(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒及び該ブロック剤解離触媒を含有する熱硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/18 20060101AFI20221012BHJP
C08G 18/80 20060101ALI20221012BHJP
C07D 233/90 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C08G18/18
C08G18/80
C07D233/90 C
(21)【出願番号】P 2019545672
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2018036224
(87)【国際公開番号】W WO2019065953
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2017190846
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000167646
【氏名又は名称】広栄化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮城 元嘉
(72)【発明者】
【氏名】坪井 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】新田 晋吾
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155203(JP,A)
【文献】特開2016-102182(JP,A)
【文献】特開2006-255928(JP,A)
【文献】特開2009-269306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C07D 233/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1a)で表される含窒素化合物を含有するブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
式(1a):
【化1】
(式中、Dは式(2):
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。また、R
1、R
2、R
3及びR
4は、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
【請求項2】
式(1b)で表される含窒素化合物を含有するブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
式(1b):
【化3】
(式中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。nは1以上の整数である。Dは式(2):
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。また、R
1、R
2、R
3及びR
4は、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
【請求項3】
Aが無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基から選択される少なくとも1種の置換基を有する炭化水素基である、請求項2に記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【請求項4】
nが1~6の整数である請求項2又は3に記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【請求項5】
式(1b)で表される含窒素化合物が下記式(1b-1)、式(1b-2)又は式(1b-3)のいずれかで表される含窒素化合物である請求項2に記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
式(1b-1):
【化5】
(式中、R
5は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Dは前記に同じ。)
式(1b-2):
【化6】
(式中、R
6は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Dは前記に同じ。)
式(1b-3):
【化7】
(式中、E
1、E
2、及びE
3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。b及びcは0又は1であり、d、e及びfはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1である。Dは前記に同じ。)
【請求項6】
式(2)で表される含窒素有機基が下記式(2-1)、式(2-2)、又は式(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基である請求項1~5のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
式(2-1):
【化8】
(式中、R
1、R
4、X及びaは前記に同じ、R
7及びR
8は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
式(2-2):
【化9】
(式中、R
1、R
4、X及びaは前記に同じ、R
9及びR
10は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基を示す。)
式(2-3):
【化10】
(式中、R
1、R
4,X及びaは前記に同じ、R
11、R
12、R
13及びR
14は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基を示す。)
【請求項7】
Xが窒素原子である請求項1~6のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物。
【請求項9】
ブロックイソシアネートがアルコール類、フェノール類、アミン類、ラクタム類、オキシム類、ケトエノール類及びピラゾール類からなる群より選択される少なくとも1種のブロック剤で封止されたブロックイソシアネートである請求項8に記載の熱硬化性組成物。
【請求項10】
ブロックイソシアネートがラクタム類、オキシム類及びピラゾール類からなる群より選択される少なくとも1種のブロック剤で封止されたブロックイソシアネートである請求項8に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
請求項1~7のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒存在下、ブロックイソシアネートを加熱するブロック剤の解離方法。
【請求項12】
下記式(1b-3)で表されるアミデート化合物。
【化11】
(式中、E
1、E
2、及びE
3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。b及びcは0又は1であり、d及びfはそれぞれ独立して0~4の整数、eは1~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1であり、hが0の場合、d又はfの少なくともいずれか1つは1である。Dは
式(2):
【化12】
(式中、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。また、R
1
、R
2
、R
3
及びR
4
は、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒及び該ブロック剤解離触媒を含有する熱硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックイソシアネートとは、ポリイソシアネートとイソシアネート基と反応し得る活性水素基を有するブロック剤とを反応させて得られる化合物である。ブロックイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤により封止されることで、常温においては不活性化されており、加熱によりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生されるという性質を持つ。このような性質から、ブロックイソシアネートは、一液型ポリウレタン製造の原料や架橋剤として、塗料や接着剤などの用途で広く使用されている。
【0003】
ポリイソシアネートのブロック剤として使用されている化合物としては、フェノール類、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、ピラゾール類や活性メチレン類などが知られている。しかしながら、これらのブロック剤を使用したブロックイソシアネートは上述の通りブロック剤の解離に加熱が必要となる(非特許文献1)。この加熱に必要な熱エネルギーを低減させるために、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離温度を低下させる試みが従来から行われている。また、ブロックイソシアネートのブロック剤の解離温度を低下させる試みとしては、種々の金属有機酸塩や3級アミン等をブロック剤解離触媒として使用することが知られている(非特許文献2)。
【0004】
金属有機酸塩としては、ジブチル錫ジラウリレートなどの有機錫触媒がよく用いられている(非特許文献2)。しかしながら有機錫触媒は毒性が高く、環境及び人体への有害性が問題となっている。既に、欧州を中心としてポリウレタン樹脂の製造における有機錫触媒の使用を規制する動きが出てきており、有機錫触媒の代替となる触媒が要望されている。
【0005】
一方、3級アミンは、その塩基度に触媒効果が比例することが知られており、例えば、強塩基である環状グアニジン化合物をブロック剤解離触媒として用いる方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、発明者らが、ブロックイソシアネートのブロック剤解離触媒として環状グアニジン化合物を使用したところ、環状グアニジン化合物は低温解離性には優れるものの、環状グアニジン化合物を含有する熱硬化性組成物は保存安定性が悪く(後述の実施例参照)、満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「ポリウレタンの材料選定、構造制御と改質 事例集」技術情報協会出版、2014年、40-41頁
【文献】「液状ポリウレタンの最新応用技術」中日社出版、1989年、262-265頁
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、ブロックイソシアネートのブロック剤の低温解離性に優れたブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒を提供することを課題とする。また、保存安定性に優れる該ブロック剤解離触媒を含有する熱硬化性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、式(1a)及び式(1b)で表される含窒素化合物をブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒として使用したところ、優れた低温解離性を示すことを見出した。また、該ブロック剤解離触媒を含有する熱硬化性組成物が優れた保存安定性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]に関するものである。
【0011】
[1] 式(1a)で表される含窒素化合物を含有するブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0012】
式(1a):
【0013】
【0014】
(式中、Dは式(2):
【0015】
【0016】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。また、R1、R2、R3及びR4は、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
【0017】
[2] 式(1b)で表される含窒素化合物を含有するブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0018】
式(1b):
【0019】
【0020】
(式中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。nは1以上の整数である。Dは式(2):
【0021】
【0022】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。また、R1、R2、R3及びR4は、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
【0023】
[3] Aが無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基又はイソシアネート基から選択される少なくとも1種の置換基を有する炭化水素基である、[2]に記載のブロック剤解離触媒。
【0024】
[4] nが1~6の整数である[2]又は[3]に記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0025】
[5] 式(1b)で表される含窒素化合物が下記式(1b-1)、式(1b-2)又は式(1b-3)のいずれかで表される含窒素化合物である[2]に記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0026】
式(1b-1):
【0027】
【0028】
(式中、R5は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Dは前記に同じ。)
【0029】
式(1b-2):
【0030】
【0031】
(式中、R6は置換若しくは無置換の炭化水素基を示す。Dは前記に同じ。)
【0032】
式(1b-3):
【0033】
【0034】
(式中、E1、E2、及びE3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。b及びcは0又は1であり、d、e及びfはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1である。Dは前記に同じ。)
【0035】
[6] 式(2)で表される含窒素有機基が下記式(2-1)、式(2-2)、又は式(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基である[1]~[5]のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0036】
式(2-1):
【0037】
【0038】
(式中、R1、R4、X及びaは前記に同じ、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
【0039】
式(2-2):
【0040】
【0041】
(式中、R1、R4、X及びaは前記に同じ、R9及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基を示す。)
【0042】
式(2-3):
【0043】
【0044】
(式中、R1、R4,X及びaは前記に同じ、R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基を示す。)
【0045】
[7] Xが窒素原子である[1]~[6]のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒。
【0046】
[8] [1]~[7]のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒、ブロックイソシアネート及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する熱硬化性組成物。
【0047】
[9] ブロックイソシアネートがアルコール類、フェノール類、アミン類、ラクタム類、オキシム類、ケトエノール類及びピラゾール類からなる群より選択される少なくとも1種のブロック剤で封止されたブロックイソシアネートである[8]に記載の熱硬化性組成物。
【0048】
[10] ブロックイソシアネートがラクタム類、オキシム類及びピラゾール類からなる群より選択される少なくとも1種のブロック剤で封止されたブロックイソシアネートである[8]に記載の熱硬化性組成物。
【0049】
[11][1]~[7]のいずれかに記載のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒存在下、ブロックイソシアネートを加熱するブロック剤の解離方法。
【0050】
[12]下記式(1b-3)で表されるイソシアネート変性体。
【化11】
【0051】
(式中、E1、E2、及びE3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示す。g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。b及びcは0又は1であり、d及びfはそれぞれ独立して0~4の整数、eは1~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1であり、hが0の場合、d又はfの少なくともいずれか1つは1である。Dは前記に同じ。)
【0052】
本発明は、以下の態様をも包含する。
・ブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒として使用するための、上記式(1a)、式(1b)、式(1b-1)、式(1b-2)又は式(1b-3)のいずれかで表される含窒素化合物。・ブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒を製造するための、上記式(1a)、式(1b)、式(1b-1)、式(1b-2)又は式(1b-3)のいずれかで表される含窒素化合物の使用。
【発明の効果】
【0053】
ブロックイソシアネートのブロック剤の低温解離性に優れたブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒を提供できる。また、保存安定性に優れる該ブロック剤解離触媒を含有する熱硬化性組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C16)における
1H-NMR分析結果を示す。
【
図2】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C16)におけるIR分析結果を示す。
【
図3】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C17)における
1H-NMR分析結果を示す。
【
図4】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C17)におけるIR分析結果を示す。
【
図5】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C18)における
1H-NMR分析結果を示す。
【
図6】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C18)におけるIR分析結果を示す。
【
図7】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C19)における
1H-NMR分析結果を示す。
【
図8】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C19)におけるIR分析結果を示す。
【
図9】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C20)における
1H-NMR分析結果を示す。
【
図10】本願実施例 ブロック剤解離触媒(C20)におけるIR分析結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0056】
本発明のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒(以下、ブロック剤解離触媒(A)ということがある。)は、式(1a)で表される含窒素化合物(以下、含窒素化合物(1a)ということがある。)又は式(1b)で表される含窒素化合物(以下、含窒素化合物(1b)ということがある。)を有効成分として含有するものである。以下、式(1a)で表される含窒素化合物及び式(1b)で表される含窒素化合物を総称して、含窒素化合物(1)ということがある。
【0057】
式(1a)中、Dは式(2)で表される含窒素有機基である。
【0058】
式(1b)中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基であり、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~100の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~50の炭化水素基、特に好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~30の炭化水素基である。
【0059】
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0060】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0061】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0062】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0063】
式(1b)中、nは1以上の整数であり、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは1又は2である。
【0064】
式(1b)中、Dは式(2)で表される含窒素有機基である。
【0065】
本発明において、式(1b)で表される含窒素化合物としては式(1b-1)、(1b-2)又は(1b-3)のいずれかで表される含窒素化合物が好ましく、特に好ましくは(1b-1)で表される含窒素化合物である。
【0066】
式(1b-1)において、R5は置換若しくは無置換の炭化水素基であり、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~50の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~30の炭化水素基、さらに好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~14の炭化水素基、特に好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~12の炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、アリル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェニル基である。
【0067】
R5が置換基を有する場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、R5の炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0068】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0069】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0070】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0071】
式(1b-1)中、Dは前記に同じである。
【0072】
式(1b-2)において、R6は置換若しくは無置換の炭化水素基であり、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~100の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~50の炭化水素基、特に好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~30の炭化水素基である。具体的には、メチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デシレン基、n-ドデシレン基、n-オクタデシレン基、シクロヘキシレン基等のアルキレン基、フェニレン基、2-メチルフェニレン基、2,6-ジメチルフェニレン基、2,4-ジメチルフェニレン基、2,3-ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、1-フェニルプロピレン基、2-フェニルプロピレン基、1-フェニルブチレン基、2-フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基等のアリールアルキレン基、前述のアルキレン基とアリーレン基が適宜組み合わされて成るアリーレンアルキレン基等が挙げられる。これらの二価の炭化水素基が反復して又は組み合わされて、1つの二価の炭化水素基を構成していても良い。
【0073】
R6が置換基を有する場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、R6の炭化水素基が、
酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0074】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0075】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0076】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0077】
式(1b-2)中、Dは前記に同じである。
【0078】
式(1b-3)中、E1、E2、及びE3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の炭化水素基、又は、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基を示し、好ましくは、置換若しくは無置換の炭化水素基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基、イソシアネート基であり、より好ましくは(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基である。
【0079】
g及びhはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。b及びcは0又は1であり、d、e及びfはそれぞれ独立して0~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1である。Dは前記に同じである。
【0080】
本発明の別の様態においては、d及びfはそれぞれ独立して0~4の整数、eは1~4の整数を示す。但し、gが0の場合、b又はcの少なくともいずれか1つは1であり、hが0の場合、d又はfの少なくともいずれか1つは1である。
【0081】
式(2)で表される含窒素有機基について説明する。
【0082】
式(2)において、R1、R2、R3及びR4はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基である。R1、R2、R3及びR4は一部又は全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。例えば、R1とR2とが、R2とR3とが、R3とR4とが、R2、R3及びR4が、又はR1,R2、R3及びR4とが、相互に結合して環構造を形成していてもよい。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、より特に好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、フェニル基、特に好ましくはメチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、フェニル基である。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、好ましくは窒素原子である。
【0083】
式(2)中、aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。すなわち、式(2)は下記式(2a)、(2b)又は(2c)のいずれかで表される含窒素有機基である。換言すると、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示し、R1は無い。
【0084】
【0085】
(式中、R1,R2,R3及びR4は前記に同じである。)
【0086】
本発明において、式(2)で表される含窒素有機基のR2及びR3が相互に結合し、環構造を形成していることが好ましい。環を形成している式(2)で表される含窒素有機基として好ましくは式(2-1)、(2-2)又は(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基であり、特に好ましくは式(2-1)で表される含窒素有機基である。
【0087】
式(2-1)において、R1、R4、X及びaは前記に同じである。R7及びR8は水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0088】
具体的には1,3-ジメチルイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム基、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム基、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム基、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム基、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-フェニルイミダゾリウム基、1-メチル-3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム基、1-メシチル-3-メチルイミダゾリウム基、1,3-ジエチルイミダゾリウム基、1,3-ジプロピルイミダゾリウム基、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム基、1,3-ジブチルイミダゾリウム基、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム基、1,3-ジオクチルイミダゾリウム基、1,3-ジフェニルイミダゾリウム基、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム基、1,3-ジメシチルイミダゾリウム基、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム基、
【0089】
3-メチルオキサゾリウム基、3-エチルオキサゾリウム基、3-プロピルオキサゾリウム基、3-イソプロピルオキサゾリウム基、3-ブチルオキサゾリウム基、3-tert-ブチルオキサゾリウム基、3-オクチルオキサゾリウム基、3-(2-エチルヘキシル)オキサゾリウム基、3-ドデシルオキサゾリウム基、3-フェニルオキサゾリウム基、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)オキサゾリウム基、3-メシチルオキサゾリウム基、3,5-ジメチルオキサゾリウム基、3,4,5-トリメチルオキサゾリウム基、
【0090】
3-メチルチアゾリウム基、3-エチルチアゾリウム基、3-プロピルチアゾリウム基、3-イソプロピルチアゾリウム基、3-ブチルチアゾリウム基、3-tert-ブチルチアゾリウム基、3-オクチルチアゾリウム基、3-(2-エチルヘキシル)チアゾリウム基、3-ドデシルチアゾリウム基、3-フェニルチアゾリウム基、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)チアゾリウム基、3-メシチルチアゾリウム基、3,4-ジメチルチアゾリウム基、3,5-ジメチルチアゾリウム基、3,4,5-トリメチルチアゾリウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム基である。
【0091】
なお、本明細書において、別途の明示がない限り、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル等の記載は、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-ドデシル等の直鎖状のアルキル基を示す。
【0092】
式(2-2)において、R1、R4、X及びaは前記に同じである。R9及びR10は水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0093】
具体的には、1,3-ジメチルイミダゾリニウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム基、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-アリル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-フェニルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウム基、1-メシチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1,3-ジエチルイミダゾリニウム基、1,3-ジプロピルイミダゾリニウム基、1,3-ジイソプロピルイミダゾリニウム基、1,3-ジブチルイミダゾリニウム基、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリニウム基、1,3-ジオクチルイミダゾリニウム基、1,3-ジフェニルイミダゾリニウム基、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウム基、1,3-ジメシチルイミダゾリニウム基、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリニウム基、
【0094】
3-メチルオキサゾリニウム基、3-エチルオキサゾリニウム基、3-プロピルオキサゾリニウム基、3-イソプロピルオキサゾリニウム基、3-ブチルオキサゾリニウム基、3-tert-ブチルオキサゾリニウム基、3-オクチルオキサゾリニウム基、3-ドデシルオキサゾリニウム基、3-フェニルオキサゾリニウム基、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)オキサゾリニウム基、3-メシチルオキサゾリニウム基、3,4-ジメチルオキサゾリニウム基、3,5-ジメチルオキサゾリニウム基、3,4,5-トリメチルオキサゾリニウム基、
【0095】
3-メチルチアゾリニウム基、3-エチルチアゾリニウム基、3-プロピルチアゾリニウム基、3-イソプロピルチアゾリニウム基、3-ブチルチアゾリニウム基、3-tert-ブチルチアゾリニウム基、3-オクチルチアゾリニウム基、3-ドデシルチアゾリニウム基、3-フェニルチアゾリニウム基、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)チアゾリニウム基、3-メシチルチアゾリニウム基、3,4-ジメチルチアゾリニウム基、3,5-ジメチルチアゾリニウム基、3,4,5-トリメチルチアゾリニウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム基である。
【0096】
式(2-3)において、R1、R4、X及びaは前記に同じである。R11、R12、R13及びR14は水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0097】
具体的には1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-イソプロピルベンゾイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-tert-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-ヘキシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルベンゾイミダゾリウム基、1-ドデシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-アリル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-ベンジル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジエチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジプロピルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジイソプロピルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジブチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジ-tert-ブチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジオクチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジフェニルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジメシチルベンゾイミダゾリウム基、1,3,6-トリメチルベンゾイミダゾリウム基、1-アセチル-3,6-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1,3,6,7-テトラメチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジベンジル-6,7-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、
【0098】
3-メチルベンゾオキサゾリウム基、
【0099】
3-メチルベンゾチアゾリウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基である。
【0100】
次に、含窒素化合物(1a)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0101】
含窒素化合物(1a)として、具体的には、1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-(2-エチルヘキシル)-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-フェニルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-(p-トリル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-(2-フェニルエチル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メシチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジエチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジオクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジアダマンチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジドデシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジフェニルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(p-トリル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(m-トリル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(o-トリル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2,6-ジメチルフェニル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジメシチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジベンジルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2-エチルフェニル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジエチル-4,5-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジメチル-1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジブチル-4,5-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジ-tert-ブチル-4,5-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジメチル-1,3-ジフェニルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジメチル-1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジメシチル-4,5-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジクロロ-1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジシアノ-1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、4,5-ジメトキシ-1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジメチル-4,5-ジニトロイミダゾリウム-2-カルボキシレート、
【0102】
3-メチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-エチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-プロピルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ブチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-tert-ブチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-オクチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)オキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ドデシルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-アリルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-シクロヘキシルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-フェニルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)オキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-メシチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、
【0103】
3-メチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-エチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-プロピルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ブチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-tert-ブチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-オクチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)チアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ドデシルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-アリルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-シクロヘキシルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-フェニルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)チアゾリウム-2-カルボキシレート、3-メシチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-メチル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、
【0104】
1,3-ジメチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-(2-エチルヘキシル)イミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジイソプロピルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジブチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジオクチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)イミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ドデシルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジアダマンチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジフェニルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1,3-ジメシチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、
【0105】
3-メチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-エチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-プロピルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ブチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-オクチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)オキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ドデシルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-アリルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-フェニルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)オキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3-メシチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、
【0106】
3-メチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-エチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-プロピルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ブチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-tert-ブチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-オクチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)チアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ドデシルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-アリルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-フェニルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)チアゾリニウム-2-カルボキシレート、3-メシチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、
【0107】
1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-tert-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ドデシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジエチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジブチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジ-tert-ブチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジオクチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2-エチルヘキシル)ベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジフェニルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジメシチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3,6-トリメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3,6,7-テトラメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジベンジル-6,7-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、
【0108】
3-メチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-エチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-プロピルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ブチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-tert-ブチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-オクチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)ベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ドデシルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-アリルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-フェニルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)ベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3-メシチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、5-ヒドロキシ-3-メチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、6-アミノ-3-メチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート
【0109】
3-メチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-エチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-プロピルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-イソプロピルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ブチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-tert-ブチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-オクチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2-エチルヘキシル)ベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-デシルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-アリルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-ベンジルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-フェニルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)ベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート、3-メシチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレートなどが挙げられ、好ましくは1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジエチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジイソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジオクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジドデシルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジフェニルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、特に好ましくは1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートである。
【0110】
次に、含窒素化合物(1b)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
(式(1b-3-1a)~(1b-3-1c)中、mは0~4の整数である。)
【0140】
【0141】
(式(1b-3-2a)~(1b-3-4a)中、x及びyは0又は1以上の整数である。)
【0142】
含窒素化合物(1b)として好ましくは式(1b-1-5a)、(1b-1-17a)、(1b-1-27a)、(1b-1-38a)、(1b-1-40a)、(1b-1-42a)、(1b-1-43a)、(1b-1-45a)、(1b-1-49a)、(1b-1-56a)、(1b-1-85a)、(1b-1-86a)、(1b-1-87a)、(1b-1-5b)、(1b-1-17b)、(1b-1-27b)、(1b-1-38b)、(1b-1-40b)、(1b-1-42b)、(1b-1-43b)、(1b-1-45b)、(1b-1-49b)、(1b-1-56b)、(1b-1-85b)、(1b-1-86b)、(1b-1-87b)、(1b-1-5c)、(1b-1-17c)、(1b-1-27c)、(1b-1-38c)、(1b-1-40c)、(1b-1-42c)、(1b-1-43c)、(1b-1-45c)、(1b-1-49c)、(1b-1-56c)、(1b-1-85c)、(1b-1-86c)、(1b-1-87c)、(1b-2-18a)、(1b-2-19a)、(1b-2-24a)、(1b-2-47a)、(1b-2-52a)、(1b-2-55a)、(1b-2-18b)、(1b-2-19b)、(1b-2-24b)、(1b-2-47b)、(1b-2-52b)、(1b-2-55b)、(1b-2-18c)、(1b-2-19c)、(1b-2-24c)、(1b-2-47c)、(1b-2-52c)、(1b-2-55c)、(1b-3-2a)(1b-3-3a)、(1b-3-4a)、(1b-3-5a)、(1b-3-6a)、(1b-3-7a)、(1b-3-8a)で表される化合物であり、特に好ましくは式(1b-1-17a)、(1b-1-27a)、(1b-1-38a)、(1b-1-43a)、(1b-1-49a)、(1b-1-56a)、(1b-1-17b)、(1b-1-17c)、(1b-2-24a)、(1b-2-47a)、(1b-2-52a)、(1b-2-55a)、(1b-2-24c)で表される化合物である。
【0143】
本発明の含窒素化合物(1)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれの異性体であるか明記がない限り、いずれの異性体の混合物も本発明の含窒素化合物(1)に包含される。例えば、含窒素化合物(1)に光学異性体が存在する場合、ラセミ体から分割されたその光学異性体も本発明の含窒素化合物(1)に包含され得る。これらの異性体は、従来から知られている分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0144】
また、含窒素化合物(1)は共鳴によって異性化すると考えられる。例えば式(1b)で表される化合物において、Xが窒素原子であるとき、以下の共鳴構造を取りうると考えられる。
【0145】
【0146】
(式中、A、R1、R2、R3、R4及びnは前記に同じ。)
【0147】
含窒素化合物(1)は市販のものを使用してもよい。含窒素化合物(1)は、例えば、次に説明する方法により製造したものを使用することもできる。
【0148】
式(1a)で表される含窒素化合物の製造方法としては、特に限定するものではなく、例えば、Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom) 2003年 1号 28-29頁に記載の含窒素有機化合物と炭酸ジアルキルとを反応させる方法や、Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom) 2004年 1号 112-113頁に記載のN-ヘテロ環状カルベンと二酸化炭素とを反応させる方法等が挙げられる。以下に、含窒素有機化合物と炭酸ジアルキルとを反応させる方法について説明する。
【0149】
下記式(3)で表される含窒素有機化合物(以下、含窒素有機化合物(3)という。)と炭酸ジアルキル(4)(以下、炭酸ジアルキル(4)という。)とを反応させて式(1a)で表される含窒素化合物を製造できる(以下、(反応1)という。)。
【0150】
式(3):
【0151】
【0152】
(式中、R1、R2、R3、X及びaは前記に同じ。)
【0153】
式(4):
【0154】
【0155】
(式中、R4は前記に同じ。)
【0156】
本発明において、入手容易性の観点から、式(3)においてR2及びR3が相互に結合し、環構造を形成していることが好ましい。環を形成している含窒素有機化合物(3)として好ましくは下記式(3-1)、(3-2)又は(3-3)のいずれかで表される含窒素有機化合物であり、特に好ましくは式(3-1)で表される含窒素有機化合物である。
【0157】
式(3-1):
【0158】
【0159】
(式中、R1、R7、R8、X及びaは前記に同じ。)
【0160】
式(3-2):
【0161】
【0162】
(式中、R1、R9、R10、X及びaは前記に同じ。)
【0163】
式(3-3):
【0164】
【0165】
(式中、R1、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じ。)
【0166】
式(3-1)において、R1、R7、R8、X及びaは前記に同じである。式(3-1)で表される含窒素有機化合物の具体例としては、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-tert-ブチルイミダゾール、1-ヘキシルイミダゾール、1-オクチルイミダゾール、1-(2-エチルヘキシル)イミダゾール、1-ドデシルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール、1-メシチルイミダゾール、1,4,5-トリメチルイミダゾール
【0167】
オキサゾール、5-メチルオキサゾール、4,5-ジメチルオキサゾール、
【0168】
チアゾール、4-メチルチアゾール、5-メチルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール等が挙げられ、好ましくは、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-オクチルイミダゾールであり、特に好ましくは、1-メチルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-オクチルイミダゾールである。
【0169】
式(3-2)において、R1、R9、R10、X及びaは前記に同じである。式(3-2)で表される含窒素有機化合物の具体例としては、1-メチルイミダゾリン、1-エチルイミダゾリン、1-プロピルイミダゾリン、1-イソプロピルイミダゾリン、1-ブチルイミダゾリン、1-tert-ブチルイミダゾリン、1-ヘキシルイミダゾリン、1-オクチルイミダゾリン、1-(2-エチルヘキシル)イミダゾリン、1-ドデシルイミダゾリン、1-アリルイミダゾリン、1-ベンジルイミダゾリン、1-フェニルイミダゾリン、1,4,5-トリメチルイミダゾリン
【0170】
オキサゾリン、5-メチルオキサゾリン、4,5-ジメチルオキサゾリン、
【0171】
チアゾリン、4-メチルチアゾリン、5-メチルチアゾリン、4,5-ジメチルチアゾリン等が挙げられ、好ましくは、1-メチルイミダゾリン、1-エチルイミダゾリン、1-プロピルイミダゾリン、1-ブチルイミダゾリンであり、特に好ましくは、1-メチルイミダゾリンである。
【0172】
式(3-3)において、R1、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じである。式(3-3)で表される含窒素有機化合物の具体例としては、1-メチルベンゾイミダゾール、1-エチルベンゾイミダゾール、1-プロピルベンゾイミダゾール、1-イソプロピルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾール、1-tert-プロピルベンゾイミダゾール、1-ヘキシルベンゾイミダゾール、1-オクチルベンゾイミダゾール、1-(2-エチルヘキシル)ベンゾイミダゾール、1-ドデシルベンゾイミダゾール、1-アリルベンゾイミダゾール、1-ベンジルベンゾイミダゾール、1-フェニルベンゾイミダゾール、1,6-ジメチルベンゾイミダゾール、1,6,7-トリメチルベンゾイミダゾール、
【0173】
ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられ、好ましくは、1-メチルベンゾイミダゾール、1-エチルベンゾイミダゾール、1-プロピルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾールであり、特に好ましくは、1-メチルベンゾイミダゾールである。
【0174】
式(4)において、R4は前記に同じである。炭酸ジアルキル(4)の具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジヘキシル等が挙げられ、好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチルであり、特に好ましくは炭酸ジメチルである。
【0175】
(反応1)において、炭酸ジアルキル(4)の使用量は、含窒素有機化合物(3)1モルに対して通常1モル以上、好ましくは1~6モルである。
【0176】
(反応1)において、溶媒は使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1-メトキシ-2-プロパノール、エトキシエタノール等の1価のアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオール溶媒、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル溶媒等が挙げられ、好ましくは1価のアルコール溶媒であり、特に好ましくはメタノールである。溶媒の使用量は、含窒素有機化合物(3)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0177】
(反応1)において、反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なることができ、通常、室温以上であり、好ましくは20~200℃である。なお、本明細書において室温は20℃程度を意味する。
【0178】
(反応1)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0179】
反応終了後は、反応液を濃縮し、溶媒を除去して含窒素化合物(1a)を単離でき、反応液のまま含窒素化合物(1a)としてブロック剤解離触媒(A)として使用することもできる。反応液中に未反応の含窒素有機化合物(3)及び炭酸ジアルキル(4)が残存している場合、反応液を濃縮することでこれらを除去することもできる。また、次に述べる含窒素化合物(1b)の製造において、含窒素化合物(1a)を原料として使用する場合、反応液から含窒素化合物(1a)を取り出さず、反応液のまま原料として使用することができ、濃縮工程が不要となり製造工程がより簡便となることから、工業的生産を行うのに有利である。それ故、次に述べる含窒素化合物(1b)の製造において、含窒素化合物(1a)を原料として使用する場合、反応液のまま含窒素化合物(1b)の製造に使用することが好ましい。
【0180】
式(1b)で表される含窒素化合物は、例えば、下記(反応2a)又は(反応2b)により製造することができる。
【0181】
(反応2a) 式(5)で表されるイソシアネート化合物(以下、イソシアネート化合物(5)という。)と式(1a)で表される含窒素化合物とを反応させて、式(1b)で表される含窒素化合物を製造する。
【0182】
式(5):
【0183】
【0184】
(式中、A及びnは前記に同じ。)
【0185】
(反応2b) 式(6)で表されるウレタン化合物(以下、ウレタン化合物(6)という。)と式(1a)で表される含窒素化合物とを反応させて、式(1b)で表される含窒素化合物を製造する。
【0186】
式(6):
【0187】
【0188】
(式中、R15はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を示す。A及びnは前記に同じ。)
【0189】
(反応2a)について説明する。
【0190】
式(5)中、A及びnは前記に同じである。イソシアネート化合物(5)として好ましくは下記式(5-1)、(5-2)又は(5-3)のいずれかで表されるイソシアネート化合物であり、特に好ましくは式(5-1)又は(5-2)で表されるイソシアネート化合物である。
【0191】
式(5-1):
【0192】
【0193】
(式中、R5は前記に同じである。)
【0194】
式(5-2):
【0195】
【0196】
(式中、R6は前記に同じである。)
【0197】
式(5-3):
【0198】
【0199】
(式中、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じである。)
【0200】
式(5-1)において、R5は前記に同じである。
【0201】
式(5-2)において、R6は前記に同じである。
【0202】
式(5-3)において、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じである。
【0203】
本発明においてイソシアネート化合物(5)としてはポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等の重合物を使用することもできる。
【0204】
ここで、式(5-1)及び(5-2)においてR5又はR6が(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基を有する炭化水素基である化合物をイソシアネート化合物(5)として使用する場合、例えば、式(5-2)や式(5-3)で表されるような複数のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を1級アミン化合物や2級アミン化合物等と反応させて(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基とした上でイソシアネート化合物(5)として使用することもできる。
【0205】
式(5-3)においてE1、E2、E3が(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基である場合、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような重合物のイソシアネート基の一部を1級アミン化合物や2級アミン化合物と反応させて(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基又は(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基とした上でイソシアネート化合物(5)として使用することもできる。
【0206】
1級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、s-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-デシルアミン、n-ドデシルアミン、2-エチルヘキシルアミン等が挙げられ、好ましくは、n-ブチルアミン、2-エチルヘキシルアミンである。2級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ(n-ブチル)アミン、ジ(s-ブチル)アミン、ジ(t-ブチル)アミン、ジ(n-ペンチル)アミン、ジ(n-ヘキシル)アミン、ジ(n-オクチル)アミン、ジ(n-デシル)アミン、メチルエチルアミン、ジ(n-ドデシル)アミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン等が挙げられ、好ましくは、ジ(n-ブチル)アミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミンである。
【0207】
以下にイソシアネート化合物(5)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
イソシアネート化合物(5)として好ましくは式(5-1-5)、(5-1-15)、(5-1-38)及び(5-2-19)で表される化合物であり、特に好ましくは、式(5-1-15)、(5-1-38)で表される化合物である。
【0212】
イソシアネート化合物(5)は1種単独であっても、2種以上の混合物であっても良い。
【0213】
(反応2a)において、含窒素化合物(1a)の使用量は、イソシアネート化合物(5)に含まれるイソシアネート基1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1~3モルである。
【0214】
(反応2a)において、溶媒を使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、炭化水素溶媒が好適に使用される。炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン等の脂肪族ないし脂環式炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等ハロゲン化芳香族炭化水素溶媒等が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒及びハロゲン化芳香族炭化水素溶媒であり、特に好ましくはトルエン、キシレン及びクロロベンゼンである。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0215】
(反応2a)において、含窒素化合物(1a)として、含窒素有機化合物(3)と炭酸ジアルキル(4)との反応で得られた反応液を使用する場合、当該反応液中の溶媒をそのままイソシアネート化合物(5)と含窒素化合物(1a)との反応の溶媒として使用することができる。その際、必要に応じて溶媒を追加して反応を行っても良い。
【0216】
(反応2a)において、溶媒を使用する場合、使用される溶媒の使用量は、含窒素化合物(1a)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは0.1重量部以上35重量部以下である。
【0217】
(反応2a)において、反応温度は、特に制限されず、溶媒の沸点以下であればよく、通常10℃以上、好ましくは40~200℃、特に好ましくは80~150℃である。
【0218】
(反応2a)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0219】
反応終了後は、反応液を濃縮又はろ過により溶媒を除去することにより、含窒素化合物(1b)を得ることができる。また、得られた含窒素化合物(1b)は、再結晶等の方法により精製することができる。
【0220】
(反応2b)について説明する。
【0221】
式(6)中、A及びnは前記に同じである。R15はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、好ましくはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~50の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~30の炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~8の炭化水素基である。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、フェニル基、特に好ましくはメチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、n-オクチル基、フェニル基である。
【0222】
本発明において、式(6)で表されるウレタン化合物(以下、ウレタン化合物(6)という。)として好ましくは下記式(6-1)、(6-2)又は(6-3)のいずれかで表されるウレタン化合物であり、特に好ましくは式(6-1)又は(6-2)で表されるウレタン化合物である。
【0223】
式(6-1):
【0224】
【0225】
(式中、R5及びR15は前記に同じ。)
【0226】
式(6-2):
【0227】
【0228】
(式中、R6及びR15は前記に同じ。)
【0229】
式(6-3):
【0230】
【0231】
(式中、R15、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じ。)
【0232】
式(6-1)において、R5及びR15は前記に同じである。
【0233】
式(6-2)において、R6及びR15は前記に同じである。
【0234】
式(6-3)において、R15、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じである。
【0235】
以下にウレタン化合物(6)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
ウレタン化合物(6)として好ましくは式(6-1-21)、(6-1-28)、(6-1-32)、(6-1-33)、(6-1-34)、(6-1-38)、(6-1-43)、(6-1-56)、(6-1-57)、(6-1-58)、(6-2-24)、(6-2-43)、(6-2-46)、(6-2-47)で表される化合物である。
【0241】
原料として用いられるウレタン化合物(6)は、市販のものを使用しても良く、例えば、次に説明する(方法I)又は(方法II)により製造することができる。
【0242】
(方法I) 下記式(7)で表されるアミン化合物(以下、アミン化合物(7)という。)と下記式(8)で表されるカルボニル化合物(以下、カルボニル化合物(8)という。)とを反応させて、ウレタン化合物(6)を製造する。
【0243】
式(7):
【0244】
【0245】
(式中、A及びnは前記に同じ。)
【0246】
式(8):
【0247】
【0248】
(式中、R15は前記に同じ。)
【0249】
(方法II) イソシアネート化合物(5)と下記式(9)で表されるアルコール化合物(以下、アルコール化合物(9)という。)とを反応させて、ウレタン化合物(6)を製造する。
【0250】
式(9):
【0251】
【0252】
(式中、R15は前記に同じ。)
【0253】
(方法I)、(方法II)で用いられる原料化合物としては、公知の化合物又は公知の有機合成手法で製造することができる化合物を使用することができる。
【0254】
(方法I)について説明する。
【0255】
式(7)において、A及びnは前記に同じである。アミン化合物(7)としては、式(7-1)、(7-2)又は(7-3)のいずれかで表されるアミン化合物であることが好ましい。
【0256】
式(7-1):
【0257】
【0258】
(式中、R5は前記に同じ。)
【0259】
式(7-2):
【0260】
【0261】
(式中、R6は前記に同じ。)
【0262】
式(7-3):
【0263】
【0264】
(式中、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じ。)
【0265】
式(7-1)において、R5は前記に同じである。
【0266】
式(7-2)において、R6は前記に同じである。
【0267】
式(7-3)において、E1、E2、E3、b、c、d、e、f、g及びhは前記に同じである。
【0268】
以下にアミン化合物(7)の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0269】
【0270】
【0271】
【0272】
【0273】
アミン化合物(7)として好ましくは式(7-1-28)、(7-1-32)、(7-1-33)、(7-1-34)、(7-1-38)、(7-1-43)、(7-1-56)、(7-1-57)、(7-1-58)、(7-2-43)、(7-2-46)、(7-2-47)で表される化合物である。
【0274】
式(8)において、R15は前記に同じである。カルボニル化合物(8)としては、例えば二炭酸ジ-t-ブチル、二炭酸ジベンジル、二炭酸ジ-t-アミル、二炭酸ジアリルが挙げられ、好ましくは二炭酸ジ-t-ブチル、二炭酸ジベンジルである。
【0275】
(方法I)において、カルボニル化合物(8)の使用量は、アミン化合物(7)中のアミノ基1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~6モルである。
【0276】
(方法I)において、必要に応じて、塩基触媒を使用しても良い。塩基触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。
【0277】
(方法I)において、溶媒は使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン等の脂肪族ないし脂環式炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくはエーテル溶媒及びアルコール溶媒であり、特に好ましくはテトラヒドロフラン及びメタノールである。溶媒の使用量は、アミン化合物(7)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは0.1~10重量部である。
【0278】
(方法I)において、反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なることができ、通常、室温以上であり、好ましくは20~250℃である。
【0279】
(方法I)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0280】
反応終了後は、未反応のカルボニル化合物(8)をジエタノールアミン等のアミン化合物による処理、水又は弱酸性水溶液による洗浄、反応液の濃縮等により、ウレタン化合物(6)を単離することができ、必要に応じ、再結晶等の精製をしても良い。
【0281】
(方法II)について説明する。
【0282】
式(9)中、R15は前記に同じである。アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、n-オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール等の芳香族アルコール、フェノール等のフェノール類が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、n-オクタノール及びフェノールである。
【0283】
(方法II)において、アルコール化合物(9)の使用量としては、イソシアネート化合物(5)のイソシアネート基1モルに対して、通常1モル以上、好ましくは1~70モルである。
【0284】
(方法II)において、反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なることができ、通常、室温以上であり、好ましくは20~200℃である。
【0285】
(方法II)において、必要に応じ、触媒を使用しても良い。触媒としては、錫、鉄、鉛、ビスマス、水銀、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選ばれる、少なくとも1種の金属元素を含む有機金属化合物又はアミン化合物等が挙げられる。有機金属化合物として好ましくは、カルボン酸錫、ジアルキル錫オキシド、カルボン酸ビスマスが挙げられ、より好ましくはジブチル錫ジラウリレートである。アミン化合物として好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテルである。
【0286】
(方法II)において、溶媒は使用してもしなくてもよく、アルコール化合物(9)を過剰に使用することでアルコール化合物(9)を溶媒としても使用できる。アルコール化合物(9)以外にさらに溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン等の脂肪族ないし脂環式炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒等が挙げられ、好ましくはトルエンである。溶媒の使用量は、イソシアネート化合物(5)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは0.1~10重量部である。
【0287】
(方法II)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0288】
反応終了後、反応液を濃縮又はろ過により溶媒を除去することで、ウレタン化合物(6)を単離することができる。得られたウレタン化合物(6)は、必要に応じ、任意の溶媒による洗浄等により精製した後に、含窒素化合物(1a)との反応に供することができる。
【0289】
(反応2b)において、含窒素化合物(1a)の使用量は、ウレタン化合物(6)に含まれるカルバメート基1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1~3モルとなる量を反応させる。
【0290】
(反応2b)において、溶媒を使用してもしなくてもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン等の脂肪族ないし脂環式炭化水素溶媒、ブチルクロライド、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒等が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒及びハロゲン化芳香族炭化水素溶媒であり、特に好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼンである。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0291】
(反応2b)において、含窒素化合物(1a)として、含窒素有機化合物(3)と炭酸ジアルキル(4)との反応で得られた反応液を使用する場合、当該反応液中の溶媒をそのままウレタン化合物(6)と含窒素化合物(1a)との反応の溶媒として使用することもできる。その際、必要に応じて溶媒を追加して反応を行っても良い。
【0292】
(反応2b)において、溶媒の使用量は、含窒素化合物(1a)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは35重量部以下、より好ましくは0.1~35重量部である。
【0293】
(反応2b)において、反応温度は、特に制限されず、溶媒の沸点以下であればよく、通常10℃以上、好ましくは40~200℃、特に好ましくは80~150℃である。
【0294】
(反応2b)において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0295】
反応終了後は、反応液を濃縮又はろ過により溶媒を除去することにより、含窒素化合物(1b)を得ることができる。また、得られた含窒素化合物(1b)は、再結晶等の方法により精製しても良い。
【0296】
本発明のブロック剤解離触媒(A)は1種単独であってもブロック剤解離触媒(A)として使用でき、2種以上の混合物としても使用することもできる。また、必要に応じて溶媒等を混合して使用することもできる。
【0297】
溶媒としては、特に限定するものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル溶媒、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-n-ブトキシエタノール等のアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール溶媒、水等が挙げられ、これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0298】
本発明のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒(A)は、ブロックイソシアネ-トからブロック剤を解離させることができる。
【0299】
本発明のブロック剤解離触媒(A)は、含窒素化合物(1)を有効成分として含有していれば本発明の目的を十分に達成することができ、必要に応じ公知のブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒を含んでいてもよい。
【0300】
次いで、本発明の熱硬化性組成物について説明する。
【0301】
本発明の熱硬化性組成物は、上記した本発明のブロック剤解離触媒(A)、ブロックイソシアネート、及びイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する。
【0302】
ブロックイソシアネ-トとしては、例えば公知のポリイソシアネートと公知のブロック剤とを反応させ、ポリイソシアネート中のイソシアネート基をブロック剤で封止した化合物を挙げることができる。ブロックイソシアネ-トは単独であっても、2種以上が混合されたものであっても良い。
【0303】
本発明において、ポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、公知のポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートやこれらの変性ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネートは単独であっても、2種以上が混合されたものであっても良い。
【0304】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。
【0305】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3-イソシアナトメチル-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0306】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0307】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0308】
変性ポリイソシアネートとしては、例えば、上記ポリイソシアネート化合物と活性水素基を有する化合物との反応によるイソシアネート基末端化合物やポリイソシアネート化合物又は/及び該イソシアネート基末端化合物の反応物(例えば、アダクト型ポリイソシアネートや、アロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化反応、イソシアヌレート化反応、ウレトンイミン化反応、ビウレット化反応等によるイソシアネート変性体等)が挙げられる。
【0309】
公知のブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、2-エチルヘキサノール、ブチルセロソルブ等のアルコール類、フェノール、クレゾール、2-ヒドロキシピリジン等のフェノール類、ジイソプロピルアミン等のアミン類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム類、ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルデヒドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等のオキシム類、アセチルアセトン等のケトエノール類、1,2-ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等のピラゾール類、トリアゾール等のトリアゾール類等が挙げられ、好ましくは、ラクタム類、オキシム類、ピラゾール類であり、特に好ましくはε-カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、3,5-ジメチルピラゾールである。
【0310】
イソシアネート反応性基を有する化合物としては、ポリオール、ポリアミン、アルカノールアミン等の活性水素基を2つ以上有する化合物が挙げられる。これらのイソシアネート反応性基を有する化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0311】
本発明においてポリオールはヒドロキシル基を2つ以上有する化合物である。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0312】
ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族アミンポリオール、芳香族アミンポリオール、マンニッヒポリオール、多価アルコール、多価フェノール、ビスフェノール類等の活性水素化合物及び、それらにアルキレンオキサイドを付加した化合物等が挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0313】
脂肪族アミンポリオールとしては、アルキレンジアミン系ポリオールや、アルカノールアミン系ポリオールが例示される。これらのポリオール化合物は、アルキレンジアミンやアルカノールアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリオール化合物である。アルキレンジアミンとしては、公知の化合物が限定なく使用できる。具体的にはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン等の炭素数が2~8のアルキレンジアミンの使用が好適である。これらの中でも、炭素数の小さなアルキレンジアミンの使用がより好ましく、特にエチレンジアミン、プロピレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の使用が好ましい。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示される。アルキレンジアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は4であり、アルカノールアミンを開始剤としたポリオール化合物の官能基数は3であり、これらの混合物では官能基数は3~4となる。脂肪族アミンポリオールの水酸基価は、通常100~1500mgKOH/g、好ましくは200~1200mgKOH/gである。これらの脂肪族アミンポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0314】
芳香族アミンポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状エーテルの少なくとも1種を開環付加させた末端水酸基の多官能ポリエーテルポリオール化合物である。開始剤としては、公知の芳香族ジアミンを限定なく使用することができる。具体的には2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、p-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が挙げられる。これらの中ではトルエンジアミン(2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン又はこれらの混合物)の使用が特に好ましい。芳香族アミンポリオールの官能基数は4であり、水酸基価は、通常100~1500mgKOH/g、好ましくは200~1200mgKOH/gである。これらの芳香族アミンポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0315】
マンニッヒポリオールは、フェノール及び/又はそのアルキル置換誘導体、ホルムアルデヒド及びアルカノールアミンのマンニッヒ反応により得られた活性水素化合物又はこの化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させることによって得られる水酸基価200~700mgKOH/g、官能基数が2~4のポリオール化合物である。これらのマンニッヒポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0316】
多価アルコールとしては、2価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等)や3価以上のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、シュクロース等)等が挙げられる。これらの多価アルコールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0317】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン等が挙げられる。これらの多価フェノールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0318】
ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、フェノールとホルムアルデヒドとの低縮合物等が挙げられる。これらのビスフェノール類は、2種以上の混合物であってもよい。
【0319】
ポリエステルポリオールとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、及び、例えば多価アルコールを用いたε-カプロラクトンの開環重合により得られるポリカプロラクトン類等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0320】
アクリルポリオールは、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独または混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独または混合物とを共重合させることにより得られる化合物である。ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルである。これらのアクリルポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0321】
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のビニル系単量体、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
【0322】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。これらのポリオレフィンポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0323】
フッ素ポリオールは分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば、フルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体が挙げられる。これらのフッ素ポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0324】
ポリカーボネートポリオールとしては、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート等の低分子カーボネート化合物と、前述のポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオールとを、縮重合して得られるものが挙げられる。これらのポリカーボネートポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0325】
ポリウレタンポリオールは、常法により、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得ることができる。カルボキシル基を含有しないポリオールとしては、低分子量のものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられ、高分子量のものとして、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらのポリウレタンポリオールは、2種以上の混合物であってもよい。
【0326】
本発明においてポリアミンは、アミノ基を2つ以上有する化合物である。ポリアミンとしては、例えば、低分子量ポリアミン、高分子量ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。これらのポリアミンは、2種以上の混合物であってもよい。
【0327】
低分子量ポリアミンとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジアミンなどの芳香族アミン、1,3-または1,4-キシリレンジアミンもしくはその混合物などの芳香脂肪族アミン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジアミンなどの脂環族アミン、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの低分子量ポリアミンは、2種以上の混合物であってもよい。
【0328】
高分子量ポリアミンとしては、例えば、ポリオキシアルキレンジアミン(重量平均分子量400~4000)、ポリオキシアルキレントリアミン(重量平均分子量400~5000)などが挙げられる。これらの高分子量ポリアミンは、2種以上の混合物であってもよい。
【0329】
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ-n-プロパノールアミン、モノ-n-イソプロパノールアミン、ジ-n-プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ネオペンタノールアミン、メチルエタノールアミンなどが挙げられる。
【0330】
本発明の熱硬化性組成物において、ブロックイソシアネートとイソシアネート反応性基を有する化合物との配合比率は、必要とする物性により決定され、特に限定するものではなく、通常[ブロックイソシアネートの有効イソシアネート基(mol)]/[イソシアネート反応性基を有する化合物の活性水素基(mol)]=0.2~3の範囲である。なお、ブロックイソシアネートの有効イソシアネート基とは、ブロックイソシアネートからブロック剤が解離した際に再生されるイソシアネート基を意味する。
【0331】
本発明の熱硬化性組成物において、本発明のブロック剤解離触媒(A)の使用量としては、特に限定されず、通常、ブロックイソシアネートに対して、ブロック剤解離触媒(A)に含まれる含窒素化合物(1)の量が0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%となる量である。
【0332】
本発明の熱硬化性組成物においては、必要に応じて、当該技術分野で常用される公知のポリウレタン製造用触媒、添加剤、顔料、溶剤等を使用することができる。
【0333】
公知のポリウレタン製造用触媒としては特に限定するものではなく、例えば、ジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジ-2-エチルヘキサネート、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオキサイド、ジオクチル錫ジオキサイド、錫アセチルアセトナート、酢酸錫、オクチル酸錫、ラウリン酸錫等の錫化合物や、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマスビスマスアセチルアセトナート等のビスマス化合物、チタン酸テトラ-n-ブチル、チタン酸テトライソプロピル、テレフタル酸チタン等のチタン化合物、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エ-テル、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール等の3級アミン化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム-2-エチルヘキサン酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム-2-エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類等の4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
【0334】
添加剤としては、特に限定するものではなく、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、過塩素酸塩系、ヒドロキシルアミン系等の着色防止剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、錫系、亜鉛系、アミン系等のウレタン化触媒、その他、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤等が挙げられる。
【0335】
顔料としては、特に限定するものではなく、例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の無機顔料、その他、炭素系顔料、金属箔状顔料、防錆顔料等の顔料が挙げられる。
【0336】
溶剤としては、特に限定するものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-n-ブトキシエタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、水等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0337】
高温下での保管等が想定される場合、本発明の熱硬化性組成物を、ブロックイソシアネートとイソシアネート反応性基を有する化合物とに分けて二液型熱硬化性組成物とし、使用する際に前記二液型熱硬化性組成物を混合して本発明の熱硬化性組成物として使用することもできる。このような場合、ブロック剤解離触媒(A)は前記二液型熱硬化性組成物を混合する際に添加して使用することもでき、イソシアネート反応性基を有する化合物とブロック剤解離触媒(A)をあらかじめ混合しておくこともできる。
【0338】
本発明の熱硬化性組成物は、自動車の上中塗り塗料、耐チッピング塗料、電着塗料、自動車部品用塗料、自動車補修用塗料、家電・事務機器等の金属製品等のプレコートメタル・防錆鋼板、建築資材用塗料、プラスチック用塗料、紛体塗料、接着剤、接着性付与剤、シーリング剤等として使用することができる。
【0339】
次いで、本発明のブロック剤の解離方法について説明する。
【0340】
本発明の方法においては、上記ブロックイソシアネート用ブロック剤解離触媒存在下、ブロックイソシアネートを加熱する。
【0341】
本発明の方法を行う場合、溶媒の存在下、又は不存在下で行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族ないし脂環式炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、3-ペンタノン、4-メチル-2-ペンタノン等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロパノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール等のアルコール系溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系溶媒、水等が挙げられる。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0342】
溶媒の使用量は、ブロックイソシアネート1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは0.1重量部以上35重量部以下である。
【0343】
本発明の方法において、ブロック剤解離触媒(A)の使用量としては、特に限定されず、通常、ブロックイソシアネートに対して、ブロック剤解離触媒(A)に含まれる含窒素化合物(1)の量が0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%となる量である。
【0344】
反応温度は、使用するブロックイソシアネートによっても異なるが、60~250℃程度、好ましくは80~200℃程度とすることができる。反応時間は、30秒~5時間程度、好ましくは1分~30分程度とすることができる。
【0345】
本発明の方法により、ブロック剤による封止を解除することができる。
【実施例】
【0346】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。なお、製造例中、1H-NMRはブルカー株式会社製AV400を使用し、400MHzで測定した。IRは株式会社島津製作所製フーリエ変換赤外分光光度計IRAffinity-1、Smiths Detection株式会社製DuraSamplIRIIを使用し、全反射測定法で測定した。また、実施例中の熱硬化性組成物の硬化温度の測定は、以下の条件で行った。
【0347】
硬化温度測定条件
装置:株式会社サイバー製 自動硬化時間測定装置まどか
撹拌棒:型番3JC-5060W
撹拌速度:自転100rpm、公転25rpm
昇温速度:10℃/分
【0348】
[製造例1]m-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリンの合成
【0349】
【0350】
窒素置換した100mL試験管にm-クロロアニリン2.0g(15.7mmol)、トリエチルアミン1.8g(17.3mmol)及びTHF10mLを仕込み、混合物を撹拌しながら、二炭酸ジ-t-ブチル3.4g(15.7mmol)/THF10mL溶液を滴下した。得られた混合物を25℃で4時間撹拌後、更に40℃で24時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、溶媒を留去し、得られた濃縮残さにトルエン20mLを加え、1Mクエン酸水溶液20mL及び水20mLで1回ずつ洗浄した。得られた有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、不溶物を濾過により除去した。得られた濾液を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(m-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン)を1.4g得た(収率39%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0351】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.52(s,1H)、7.21-7.14(m,2H)、7.00(dt,J=7.5,1.7Hz,1H)、6.52(s,1H)、1.52(s,9H)
【0352】
[製造例2]o-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリンの合成
【0353】
【0354】
窒素置換した15mL試験管にo-クロロフェニルイソシアネート1.0g(6.5mmol)、2-メチル-2-プロパノール2.0g(27.0mmol)を仕込み、90℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、溶媒を留去した。得られた濃縮残さをクロロホルムに溶解し、不溶物を濾過により除去した。得られた濾液を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(o-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン)を1.0g得た(収率64%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0355】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=8.16(d,J=8.2Hz,1H)、7.33(dd,J=8.2,1.4Hz,1H)、7.24(t,J=7.7Hz,1H)、7.01(s,1H)、6.96(td,J=7.7,1.4Hz,1H)、1.53(s,9H)
【0356】
[製造例3]p-メトキシ-N-t-ブトキシカルボニルアニリンの合成
【0357】
【0358】
窒素置換した100mL試験管にp-アニシジン1.0g(8.1mmol)、トリエチルアミン0.9g(8.9mmol)及びTHF5mLを仕込み、混合物を撹拌しながら、二炭酸ジ-t-ブチル2.0g(8.9mmol)/THF5mL溶液を滴下し、25℃で17時間撹拌した。得られた反応混合物の溶媒を留去し、得られた濃縮残さをヘプタン5mLで洗浄した。洗浄後、得られた固体を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(p-メトキシ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン)を1.9g得た(収率85%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0359】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.26(d,J=8.8Hz,2H)、6.83(d,J=8.8Hz,2H)、6.33(s,1H)、3.78(s,3H)、1.51(s,9H)
【0360】
[製造例4]2,6-ジイソプロピル-N-t-ブトキシカルボニルアニリンの合成
【0361】
【0362】
窒素置換した100mL試験管に2,6-ジイソプロピルアニリン1.0g(5.6mmol)、トリエチルアミン0.6g(5.6mmol)及びTHF5mLを仕込み、混合物を撹拌しながら、二炭酸ジ-t-ブチル1.2g(5.6mmol)/THF5mL溶液を滴下し、25℃で21時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、溶媒を留去し、得られた濃縮残さにトルエン10mLを加え、酢酸水溶液(1g/15mL)15mL及び水10mLで1回ずつ洗浄した。得られた有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、不溶物を濾過により除去した。得られた濾液を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(2,6-ジイソプロピル-N-t-ブトキシカルボニルアニリン)を1.1g得た(収率71%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。1H-NMR分析結果より、本化合物は回転異性体の混合物であった。
【0363】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.26(m,1H)、7.14(d,J=7.1Hz,2H)、5.81(s,0.7H)、5.58(s,0.3H)、3.18-3.17(m,2H)、1.51(s,6H)、1.37(s,3H)、1.21(d,J=6.8Hz,12H)
【0364】
[製造例5]ビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]メタンの合成
【0365】
【0366】
窒素置換した200mL試験管に4、4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル15.0g(60mmol)、2-メチル-2-プロパノール22.2g(300mmol)及びトルエン44gを仕込み、85℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(ビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]メタン)を22.8g得た(収率96%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0367】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=9.23(s,2H)7.34(d,J=8.6Hz,4H)、7.05(d,J=8.6Hz,4H)、3.76(s,2H)、1.45(s,18H)
【0368】
[製造例6]ビス[3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]スルホンの合成
【0369】
【0370】
窒素置換した100mL試験管にビス(3-アミノフェニル)スルホン2.0g(8.1mmol)、二炭酸ジ-t-ブチル2.0g(16.1mmol)及びTHF20mLを仕込み、混合物を撹拌しながら、トリエチルアミン1.8g(17.7mmol)を滴下した。得られた混合物を25℃で6時間撹拌後、更に40℃で16時間撹拌した。その後、二炭酸ジ-t-ブチル5.5g(25.2mmol)を追加し、さらに40℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物にジエタノールアミン1.7g(15.9mmol)を添加し、1時間撹拌後、得られた反応混合物を減圧乾燥した。得られた濃縮残さに酢酸エチル15mLを加え、水15mLで1回洗浄した。得られた有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、不溶物を濾過により除去した。得られた濾液を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(ビス[3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]スルホン)を3.5g得た(収率93%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0371】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.86(s,2H)、7.68(d,J=7.3Hz,2H)、7.58(d,J=7.3Hz,2H)、7.43-7.39(m,2H)、6.67(s,2H)、1.51(s,18H)
【0372】
[製造例7]1,3-ビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼンの合成
【0373】
【0374】
窒素置換した200mL三口フラスコに二炭酸ジ-t-ブチル7.5g(34.3mmol)、トリエチルアミン1.7g(17.2mmol)及びTHF40mLを仕込み、混合液を撹拌しながら、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン5.0g(17.2mmol)/THF10mL溶液を滴下した。得られた混合物を25℃で6時間撹拌した後、二炭酸ジ-t-ブチル3.8g(17.4mmol)を追加し、更に3時間撹拌した。得られた反応混合物にジエタノールアミン2.8g(26.3mmol)を添加し、1時間撹拌後、得られた反応混合物を減圧乾燥した。得られた濃縮残さにトルエン100mLを加え、水100mLで1回洗浄後、トルエン100mL、クロロベンゼン10mL及び酢酸エチル20mLを加え、水100mLで洗浄し、更に酢酸エチル80mLを加え、水100mLで2回洗浄した。得られた有機層を減圧乾燥し、上記式で表される化合物1,3-ビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼンを8.0g得た(収率94%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0375】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.38(d,J=8.8Hz,4H)、7.23(t,J=8.4Hz,1H)、6.93(d,J=8.8Hz,4H)、6.40(dd,J=8.4,2.2Hz,2H)、6.50(d,J=2.2Hz,1H)、1.51(s,18H)
【0376】
[製造例8]1,3-ビス{2-[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]-2-プロピル}ベンゼンの合成
【0377】
【0378】
窒素置換した200mL試験管に二炭酸ジ-t-ブチル12.7g(58mmol)、トリエチルアミン3.3g(33mmol)及びTHF25.0gを仕込み、混合液を撹拌しながら、4,4-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン5.0g(14.5mmol)/THF30.0g溶液を滴下した。得られた混合物を25℃で4時間撹拌した。得られた反応混合液にジエタノールアミン3.1g(290mmol)を添加し、1時間撹拌後、得られた反応混合物を減圧乾燥した。得られた濃縮残さに酢酸エチル200mLを加え、水100mLで3回洗浄した。得られた有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、不溶物を濾過により除去した。得られた濾液を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(1,3-ビス{2-[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]-2-プロピル}ベンゼン)を6.3g得た(収率80%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0379】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=9.22(s,2H)、7.31(d,J=8.6Hz,4H)、7.12(t,J=7.7Hz,1H)、7.14-7.03(m,5H)、6.94(d,J=7.7Hz,2H)、3.34(s,12H)、1.45(s,18H)
【0380】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.26-7.22(m,4H)、7.15-7.13(m,4H)、7.08-7.07(m,4H)、6.40(br,2H)、1.62(s,12H)、1.50(s,18H)
【0381】
[製造例9]1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートの合成
【0382】
【0383】
窒素置換した180mLのオートクレーブに1-オクチルイミダゾール25.0g(139mmol)、炭酸ジメチル16.7g(185mmol)及びメタノール25.1gを仕込み、125℃で29時間撹拌した。得られた反応混合物を溶媒の沸点以下に冷却後、炭酸ジメチル8.5g(94mmol)を追加し、更に130℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却し、上記式で表される化合物(1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート)のメタノール溶液を44.0g得た(純分33.0g、収率99%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0384】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.67(s,1H)、7.61(s,1H)、4.22(t,J=7.2Hz,2H)、3.94(s,3H)、1.91-1.84(m,2H)、1.32-1.26(m,10H)、0.85(t,J=7.2Hz,3H)
【0385】
[製造例10]ブロック剤解離触媒(C1)の合成
【0386】
【0387】
窒素置換した500mLのオートクレーブに1-メチルイミダゾール82.1g(1.0mol)、炭酸ジメチル119.8g(1.0mol)及びメタノール83.1gを仕込み、120℃で22時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧乾燥した。得られた白色固体をトルエンで洗浄後、減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C1)を47.8g得た(収率34%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0388】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.46(s,2H)、4.08(s,6H)
【0389】
[製造例11]ブロック剤解離触媒(C2)の合成
【0390】
【0391】
窒素置換した180mLのオートクレーブに1-ブチルイミダゾール25.9g(0.2mol)、炭酸ジメチル25.0g(0.3mol)、メタノール26.2gを仕込み、125℃で19時間撹拌後、更に130℃で4時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却し、上記式で表される化合物(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート)のメタノール溶液として、ブロック剤解離触媒(C2)を73.0g得た(1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート純分34.3g、収率95%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0392】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.79(s,1H)、7.72(s,1H)、4.31(t,J=7.4Hz,2H)、4.02(s,3H)、1.94-1.88(m,2H)、1.44-1.38(m,2H)、1.00(t,J=7.2Hz,3H)
【0393】
[製造例12]ブロック剤解離触媒(C3)の合成
【0394】
【0395】
窒素置換した3つ口フラスコに製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート3.0g(21mmol)、トルエン100mL及びフェニルイソシアネート2.5g(21mmol)を仕込み、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧濃縮し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C3)を5.3g得た(上記式で表される化合物純分4.9g、収率97%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0396】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.45(m,2H)、7.35-7.27(m,4H)、7.00(m,1H)、3.98(s,6H)
【0397】
[製造例13]ブロック剤解離触媒(C4)の合成
【0398】
【0399】
窒素置換した3つ口フラスコに製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート3.0g(21mmol)、トルエン100mL及びp-クロロフェニルイソシアネート3.3g(21mmol)を仕込み、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた黄色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C4)を4.6g得た(収率88%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0400】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.47(s,2H)、7.39(m,2H)、7.25(m,2H)、3.99(s,6H)
【0401】
[製造例14]ブロック剤解離触媒(C5)の合成
【0402】
【0403】
窒素置換した30mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート0.31g(2.24mmol)、製造例1で得られたm-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン0.51g(2.23mmol)及びトルエン9mLを仕込み、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた白色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C5)を0.44g得た(収率80%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0404】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.78(t,J=2.0Hz,1H)、7.55(s,2H)、7.26(d,J=9.6Hz,1H)、7.13(t,J=8.0Hz,1H)、6.81(d,J=7.8Hz,1H)、4.00(s,6H)
【0405】
[製造例15]ブロック剤解離触媒(C6)の合成
【0406】
【0407】
窒素置換した30mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート0.31g(2.20mmol)、製造例2で得られたo-クロロ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン0.50g(2.20mmol)及びトルエン9mLを仕込み、110℃で6時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた白色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C6)を0.47g得た(収率85%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0408】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.93(d,J=7.8Hz,1H)、7.57(s,2H)、7.28(d,J=7.8Hz,1H)、7.09(t,J=8.0Hz,1H)、6.79(t,J=7.6Hz,1H)、4.09(s,6H)
【0409】
[製造例16]ブロック剤解離触媒(C7)の合成
【0410】
【0411】
窒素置換した30mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート0.31g(2.24mmol)、製造例3で得られたp-メトキシ-N-t-ブトキシカルボニルアニリン0.50g(2.24mmol)及びトルエン9mLを仕込み、110℃で12時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた白色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C7)を0.43g得た(収率79%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0412】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.50-7.49(m,4H)、6.71(d,J=9.1Hz,2H)、3.99(s,6H)、3.68(s,3H)
【0413】
[製造例17]ブロック剤解離触媒(C8)の合成
【0414】
【0415】
窒素置換した15mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート0.25g(1.80mmol)、製造例4で得られた2,6-ジイソプロピル-N-t-ブトキシカルボニルアニリン0.50g(1.80mmol)及びトルエン6mLを仕込み、110℃で12時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた白色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C8)を0.46g得た(収率83%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0416】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.54(s,2H)、6.94(d,J=7.6Hz,2H)、6.81(t,J=7.5Hz,1H)、4.01(s,6H)、3.20-3.13(m,2H)、1.10(d,J=6.8Hz,12H)
【0417】
[製造例18]ブロック剤解離触媒(C9)の合成
【0418】
【0419】
窒素置換した200mL試験管に製造例11で得られた1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのメタノール溶液を6.0g{1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート純分2.8g(16mmol)}、フェニルイソシアネート1.9g(16mmol)及びトルエン100mLを仕込み、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧濃縮し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C9)を4.1g得た(収率97%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0420】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.53(s,1H)、7.47(s,1H)、7.33-7.25(m,4H)、7.00(t,J=7.2Hz,1H)、4.38(t,J=7.4Hz,2H)、3.98(s,3H)、1.89(quint,J=7.6Hz,2H)、1.39(sext,J=7.4Hz,2H)、0.97(t,J=7.2Hz,3H)
【0421】
[製造例19]ブロック剤解離触媒(C10)の合成
【0422】
【0423】
窒素置換した200mL試験管に製造例9で得られた1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのメタノール溶液4.0g{1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート純分3.0g(13mmol)}、フェニルイソシアネート1.5g(13mmol)及びトルエン100mLを仕込み、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧濃縮し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C10)を3.3g得た(収率84%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0424】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.51(s,1H)、7.45―7.33(m,6H)、4.37(t,J=7.4Hz,2H)、3.97(s,3H)、1.91-1.86(m,2H)、1.35-1.27(m,10H)、0.88(t,J=6.8Hz,3H)
【0425】
[製造例20]ブロック剤解離触媒(C11)の合成
【0426】
【0427】
窒素置換した200mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート3.0g(22mmol)、製造例5で得られたビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]メタン3.5g(11mmol)及びクロロベンゼン120mLを仕込み、130℃で3時間撹拌した。得られた反応混合液を25℃に冷却後、減圧濃縮し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C11)を3.9g得た(収率81%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0428】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.51(s,4H)、7.41(d,J=8.2Hz,4H)、6.95(d,J=8.2Hz,4H)、3.99(s,12H)、3.83(s,2H)
【0429】
[製造例21]ブロック剤解離触媒(C12)の合成
【0430】
【0431】
窒素置換した30mL試験管に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート0.6g(4.5mmol)、製造例6で得られたビス[3-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]スルホン1.0g(2.2mmol)及びクロロベンゼン18mLを仕込み、130℃で6時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた茶色固体を減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C12)を1.3g得た(純分1.1g、収率99%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0432】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.68(s,2H)、7.63(d,J=7.3Hz,2H)、7.56(s,4H)、7.44-7.38(m,2H)、7.34-7.30(m,2H)、4.01(s,12H)
【0433】
[製造例22]ブロック剤解離触媒(C13)の合成
【0434】
【0435】
窒素置換した3つ口フラスコに製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート2.0g(14mmol)、製造例7で得られた1,3-ビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェノキシ]ベンゼン3.5g(7.1mmol)及びクロロベンゼン80mLを仕込み、130℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C13)を3.80g得た(収率99%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0436】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.47(s,4H)、7.42(d,J=9.0Hz,4H)、7.23(t,J=8.2Hz,1H)、6.96(d,J=9.0Hz,4H)、6.63(dd,J=8.2,2.4Hz,2H)、6.57(t,J=2.4Hz,1H)、3.98(s,12H)
【0437】
[製造例23]ブロック剤解離触媒(C14)の合成
【0438】
【0439】
窒素置換した3つ口フラスコに製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート1.5g(11.0mmol)、製造例8で得られた1,3-ビス{2-[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]-2-プロピル}ベンゼン3.0g(5.5mmol)及びクロロベンゼン100mLを仕込み、130℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧乾燥した。得られた固体をトルエン100mlで3回洗浄後、減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C14)を2.23g得た(収率55%)上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0440】
1H-NMR(DMSO-d6)δ(ppm)=7.53(s,4H)、7.42-7.39(m,4H)、7.12(s,1H)、6.98-6.96(m,7H)、4.00(s,12H)、1.58(s,12H)
【0441】
[製造例24]ブロック剤解離触媒(C15)の合成
【0442】
【0443】
窒素置換した3つ口フラスコに製造例9で得られた1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートのメタノール溶液4.9g{1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート純分3.7g(16mmol)}、製造例5で得られたビス[4-(t-ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]メタン2.5g(6.3mmol)及びクロロベンゼン100mLを仕込み、130℃で5時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧乾燥し、上記式で表されるブロック剤解離触媒(C15)を4.65g得た(純分4.0g、収率99%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0444】
1H-NMR(CD3OD)δ(ppm)=7.51(m,2H)、7.45(m,2H)、7.35-7.34(m,4H)、7.13-7.11(m,4H)4.35(t,J=7.4Hz,4H)、3.95(s,6H)、3.90(s,2H)、1.88(m,4H)、1.34-1.26(m,20H)、0.87(t,J=7.6Hz,6H)
【0445】
[製造例25]ブロック剤解離触媒(C16)の合成
【0446】
【0447】
窒素置換した1L4つ口フラスコに、スミジュール44V20L(住化コベストロウレタン株式会社製、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、イソシアネート含有率:33%)を52.9g(イソシアネート基として414.1mmol)、トルエン400mLを仕込み、混合物を氷冷(内温6℃)し、撹拌しながら、ジ(2-エチルヘキシル)アミン50.0g(207.1mol)/トルエン100mL溶液を滴下後、室温で1時間撹拌し、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのイソシアネート基の一部をジ(2-エチルヘキシル)アミンと反応させた。
【0448】
得られた反応液に製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート29.0g(207.1mmol)を添加し、110℃で2時間撹拌した。得られた反応混合液を減圧乾燥し、得られた濃縮残を水500mLで2回洗浄後、減圧乾燥し、ブロック剤解離触媒(C16)を93.9g得た。ブロック剤解離触媒(C16)は、上記式で表される構造を有する化合物を含有する組成物であると推定される。上記式中、x及びyは原料であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに由来する繰り返し単位を示す。ブロック剤解離触媒(C16)の
1H-NMR(DMSO-d
6)分析結果を
図1に、IR分析結果を
図2に示す。
【0449】
[製造例26]ブロック剤解離触媒(C17)の合成
【0450】
【0451】
窒素置換した200mL3つ口フラスコに、スミジュール44V20L(住化コベストロウレタン株式会社製、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、イソシアネート含有率:33%)を5.00g(イソシアネート基として39.2mmol)、トルエン40mLを仕込み、混合物を氷冷し、撹拌しながら、ジブチルアミン2.53g(19.4mol)/トルエン10mL溶液を滴下後、室温で1時間撹拌し、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのイソシアネート基の一部をジブチルアミンと反応させた。
【0452】
得られた反応液に、製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート2.74g(19.6mmol)を添加し、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合液を減圧乾燥し、得られた濃縮残を水25mLで2回洗浄後、減圧乾燥し、反応生成物を4.54g得た。ブロック剤解離触媒(C17)は、上記式で表される構造を有する化合物を含有する組成物であると推定される。上記式中、x及びyは原料であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに由来する繰り返し単位を示す。ブロック剤解離触媒(C17)の
1H-NMR(DMSO-d
6)分析結果を
図3に、IR分析結果を
図4に示す。
【0453】
[製造例27]ブロック剤解離触媒(C18)の合成
【0454】
【0455】
窒素置換した200mL3つ口フラスコに、スミジュール44V20L(住化コベストロウレタン株式会社製、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、イソシアネート含有率:33%)を5.00g(イソシアネート基として39.2mmol)、トルエン40mLを仕込み、混合物を氷冷し、撹拌しながら、2-エチルヘキシルアミン2.53g(19.4mol)/トルエン10mL溶液を滴下後、室温で1時間撹拌し、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのイソシアネート基の一部を2-エチルヘキシルアミンと反応させた。
【0456】
得られた反応液に、製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート2.74g(19.6mmol)を添加し、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合液を減圧乾燥し、得られた濃縮残を水25mLで2回洗浄後、減圧乾燥し、反応生成物を6.03g得た。ブロック剤解離触媒(C18)は、上記式で表される構造を有する化合物を含有する組成物であると推定される。上記式中、x及びyは原料であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに由来する繰り返し単位を示す。ブロック剤解離触媒(C18)の
1H-NMR(DMSO-d
6)分析結果を
図5に、IR分析結果を
図6に示す。
【0457】
[製造例28]ブロック剤解離触媒(C19)の合成
【0458】
【0459】
窒素置換した200mL3つ口フラスコに、トリレン-2,4-ジイソシアネートを5.00g(57.4mmol)、トルエン40mLを仕込み、混合物を氷冷し、撹拌しながら、ジブチルアミン3.71g(28.7mol)/トルエン10mL溶液を滴下後、室温で1時間撹拌し、トリレン-2,4-ジイソシアネートのイソシアネート基の一部をジブチルアミンと反応させた。
【0460】
得られた反応液に、製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート4.02g(28.7mmol)を添加し、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合液を減圧乾燥し、得られた濃縮残を水25mLで2回洗浄後、減圧乾燥し、反応生成物を5.43g得た。ブロック剤解離触媒(C19)は、上記式(C19-1)及び/又は(C19-2)で表される構造を有する化合物を含有する組成物であると推定される。ブロック剤解離触媒(C19)の
1H-NMR(DMSO-d
6)分析結果を
図7に、IR分析結果を
図8に示す。
【0461】
[製造例29]ブロック剤解離触媒(C20)の合成
【0462】
【0463】
窒素置換した200mL3つ口フラスコに、トリレン-2,4-ジイソシアネートを5.00g(57.4mmol)、トルエン40mLを仕込み、混合物を氷冷し、撹拌しながら、2-エチルヘキシルアミン3.71g(28.7mol)/トルエン10mL溶液を滴下後、室温で1時間撹拌し、トリレン-2,4-ジイソシアネートのイソシアネート基の一部を2-エチルヘキシルアミンと反応させた。製造例10で得られた1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート4.02g(28.7mmol)を添加し、110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合液を減圧乾燥し、得られた濃縮残を水25mLで2回洗浄後、減圧乾燥し、反応生成物を8.10g得た。ブロック剤解離触媒(C20)は、上記式(C20-1)及び/又は(C20-2)で表される構造を有する化合物を含有する組成物であると推定される。ブロック剤解離触媒(C20)の
1H-NMR(DMSO-d
6)分析結果を
図9に、IR分析結果を
図10に示す。
【0464】
[製造例30]3,5-ジメチルピラゾールブロックジイソシアネート(B1)の合成
【0465】
【0466】
窒素置換した200mL三つ口フラスコに3,5-ジメチルピラゾールを22.9g(0.24mol)、トルエン20.0gを仕込み、混合物を撹拌しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート20.0g(0.12mol)/トルエン20.5g溶液を滴下し、40℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた白色固体を減圧乾燥し、上記式で表される3,5-ジメチルピラゾールブロックジイソシアネート(以下、DMPブロックジイソシアネートと略記する。)(B1)を26.7g得た(収率62%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0467】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=7.24(br,2H)、5.89(s,2H)、3.33(q,J=6.8Hz,4H)、2.55(s,6H)、2.20(s,6H)、1.63-1.60(m,4H)、1.45-1.43(m,4H)
【0468】
[製造例31]メチルエチルケトオキシムブロックジイソシアネート(B2)の合成
【0469】
【0470】
窒素置換した200mL三つ口フラスコにメチルエチルケトオキシムを12.1g(0.14mol)、トルエン11.7gを仕込み、混合物を撹拌しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート11.7g(0.070mol)/トルエン11.8g溶液を滴下し、50℃で2時間撹拌させた。得られた反応混合物を減圧乾燥し、上記式で表されるメチルエチルケトオキシムブロックジイソシアネート(以下、MEKOブロックジイソシアネートと略記する。)(B2)を20.9g得た(収率88%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。1H-NMR分析結果より、本化合物は構造異性体の混合物であった。
【0471】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=6.33(br,2H)、3.28(q,J=6.8Hz,4H)、2.48(q,J=7.7Hz,1.0H)、2.32(q,J=7.5Hz,3.0H)、2.01(s,4.4H)、1.96(s,1.6H)、1.58(m,4H)、1.38(m,4H)、1.14(t,J=7.6Hz,4.4H)、1.11(t,J=7.6Hz,1.6H)(Z体/E体=74/26)
【0472】
[製造例32]ε-カプロラクタムブロックジイソシアネート(B3)の合成
【0473】
【0474】
窒素置換した200mL三つ口フラスコにε-カプロラクタムを11.8g(0.10mol)、トルエン8.9gを仕込み、混合物を撹拌しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート11.7g(0.070mol)/トルエン11.8g溶液を滴下し、80℃で17時間撹拌させた。得られた反応混合物を減圧乾燥し、上記式で表されるε-カプロラクタムブロックジイソシアネート(以下、E-CAPブロックジイソシアネートと略記する。)(B3)を20.4g得た(収率74%)。上記式で表される化合物の1H-NMR分析結果を以下に示す。
【0475】
1H-NMR(CDCl3)δ(ppm)=9.24(br,2H)、3.99-3.97(m,4H)、3.30-3.25(m,4H)、2.71-2.69(m,4H)、1.78-1.72(m,12H)、1.57-1.54(m,4H)、1.38-1.34(m,4H)
【0476】
[製造例33]ε-カプロラクタムブロックポリイソシアネート(B4)の合成
【0477】
窒素置換した200mL三つ口フラスコにε-カプロラクタムを11.3g(0.10mol)、トルエン40.5gを仕込み、混合物を撹拌しながら、タケネート D170N(三井化学株式会社製、ポリイソシアネート、イソシアネート含有率:21.0%)を20.1g(イソシアネート基として0.10mol)滴下し、80℃で5時間撹拌させた。得られた反応混合物を0.25g抜取り、ジ-n-ブチルアミン0.12g(0.93mmol)のトルエン10mL溶液と混合し、ブロモクレゾールグリーンを少量添加後、0.2mol/L塩酸エタノール溶液で滴定した。結果、塩酸エタノール溶液を4.65mL(0.93mmol)したところで、溶液が青色から黄色に変化し、イソシアネート基の残存がないことを確認した。その後、残りの反応混合物を減圧乾燥し、ε-カプロラクタムブロックポリイソシアネート(以下、E-CAPブロックポリイソシアネートと略記する。)(B4)を32.8g(有効イソシアネート:13.5%、固形分:95%)を得た。有効イソシアネート(%)及び固形分(%)は、1H-NMR測定結果より以下の方法により算出した。
【0478】
有効イソシアネート(%):
得られたE-CAPブロックポリイソシアネート(B4)16.4mg及び内部標準試料としてN,N-ジメチル-4-アミノピリジン11.8mg(純度99.85g、94.8μmol)を、重クロロホルムに溶解させ、1H-NMRを測定し、E-CAPブロックポリイソシアネート(B4)のカプロラクタム部の2H分のピーク(δ=3.27ppm、)、とN,N-ジメチル-4-アミノピリジンのメチル基の6H分ピーク(δ=3.00ppm)の積分比より算出した。
【0479】
固形分(%):
上記の1H-NMR測定結果より得られたE-CAPブロックポリイソシアネート(B4)中の残存トルエン比率(%)を導き出し、次の式により算出した。
固形分(%)=100-残存トルエン(%)として算出した。
<触媒性能評価>
【0480】
[実施例1]
【0481】
表1に示す組成で、製造例30で得られたDMPブロックジイソシアネート(B1)、N-メチルピロリドン(以下、NMPと略記する。)、製造例19で得られたブロック剤解離触媒(C10)、3,3-イミノビス(プロピルアミン)(以下、IBPAと略記する)を試験管に入れた後、30分間攪拌させ、熱硬化性組成物を調製した。
【0482】
熱硬化性組成物の混合比は、次式により算出した。
IBPA仕込量(g)=ブロックイソシアネート仕込量(g)÷ブロックイソシアネート分子量(g/mol)×2×IBPA分子量(g/mol)÷3÷1.05
ブロック剤解離触媒仕込量(g)=ブロックイソシアネート仕込量(g)×0.05
NMP仕込量(g)=ブロックイソシアネート仕込量(g)×2.00
【0483】
調製直後の熱硬化性組成物を0.6mL採取し、自動硬化時間測定装置のホットプレート上に添加し、撹拌しながら毎分10℃で昇温した。その際に、撹拌トルクが2%を超えた温度を硬化温度として、硬化温度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0484】
30℃条件下、窒素雰囲気下で1週間保管した後の、熱硬化性組成物の流動性を目視確認し、保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0485】
30℃条件下、窒素雰囲気下で1週間保管した後の熱硬化性組成物を0.6mL採取し、自動硬化時間測定装置のホットプレート上に添加し、撹拌しながら毎分10℃で昇温した。その際に、撹拌トルクが2%を超えた温度を硬化温度として、硬化温度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0486】
[実施例2~20]
【0487】
ブロック剤解離触媒(C10)を表1に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例1と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表1に示す。
【0488】
調製直後の硬化温度の測定を実施例1と同様の操作で行った。結果を表1に示す。
【0489】
[比較例1]
【0490】
ブロック剤解離触媒(C10)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例1と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表1に示す。
【0491】
調製直後の硬化温度の測定及び保存安定性の評価を実施例1と同様の操作で行った。結果を表1に示す。
【0492】
[比較例2]
【0493】
ブロック剤解離触媒(C10)をジブチル錫ジラウリレート(以下、DBTLと略記する。)に変更した以外は、実施例1と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表1に示す。
【0494】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1週間保管した後の硬化温度の測定を実施例1と同様の操作で行った。結果を表1に示す。
【0495】
[比較例3]
【0496】
ブロック剤解離触媒(C10)を1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(以下、TBDと略記する。)に変更した以外は、実施例1と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表1に示す。
【0497】
調製直後の硬化温度の測定及び保存安定性の評価を実施例1と同様の操作で行った。結果を表1に示す。
【0498】
【0499】
表1では、イソシアネート反応基を有する化合物としてアミン化合物であるIBPAを使用している。通常イソシアネートとアミンとの反応は無触媒且つ速やかに反応が進行するため、ブロックイソシアネートのブロック剤が解離すると、再生されたイソシアネートは速やかにIBPAと反応し、硬化するものと期待できる。そのため、表1に示す硬化温度はブロック解離温度と同義であると考えられる。
【0500】
表1の結果から、本発明のブロック剤解離触媒(C1~20)を含む熱硬化性組成物は、公知のブロック剤解離触媒であるDBTLを含む熱硬化性組成物に比べ、低温で硬化が観られることが分かった。このことから、本発明のブロック剤解離触媒はブロックイソシアネートとIBPAの低温硬化性、即ちブロック剤の低温解離性に優れていることが分かった。また、本発明のブロック剤解離触媒(C10)を用いた熱硬化性組成物は、公知のブロック剤解離触媒であるTBDを用いた熱硬化性組成物に比べ、保存安定性に優れていることが分かった。
【0501】
[実施例21]
【0502】
DMPブロックジイソシアネート(B1)を製造例31で得られたMEKOブロックジイソシアネート(B2)に変更した以外は、実施例2と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表2に示す。
【0503】
調製直後の熱硬化性組成物を0.6mL採取し、自動硬化時間測定装置のホットプレート上に添加し、撹拌しながら毎分10℃で昇温した。その際に、撹拌トルクが2%を超えた温度を硬化温度として、硬化温度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0504】
30℃条件下、窒素雰囲気下で1ヶ月間保管した後の、熱硬化性組成物の流動性を目視確認し、保存安定性を評価した。結果を表2に示す。
【0505】
30℃条件下、窒素雰囲気下で1ヶ月間保管した後の熱硬化性組成物を0.6mL採取し、自動硬化時間測定装置のホットプレート上に添加し、撹拌しながら毎分10℃で昇温した。その際に、撹拌トルクが2%を超えた温度を硬化温度として、硬化温度の測定を行った。結果を表2に示す。
【0506】
[実施例22~25、比較例5,6]
【0507】
ブロック剤解離触媒(C1)を表2に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例21と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表2に示す。
【0508】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表2に示す。なお、保存安定性の評価において、1ヶ月後に硬化していた熱硬化性組成物は、1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定は実施していない。
【0509】
[比較例4]
【0510】
ブロック剤解離触媒(C1)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例21と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表2に示す。
【0511】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表2に示す。
【0512】
【0513】
[実施例26]
【0514】
DMPブロックジイソシアネート(B1)を製造例32で得られたE-CAPブロックジイソシアネート(B3)に変更した以外は、実施例2と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表3に示す。
【0515】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表3に示す。
【0516】
[実施例27~30、比較例8,9]
【0517】
ブロック剤解離触媒(C1)を表3に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例26と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表3に示す。
【0518】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表3に示す。なお、保存安定性の評価において、1ヶ月後に硬化していた熱硬化性組成物は、1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定は実施していない。
【0519】
[比較例7]
【0520】
ブロック剤解離触媒(C1)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例26と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表3に示す。
【0521】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表3に示す。
【0522】
【0523】
表1、2、3の結果から、3,5-ジメチルピラゾール、メチルエチルケトオキシム又はε-カプロラクタムでイソシアネート基が封止されたブロックイソシアネートに対して、本発明のブロック剤解離触媒は低温解離性に優れることが分かった。また、本発明のブロック剤解離触媒を含む熱硬化性組成物は保存安定性に優れていることが分かった。
【0524】
[実施例31]
【0525】
表4に示す組成で、TRIXENE BI7982(BAXENDEN Chemicals株式会社製、3,5-ジメチルピラゾールブロックポリイソシアネート(以下、DMPブロックポリイソシアネートと略記する。)、有効イソシアネート:10.2%、固形分:70%)、NMP、製造例10で得られたブロック剤解離触媒(C1)、有効イソシアネート基/アルコール基=1.05になるように、サンニックスHD-402(三洋化成工業株式会社製、ポリオキシアルキレンポリオール、水酸基価:392)を添加後、30分間攪拌させ、熱硬化性組成物を得た。
【0526】
熱硬化性組成物の混合比は、次式により算出した。
サンニックスHD-402仕込量(mol)={ブロックイソシアネート仕込量(g)×有効イソシアネート(%)÷100÷42(g/mol)}÷1.05
サンニックスHD-402仕込量(g)=サンニックスHD-402仕込量(mol)÷{水酸基価(mgKOH/g)÷56.1(g/mol)÷1000}
ブロック剤解離触媒仕込量(g)=ブロックイソシアネート固形分(g)×0.05
NMP仕込量(g)=ブロックイソシアネート固形分(g)×2.00-{ブロックイソシアネート仕込量(g)-ブロックイソシアネート固形分(g)}
【0527】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測
定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表4に示す。
【0528】
[実施例32~35、比較例11]
【0529】
ブロック剤解離触媒(C1)を表4に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例31と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表4に示す。
【0530】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表4に示す。
【0531】
[比較例10]
【0532】
ブロック剤解離触媒(C1)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例31と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表4に示す。
【0533】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表4に示す。
【0534】
【0535】
[実施例36]
【0536】
ブロックイソシアネートをデュラネート TPA-B80E(旭化成株式会社製、メチルエチルケトオキシムブロックポリイゾシアネート(以下、MEKOブロックポリイソシアネートと略記する。)、有効イソシアネート:12.4%、固形分:81%)に変更した以外は、実施例31と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表5に示す。
【0537】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測
定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表5に示す。
【0538】
[実施例37~40、比較例13]
【0539】
ブロック剤解離触媒(C1)を表5に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例36と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表5に示す。
【0540】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表5に示す。
【0541】
[比較例12]
【0542】
ブロック剤解離触媒(C1)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例36と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表5に示す。
【0543】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表5に示す。
【0544】
【0545】
[実施例41]
【0546】
ブロックイソシアネートを製造例33で得られた、E-CAPブロックポリイソシアネート(B4)に変更した以外は、実施例31と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表6に示す。
【0547】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表6に示す。
【0548】
[実施例42~45、比較例15]
【0549】
ブロック剤解離触媒(C1)を表6に示すブロック剤解離触媒に変更した以外は、実施例41と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表6に示す。
【0550】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表6に示す。
【0551】
[比較例14]
【0552】
ブロック剤解離触媒(C1)を加えずに熱硬化性組成物を調製した以外は、実施例41と同様に熱硬化性組成物を得た。組成を表6に示す。
【0553】
調製直後の硬化温度の測定、保存安定性の評価及び1ヶ月間保管した後の硬化温度の測定を実施例21と同様の操作で行った。結果を表6に示す。
【0554】
【0555】
表4~6の結果から、イソシアネート反応基を有する化合物としてアルコールを用いた熱硬化性組成物においても、本発明のブロック剤解離触媒は低温硬化性を示し、保存安定性に優れていることが分かった。