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特許71570722,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20221012BHJP
   C07C 233/58 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 233/60 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 233/63 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 233/57 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 255/44 20060101ALI20221012BHJP
   C07C 323/40 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20221012BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221012BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20221012BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20221012BHJP
   A23G 4/06 20060101ALN20221012BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20221012BHJP
【FI】
C09K3/00 B
C07C233/58 CSP
C07C233/60
C07C233/63
C07C233/57
C07C255/44
C07C323/40
A61K8/42
A61Q13/00 101
A61Q11/00
A61Q5/00
A61Q19/00
A61K47/18
A23L27/20 D
A23L2/00 A
A23G4/06
A23G3/34 101
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019549282
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2018038425
(87)【国際公開番号】W WO2019078185
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2017200504
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 央徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅史
(72)【発明者】
【氏名】原田 睦
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-263664(JP,A)
【文献】特表2017-513493(JP,A)
【文献】特開平05-112494(JP,A)
【文献】特表2016-532682(JP,A)
【文献】国際公開第2010/147653(WO,A1)
【文献】特表2008-501017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/00
A23G1/00-9/52
A23L2/00-2/84
A23L27/00-27/60
A61K8/00-8/99
A61K31/00-31/327
A61Q1/00-90/00
C07B31/00-63/04
C07C1/00-409/44
C11B1/00-15/00
C11C1/00-5/02
C11D1/00-19/00
D06M13/00-15/715
CAPlus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物。
【化1】

[式(1)中、*印は、不斉炭素原子を表し、
Xは、NH、O又はSであり
Yは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいメチレン基であり、
nは、0~3の整数であり、
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基である。
Yにおける置換基は、ヒドロキシ基、メトキシ基またはオキソ基である。
Ar における置換基は、ヒドロキシ基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、アセチル基、炭素数1~4のチオアルコキシ基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、ニトリル基、およびアルキル基の炭素数が1~4であるシアノアルキル基から選ばれる基である。
【請求項2】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHである請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項3】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHであり、(1R,6S)-体である請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項4】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHであり、前記nは、0又は2である請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項5】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHであり、前記nは、0又は2であり、(1R,6S)-体である請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項6】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHであり、前記nは、2である請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項7】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NHであり、前記nは、2であり、(1R,6S)-体である請求項1に記載の冷感剤組成物。
【請求項8】
前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体以外の冷感物質を少なくとも1種更に含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の冷感剤組成物。
【請求項9】
前記冷感物質が、
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サリチル酸メンチル、サリチル酸プレギル、サリチル酸イソプレギル、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-メチル-3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-(l-メントキシ)エタン-1-オール、3-(l-メントキシ)プロパン-1-オール、4-(l-メントキシ)ブタン-1-オール、3-ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p-メンタン-3,8-ジオール、1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル-2-ピロリドン-5-カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N-[[5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p-メンタン-3-カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p-メンタン-2,3-ジオール、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブタンアミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)酢酸エチル、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-シクロプロピル-p-メンタンカルボキサミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロイル-2,3-ジメチルブタンアミド、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)アミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-[4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル]-p-メンタンカルボキサミド、2-[(2-p-メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6-ジエチル-5-イソプロピル-2-メチルテトラヒドロピラン、及びトランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノールから選ばれる1種以上の化合物;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、及びソルビトールから選ばれる1種以上の糖アルコール;並びに
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、及びユーカリプタスオイルから選ばれる1種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1種の冷感物質である請求項8に記載の冷感剤組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の温感物質を更に含有する請求項10に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項12】
前記温感物質が、
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-ヒドロキシ-4’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-エトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ビスカプサイシン、トリスホモカプサイシン、ノルノルカプサイシン、ノルカプサイシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N-トランス-フェルロイルチラミン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、N-トランス-フェルロイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E-ペンテノイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB、レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール-I、サンショオール-II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、及びタデオンから選ばれる1種以上の化合物;並びに
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、及びタデエキスから選ばれる1種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1種の温感物質である請求項11に記載の感覚刺激剤組成物。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物。
【請求項14】
前記感覚刺激剤組成物を0.00001~90質量%含有する請求項13に記載の香料組成物。
【請求項15】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって請求項10~12のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を含有する製品。
【請求項16】
前記感覚刺激剤組成物を0.00001~50質量%含有する請求項15に記載の製品。
【請求項17】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、請求項13又は14に記載の香料組成物を含有する製品。
【請求項18】
前記香料組成物を0.00001~50質量%含有する請求項17に記載の製品。
【請求項19】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、請求項10~12のいずれか1項に記載の感覚刺激剤組成物を配合する、製品の製造方法。
【請求項20】
飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、請求項13又は14に記載の香料組成物を配合する、製品の製造方法。
【請求項21】
下記一般式(1-1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体。
【化2】

[式(1-1)中、*印は不斉炭素原子を表し、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基又はメトキシ基である。]
【請求項22】
下記構造式(10-1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体。
【化3】

[式(10-1)中、*印は不斉炭素原子を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物に関する。更に、本発明は、当該冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物、当該感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物、当該感覚刺激剤組成物又は当該香料組成物を含有する製品、当該製品の製造方法、及び新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒトの皮膚や口腔、鼻、喉に対して爽やかな感覚(清涼感)や冷たい感覚(冷涼感)、すなわち冷感効果を与える冷感剤は、歯磨剤、菓子(例えば、チューインガム、キャンディー等)、煙草、ハップ剤、化粧料等に使用されている。これら清涼感又は冷涼感を与える香料物質として、l-メントール(エル-メントール)が現在広く使用されているが、その冷感効果は持続性に欠け、また、使用量を多くすると冷感効果が増強される反面、苦みなどの異なる刺激を伴うことがあるという欠点がある。さらに、l-メントールは特有の強いハッカ臭や高い揮発性を有するという問題点もある。
【0003】
以上のようなl-メントールの欠点に鑑み、近年、冷感効果を有する化合物の研究として、l-メントールの誘導体合成が盛んに行われている。その結果、多数のl-メントール代用化合物が提案され使用されている。例としては、3-置換-p-メンタン(例えば、特許文献1参照)、N-置換-p-メンタン-3-カルボキサミド類(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)、l-メンチルグルコシド(例えば、特許文献6参照)、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール(例えば、特許文献7参照)、1-メンチル-3-ヒドロキシブチレート(例えば、特許文献8参照)、1-アルコキシ-3-(l-メントキシ)プロパン-2-オール(例えば、特許文献9参照)、3-ヒドロキシメチル-p-メンタンのエステル類(例えば、特許文献10参照)、N-アセチルグリシンメンタンメチルエステル(例えば、特許文献11参照)、l-イソプレゴール(例えば、特許文献12参照)、(2S)-3-{(1R,2S,5R)-[5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}-1,2-プロパンジオール(例えば、特許文献13参照)、2-ヒドロキシメチルメントール(例えば、特許文献14参照)、メントキシアルカン-1-オール(例えば、特許文献15)、(l-メンチルオキシアルコキシ)アルカノール(例えば、特許文献16参照)、Nα-(メンタンカルボニル)アミノ酸アミド(例えば、特許文献17参照)、メンチルケトン誘導体(例えば、特許文献18参照)、イソプレゴール誘導体(例えば、特許文献19参照)、8,4’-オキシネオリグナン類似構造を有するメントール誘導体(例えば、特許文献20参照)等が挙げられる。
現在、冷感剤として商業化されている化合物の多くが、これらl-メントールの誘導体である。
【0004】
その一方で、l-メントールとは構造的に異なる冷感効果を有する化合物も開発されている。例えば、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタナミドに代表されるN-モノ置換-非環式カルボキサミド類(例えば、特許文献21参照)、イシリン類縁体(例えば、特許文献22参照)、N-フェニル-N-ピリジニルベンズアミド及びベンゼンスルホンアミド(例えば、特許文献23参照)、アリールカルボキサミド類(例えば、特許文献24及び特許文献25参照)、含芳香環化合物群(例えば、特許文献26参照)、α-ケトエナミン誘導体(例えば、特許文献27参照)等が挙げられる。また、N,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミド(例えば、特許文献28、非特許文献4参照)が冷感効果を有する化合物として挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開昭47-16647号公報
【文献】日本国特開昭47-16648号公報
【文献】日本国特表2007-530689号公報
【文献】日本国特表2007-511546号公報
【文献】日本国特表2011-530608号公報
【文献】日本国特開昭48-33069号公報
【文献】日本国特開昭58-88334号公報
【文献】日本国特開昭61-194049号公報
【文献】日本国特開平2-290827号公報
【文献】日本国特開平5-255186号公報
【文献】日本国特開平5-255217号公報
【文献】日本国特開平6-65023号公報
【文献】日本国特開平7-82200号公報
【文献】日本国特開平7-118119号公報
【文献】日本国特開2001-294546号公報
【文献】日本国特開2005-343915号公報
【文献】日本国特開2008-115181号公報
【文献】日本国特開2010-527943号公報
【文献】国際公開第2013/033501号
【文献】日本国特開2014-227390号公報
【文献】米国特許第4230688号明細書
【文献】日本国特開2006-512294号公報
【文献】国際公開第2007/048265号
【文献】日本国特表2008-530806号公報
【文献】日本国特表2014-503486号公報
【文献】日本国特表2013-511270号公報
【文献】米国特許第6592884号明細書
【文献】米国特許第7482378号明細書
【文献】日本国特開平5-112494号公報
【文献】日本国特開2001-348353号公報
【文献】日本国特開2002-53520号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】周知・慣用技術集(香料)第I部、平成11年1月29日、日本国特許庁発行
【文献】Adv.Synth.Catal.(2008),Vol.350,Issue 5,652-656
【文献】J.Neurobiol.(2004),Vol.61,3-12
【文献】J.Agric.Food Chem.(2017),DOI:10.1021/acs.jafc.6b04838
【文献】Angew.Chem.Int.Ed.(1978),Vol.17,522-524
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記で挙げた従来の冷感効果を有する化合物は、それなりの冷感効果を有するが、冷感効果の持続性等の点で未だ十分満足できるものではない。また、感覚刺激効果についてもさらに改善することが必要とされる。さらに、「WSシリーズ」として商業的に知られているN-置換-p-メンタン-カルボキサミド類(例えば、特許文献2参照)をはじめとする市販の主な冷感剤はl-メントールの誘導体であるため、合成工程が多段階に及び煩雑である。従って、工業規模で製造するのに費用が掛かり、これら化合物の多くが比較的高価な成分となっている。
【0008】
従って、本発明の目的は、好ましくない刺激感が少なく、清涼感もしくは冷涼感の持続性に優れた冷感剤又は感覚刺激剤として用いることができ、l-メントールとは構造的に異なる炭素骨格を母核とする新規化合物であり、安価な原料から非常に簡便かつ低コストで合成可能な新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物を提供することである。
【0009】
また、本発明は、当該冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物を提供することも目的とする。
さらに、本発明は、当該感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物、当該感覚刺激剤組成物又は当該香料組成物を含有する製品、当該製品の製造方法、及び新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の[1]~[22]に関するものである。
[1]下記一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物。
【0012】
【化1】
【0013】
[式(1)中、*印は、不斉炭素原子を表し、
Xは、NH、N(ZAr)、O又はSであり、Zは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基であり、
Yは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいメチレン基であり、
nは、0~3の整数であり、
Arは、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基である。]
[2]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)である[1]に記載の冷感剤組成物。
[3]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)であり、(1R,6S)-体である[1]に記載の冷感剤組成物。
[4]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)であり、前記nは、0又は2であり、前記Zは、単結合又は置換基を有していてもよいエチレン基である[1]に記載の冷感剤組成物。
[5]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)であり、前記nは、0又は2であり、前記Zは、単結合又は置換基を有していてもよいエチレン基であり、(1R,6S)-体である[1]に記載の冷感剤組成物。
[6]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)であり、前記nは、2であり、前記Zは、置換基を有していてもよいエチレン基である[1]に記載の冷感剤組成物。
[7]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体が、前記Xは、NH又はN(ZAr)であり、前記nは、2であり、前記Zは、置換基を有していてもよいエチレン基であり、(1R,6S)-体である[1]に記載の冷感剤組成物。
[8]前記2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体以外の冷感物質を少なくとも1種更に含有する[1]~[7]のいずれか1つに記載の冷感剤組成物。
[9]前記冷感物質が、
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サリチル酸メンチル、サリチル酸プレギル、サリチル酸イソプレギル、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-メチル-3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-(l-メントキシ)エタン-1-オール、3-(l-メントキシ)プロパン-1-オール、4-(l-メントキシ)ブタン-1-オール、3-ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p-メンタン-3,8-ジオール、1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル-2-ピロリドン-5-カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N-[[5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p-メンタン-3-カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p-メンタン-2,3-ジオール、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブタンアミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)酢酸エチル、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-シクロプロピル-p-メンタンカルボキサミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロイル-2,3-ジメチルブタンアミド、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)アミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-[4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル]-p-メンタンカルボキサミド、2-[(2-p-メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6-ジエチル-5-イソプロピル-2-メチルテトラヒドロピラン、及びトランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノールから選ばれる1種以上の化合物;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、及びソルビトールから選ばれる1種以上の糖アルコール;並びに
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、及びユーカリプタスオイルから選ばれる1種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1種の冷感物質である[8]に記載の冷感剤組成物。
[10][1]~[9]のいずれか1つに記載の冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物。
[11]少なくとも1種の温感物質を更に含有する[10]に記載の感覚刺激剤組成物。
[12]前記温感物質が、
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-ヒドロキシ-4’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-エトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ビスカプサイシン、トリスホモカプサイシン、ノルノルカプサイシン、ノルカプサイシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N-トランス-フェルロイルチラミン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、N-トランス-フェルロイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E-ペンテノイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB、レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール-I、サンショオール-II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、及びタデオンから選ばれる1種以上の化合物;並びに
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、及びタデエキスから選ばれる1種以上の天然物;
からなる群より選ばれる少なくとも1種の温感物質である[11]に記載の感覚刺激剤組成物。
[13][10]~[12]のいずれか1つに記載の感覚刺激剤組成物を含有する香料組成物。
[14]前記感覚刺激剤組成物を0.00001~90質量%含有する[13]に記載の香料組成物。
[15]飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって[10]~[12]のいずれか1つに記載の感覚刺激剤組成物を含有する製品。
[16]前記感覚刺激剤組成物を0.00001~50質量%含有する[15]に記載の製品。
[17]飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品であって、[13]又は[14]に記載の香料組成物を含有する製品。
[18]前記香料組成物を0.00001~50質量%含有する[17]に記載の製品。
[19]飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、[10]~[12]のいずれか1つに記載の感覚刺激剤組成物を配合する、製品の製造方法。
[20]飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品からなる群より選ばれるいずれかの製品の製造方法であって、[13]又は[14]に記載の香料組成物を配合する、製品の製造方法。
[21]下記一般式(1-1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体。
【0014】
【化2】
【0015】
[式(1-1)中、*印は不斉炭素原子を表し、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基又はメトキシ基である。]
[22]下記構造式(10-1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体。
【0016】
【化3】
【0017】
[式(10-1)中、*印は不斉炭素原子を表す。]
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、好ましくない刺激感が少なく、清涼感もしくは冷涼感の持続性に優れた冷感剤又は感覚刺激剤として用いることができ、l-メントールとは構造的に異なる炭素骨格を母核とする新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を含有する冷感剤組成物を提供することができる。本発明の冷感剤組成物を各種の製品に配合することにより、これらの製品に持続性に優れた清涼感もしくは冷涼感を付与することができる。
【0019】
また、現在商業化されている冷感効果を有する化合物の大半がl-メントールの誘導体であり、その合成工程の煩雑さ等から比較的高価な成分となっている。しかしながら、当該2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体はl-メントールとは構造的に異なる炭素骨格を母核とする新規化合物であり、安価なシトロネラールを原料として、非常に簡便かつ低コストで合成することが可能である。
【0020】
また、本発明の冷感剤組成物を含む感覚刺激剤組成物が配合された香料組成物においては、香料組成物の香り立ち、残香性が高められ、当該香料組成物を賦香してなる製品にも高い香質改善効果が付与される。
【0021】
さらに、当該2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、人体に対して好ましくない皮膚刺激感をほとんど生じないという優れた特性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本明細書において、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と称することがある。
【0023】
本明細書において、“重量%”と“質量%”とは同義である。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0024】
[冷感剤組成物]
(一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体)
本発明にかかる冷感剤組成物は、下記一般式(1)で表される新規2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体を冷感物質として含有することを特徴とする。
【0025】
【化4】
【0026】
式(1)中、*印は、不斉炭素原子を表し、Xは、NH、N(ZAr)、O又はSであり、Zは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基であり、Arは、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基であり、Yは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいメチレン基であり、nは、0~3の整数であり、Arは、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基である。
【0027】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、シクロヘキサン環構造を有し、次式に示すように1位と6位に不斉炭素を有している。
【0028】
【化5】
【0029】
上記式中、*印、n、X、Y及びArは前記と同義である。
【0030】
具体的には、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体として、次の式(1-a)~式(1-d)に示される4種のジアステレオマーが存在する。
【0031】
【化6】
【0032】
式(1-a)~式(1-d)中、n、X、Y及びArは前記と同義である。
【0033】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、好ましくはトランス体、特に好ましくは(1R,6S)-体(1-a)である。
【0034】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体の官能基について、以下に説明する。
【0035】
Xは、NH、N(ZAr)、O又はSである。
これらの中でもXは、冷感強度の観点から、NH又はN(ZAr)であることが好ましい。
【0036】
Zは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基である。
置換基を有していてもよい炭素数1~3のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。
これらの中でもZは、冷感強度の観点から、単結合又は置換基を有していてもよいエチレン基であることが好ましく、置換基を有していてもよいエチレン基であることがより好ましい。
【0037】
Yは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいメチレン基であり、nは、0~3の整数である。
これらの中でもnは、冷感強度の観点から、0又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0038】
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基である。
置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基としては、例えば、炭素数6~20の芳香族単環式基、芳香族多環式基、又は芳香族縮合環式基が挙げられる。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基等が挙げられ、好ましい具体例としてはフェニル基が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基としては、例えば、炭素数2~15で、異種元素を少なくとも1個、好ましくは1~3個含んでいる5~8員環、好ましくは5員又は6員の、単環、多環又は縮合環式等の芳香族複素環(ヘテロアリール)基が挙げられる。異種原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ元素が挙げられる。
【0040】
置換基を有していてもよい炭素数2~15の芳香族複素環基の具体例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリニジル基、ピラジニル基、ピラダジニル基、テトラジニル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアゾイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサノイル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチルジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基等が挙げられ、好ましい具体例としてはチエニル基が挙げられる。
【0041】
上述の炭素数1~3のアルキレン基、炭素数6~20のアリール基及び炭素数2~15の芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等の炭素数5~8のシクロアルキル基;ヒドロキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基及び1-ヒドロキシブチル基等の炭素数1~4のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、メチレンジオキシ基及びtert-ブトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基;メルカプト基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、n-チオプロポキシ基、チオイソプロポキシ基、n-チオブトキシ基、チオイソブトキシ基、sec-チオブトキシ基、メチレンジチオ基及びtert-チオブトキシ基等の炭素数1~4のチオアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基等の炭素数7~12のアラルキル基;カルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2~8のアルコキシカルボニル基;カルボキサミド基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びジブチルアミノ基等の炭素数2~8のジアルキルアミノ基;ニトリル基;シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基及びシアノブチル基等のシアノアルキル(当該アルキル基の炭素数1~4)基;オキシラニル基、アジリジニル基、2-オキソピロピジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基及びテトラヒドロチエニル基等の脂肪族複素環基;テトラジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピラダジニル基、イミダゾイル基、オキサゾイル基、チアゾイル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサノイル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、ナフチルジニル基、シンノリニル基、ベンゾイミダゾリン基、ベンゾオキサゾリル基及びベンゾチアゾリル基等の芳香族複素環基等を挙げることができる。
【0042】
(一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体の合成方法)
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、例えば、以下のスキーム1~スキーム6で表される方法により合成される。しかし、当該カルボン酸誘導体の合成方法は以下のスキーム1~スキーム6の方法に限定されるものではない。
【0043】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体の基本骨格である下記式(5)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸(以下、「カルボン酸化合物(5)」と称することがある。)は、例えば、以下のスキーム1で示される方法に従って、シトロネラール、7-メトキシシトロネラール又は7-ヒドロキシシトロネラールより合成される。
【0044】
【化7】
【0045】
スキーム1の式中、実線と点線の二重線は二重結合又は単結合であり、実線と点線の二重線が単結合の場合は、Zは、ヒドロキシ基又はメトキシ基である。また、Acは、アセチル基であり、*印は、前記と同義である。
【0046】
工程[A]、工程[B]及び工程[C]は、特許文献29に記載の手法によって行うことができる。即ち、工程[A]はエノールアセチル化反応により行うことができ、工程[B]は酸触媒による環化反応により行うことができ、工程[C]は酸化反応により行うことができる。
【0047】
また、工程[D]、工程[E]、工程[F]及び工程[G]は、特許文献30に記載の手法によって行うことができる。即ち、工程[D]はグリニャール反応により行うことができ、工程[E]は酸化反応により行うことができ、工程[F]はエノールアセチル化反応により行うことができ、工程[G]は酸触媒による環化反応により行うことができる。
【0048】
また、工程[H]は、特許文献31に記載の手法によって合成することができる。即ち、工程[H]は硝酸酸化により行うことができる。
【0049】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体のうち、X=NHである一般式(10)で示される2級アミド化合物(以下、「2級アミド化合物(10)」と称することがある。)は、例えば、以下のスキーム2で示される方法に従って、カルボン酸化合物(5)より合成される。
【0050】
【化8】
【0051】
スキーム2の式中、*印、n、Y及びArは前記と同義である。
工程[I]は、特許文献2又は特許文献19に記載の手法と同様な手法によって行うことができる。
【0052】
あるいは、2級アミド化合物(10)は、例えば、以下のスキーム3で示される方法に従って、カルボン酸化合物(5)より合成することも可能である。
【0053】
【化9】
【0054】
スキーム3の式中、*印、n、Y及びArは前記と同義である。
工程[J]は、カルボン酸化合物(5)をメシル化して活性アシル中間体へと変換した後、アミンと反応させることで行うことができる。
【0055】
さらに、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体のうち、X=N(ZAr)である一般式(11)で示される3級アミド化合物(以下、「3級アミド化合物(11)」と称することがある。)は、例えば、以下のスキーム4の工程[K]の手法に従って、一般式(12)で示される2級アミンを調製したのち、スキーム2に記載の工程[I]又はスキーム3に記載の工程[J]と同様の手法にてカルボン酸化合物(5)と反応させることで合成することができる。
【0056】
【化10】
【0057】
スキーム4の式中、X’は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、*印、n、Y、Z、Ar及びArは前記と同義である。
工程[K]は、非特許文献2に記載の手法と同様な手法によって行うことができる。工程[I]及び工程[J]は、前記の手法によって行うことができる。
【0058】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体のうち、X=Oである一般式(13)で示されるカルボン酸エステル化合物(以下、「エステル化合物(13)」と称することがある。)は、例えば、以下のスキーム5で示される方法に従って、カルボン酸化合物(5)より合成される。
【0059】
【化11】
【0060】
スキーム5の式中、*印、n、Y及びArは前記と同義である。
工程[L]は、特許文献29に記載の手法と同様な手法によって行うことができる。
【0061】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体のうち、X=Sである一般式(14)で示されるカルボン酸チオエステル化合物(以下、「チオエステル化合物(14)」と称することがある。)は、例えば、以下のスキーム6で示される方法に従って、カルボン酸化合物(5)より合成される。
【0062】
【化12】
【0063】
スキーム6の式中、*印、n、Y及びArは前記と同義である。
工程[M]は、非特許文献5に記載の手法と同様な手法によって行うことができる。即ち、工程[M]は、縮合反応により行うことができる。
【0064】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体の好ましい具体例としては、2級アミド化合物(10)、3級アミド化合物(11)、エステル化合物(13)及びチオエステル化合物(14)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、2級アミド化合物(10)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、Meはメチル基を、*印は不斉炭素を表す。
【0065】
【化13】
【0066】
【化14】
【0067】
【化15】
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
3級アミド化合物(11)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、Meはメチル基を、*印は不斉炭素を表す。
【0071】
【化18】
【0072】
エステル化合物(13)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、Meはメチル基を、*印は不斉炭素を表す。
【0073】
【化19】
【0074】
チオエステル化合物(14)の好ましい具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下の化合物中、Meはメチル基を、*印は不斉炭素を表す。
【0075】
【化20】
【0076】
また、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、冷感強度の観点から、下記一般式(1-1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体であることが好ましい。
【0077】
【化21】
【0078】
式(1-1)中、*印は不斉炭素原子を表し、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基又はメトキシ基である。
冷感強度の観点から、R、R’及びR’’は、それぞれ独立して水素原子若しくはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0079】
このようにして得られた一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、強く、持続性のある冷感効果を有し、そのまま単独で冷感剤又は感覚刺激剤として利用することもできる。
【0080】
一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体は、種々の製品に含有させることもできる。その場合、製品の種類、使用目的等により、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、当該カルボン酸誘導体は、製品の全組成に対して、通常0.00001~50質量%、好ましくは0.0001~20質量%、特に好ましくは0.001~5質量%の濃度で用いられる。
【0081】
また、本発明の冷感剤組成物における、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体の含有量は、冷感剤組成物の使用目的等によって適宜変える必要があるが、通常0.00001~50質量%、好ましくは0.0001~20質量%、特に好ましくは0.001~5質量%である。
【0082】
本発明の冷感剤組成物は、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体以外の冷感物質を少なくとも1種更に含有することにより、冷感強度をより高めた冷感剤組成物とすることができる。さらには、冷感強度を高めた、当該冷感剤組成物を含有する感覚刺激剤組成物を調製することができる。
【0083】
前記一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体以外の冷感物質としては、例えば;
メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、キュベノール、酢酸メンチル、酢酸プレギル、酢酸イソプレギル、サリチル酸メンチル、サリチル酸プレギル、サリチル酸イソプレギル、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-メチル-3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、2-(l-メントキシ)エタン-1-オール、3-(l-メントキシ)プロパン-1-オール、4-(l-メントキシ)ブタン-1-オール、3-ヒドロキシブタン酸メンチル、グリオキシル酸メンチル、p-メンタン-3,8-ジオール、1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノン、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、メンチル-2-ピロリドン-5-カルボキシラート、モノメンチルスクシナート、モノメンチルスクシナートのアルカリ金属塩、モノメンチルスクシナートのアルカリ土類金属塩、モノメンチルグルタラート、モノメンチルグルタラートのアルカリ金属塩、モノメンチルグルタラートのアルカリ土類金属塩、N-[[5-メチル-2-(1-メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシン、p-メンタン-3-カルボン酸グリセロールエステル、メントールプロピレングリコールカルボナート、メントールエチレングリコールカルボナート、p-メンタン-2,3-ジオール、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブタンアミド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)酢酸エチル、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-シクロプロピル-p-メンタンカルボキサミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ピリジン-2-イル)-3-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロイル-2,3-ジメチルブタンアミド、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)アミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-[4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル]-p-メンタンカルボキサミド、2-[(2-p-メントキシ)エトキシ]エタノール、2,6-ジエチル-5-イソプロピル-2-メチルテトラヒドロピラン、トランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノール等の化合物(α)並びにこれらのラセミ体及び光学活性体;
キシリトール、エリスリトール、デキストロース、ソルビトール等の糖アルコール(β);
和種ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル等の天然物(γ);
日本国特開2001-294546号公報、日本国特開2005-343915号公報、日本国特開2007-002005号公報、日本国特開2009-263664号公報、日本国特開2010-254621号公報、日本国特開2010-254622号公報、日本国特開2011-079953号公報、米国特許第4136163号明細書、米国特許第4150052号明細書、米国特許第4178459号明細書、米国特許第4190643号明細書、米国特許第4193936号明細書、米国特許第4226988号明細書、米国特許第4230688号明細書、米国特許第4032661号明細書、米国特許第4153679号明細書、米国特許第4296255号明細書、米国特許第4459425号明細書、米国特許第5009893号明細書、米国特許第5266592号明細書、米国特許第5698181号明細書、米国特許第5725865号明細書、米国特許第5843466号明細書、米国特許第6231900号明細書、米国特許第6277385号明細書、米国特許第6280762号明細書、米国特許第6306429号明細書、米国特許第6432441号明細書、米国特許第6455080号明細書、米国特許第6627233号明細書、米国特許第7078066号明細書、米国特許第6783783号明細書、米国特許第6884906号明細書、米国特許第7030273号明細書、米国特許第7090832号明細書、米国特許出願公開第2004/0175489号明細書、米国特許出願公開第2004/0191402号明細書、米国特許出願公開第2005/0019445号明細書、米国特許出願公開第2005/0222256号明細書、米国特許出願公開第2005/0265930号明細書、米国特許出願公開第2006/015819号明細書、米国特許出願公開第2006/0249167号明細書、欧州特許出願公開第1689256号明細書、国際公開第2005/082154号、国際公開第2005/099473号、国際公開第2006/058600号、国際公開第2006/092076号、国際公開第2006/125334号に記載の化合物(δ);
等を例示することができる。
これらは、1種又は2種以上を適宜配合して用いることができる。中でも、上記冷感物質は、化合物(α)、糖アルコール(β)及び天然物(γ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の冷感物質を含むことが好ましい。
【0084】
本発明の冷感剤組成物中において、一般式(1)で表される2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸誘導体と当該カルボン酸誘導体以外の冷感物質とは、本発明の効果を損なわない範囲において任意の割合で用いることができるが、当該カルボン酸誘導体と当該カルボン酸誘導体以外の冷感物質の好ましい使用割合は、質量比で1:99~90:10の範囲である。
【0085】
本発明の冷感剤組成物は、香料組成物や飲料、食品、香粧品、トイレタリー製品、エアケア製品、日用・雑貨品、口腔用組成物、ヘアケア製品、スキンケア製品、ボディケア製品、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、医薬品部外品及び医薬品等の製品に配合することができる。
【0086】
[感覚刺激剤組成物]
本発明の冷感剤組成物は、強く、かつ持続性のある冷感効果を有していることから、この冷感剤組成物を含有させることにより、冷感効果を有する本発明の感覚刺激剤組成物を調製することができる。
【0087】
本発明の感覚刺激剤組成物を調製する場合において、冷感剤組成物の配合量は、製品の種類、使用目的等により、その適用範囲や適用方法を適宜変更する必要があるが、感覚刺激剤組成物の全組成に対して、通常0.00001~50質量%、好ましくは0.0001~20質量%、特に好ましくは0.001~4質量%である。
【0088】
なお、本発明の感覚刺激剤組成物は、感覚を刺激する効果を与える組成物である。前記感覚を刺激する効果としては、冷感効果及び/又は温感効果を含む。従って、本発明においては、感覚刺激剤組成物は冷感剤組成物及び/又は温感剤組成物をも含む概念として用いられている。
【0089】
本発明の感覚刺激剤組成物においては、少なくとも1種の温感物質を更に含有することにより、感覚刺激剤組成物の刺激効果を調整することができる。
【0090】
温感物質としては、例えば;
バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルアミルエーテル、バニリルイソアミルエーテル、バニリルヘキシルエーテル、イソバニリルメチルエーテル、イソバニリルエチルエーテル、イソバニリルプロピルエーテル、イソバニリルイソプロピルエーテル、イソバニリルブチルエーテル、イソバニリルアミルエーテル、イソバニリルイソアミルエーテル、イソバニリルヘキシルエーテル、エチルバニリルメチルエーテル、エチルバニリルエチルエーテル、エチルバニリルプロピルエーテル、エチルバニリルイソプロピルエーテル、エチルバニリルブチルエーテル、エチルバニリルアミルエーテル、エチルバニリルイソアミルエーテル、エチルバニリルヘキシルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、イソバニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、イソバニリルブチルエーテル酢酸エステル、エチルバニリルブチルエーテル酢酸エステル、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-ヒドロキシ-4’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(l-メントキシメチル)-2-(3’-エトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ビスカプサイシン、トリスホモカプサイシン、ノルノルカプサイシン、ノルカプサイシン、カプサイシノール、バニリルカプリルアミド(オクチル酸バニリルアミド)、バニリルペリラゴンアミド(ノニル酸バニリルアミド)、バニリルカプロアミド(デシル酸バニリルアミド)、バニリルウンデカンアミド(ウンデシル酸バニリルアミド)、N-トランス-フェルロイルチラミン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、N-トランス-フェルロイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2E-ペンテノイルピペリジン、N-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2E,4E-ペンタジエノイルピペリジン、ピペリン、イソピペリン、シャビシン、イソシャビシン、ピペラミン、ピペレチン、ピペロレインB、レトロフラクタミドA、ピペラシド、グイネンサイド、ピペリリン、ピペラミドC5:1(2E)、ピペラミドC7:1(6E)、ピペラミドC7:2(2E,6E)、ピペラミドC9:1(8E)、ピペラミドC9:2(2E,8E)、ピペラミドC9:3(2E,4E,8E)、ファガラミド、サンショオール-I、サンショオール-II、ヒドロキシサンショオール、サンショウアミド、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、メチルジンゲロール、パラドール、スピラントール、カビシン、ポリゴジアール(タデオナール)、イソポリゴジアール、ジヒドロポリゴジアール、タデオン等の化合物(ε)並びにこれらのラセミ体及び光学活性体;
トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ジャンブーオレオレジン(キバナオランダセンニチ抽出物)、サンショウエキス、サンショウアミド、黒胡椒エキス、白胡椒エキス、タデエキス等の天然物(ζ);
日本国特開平8-225564号公報、日本国特開2007-015953号公報、日本国特表2007-510634号公報、日本国特表2008-505868号公報、国際公開第2007/013811号、国際公開第2003/106404号、欧州特許出願公開第1323356号明細書、独国特許出願公開第10351422号明細書、米国特許出願公開第2005/0181022号明細書、米国特許出願公開第2008/0038386号明細書に記載の化合物(η);
等を例示することができる。
これらは、1種又は2種以上を適宜配合して用いることができる。中でも、上記温感物質は、化合物(ε)、及び天然物(ζ)からなる群より選ばれる少なくとも1種の温感物質を含むことが好ましい。
【0091】
本発明の感覚刺激剤組成物においては、冷感効果を目的とする場合、温感物質と冷感剤組成物との配合比は、温感物質の配合により温感効果が付与されない範囲であればよい。その際、温感物質の配合量は、冷感剤組成物の総質量に対して、通常0.001~0.95倍量、好ましく0.01~0.5倍量である。本発明の感覚刺激剤組成物において、冷感剤組成物に上記割合で温感物質が添加されることにより、冷感効果の更なる向上が見られる。
【0092】
また、温感効果を目的とする場合は、温感物質と冷感剤組成物との配合比は、冷感剤組成物の配合により冷感効果が付与されない範囲であればよい。その際、冷感剤組成物の配合量は、温感物質の総質量に対して、通常0.001~0.95倍量、好ましくは0.01~0.5倍量である。
【0093】
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、本発明の感覚刺激剤組成物を含有する。また、本発明の香料組成物は、香料成分を含有することができる。
当該香料成分としては、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料等を挙げることができ、例えば、非特許文献1に記載されているような広範な種類の香料成分を使用することができる。
【0094】
その中でも代表的なものとしては、例えば、α-ピネン、リモネン、cis-3-ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ムスコン、ムスクT(高砂香料工業株式会社製)、テサロン(高砂香料工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0095】
本発明の感覚刺激剤組成の含有量は、一緒に調合する香料やその他の成分の種類、当該香料組成物の使用目的等により調整することができるが、冷感強度の観点から、香料組成物の全質量に対して、0.00001~90質量%であることが好ましく、0.0001~20質量%であることがより好ましく、0.001~4質量%であることがさらに好ましい。
【0096】
また、本発明の香料組成物が香粧品用の場合、本発明の感覚刺激剤組成の含有量は、香料組成物の全質量に対して、通常0.00001~50質量%、好ましくは0.001~50質量%、特に好ましくは0.01~20質量%である。
さらに、本発明の香料組成物が飲料用や食品用の場合、本発明の感覚刺激剤組成の含有量は、香料組成物の全質量に対して、0.0001~50質量%であることが好ましく、0.001~30質量%であることがより好ましい。
【0097】
本発明の香料組成物は、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている他の香料保留剤を含有していてもよい。その場合の他の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を含有することができる。
【0098】
[製品]
本発明の製品は、冷感又は感覚刺激の付与を目的として、本発明の感覚刺激剤組成物又は本発明の香料組成物を含有する。
【0099】
上記製品は、特に限定されないが、例えば、飲料;食品;洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤等のトイレタリー製品;消臭剤・芳香剤等のエアケア製品;口腔用組成物;フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品等の香粧品;ヘアケア製品;石鹸等のスキンケア製品;身体洗浄剤等のボディケア製品;浴用剤;衣料用洗剤;衣料用柔軟仕上げ剤;エアゾール剤;日用・雑貨品;医薬部外品又は医薬品等が挙げられる。
【0100】
前記飲料としては、果汁飲料、果実酒、乳飲料、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤の如き飲料類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアの如き茶飲料又は嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類;各種インスタント飲料類等;
前記食品としては、アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリン等のデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガム等の洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウ等の和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;風味調味料;各種インスタント食品類;各種スナック食品類等;
前記口腔用組成物としては、歯磨き、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム等;
前記フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン等;
前記基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし等;
前記仕上げ化粧品としては、ファンデーシヨン、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドゥ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー等;
前記頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤等;
前記日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品等;
前記薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネン卜ウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料等;
前記ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメン卜、ヘアーパック等;
前記石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸等;
前記身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープ、フェースクリーム等;
前記浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパヒューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキユーブ等;
前記衣料用洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸等;
前記衣料用柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチァケアー等;
前記洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤等;
前記台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤等;
前記漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤等;
前記エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレー等;
前記消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ(水性、油性)等;
前記日用・雑貨品としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等;
前記医薬部外品としては、液体入浴剤、洗口液、忌避剤等、前記忌避剤としてはミストスプレータイプ、水性液体タイプ等;
前記医薬品としては、薬用化粧品、薬用ローション等;
の種々の形態を挙げることができる。
【0101】
本発明の製品に、本発明の感覚刺激剤組成物又は本発明の香料組成物を含有させるときの感覚刺激剤組成物又は香料組成物の形状は、感覚刺激剤組成物又は香料組成物自体の形状やその他の形状をとることができる。
【0102】
その他の形状としては、例えば、
アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、ジエチルフタレート等のエステル類に溶解した液体状;
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤で乳化した乳化状;
アラビアガム、トラガントガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリン等の賦形剤を用いて被膜させた粉末状;
界面活性剤、例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いて可溶化あるいは分散化した可溶化状或いは分散化状;
カプセル化剤で処理して得られるマイクロカプセル等;
その目的に応じて任意の形状を選択して用いられている。
【0103】
本発明の感覚刺激剤組成物又は本発明の香料組成物を用いて上記したような各種製品に冷感又は感覚刺激の付与する方法としては、例えば、
冷感又は感覚刺激が付与される製品の種類や製品の最終形態(例えば、液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状等の製品形態)に応じて、感覚刺激剤組成物又は香料組成物を、その製品に直接添加又は付与してもよいし;
感覚刺激剤組成物又は香料組成物を、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類に溶解して液体状にして製品に添加又は付与してもよいし;
アラビアガム、トラガントガム等の天然ガム質類、界面活性剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等)を用いて可溶化或いは乳化分散させた可溶化状或いは分散状にして製品に添加又は付与してもよいし;
アラビアガム、トラガントガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリン等の賦形剤を用いて被膜形成した粉末状で製品に添加又は付与してもよいし;
カプセル化剤で処理してマイクロカプセルにして製品に添加又は付与してもよい。
さらに、サイクロデキストリン等の包接剤に包接して、感覚刺激剤組成物又は香料組成物を安定化すると共に徐放性にして用いてもよい。
【0104】
冷感又は感覚刺激付与を行う際の製品への感覚刺激剤組成物又は香料組成物の添加量又は付与量は、製品の種類や形態、製品に求められる冷感又は感覚刺激付け効果や作用等に応じて調整することができる。一般的には製品の質量に対して、感覚刺激剤組成物又は香料組成物の添加量又は付与量が、冷感強度の観点から、0.00001~50質量%であることが好ましく、0.0001~20質量%であることがより好ましく、0.001~4質量%であることがさらに好ましい。
【実施例
【0105】
以下、実施例及び合成例を説明するが、本発明はこれらの実施例及び合成例に限定されるものではない。なお、カルボン酸化合物(5)の合成に用いた原料の各シトロネラールの光学純度は以下のとおりである。
l-シトロネラール:96.6%e.e.
d-シトロネラール:97.8%e.e.
【0106】
また、特許文献29に記載の手法に従って合成した光学活性な各カルボン酸化合物(5)のトランス体(以下、「(1R,6S)-5」と称することがある。)とシス体(以下、「(1R,6R)-5」と称することがある。)の異性体比、及び光学純度は以下のとおりである。
【0107】
[a]l-シトロネラール由来のカルボン酸化合物(5)
トランス/シス比 (1R,6S)-5/(1R,6R)-5=90/10
光学純度 (1R,6S)-5:93.1%e.e.
(1R,6R)-5:>99.0%e.e.
【0108】
[b]d-シトロネラール由来のカルボン酸化合物(5)
トランス/シス比 (1S,6R)-5/(1S,6S)-5=91/9
光学純度 (1S,6R)-5:96.3%e.e.
(1S,6S)-5:>99.0%e.e.
従って、本実施例中の化合物は、少量若しくは極少量のジアスレテオマー及びエナンチオマーを含有する。
【0109】
実施例及び合成例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行った。
核磁気共鳴スペクトル:H-NMR:AM-500(500MHz)(ブルッカー社製)
外部標準物質:テトラメチルシラン
ガスクロマトグラフ(GC):GC-2010AF(島津製作所製)、GC-4000Plus(GLサイエンス社製)
カラム:DB-WAX(30m×0.32nm×0.5μm)(ヒューレット・パッカード社製)、IC-1(30m×0.25mm×0.25μm)(ヒューレット・パッカード社製)、Rtx-1(30m×0.25mm×0.25μm)(ReStek社製)、Inert Cap1(30m×0.25mm×0.25μm)(GLサイエンス社製)高分解能質量スペクトル(HRMS):JMS-T100GCV(日本電子社製)
融点:融点測定装置(シリアルナンバー:2678)(柳本製作所製)
【0110】
なお、下記の化合物中、Meはメチル基を、Etはエチル基表す。
【0111】
[実施例1](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-フェネチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-1)の合成
【0112】
【化22】
【0113】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.4eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.2eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて20分撹拌した後、フェネチルアミン(0.81mL、1.1eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理としてゆっくりと2N塩酸(15mL)を添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(1.08g、収率68%)を白色固体として得た。
【0114】
融点:79~82℃
HRMS:質量273.2093 実測値273.2080([M]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.4Hz),0.85-0.92(m,1H),0.93(s,3H),1.04(s,3H),1.11(dt,1H,J=4.8,12.9Hz),1.36-1.42(m,2H),1.45-1.59(m,2H),1.70-1.78(m,1H),1.84-1.95(m,1H),3.80(s,3H),4.34(dd,1H,J=5.2,14.3,Hz),4.44(dd,1H,J=4.8,14.4,Hz),5.55(br,1H),6.84-6.88(m,2H),7.19-7.23(m,2H).
【0115】
[実施例2](1R,6S)-N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-4)の合成
【0116】
【化23】
【0117】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて20分撹拌した後、2-アミノ-1-フェニルエタノール(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.32g、収率78%)を薄黄色結晶として得た。
【0118】
融点:95~98℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2115([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.78-0.94(m,7H),0.96-1.04(m,3H),1.06-1.16(m,1H),1.35-1.55(m,4H),1.69-1.76(m,1H),1.81-1.91(m,1H),3.32-3.46(m,1H),3.66-3.81(m,2H),4.82-4.89(m,1H),5.81-5.91(br,1H),7.25-7.29(m,1H),7.31-7.39(m,4H).
【0119】
[実施例3](1S,6R)-N-(2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-4)の合成
【0120】
【化24】
【0121】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、2-アミノ-1-フェニルエタノール(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて30分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.36g、収率80%)を薄黄色アモルファス固体として得た。
【0122】
融点:96~99℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2115([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.78-0.95(m,7H),0.95-1.04(m,3H),1.06-1.17(m,1H),1.36-1.55(m,4H),1.67-1.78(m,1H),1.79-1.91(m,1H),3.32-3.46(m,1H),3.63-3.77(m,2H),3.86-3.95(m,1H),4.82-4.89(m,1H),5.89-5.97(m,1H),7.25-7.29(m,1H),7.31-7.39(m,4H).
【0123】
[実施例4](1R,6S)-N-((R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-5)の合成
【0124】
【化25】
【0125】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて25分撹拌した後、(R)-2-アミノ-1-フェニルエタノール(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(20mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(15mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.37g、収率81%)を薄黄色アモルファス固体として得た。
【0126】
HRMS:質量290.2115 実測値290.2113([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.3Hz),0.83-0.91(m,1H),0.91(s,3H),1.00(s,3H),1.07-1.15(m,1H),1.35-1.54(m,4H),1.68-1.77(m,1H),1.82-1.91(m,1H),3.31-3.39(m,1H),3.74-3.79(m,2H),4.82-4.88(m,1H),5.84(br,1H),7.24-7.29(m,1H),7.31-7.39(m,4H).
【0127】
[実施例5](1S,6R)-N-((R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-5)の合成
【0128】
【化26】
【0129】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、(R)-2-アミノ-1-フェニルエタノール(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(20mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(15mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.17g、収率69%)を薄黄色結晶として得た。
【0130】
融点:105~110℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2115([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.88(d,3H,J=6.3Hz),0.80-0.87(m,1H),0.89(s,3H),1.00(s,3H),1.06-1.14(m,1H),1.34-1.43(m,1H),1.44-1.52(m,1H),1.67-1.87(m,2H),3.41(ddd,1H,J=5.3,7.6,14.1Hz),3.65(ddd,1H,J=3.3,6.6,14.1Hz),3.90-3.97(m,1H),4.04(d,1H,J=3.6Hz),4.79-4.86(m,1H),6.08(br,1H),7.24-7.28(m,1H),7.30-7.38(m,4H).
【0131】
[実施例6](1R,6S)-N-((S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-6)の合成
【0132】
【化27】
【0133】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて20分撹拌した後、(S)-2-アミノ-1-フェニルエタノール(1.00g、1.23eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.27g、収率74%)を薄黄色結晶として得た。
【0134】
融点:107~111℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2113([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.78(d,3H,J=6.3Hz),0.81-0.87(m,1H),0.89(s,3H),1.00(s,3H),1.06-1.14(m,1H),1.32-1.55(m,4H),1.68-1.90(m,2H),3.42(ddd,1H,J=5.3,7.4,14.1Hz),3.66(ddd,1H,J=3.3,6.6,14.1Hz),3.90-3.97(m,1H),4.82-4.86(m,1H),5.97(br,1H),7.24-7.29(m,1H),7.31-7.39(m,4H).
【0135】
[実施例7](1S,6R)-N-((S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-6)合成
【0136】
【化28】
【0137】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、(S)-2-アミノ-1-フェニルエタノール(1.00g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(1.27g、収率72%)を薄黄色アモルファス固体として得た。
【0138】
HRMS:質量290.2115 実測値290.2113([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.3Hz),0.85-0.91(m,1H),0.91(s,3H),0.99(s,3H),1.11(dt,1H,J=5.9,12.8Hz),1.36-1.54(m,4H),1.70-1.77(m,1H),1.82-1.91(m,1H),3.36(dq,1H,J=2.0,5.3Hz),3.72-3.79(m,2H),4.84-4.89(m,1H),5.86(br,1H),7.24-7.29(m,1H),7.32-7.39(m,4H).
【0139】
[実施例8](1R,6S)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-8)の合成
【0140】
【化29】
【0141】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて30分撹拌した後、チラミン(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)及びn-ブタノール(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(30mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(20mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(15mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、酢酸エチル/メタノールにて再結晶を行い、標記化合物(0.45g、収率27%)を白色結晶として得た。
【0142】
融点:178~180℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2114([M+H]
H-NMR(500MHz,DMSO-d):δ0.69(d,3H,J=6.3Hz),0.75-0.87(m,4H),0.90(s,3H),1.02-1.11(m,1H),1.26-1.32(m,1H),1.40-1.47(m,2H),1.50(d,1H,J=11.1Hz),1.61-1.76(m,2H),2.58(t,2H,J=6.7Hz),3.22(dt,1H,J=6.7,7.9Hz),6.63-6.68(m,2H),6.99(d,2H,J=8.5Hz),7.72(br,1H),9.12(s,1H)
【0143】
[実施例9](1S,6R)-N-(4-ヒドロキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-8)の合成
【0144】
【化30】
【0145】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、チラミン(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)及びn-ブタノール(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(15mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、酢酸エチル/メタノールにて再結晶を行い、標記化合物(0.84g、収率49%)を白色結晶として得た。
【0146】
融点:180~182℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2113([M+H]
H-NMR(500MHz,DMSO-d):δ0.69(d,3H,J=6.3Hz),0.75-0.87(m,4H),0.90(s,3H),1.02-1.11(m,1H),1.26-1.32(m,1H),1.40-1.47(m,2H),1.50(d,1H,J=11.1Hz),1.61-1.76(m,2H),2.58(t,2H,J=6.7Hz),3.22(dt,1H,J=6.7,7.9Hz),6.63-6.68(m,2H),6.99(d,2H,J=8.5Hz),7.72(br,1H),9.12(s,1H)
【0147】
[実施例10](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R)-10-10)及び(1S, 6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S)-10-10)の合成
【0148】
【化31】
【0149】
【化32】
【0150】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.4eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.2eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて5時間撹拌した後、フェナシルアミン塩酸塩(1.11g、1.1eq.)及びトリエチルアミン(0.98mL、1.2eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理としてゆっくりと2N塩酸(15mL)を添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、例示化合物(1R)-10-10(0.81g、収率58%)を白色固体として、また、例示化合物(1S)-10-10(0.22g、収率13%)をアモルファス固体として得た。
【0151】
例示化合物(1R)-10-10
融点:85~87℃
HRMS:質量288.1958 実測値288.1972([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.86(d,3H,J=6.4Hz),0.86-0.98(m,1H),0.98(s,3H),1.04(s,3H),1.19(dt,1H,J=12.8,5.0Hz),1.39-1.45(m,2H),1.49-1.58(m,2H),1.63(d,1H,J=11.1Hz),1.73-1.79(m,1H),1.84-1.97(m,1H),4.80(d,2H,J=4.3Hz),6.47(br,1H),7.48-7.53(m,2H),7.60-7.65(m,1H),7.96-8.02(m,2H).
【0152】
例示化合物(1S)-10-10
HRMS:質量288.1958 実測値288.1945([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.89(d,3H,J=6.3Hz),0.93(s,3H),1.02(s,3H),1.09-1.14(m,1H),1.34-1.52(m,2H),1.59-2.00(m,5H),4.75(d,2H,J=4.0Hz),6.48(br,1H),7.48-7.53(m,2H),7.58-7.65(m,1H),7.96-8.01(m,2H).
【0153】
[実施例11](1S,6R)-2,2,6-トリメチル-N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S)-10-11)及び(1R,6R)-2,2,6-トリメチル-N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R)-10-11)の合成
【0154】
【化33】
【0155】
【化34】
【0156】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.4eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.2eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて5時間撹拌した後、フェナシルアミン塩酸塩(1.11g、1.1eq.)及びトリエチルアミン(0.98mL、1.2eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理としてゆっくりと2N塩酸(15mL)を添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、例示化合物(1S)-10-11(0.58g、収率34%)を白色固体として、また、例示化合物(1R)-10-11(0.29g、収率17%)をアモルファス固体として得た。
【0157】
例示化合物(1S)-10-11
融点:86~87℃
HRMS:質量288.1958 実測値288.1934([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.86(d,3H,J=6.4Hz),0.86-0.98(m,1H),0.98(s,3H),1.04(s,3H),1.19(dt,1H,J=12.8,5.0Hz),1.37-1.45(m,2H),1.49-1.58(m,2H),1.63(d,1H,J=11.1Hz),1.73-1.79(m,1H),1.85-1.97(m,1H),4.80(d,2H,J=4.3Hz),6.47(br,1H),7.48-7.53(m,2H),7.60-7.65(m,1H),7.96-8.01(m,2H).
【0158】
例示化合物(1R)-10-11
HRMS:質量288.1958 実測値288.1990([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.89(d,3H,J=6.3Hz),0.93(s,3H),1.02(s,3H),1.09-1.14(m,1H),1.34-1.52(m,2H),1.59-1.98(m,5H),4.75(d,2H,J=4.0Hz),6.48(br,1H),7.46-7.53(m,2H),7.58-7.65(m,1H),7.94-8.02(m,2H).
【0159】
[実施例12](1R,6S)-N-(4-メトキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-12)の合成
【0160】
【化35】
【0161】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、塩化チオニル(0.47mL、1.10eq.)、トルエン(10mL)及びDMF(ジメチルホルムアミド)数滴を添加し、室温にて1時間撹拌させた。系内に4-(メトキシフェニル)エチルアミン(0.95mL、1.10eq.)とトリエチルアミン(1mL)にトルエン(5mL)を加えて調製した溶液をゆっくりと加えた。60℃で2時間半撹拌し、反応溶液を分液漏斗に移し、希塩酸と酢酸エチルを添加して洗浄した。油層を希塩酸で1回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.87g、収率50%)を白色固体として得た。
【0162】
融点:75~77℃
HRMS:質量304.2271 実測値304.2299([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=6.4Hz),0.81-0.87(m,1H),0.88(s,3H),1.00(s,3H),1.09(dt,1H,J=12.7,5.0Hz),1.29(d,1H,J=11.1Hz),1.34-1.38(m,1H),1.42-1.54(m,2H),1.68-1.90(m,2H),2.75(t,2H,J=6.9Hz),3.45-3.60(m,2H),3.79(br,3H),6.80-6.86(m,2H),7.10-7.14(m,2H).
【0163】
[実施例13](1R,6S)-N-(2-メトキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-13)の合成
【0164】
【化36】
【0165】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、2-(2-メトキシフェニル)エチルアミン(1.03mL、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(1.33g、収率75%)を薄黄色結晶として得た。
【0166】
融点:98~102℃
HRMS:質量304.2271 実測値304.2276([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.77(d,3H,J=6.4Hz),0.81-0.85(m,1H),0.85(s,3H),0.98(s,3H),1.08(dt,1H,J=5.2,12.9Hz),1.29(d,1H,J=11.1Hz),1.32-1.39(m,1H),1.44-1.53(m,2H),1.64-1.75(m,1H),1.78-1.87(m,1H),2.83(t,2H,J=6.8Hz),3.45-3.58(m,2H),3.84(s,3H),5.55(br,1H),6.85-7.02(m,2H),7.15(dd,1H,J=1.4,7.5Hz),7.21(dt,1H,J=1.8,7.8Hz).
【0167】
[実施例14](1R,6S)-N-(3,4-ジヒドロキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-14)の合成
【0168】
【化37】
【0169】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(6.53mL、4.0eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、ドパミン塩酸塩(1.23g、1.10eq.)を添加し、50℃にて1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=10/0~10/1)で単離精製し、標記化合物(1.28g、収率71%)をアモルファス状個体として得た。
【0170】
HRMS:質量306.2061 実測値306.2064([M+H]
H-NMR(500MHz,DMSO-d):δ0.70(d,3H,J=6.3Hz),0.76-0.85(m,5H),0.86-0.93(m,4H),1.01-1.11(m,1H),1.26-1.33(m,1H),1.39-1.47(m,2H),1.50(d,1H,J=11.0Hz),1.61-1.75(m,2H),3.14-3.22(m,2H),6.43(dd,1H,J=8.0,2.0Hz),6.57(d,1H,J=1.9Hz),6.61(d,1H,J=7.9Hz),7.71(br,1H),8.60(s,1H),8.68(s,1H).
【0171】
[実施例15](1R,6S)-N-(3,4-ジメトキシフェネチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-15)の合成
【0172】
【化38】
【0173】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00、5.87mmol)、塩化チオニル(0.47mL、1.10eq.)、トルエン(10mL)及びDMF(ジメチルホルムアミド)数滴を添加し、室温にて1時間撹拌させた。系内にホモベラトリルアミン(1.35mL、1.10eq.)とトリエチルアミン(1mL)にトルエン(5mL)を加えて調製した溶液をゆっくりと加えた。2時間半後に反応溶液を分液漏斗に移し、希塩酸と酢酸エチルを添加して洗浄した。油層を希塩酸で1回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(1.55g、収率79%)を白色結晶として得た。
【0174】
融点:93~96℃
HRMS:質量356.2196 実測値356.2203([M+Na]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=6.4Hz),0.81-0.87(m,1H),0.88(s,3H),1.00(s,3H),1.09(dt,1H,J=12.7,5.0Hz),1.31(d,1H,J=11.1Hz),1.34-1.38(m,1H),1.42-1.54(m,2H),1.68-1.90(m,2H),2.76(t,2H,J=7.0Hz),3.55-3.60(m,2H),3.86(br,6H),6.70-6.83(m,3H).
【0175】
[実施例16](1R,6S)-N-(2-(1H-インドール-3-イル)エチル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-19)の合成
【0176】
【化39】
【0177】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、トリプタミン(0.97g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として水(10mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて単離精製を行い、標記化合物(0.96g、収率52%)を白色結晶として得た。
【0178】
融点:132~135℃
HRMS:質量313.2274 実測値313.2276([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=6.4Hz),0.80-0.86(m,1H),0.87(s,3H),1.00(s,3H),1.07(dt,1H,J=5.0,12.9Hz),1.29(d,1H,J=11.1Hz),1.32-1.38(m,1H),1.43-1.54(m,2H),1.67-1.74(m,1H),1.78-1.90(m,1H),2.98(t,2H,J=6.8Hz),3.67-3.71(m,2H),5.58(br,1H),7.02(d,1H,J=2.3Hz),7.12(dt,1H,J=1.0,7.0Hz),7.20(dt,1H,J=1.0,7.1Hz),7.37(dt,1H,J=0.9,8.0Hz),7.61(dd,1H,J=0.5,8.0Hz),8.27(br,1H).
【0179】
[実施例17](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-ピリジニルメチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-22)の合成
【0180】
【化40】
【0181】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、2-(2-アミノメチル)ピリジン(0.72mL、1.20eq.)をゆっくりと添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として水(10mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(0.89g、収率58%)を白色結晶として得た。
【0182】
融点:95~96℃
HRMS:質量261.1961 実測値261.1962([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.82(d,3H,J=6.4Hz),0.84-0.92(m,1H),0.88(s,3H),1.04(s,3H),1.16(dt,1H,J=5.0,13.0Hz),1.36-1.43(m,1H),1.45-1.54(m,2H),1.56(d,1H,J=11.2Hz),1.71-1.77(m,1H),1.85-1.95(m,1H),4.54(dd,1H,J=5.0,16.1Hz),4.60(dd,1H,J=5.2,16.1Hz),6.66(br,1H),7.17-7.21(m,1H),7.29(d,1H,J=7.8Hz),7.65(dt,1H,J=1.8,7.8Hz),8.51-8.54(m,1H).
【0183】
[実施例18](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-ピリジニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-23)の合成
【0184】
【化41】
【0185】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、2-(2-アミノエチル)ピリジン(0.84mL、1.20eq.)をゆっくりと添加し、室温にて30分反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(1.04g、収率64%)を黄色結晶として得た。
【0186】
融点:91~96℃
HRMS:質量275.2118 実測値275.2118([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.86(d,3H,J=6.4Hz),0.78-0.89(m,1H),0.84(s,3H),0.98(s,3H),1.10(dt,1H,J=5.1,12.9Hz),1.33-1.48(m,2H),1.44-1.53(m,2H)),1.67-1.75(m,1H),1.78-1.88(m,1H),3.00(t,2H,J=6.4Hz),3.63-3.74(m,2H),6.25(br,1H),7.11-7.17(m,1H),7.18(d,1H,J=7.8Hz),7.60(dt,1H,J=1.9,7.8Hz),8.51-8.54(m,1H).
【0187】
[実施例19](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-チオフェニルメチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-26)の合成
【0188】
【化42】
【0189】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて25分撹拌した後、2-(アミノメチル)チオフェン(0.59mL、1.20eq.)をゆっくりと添加し、室温にて1時間半反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(10mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(1.14g、収率73%)を薄黄色固体として得た。
【0190】
融点:88~90℃
HRMS:質量266.1573 実測値266.1577([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.3Hz),0.85-0.92(m,1H),0.94(s,3H),1.06(s,3H),1.12(dt,1H,J=5.1,12.9Hz),1.36-1.44(m,2H),1.46-1.55(m,2H),1.71-1.78(m,1H),1.84-1.95(m,1H),4.60(dd,1H,J=5.5,15.2Hz),4.66(dd,1H,J=5.7,15.2Hz),5.55(br,1H),6.92-6.98(m,2H),7.18-7.24(m,1H).
【0191】
[実施例20](1S,6R)-2,2,6-トリメチル-N-(2-チオフェニルメチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-26)の合成
【0192】
【化43】
【0193】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.4eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.2eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて20分撹拌した後、2-(2-アミノメチル)チオフェン(0.59mL、1.2eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理としてゆっくりと2N塩酸(15mL)を添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.95g、収率61%)を白色固体として得た。
【0194】
融点:88~90℃
HRMS:質量266.1573 実測値266.1562([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.4Hz),0.85-0.92(m,1H),0.93(s,3H),1.04(s,3H),1.12(dt,1H,J=12.8,5.0Hz),1.36-1.42(m,2H),1.45-1.60(m,2H),1.70-1.78(m,1H),1.84-1.95(m,1H),4.56-4.69(m,2H),5.69(br,1H),6.91-6.98(m,2H),7.19-7.23(m,1H).
【0195】
[実施例21](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(3-チオフェニルメチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-27)の合成
【0196】
【化44】
【0197】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、3-チオフェンメチルアミン(0.59mL、1.20eq.)をゆっくりと添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(1.12g、収率77%)を薄黄色固体として得た。
【0198】
融点:82~84℃
HRMS:質量266.1573 実測値266.1571([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.3Hz),0.85-0.92(m,1H),0.93(s,3H),1.03(s,3H),1.12(dt,1H,J=5.1,13.0Hz),1.35-1.43(m,2H),1.46-1.55(m,2H),1.66-1.77(m,1H),1.84-1.95(m,1H),4.42(dd,1H,J=5.6,14.9Hz),4.50(dd,1H,J=5.9,14.9Hz),5.67(br,1H),7.03(d,1H,J=5.0Hz),7.12-7.16(m,1H),7.28(dd,1H,J=3.0,5.0Hz).
【0199】
[実施例22](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(2-チオフェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-28)の合成
【0200】
【化45】
【0201】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて15分撹拌した後、2-(アミノエチル)チオフェン(0.69mL、1.20eq.)をゆっくりと添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサンにて再結晶を行い、標記化合物(1.11g、収率67%)を薄茶色固体として得た。
【0202】
融点:83~86℃
HRMS:質量280.1730 実測値280.1730([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=6.3Hz),0.81-0.88(m,1H),0.88(s,3H),1.01(s,3H),1.10(dt,1H,J=4.8,12.4Hz),1.36(t,2H,J=12.4Hz),1.44-1.55(m,2H),1.66-1.92(m,2H),3.04(t,2H,J=9.7Hz),3.47-3.64(m,2H),5.58(br,1H),6.81-6.97(m,2H),7.15(d,1H,J=5.0Hz).
【0203】
[実施例23](1S,6R)-2,2,6-トリメチル-N-(2-チオフェニルエチル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1S,6R)-10-28)の合成
【0204】
【化46】
【0205】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1S,6R)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1S,6R)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.4eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。室温にてメタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.2eq.)をゆっくりと滴下し、室温にて20分撹拌した後、2-(2-アミノエチル)チオフェン(0.71mL、1.2eq.)を添加し、室温にて45分反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理としてゆっくりと2N塩酸(15mL)を添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.95g、収率61%)を白色固体として得た。
【0206】
融点:85~86℃
HRMS:質量280.1730 実測値280.1740([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.81(d,3H,J=6.4Hz),0.83-0.89(m,1H),0.89(s,3H),1.00(s,3H),1.10(dt,1H,J=12.8,5.0Hz),1.32-1.40(m,2H),1.45-1.56(m,2H),1.68-1.75(m,1H),1.81-1.89(m,1H),2.99-3.07(m,2H),3.49-3.64(m,2H),5.48(br,1H),6.84(dd,1H,J=3.3,0.9Hz),6.94(dd,1H,J=5.1,3.4Hz),7.16(dd,1H,J=5.3,1.1Hz).
【0207】
[実施例24](1R,6S)-N-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-33)の合成
【0208】
【化47】
【0209】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(2.00g、11.7mmol)、トリエチルアミン(3.80mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(1.10mL、1.20eq.)を滴下した。室温にて20分撹拌した後、4-アミノフェノール(1.54g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(20mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(20mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(15mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(1.40g、収率46%)を白色固体として得た。
【0210】
融点:100~105℃
HRMS:質量262.1802 実測値262.1804([M+H]
H-NMR(500MHz,DMSO-d):δ0.79(d,3H,J=6.0Hz),0.82-0.92(m,1H),0.92(s,3H),0.96(s,3H),1.10-1.17(m,1H),1.32-1.38(m,1H),1.43-1.52(m,2H),1.67-1.84(m,3H),2.48-2.52(m,1H),6.63-6.68(m,2H),7.31-7.37(m,2H),9.47(br,1H).
【0211】
[実施例25](1R,6S)-N-(4-メトキシフェニル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-35)の合成
【0212】
【化48】
【0213】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、塩化チオニル(0.47mL、1.10eq.)、トルエン(10mL)及びDMF(ジメチルホルムアミド)数滴を添加し、室温にて1時間撹拌させた。系内にp-アニシジン(2.17g、3.0eq.)にトルエン(5mL)を加えて調製した溶液をゆっくりと加えた。90℃にて5時間後に反応溶液を分液漏斗に移し、希塩酸と酢酸エチルを添加して洗浄した。油層を希塩酸で1回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(1.07g、収率66%)を白色結晶として得た。
【0214】
融点:143~144℃
HRMS:質量276.1958 実測値276.1985([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.80(d,3H,J=6.4Hz),0.81-0.87(m,1H),0.88(s,3H),1.00(s,3H),1.18(dt,1H,J=12.7,5.0Hz),1.40-1.48(m,1H),1.49-1.60(m,3H),1.76-1.81(m,1H),1.90-2.00(m,1H),3.78(s,3H),6.82-6.87(m,2H),6.95(br,6H),7.37-7.44(m,2H).
【0215】
[実施例26](1R,6S)-N-(4-メトキシベンジル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-36)の合成
【0216】
【化49】
【0217】
窒素雰囲気下にて100mL四つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、塩化チオニル(0.47mL、1.10eq.)、トルエン(10mL)及びDMF(ジメチルホルムアミド)数滴を添加し、室温にて1時間撹拌させた。系内に4-メトキシベンジルアミン(2.28mL、3.0eq.)にトルエン(5mL)を加えて調製した溶液をゆっくりと加えた。90℃にて5時間後に反応溶液を分液漏斗に移し、希塩酸と酢酸エチルを添加して洗浄した。油層を希塩酸で1回洗浄し、更に飽和食塩水で一回洗浄して、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘプタン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(1.13g、収率66%)を白色結晶として得た。
【0218】
融点:85~87℃
HRMS:質量289.2042 実測値289.2031([M]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.84(d,3H,J=6.4Hz),0.85-0.92(m,1H),0.93(s,3H),1.04(s,3H),1.11(dt,1H,J=12.9,4.8Hz),1.36-1.42(m,2H),1.45-1.59(m,2H),1.70-1.78(m,1H),1.84-1.95(m,1H),3.80(s,3H),4.34(dd,1H,J=14.3,5.2Hz),4.44(dd,1H,J=14.4,4.8Hz),5.55(br,1H),6.84-6.88(m,2H),7.19-7.23(m,2H).
【0219】
[実施例27](1R,6S)-N-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-38)の合成
【0220】
【化50】
【0221】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、3,4-メチレンジオキシアニリン(0.97g、1.20eq.)を添加し、油浴にて50℃で1時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.63g、収率37%)を灰色固体として得た。
【0222】
融点:171~173℃
HRMS:質量290.1751 実測値290.1754([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.91-1.00(m,1H),1.02(s,3H),1.07(s,3H),1.18(dt,1H,J=5.5,12.8Hz),1.40-1.47(m,1H),1.49-1.58(m,2H),1.74-1.82(m,1H),1.91-2.00(m,1H),5.93(s,2H),6.72(d,1H,J=8.3Hz),6.77(dd,1H,J=2.1,8.3Hz),7.02(br,1H),7.24(d,1H,J=2.1Hz).
【0223】
[実施例28](1R,6S)-N-(4-アセチルフェニル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-41)の合成
【0224】
【化51】
【0225】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、4’-アミノアセトフェノン(0.97g、1.20eq.)を添加し、油浴にて50℃で2時間反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて単離精製を行い、標記化合物(0.45g、収率27%)を薄黄色固体として得た。
【0226】
融点:166~168℃
HRMS:質量288.1958 実測値288.1952([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.93-1.00(m,1H),1.04(s,3H),1.08(s,3H),1.19(dt,1H,J=5.9,13.0Hz),1.40-1.56(m,3H),1.61(d,1H,J=11.2Hz),1.75-1.83(m,1H),1.93-2.05(m,1H),2.57(s,3H),7.43(br,1H),7.62-7.67(m,2H),7.91-7.95(m,2H).
【0227】
[実施例29](1R,6S)-N-(4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-42)の合成
【0228】
【化52】
【0229】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、2-(4-アミノフェニル)エタノール(0.97g、1.20eq.)を添加し、油浴にて60℃で1時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて単離精製を行い、標記化合物(0.73g、収率43%)を薄黄色固体として得た。
【0230】
融点:98~103℃
HRMS:質量290.2115 実測値290.2111([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.93-1.00(m,1H),1.03(s,3H),1.07(s,3H),1.19(dt,1H,J=5.4,13.1Hz),1.42-1.47(m,1H),1.49-1.56(m,2H),1.58(d,1H,J=11.0Hz),1.67(br,1H),1.75-1.83(m,1H),1.91-2.02(m,1H),2.80-2.84(m,2H),3.78-3.86(m,2H),7.14-7.23(m,3H),7.42-7.47(m,2H).
【0231】
[実施例30]メチル 4-((1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)ベンゾエート(例示化合物(1R,6S)-10-43)の合成
【0232】
【化53】
【0233】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、4-アミノ安息香酸メチル(1.07g、1.20eq.)を添加し、油浴にて50℃で1時間半反応させた。酢酸エチル(15mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として水(5mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて単離精製を行い、標記化合物(0.94g、収率53%)を薄黄色固体として得た。
【0234】
融点:94~97℃
HRMS:質量304.1907 実測値304.1914([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.92-1.01(m,1H),1.03(s,3H),1.07(s,3H),1.14-1.24(m,1H),1.42-1.49(m,2H),1.52-1.59(m,2H),1.61(d,1H,J=11.1Hz),1.75-1.83(m,1H),1.94-2.02(m,1H),3.89(s,3H),7.32(br,1H),7.57-7.64(m,2H),7.96-8.02(m,2H).
【0235】
[実施例31](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(4-(メチルチオ)フェニル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-45)の合成
【0236】
【化54】
【0237】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて15分撹拌した後、4-(メチルチオ)アニリン(0.86mL、1.20eq.)を添加し、油浴にて50℃で2時間反応させた。酢酸エチル(20mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.67g、収率39%)を薄黄色結晶として得た。
【0238】
融点:157~159℃
HRMS:質量292.1730 実測値292.1734([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.92-1.00(m,1H),1.02(s,3H),1.07(s,3H),1.18(dt,1H,J=5.7,13.0Hz),1.42-1.47(m,1H),1.50-1.59(m,3H),1.74-1.82(m,1H),1.92-2.00(m,1H),2.46(s,3H),7.09(br,1H),7.24(dt,2H,J=2.7,8.7Hz),7.46(dt,2H,J=2.1,8.7Hz).
【0239】
[実施例32](1R,6S)-N-(4-(シアノメチル)フェニル)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-49)の合成
【0240】
【化55】
【0241】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)をゆっくりと滴下した。室温にて20分撹拌した後、4-アミノベンジルシアニド(0.93g、1.20eq.)を添加し、油浴にて40℃で3時間反応させた。酢酸エチル(10mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸(15mL)をゆっくりと添加した。油層を1N塩酸(20mL)で1回、飽和重曹水(15mL)で2回、飽和食塩水(10mL)で1回洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶を行い、標記化合物(0.66g、収率40%)を白色固体として得た。
【0242】
融点:190~193℃
HRMS:質量284.1848 実測値284.1838([M]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.91(d,3H,J=6.4Hz),0.93-1.00(m,1H),1.04(s,3H),1.07(s,3H),1.19(dt,1H,J=5.1,12.8Hz),1.41-1.47(m,3H),1.51-1.61(m,3H),1.76-1.83(m,1H),1.92-2.01(m,1H),3.71(s,2H),7.29(br,1H),7.25-7.28(m,2H),7.52-7.58(m,2H).
【0243】
[実施例33](1R,6S)-2,2,6-トリメチル-N-(ピリジン-4-イル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド(例示化合物(1R,6S)-10-51)の合成
【0244】
【化56】
【0245】
窒素雰囲気下にて50mL二つ口フラスコに特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(1.00g、5.87mmol)、トリエチルアミン(1.95mL、2.40eq.)及びアセトニトリル(10mL)を添加した。系内を氷浴にて0~5℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(0.55mL、1.20eq.)を滴下した。室温にて20分撹拌した後、4-アミノピリジン(0.67g、1.20eq.)を添加し、室温にて1時間反応させた。酢酸エチル(20mL)で反応溶液を希釈した後、後処理として飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)をゆっくりと添加した。油層を飽和塩化アンモニウム水溶液(15mL)で1回、飽和重曹水(15mL)で2回洗浄し、更に飽和食塩水(10mL)で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて単離精製を行い、標記化合物(0.45g、収率32%)を白色固体として得た。
【0246】
融点:64~68℃
HRMS:質量247.1805 実測値247.1807([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ0.87(d,3H,J=6.4Hz),0.83-0.90(m,1H),1.00(s,3H),1.05(s,3H),1.11(dt,1H,J=5.5,12.9Hz),1.36-1.43(m,1H),1.45-1.54(m,2H),1.72(d,1H,J=11.1Hz),1.68-1.78(m,1H),1.88-2.00(m,1H),7.52-7.58(m,2H),8.39-8.44(m,2H),8.70(br,1H).
【0247】
[実施例34]2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(例示化合物(1R,6S)-13-4)の合成
【0248】
【化57】
【0249】
窒素雰囲気下にて200mL二つ口フラスコにフェネチルジオール(8.29g、1.20eq.)を取り、トルエン(100mL)を加えて室温で撹拌し、ピリジン(5.2mL、1.30eq.)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(0.31g、0.05eq.)を添加した。更に特許文献29に記載の手法に従って得られた(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(8.51g、50.0mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(20mg)をトルエン(50mL)中で混和した溶液に、塩化チオニル(3.97mL、1.10eq.)を滴下した。更に100℃にて3時間反応させ、反応の完結を確認した。室温まで冷却しトルエンで反応溶液を希釈した後、後処理として2N塩酸をゆっくりと添加した。油層を飽和重曹水で2回洗浄し、更に飽和食塩水で1回洗浄して、硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、標記化合物(6.39g、収率44%)を強粘性のオイルとして得た。
【0250】
HRMS:質量290.4030 実測値290.4011([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ7.42-7.28(m,5H),4.96(brd,J-8Hz,1H),4.31(ddd,J=3.6,9.2,12.0Hz,1H),4.19(ddd,J=8.0,10.4,11.6Hz,1H),2.57(brs,1H),1.89-1.82(m,2H),1.73(ddd,J=1.2,3.2,14.0Hz,1H),1.51(tt,J=3.2,10.0Hz,2H),1.41(dtd,J=1.2,3.2,13.2Hz,1H),1.20-1.13(m,1H),0.96(d,J=2.4Hz,3H),0.93(s,3H),0.88(ddd,J=3.4,6.8,16.0Hz,1H),0.81(dd,J=1.8,5.8Hz,3H).
【0251】
13C-NMR(125MHz,CDCl):δ174.83,139.87,128.51×2,128.12,126.13×2,72.53,68.78,68.71,60.78,41.09,34.42,33.33,31.28,31.27,30.20,30.17,21.68,21.56,21.12,21.06,20.86,20.84.
【0252】
[実施例35](R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(例示化合物(1R,6S)-13-4-(R))及び(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(例示化合物(1R,6S)-13-4-(S))の合成
【0253】
【化58】
【0254】
【化59】
【0255】
実施例34と同様の手法で(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(3.41g、20.0mmol)と(R)-フェニルエタン-1,2-ジオール(2.90g、1.05eq.)から例示化合物(1R,6S)-13-4-(R)(2.47g、収率43%)を強粘性のオイルとして得た。
【0256】
また、実施例34と同様の手法で(1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキサンカルボン酸((1R,6S)-5)(3.41g、20.0mmol)と(S)-フェニルエタン-1,2-ジオール(2.90g、1.05eq.)から例示化合物(1R,6S)-13-4-(S)(2.46g、収率42%)を強粘性のオイルとして得た。
【0257】
例示化合物(1R,6S)-13-4-(R)
HRMS:質量290.4030 実測値290.4073([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ7.40-7.28(m,5H),4.32(ddd,J=3.6,9.2,12.0Hz,1H),4.17(ddd,J=8.0,10.4,11.6Hz,1H),2.57(brs,1H),1.89-1.82(m,2H),1.72(ddd,J=1.2,3.2,14.0Hz,1H),1.51(tt,J=3.2,10.0Hz,2H),1.41(dtd,J=1.2,3.2,13.2Hz,1H),1.20-1.13(m,1H),0.96(d,J=2.4Hz,3H),0.93(s,3H),0.88(ddd,J=3.4,6.8,16.0Hz,1H),0.81(dd,J=1.8,5.8Hz,3H).
【0258】
13C-NMR(125MHz,CDCl):δ174.81,139.84,128.53×2,128.12,126.13×2,72.57,68.81,60.81,41.11,34.44,33.35,31.30,30.21,21.61,21.08,20.86.
【0259】
例示化合物(1R,6S)-13-4-(S)
HRMS:質量290.4030 実測値290.4058([M+H]
H-NMR(500MHz,CDCl):δ7.40-7.28(m,5H),4.96(brd,J-8Hz,1H),4.30(ddd,J=3.6,9.2,12.0Hz,1H),4.19(ddd,J=8.0,10.4,11.6Hz,1H),2.57(brs,1H),1.89-1.82(m,2H),1.73(ddd,J=1.2,3.2,14.0Hz,1H),1.51(tt,J=3.2,10.0Hz,2H),1.41(dtd,J=1.2,3.2,13.2Hz,1H),1.20-1.13(m,1H),0.96(d,J=2.4Hz,3H),0.93(s,3H),0.88(ddd,J=3.4,6.8,16.0Hz,1H),0.81(dd,J=1.8,5.8Hz,3H).
【0260】
13C-NMR(125MHz,CDCl):δ174.74,139.87,128.53×2,128.12,126.15×2,72.55,68.73,60.80,41.11,34.43,33.35,31.28,30.19,21.60,21.12,20.87.
【0261】
[合成例1]4-メトキシ-N-フェネチルアニリン(下記構造式で表される2級アミン)の合成
【0262】
【化60】
【0263】
窒素雰囲気下にて、ビスパラジウムジベンジリデンアセトン(71mg、1mol%)、ジシクロヘキシル(1,1-ジフェニル-1-プロペン-2-イル)ホスフィン配位子(97mg、4mol%)及びトルエン(20mL)を添加し、室温にて1時間撹拌した。続いて、フェネチルアミン(1.00g、7.80mmol)、ブロモアニソール(0.97ml、1.0eq.)、ナトリウム-tert-ブトキシド(0.90g、1.2eq.)を添加して100℃にて5時間加熱撹拌を行った。反応溶液を室温まで冷却後、酢酸エチル/水で抽出・洗浄した。油層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、濾過濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離精製し、標記化合物(1.05g、収率59%)を薄黄色オイルとして得た。
【0264】
H-NMR(500MHz,CDCl):δ2.90(t,2H,J=7.0Hz)
,3.36(t,2H,J=7.1Hz),3.75(s,3H),6.57-6,61(m,2H),6.75-6.80(m,2H),7.20-7.37(m,6H).
【0265】
[実施例36]冷感強度評価(TRPM8活性評価)
一般的に、メントール等の冷感効果を有する化合物は、冷刺激受容体であるTRPM8(メラスタチン一過性受容体電位チャンネル8)を活性化することで、冷感を誘発することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。そこで、冷感強度を評価するため、以下の手順に従い、実施例で得られた各化合物及び比較化合物(特許文献29に記載の方法に従って合成したN,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミド、並びに、l-メントール、WS-3、WS-5及びWS-23)のTRPM8活性化作用におけるEC50値を測定した。
なお、WS-3、WS-5及びWS-23は以下の表6に示される化合物である。
【0266】
(1)ヒトTRPM8安定発現細胞株の作製
全長ヒトTRPM8遺伝子は、プラスミドRC220615(オリジーン社製)よりPCR法を用いて増幅した。得られたPCR産物をpcDNA5/FRT/TO(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)へサブクローニングした後、Flp-InT-RExシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いてFlp-In293293細胞(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に導入し、ヒトTRPM8安定発現細胞株を作製した。
【0267】
(2)ヒトTRPM8活性の評価
培養したヒトTRPM8安定発現細胞を、ポリ-D-リジンコートされた96ウェルマイクロプレート(コーニング社製)に対して50,000細胞/ウェルの割合で播種し、1μg/mLドキシサイクリン(タカラバイオ社製)を添加した後、37℃で一晩培養することでヒトTRPM8の発現誘導を行った。
【0268】
培養液を緩衝液に置換した後、蛍光カルシウム指示薬(Fluo4-AM:同人化学研究所製)を添加し、37℃で30分間インキュベートして蛍光マイクロプレートリーダー(FlexStation3:モレキュラーデバイス社製)に移した。終濃度0.1μMから1000μMの範囲で実施例で得られた各化合物及び比較化合物を添加し、装置内温度32℃において波長485nmで励起した際の波長525nmの蛍光の変化を測定し、EC50値を算出した。
実施例で得られた各化合物及び比較化合物のTRPM8活性化作用におけるEC50値は以下の表1~表6に示すとおりであった。
【0269】
【表1】
【0270】
【表2】
【0271】
【表3】
【0272】
【表4】
【0273】
【表5】
【0274】
【表6】
【0275】
上記表1~表5に示すように、実施例で得られた各化合物は、表6に示すN,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミドよりも非常に優れたTRPM8活性化作用を有する。従って、これら実施例で得られた化合物は、N,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミドよりも非常に強い冷感効果を有する。
【0276】
さらに、上記表1~表5に示すように、実施例で得られた各化合物は、表6に示すl-メントール、WS-3、WS-5及びWS-23といった既存の冷感剤と比較しても、同等以上の強力な冷感効果を示す。
【0277】
[実施例37]
例示化合物((1R,6S)-10-1)の30ppm水溶液及び比較化合物(N,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミド、l-メントール、WS-3、WS-5)の30ppm水溶液を調製し、当該水溶液を用いて評価を行った。
評価はフレーバリスト4人により行った。前記水溶液をそれぞれ口に含み、うがいをした後吐き出し、口腔内における冷感強度、冷感持続性、冷感の質について評価した。
【0278】
例示化合物((1R,6S)-10-1)は、冷感強度は大変強く、明らかに比較化合物N,2,2,6-テトラメチルシクロヘキサンカルボキサミド、l-メントール、WS-3より強かった。また、その冷感は30分以上続いた。
例示化合物((1R,6S)-10-1)は、WS-5と比較して、冷感強度は強く、その冷感は30分以上続いた。
冷感の質については、例示化合物((1R,6S)-10-1)は、WS-5と比較して、ほぼ同程度のピリピリ感を有した。
【0279】
[実施例38]歯磨き粉賦香評価
下記の配合に従い、歯磨き粉(A)~(C)を調製した。
(A)歯磨き粉基剤990.0g+ツースペーストフレーバーBASE4.0g+l-メントール3.0g+エチルアルコール(EtOH)3.0g
(B)歯磨き粉基剤990.0g+ツースペーストフレーバーBASE4.0g+l-メントール3.0g+比較化合物(WS-5)(1質量% in EtOH)3.0g
(C)歯磨き粉基剤990.0g+ツースペーストフレーバーBASE4.0g+l-メントール3.0g+例示化合物((1R,6S)-10-1)(1質量% in EtOH)3.0g
【0280】
【化61】
【0281】
なお、ツースペーストフレーバーBASEの処方は以下のとおりである。
【0282】
【表7】
【0283】
また、歯磨き粉基剤の処方は以下のとおりである。
【0284】
【表8】
【0285】
[評価]
評価はフレーバリスト3人により行った。上記フレーバリスト3人は、歯ブラシに各歯磨き粉約1gをとり、通常歯を磨く方法で約5分間歯を磨いた。上記フレーバリスト3人は、歯磨き後にうがいをし、口腔内における冷感の強度、持続性、質等について評価した。
【0286】
上記フレーバリスト3人による評価によると、歯磨き粉(B)及び歯磨き粉(C)には歯磨き粉(A)よりも強い冷感効果があり、歯磨き粉(C)には歯磨き粉(B)と同等以上の冷感効果があった。
また、歯磨き粉(C)では歯磨き粉(B)と比較して、ツースペーストフレーバーBASEの香味プロファイルの発現は同等で、且つ冷感感覚以外の刺激もほとんど感じられなかった。歯磨き粉(B)及び歯磨き粉(C)では共に30分以上の冷感が感じられた。
【0287】
[実施例39]洗口液賦香評価
下記の配合に従い、洗口液(D)~(F)を調製した。
(D)洗口液基剤999.0g+マウスウォッシュフレーバーBASE0.35g+l-メントール0.35g+エチルアルコール(EtOH)0.3g
(E)洗口液基剤999.0g+マウスウォッシュフレーバーBASE0.35g+l-メントール0.35g+比較化合物(WS-5)(10質量% in EtOH)0.3g
(F)洗口液基剤999.0g+マウスウォッシュフレーバーBASE0.35g+l-メントール0.35g+例示化合物((1R,6S)-10-1)(10質量% in EtOH)0.3g
【0288】
【化62】
【0289】
なお、マウスウォッシュフレーバーBASEの処方は以下のとおりである。
【0290】
【表9】
【0291】
また、洗口液基剤の処方は以下のとおりである。
【0292】
【表10】
【0293】
[評価]
評価はフレーバリスト3人により行った。上記フレーバリスト3人は、各洗口液20mLを口に含み、うがいをした後吐き出し、口腔内における冷感の強度、持続性、質等について評価した。
【0294】
上記フレーバリスト3人による評価によると、洗口液(E)及び洗口液(F)には洗口液(D)よりも強い冷感効果があり、洗口液(F)には洗口液(E)と同等以上の冷感効果があった。
また、洗口液(F)では洗口液(E)に比べるとマウスウォッシュフレーバーBASEのミントの香味プロファイルの発現は同等で、且つ冷感感覚以外の刺激もほとんど感じられなかった。洗口液(E)及び洗口液(F)では共に30分以上の冷感が感じられた。
【0295】
[実施例40]チューイングガム賦香評価
下記の配合に従い、チューイングガム(G)~(I)を調製した。
(G)チューイングガム基剤990.0g+ペパーミントフレーバーBASE6.3g+l-メントール0.7g+エチルアルコール(EtOH)3.0g
(H)チューイングガム基剤990.0g+ペパーミントフレーバーBASE6.3g+l-メントール 0.7g+比較化合物(WS-5)(1質量% in EtOH)3.0g
(I)チューイングガム基剤990.0g+ペパーミントフレーバーBASE6.3g+l-メントール0.7g+例示化合物((1R,6S)-10-1)(1質量% in EtOH)3.0g
【0296】
【化63】
【0297】
なお、ペパーミントフレーバーBASEの処方は以下のとおりである。
【0298】
【表11】
【0299】
また、チューイングガム基剤の処方は以下のとおりである。
【0300】
【表12】
【0301】
[評価]
評価はフレーバリスト3人により行った。上記フレーバリスト3人は、各チューイングガム1gを口に含み、5分程度噛み吐き出した。上記フレーバリスト3人は、吐き出した後の口腔内における冷感の強度、持続性、質等について評価した。
【0302】
上記フレーバリスト3人による評価によると、チューイングガム(H)及びチューイングガム(I)にはチューイングガム(G)よりも強い冷感効果があり、チューイングガム(I)にはチューイングガム(H)と同等以上の冷感効果があった。
また、チューイングガム(I)を噛んだ場合は噛み始めからややシャープな冷感が発現し、鼻抜けの良い冷感が口腔内に広がり、雑味、他の刺激は感じられなかった。さらに、チューイングガム(I)吐き出し後も30分以上の冷感が感じられた。
【0303】
[実施例41]キャンディー賦香評価
下記の配合のキャンディー(J)~(L)を、下記製法に従って調製した。
(J)キャンディー基剤998.0g+ハーブフレーバーBASE0.9g+l-メントール0.8g+エチルアルコール(EtOH)0.3g
(K)キャンディー基剤998.0g+ハーブフレーバーBASE0.9g+l-メントール0.8g+比較化合物(WS-5)(10質量% in EtOH)0.3g
(L)キャンディー基剤998.0g+ハーブフレーバーBASE0.9g+l-メントール0.8g+例示化合物((1R,6S)-10-1)(10質量% in EtOH)0.3g
【0304】
【化64】
【0305】
なお、ハーブフレーバーBASEの処方は以下のとおりである。
【0306】
【表13】
【0307】
また、キャンディー基剤の処方は以下のとおりである。
【0308】
【表14】
【0309】
[キャンディーの製法]
上記処方のキャンディー基剤1100.0gのうち998.0gを150℃まで火詰めした。その後、火を止め、生地を計量し、上記(J)~(L)に示すキャンディー基剤以外の材料をそれぞれ混合し、135~140℃に保ちながらモールドに流し、成型した。冷却後、モールドから外し、1粒約3gのキャンディー(J)~(L)を作製した。
【0310】
[評価]
評価はフレーバリスト3人により行った。上記フレーバリスト3人は、キャンディー1粒を口に含み、舐め溶かし、キャンディーが完全に無くなった後の口腔内における冷感の強度、持続性、質等について評価した。
【0311】
上記フレーバリスト3人による評価によると、キャンディー(K)及びキャンディー(L)にはキャンディー(J)よりも冷感効果があり、キャンディー(L)にはキャンディー(K)と同等以上の冷感効果があった。
また、キャンディー(L)を舐めた場合は舐め始めからシャープな清涼感が感じられ、しばらくすると喉奥を刺激する清涼感になり、雑味、他の刺激は感じられなかった。さらに、キャンディー(L)が完全になくなった後も30分以上の冷感が感じられた。
【0312】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2017年10月16日出願の日本特許出願(特願2017-200504)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。