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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】暖地型芝草内の雑草防除方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20221012BHJP
   A01P 13/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A01N43/90 103
A01P13/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019539813
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018051588
(87)【国際公開番号】W WO2018134439
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/449,246
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300091441
【氏名又は名称】シンジェンタ パーティシペーションズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ジョン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダント ルーカス
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504567(JP,A)
【文献】特表2015-519364(JP,A)
【文献】特表2010-523509(JP,A)
【文献】特表2009-524597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0120618(US,A1)
【文献】Matthew T. Elmore et al.,Weed Technology,2016年,Vol.30,p.919-928
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00- 65/48
A01P 1/00- 23/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖地型芝草において、熱帯型シグナルグラス、熱帯型カーペットグラス、オニメヒシバ、バヒアグラス、ハイキビ、ブル・パスパルムおよびシン・パスパルム、ならびにダリスグラスから選択される雑草を防除する方法であって、前記暖地型芝草に、または前記暖地型芝草の所在場所に、除草的に有効な量の、ピノキサデンを含む組成物を施用する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記暖地型芝草が、バーミューダグラス、ノシバ、およびセントオーガスチンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暖地型芝草が、ノシバである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、アジュバント、溶媒、キャリア、界面活性剤、または増量剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、0.01~90重量%の前記ピノキサデン、10~99.99%のキャリア、及び0~20%の界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1ヘクタールあたり0グラムのピノキサデン~1ヘクタールあたり00グラムのピノキサデンの割合でピノキサデンを施用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1ヘクタールあたり0グラムのピノキサデン~1ヘクタールあたり65グラムのピノキサデンの割合でピノキサデンを施用する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ダリスグラスを防除する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
熱帯型シグナルグラスを防除する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
熱帯型カーペットグラスを防除する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ハイキビを防除する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
バヒアグラスを防除する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
芝が成長する時期の間、ピノキサデンを14~60日の間隔で~10回施用する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
芝が成長する時期の間、ピノキサデンを28~42日の間隔で~5回施用する、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
芝が成長する時期の間、ピノキサデンを7~21日の間隔で~21回施用する、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
芝が成長する時期の間、ピノキサデンを10~18日の間隔で~12回施用する、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
解毒剤クロキントセット-メキシルを、ピノキサデンと同時に、または順次、前記暖地型芝草に施用する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記暖地型芝草に、または前記暖地型芝草の所在場所に、追加の除草剤を施用する工程を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖地型芝草内の不所望の植生構成要素を選択的に防除する方法に関する。より詳細には、本発明は、ピノキサデン、またはピノキサデンを含む除草性組成物による、暖地型芝草内の雑草防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作物の成長を阻害する雑草および他の植物からの作物の保護は、農業および芝管理において常に繰り返される問題である。加えて、審美的に、そのような不所望の雑草および植物の除去は、例えば、ゴルフコース、芝農場、芝生、および公園等の領域において芝を成長させる場合に、重要となり得る。当該問題との戦いの一助となるように、合成化学の分野の研究者は、そのような不所望の成長の制御に有効な、多くの種類の化学物質および化学製剤を生み出してきた。多くのタイプの化学除草剤が文献に開示されており、大多数が商業利用されている。市販の除草剤、およびまだ開発中である一部が、‘The Pesticide Manual’、第13版、2003、British Crop Protection Council出版に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要として、本発明は、不所望の植生構成要素、例えば暖地型芝草内の商業的に重大な雑草を、暖地型芝草に、または暖地型芝草の所在場所に、除草的に有効な割合のピノキサデン、またはピノキサデンを含む除草性組成物を施用することによって選択的に防除する方法を含む。
【0004】
先の要約は、本開示のある実施形態を要約することを意図している。図および以下の詳細な説明において、系、方法、および組成物が、効能を実証する実施例と共に、より詳細に示される。しかしながら、詳細な説明が本発明を限定することを意図していないことは明らかであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって適切に確定されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
先で示されるように、本発明は、暖地型芝草内の、熱帯型シグナルグラス、熱帯型カーペットグラス、オニメヒシバ(large crabgrass)、バヒアグラス、ハイキビ(torpedograss)、ブル・パスパルム(bull paspalum)およびシン・パスパルム(thin paspalum)、ならびにダリスグラスから選択される特定の雑草を、暖地型芝草に、または暖地型芝草の所在場所に、除草的に有効な割合のピノキサデンまたはその除草性組成物を施用することによって選択的に防除する方法を含む。
【0006】
ピノキサデン(IUPAC:8-(2,6-ジエチル-4-メチルフェニル)-7-オキソ-1,2,4,5-テトラヒドロ-7H-ピラゾロ[1,2-d][1,4,5]オキサジアゼピン-9-イル-2,2-ジメチルプロパノアート)は、フェニルピラゾール除草剤である。ピノキサデンは、膜脂質の合成を阻害して、標的の乾燥化をもたらす。
【0007】
本発明に従えば、「芝草」によって、一年生または多年生のイネ科植物が理解される。前記イネ科植物は、好ましくは、カモジグサ(Agropyron)属、ヌカボ(Agrostis)属、アクソノプス(Axonopus)属、スズメノチャヒキ(Bromus)属、ブクロイ(Buchloe)属、ギョウギシバ(Cynodon)属、ムカデシバ(Eremochloa)属、ウシノケグサ(Festuca)属、ドクムギ(Lolium)属、スズメノヒエ(Paspulum)属、チカラシバ(Pennisetum)属、アワガエリ(Phleum)属、イチゴツナギ(Poa)属、イヌシバ(Stenotaphrum)属、またはシバ(Zoysia)属の1つまたは複数に属する。一部の実施形態において、前記イネ科は、ヌカボ(Agrostis)属、ブクロイ(Buchloe)属、ギョウギシバ(Cynodon)属、ムカデシバ(Eremochloa)属、ウシノケグサ(Festuca)属、ドクムギ(Lolium)属、スズメノヒエ(Paspulum)属、チカラシバ(Pennisetum)属、イチゴツナギ(Poa)属、イヌシバ(Stenotaphrum)属、またはシバ(Zoysia)属の1つまたは複数に属する。
【0008】
本発明の方法は、一部の実施形態において、暖地型芝草に有用であり得る。本発明において有用であり得る一部の暖地型芝草として、以下に限定されないが、バーミューダグラス(ギョウギシバ(Cynodon)属L.C.Rich)、ノシバ(シバ(Zoysia)属Willd.)、セントオーガスチングラス(Stenotaphrum secundatum(Walt.)Kuntze)、センチピードグラス(Eremochloa ophiuroides(Munro.)Hack.)、バファローグラス(Buchloe dactyloides(Nutt.)Engelm.)が挙げられる。
【0009】
本発明に従えば、芝の「所在場所」は、土壌または担体に関連するものであってよい。そのような所在場所の例がゴルフコースであり、この上で芝草が管理される。本発明に従えば、用語「土壌」は、典型的には陸域上に存在する天然の土壌、例えばゴルフコース上に存在する土壌を意味し、または改良された土壌、例えば顆粒状にされ、かつ/または農薬、例えば肥料で処理された土壌を意味する。顆粒状にされ、かつ/または処理された土壌の例が、米国特許第5265372号明細書に開示されている。
【0010】
本発明に従えば、用語「担体」は、種々の既存のグラウンド構造体への利用に適した、芝草等を成長させるための媒体を意味する。典型的には、そのような媒体は、十分な割合の、エラストマ状顆粒、適切な結合エマルジョン、鉱物凝集体、充填剤、および徐放植物栄養粒子の成分を含む土壌フリー混合物であるので、前記混合物は、与えられて硬化すると、芝草の根系が侵入することができるエアポケットを有する、透水性の、弾力のある担体を生じさせる。前記担体上で成長する芝草は、非多孔性表面、例えば建築物の屋根、テラス、および他の硬い表面域にも、多孔質表面、例えばフットボールフィールドまたはゴルフコースにも利用され得る芝を形成することができる。そのような担体の例が、国際公開第2005/002323号に記載されている。エラストマ状顆粒は、例えば、ゴムの顆粒、リサイクル車両タイヤゴムの顆粒、またはそれらの混合物であってよい。
【0011】
本発明の方法は、除草的に有効な量のピノキサデンの施用を含む。本明細書中で用いられる用語「除草剤」は、植物の成長を制御または改変する化合物を表す。用語「除草的に有効な量」は、植物の成長に及ぶ作用を制御または改変することができる化合物または化合物の組合せの量を示す。作用の制御または改変として、例えば:死滅、遅延(retardation)、葉焼け、白化現象、矮化といった、天然の発育からの全ての逸脱が挙げられる。例えば、死滅しない植物は、多くの場合、発育阻害され、かつ開花の崩壊と非競合的である。用語「植物体」は、植物体の全ての実在部分を指し、種子、実生、幼樹、根、塊茎、幹、茎、葉、および果実が挙げられる。
【0012】
ピノキサデンが本発明の方法の一部として施用される割合は、防除されることとなる特定のタイプの雑草、必要とされる防除の程度、および施用方法のタイミングによって決まり得る。一部の実施形態において、ピノキサデンは、本発明の一部として、1ヘクタールあたり約5グラム(g/ha)~約5000g/haの施用割合にて施用され得る。本発明の更なる実施形態において、ピノキサデンの施用割合は、約20g/ha~約500g/ha;約30g/ha~約400g/ha;約30g/ha~約200g/ha;約50g/ha~約175g/ha;約70g/ha~約160g/haであってよい。本発明の更なる実施形態において、ピノキサデンの施用割合は、約60g/ha~約100g/ha、約65g/ha~90g/ha、または約70g/haであってよい。一実施形態において、施用される製剤の割合は、暖地型芝草に対して、9.6fl oz/1000平方ft(161g ai/haを含む)のピノキサデンである。一実施形態において、クロキントセット-メキシルが、ピノキサデンとの混合物中で、4:1の重量パーセント比(すなわち4部のピノキサデンおよび1部のクロキントセット-メキシル)で施用される。
【0013】
ピノキサデン、および他の、場合によっては施用される有効成分の利用される割合は、施用されることとなる芝生のタイプ、または芝生の用途に基づいて変わり得る。例えば、ゴルフコース、フェアウェイ、およびグリーン上には、典型的に、様々な割合の有効成分がスプレーされる。したがって、ピノキサデンは、本発明の方法の一部として、先で表されるいずれかの割合で施用され得る。
【0014】
一部の実施形態において、本発明の方法の実行において、ピノキサデンは、芝草またはその所在場所に対して約1~20回、約2~18回、約3~15回、約4~12回、約2~約8回、または約3~4回が、7~21日;7~14日;14~21日;7~28日;14~28日;もしくは21~28日の間隔で;または7日目、14日目、21日目、もしくは28日目に、処理されることとなる芝草の所在場所用のピノキサデンについての最大累積標識率(cumulative maximum labeled rate)まで、施用される。
【0015】
先で示されるように、本発明の方法は、農学的に重大な雑草に対して利用され得る。例えば、本発明の方法は、熱帯型シグナルグラス(Urochloa subquadripara)、熱帯型カーペットグラス(Axonopus compressus)、オニメヒシバ(Digitaria sanguinalis)、バヒアグラス(Paspalum notatum)、ハイキビ(Panicum repens)、ブル・パスパルムおよびシン・パスパルム(Paspalum setaceum)、ならびに/またはダリスグラス(Paspalum dilatatum)を防除するのに有用であり得る。
【0016】
本発明の方法はまた、本方法が用いられる芝草の品質を向上させるために利用されてもよい。本明細書中で用いられるフレーズ、芝草の「品質」は、芝草の視覚的品質および芝草の機能的品質を含むことを意味する。
【0017】
芝草の「視覚的品質」は、視覚的外観、例えば密度(単位面積あたりの地上のシュート数)、均一性(例えば質感、例えば葉身の幅の均一性。例えばレッドフェスクではきめが細かく、例えばトールフェスクではきめが粗くなり得る)、色、または平滑性(例えば、ゴルフコースのプレイ可能性に影響を及ぼす)に関する。
【0018】
芝草の「機能的品質」は、例えば、剛性(圧縮に対する芝草の葉の抵抗性であり、芝の耐摩耗性に関係する)、弾性(一旦圧縮力が除かれると跳ね返る芝草の葉の傾向)、弾力(その表面特性を変更することなくショックを吸収する芝の能力)、ボールロール(ボールが芝表面に放たれた直後に移動する平均距離)、収量(草刈りで刈り取った草の測定値)、新鮮さ(草刈り後に残っている地上のシュート量の測定値)、発根(成長期の間のいずれかの時点にて明らかな根の成長量)、および回復能力(病原体、昆虫、および交通等によって生じる損傷から回収する芝草の能力)に関する。
【0019】
本方法によって提供される芝草の品質の向上は、言及される視覚的品質特性もしくは機能的品質特性の1つに、またはこれらの品質特性のあらゆる組合せに関係し得る。本発明に従えば、「向上」は、本方法を利用していないが、同じ状況下で生じる同じ芝草品質特性に対する、所定の芝草品質特性の測定可能な、または顕著な増大である。芝草の品質特性の向上は、例えば、より緑色である、またはより好感の持てる、芝の葉色である。
【0020】
本発明の方法はまた、ピノキサデンを、追加の有効成分が挙げられる他の成分が付加されて含む組成物の施用を含んでもよい。本発明の方法に用いられるピノキサデン含有組成物は、芝草、その所在場所、またはその種子への施用の直前にエンドユーザーが水溶液中にピノキサデン含有組成物および別個の有効成分含有組成物、場合によっては1つまたは複数の付加的な有効成分含有組成物、そして場合によっては1つまたは複数の適切な界面活性剤もしくはアジュバントを混合することによって、現場で調製されてよい。そのような組成物は典型的に、「タンクミックス」組成物と呼ばれる。
【0021】
これ以外にも、本発明の方法に用いられる組成物は、エンドユーザーに、既に製剤化された、施用に所望される希釈度のもの(「直ぐに使える」組成物)として提供されてもよいし、エンドユーザーによる水中への希釈、分散または溶解を必要とするもの(「濃縮」組成物)として提供されてもよい。一部の実施形態において、予め製剤化された濃縮物は、液体であっても微粒子の固体であってもよい。本発明の方法の別の態様において、ピノキサデンは、芝草種子をキャリアとして用いて、芝草またはその所在場所に施用されてよい。
【0022】
本発明に従う方法に用いられる組成物は、1つまたは複数の付加的な有効成分、例えば殺菌剤、殺虫剤、除草剤、または付加的な成長調節因子を含んでよい。例として、殺菌剤を含む組成物があろう。あらゆる適切な殺虫剤が、例えば、ペストの防除を実現するために、課題を克服し、かつ耐性の開始を遅延するために、または有効成分の相加効果または強化された効果によって効能を向上させるために、組成物に用いられてよい。芝湿潤剤もまた、本発明の方法と併用されてよい。適切な例として、Revolution(登録商標)またはRadiance(登録商標)(Aquatrols);およびQualibra(商標)(Syngenta)が挙げられる。
【0023】
先に示されるように、本発明の幾つかの実施形態では、方法は施用されることになる1つまたは複数の付加的な有効成分を含み、これには、限定されないが、以下が挙げられる:アゾキシストロビン;付加的な植物成長調節因子、例えばトリネキサパックエチル;ウニコナゾールおよびパクロブトラゾール;ネオニコチノイド、例えばチアメトキサムおよびイミダクロプリド;ビスアマイド、例えばシアントラニリプロールおよびクロラントラニリプロール;フルアジナム;プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール;フルジオキソニル;メフェノキサム;シプロジニル;チオファネートメチル;イプロジオン;トリアジメホン;プロパモカルブ;ホセチル-al;フルルプリミドール;フルトラニル;ピラクロストロビン;ボスカリド;ビンクロゾリン;トリフロキシストロビン;ミクロブタニル;フェナリモル;SDHI殺菌剤、例えばペンチオピラド、イソピラザム、フルキサピロキサド、フルオピラム、およびソラテノール;フルオキサストロビン;ホスホン酸誘導体、例えばホスホン酸一カリウム塩;アバメクチン;シス-ジャスモン;アバメクチン鉄キレート混合物;ならびにラムダシハロトリン。
【0024】
更なる実施形態において、本発明の方法は、ピノキサデンを、以下の除草剤の1つ以上と共に施用することを含んでよい:グリホサート、2,4-D;2,4-Dコリン塩;2,4-D-2-エチルヘキシルエステル;ベンスルフロン-メチル;ビスピリバック-ナトリウム塩;カフェンストロール;シノスルフロン;クロマゾン;シハロホップ-ブチル;ダイムロン;ジカンバ(そのアルミニウム、アミノプロピル、ビス-アミノプロピルメチル、コリン、ジグリコールアミン、ジメチルアミン、ジメチルアンモニウム、カリウム、およびナトリウムの塩が挙げられる);エスプロカルブ;フェノキサプロップ-P-エチル;フロラスラム;ハロウキシフェン-メチル;ハロスルフロン-メチル;ヨーフェンスルフロン;イプフェンカルバゾン;メフェナセット;メソトリオン;メトスルフロン;モリナート;オルトスルファムロン;オキサジアルギル;オキサジアゾン;ペンディメタリン;ペノキススラム;プレチラクロール;ピラゾスルフロン-エチル;ピリベンゾキシム;ピリフタリド;キンクロラック;テフリルトリオン;トリアファモン;トリフロキシスルフロンおよびトリアスルフロン。
【0025】
本発明の特定の実施形態において、本明細書中で表される方法は、ピノキサデンおよび別の除草剤、例えばトリフロキシスルフロンが用いられてよい。更なる実施形態において、本明細書中で表される方法は、ピノキサデンおよび解毒剤、例えばクロキントセット-メキシルが用いられてよい。更なる有効成分のそれぞれが、上述のピノキサデンについて規定された割合で、または使用についてラベル表示されるそれ自体の割合で施用されてよく、そして先で示されたピノキサデンと同じ施用数で、かつ同じ間隔スケジュールで施用されてよい。
【0026】
適切な解毒剤として、イソキサジフェン-エチル、ベノキサコール、クロキントセット-メキシル、フェンクロラゾール-エチル、およびメフェンピル-ジエチルが挙げられる。特に、クロキントセット-メキシルが解毒剤として言及され得る。
【0027】
本発明の方法に用いられる組成物は、あらゆる従来形態で、例えばツインパック、乾燥種子処理用の粉末(DS)、種子処理用のエマルジョン(ES)、種子処理用の流動性濃縮物(FS)、種子処理用の溶液(LS)、種子処理用の水分散性粉末(WS)、種子処理用のカプセル懸濁液(CF)、種子処理用のゲル(GF)、エマルジョン濃縮物(EC)、懸濁液濃縮物(SC)、サスポエマルジョン(SE)、カプセル懸濁液(CS)、水分散性顆粒(WG)、乳化性顆粒(EG)、油中水エマルジョン(EO)、水中油エマルジョン(EW)、マイクロエマルジョン(ME)、油分散系(OD)、油混和性フロアブル(OF)、油混和性液体(OL)、可溶性濃縮物(SL)、極微量懸濁液(SU)、極微量液体(UL)、工業用濃縮物(TK)、分散性濃縮物(DC)、湿潤性粉末(WP)、または農業上許容可能なアジュバントと組み合わせた技術的に実行可能なあらゆる製剤の形態で用いられてよい。
【0028】
本発明の方法に従って用いられる前記組成物は、従来の様式で、例えばピノキサデンを少なくとも1つの適切な製剤アジュバントと混合することによって生産され得る。
【0029】
本発明に従う用語「製剤アジュバント」は、芝への施用を促進するためにピノキサデンが組み合わされる、天然または合成の、有機材料または無機材料を表す。それゆえにこのアジュバントは、通常不活性であり、そして農業上、特に芝に許容可能でなければならない。
【0030】
製剤アジュバントは、キャリアであっても界面活性剤であってもよい。本発明に従う組成物において、複数のアジュバントが存在してよく、そのような実施形態において、複数のキャリアおよび/または複数の界面活性剤が存在してよく、非限定的な例では、1つのキャリアおよび2つの界面活性剤であることがある。
【0031】
「キャリア」は、液体キャリア(水、アルコール、ケトン、石油留分、芳香族炭化水素またはパラフィン系炭化水素、塩素化炭化水素、および液化ガス等)であってもよいし、固体キャリアであってもよい。
【0032】
適切な液体キャリアとして、制限されないが、以下がある:芳香族炭化水素、特に画分C8からC12、例えばキシレン混合物もしくは置換ナフタレン、フタル酸エステル、例えばジブチルもしくはジオクチルフタレート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、脂肪族炭化水素、例えばシクロヘキサンもしくはパラフィン、アルコールおよびグリコール、ならびにそれらのエーテル、エステルおよびジエステル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ケトン、例えばシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、制限されないが、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルフォキシド、もしくはジメチルホルムアミド、および、適切な場合、エポキシ化植物油もしくはダイズ油;または水。
【0033】
適切な固体キャリアとして、制限されないが、以下がある:ケイ酸アルミニウム、尿素、硫酸ナトリウム、タルク、硫酸カルシウム、または硫酸カリウム、および種子。
【0034】
本発明に従えば、単一のキャリア、または2つ以上のキャリアの混合物が、本発明に従う方法に用いられる組成物中に存在してよい。
【0035】
「界面活性剤」は、良好な乳化特性、分散特性、および湿潤特性を有する非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、および/またはアニオン界面活性剤である。本発明に従えば、単一の界面活性剤が存在してもよいし、2つ以上の界面活性剤の混合物が存在してもよい。製剤技術において慣習的に使用される界面活性剤は、とりわけ、以下の刊行物に記載されている:“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual”,MC Publishing Corp.,Glen Rock,N.J.,1988、およびM.and J.Ash,“Encyclopedia of Surfactants”,Vol.I-III,Chemical Publishing Co.,New York,1980-1981。
【0036】
界面活性剤のうち、例えば、ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩または(モノ-もしくはジ-アルキル)ナフタレンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、酸化エチレンの、リグノスルホン酸塩との重縮合体、酸化エチレンの、脂肪アルコールとの、脂肪酸との、または脂肪アミンとの重縮合体、置換フェノール類(特に、アルキルフェノールまたはアリールフェノール、例えばモノ-およびジ-(ポリオキシアルキレンアルキルフェノール)ホスフェート、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールカルボキシレート、またはポリオキシアルキレンアルキルフェノールサルフェート)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウリド)、酸化エチレンの、リン酸処理されたトリスチリルフェノールとの重縮合体、および酸化エチレンの、アルコールまたはフェノール類のリン酸エステルとの重縮合体が言及され得る。
【0037】
本発明に従う方法に用いられる組成物は、1つまたは複数の製剤添加剤、例えば、殺生物剤、不凍剤、展着剤、増粘剤、および、例えば、ピグメントグリーン7;フタロシアニングリーンg;またはピグメントグリーン42等のピグメントグリーンが挙げられる1つまたは複数のフタロシアニンまたは銅フタロシアニンが挙げられる、補助効果を提供する化合物を含んでよいが、これらに限定されない。
【0038】
一般に、フタロシアニンまたは銅フタロシアニンが、本発明に従う方法に用いられる組成物中に存在する場合、施用の、芝草に対する、または芝草の所在場所に対する割合は、ヘクタールあたりフタロシアニン0.001から10キログラム(kg/ha)、適切には約0.01から約2kg/ha、より適切には約0.1から約1kg/ha、最も適切には約0.2から約0.8kg/haである。
【0039】
芝草への施用:
本発明に従う方法は、特に本発明に従うピノキサデンの有効な量で、芝草および/または雑草を処理することによって実行され得る。本発明の前記実施形態内で、ピノキサデンは、スプレーまたは拡散によって芝草に適切に施用される。本発明の方法に従う芝草の処理は、既知の技術を用いて、芝生ケア技術者またはゴルフコース技術者によって実行され得る。
【0040】
芝草の所在場所への施用:
本発明に従う方法に用いられる組成物は、芝草の所在場所を、本発明に従うピノキサデンを含む組成物で処理することによって、芝草に施用されてよい。
【0041】
本発明の方法に用いられるピノキサデンを含む組成物の、所在場所への施用は、液体施用(スプレー可能)または顆粒(不活性成分上に有効成分(a.i.)、そして肥料上にa.i.)(拡散可能)施用も包含する。
【0042】
例えば、本発明の方法の実行において、ピノキサデンを含む組成物は、芝草の種子が土壌中に播かれ、もしくは置かれる前に土壌に施用されてもよいし、その後に土壌に施用されてもよい;そのような組成物は、本発明の方法に従って、芝草の成長用の担体に、芝草の種子が担体中に置かれる前に、もしくはその後に、施用される;または本発明の方法に従って施用される組成物は、担体上で成長した芝草が、担体と一緒に土壌の上部に置かれる前に、土壌に施用されてよい。
【0043】
一実施形態において、本発明の方法に従えば、ピノキサデンを含む組成物は、スプレー可能な液体製剤として芝草に施用される。別の実施形態において、そのような組成物は、顆粒状製剤として芝草に施用される。適切な顆粒として、不活性な顆粒および肥料顆粒が挙げられる。有効成分は、顆粒の全体に分散されてもよいし、顆粒中に含浸されてもよいし、顆粒の表面上にコーティングされてもよい。
【実施例
【0044】
生物学的実施例
以下の実施例、および与えられる結果は、本発明の有効性を示す
【0045】
ピノキサデン、およびピノキサデンプラスクロキントセットを、熱帯型シグナルグラスが存在する種々のバーミューダグラスプロットに、8月11日から8月13日まで施用した。当該プロットを再度、施用の28日後に評価した。以下の雑草防除パーセントを観察した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
施用は、オニメヒシバについて2017年10月9日、バヒアグラスについて2017年10月19日、そして熱帯型カーペットグラスについて2016年11月14日に行った。ピノキサデンを140 gai/haにて、ピノキサデンをクロキントセット-メキシルと共に(4:1の重量比、4部のピノキサデンおよび1部のクロキントセット-メキシル)、3週間隔で2回施用した。
【0048】
【表3】
施用を、2014年10月1日に開始した。ピノキサデン(140 gai/ha)を、クロキントセット-メキシルと共に(4:1の重量比)、2週間隔で2回施用した。
【0049】
表4. ピノキサデンによるダリスグラスの防除
【表4】
ピノキサデンの施用を、バーミューダグラス内のダリスグラスの防除について2013年10月28日にALで開始した。2回の施用を行った。ダリスグラス防除パーセントを、第1の施用の28日後に得た。
【0050】
好ましい実施形態およびその実施例を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲は、実施形態に記載したものにのみ限定されない。当業者にとって明らかなように、添付の特許請求の範囲によって定義され、かつ限界を決められている本発明の精神および範囲から逸脱しなければ、先に記載される本発明を変更かつ改変することができる。本明細書中で引用される全ての刊行物は、各刊行物が参照によって具体的に、かつ個々に組み込まれることが示されているのと同じように、全ての目的についてそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕暖地型芝草において、熱帯型シグナルグラス、熱帯型カーペットグラス、オニメヒシバ、バヒアグラス、ハイキビ、ブル・パスパルムおよびシン・パスパルム、ならびにダリスグラスから選択される雑草を防除する方法であって、前記暖地型芝草に、または前記暖地型芝草の所在場所に、除草的に有効な量の、ピノキサデンを含む組成物を施用する工程を含む、方法。
〔2〕前記暖地型芝草が、バーミューダグラス、ノシバ、およびセントオーガスチンからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記暖地型芝草が、ノシバである、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記組成物が、アジュバント、溶媒、キャリア、界面活性剤、または増量剤を更に含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記組成物が、0.01~90重量%の前記ピノキサデン、10~99.99%のキャリア、及び0~20%の界面活性剤を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕1ヘクタールあたり約30グラムのピノキサデン~1ヘクタールあたり約200グラムのピノキサデンの割合でピノキサデンを施用する、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕1ヘクタールあたり約70グラムのピノキサデン~1ヘクタールあたり約165グラムのピノキサデンの割合でピノキサデンを施用する、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕ダリスグラスを防除する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕熱帯型シグナルグラスを防除する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕熱帯型カーペットグラスを防除する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕ハイキビを防除する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕バヒアグラスを防除する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕芝が成長する時期の間、ピノキサデンを14~60日の間隔で約2~10回施用する、前記〔7〕に記載の方法。
〔14〕芝が成長する時期の間、ピノキサデンを28~42日の間隔で約2~5回施用する、前記〔7〕に記載の方法。
〔15〕芝が成長する時期の間、ピノキサデンを7~21日の間隔で約2~21回施用する、前記〔7〕に記載の方法。
〔16〕芝が成長する時期の間、ピノキサデンを10~18日の間隔で約2~12回施用する、前記〔7〕に記載の方法。
〔17〕解毒剤クロキントセット-メキシルを、ピノキサデンと同時に、または順次、前記暖地型芝草に施用する、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕前記暖地型芝草に、または前記暖地型芝草の所在場所に、追加の除草剤を施用する工程を更に含む、前記〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の方法。