗浄する。再スラリー化、濾過、および洗浄ステップを繰り返して、MgClの濾過ケークを得る。最初の真空下で濾過ケークから残留溶媒を除去する。不活性雰囲気下で最初の真空乾燥MgClの試料0.2gを管に装填することによって、0.5インチ(1.27cm)の試料管および不活性試料保護用に設計されたTransealストッパーを使用するMicromeriticsによるVac Prep061で濾過ケークをさらに乾燥させ、Transealストッパーで栓をした。試料を接続しながら窒素ガスでパージして、Vac Prep061ユニットに管を接続する。Transealストッパーを開け、管の内容物を2回目の真空下に配置し、真空管をアルミ管プロテクターと共に加熱ブロックに配置する。Vac Prep061上で110℃で3時間、2回目の真空下で乾燥させ、窒素ガスを管に導入し、試料を室温まで冷却させた後、管をVac Prep061から外して完全に乾燥した試料を得る。不活性雰囲気下で、0.1500~0.2000gの完全に乾燥した試料を清浄な試料管に移し、管充填ロッドを管に配置し、管をTransealストッパーでシールし、Tristar3020に接続し、表面積を測定する。QUICKSTART法を使って、データを取得する。
【0071】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法。機器:内部IR5検出器、オートサンプラ、およびPolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを備えたPolymerChar GPC-IR(バレンシア、スペイン)高温GPCクロマトグラフ。温度:160℃のオートサンプラオーブン区画および150℃のカラム区画。クロマトグラフィー溶媒:200百万分率(ppm)のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する窒素散布1,2,4トリクロロベンゼン。注入量:200マイクロリットル(μL)。流速:1.0μL/分。カラム:3台のAgilent「混合B」30センチメートル(cm)×10マイクロメートル(μm)の線状混合床カラムおよび10μmのプレカラム。窒素が散布されている隔膜でキャップされたバイアル中の溶媒1ミリリットル当たり2ミリグラムの試料(mg/mL)を標的とし、バイアルを160℃で2時間低速で振とうするオートサンプラを使用して試料を調製する。
【0072】
GPC法の続き:Agilent Technologiesの21種類の狭いMWDポリスチレン(PS)標準物を用いて、580~8,400,000g/molの分子量(MW)を有するカラムを較正し、6つの「カクテル」混合物に、Mw間に少なくとも10の間隔をもたせて配置する。MW≧1,000,000g/molの場合は50ミリリットル(mL)の溶媒中に0.025g、MW<1,000,000g/molの場合は0.05g/mLの溶媒でPS標準物を調製する。Willams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Lett.,1968;6:621に記載されているように、等式1:Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン等式1を使用して、PS標準ピークMWをポリエチレンMWに変換し、式中、Mは分子量であり、Aは0.4315に等しく、Bは1.0に等しい。5次多項式tを使用して、それぞれのポリエチレン換算較正ポイントに適合させる。NIST標準NBS1475のMwが52,000g/molで得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するために、Aに対してわずかな調整(約0.415~0.44)を行う。各試料中の流速マーカー(マイクロポンプによって導入)、例えば、デカンを使用して経時的に偏差をモニターし、試料からの流速マーカーピークをPS標準の流速マーカーピークに合わせる。それぞれの試料流速マーカーのピークをそれぞれのPS標準の流速マーカーのピークに合わせることによって、各試料の流速を直線的に補正するために、流速マーカーを使用する。流速マーカーピークの時間のいかなる変化が流速およびクロマトグラフの傾きの直線的なシフトに関連していると仮定する。流速マーカーピークのRV測定を最も正確に行うには、流速マーカー濃度クロマトグラムの流速マーカーピークを2次方程式に適合させるための最小二乗法適合ルーチンを使用する。PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、流速マーカーピークを処理する。
【0073】
GPC法の続き:50mLのTCBに溶解された0.04gのエイコサンを有するGPCカラムの総プレート数(等式2)および対称性(等式3)を測定する。等式2:プレート数=5.54*[(RVピーク最大値)は(1/2高さにおけるピーク幅)]で除算され、式中、RVは保持容量(mL)であり、ピーク幅はmL単位であり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2の高さはピーク最大値の半分の高さである。等式3:
【0074】
【数1】
【0075】
式中、RVおよびピーク幅は上記で定義された通りであり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、10分の1の高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値のものより後の保持容量でのピークテイルであり、前方ピークはピーク最大値のものより前の保持容量でのピークフロントを指す。プレート数は>24,000であるべきであり、対称性は>0.98~<1.22であるべきである。
【0076】
GPC法の続き:PolymerChar GPC-IR機器の内部IR5検出器(測定チャネル)およびPolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して得られたGPC結果から、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびz平均分子量(Mz)を計算する。等間隔の各データ収集点(i)でIRクロマトグラムをベースライン減算し、等式1の同じ点(i)の狭い標準較正曲線からポリエチレン当量Mn、Mw、およびMzを取得する。
【0077】
触媒効率(「触媒効率(Cat.Eff.)」):ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒中のTi 1グラム当たりの重合中に消費されたエチレンの量(gエチレン/g Ti)に基づいて、触媒効率を計算する。
【0078】
バッチ反応器。底部弁を有する撹拌型1ガロン反応器。
【0079】
バッチ反応器共重合試験方法。250gの1-オクテンおよび1330gのIsopar Eをバッチ反応器に装填する。反応器内容物を190℃に加熱し、次いで、40ミリモル(mmol)の水素分子の存在下でエチレンを用いて内容物を飽和させる。液体(例えば(C1))中の触媒(例えば、(B1)または(B2))の懸濁液と活性剤(例えば、(A1))とを別のフラスコ中で混合し、得られた混合物をバッチ反応器に直ちに添加する。エチレン流で反応器内の圧力を3100キロパスカル(kPa、1平方インチ当たり(psi)の450ポンドに等しい)に維持して、その重合中のエチレン消費に起因する圧力降下を補償する。10分の反応時間後、底部弁を開け、反応器内容物をガラス製のやかんに移す。やかんの内容物をマイラーの並んだトレイの上に注ぎ、内容物を冷却させ、トレイを一晩ドラフト内に配置し、大部分の液体を蒸発させる。残りの樹脂を真空オーブン中で乾燥して、生成物ポリ(エチレン-コ-1-オクテン)コポリマーを得る。
【0080】
連続溶液重合反応器。反応器は、攪拌機を有し、供給物の温度を制御するための熱交換器とインバウンド流体連通し、かつ失活ゾーンおよび脱揮発系および連続撹拌槽型反応器(CSTR)を含む。モノマー、コモノマー、および溶媒の全(組み合わせた)供給物を一箇所でCSTRに注入する。他の供給物とは別にCSTRに(プレ)触媒を注入する。反応器内容物を連続的に撹拌し、油浴を使用して反応器温度を制御する。
【0081】
単一反応器連続共重合試験方法。使用前に、モノマー(例えば、エチレン)、コモノマー(例えば、1-オクテン)(ある場合)、および溶媒(Isopar Eまたは狭い沸点範囲の高純度パラフィン系およびシクロパラフィン系溶媒)をモレキュラーシーブで精製する。機械的圧縮機によってモノマー供給物を上記反応圧力まで加圧する。溶媒供給物およびコモノマー供給物をポンプで反応圧力以上に別々に加圧する。モノマー供給物、コモノマー供給物、溶媒供給物、および分子水素供給物を組み合わせ、得られた組み合わせた物を単一の連続反応器に導入する。チタン前駆触媒(B1)または(B2)を精製溶媒で別々に手動でバッチ希釈し、希釈物を反応圧力以上に加圧する。活性剤(A1)を使用する。すべての反応供給流を、質量流量計で測定し、計量ポンプで独立して制御する。反応器から不活性化ゾーンへの流出物を除去し、不活性化ゾーン中の流出物に不活性化試薬(例えば、水)を添加し、得られた不活性化流出物を脱揮発系に送る。非ポリマー流から(コ)ポリマーを分離することによって失活した流出物を脱揮発する。分離した(コ)ポリマーを集めてペレット化して、(コ)ポリマーを単離ペレット化生成物として得る。
【0082】
ヒドロカルビルアルミノキサン(A1)。およその分子式[(CH0.7(イソC0.3AlOを有する変性メチルアルミノキサン、タイプ3A(MMAO-3A)、CAS No.146905-79-5。AkzoNobel N.V.からヘプタン中の溶液として入手した。
【0083】
化合物(C1)。Isopar E流体。>99.75%~99.9%のナフサ(石油)、軽質アルキレート、CAS64741-66-8、および0.1~<0.25%のイソオクタンCAS 540-54-1、(Exxon Mobil Corporationから入手)。114℃~139℃の範囲の沸点を有する。
【0084】
微粒子状のMgCl(D1)。375~425m/gのBET表面積を有する固体微粒子状MgCl。ヘプタン中の下記の(F1)の20重量%溶液を測定量の(C1)に希釈して、希釈溶液を得ること、温度を30℃±3℃に維持しながら、Cl対Mgのモル比が2.04:1.00に達するまで、30℃で攪拌しながら、塩化水素(HCl)を希釈溶液にゆっくり添加して、(C1)中の(D1)の0.20M懸濁液を得ることによって調製した生成物。
【0085】
四塩化チタン(E1)。Sigma-Aldrich Corporationから入手したTiCl
【0086】
ジアルキルマグネシウム(F1)。ブチル-エチル-マグネシウム。ヘプタン中の20重量%溶液。
【0087】
有機ボレート(G1)。前述のようにして調製したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ((C14-C18)アルキル)アンモニウム塩。シクロアルカン中の混合物。
【0088】
アルキルアルミニウムジクロリド(I2):エチルアルミニウムジクロリド(EDAC)。ヘプタン中の(CHCH)Al溶液。
【0089】
ジルコニウム系コンディショニング化合物(J1):テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム(Zr(TMHD))。
【0090】
以下の実施例について、Ti装填量、活性剤(例えば、TEA)または活性剤(例えば、(G1))対チタンのモル比(「活性剤/Ti」)、プロセス条件、およびデータを後記の表1に列挙する。
【0091】
本発明の実施例1(IE1):塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B1)。0.80ミリリットル(mL)の(C1)中の(E1)の0.25モル(M)溶液を、40mLの(C1)中の(D1)の0.20M懸濁液に添加し、得られた混合物を一晩撹拌して、(C1)中の懸濁液(B1)を得る。
【0092】
本発明の実施例2(IE2):塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B2)。2.40mLの(C1)中の(E1)の0.25M溶液を、40mLの(C1)中の(D1)の0.20M懸濁液に添加し、得られた混合物を一晩撹拌して、(C1)中の懸濁した(B2)を得る。
【0093】
本発明の実施例3A(IE3A):増強された触媒。0.40mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液を、IE1の懸濁液に添加して、IE3の増強された触媒を得る。
【0094】
本発明の実施例3B(IE3B):増強された触媒。0.24mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液および0.24mLのメチルシクロヘキサン中の(G1)の0.003M溶液をIE1の懸濁液に添加して、IE3Bの増強された触媒を得る。
【0095】
本発明の実施例3C(IE3C):増強された触媒。0.50mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液を、IE1の懸濁液に添加して、IE3の増強された触媒を得る。
【0096】
本発明の実施例3D(IE3D):増強された触媒。0.98mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液を、IE1の懸濁液に添加して、IE3の増強された触媒を得る。
【0097】
本発明の実施例4A(IE4A):増強された触媒。0.57mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液を、IE2の懸濁液に添加して、IE4Aの増強された触媒を得る。
【0098】
本発明の実施例4B(IE4B)(予言的):増強された触媒。IE1の懸濁液の代わりのIE2の懸濁液以外は、IE3Bの手順を繰り返して、IE4Bの増強された触媒を得る。
【0099】
本発明の実施例4C(1E4C):増強された触媒。1.42mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの0.125M溶液を、IE2の懸濁液に添加して、IE4Cの増強された触媒を得る。
【0100】
本発明の実施例4D(IE4D):増強された触媒。0.20mLのヘプタン中の(A1)MMAO-3Aの1.77M溶液を、IE2の懸濁液に添加して、IE4Dの増強された触媒を得る。
【0101】
本発明の実施例5A、5B、6A、7A、8A、9A、および10A(IE5A、IE5B、IE6A、IE6B、IE7A、IE8A、IE9A、およびIE10A)。IE3A、IE3B、IE4A、IE3C、IE3D、IE4C、およびIE4Dの増強された触媒の異なるものと別々にバッチ反応器共重合試験方法をそれぞれ繰り返し、前述の方法に従って、触媒効率(触媒効率(Cat.Eff.))および分子量比Mz/Mwに関するデータを決定する。
【0102】
比較例1(CE1)、2(CE2)、および3(CE3):(A1)の溶液の代わりに、0.34mLのヘプタン中のTEAの0.05M溶液、1.42mLのヘプタン中のTEAの0.05M溶液、または0.21mLのヘプタン中のTEAの1.03M溶液を加える以外は、IE3A(CE1の場合)およびIE4A(CE2およびCE3の場合)の手順を別々に繰り返して、それぞれCE1、CE2、およびCE3の比較触媒を得る。
【0103】
比較例4~6(CE4~CE6)。CE1、C2、およびCE3の比較触媒の異なるものと別々にバッチ反応器共重合試験方法を繰り返し、前述の方法に従って、触媒効率(触媒効率(Cat.Eff.))および分子量比Mz/Mwに関するデータを決定する。
【0104】
【表1】
【0105】
表1のデータは、増強された触媒が比較触媒よりも高い触媒効率を有することを示す。IE1の低Ti含有前駆触媒の態様は、(G)有機ボレートを用いて触媒効率をさらに高まった。データは、ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、分子触媒を用いて行われるように、ヒドロカルビルアルミノキサンまたは有機ボレート活性剤を用いて活性化され得、それによって、これらの触媒を同じ反応器中で同時に使用できることを示す。
【0106】
以下の実施例では、Ti装填量、活性剤対TIまたは活性剤/Tiのモル比、プロセス条件、およびデータを後記の表2に列挙する。
【0107】
比較例7(「CE7」)。塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B3)。(B3)は、(B3)が40/10/1の(D1)(I2)/Tiのモル比を有するように、(I2)次いで(E1)と組み合わせた上記(D1)中で調製された(C1)中の(D1)の0.20M懸濁液である。
【0108】
本発明の実施例11(IE11)。塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B4)。(B4)は、(B3)が40/1の(D1)/Tiのモル比を有するように、測定量の(E1)と組み合わせた上記(D1)中で調製された(C1)中の(D1)の0.20M懸濁液である。
【0109】
比較例8(「CE8」)。塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B5)。測定量のCE7の触媒(B3)を測定量の(J1)と組み合わせて、0.5/40の(J1)/(D1)のモル比を有する塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B5)を得る。
【0110】
本発明の実施例12(IE12)。塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B6)。測定量のIE11の触媒(B4)を測定量の(J1)と組み合わせて、0.5/40の(J1)/(D1)のモル比を有する塩化マグネシウム担持チタン前駆触媒(B6)を得る。
【0111】
比較例9および本発明の実施例13。CE8の比較前駆触媒およびIE12の増強前駆触媒の異なるものと別々に単一反応器連続共重合試験方法をそれぞれ繰り返し、前述の方法に従って、分子量比Mz/Mwに関するデータを決定する。19.8℃(CE9)または20.8℃(IE13)の供給温度、供給溶媒/エチレン質量流量比(g/g)6.1(両方)、供給コモノマー/エチレン質量流量比(g/g)0.94(両方、供給水素/エチレン質量流量比(g/g)0(両方)、反応器温度185.1℃(CE9)または184.5℃(IE13)、および圧力(kPaゲージ)2,000(28バーゲージ)。エチレン転化率をパーセント(%)で記録する。
【0112】
【表2】
【0113】
表2のデータは、本発明のハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒が、ハロゲン化アルミニウムを含む比較触媒を用いて生成されたポリエチレン(CE9)よりもはるかに高いMz/Mw比を有するポリエチレン(IE13)を生成することを示す。IE5Aに関する表1のMz/Mwデータに対するIE13に関する表2のMz/Mwデータもまた、(J)コンディショニング化合物がMz/Mw比をさらに増強することを示す。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
本質的に(A)ヒドロカルビルアルミノキサンと(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液との反応の生成物からなる増強された触媒であって、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で(E)四塩化チタンと接触させて、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を得ることによって調製されている、増強された触媒。
項2.
(i)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、Alを含まず、(ii)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、>0~<0.05のAl/Mgのモル比を特徴とし、(iii)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記ハロゲン化マグネシウムが、塩化マグネシウムであり、(iv)前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記ハロゲン化マグネシウムが、臭化マグネシウムであり、(v)(i)および(iii)の両方であり、(vi)(i)および(iv)の両方であり、(vii)(ii)および(iii)の両方であり、(viii)(ii)および(iv)の両方である、項1に記載の増強された触媒。
項3.
(i)前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、BET表面積法によって測定した場合、1グラム当たり≧200平方メートル(m/g)のブルナウアー・エメット・テラー(BET)表面積を有するか、(ii)前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、前記(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和もしくは芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されているか、または(iii)(i)および(ii)の両方である、項1または2に記載の増強された触媒。
項4.
前記(A)ヒドロカルビルアルミノキサンが、アルキルアルミノキサン、ポリメチルアルミノキサン、アリールアルミノキサン、アラルキルアルミノキサン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである、項1~3のいずれか一項に記載の増強された触媒。
項5.
前記反応が、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を(G)有機ボレートまたは(H)有機ホウ素と接触させることをさらに含む、項1~4のいずれか一項に記載の増強された触媒。
項6.
増強された触媒を調製する方法であって、(A)ヒドロカルビルアルミノキサンを(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の懸濁液と接触させ、それによって、前記増強された触媒を得ることを含み、前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を(E)四塩化チタンと接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(B)ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒の前記懸濁液を得ることによって調製されている、方法。
項7.
前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって、前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を調製する予備ステップをさらに含む、項6に記載の方法。
項8.
前記(F)ジアルキルマグネシウム化合物が、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチル-エチル-マグネシウム、ブチル-オクチル-マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、項7に記載の方法。
項9.
増強された触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、項1~5のいずれか一項に記載の増強された触媒または項6~8のいずれか一項に記載の方法によって調製された前記増強された触媒と有効条件下で接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
項10.
前記重合性オレフィンが、エチレンと少なくとも1つの(C-C40)アルファ-オレフィンとの組み合わせを含み、前記ポリオレフィン生成物が、ポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーを含む、項9に記載の方法。
項11.
(C)飽和または芳香族炭化水素液体中で、(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子を(E)四塩化チタンと接触させることによって調製されたハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒であって、前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子が、(C)飽和または芳香族炭化水素液体中に溶解された(F)ジアルキルマグネシウム化合物の溶液を、1.95~2.05モル当量のハロゲン化水素と接触させて、前記(C)飽和または芳香族炭化水素液体中の前記(D)本質的にハロゲン化マグネシウムからなる固体微粒子の懸濁液を得ることによって調製されており、前記ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒が、ハロゲン化アルミニウムを含まない、ハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒。
項12.
(J)コンディショニング化合物をさらに含む、項11に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒。
項13.
項11または12に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン前駆触媒を、トリアルキルアルミニウム化合物である活性剤と接触させて得られる、ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒。
項14.
ハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒を使用してオレフィンを重合する方法であって、重合性オレフィンを、項1~5のいずれか一項に記載の増強された触媒または項13に記載のハロゲン化マグネシウム担持チタン触媒と有効条件下で接触させて、ポリオレフィン生成物を得ることを含む、方法。
項15.
前記重合性オレフィンが、エチレンと少なくとも1つの(C-C40)アルファ-オレフィンとの組み合わせを含み、前記ポリオレフィン生成物が、ポリ(エチレン-コ-(C-C40)アルファ-オレフィン)コポリマーを含む、項14に記載の方法。
項16.
項9、10、14、または15に記載の重合方法によって作製された、ポリオレフィン生成物。