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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】金属有機化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20221012BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 43/205 20060101ALI20221012BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20221012BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
C07F15/00 C CSP
C07C41/30
C07C43/205 D
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019534275
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017083666
(87)【国際公開番号】W WO2018115029
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】16206466.1
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ピー・ノーラン
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】VICIU M S; ET AL,SYNTHETIC AND STRUCTURAL STUDIES OF (NHC)PD(ALLYL)CL COMPLEXES (NHC = N-HETEROCYCLIC CARBENE),ORGANOMETALLICS,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2004年03月29日,VOL:23, NR:7,PAGE(S):1629 - 1635,http://dx.doi.org/10.1021/om034319e
【文献】NAVARRO O; ET AL,GENERAL AND EFFICIENT METHODOLOGY FOR THE SUZUKI-MIYAURA REACTION IN TECHNICAL GRADE 2-PROPANOL,JOURNAL OF ORGANOMETALLIC CHEMISTRY,スイス,ELSEVIER-SEQUOIA S.A.,2004年11月15日,VOL:689, NR:23,PAGE(S):3722 - 3727,http://dx.doi.org/10.1016/j.jorganchem.2004.04.001
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C07C 41/30
C07C 43/205
B01J 31/22
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物
【化1】
[式中、
及びRは、同一又は異なり、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールからなる群から選択され、
Dは、飽和又は不飽和、置換又は非置換~C架橋であり
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換若しくは非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができ、
10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、又は、互いに縮合して環を形成してもよく、
X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、アニオン性配位子である]。
【請求項2】
式1a
【化2】
[式中、
A及びBは、炭素原子であり、
Zは、単結合又は二重結合であり、
及びRは、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換(C~C18)-アルキル、置換又は非置換(C~C)-ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換(C~C14)-アリール、置換又は非置換(C~C14)-ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換若しくは非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができ、
10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、
X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、アニオン性配位子である]を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式2又は3
【化3】
[式中、R、R、R、R11、R12、R10、R20、X及びYは、請求項1で定義されているとおりである]を有する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
X及びYが、同じであり、ハロゲン、アセテート、フルオロアセテート、テトラフルオロボレートである、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが各々独立して、式4~式8
【化4】
2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メチルフェニル、2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル、2,6-ビス(ジナフチルメチル)-4-メチルフェニル
[式中、Rは、フェニル、ナフチルであり、Rは、水素、メチル又はメトキシであり、Nは、置換アリール環が結合される式1~3の複素環の窒素原子を示す]からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが同じである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
、R11及びR12が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
12が、水素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
11が、水素である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
10及びR20が、一緒になってパラジウムのη-配位のための5員又は6員の不飽和環を形成する、請求項1及び3~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記5員又は6員の不飽和環が、少なくとも1つのベンゼン環と縮合している、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、R11及びR12が、水素であり、R10及びR20が、一緒になってインデン環系を形成するようにベンゼン環と縮合した5員不飽和環を形成する、請求項1及び3~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
イミダゾリウム塩を、溶媒中のパラジウム二量体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)](式中、R、R11、R12、R10、R20、及びXは、請求項1で定義したとおりである)と反応させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を作製するための方法。
【請求項14】
前記溶媒が、炭化水素、ハロゲン化炭化水素又は極性溶媒又はそれらの組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応温度が、20℃~111℃である、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
反応時間が、30分~24時間である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物R10-(アリル-R12)-R1120が、請求項12で定義したとおりのR、R10、R11、R12及びR20を有する式
【化5】
の化合物である、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を作製する方法であって、
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物を提供するステップと、
前記化合物を溶媒の存在下で塩基と反応させるステップと、
所望により、得られた[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]を単離するステップと、
を含み、
式中、NHCが、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物の対応するNHC配位子であり、X、R、R11、R12、R10、及びR20が、請求項1で定義したとおりである、方法。
【請求項19】
前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒若しくは極性プロトン性溶媒である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記塩基が、塩基性金属化合物又は有機塩基である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記塩基が、アルカリ若しくは土類アルカリの酸化物、水酸化物若しくは炭酸塩、又はアミンである、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
化学反応を触媒する方法であって、
溶媒中でイミダゾリウム塩を、パラジウム二量体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)]と反応させることにより、[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を提供するステップであって、式中、NHCは、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の対応するNHC配位子であり、R、R10、R11、R12及びR20は、請求項1で定義したとおりである、ステップと、
化学反応における触媒として[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の前記錯体を使用するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の前記錯体が触媒として使用される前記化学反応が、有機化学における炭素-炭素又は炭素-窒素カップリング反応である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の前記錯体が触媒として使用される前記化学反応が、Suzuki-Miyauraカップリングである、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
式[Pd(NHC)(R10-アリル-R12)-R1120)X]の化合物が、[N,N’-ビス-((2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール)-2-イリデン]Pd(η-アリル)Clとは異なる、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パラジウム系触媒は、様々な目的及び用途において従来より関心が高まっている。
【0002】
Heck反応(Dieck,H.A.;Heck,R.F.「Organophosphinepalladium complexes as catalysts for vinylic hydrogen substitution reactions」.Journal of the American Chemical Society.1974,96(4),1133)、Stille反応(Kosugi,M.;Sasazawa,K.;Shikizu,Y.;Migita,T.Chem.Lett.,1977,6,301~302.)、Suzuki反応(Advanced Organic Chemistry,Springer,2007,739~747)、Negishiカップリング(Journal of the Chemical Society Chemical Communications 1977,(19),683.)及びBuchwald-Hartwigアミノ化は、かかる触媒を使用する反応の既知の例である。
【0003】
上記反応の多く又は全てに用いることができる様々な異なる配位子が記載されている。
【0004】
いくつかの反応手順では、単純な方法で触媒活性種へと活性化又は変換され得る安定なプレ触媒を用いることが望ましい。この目的は、式1のパラジウム錯体によって解決される。
【化1】
式中、
及びRは、同一又は異なり、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールからなる群から選択され、
Dは、ヘテロ原子によって置換することができる架橋炭素原子を有する、飽和又は不飽和、置換又は非置換であることができるC~C架橋の一部であることができる。R、R及びDを担持する基は、一般的に、NHC配位子又はN-複素環式カルベン配位子として当業者には既知である。それらは当技術分野において既知であり、例えば「N-Heterocyclic carbenes in transition metal catalysis」,Springer Verlag 2007 by Frank Gloriusに記載されている。
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができる。R10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、
X及びYは、同じでも異なっていてもよく、アニオン性配位子である。この錯体は、様々な条件下での保管及び取り扱いを可能にする空気安定性化合物である。それは、塩基を用いる変換によって、既知の触媒活性種に変換され得る。
【0005】
発明の簡単な説明
1.式1の化合物
【化2】
[式中、
及びRは、同一又は異なり、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換アリール、及び置換又は非置換ヘテロアリールからなる群から選択され、
Dは、ヘテロ原子によって置換することができる架橋炭素原子を有する、飽和又は不飽和、置換又は非置換であることができるC~C架橋の一部であることができ、
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができ、
10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、又は、互いに縮合して環を形成してもよく、
X及びYは、同じでも異なっていてもよく、アニオン性配位子である]。
2.ポイント1に記載の式1aの化合物
【化3】
[式中、
A及びBは、炭素原子であり、
Zは、単結合又は二重結合であり、
及びRは、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換(C~C18)-アルキル、置換又は非置換(C~C)-ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換(C~C14)-アリール、置換又は非置換(C~C14)-ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができ、
10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、
X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、アニオン性配位子である]。
3.式2又は3を有するポイント1又は2に記載の式1の化合物
【化4】
[式中、R、R、R、R11、R12、R10、R20、X及びYは、ポイント1で定義されているとおりである]。
4.X及びYが、同じであって、ハロゲン、アセテート、フルオロアセテート、テトラフルオロボレート、特に塩素又は臭素である、ポイント1、2又は3に記載の化合物。
5.R及びRが各々独立して、式4~式8
【化5】
2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メチルフェニル、2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル、2,6-ビス(ジナフチルメチル)-4-メチルフェニル
[式中、Rは、フェニル、ナフチルであり、Rは、水素、メチル又はメトキシであり、Nは、置換アリール環が結合される式1~3の複素環の窒素原子を示す]からなる群から選択される、ポイント1~4のいずれか1つに記載の化合物。
6.R及びRが同じである、ポイント1~5のいずれか一つに記載の化合物。
7.R、R11及びR12が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、ポイント1~6のいずれか1つに記載の化合物。
8.R12が、水素である、ポイント1~7のいずれか1つに記載の化合物。
9.R11が、水素である、ポイント1~8のいずれか1つに記載の化合物。
10.R10及びR20が、パラジウムのη-配位のための好適な5員又は6員の不飽和環を形成する、ポイント1~9のいずれか1つに記載の化合物。
11.5員又は6員の不飽和環が、少なくとも1つのベンゼン環と縮合している、ポイント10の化合物。
12.Rが、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル又はそれらの組み合わせからなる群から選択され、R11及びR12が、水素であり、R10及びR20が、一緒になってインデン環系を形成するようにベンゼン環と縮合した5員不飽和環を形成する、ポイント1~11のいずれか1つに記載の化合物。
13.イミダゾリウム塩を、溶媒中のパラジウム二量体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)](式中、R及びXは、上で定義したとおりである)と反応させる、ポイント1~12のいずれか1つに記載の化合物を作製するための方法。
14.溶媒が、炭化水素、ハロゲン化炭化水素若しくは極性溶媒、具体的には、直鎖状若しくは環状のハロアルキル、エーテル、ケトン又はそれらの組み合わせである、ポイント13に記載の方法。
15.反応温度が、20℃~111℃、特に40℃~90℃である、ポイント13又は14に記載の方法。
16.反応時間が、30分~24時間、特に1時間~5時間である、ポイント13~15のいずれか1つに記載の方法。
17.化合物R10-(アリル-R12)-R1120が、上で定義したとおりのR、R10、R11、R12及びR20を有する式の化合物である、ポイント13~16のいずれか1つに記載の方法。
【化6】
18.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を作製する方法であって、
ポイント1~5のいずれか1つに記載の化合物を提供するステップと、
その化合物を溶媒の存在下で塩基と反応させるステップと、
所望により、得られた[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]を単離するステップと、
を含み、
式中、NHCが、ポイント1~5のいずれか1つに記載の化合物の対応するNHC配位子であり、X及びRが、上記のように定義される、方法。
19.前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒若しくは極性プロトン性溶媒、特にハロアルカン、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンなどの芳香族溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル、テトラヒドロフラン若しくはMTBE、アセトンなどのケトン、又はエタノール、イソプロパノール若しくはn-ブタノールなどのC~Cアルコールである、ポイント18に記載の方法。
20.塩基が、塩基性金属化合物又は有機塩基、特にアルカリ又は土類アルカリ化合物である、ポイント18又は19に記載の方法。
21.塩基が、アルカリ若しくは土類アルカリの酸化物、水酸化物若しくは炭酸塩、又はアミン、特に炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ピリジン又はトリエチルアミンである、ポイント18~20のいずれか1つに記載の方法。
22.化学反応を触媒する方法であって、
溶媒中でイミダゾリウム塩を、パラジウム二量体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)]と反応させることにより、[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を提供するステップであって、式中、R、R10、R11、R12及びR20は上で定義したとおりである、ステップと、
化学反応における触媒として[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の当該錯体を使用するステップであって、式中、NHCは、ポイント1~12のいずれか1つに記載の化合物の対応するNHC配位子であり、Rは、上で定義したとおりである、ステップと、
を含む、方法。
23.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体が触媒として使用される化学反応が、有機化学における炭素-炭素又は炭素-窒素結合反応である、ポイント22に記載の方法。
24.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体が触媒として使用される化学反応が、Buchwald-Hartwigカップリングである、ポイント22又は23に記載の方法。
25.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体が触媒として使用される化学反応が、Heck反応、Stille反応、Suzuki-Miyauraカップリング、Sonogashiraカップリング、Negishiカップリング又はHiyamaカップリングである、ポイント22又は23に記載の方法。
26.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物が、R、R10、R11、R12及びR20の全てが水素である化合物とは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
27.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物が、R、R10、R11及びR20が水素であり、R12がメチルである化合物とは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
28.[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物が、Xが塩素である化合物とは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
29.式11の化合物が、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であって、式中、R、R10、R11、R12及びR20のうちの少なくとも1つは水素とは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
30.式11の化合物が、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であって、式中、R、R10、R11及びR20は水素であり、R12は水素又はメチルとは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
31.式11の化合物が、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であって、式中、Xは塩素とは異なる、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
32.式11の化合物が、[N,N’-ビス-((2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール)-2-イリデン]Pd(η-アリル)Clとは異なる式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物である、ポイント22~25のいずれか1つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
より具体的には、式の化合物は、式1aの化合物であることができる
【化7】
[式中、
A及びBは、炭素原子であり、
Zは、単結合又は二重結合であり、
及びRは、同じでも異なっていてもよく、水素、置換又は非置換(C~C18)-アルキル、置換又は非置換(C~C)-ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換(C~C14)-アリール、置換又は非置換(C~C14)-ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R11及びR12は、同じでも異なっていてもよく、水素、置換若しくは非置換アリール、ヘテロアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル又はそれらの組み合わせであることができる。
10及びR20は、水素であることができるか、又は置換若しくは非置換の不飽和環を形成することができ、その環は更なる環と縮合してもよく、
X及びYは、同じであっても異なっていてもよく、アニオン性配位子である]。
【0007】
特に、式1又は1aの化合物は、式2又は3の化合物であってもよい
【化8】
[式中、R、R、R、R11、R12、R10、R20、X及びYは、上で定義されているとおりである。
X及びYは、同じか又は異なっていることができ、アニオン性配位子である。好適な配位子は、例えば、ハロゲン、好適なボレートアニオン又は有機アニオン、特にアセテート、フルオロアセテート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、塩素又は臭素である。通常、X及びYは同じである]。
【0008】
使用されるNHC配位子に関しては、一般に、全ての一般的なNHC配位子を特定の目的のために使用することができる。この配位子の群の一般的な配位子を使用する場合、R及びRはそれぞれ独立して、式4~式8からなる群から選択される
【化9】
[式中、式8では、Rは、アリールであり、特にフェニル又はナフチルであり、Rは、水素、アルキル又はアルコキシ、例えばメチル又はメトキシであり、Nは、上記の基から選択される置換アリール環が結合される式1~3における複素環の窒素原子を示す]。R及びRは、独立して選択されてもよく、したがって互いに異なっていてもよいが、それらが同じである場合が一般的である。具体的には、式8は、2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メチルフェニル、2,6-ビス(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル、2,6-ビス(ジナフチルメチル)-4-メチルフェニル、2,6-ビス(ジナフチルメチル)-4-メトキシフェニルであることができる。
【0009】
この化合物では、パラジウム(Pd)はまた、式9の構造を有するR10-(アリル-R12)-R1120と記載され得る化合物によって配位される。
【化10】
【0010】
この化合物において、R、R11及びR12は、水素、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アリール、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
特定の実施形態では、R12は水素である。別の特定の実施形態では、R11も水素である。
【0012】
更に別の特定の実施形態では、R10及びR20は、パラジウムのη-配位のための好適な5員又は6員の不飽和環を形成している。この実施形態では、5員又は6員の不飽和環を、少なくとも1つのベンゼン環と縮合させることができる。この実施形態では、R11及びR12は、水素であることができ、R10及びR20は、一緒になって、インデン環系を形成するように、ベンゼン環と縮合した5員不飽和環を形成してもよい。
【0013】
一般的に、しかしまた上記のR10、R11、R12及びR20に関する特定の実施形態では、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、フェニル、ナフチル又はそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0014】
したがって、R10-(アリル-R12)-R1120基は、例えばシンナミル又はアリルであり得る。また、それは、式10の化合物などの置換又は非置換インデンであることもできる。
【化11】
【0015】
この式10の化合物では、R40は、水素、置換若しくは非置換アルキル、並びに置換若しくは非置換アリール、より具体的にはフェニル、ナフチル、p-メチルフェニル、メチル、エチルプロピル、イソプロピル、ブチル、又はtert-ブチルであることができる。
【0016】
式1~3の化合物は、それぞれのNHC配位子の塩、通常はイミダゾリウム塩を、溶媒中のパラジウム二量体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)](式中、R、R10、R11、R12、R20及びXは、上で定義されているとおりである)と反応させる方法によって作製することができる。
【0017】
この反応は、以下の方程式によって例示することができる。
【化12】
【0018】
その方法は、使用される溶媒に関してかなり堅牢であるため、多種多様な溶媒を用いることができる。好適な溶媒は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、極性溶媒、具体的には直鎖状若しくは環状ハロアルキル、エーテル、ケトン又はそれらの組み合わせである。したがって、好適な溶媒としては、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル(2-メトキシ-2-メチルプロパン)、エチル-tert-ブチルエーテル、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン、アセトン又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
反応は、パラジウム遊離体[Pd(R10-(アリル-R12)-R1120)(μ-X)]、イミダゾリウム塩のようなNHC塩、及び溶媒を、好適な反応器に入れ、一般に広い範囲から選択することができる、好適な反応時間の間、好適な反応温度で撹拌しながら反応させることによって容易に実施することができる。
【0020】
例えば、その反応は、選択した溶媒を還流させることによって単に実施してもよく、使用される溶媒がトルエンである場合、例えば111℃などの溶媒の沸点に反応温度を設定することになる。一般に、20℃~111℃、特に40℃~90℃の反応温度が好適であることが証明されている。使用される遊離体及び温度に応じて、30分~24時間、特に1~5時間の反応時間が、十分なものであることが証明されている。その後、溶媒を、例えば蒸留によって除去し、生成物、すなわち式1、1a、2又は3の化合物が、通常は90%超、しばしば98%又は99%もの収率で得られる。
【0021】
式1、1a、2又は3の単離された化合物を使用して、式11
【化13】
を有する[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の触媒活性化合物を、溶媒の存在下で塩基を添加することによって、調製することができる。
【0022】
より具体的には、[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の錯体を作製する方法は、
式1、1a、2又は3のいずれか1つに記載の化合物を提供するステップと、
前記化合物を溶媒の存在下で塩基と反応させるステップと、
所望により、得られた[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]を単離するステップと、
を含み、
NHCは、上で定義した式1、1a、2又は3のいずれか1つに記載の化合物の対応するNHC配位子である。
【0023】
発明の一実施形態では、[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物は、R、R10、R11、R12及びR20の全てが水素である化合物とは異なっているか、又は
[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物は、R、R10、R11及びR20が水素であり、R12がメチルである化合物とは異なっているか、又は
[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]と略記される式11の化合物は、Xが塩素である化合物とは異なっている。
【0024】
より具体的には、式11は、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であり、式中、R、R10、R11、R12及びR20のうちの少なくとも1つは水素とは異なる。
【0025】
更により具体的には、式11は、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であり、式中、R、R10、R11及びR20は水素であり、R12は水素又はメチルとは異なる。
【0026】
別の特定の実施形態では、式11は、式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物であり、式中、Xは塩素とは異なる。
【0027】
特に、式11は、[N,N’-ビス-((2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール)-2-イリデン]Pd(η-アリル)Clとは異なる式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の化合物である。
【0028】
この方法は、使用される溶媒に関してかなり堅牢であるため、多種多様な溶媒を用いることができる。好適な溶媒は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、極性溶媒、具体的には直鎖状又は環状ハロアルキル、エーテル、ケトン、アルコール又はそれらの組み合わせである。極性非プロトン性又は極性プロトン性溶媒が有用であることが見出されている。
【0029】
したがって、好適な溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル(2-メトキシ-2-メチルプロパン)、エチル-tert-ブチルエーテル、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン若しくはジオキサン、アセトン、C~Cアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、若しくはn-ブタノール又はそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
塩基は、塩基性金属化合物、例えばアルカリ若しくは土類アルカリの酸化物、水酸化物若しくは炭酸塩、又は有機塩基、例えばアミンであることができる。具体的には、好適な塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ピリジン又はトリエチルアミンである。反応時間は、一般に、1~12時間、より具体的には2~10時間、又は3~8時間、又は3~6時間の範囲であることができる。反応温度は、殆どの場合、溶媒の沸点に応じて、例えば20℃~115℃、又は35℃~100℃、又は40℃~80℃、又は40℃~60℃とすることができる。
【0031】
このようにして得られた[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型のパラジウム錯体は、パラジウム触媒による触媒作用を受けやすい化学反応を触媒するために、使用することができる。
【0032】
より具体的には、化学反応を触媒するこの方法は、
上記の方法を使用して、[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を提供するステップと、
式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を化学反応における触媒として使用するステップと、
を含み、式中、NHCは、上で定義した式1、1a、2又は3のいずれか1つに記載の化合物の対応するNHC配位子である。
【0033】
この方法は、有機化学において炭素-炭素又は炭素-窒素カップリング反応を行うのに特に好適である。より具体的には、Buchwald-Hartwigカップリング反応、Suzuki-Miyauraカップリング反応、Heck反応又はStille反応、並びにNegishi、Sonogashira及びHiyamaカップリング反応をこのようにして行うことができる。
【0034】
上で定義した式1、1a、2又は3のいずれか1つの化合物を、触媒されるカップリング反応の反応混合物に、塩基と一緒に添加し、次いで文献に通常記載されているようにカップリング反応を行うことができる。Heck反応では、例えば、塩基は、通常は、任意の方法で添加される。最良の結果を達成するために、数回の試験で塩基の量を適合させることが必要であり得る。
【0035】
上記の方法によって、すなわち、溶媒の存在下で塩基を添加し、次いで[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を反応混合物に添加することによって、式1、1a、2又は3のいずれか1つの化合物から式[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]の錯体を調製することも可能である。[Pd(NHC)(R10-(アリル-R12)-R1120)X]型の錯体を単離し、次いでカップリング反応の反応混合物に添加することができるか、又は、場合によっては、その溶液を、カップリング反応の反応混合物に単に移してもよい。
【実施例
【0036】
33.[Pd(IPr)(cin)Cl]の合成及び最適化
小規模:
IPr・HCl(50.0mg、0.117mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](25.3mg、0.048mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.5mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、続いてKCO(13.5mg、0.097mmol)を入れた。その混合物を60℃で5時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(1~2mL)に再溶解し、シリカのパッドで濾過した。シリカをDCM(20mL)で洗浄した。得られた溶液を濃縮し、粉末が得られるまで真空下で乾燥させた。場合によっては、残留DCMを除去するためにペンタン(5mL)で洗浄することが必要であった。生成物が微結晶性材料として98%(60.9mg)の収率で得られた。
【0037】
大規模:
IPr・HCl(1.96g、4.63mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](1g、1.93mmol)及び電磁撹拌棒を、シンチレーションバイアル瓶又は丸底フラスコに入れた。次いでアセトン(20mL)を加え、続いてKCO(533mg、3.86mmol)を加え、その反応混合物を24時間還流させた。上記と同じ一般的な作業により、95%(2.33g)の収率で生成物が得られた。
【0038】
H NMR(400Mhz,CDCl3):δ(ppm)=δ7.50(t,J=7.7Hz,2H),7.48-7.28(d,J=7.7Hz,4H),7.12(m,5H),5.09(m,1H),4.36(d,J=12.9Hz,1H),3.06(m,5H),1.77(d,J=11.4Hz,1H),1.43-1.36(m,12H),1.16(d,J=7.1Hz,12H)。
【0039】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ184.8(C,カルベン),145.9(C),137.7(C),135.7(C),129.7(CH)128.0(CH),127.9(CH),127.1(CH),126.5(CH),124.0(CH),123.6(CH),108.6CH),90.0(CH),46.1(CH),33.9(CH),28.4(CH),26.0(CH),22.8(CH)。
【0040】
元素分析:期待値C=66.66,H=7.15,N=4.32.実測値C=66.73,H=7.27,N=4.38。
【0041】
【表1】
【0042】
H NMRはスペクトル中の不純物を示す。単離収率。全ての反応は、テクニカルグレードのアセトン(IPr・HClに対して0.235M)を使用して空気中で実施した。濃度=0.117M。濃度=0.058M。IPr・HCl及び[Pd(cin)Cl]をアセトン中で60℃で1時間撹拌し、次いでKCOを添加し、その混合物を60℃で5時間撹拌した。
【0043】
34.[Pd(IPr)(アリル)Cl]の合成及び最適化
小規模:
IPr・HCl(50.0mg、0.117mmol)、[Pd(アリル)(μ-Cl)](17.8mg、0.048mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.5mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、続いてKCO(13.5mg、0.097mmol)を入れた。その混合物を60℃で5時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(1~2mL)に再溶解し、シリカのパッドで濾過した。シリカをDCM(20mL)で洗浄した。得られた溶液を濃縮し、粉末が得られるまで真空中で乾燥させた。場合によっては、残留DCMを除去するためにペンタン(5mL)で洗浄することが必要であった。生成物が微結晶性材料として85%(47.6mg)の収率で得られた。
【0044】
大規模:
IPr・HCl(2.70g、6.55mmol)、[Pd(アリル)(μ-Cl)](1g、2.73mmol)及び電磁撹拌棒を、シンチレーションバイアル瓶又は丸底フラスコに入れた。次いでアセトン(28mL)を加え、続いてKCO(755mg、5.47mmol)を加え、その反応混合物を10時間還流させた。上記と同じ一般的な作業により、92%(2.87g)の収率で生成物が得られた。
【0045】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.42(t,J=7.32Hz,2H),7.28(m,4H),7.15(s,2H),4.86-4.76(m,1H),3.91(dd,J=5.66Hz,1H),3.16-3.03(m,2H),3.04(d,J=6.31Hz,1H),2.89-2.82(m,2H),2.77(d,J=13.64Hz,1H),1.59(d,J=12.09Hz,1H),1.39(d,J=7.12Hz,6H),1.34(d,J=6.8Hz,6H),1.18(d,J=7.05,6H),1.09(d,J=7.12Hz,6H)。
【0046】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ186.1(C,カルベン),146.0(C),145.8(C),135.6(C),129.7(CH),123.9(CH),123.7(CH),123.6(CH),114.0(CH),72.3(CH),49.3(CH),28.4(CH),28.3(CH)26.4(CH),25.6(CH),22.7(CH),22.6(CH)。
【0047】
元素分析:期待値C=62.93,H=7.39,N=4.89,実測値C=63.06,H=7.55,N=5.02。
【0048】
【表2】
【0049】
H NMRはスペクトル中の不純物を示す。DCMを使用しシリカを通して濾過した後の単離収率。全ての反応を、テクニカルグレードのアセトン(0.235M)を使用して空気中で実施した。
【0050】
35.[Pd(IPr)(cin)Cl]の合成及び最適化
小規模:
IPr・HCl(110mg、0.116mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](30.0mg、0.058mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.5mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、その反応を60℃で1時間撹拌した。次いで、KCO(32.0mg、0.232mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(1~2mL)に再溶解し、シリカのパッドを通して濾過した。シリカをDCM(20mL)で洗浄した。得られた溶液を濃縮し、粉末が得られるまで真空中で乾燥させた。場合によっては、残留DCMを除去するためにペンタン(5mL)で洗浄することが必要であった。生成物が微結晶性材料として94%(127mg)の収率で得られた。
【0051】
大規模:
IPr・HCl(3.66g、3.86mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](1g、1.93mmol)及び電磁撹拌棒を、シンチレーションバイアル瓶又は丸底フラスコに入れた。次いで、アセトン(13mL)を添加し、反応を3時間還流させた(65℃)。次いで、KCO(1.07g、7.72mmol)を添加し、その反応混合物を30時間還流させた。上記と同じ一般的な作業により、98%(4.23g)の収率で生成物を得た。
【0052】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.50(d,J=7.10Hz,2H),7.41(t,J=7.42,3H),7.37(m,16H),7.08(m,14H),6.82(m,14H),6.09(s,2H),5.70(s,2H),5.31(s,2H),5.01-4.96(m,1H),4.64(d,J=12.8Hz,1H),2.59(d,J=5.8Hz,1H),2.23(s,6H)。
【0053】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ182.3(C,カルベン),144.3(C),143.5(C),143.4(C)141.1(C),140.3(C),138.1(C),137.5(C),135.6(C),130.3(CH),130.0(CH),129.0(CH),128.9(CH),128.3(CH),128.1(CH),127.9(CH),127.4(CH),126.9(CH),126.1(CH),126.1(CH),123.2(CH)108.7(C),91.0(C),53.3(CH),47.1(C),21.7(CH)。
【0054】
元素分析:期待値:C 79.85、H 5.67、N 2.39。実測値:C 79.64、H 5.81、N 2.36。
【0055】
【表3】
【0056】
H NMRはスペクトル中の不純物を示す。DCMを使用しシリカを通して濾過した後の単離収率。全ての反応を、テクニカルグレードのアセトンを使用して空気中で実施した。明瞭なNMRスペクトルが得られたが、それを再現することは困難であった。アセトン中のIPr・HCl及び[Pd(cin)Cl]を、60℃で7分間撹拌し、次いでKCOを添加し、5時間撹拌し加熱した。アセトン中のIPr・HCl及び[Pd(cin)Cl]を、60℃で1時間撹拌し、次いでKCOを添加し、その混合物を、表示した時間、60℃で撹拌した。アセトン中のIPr・HCl及び[Pd(cin)Cl]を、60℃で3時間撹拌し、次いでKCOを添加し、その混合物を、24時間、60℃で撹拌した。
【0057】
36.[Pd(SIPr)(cin)Cl]の合成
【化14】
【0058】
SIPr・HCl(110mg、0.234mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](49.7mg、0.096mmol)及び電磁撹拌棒を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れた。次いでアセトン(1mL)を添加し、続いてKCO(26.9mg、0.192mmol)を添加し、その混合物を60℃で5時間撹拌した。上記と同じ一般的な作業により、微結晶性材料として78%(122mg)の収率で所望の錯体が得られた。
【0059】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.38-7.35(m,2H),7.26(d,J=7.52Hz,3H),7.14-7.13(m,4H),5.09-5.01(m,1H),4.33(d,J=13.3Hz,1H),4.02(s,4H),3.44(br.s,1H),1.43(m,12H),1.27(d,J=6.31Hz,12H)。
【0060】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl3):δ(ppm)=δ212.1(C),147.2(C),137.7(C),136.4(C),129.1(C),128.3(CH),127.4(CH),126.8(CH),124.3(CH),109.2(CH),91.7(CH),54.1(CH),46.0(CH),28.6(CH),26.7(CH)。
【0061】
元素分析:期待値:C 66.76、H 7.72、N 4.21。実測値:C 66.63、H 7.64、N 4.27。
【0062】
37.[Pd(SIMes)(cin)Cl]の合成
【化15】
【0063】
SIMes・HCl(100mg、0.292mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](62.9mg、0.122mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(1.2mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、続いてKCO(33.5mg、0.243mmol)を入れた。その混合物を60℃で5時間撹拌した。次いで、一般的な作業手順後に、微結晶性材料として80%(135mg)の収率で生成物が得られた。
【0064】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.12(m,3H),7.06(m,2H),6.96(d,J=11.19Hz,4H),5.30(s,1H),5.12-5.04(m,1H),4.27(d,J=12.96Hz,1H),3.99(m,4H),3.27(d,J=6.86Hz,1H),2.44(d,J=15.24Hz,10H),2.31(s,6H),1.93(m,1H)。
【0065】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ210.9(C,カルベン),138.0(C),137.8(C),136.3(C),135.7(C),129.1(CH),128.0(CH),127.5(CH),127.1(CH),126.4(CH),109.4(CH),92.1(CH),51.0(CH),46.5(CH),20.9(CH)。
【0066】
元素分析:期待値:C 66.76、H 7.72、N 4.21。実測値:C 66.63、H 7.64、N 4.27。
【0067】
38.[Pd(IPr*2-Np)(cin)Cl]の合成
【化16】
【0068】
IPr*2-Np・BF(171.2mg、0.115mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](30.0mg、0.058mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(1.1mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れた。その反応を60℃で1時間撹拌した。次いで、KCO(32.0mg、0.232mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間撹拌した。一般的な作業手順後に、微結晶性材料として94%(170mg)の収率で生成物が得られた。
【0069】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.86-7.84(m,12H),7.71(d,J=6.95Hz,2H),7.62(d,J=7.79Hz,4H),7.67-7.51(m,7H),7.47-7.41(m,10H),7.39-7.29(m,9H),7.26-7.16(m,14H),7.16(d,J=15.6Hz,4H),7.12(s,4H),6.94(d,J=8Hz,2H),6.60(d,J=9.68Hz,2H),5.37(s,2H),5.05(d,J=12.94Hz,1H),3.15(d,J=7.1Hz,1H),2.24(s,6H),1.94(d,J=11.3Hz,1H)。
【0070】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ182.0(C,カルベン),141.2(C),138.5(C),135.9(C),133.0(C),132.9(C),132.0(CH),131.8(CH),130.7(CH),129.2(CH),128.9(CH),128.6(CH),127.9(CH),127.8(CH),127.7(CH),127.4(CH),127.3(CH),127.0(CH),125.7(CH),125.6(CH),125.5(CH),109.6(CH),92.1(CH),51.5(CH),47.1(CH),21.7(CH)。
【0071】
元素分析:期待値:C 84.01、H 5.19、N 1.78。実測値:C 83.87、H 5.23、N 1.91。
【0072】
39.[Pd(IPent)(cin)Cl]の合成
【化17】
【0073】
IPent・HCl(100mg、0.186mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](48.2mg、0.093mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.8mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、その反応を60℃で1時間撹拌した。次いで、KCO(51.4mg、0.372mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間撹拌した。一般的な作業手順後に、微結晶性材料として85%(123mg)の収率で生成物が得られた。
【0074】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.41-7.37(m,2H),7.18-7.09(m,11H),5.21-5.13(m,1H),4.41(d,J=13.4Hz,1H),2.53(br.m,4H),2.11-1.97(m,4H),1.76-1.72(m,4H),1.63(m,4H),1.52-1.43(m,4H),1.01(m,12H),0.77(m,12H)。
【0075】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ181.5(C,カルベン),143.6(C),137.5(C)137.5(C),128.8(CH),128.2(CH),127.2(CH),126.6(CH),124.8(CH),124.2(CH),108.2(C),91.4(CH),41.5(CH),27.9(CH),27.2(CH),12.8(CH),11.2(CH)。
【0076】
元素分析:期待値:C 69.55、H 8.09、N 3.69。実測値:C 69.49、H 8.19、N 3.80。
【0077】
40.[Pd(IHept)(cin)Cl]の合成
【化18】
【0078】
IHept・HCl(100mg、0.154mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](39.8mg、0.076mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.7mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、反応を60℃で1時間撹拌した。次いで、KCO(42.5mg、0.308mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間撹拌した。一般的な作業手順後に、微結晶性材料として81%(109mg)の収率で生成物が得られた。
【0079】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.40-7.36(m,2H),7.19-7.13(m,9H),7.06(s,2H),5.18-5.10(m,1H),4.44(d,J=13.8Hz,1H),2.61(br.s,4H),1.98-1.91(m,4H),1.56-1.26(m,20H),1.15-1.11(m,8H),0.90(t,J=7.12Hz,7.28Hz,24H)。
【0080】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ181.4(C,カルベン),144.2(C),137.5(C),137.2(CH),128.9(CH),128.1(CH),127.3(CH),126.5(CH),124.7(CH),124.2(CH),108.1(C),91.5(CH),39.1(CH),39.0(CH),37.8(CH),21.4(CH),20.3(CH),14.5(CH)。
【0081】
元素分析:期待値:C 71.62、H 8.90、N 3.21。実測値:C 71.5、H 8.75、N 3.30。
【0082】
41.[Pd(IPr*OMe)(cin)Cl]の合成
【化19】
【0083】
IPr*OMe・HCl(110mg、0.103mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](26.7mg、0.051mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.5mL)を、バイアル瓶又は丸底フラスコに入れ、その反応を60℃で1時間撹拌した。次いで、KCO(28.5mg、0.206mmol)を添加し、その混合物を60℃で24時間撹拌した。一般的な作業手順後に、微結晶性材料として85%(107mg)の収率で生成物が得られた。
【0084】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ7.49(d,J=7.37Hz,2H),7.40(t,J=7.09Hz,2H),7.30-7.19(m,22H),7.10-7.09(m,11H),6.85(d,J=7.24Hz,4H),6.80(d,J=6.57Hz,4H),6.55(s,4H),6.07(s,2H),5.73(s,2H),5.23(s,2H),5.13-5.05(m,1H),4.69-4.66(m,1H),3.57(s,6H),2.67-2.66(m,1H)。
【0085】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ182.9(C,カルベン),158.6(C),144.0C),130.2(C),129.0(C),128.9(C),128.4(C),128.1(C),128.0(CH),127.4(CH),127.0(CH),126.3(CH),126.1(CH),123.3(CH),114.8(CH),114.7(CH),108.7(C),91.7(CH),54.8(CH),51.4(CH),47.0(CH)。
【0086】
元素分析:期待値:C 77.8、H 5.44、N 2.33。実測値:C 77.59、H 5.35、N 2.36。
【0087】
42.パラデート中間生成物の合成及び分析
【化20】
【0088】
42.1.[IPrH][Pd(cin)Cl](1a)の合成
IPr・HCl(82.04mg、0.193mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](50.0mg、0.096mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.8mL)を、バイアル瓶に入れた。その混合物を60℃で1時間撹拌した。溶媒を除去し、生成物を真空下で乾燥させた。生成物を濃橙色粉末として99%(132mg)の収率で得た。ヘキサンをDCM中錯体溶液中に蒸気拡散させることにより、単結晶を成長させた。
【0089】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=9.19(s,1H),8.32(d,J=1.60Hz,2H),7.56-7.52(m,2H),7.46(d,J=7.44Hz,2H),7.33(d,J=7.75Hz,4H),7.21(m,3H),5.66(s,1H),4.46(s,1H),3.83(s,1H),2.90(s,1H),2.48-2.41(m,4H),1.27(d,J=6.81Hz,12H),1.19(d,J=6.76Hz,12H)。
【0090】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ144.9(C),136.7(CH),131.8(C),129.7(C),128.4(CH),127.7(CH),127.5(CH),124.5(CH),105.0(C),28.8(CH),24.4(CH),23.7(CH)。
【0091】
元素分析:期待値:C 63.02、H 7.05、N 4.08。実測値:C 62.92、H 7.14、N 4.15。
【0092】
42.2.[IPrH][Pd(アリル)Cl](1b)の合成
IPr・HCl(82.04mg、0.193mmol)、[Pd(アリル)(μ-Cl)](35.3mg、0.0965mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(0.8mL)をバイアル瓶に入れた。その混合物を60℃で1時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、真空下で乾燥させた。生成物を黄色粉末として99%(117mg)の収率で得た。
【0093】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=9.16(s,1H),8.28(d,J=1.62Hz,2H),7.54-7.50(m,2H),7.32(d,J=7.17Hz,4H),5.16-5.10(m,1H),3.76(s,2H),2.67(d,J=11.57Hz,2H),2.48-2.44(m,4H),1.27(d,J=6.79Hz,12H),1.20(d,J=7.20Hz,12H)。
【0094】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=δ144.9(C),136.8(CH),131.8(C),129.7(C),127.3(CH),124.4(CH),108.9(C),60.3(CH),28.8(CH),24.4(CH),23.8(CH)。
【0095】
元素分析:期待値:C 59.07、H 7.27、N 4.59。実測値:C 58.90、H 7.17、N 4.57。
【0096】
42.3.[IPrH][Pd(cin)Cl](1c)の合成
IPr・HCl(109.9mg、0.115mmol)、[Pd(cin)(μ-Cl)](30.0mg、0.058mmol)、電磁撹拌棒及びアセトン(1.1mL)を、バイアル瓶に入れた。その混合物を60℃で5時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、真空下で乾燥させた。生成物が黄色粉末として99%(139mg)で得られた。ヘキサンをDCM中錯体溶液中に蒸気拡散させることにより、単結晶を成長させた。
【0097】
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=δ12.52(s,1H),7.31-7.23(m,17H),7.19-7.06(m,17H),6.77-6.75(m,10H),5.87-5.75(br.m,1H),5.41(s,4H),5.33(s,2H),4.68-3.68(m,2H),3.15-2.45(m,1H),2.18(s,6H)。
【0098】
13C{H}NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)142.6(C),142.5(C),142.1(C),140.7(C),140.6(CH),130.7(C),130.2(CH),129.1(C),128.3(C),127.9(CH),126.6(CH),126.5(CH),122.8(CH),105.5(CH),51.0(CH),21.7(CH)。
【0099】
元素分析:期待値:C 77.38、H 5.66、N 2.31。実測値:C 77.25、H 5.47、N 2.36。
【0100】
43.Suzuki-Miyauraカップリング
【化21】
【0101】
43.1.方法A:1
プレ触媒を含有するバイアル瓶をグローブボックス内に移した。グローブボックス内で、バイアル瓶に、撹拌棒、4-クロロアニソル(0.5mmol)、フェニルボロン酸(1当量)及びK2CO3(1.1当量)を入れた。次いで、バイアル瓶を、セプタムが装着されたスクリューキャップで密封した。反応混合物をグローブボックスの外に出した。1mLのエタノール/水(1:1)混合物(脱気した)を添加し、その反応混合物を80℃で4時間撹拌した。
【0102】
43.2.方法B:
プレ触媒を含有するバイアル瓶をグローブボックス内に移した。グローブボックス内で、バイアル瓶に、撹拌棒、4-クロロアニソール(0.5mmol)、フェニルボロン酸(1当量)及びK2CO3(1.1当量)を入れた。バイアル瓶を、セプタムが装着されたスクリューキャップで密封した。反応混合物をグローブボックスの外に出した。1mLのエタノール(脱気した)を添加し、その反応混合物を室温で20時間撹拌した。
【0103】
43.3.方法C1、C3:
バイアル瓶に、アルゴン下で、撹拌棒、1a~c(0.3mol%)及びK2CO3(1.1当量)を入れた。その混合物を、60℃ で1時間(C1)又は60℃で30分間(C3)、撹拌した。次いで4-クロロアニソール(0.5mmol)及びフェニルボロン酸(1当量)を添加し、その反応混合物を室温で20時間撹拌した。
【0104】
エントリ7~9の場合、1a~cの代わりに、Pd二量体(0.15mol%)及びNHC・HCl(0.3mol%)を使用した。
【0105】
43.4.方法C2:
1a~c(0.3mol%)を含有するバイアル瓶をグローブボックス内に移した。グローブボックス内で、バイアル瓶に、撹拌棒、4-クロロアンシオール(0.5mmol)、フェニルボロン酸(1当量)及びKCO(1.1当量)を入れた。バイアル瓶を、セプタムが装着されたスクリューキャップで密封した。反応混合物をグローブボックスの外に出した。1mLのエタノール(脱気した)を添加し、その反応混合物を、60℃で1時間、室温で20時間、撹拌した。
【0106】
カップリング生成物:4-メトキシ-1,1’-ビフェニル
H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=7.59-7.50(m,4H),7.45-7.39(m,2H),7.33-7.28(m,1H),7.02-6.95(m,2H),3.86(s,3H)。
【0107】
得られた分析データは、報告したデータのとおりである。