(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】一体成形された封止部材を有する飲料調製用カプセル
(51)【国際特許分類】
B65D 85/816 20060101AFI20221012BHJP
B65D 77/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
B65D85/816
B65D77/00 A
(21)【出願番号】P 2019553205
(86)(22)【出願日】2018-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2018058406
(87)【国際公開番号】W WO2018185058
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】バンバギオーニ, グイド
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/207845(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02538398(GB,A)
【文献】特開2016-152921(JP,A)
【文献】特表2015-527914(JP,A)
【文献】国際公開第2014/118812(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/816
B65D 77/00
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシンによってカプセルに液体が注入されると飲料が調製されるように設計されたカプセル(10)であって、
飲料調製原材料を保持するためのカップ状基部本体(1)と、円弧状突出部(4a)の内列(4)及び円弧状突出部(5a)の外列(5)を備える封止部材(3)を有するフランジ様リム(2)と、を備え、
前記基部本体(1)と前記フランジ様リム(2)と前記封止部材(3)とは
、金属材料から一体的に作製されており、
前記封止部材(3)の前記内列及び前記外列(4、5)は、前記封止部材(3)の前記内列と前記外列(4、5)との間に前記飲料調製マシン(20)のカプセル係合部材(21)の封止面(21a)を受け入れるための環状空間部(6)を形成するように前記フランジ様リム(2)の表面(2a)上に同心円状に配置されており、
前記円弧状突出部(4a、5a)は、前記カプセル係合部材(21)の前記封止面(21a)によって封止係合されるようになっており、
前記内列及び前記外列(4、5)の前記円弧状突出部(4a、5a)はそれぞれ、前記円弧状突出部(4a、5a)間に形成された周方向に延びる間隙(4b、5b)を有する連続的な突出部であり、
前記内列(4)の前記円弧状突出部(4a)と前記外列(5)の前記円弧状突出部(5a)とは、前記カプセルの側面視において、前記内列及び前記外列(4、5)の前記周方向に延びる間隙(4b、5b)以外の部分で周方向に重なるように配置されて
おり、
前記円弧状突出部(4a、5a)同士の前記重なりは、重なっている前記突出部(4a、5a)それぞれの弧長(L)の少なくとも20~25%に等しく、
前記円弧状突出部の前記内列と前記外列(4、5)との間の前記環状空間部(6)は、前記フランジ様リム(2)の前記表面(2a)に対する突出部を全く有していない、
カプセル(10)。
【請求項2】
前記円弧状突出部の前記内列及び前記外列(4、5)はそれぞれ、少なくとも2つ
の円弧状突出部(4a、5a)を備える、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記円弧状突出部(4a、5a)同士の重なり角測長さは、5°~90
°である、請求項1
又は2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記内列(4)の前記円弧状突出部(4a)と前記外列(5)の前記円弧状突出部(5a)とは、前記突出部(4a、5a)間に周方向に延びる一定の間隙(4b、5b)を形成するように、前記基部本体の周縁において互いに等距離で配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記円弧状突出部の前記内列及び前記外列(4、5)は、前記カップ状基部本体(1)と前記フランジ様リム(2)の外周(2c)とから離れて配置されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記円弧状突出部の前記内列と前記外列(4、5)は、0.6~1.2m
mの半径方向距離(d)で配置されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項7】
前記内列(4)の前記突出部(4a)と前記外列(5)の前記突出部(5a)とは、側断面視におい
て同じ寸法を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記内列(4)の前記突出部(4a)及び前記外列(5)の前記突出部(5a)は、0.3~1.3m
mの基部幅(BW)、及び/又は0.8~1.7m
mの高さ(H)を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記突出部(4a、5a)それぞれは、側断面視において、2つの対向する直線的な壁部(a1、a2)を有する下側基部部分(B)と、2つの対向する丸みを帯びた壁部(b1、b2)を有する上側部分(A)と、を備える、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記上側部分(A)の2つの対向する前記丸みを帯びた壁部(b1、b2)は、丸みを帯びた先端部分(C)によってつながっている、請求項
9に記載のカプセル。
【請求項11】
2つの対向する前記直線的な壁部(a1、a2)は、前記突出部それぞれの前記上側部分(A)に向かって互いに近づくように配置されている、請求項
9又は
10に記載のカプセル。
【請求項12】
前記カプセル本体(1)と前記フランジ様リム(2)と前記封止部材(3)とは、初期は平坦な金属シートを深絞りすることにより製作されている、請求項1~
11のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項13】
前記カプセル(10)はアルミニウムで作製されている、請求項1~
12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
前記カプセルは、前記カプセルの前記基部本体(1)に及び/又は前記フランジ様リム(2)に接続された閉鎖膜(9)を更に備える、請求項1~
13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記閉鎖膜(9)は、前記円弧状突出部の前記内列及び前記外列(4、5)が配置されている前記表面(2a)とは反対側の、前記フランジ様リム(2)の表面(2b)に接続されている、請求項
14に記載のカプセル。
【請求項16】
前記閉鎖膜(9)は、前記フランジ様リム(2)に封止されたアルミニウム箔である、請求項
14又は
15に記載のカプセル。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか一項に記載のカプセル(10)と、加熱及び/又は加圧された液体を前記カプセル内に供給し、前記カプセル内に保持された原材料と前記液体とを相互作用させることにより飲料を調製するように設計された飲料調製マシン(20)と、を備えるシステム。
【請求項18】
飲料調製原材料を保持するためのカプセルのカップ状基部本体(1)、並びに円弧状突出部(4a)の内列(4)及び円弧状突出部(5a)の外列(5)を備える封止部材(3)を有するフランジ様リム(2)であって、
前記基部本体(1)と前記フランジ様リム(2)と前記封止部材(3)とは
、金属材料から一体的に作製されており、
前記封止部材(3)の前記内列及び前記外列(4、5)は、前記封止部材(3)の前記内列と前記外列(4、5)との間に飲料調製マシン(20)のカプセル係合部材(21)の封止面(21a)を受け入れるための環状空間部(6)を形成するように前記フランジ様リム(2)の表面(2a)上に同心円状に配置されており、
前記円弧状突出部(4a、5a)は、前記カプセル係合部材(21)の前記封止面(21a)によって封止係合されるようになっており、
前記内列及び前記外列(4、5)の前記円弧状突出部(4a、5a)はそれぞれ、前記円弧状突出部(4a、5a)間に形成された周方向に延びる間隙(4b、5b)を有する連続的な突出部であり、
前記内列(4)の前記円弧状突出部(4a)と前記外列(5)の前記円弧状突出部(5a)とは、前記カプセルの側面視において、前記内列及び前記外列(4、5)の前記周方向に延びる間隙(4b、5b)以外の部分で周方向に重なるように配置されて
おり、
前記円弧状突出部(4a、5a)同士の前記重なりは、重なっている前記突出部(4a、5a)それぞれの弧長(L)の少なくとも20~25%に等しく、
前記円弧状突出部の前記内列と前記外列(4、5)との間の前記環状空間部(6)は、前記フランジ様リム(2)の前記表面(2a)に対する突出部を全く有していない、
カップ状基部本体(1)並びにフランジ様リム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化された封止手段を有する、飲料などの食料製品の調製用に設計されたカプセルに関する。特に、本発明は、一体成形された封止部材を備えた本体を有するカプセルに関し、この封止部材は、アルミニウムなどの金属材料からできている。
【背景技術】
【0002】
飲料などの食料製品の調製用カプセルは市場で広く知られている。飲料調製マシンでの使用が意図されたこのようなカプセルの例は、欧州特許第0512468(A1)号に記載されている。専用飲料調製マシンで飲料を調製する場合、カプセルをマシンに挿入し、カプセル内に入れられた原材料をカプセルに供給された液体と相互作用させて、所望の飲料を形成し、後にカプセルから出す。これにより、カプセルは、飲料調製マシンの支持部分に設けられた隆起した要素などの開口手段にカプセルの出口面を押しつけるカプセル内の上昇圧力の効果で開口される。飲料調製プロセス中のカプセルの封止は、飲料調製マシンの適切な形状の係合部材が周囲接触線に沿って接触するカプセルのフランジ様リムの外側部分により達成される。
【0003】
カプセルと飲料調製マシンの係合部材との間の封止を強化するために、専用封止部材が適用され、封止部材がカプセル本体とは異なる材料のものであるカプセルが開発されてきた。例えば、欧州特許第1654966号、欧州特許第1849715号、及び欧州特許第2151313号は、カプセルにゴム弾性材料の封止部材が適用されたカプセルに関する。封止部材は、液体を堆積及び硬化すること、接着することによって、又はカプセル本体及び/又はカプセルのフランジ様リムの一部分を封止部材に圧着することによってカプセル本体に適用され得る。
【0004】
これらのカプセルの欠点は、カプセルと封止部材が個別の製造工程で製造され、その後、組み立てられる、より複雑な製造プロセスである。この解決策はまた、材料コスト及び製造コスト両方の点において、コストが高い。したがって、容易な製造プロセスを可能にすると同時にカプセルのフランジ様リムの封止性能の向上をもたらす解決策が求められている。
【0005】
一体成形された封止部材、すなわち、カプセルのカプセル本体又はフランジ様リムと同じ材料で作製された封止部材を備えるカプセルも知られている。欧州特許第2303077(B1)号、欧州特許第2387922(B1)号、欧州特許第2814328(B1)号は、例えば、フランジ様リムと一体成形された複数の同心環状突出部から形成された封止部材を備えるカプセルに関する。
【0006】
国際公開第2014/012783号、国際公開第2014/184652号、国際公開第2016/186489号、国際公開第2016/186495号、及び国際公開第2016/186496もまた飲料調製用カプセルを開示しており、これらの飲料調製用カプセルは、一体成形された環状封止部材を有するフランジ様リム部を備える。
【0007】
国際公開第2016207845号は、内側センタリング突出部及び外側センタリング突出部によって囲まれた単一の環状封止リングを有するフランジ様リムを備えるプラスチックカプセルに関し、センタリング突出部は、間隙によって周方向に分離され、飲料調製マシンの周方向封止縁部に対する封止リングの良好なセンタリングを提供するように設計された多数の円弧状要素を備える。
【0008】
しかしながら、これら既知のカプセルには、封止部材の周方向に配置される突出部のせいで製造プロセスにおける突出部の成形中に張力が発生する場合があり、これが更には封止部材及び/又はフランジ様リムの欠陥につながり、封止部材の封止性能に悪影響を及ぼすという欠点がある。このことは特に、例えばアルミニウム製の金属カプセルに当てはまる。したがって、カプセルを形成する際の、アルミニウムの深絞りプロセス中に、応力亀裂、しわ、及び他の表面欠陥などの欠陥が生じる場合がある。加えて、周方向に配置された封止突出部は、同心度の課題を伴う、許容度の低い封止調整につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、先行技術の解決策の欠点を克服する改良されたカプセルを提供することである。この目的は、独立請求項によって解決される。従属請求項は、本発明の更なる好適な実施形態を定義する。
【0010】
本発明は、飲料調製マシンによってカプセルに液体が注入されると飲料が調製されるように設計されたカプセルに関し、カプセルは、飲料調製原材料を保持するためのカップ状基部本体と、円弧状突出部の内列及び円弧状突出部の外列を備える封止部材を有するフランジ様リムと、を備え、基部本体とフランジ様リムと封止部材とは、アルミニウムなどの金属材料から一体的に作製されており、封止部材の内列及び外列は、封止部材の内列と外列との間に飲料調製マシンのカプセル係合部材の封止面を受け入れるための環状空間部を形成するようにフランジ様リムの表面上に同心円状に配置されており、内列及び外列の円弧状突出部はそれぞれ、円弧状突出部間に形成された周方向に延びる間隙を有する連続的な突出部であり、内列の円弧状突出部と外列の円弧状突出部とは、カプセルの側面視において、内列及び外列の周方向に延びる間隙以外の部分で周方向に重なるように配置されている。
【0011】
本発明によるカプセルは、単一の一体成形から作製することにより、したがって、ゴムなどの任意の追加材料を省略することにより、信頼性が高くかつ許容度のある封止構造体を可能にする。したがって、カプセルは、低コストの容易化された製造プロセスで形成することができると同時に、カプセル品質及び気密性に加えて抽出プロセスにも影響し得る亀裂、しわ、及び表面欠陥などのあらゆる材料欠陥のない強化された封止部材を提供する。
【0012】
本願の意味における「重なる」という用語は、突出部の内列の円弧状突出部と外列の円弧状突出部とが、側面視(
図4の方向SVを参照)において少なくとも部分的に互いに覆い隠すように配置されていることに関連する。具体的には、側面図で見ると、突出部の外列の各円弧状突出部は、内列の円弧状突出部の間に形成された任意の間隙を覆い隠すように、突出部の内列の各円弧状突出部に少なくとも部分的にそれぞれ重なっている又はこれをそれぞれ覆い隠している。フランジ様リムの上面図では、各円弧状突出部は少なくとも部分的に半径方向に重なっている。
【0013】
フランジ様リムは、カップ状基部本体の開放端部から基部本体の外側側壁に対して及び/又はカプセルの回転軸に対して本質的に垂直に延びる本質的に平面的なカラーであることが好ましい。円弧状突出部の内列及び外列は、カップ状基部本体とフランジ様リムの外周とから離れて配置されている。
【0014】
封止部材の各突出部は、そうでなければ本質的に平面的なフランジ様リムに好ましくは一体成形されている。フランジ様リムに形成された突出部は、残りのフランジ様リムに本質的に対応する材料厚さを含むことが好ましい。
【0015】
フランジ様リムの突出部は、深絞りプロセスによって作製されることが好ましい。好適な実施形態では、カプセル本体、フランジ様リム、及び封止部材は、単一の深絞りプロセスで製造される。カプセルは、例えば、初期は平坦な金属シートを深絞りすることにより製作されてもよい。
【0016】
カプセルは、アルミニウムなどの単一の金属シートから作製されることが好ましい。
【0017】
封止部材の内列及び外列の各円弧状突出部は、フランジ様リムの同じ表面上に配置されている。表面は、カプセルのカップ状基部本体の方に向いている。当該表面とは反対側のフランジ様リムの表面上では、閉鎖膜がカプセル基部本体に接続されていてもよい。
【0018】
封止部材の内列及び外列の各円弧状突出部は、各列の各突出部の間に形成された間隙を有する連続的な突出部であることが好ましい。したがって、間隙は、内列及び外列の隣接する各円弧状突出部間に延びる環状間隙である。
【0019】
円弧状突出部の内列及び外列はそれぞれ、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つ又は4つの円弧状突出部を好ましくは備える。内列及び外列もまたそれぞれ、多数の円弧状突出部を備えてもよい。
【0020】
突出部の内列及び外列の各円弧状突出部間の重なりは、重なっている各突出部の弧長Lの好ましくは少なくとも10%に等しい、好ましくは少なくとも20%に等しいが50%未満である。このため、弧長Lは、突出部の内列及び外列の重なっている各円弧状突出部の最小弧長を指す。フランジ様リムの周縁に沿った各突出部の弧長は、突出部の内列及び外列両方の突出部の総数による。数が多くなるほどそれぞれの弧長は短くなる。
【0021】
円弧状突出部同士の重なり角測長さ(overlap angular length)は、5°~90°、好ましくは10°~70°、最も好ましくは20°~60°である。
【0022】
好適な実施形態では、内列の円弧状突出部と外列の円弧状突出部とは、突出部間に周方向に延びる一定の間隙を形成するように、基部本体の周縁において互いに等距離で配置されている。
【0023】
円弧状突出部の内列と外列との間の環状空間部は、飲料調製マシンのカプセル係合部材の好ましくは環状の封止面を受け入れるように設計されている。係合部材は、好ましくは、カプセルのカップ状基部本体を収容するように設計された本質的に釣鐘状の係合部材又はいわゆるカプセルケージである。係合部材の封止面は、係合部材の平坦な又は丸みを帯びた端面であってもよい。
【0024】
好適なモードでは、係合部材の封止面は、円弧状突出部の内列の突出部及び円弧状突出部の外列の突出部に係合するように配置されている。係合部材の封止面の係合は、突出部を少なくとも部分的に変形させることができるようなものであってもよい。係合部材の封止面の係合は、少なくとも実質的に半径方向に向けられた封止力を突出部とともに与えるようなものであってもよい。
【0025】
円弧状突出部の内列と外列との間の環状空間部は、突出部が存在しないことが好ましい。環状空間部の底部は、好ましくは平坦環状部である。環状空間部の底部は、フランジ様リム部の上面に対応することが好ましい。
【0026】
円弧状突出部の内列及び外列は、両者の間に環状空間部を形成するために、0.6~1.2mm、より好ましくは0.8~1.0mmの半径方向距離dで配置されている。したがって、半径方向距離dは、カプセル係合部材の封止面を受け入れるための環状空間部の厚さに関係する。各円弧状突出部間の距離dは、環状封止面の半径方向幅D以下になるように選択されることが好ましい。
【0027】
好適な実施形態では、半径方向距離dは、飲料調製マシンの係合部材の環状封止面の半径方向幅よりも少なくとも1~2%、好ましくは少なくとも2~5%小さくなるように選択される。
【0028】
好適な実施形態では、内列の突出部と外列の突出部とは、側断面視において本質的に同じ寸法を有する。内列及び外列の各突出部は、同じ高さ及び/又は幅を含んでもよい。
【0029】
しかしながら、各突出部は、異なる高さ及び/又は幅のものであってもよい。例えば、外列の突出部の高さは、内列の突出部の高さよりも低くてもよく、この逆の場合も同様である。例えば、外列の突出部の幅は、内列の突出部の幅よりも狭くてもよく、この逆の場合も同様である。
【0030】
各内列又は外列の突出部の高さ及び/又は幅は、異なってもよい。
【0031】
内列の突出部及び外列の突出部は、好ましくは0.3~1.3mm、より好ましくは0.5~1.0mmの基部幅BW、及び/又は0.8~1.7mm、より好ましくは1~1.5mmの高さHを有する。
【0032】
突出部それぞれは、側断面視において、2つの対向する好ましくは直線的な壁部を有する下側基部部分Bと、2つの対向する好ましくは丸みを帯びた壁部を有する上側部分Aとを好ましくは備える。
【0033】
上側部分Aの2つの対向する丸みを帯びた壁部は、丸みを帯びた先端部分Cによって好ましくはつながっている。
【0034】
2つの対向する直線的な壁部は、突出部それぞれの上側部分Aに向かって互いに近づくように好ましくは配置されている。2つの対向する直線的な壁部は、フランジ様リムの法線に対して及び/又はカプセルの回転軸に対して好ましくは3~12°、より好ましくは5~10°の傾斜角で配置されている。
【0035】
上側部分Aの2つの対向する丸みを帯びた壁部は、好ましくは0.5~5.5、より好ましくは1~5mmの半径R1を含む。
【0036】
丸みを帯びた先端部分Cは、好ましくは0.2~2.3mm、より好ましくは0.5~2mmの半径R2を含む。
【0037】
下側部分Bの2つの対向する壁部は、厳密に直線的ではなく、わずかに凸状であってもよい。例えば、2つの対向する壁部A及びBは、先端部分Cに向かう方向に増加する曲率を持つ連続的な凸状壁部を共に形成してもよい。
【0038】
カプセルは、カプセルの基部本体に及び/又はフランジ様リムに接続された閉鎖膜を好ましくは更に備える。閉鎖膜は、円弧状突出部の内列及び外列が配置されている表面とは反対側のフランジ様リムの表面に好ましくは接続されている。閉鎖膜は、接着剤及び/又は溶接技術によってフランジ様リムに接続されてもよい。閉鎖膜は、好ましくは、密閉された膜であり、すなわち穿孔を全く有しない。しかしながら、閉鎖膜はまた、閉鎖膜に予め形成された穿孔を備えてもよい。閉鎖膜は、好ましくはアルミニウム箔である。箔は、カートリッジ内に入れられた原材料の新鮮さを維持するためにカプセル基部本体とガスに対する気密性の封止を形成するようにフランジ様リムに対して好ましくは封止されている。
【0039】
更なる態様では、本発明は、上記のカプセルと、加熱及び/又は加圧された液体をカプセル内に供給し、カプセル内に保持された原材料と液体とを相互作用させることにより飲料を調製するように設計された飲料調製マシンとを備えるシステムに関する。
【0040】
飲料調製マシンは、ポンプ、加熱及び/若しくは冷却手段、水タンクなどの液体供給部、並びに/又はカプセルから飲料を調製するためにカプセルを選択的に受け入れるための飲料淹出チャンバを好ましくは備える。
【0041】
飲料調製マシンは、例えば淹出チャンバの一部として、カプセル係合部材を好ましくは備えており、この淹出チャンバは、カプセル、特に、カプセルがマシンに提供されているときにはカプセル基部本体を収容するように設計されている。係合部材は、飲料調製プロセス中におけるカプセルの効果的な封止を可能にするために、カプセルの封止部材と相互作用するように設計された環状封止面を備える。前述のように、係合部材の封止面は、円弧状突出部の内列の突出部及び円弧状突出部の外列の突出部に係合するように配置されていてもよい。係合部材の封止面の係合は、突出部を少なくとも部分的に変形させることができるようなものであってもよい。係合部材の封止面の係合は、少なくとも実質的に半径方向に向けられた封止力を突出部とともに与えるようなものであってもよい。
【0042】
飲料調製マシンは、注入ブレード等のような穿孔手段を好ましくは更に備えており、この注入ブレードは、特にカプセル基部本体の閉鎖端部に位置して、カプセルの入口面に穿孔し、及びカプセル内部に液体を注入するように設計されている。
【0043】
飲料調製マシンは、マシンの係合部材がカプセルの封止部材に係合する側とは反対側にカプセルのフランジ様リムを保持するように設計されたカプセル支持体を好ましくは更に備える。カプセル支持体は、例えば角錐台状要素などの開口手段を好ましくは備え、カプセル内の圧力上昇中に、カプセルの閉鎖膜が、例えば引き裂き又は破断によって閉鎖部材を開口されるように、開口手段に押しつけられ得る。
【0044】
本発明によるカプセルは、好ましくは回転対称である、すなわち、その垂直軸に沿って対称である。
【0045】
カプセルの基部本体の厚さtは、好ましくは0.3~1.7mm、より好ましくは0.7~1.3mmである。閉鎖膜の厚さt1は、好ましくは60~100マイクロメートルである(表面上のエンボス加工構造及びラッカーを含む)。
【0046】
カプセル内に供給される飲料調製原材料は、焙煎し粉にしたコーヒー、茶、インスタントコーヒー、焙煎し粉にしたコーヒーとインスタントコーヒーとの混合物、シロップ濃縮物、果実抽出濃縮物、チョコレート製品、乳ベース製品、又は脱水された出汁などの任意の他の脱水食用物質からなる群から好ましくは選択される。飲料調製のために使用される液体は、任意の温度の水であることが好ましい。
【0047】
本発明は更に、強化された一体成形封止部材を有する、食料製品を調製するためのカプセルのカップ状基部本体に関する。
【0048】
本発明の更なる特徴、利点及び目的は、当業者には、以下の本発明を実施するための形態を読み、包含された図面の図と併せて解釈すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1a】本発明によるカプセルの好適な実施形態の斜視側面図である。
【
図2】本発明によるカプセルの好適な実施形態の概略上面図である。
【
図3】本発明による封止部材の突出部の側断面図である。
【
図4】互いに係合する前の本発明による封止部材の好適な実施形態及び飲料調製マシンの係合部材の
図2の方向Sにおける側断面図である。
【
図5】互いに係合する前の本発明による封止部材の好適な実施形態及び飲料調製マシンの係合部材の
図2の方向Vにおける側断面図である。
【
図6】互いに係合する前の本発明による封止部材の好適な実施形態及び飲料調製マシンの係合部材の
図2の方向Tにおける側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1a及び
図1bは、本発明によるカプセル10の好適な実施形態に関する。カプセル10はカップ状基部本体1を備える。基部本体1は、閉鎖端部10a及び開放端部10bを備える。閉鎖端部10aは、飲料調製プロセス中、飲料調製マシン20の専用注入部材によって開口され得る注入面としての役割を果たしてもよい。
【0051】
カプセル10は、カプセル10の開放端部10bに好ましくは配置されたフランジ様リム2を更に備える。フランジ様リム2は、カップ状基部本体1の横方向側壁から半径方向外側に延び1てもよい。フランジ様リム2は、カプセル10の回転軸Yに対して横断方向に好ましくは配置されている。
【0052】
カプセル基部本体1の開放端部10bに、閉鎖膜9が配置されていてもよい。閉鎖膜9はフランジ様リム2に好ましくは接続されている(
図4を参照)。閉鎖膜9は、フランジ様リム2の少なくとも1つの下側環状表面2bに好ましくは接続されており、この表面2bは、カプセル基部本体1から遠ざかる方に向けられている。
【0053】
カップ状基部本体1は、カプセル10内に注入された液体と相互作用させると液体可食物を調製するのに適した飲料原材料を好ましくは封入する。原材料は、カップ状基部本体1と閉鎖膜9とによって好ましくは封入されている。飲料原材料は、焙煎し粉にしたコーヒー又は前述の他の種類の原材料であってもよい。
【0054】
フランジ様リム2は、フランジ様リムの上側環状表面2aに配置された一体成形された封止部材3を備える。環状表面2aは、閉鎖膜9が好ましくは接続された表面2bとは反対側に配置されている。このため、環状表面2aは、カプセルの開放端部10bとは反対に面している。
【0055】
封止部材3は、フランジ様リム2の表面2a上に同心円状に配置された円弧状突出部の内列及び外列4、5を備える。円弧状突出部の内列及び外列4、5はフランジ様リム2と一体成形されている。これは、円弧状突出部の内列及び外列4、5がフランジ様リムと同じ材料で、フランジ様リムの表面2aから突出するように形成されている(付加部品ではない)ことを意味する。
【0056】
円弧状突出部の内列及び外列4、5はそれらの間に、飲料調製マシン20のカプセル係合部材21の封止面21aを受け入れるための環状空間部6を形成するように配置されている(
図4を参照)。したがって、内列4と外列5との間の半径方向距離dは、突出部が係合部材21の専用封止面21aと封止係合して適切に相互作用するように好ましくは選択される。より具体的には、重なり領域(
図4)では、専用封止面は、実際に、外列の突出部4bに係合する封止面部分21aaと内列の突出部4aに係合する封止面部分21abとに分割されている。半径方向距離dは、好ましくは0.6~1.2mm、より好ましくは0.8~1.0mmである。内列4と外列5との間の環状空間部6は、突出部が存在しないことが好ましい。したがって、環状空間部6は、内列及び外列4、5の隣接する円弧状突出部を相互接続する本質的に平坦な底面2dを好ましくは備える。
【0057】
カップ状基部本体1とフランジ様リム2と封止部材3とは一体成形、すなわち、同じ材料から作製された1つの単一部品によって形成されている。したがって、カップ状基部本体1とフランジ様リム2と封止部材3とは、形成プロセスによって同じ材料から製造することができる。特に、基部本体1とフランジ様リム2と一体成形された封止部材3とは、深絞りプロセスで形成することができる。深絞りプロセスは、カプセルの本体及び封止部材を平坦な材料片から適切に形成するために2つ以上の深絞り工程を必要とする場合がある。
【0058】
基部本体1とフランジ様リム2と封止部材3とは、一体的成形の、金属、好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウム合金製の1つの部品から形成されている。
【0059】
円弧状突出部の内列及び外列4、5は、好ましくは、表面2a上で、フランジ様リム2の外周縁又は外端部2cから離れて配置されている。内列及び外列4、5は更に、カプセル1のカップ状基部本体1から離れて配置されている。円弧状突出部の内列及び外列4、5は、外端部2cよりもカップ状の本体1の方により近いフランジ様リム2の表面2aの環状部に好ましくは配置されている。フランジ様リム上における円弧状突出部の内列と外列の相対位置は、当然のことながら、係合部材の寸法によって決定される封止面に一致する位置に依存する。
【0060】
円弧状突出部の内列及び外列4、5はそれぞれ、カプセル10の回転軸Yを中心とする既定の半径に配置された個々の円弧状突出部4a、5aを備える。円弧状突出部の内列及び外列4、5はそれぞれ、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくは少なくとも3つ、4つ、5つ、又は6つの円弧状突出部4a、5aを備える。内列及び外列4、5の各円弧状突出部4a、5aはそれぞれ、それらの間に形成された間隙4b、5bを有する連続的な突出部であることが好ましい。
【0061】
内列4の円弧状突出部4aと外列5の円弧状突出部5aとは、カプセルの側面視において重なるように配置されている。したがって、カプセルの側面視において、外列5の各円弧状突出部5aは、内列4の各円弧状突出部4aの間に形成された周方向に延びる間隙4bに重なり、この逆もまた同様である。円弧状突出部4a、5a同士の重なりは、重なっている突出部4a、5aそれぞれの弧長Lの好ましくは少なくとも20~25%、より好ましくは30~35%に等しい。したがって、上面図で見ると、内列及び外列4、5の各円弧状突出部4a、5aはフランジ様リム2の360°の周縁に沿って異なる角度で配置されている。
【0062】
内列4の円弧状突出部4a及び外列5の円弧状突出部5aはそれぞれ、突出部4a、5a間に周方向に延びる一定の間隙4b、5bを形成するように、基部本体の周縁において互いに等距離で配置されていてもよい。
【0063】
図2は、カプセル10の各半径が示される、本発明によるカプセル10の概略上面視に関する。
図2に示すように、カプセル基部本体1とフランジ様リムはr1と示される周縁部で結合し、この半径は、好ましくは12~18mm、最も好ましくは15mmである。外端部2cにおけるフランジ様リム2の外半径r6は、好ましくは18~20mm、最も好ましくは18.5mmである。
【0064】
r2とr3との間の差は、突出部の内列4の円弧状突出部4a及び各中間間隙4bの半径方向拡張部に相当し、好ましくは0.3~1.3mm、より好ましくは0.5~1.0mmである。
【0065】
r4とr5との間の差は、突出部の外列5の円弧状突出部5a及び各中間間隙5bの半径方向拡張部に相当し、好ましくは0.3~1.3mm、より好ましくは0.5~1.0mmである。
【0066】
r3とr4との間の差は、上記のように、円弧状突出部4a、5aの半径方向拡張部又は半径方向距離dに相当する。半径方向距離dの特に好ましい値は0.7~1.1mmであり、最も好ましくは0.9mmである。
【0067】
円弧状突出部同士の重なり角測長さのΔは、5°~90°、好ましくは10°~70°、最も好ましくは20°~60°である。
【0068】
図3は、円弧状突出部4a、5aの例示的実施形態の側断面視に関する。円弧状突出部4a、5aは、側断面視において本質的に同じ寸法を好ましくは有する。しかしながら、円弧状突出部4a、5aは、側断面視において異なる寸法を有することもできる。
【0069】
突出部4a、5aそれぞれは、2つの対向する直線的な壁部b1及びb2を有する下側基部部分Bと、2つの対向する丸みを帯びた壁部a1及びa2を有する上側部分Aとを好ましくは備える。上側部分Aの2つの対向する丸みを帯びた壁部a1及びa2は、丸みを帯びた先端部分Cによって好ましくはつながっている。
【0070】
2つの対向する直線的な壁部b1、b2は、突出部4a、5aそれぞれの上側部分Aに向かって互いに近づくように好ましくは配置されている。2つの対向する直線的な壁部b1、b2は、フランジ様リム2の法線Nに対して及び/又はカプセル10の回転軸Yに対して好ましくは3~12°、より好ましくは5~10°の傾斜角αで配置されている。
【0071】
上側部分Aの2つの対向する丸みを帯びた壁部a1、a2は、好ましくは0.5~5.5、より好ましくは1~5mmの半径R1を含む。丸みを帯びた先端部分Cは、好ましくは0.2~2.3mm、より好ましくは0.5~2mmの半径R2を含む。
【0072】
各突出部4a、5aの基部幅BWは、好ましくは0.3~1.3mm、より好ましくは0.5~1.0mmである。高さHは、好ましくは0.8~1.7mm、より好ましくは1~1.5mmである。
【0073】
基部部分Bは、全高Hの1/3~1/2の高さh1まで延びることが好ましい。同様に、上側部分Aは、全高Hの2/3~1/2の高さh2まで延びてもよい。
【0074】
突出部4a、5aは、フランジ様リムの表面2aとのより滑らかな移行を確実にするために、漸進的に減少する寸法の自由端7a、7bを備えてもよい。これら自由端7a、7bにおける幅r3-r2、幅r5-r4、及び高さHは、周方向に延びる間隙4b、5bに向かって漸進的に減少することが好ましい。特に、
図2に示すように、これら端部7a、7bの形状は、上からフランジ様リムの方向に見たときに、わずかに三角形であってもよく、又は丸みを帯びていてもよい。結果的に、突出部の形成は容易になり、亀裂又はしわのリスクは低下する。
【0075】
図4は、互いに係合する前のカプセル10の封止部材3の好適な実施形態及び飲料調製マシン20の係合部材21の側断面図である。
【0076】
図4に示すように、封止部材3の各突出部4a、5aは好ましくは中空である。したがって、突出部4a、5aはフランジ様リム2の材料で充填されておらず、壁厚t2の輪郭によって形成されている。したがって、好ましくは各突出部4a、5aはフランジ様リム2の下面2bに開かれた中空体を形成している。
【0077】
絞りプロセスに起因して、フランジ様リム2の壁厚t1は概して突出部4a、5aの壁厚t2よりもわずかに大きい場合があり、同じ理由で、壁厚t1、t2はカプセルの基部本体2の壁厚tbよりも大きい場合がある。
【0078】
専用飲料調製マシン20の係合部材21は、その中にカプセル基部本体1を受け入れるために本質的に中空の釣鐘状の係合部材であることが好ましい。カプセル10が飲料調製マシン20内に置かれると、係合部材21は
図4に示されるような専用の閉鎖力Fによってカプセル10上に下ろされる。係合部材21の封止面21aは、丸みを帯びた内周縁及び外周縁を有する環状下面であってもよい。前面21aは、好ましくは0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1mmである半径方向厚さDを含む。
【0079】
封止部材3の内列及び外列4、5の突出部4a、5a間の環状空間部6は、飲料調製マシン20のカプセル係合部材21の封止面21aを受け入れるように設計されている。環状空間部6は、好ましくは、隣り合う突出部4a、5aを相互接続する平坦な環状底面6aを含む。環状底面6aは、上述のように、それぞれ半径方向距離、厚さDまで延びる。距離dは、係合部材21の封止面21aの環状半径方向厚さDに等しくなるように又はこれよりもわずかに小さくなるように選択されることが好ましい。好適な実施形態では、厚さdは、封止面21aの環状半径方向厚さDよりも0.1~0.5、より好ましくは0.2~0.3mm小さくなるように選択される。
【0080】
環状空間部6は、底面6aから隣り合う突出部4a、5aの先端部分Cに向かって好ましくは広くなっている。このため、隣り合う突出部4a、5aの基部部分Bの各上端部は、底面6aにおける距離dよりも大きな半径方向距離d1だけ離れていることが好ましい。距離d1は、係合部材21の封止面21aの半径方向厚さDよりも0.2~0.3mm大きくなるように選択されることが好ましい。
【0081】
係合部材21が閉鎖力Fによって
図4に示される位置から封止部材3上に下ろされると、環状封止面21aは環状空間部6に係合し、それにより、封止面21aと封止部材3の隣り合う円弧状突出部4a、5aとの間に流体密係合を設ける。
【0082】
突出部4a、5bの周方向に重なる領域(
図4)では、封止面21の係合は、外列の突出部5aの壁との外側封止面部分21aaの係合、及び内列の突出部4aの壁との内側封止面部分21abの係合の両方によって完了してもよい。加えて、丸みを帯びた先端部分Cは、係合部材21に対応して形成された環状受け入れ溝Eによって係合されてもよい。したがって、封止部材3と飲料調製マシンの封入部材21との間の効果的な封止係合が得られる。
【0083】
図5及び
図6にそれぞれ示されるように、突出部の周方向に重なる領域以外の部分においては、係合部材21の封止面の封止係合は、それぞれ内列の突出部4a(
図5)又は外列の突出部5a(
図6)とそれぞれ封止面部分21ab又は封止面部分21aaのうちの1つに限定されてもよい。閉鎖及び/又は抽出中、係合部材が圧力効果によりフランジ様リムに向かって移動すると、封止面部分21aa、21abは突出部を変形させ、それに応じて突出部との接触表面積を増加させてもよい。
【0084】
特に、
図5に示すように、内列の突出部4aに係合するのに適した係合部材21の封止面部分21abの位置の半径reiは、突出部4の外半径r3よりも小さくなるように選択されることが好ましい。
図6に示すように、内列の突出部5aに係合するのに適した係合部材21の封止面部分21aaの位置の半径reeは、円弧状突出部5aの半径方向拡張部の半径r4よりも大きくなるように選択されることが好ましい。結果的に、封止部材3によって係合部材の封止面21aの全周に封止圧が作用され、それにより封止連続性が確保される。
【0085】
閉鎖膜9は、環状底面2d及び外側環状表面2bに対して封止されることが好ましい。好ましくは、内列4と外列5との間の環状底面2dは外側環状表面2b及び/又は内側環状底面2dに対して高くなっても低くなってもいない。好ましくは、環状底面2dと外側環状表面2bは好ましくは実質的に整列している。
【0086】
図4にも示されるように、閉鎖膜9は、フランジ様リムの表面2bの環状外側部分に接続されている。加えて、閉鎖膜9は、外側環状表面2bとカプセル基部本体1との間に配置された中間環状表面2dに接続されていてもよい。閉鎖膜9は、フランジ様リム2に封止されたアルミニウム箔であることが好ましい。
【0087】
フランジ様リム2は、外周縁部2cに、本技術分野で周知のロールオーバー縁部11を備えてもよい。