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特許7157068薄板部材を薄板積層体に結合するための装置および方法
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  • 特許-薄板部材を薄板積層体に結合するための装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】薄板部材を薄板積層体に結合するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20221012BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20221012BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02K15/02 F
H02K15/02 E
H01F41/02 B
B21D28/02 D
B21D28/02 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019545848
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017077672
(87)【国際公開番号】W WO2018078132
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】16196109.9
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519152939
【氏名又は名称】フォエスタルピネ オートモーティブ コンポーネンツ デッティンゲン ゲーエムベーハー アンド コーポレーション カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バージー,ハインリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン,ヨヘン
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-050919(JP,A)
【文献】特開2005-065413(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190643(WO,A1)
【文献】特開2002-171725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H01F 41/02
B21D 28/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板部材(2)を薄板積層体(3)に結合するための方法であって、
電磁鋼シート(5)から薄板部材(2)を打抜ステージ(18)により打ち抜き、
剥離剤担体(21)から剥離剤(20)を前記打抜ステージ(18)により打ち抜き、前記剥離剤(20)は前記剥離剤担体(21)から、前記打抜ステージ(18)により、薄板部材(2)と共に打ち抜かれ、薄板部材(2)に施与し、
打ち抜かれた薄板部材(2)を積層して、2つの積層された薄板部材(2)の間に前記剥離剤(20)を挟み、
打抜かれて積層した薄板部材(2)を少なくとも物質的に結合し、
物質的に結合された薄板部材(2)を複数の薄板積層体(3)に分離し、
前記剥離剤(20)が、物質的に結合された薄板部材(2)を複数の薄板積層体(3)に分離するのを促進する、方法において、
前記剥離剤(20)は、前記電磁鋼シート(5)の下方で案内される、シート状の前記剥離剤担体(21)から打ち抜かれる、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記薄板部材(2)は、前記電磁鋼シート(5)から打ち抜かれる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電磁鋼シート(5)には、打ち抜きの前に少なくとも領域的に硬化可能なポリマー接着剤層(8)が被覆される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記剥離剤(20)は、薄板部材(2)の前記接着剤層(8)の上に施与される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シート状の前記剥離剤担体(21)と前記電磁鋼シート(5)の送り方向(34,35)は、前記打抜ステージ(18)内で傾斜して、とりわけ互いに垂直に延在する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記電磁鋼シート(5)およびシート状の前記剥離剤担体(21)は、打ち抜きの際に共に押さえ付けられる、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
打ち抜きの後、前記電磁鋼シート(5)はシート状の前記剥離剤担体(21)から離れるように持ち上げられる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記剥離剤担体(21)には非粘着性コーティングが施与される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
シート状の前記剥離剤担体(21)には、前記剥離剤(20)の打ち抜きの前に前記薄板部材(2)の輪郭に沿って切れ目が入れられる、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記剥離剤担体(21)は、シートまたは湾曲体(21.1,21.2,21.3)として構成される、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記剥離剤(20)は、前記薄板積層体(3)の分離後に前記薄板積層体(3)から除去される、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
薄板部材(2)を薄板積層体(3)に結合するための装置であって、
電磁鋼シート(5)から薄板部材(2)を打ち抜くための打抜ステージ(18)を有する打抜工具(10)と、
打ち抜かれた薄板部材(2)を複数の薄板積層体(3)に積層し、少なくとも物質的に結合するための積層装置(31)と、
剥離剤(20)を、前記積層装置(31)内で積層された少なくとも2つの薄板部材(2)の間に施与し、これにより物質的に結合された前記薄板部材(2)を薄板積層体(3)に分離するのを容易にする供給装置(33)と、を備え、
前記供給装置(33)は、剥離剤担体(21)を有し、当該剥離剤担体を前記打抜ステージ(18)に、当該打抜ステージ(18)によって前記剥離剤(20)が前記剥離剤担体(21)から打ち抜かれ、かつ前記薄板部材(2)に施与されるように供給する、装置において、
シート状の前記剥離剤担体(21)が前記打抜ステージ(18)に、前記電磁鋼シート(5)の下方で供給される、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記電磁鋼シート(5)および前記剥離剤担体(21)の送り方向(34,35)は、前記打抜ステージ(18)内で傾斜して、とりわけ互いに垂直に延在している、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記シート状の剥離剤担体(21)は、シートまたは湾曲体(21.1,21.2,21.3)として構成されている、ことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記打抜ステージ(18)は支持クランプ(24)を有し、該支持クランプ(24)は、剥離剤(20)と薄板部材(2)を共に打ち抜くための前記打抜ステージ(18)の刃(13)に固定されている、ことを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板部材を薄板積層体に結合するための装置および方法に関する。この方法では、薄板部材が、電磁鋼シートから打ち抜かれ、打ち抜かれた薄板部材が積層され、複数の薄板積層体に、少なくとも物質的に結合される。そして物質的に結合された薄板部材を薄板積層体に分離するのを容易にするために、少なくとも積層された2つの薄板部材の間に剥離剤が施与され、薄板部材を打ち抜くための打抜ステージにより、前記剥離剤が剥離剤担体から打ち抜かれ、かつ前記薄板部材に施与される。
【背景技術】
【0002】
打抜積層化の際に予め、または最終的に接着された薄板部材を薄板積層体に区分けすることができるようにするため、従来技術(特許文献1)から、積層された薄板部材のための連続打抜工具の積層体制動部として構成された2つのスタッカーの間に、剥離剤を施与することが公知である。このことは、連続打抜工具の前方に、剥離シートを剥離剤として電磁鋼シートの上に領域的にラミネートすることにより行われる。この剥離剤は、打ち抜かれた薄板部材上で、積層方向に互いに隣接する薄板積層体の間の剥離補助として用いられる。不利なことには、剥離剤の適用の際には、薄板積層体の終部または始部として積層体制動部において薄板積層体の分離部をマーキングする、区分けすべき薄板部材に関して正確な位置決めが必要である。したがってこの位置決めは、方法技術的に比較的面倒であり、電磁鋼シートの送り出しの際に、例えば偏差を補償できるようにするために種々の制御および/または調整回路を必要とするが、このことは、形状が精確な薄板積層体を得るための前提である。
【0003】
特許文献2から電磁鋼シートの積層化が公知である。ここでは、電磁鋼シートの上にテープ状の剥離剤担体が案内され、この剥離剤担体が電磁鋼シートと共に打抜ステージに、打ち抜きのために供給される。これにより打抜ステップにおいて、薄板部材と剥離剤とが打ち抜かれ、剥離剤は、打ち抜かれた薄板部材にも同時に結合される。不利なことには剥離剤担体は、打抜ステージの下方で自由懸架されている。このことは、剥離剤の形状的に精確な打ち抜きを妨げ、この方法の再現性を脅かす。
【0004】
中間の刊行物、特許文献3によれば、剥離剤はロール形態のエンドレスシートから打ち抜かれる。ウェブ状のエンドレスシートは、湾曲状にも、板状にも更に加工することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2014/089593号
【文献】特開昭第54-50919号公報
【文献】欧州特許出願公開第3089335号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方法を、形状の精確な剥離剤を再現可能に適用できるように改善することである。さらに剥離剤の適用は、取り扱いが簡単であることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課せられた課題を、方法に関しては、剥離剤が電磁鋼シートの下方で案内されるシート状の剥離剤担体から打ち抜かれることによって解決する。
【0008】
剥離剤が電磁鋼シートの下方で案内されるシート状の剥離剤担体から打ち抜かれる場合、剥離剤を薄板部材に適用するための方法技術的に簡単な解決策をまず得ることができる。なぜなら、電磁鋼シートを打ち抜くことにより、剥離剤担体の自由なたるみを排除することができるからである。しかしとりわけ本発明は、従来技術よりも際立つことができる。なぜなら、剥離剤担体を電磁鋼シートの下方で案内することにより、剥離剤の寸法に精確な打ち抜きを保証することができるからである。すなわち剥離剤担体を、打ち抜き時に電磁鋼シートへの圧力負荷によりしっかり張ることができ、これにより打抜ステージから薄板部材と共に精確な形状で打ち抜くことができる。剥離剤の適用を電磁鋼シートの下方に移行することにより、例えば場合により存在する剥離剤担体の案内時の公差から、本方法を切り離すことができる。これにより、本方法の取り扱いが比較的簡単であっても、特に高い再現性を保証することができる。したがってこの種の薄板積層体、とりわけ電気薄板積層体は、電気機械あるいは電気的ないし電磁的適用に特に適する。
【0009】
一般的に、電磁鋼シートはスチール製の半製品とすることができることを述べておく。これは例えば、最終焼鈍状態における冷間圧延非方向性電磁鋼シート(DIN EN10106)、または最終焼鈍状態における方向性電磁鋼シート(DIN EN10107)とすることができる。さらに一般的に、担体材料におけるシート状の剥離剤担体は、プラスチック、織物、紙、ベーキングペーパー、または被覆部を備える、または備えないそれらの組み合わせを有することができることを述べておく。シート状の剥離剤担体とは、例えば備蓄ロールから例えば送り孔により分離されたシート、または複数のシートあるいはただ1つのシートを備える湾曲体であると理解することができ、例えばシート状のフィルムの形態である。したがってシート状の剥離剤担体は、複数のシートを備える湾曲体として、またはただ1つのシートとして構成されており、例えばこのシートではシート状の剥離剤担体がロール形態のエンドレスシートから切断される。しかし一般的に、剥離剤を打ち抜くことができる任意の形状および/または材料が考えられる。剥離剤は、薄板積層体において物質的に結合した薄板部材の分離を、例えば剥離剤に隣接する薄板部材の少なくとも1つへの粘着性を低減することにより容易にする。そのために例えば、剥離剤担体ないし剥離剤の少なくとも1つの平坦面上にある非粘着性コーティングが考えられる。
【0010】
この再現性は、薄板部材が電磁鋼シートから打ち抜かれる場合でも維持することができる。なぜならすでに述べたように、先行の方法ステップは、薄板部材に剥離剤を精確な位置で適用することに対して、本発明にしたがい影響を及ぼすことができないからである。
【0011】
好ましくは電磁鋼シートには、打ち抜きの前に硬化可能なポリマー接着剤層が、少なくとも領域的に塗布され、これにより薄板部材を形状の安定した薄板積層体に物質的に結合するのを支援する。接着剤層として、好ましくは、とりわけ熱硬化性の、焼付ワニス層(Backlackschicht)が適する。一般的に、接着剤層は、片側または好ましくは両側で電磁鋼シートの平坦側に施与することができることを述べておく。
【0012】
好ましくは剥離剤は、薄板部材の接着剤層上に施与され、剥離剤は打ち抜き後に薄板部材に固定される。これにより薄板部材の打ち抜きの際に剥離剤の精確な案内を保証することができる。とりわけこのことは、薄板積層体が複数の薄板部材からなるセグメント化された層を有し、薄板部材の打ち抜きの際に、薄板積層体を移動あるいは回転しなければならない場合に有利であり得る。本発明により薄板部材に固定された剥離剤は、この運動に確実に追従することができる。このことは、本方法の再現性をさらに高めることができる。
【0013】
打抜ステージ内でシート状の剥離剤担体の送り方向と電磁鋼シートの送り方向とが傾斜して経過する場合、とりわけ互いに垂直に経過する場合、剥離剤担体の案内をそのような電磁鋼シートの案内から切り離すことができ、これにより本方法の取り扱いがさらに簡素化される。
【0014】
電磁鋼シートとシート状の剥離剤担体とが打ち抜きの際に共に押さえ付けられていると、剥離剤のこの形状精度をさらに向上させることができる。
【0015】
剥離剤担体が電磁鋼シートに、例えばそのパンチングバリに、場合により付着してしまう場合、打ち抜き後に電磁鋼シートをシート状の剥離剤担体から離れるように持ち上げると簡単に解離することができる。これにより、剥離剤担体が引き裂かれる危険性を低減することができる。このことは、本方法の再現性を高めることができる。
【0016】
剥離剤を、薄板積層体の分離後に簡単に薄板積層体から除去するために、剥離剤担体には非粘着性コーティングを施与することができる。さらにこの非粘着性コーティングは、薄板積層体の簡単な分離に役立ち得る。
【0017】
剥離剤の打ち抜きの前にシート状の剥離剤担体に、薄板部材の輪郭にしたがうように切れ目が入れられる場合、剥離剤における高い寸法精度を保証することができる。これにより、剥離剤を薄板積層体において粘着したままにし、これを例えば薄板積層体の保護として用いることも考えられる。
【0018】
本方法の取り扱いは、剥離剤担体がシートまたは湾曲体として構成されているとさらに容易にすることができる。
【0019】
さらに本発明は、薄板部材を薄板積層体に結合するための装置を、形状の精確な薄板積層体を製造することができるようにするため、形状の精確な剥離剤を安定して適用できるように構造的に変更することを課題とする。さらに本装置は、構造的に簡単に構成されることが望ましい。
【0020】
本発明は、この課せられた課題を、装置に関して、シート状の剥離剤を担体打抜ステージに、電磁鋼シートの下方で供給することによって解決する。
【0021】
シート状の剥離剤担体を打抜ステージに電磁鋼シートの下方で供給することにより、従来技術とは異なり、剥離剤担体から常に形状の精確な剥離剤が打ち抜かれ、これにより打ち抜かれた薄板部材を寸法の精確な薄板積層体に分離できることを保証することができる。さらにこのように剥離剤担体を供給することは、構造的に比較的簡単に解決すべきであり、とりわけこれにより、電磁鋼シートの案内を考慮する必要がなくなる。さらにこのようにして特に安定した装置を得ることができる。
【0022】
電磁鋼シートの送り方向とシート状の剥離剤担体の送り方向とが、打抜ステージにおいて傾斜して、とりわけ互いに垂直に経過する場合、電磁鋼シートと剥離剤担体とを別個に案内するための構造的な出費をさらに軽減することができる。
【0023】
シート状の剥離剤担体がシートまたは湾曲体である場合、本装置をさらに構造的に簡単にすることができる。
【0024】
さらに、打抜ステージが支持クランプを有する場合、電磁鋼シートの下方で案内される剥離剤担体から剥離剤を精確な形状で打ち抜くことができる。この支持クランプは、剥離剤と薄板部材を共に打ち抜くための打抜ステージの刃に固定されている。
【0025】
図面には例として、本発明の対象が一変形実施例に基づき示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】薄板積層化のための装置の概略図である。
図2図1の装置の連続打抜工具の平面図である。
図3図1の積層体制動部における切断の詳細図である。
図4図1の装置の打抜ステージにおける切断の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1の実施例によれば、本発明の方法を実施するための装置1が概略的に示されている。この装置1は、打ち抜かれた薄板部材2を薄板積層体3に積層するために用いられる。さらにコイル4から電磁鋼シート5が繰り出される。電磁鋼シートは、両方のテープ側6,7に全面的にポリマー接着剤層8、すなわち熱硬化性の焼付ワニスを有し、この接着剤層8は、例えば図3に示されている。焼付ワニスが被覆された電磁鋼シート5から、連続打抜工具10によって複数の薄板部材2が打ち抜かれる。このような打ち抜きは、一般的に述べると、切り抜き、切り落とし、切り離し、せん定、押圧による分割等とすることができる。
【0028】
さらに図1から分かるように、打抜工具10、例えばここでは連続打抜工具は、複数の行程により切断を実施する。このことは、その上側工具11がその下側工具12と共同作用することにより行われる。上側工具11の第1の刃13により、電磁鋼シート5は打ち抜きのために前処理され、その後、上側工具11の第2の刃14により電磁鋼シート5から薄板部材2が打ち抜かれ、あるいはこれにより個別化される。そのために刃13,14は下側工具12のそれぞれのスタンパ15,16と共同作用し、これにより打抜工具10において2つの打抜ステージ17,18を形成する。
【0029】
このような連続切断は、図1では、前処理の際に一部分30が電磁鋼シート5から分離され、これにより、電磁鋼シート5が薄板部材2の打ち抜きのために準備されることから理解される。その後、打抜ステージ18によって薄板部材2が打ち抜かれ、上側工具11の圧力によって積層装置19に押しやられ、そこに積層される。この積層装置は、部分的に先細になる案内部31を下側工具12内に有する。下側工具にあるこの案内部31は、積層体制動の作用を薄板部材2に及ぼし、これにより薄板部材2は上側工具の圧力下で、薄板部材2間に存在するポリマー接着剤層8によって物理的および/または化学的に堅固に結合する。一般的に述べると、積層装置19は、薄板部材2の物質的な結合を改善するために能動的に加熱することができる。
【0030】
さらに薄板積層体3には、詳細に図示しないさらなる硬化ステップを施すことができ、これにより薄板部材2間の物質的結合を強化する。さらに詳細に図示しないが、並置され、上下に積層された複数の薄板部材2を備える層から、例えばセグメント化された薄板積層体3を形成するために、積層装置19を回転することができる。一般的に述べると、図示しないが先細にする代わりに、対向ホルダを案内部に設けることも考えられる。この対向ホルダは、相応の対向圧を薄板部材2の物質的結合のために及ぼす。
【0031】
積層装置19を去る薄板積層体3をより容易に互いに分離できるようにするため、少なくとも積層された2つの薄板部材2の間に、供給装置33を介して剥離剤20が施与される。この剥離剤は、例えば図2と4に示されている。このことは、打抜ステージ18を用いて実施することができ、打抜ステージにより剥離剤20が剥離剤担体21から打ち抜かれる。図2の下側工具12の平面図には、打抜工具10が詳細に示されている。
【0032】
そして、図2に破線で示された刃14は、まず電磁鋼シート5を、これに続いて剥離剤担体21を押圧し、下側工具12のスタンパ16との共同作用で、薄板部材2も剥離剤20も打ち抜く。対応して本発明によれば、剥離剤20は電磁鋼シート5の下方で案内される剥離剤担体21から打ち抜かれる。加えて、この剥離剤担体はシート状に構成されている。シート状の剥離剤担体21を本発明により供給することにより、この剥離剤担体は、好ましくは刃14の圧力負荷により打ち抜きの際に電磁鋼シート5に押さえ付けられ、これにより剥離剤20の寸法に精確な打ち抜きが保証される。これにより寸法の精確な剥離剤20を、打ち抜かれた薄板部材20に再現可能に適用することができる。
【0033】
シート状の剥離剤担体21は、例えば複数のシート21.1,21.2,21.3から形成することができ、あるいは湾曲体として実施することができる。ここでこれらのシート21.1,21.2,21.3は送り孔25を介して共に縣架され、場合により共に縣架されたシート21.1,21.2,21.3として打抜ステージ18に供給することができる。これが例として図2に示されている。したがってシート状の剥離剤担体21は、形状に関連しており、限定されている。使用済みのシート21.1,21.2,21.3は、案内部の片側で排出することができる。さらに、シート状の剥離剤担体21ないし個別のシート21.1,21.2,21.3を、前と後ろに引張することも考えられ、これにより必要に応じて、打抜ステージに離型剤20を送り込むか、または別の場合には剥離剤担体21から離しておく。剥離剤担体21は、例えばシリコン被覆されたベーキングペーパーとして構成することができる。
【0034】
加えてこの打ち抜きにより剥離剤20は、打ち抜かれた薄板部材2に、あるいはその接着剤層8に再現可能に施与され、積層装置19に送り込まれる。後続の、さらなる打ち抜かれた薄板部材2により、この剥離剤20は、隣接する薄板部材2の間の分離部として用いられる。これにより剥離剤20は、積層装置2において2つの薄板部材2の間にも存在し、その構造が例として図3に、完全に図示された薄板積層体3の下方に示されている。この薄板積層体は、打抜ステージ18からちょうど打ち抜かれた薄板部材2も含んでいる。これにより、積層され、物質的に結合された薄板部材2を精密な薄板積層体3に確実に分離することが可能であり、とりわけこのことは、薄板部材2が積層装置19を去り、これを例えばベルトコンベア22上でさらに搬送することが意図される場所でも可能である。
【0035】
図2によれば、剥離剤20は剥離剤担体21から打ち抜かれ、剥離剤担体は打ち抜かれた薄板部材2の陰の輪郭に全面的に追従する。しかし、図2の剥離剤担体21に破線で示されるように、これが打抜ステージ18に供給される前に、剥離剤担体21に切欠部32によって切れ目をすでに入れておくことも考えられる。このようにして打抜ステージ18により剥離剤20が打ち抜かれ、この剥離剤は、薄板部材2の輪郭に追従し、あるいは取り付けた後にもこれからはみ出ない。これはとりわけ、薄板積層体3の内側輪郭において有利であり、内側輪郭はその後、剥離剤20によっても覆われない。剥離剤20を薄板積層体3に付着させ、そこにそのまま残すことも考えられる。もちろん、剥離剤20を薄板積層体3からも引き剥がすことも考えられる。このことは、両側が非粘着性被覆された剥離剤20(例えば両側でシリコン被覆されたベーキングペーパー)により容易にすることができる。
【0036】
図4から分かるように、打抜ステージ18において剥離剤担体21は供給装置33から電磁鋼シート5の下方に案内され、そこで打ち抜かれる。そのために刃14に固定された支持クランプ24が電磁鋼シート5と剥離剤担体21とを共に押さえ付ける。剥離剤担体21は、案内要素28により打抜ステージ18に供給される。これら案内要素28が案内支柱29上に支承されていることにより、打ち抜きの後に剥離剤担体21を電磁鋼シート5から引き離して持ち上げることができ、剥離剤担体21が電磁鋼シート5に場合により付着していても解離することができる。したがって剥離剤担体21は、電磁鋼シートにおいて、例えば詳細に図示しないパンチングバリによって損傷を受けない。
【0037】
さらに図2から分かるように、電磁鋼シート5の送り方向と剥離剤担体21の送り方向34,35とは、打抜ステージ18内で傾斜して、好ましくは互いに垂直に延在する。これにより剥離剤担体21のこれに関連する打抜ステージ18への供給は、構造的に簡単に解決することができる。
図1
図2
図3
図4