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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】視力検査の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
A61B3/028
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019546905
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018016286
(87)【国際公開番号】W WO2018160314
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】15/445,586
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519102956
【氏名又は名称】エヴァンス,デイヴィッド
【氏名又は名称原語表記】EVANS,David
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,デイヴィッド
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1667399(KR,B1)
【文献】特表2016-529053(JP,A)
【文献】特開2005-250113(JP,A)
【文献】特表2004-533012(JP,A)
【文献】特開2007-219081(JP,A)
【文献】特表2014-533587(JP,A)
【文献】特開2001-258840(JP,A)
【文献】特開2013-048754(JP,A)
【文献】特開平04-307026(JP,A)
【文献】特開2003-126036(JP,A)
【文献】国際公開第2008/113853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視力試験中にコンピュータディスプレイ上の視力検査パターンを患者に表示するためのデータ処理システムを動作させる方法において、
前記データ処理システムによって制御され、前記視力検査パターンを表示していない領域内の輝度によって特徴付けられた、前記コンピュータディスプレイのチャート領域内に、前記データ処理システムに前記視力検査パターンを表示させることと、
ディスプレイ輝度センサを使用して、前記チャート領域の外側のセンサ領域内で、前記コンピュータディスプレイから出る光強度を連続的に測定することと、
測定された前記光強度に基づいて、前記コンピュータディスプレイの前記輝度を連続的に調整して所定の光レベル範囲内の光レベルを提供することと、
前記患者のいる部屋の光強度を測定する周囲光センサを、前記患者の目に近接させて設けることと、
前記部屋の前記光強度が所定の制限内となるように、前記データ処理システムに前記部屋の周囲光強度を変更させることと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記輝度を調整することは、前記データ処理システムによって測定された前記光強度を受け取り、測定された前記強度に応じて前記コンピュータディスプレイを自動的に調整することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記光強度は、前記コンピュータディスプレイの一部を見るセンサによって測定され、前記センサは、前記コンピュータディスプレイの前記輝度を変更する指示を伴って前記データ処理システムのユーザと直接通信することを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法において、前記コンピュータディスプレイからの光が前記周囲光センサによって直接受光されないように前記周囲光センサが配置されることを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記チャート領域内の前記コンピュータディスプレイの前記輝度を測定すること、及び前記センサ領域内の前記輝度を測定することを更に含み、前記データ処理システムは、前記センサ領域内で測定された前記輝度を、前記チャート領域内で測定された前記輝度に対して較正することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記ディスプレイ輝度センサを使用して、前記チャート領域と前記センサ領域の両方における前記輝度が測定されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
グレア発光によって特徴付けられ、前記チャート領域に近接して配置されたグレア光源を設けることと、
前記光輝度センサを用いて前記グレア発光を測定することと、
測定された前記グレア発光が所定の範囲内になるように、前記データ処理システムに前記グレア光源の強度を調整させることと、
を更に含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
視力検査システムにおいて、
ディスプレイ輝度によって特徴付けられるコンピュータディスプレイを含むデータ処理システムであって、前記コンピュータディスプレイ上において前記コンピュータディスプレイのチャート領域内に視力検査パターンを表示させる、データ処理システムと、
前記コンピュータディスプレイのセンサ領域内の光強度を連続的に測定するために配置された輝度センサであって、前記センサ領域は前記チャート領域の外側にある、輝度センサと、
前記輝度センサからの出力を受信し、前記輝度センサからの前記出力が所定の制限内となるように、前記コンピュータディスプレイに前記ディスプレイ輝度を連続的に変化させるディスプレイ強度調整システムと、
患者の頭部に近接させて配置された周囲光センサと、
を含み、
患者の目の場所で周囲光強度を測定し、測定された前記周囲光強度を前記データ処理システムに伝達することを特徴とする、視力検査システム。
【請求項9】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記ディスプレイ強度調整システムは前記データ処理システムとは別個であることを特徴とする、視力検査システム。
【請求項10】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記ディスプレイ強度調整システムは、前記センサ領域内で測定された前記光強度に応じて前記コンピュータディスプレイの輝度を自動的に調整する、前記データ処理システム上で動作するプログラムを含むことを特徴とする、視力検査システム。
【請求項11】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記コンピュータディスプレイ強度調整システムは、前記システムのユーザに前記ディスプレイ輝度を手動で変更するように指示するインタフェースを含むことを特徴とする、視力検査システム。
【請求項12】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記輝度センサは、前記コンピュータディスプレイに可逆的に取り付けられることを特徴とする、視力検査システム。
【請求項13】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記輝度センサは、前記コンピュータディスプレイから受光した光によって給電されることを特徴とする、視力検査システム。
【請求項14】
請求項に記載の視力検査システムにおいて、前記データ処理システムは、測定された前記周囲光強度が所定の制限内となるように前記周囲光強度を変化させることを特徴とする、視力検査システム。
【請求項15】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記チャート領域に近接した光源を含むグレア源を更に備え、前記グレア源はグレア発光によって特徴付けられる光を発し、前記照明センサは前記グレア発光を測定し、前記データ処理システムは前記グレア発光が所定の範囲内になるように前記グレア発光を調整することを特徴とする、視力検査システム。
【請求項16】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、患者がミラーを介して前記コンピュータディスプレイを見て、前記データ処理システムは前記コンピュータディスプレイの強度を調整して、前記ミラーによってもたらされる損失を補償することを特徴とする、視力検査システム。
【請求項17】
請求項8に記載の視力検査システムにおいて、前記データ処理システムは、前記視力検査パターンの特定のラインを照らし、前記特定のラインの患者が読み取ったものを記録し、記録された前記読み取ったものと、測定された前記光強度を特定する情報とが前記データ処理システムによって記録されることを特徴とする、視力検査システム。
【請求項18】
視力試験中にコンピュータディスプレイ上の視力検査パターンを患者に表示するためのデータ処理システムを動作させる方法において、
前記データ処理システムによって制御され、前記視力検査パターンを表示していない領域内の輝度によって特徴付けられた、前記コンピュータディスプレイのチャート領域内に、前記データ処理システムに前記視力検査パターンを表示させることと、
ディスプレイ輝度センサを使用して、前記チャート領域の外側のセンサ領域内で、前記コンピュータディスプレイから出る光強度を連続的に測定することと、
測定された前記光強度に基づいて、前記コンピュータディスプレイの前記輝度を連続的に調整して所定の光レベル範囲内の光レベルを提供することと、
前記チャート領域内の前記コンピュータディスプレイの前記輝度を測定することと、
前記センサ領域内の前記輝度を測定することと、
を含み、
前記データ処理システムは、前記センサ領域内で測定された前記輝度を、前記チャート領域内で測定された前記輝度に対して較正することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国及び世界中の視覚機能標準は視力検査に依存しており、視力検査は、白い背景上で、ある範囲の黒い文字を患者に提示することに依存している。研究によると、テスト結果は、使用される視力テストの種類と、テストが実施される条件とに基づいて大きく異なる場合があることを示している。
【0002】
確実に標準化をするために、文字の高さ、文字の幅、文字の間隔、文字の種類、スコアリング手順、試験距離、及び試験輝度を含む、視力検査用の複数の推奨パラメータが設定されている。臨床医は一般に、これら検査パラメータを採用してきた。しかし、テスト照明の標準化は採用されておらず、これは必要性が極めて高い分野である。データは、視力テストの結果が、検査光レベルに依存して大きく変動することを示している。より高い光レベルは、より低い光レベルよりも大幅に良好な視力結果をもたらし、老齢の患者は若い患者よりも検査光レベルによって、より大きな影響を受けることが十分に確認されている。
【0003】
標準化の必要性は、しばらくの間にわたって認識されてきたが、主に大部分の眼科医が同じタイプの視力検査機器を使用しており、それにより本質的に、装置の類似性に起因してばらつきが小さかったため、これまでは輝度標準が眼科開業医によって採用されてこなかった。加えて、視力検査に求められる精度は、検査レーン間又は眼科クリニック間の輝度レベルの差が、視覚機能を文書化する際に問題を引き起こすほどではなかった。
【0004】
しかし、これら2つの要因は現在変わっている。多くの眼科医は、視力検査に、もはや同じ種類の装置を使用しておらず、使用される輝度レベルのばらつきは医師間で大幅に増加している。過去に一般的だった投影システムは、輝度が大幅に変化するコンピュータディスプレイに置き換えられているため、検査システム間のばらつきは実質的に増加している。
【0005】
加えて、多くの新しい視力矯正手術技術が開発されており、様々な種類の処置の結果を正確に比較できるように手術の利点を文書化するために、視力テスト結果の精度を改善する必要性が高まっている。更に、米国政府のヘルスケア償還機関(healthcare reimbursement agencies)は、治療に関連する視覚的結果の質に基づいて、サービスに対して眼科医が償還されるシステムに移行している。大部分の目の治療にとって、視力は成果の主要な尺度であるため、償還戦略のこの変更により、視力測定において必然的に、より高い正確が必要となる。
【0006】
最後に、検査パターンが投影されるコンピュータディスプレイ画面は多くの場合、検査室において従事者が物理的にアクセスすることが困難な場所に位置している。例えば、画面は多くの場合、小さな検査室の背面壁の高い位置に置かれ、1つ以上のミラーを介して患者が見る。画面における照明強度を測定するには、技師は踏み台又は梯子を使用して、画面上で、検査パターンの表示に使用される画面の領域内に照度計を配置する必要がある。その結果、そのような較正測定が実際に行われることはほとんどない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、視力検査システムと、視力試験中にコンピュータディスプレイ上の視力検査パターンを患者に表示するためのデータ処理システムを動作させる方法とを含む。この方法は、データ処理システムによって制御され、視力検査パターンを表示していない領域内の輝度によって特徴付けられた、コンピュータディスプレイのチャート領域内に、データ処理システムに視力検査パターンを表示させることを含む。コンピュータディスプレイから出る光強度が、ディスプレイ輝度センサを使用して、チャート領域の外側のセンサ領域内で連続的に測定される。測定された光強度に基づいて、コンピュータディスプレイの輝度が連続的に調整されて、所定の光レベル範囲内の光レベルが提供される。
【0008】
本発明の一態様では、輝度を調整することは、測定された強度をデータ処理システムによって受け取り、測定された強度に応じてコンピュータディスプレイを自動的に調整することを含む。
【0009】
別の態様では、光強度は、コンピュータディスプレイの一部を見るセンサによって測定され、センサは、コンピュータディスプレイの輝度を変更する指示を伴ってデータ処理システムのユーザと直接通信する。
【0010】
本発明の別の態様では、この方法は、患者のいる部屋の光強度を測定する周囲光センサを、患者の目に近接させて設けること、及び、部屋の光強度が所定の制限内となるように、データ処理システムに部屋の周囲光強度を変更させること、を含む。
【0011】
本発明の別の態様では、コンピュータディスプレイからの光が周囲光センサによって直接受光されないように周囲光センサが配置される。
【0012】
本発明の別の態様では、この方法は、チャート領域内のディスプレイの輝度を測定すること、及びセンサ領域内の輝度を測定することを含み、データ処理システムは、センサ領域内で測定された輝度をチャート領域内で測定された輝度に対して較正する。
【0013】
本発明の別の態様では、ディスプレイ輝度センサを使用して、チャート領域とセンサ領域の両方の輝度が測定される。
【0014】
本発明の別の態様では、方法は、グレア発光によって特徴付けられ、チャート領域に近接して配置されたグレア光源を提供することと、光輝度センサを用いてグレア発光を測定することと、測定されたグレア発光が所定の範囲内になるようにデータ処理システムにグレア光源強度を調整させることと、を含む。
【0015】
本発明による視力検査システムは、データ処理システム、輝度センサ、及びディスプレイ強度調整システムを含む。データ処理システムは、ディスプレイ輝度によって特徴付けられるコンピュータディスプレイを含み、データ処理システムは、コンピュータディスプレイ上においてコンピュータディスプレイのチャート領域内に視力検査パターンを表示させる。輝度センサは、コンピュータディスプレイのセンサ領域内の光強度を測定するために配置され、センサ領域はチャート領域の外側にある。ディスプレイ強度調整システムは、輝度センサからの出力を受信し、輝度センサからの出力が所定の制限内となるように、コンピュータディスプレイにディスプレイ輝度を変化させる。
【0016】
本発明の一態様では、ディスプレイ強度調整システムはデータ処理システムとは別個である。
【0017】
本発明の別の態様では、ディスプレイ強度調整システムは、センサ領域内で測定された光強度に応じてディスプレイ輝度を自動的に調整する、データ処理システム上で動作するプログラムを含む。
【0018】
本発明の別の態様では、ディスプレイ強度調整システムは、システムのユーザにディスプレイ輝度を手動で変更するように指示するインタフェースを含む。
【0019】
本発明の別の態様では、輝度センサはコンピュータディスプレイに可逆的に取り付けられる。
【0020】
本発明の別の態様では、輝度センサは、コンピュータディスプレイから受光した光によって給電される。
【0021】
本発明の別の態様では、システムは患者の頭部に近接して配置された周囲光センサを含んで、患者の目の場所で周囲光を測定し、測定された周囲光をデータ処理システムに伝達する。
【0022】
本発明の別の態様では、データ処理システムは、測定された周囲光が所定の制限内となるように周囲光を変化させる。
【0023】
本発明の別の態様では、システムは、チャート領域に近接した光源を含むグレア源を含み、グレア源はグレア発光によって特徴付けられる光を発し、照明センサはグレア発光を測定し、データ処理システムはグレア発光が所定の範囲内になるようにグレア発光を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一態様によるディスプレイを示す。
図2図2は、本発明で利用可能な発光センサの一実施形態を示す。
図3図3は、本発明による自己給電式センサの一実施形態を示す。
図4図4は、患者が視力試験を受けている検査室の上面図である。
図5図5は、グレア源を利用した検査システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、コンピュータディスプレイが、ディスプレイ毎に輝度が外れるだけでなく、ディスプレイの動作中にも変化する可能性があるという観察に基づいている。例えば、画面のウォームアップ、画面の経時変化、入力の電気的ばらつきの結果として、ディスプレイの輝度が変化する可能性がある。加えて、ディスプレイが他のタスクに使用される場合、オペレータが自分のニーズに合うようにディスプレイの明るさを調整する可能性がある。それゆえ、標準化された条件下で検査が行われることを保証するためには、視力試験の開始時に輝度を所望の範囲に調整するメカニズムが必要である。理想的には、ディスプレイ画面の輝度は検査中に連続的に測定され、正しいレベルに維持される。
【0026】
ここで、本発明の一態様によるディスプレイを示す図1を参照する。ディスプレイ20は、典型的には通常のデータ処理システム22であるコントローラに接続されている。コントローラは、ディスプレイ20に、通常の視力チャートをチャート表示エリア23内に表示させる。取り外し可能なセンサ21が、ディスプレイ20上で視力チャートに使用されないエリア内に配置されている。センサ21は、ディスプレイ20から出る光の平均強度を測定し、その測定値をデータ処理システム22に伝達する。次に、データ処理システム22は、測定された光強度が所定の強度範囲内になるようにディスプレイ20の強度を調整する。一実施形態では、センサ21は、通常のUSBポートによってデータ処理システム22に接続されている。この実施形態では、センサ21はデータ処理システム22により給電されている。別の実施形態では、センサ21は自己給電式であり、無線通信リンクを介してデータ処理システム22と通信する。WiFi通信リンクを利用する実施形態では、センサ21は、通常のブラウザを介してアクセス可能なサーバを含むことができ、ブラウザは測定された光レベルを表示し、あらゆる較正手順をユーザに案内する。
【0027】
本発明の一態様では、センサ21をディスプレイ20上の異なる場所に移動させて、様々な場所でディスプレイを出る光強度を測定することができる。コンピュータディスプレイは、ディスプレイ画面にわたって強度のばらつきを示すことが知られている。これらばらつきは、モニタ固有のものであり得る。それゆえ、画面の限定されたエリア、特に1つのコーナーでの平均発光をチャート表示エリアの発光の代用として使用することは誤りを導く可能性がある。それゆえ、チャート表示エリア内の様々な場所で強度を測定し、チャート表示エリア内の平均発光とセンサ場所での発光との間の関係を決定することが有益である。従って、本発明の一態様では、データ処理システム22又はセンサ21は、ディスプレイ20の発光を、チャート表示領域と、センサ21が通常存在する場所とでマッピングするソフトウェアを含む。
【0028】
複数のセンサがディスプレイの発光プロファイルを測定する実施形態も構築することができる。例えば、図1に示す任意選択のセンサ26をディスプレイ上の他の場所に配置して、画面にわたって画面強度のばらつきを測定できる。これらセンサはまた、データ処理システム22と通信するが、図面を簡略化するために、センサ26とデータ処理システム22との間の接続は省略されている。
【0029】
ここで、本発明で利用可能な発光センサの一実施形態を示す図2を参照する。センサ30は、ディスプレイ20上の領域から光を受け取るフォトダイオード31を含む。任意選択のレンズ34が、フォトダイオード31の面積よりも大きい面積にわたってディスプレイからの光を収集する。ディスプレイ20のピクセル間のあらゆるばらつきを平均化するために、フォトダイオード31に送られる光の面積は十分でなければならない。フォトダイオード31からの電流は、モニタされるエリアの発光に比例する。電流は、電流-電圧変換器32によって電圧に変換される。電流-電圧変換器32の出力は、アナログ-デジタル変換器(ADC)33によってデジタル化され、ディスプレイ発光を調整するための、又はディスプレイ発光をどのように調整すべきかに関するフィードバックをユーザに提供するための、処理プログラム又は他の回路で使用される出力を形成する。
【0030】
センサに給電もする有線接続によってデータ処理システムに接続されていない本発明の実施形態では、センサは自己給電式でなければならない。定期的に交換する必要のある電池によってセンサが電池給電されるスキームを避けることは有益である。本発明の一態様では、センサが有線リンクによってデータ処理システムに接続されていない実施形態では、センサに給電するためにフォトダイオードも使用される。ここで、本発明による自己給電式センサの一実施形態を示す図3を参照する。センサ40は、電流-電圧変換器32の出力を利用して電源35を作動させ、電源は任意選択で再充電可能電池36を充電する。電源35の出力は、センサ40内の電子回路に給電するために使用される。図面を簡略化するために、電源35とセンサ40の他の構成要素との間の接続は図面から省略されている。フォトダイオード31からの利用可能な電力量は、フォトダイオード31から見たディスプレイ画面の面積と、その面積から出る光強度に依存する。フォトダイオード31から得られる瞬時電力がセンサ40に給電するのに不十分な場合、再充電可能電池36が、フォトダイオード31からの電力出力を時間の経過と共に蓄積して保存するメカニズムを提供する。この関連で、ディスプレイ20が視力試験の実施に費やされる時間は、大部分の臨床設定において比較的短いことに留意すべきである。それゆえ、フォトダイオード31から見た領域においてディスプレイがオンのままである場合、フォトダイオード31からの小さな電流でさえ、電力センサ40に必要な電力を供給できる。
【0031】
センサ40がディスプレイ20からの発光を調整するための動作をしていない場合に電力を節約するために、スイッチ38が開放されてADC33及び無線通信リンク39から電力が取り除かれる。無線通信リンク39はオンのときに極めて高い電力を必要とするため、これら構成要素の電力を遮断することにより電力が節約され、一方で再充電可能電池36をフォトダイオード31の出力から充電することが可能になる。センサ40がディスプレイ20の発光を調整するために利用されている場合、ユーザはセンサコントローラ37に信号を送りスイッチ38を閉鎖させる。
【0032】
上述の実施形態では、センサ40は、ディスプレイを制御しかつ患者が見るためのチャートを提供するデータ処理システムと通信して動作するように構成され、それにより、データ処理システムはディスプレイ20の発光を直接調整する。しかし、センサ40が独立型構成を提供する本発明の実施形態も構築できる。そのような実施形態では、センサコントローラ37がユーザと直接通信してディスプレイ20の発光を調整する。一実施形態では、センサコントローラ37はユーザに見える複数のLED41を含み、ユーザは、発光が所望の範囲内にあることをセンサコントローラ37が示すまで、ディスプレイ20の発光を手動で調整する。調整に役立つように、LEDの1つを使用して発光が高すぎることを通知し、1つを使用して発光が低すぎることを通知し、1つを使用して発光が所望の範囲内にあることを通知することができる。そのような実施形態では、無線通信リンク39は任意選択である。
【0033】
ユーザが、データ処理システム又はセンサコントローラ37からのコマンドに応答して、センサを画面上の様々な場所に移動させることによりディスプレイ画面を較正する実施形態では、センサコントローラ37は、任意のブラウザからアクセス可能なウェブサーバを含むことができる。ブラウザは、データ処理システム22上で、又は無線通信リンク39を介してセンサ40と通信する別のコンピュータ上で実行できる。サーバは、移動すべきセンサの場所をディスプレイ20上に表示できる。特に、センサはチャート表示エリア内の発光を測定し、それを、通常の動作中にセンサが存在する場所の発光と比較できる。複数の異なるディスプレイ発光値の測定を実施し、測定した発光を表示エリア内の発光に変換するための較正曲線を提供することができる。
【0034】
複数の考慮事項が、本発明によるセンサの形状因子を決定する。センサの形状は、室内灯からの干渉なしにセンサがディスプレイ発光を検出できるようにする必要がある。加えて、センサは患者のチャートエリアの視野と干渉してはならない。加えて、センサは通常のコンピュータディスプレイに取り付けることができなければならない。センサを様々な場所に移動させる実施形態では、取り付け機構は可逆的でなければならない。そのような移動可能な実施形態では、センサをモニタの端部に配置するクリップを使用できる。他の実施形態では、センサアセンブリを接着剤でモニタに取り付けることができる。
【0035】
上述の実施形態は、部屋の周囲光強度に関係なくディスプレイの発光を調節する。しかし、患者における周囲光強度が測定及び制御される実施形態も構築できる。ここで、患者が視力試験を受けている検査室の上面図である図4を参照する。患者52は、上述の形態でディスプレイ20を見ている。第2の発光センサ51が、患者の目とほぼ同じ高さで患者の近くに配置される。例示的な一実施形態では、第2の発光センサは、患者の目から6インチ以内に配置される。発光センサ51は、データ処理システム53と通信して、患者における発光の測定値を提供する。データ処理システム53は、発光センサ51により測定された発光を周囲光レベルの許容範囲と比較する。周囲光が許容範囲内にない場合、データ処理システム53は、ディスプレイ20上に適切なメッセージを表示することにより、技師に部屋の周囲光を変更するように信号を送ることができる。検査室の周囲光がコンピュータ制御下にある実施形態では、データ処理システム53が周囲光を正しいレベルに調整できる。
【0036】
上述の実施形態は、視力検査における照明標準化に対処する。しかし、本発明はまた、患者に対してある種の検査パターンをモニタ上に提示する他のテストで利用できる。周辺視力、コントラスト感度、奥行知覚のテストは、そのようなテストの例である。本発明はまた、視力検査パターンを表示する画面のエリアの所定の色温度を維持するために利用できる。そのような実施形態では、センサは、異なる波長帯域で異なる感度を有する複数のセンサを含み得る。例えば、赤、緑、及び青の色帯域の強度を測定するセンサを使用して、所定の強度に加えて、色温度を測定し、所定の色温度を維持するためにディスプレイを制御できる。
【0037】
上述の実施形態では、単一の標準化されたレベルの照明が提供されるが、本発明はまた、複数の照明レベルを必要とするテストにも利用することができる。そのようなテストでは、各照明レベルは、モニタ上のセンサからのフィードバックを使用してプロセッサによって設定される。
【0038】
本発明はまた、第2の「グレア」源も利用される試験システムにおいて照明の標準化を提供するために利用できる。そのような配置は、白内障の検査に利用される。ここで、そのようなグレア源を利用した検査システムを示す図5を参照する。図5の検査システムは、図1に示したものと同様であるが、図5に示す実施形態では、グレア源71はモニタの端に配置される。しかし、グレア源がテストチャートの近くの画面上にある実施形態も構築できる。照明モニタが移動可能な本発明の実施形態では、較正手順中に各グレア源上にモニタを配置することができ、その手順において、プロセッサは所定の標準グレア源レベルが得られるようにグレア源への信号を調整する。
【0039】
上述の実施形態において照明レベルを制御するプロセッサは、視力チャート又は他の検査パターンを提供するものと同じプロセッサであり得る。代替として、画面照明又はグレア源レベルのみを制御する別個のプロセッサを利用できる。
【0040】
本発明の一態様では、照明センサは、テストチャートが表示される領域の外側の場所にあるディスプレイ画面に取り付けられたままである。そのような実施形態では、コントローラは画面輝度を連続的にモニタし、画面強度が所定の範囲内に留まるように画面強度を調整する。患者が複数の異なる照明レベルでテストチャートを見ることを、テストが必要とする場合、コントローラは、新しい照明レベルの各々でのテストの開始時に所望の輝度を設定しディスプレイ画面の照明をモニタし、必要に応じて照明を調整して、輝度が所望の範囲内に確実に留まっているようにする。
【0041】
本発明の上述の実施形態では、テストチャートが表示されているディスプレイ画面の発光が連続的にモニタされる。本議論の目的のために、システムが少なくとも各テストの開始時にディスプレイ強度をモニタする場合、システムは発光を連続的にモニタすると称することにする。好ましい一実施形態では、ディスプレイ強度は、テストの開始時に、及びテスト中にディスプレイ強度が変更される毎に測定及び調整される。別の好ましい実施形態では、ディスプレイ強度はテスト中、又はテスト後のある時点でもモニタされる。更に別の実施形態では、ディスプレイ強度は少なくとも1秒に1回モニタ及び調整される。いくつかの実施形態では、データ処理システムは調整を自動的に実施する。他の実施形態では、データ処理システムは強度を変更するようにユーザに指示する。
【0042】
本発明の別の態様では、本発明による視力検査システムは、自己給電式でかつデータ処理システムと無線で通信する、可搬式輝度センサを含む。上述のセンサ51は、そのような輝度センサの一例である。本発明の一態様では、可搬式輝度センサを使用して検査システムの他の構成要素を較正する。例えば、多くの検査室は小さすぎて、テストに適切な距離で患者がディスプレイ画面を直接見ることができない。そのような部屋では、光路を折り曲げるために使用される1つ以上のミラーを介して、患者はディスプレイ画面を見る。これらミラーは、そこに入射する光の一部を吸収する。それゆえ、ミラーの吸収に起因する損失に対してディスプレイ強度を補正することが重要である。可搬式センサは、光がミラーに当たる直前、及び光がミラーから反射された直後に光強度を測定することにより、関連するデータを提供できる。
【0043】
本発明の一態様では、データ処理システムは、テスト中に使用された照明レベル、及び試験の日時を、患者を識別する情報及び実施された特定のテストと共に記録する。一実施形態では、データ処理システムは音声認識ソフトウェアを含み、テストプログラムはテストチャートの個々のラインを患者に提示し、テストチャート内のラインの患者が読み取ったものを記録する。これにより、文書化の目的のためにテスト全体を記録できる。
【0044】
本発明の上述の実施形態は、本発明の様々な態様を例示するために提供された。しかし、様々な特定の実施形態で示される本発明の様々な態様を組み合わせて、本発明の他の実施形態を提供できることを理解されたい。加えて、本発明に対する様々な修正は、前述の記載及び添付の図面から明らかになるであろう。それに応じて、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5